幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 10月25日 ● 昔の人は偉かった理論。

 またまた森首相の失言問題で政界が揺れています。まあ今回の失言はこれまでの建前を忘れてポロッと本音をこぼしてしまった、というレベルではなく、外交上のマイナスポイントになって、国益を損なうものですから、政府や自民党内からも批判の声が上がるのも無理からぬことではあります。でも、これまでの彼の失言癖を考えれば、こういう事態も当然想定されたことではありましたから、今さら自民党が批判するというのも天に唾を吐くような行為にしか映りません。

 ところで森首相のあまりのメイ宰相ぶりに呆れたのか、最近立て続けに過去の首相を持ち上げるような発言を読みました。一人は竹下登まで、もう一人は中曽根康弘まででしたが、どちらも「その頃までの首相は立派だった」的な発言をしているのです。中曽根を持ち上げていたのは梅原猛ですが、彼の過去の業績や人柄に何となく好感を抱いてきた僕としては、ちょっと納得がいきませんでした。

 竹下や宮沢喜一、安倍晋太郎らが総理大臣の椅子を目指して争っていた頃は、しばしば「最近の政治家は小粒になった」論が幅を利かせていました。キングメーカー中曽根の禅譲を期待する「安竹宮」の小物ぶりはよくマンガなどでも風刺されていたものです。

 その中曽根とて以前は「風見鶏」と揶揄され、「カンナ屑のようにペラペラと燃える」と批判されていました。「三角大福」(もしかして知らない人のために説明します。当時ポスト佐藤栄作を目指して争っていたのが三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫の4人だったので、彼らをまとめて呼んだ言葉です)に比べて、政治家としての格が落ちると散々言われた人物です。それがいくら森喜朗がひどいからと言って、今さら中曽根を持ち上げる必要があるのか、という気がします。そもそも「三角大福」だって、吉田茂はもとより、鳩山一郎、石橋湛山、岸信介、池田勇人らに比べて小物だのなんだの言われていましたしね(さすがに当時は小学生だったので記憶が曖昧ですが)。

 結局、いつの時代も「昔の人は偉かった」論が絶対強いのです。野球だって、未だに史上最高のベストナインを選ぶと1960年代の選手が中心になります。投手は金田か稲尾、捕手野村、一塁王、二塁高木、遊撃吉田、三塁長嶋というラインアップです。なんと古い、と思う若い野球ファンも多いことでしょう。しかし僕は覚えています。1970年頃に同じような議論があった時には、投手は沢村か別所、捕手土井垣、一塁川上、二塁千葉、遊撃白石、三塁藤村という戦前戦中派もありだったのです。当時も今も「最近のプロ野球にはサムライがいなくなった」と言われています。これも「昔の人は偉い」理論です。

 と言うことは、2030年頃にはきっと「今の政治家は小物ばかり」で、橋本龍太郎や小渕恵三は名宰相、梶山静六や亀井静香、野中弘務は実力派政治家、森喜朗ですら田中真紀子や石原慎太郎あたりと並んで個性派政治家とか言われちゃったりするのかも知れません。ま、年寄りはそうやって昔を懐かしみ「あの頃は良かった」という発言を繰り返すものですから、大目に見てやるしかないのですけどね。あ、2030年には69才だから、その年寄りって、僕のことか。

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