幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 9月23日 ● 篠原が金メダルを逃した遠因。

 日本柔道界の期待の星であり、現在世界最強の柔道家である篠原が、確実視されていた金メダルを逃しました。それも実力で負けたというよりも、誤審で負けたのですから、憤懣やるかたないとはこのことです。

 あれだけキレイにひっくり返して背中をつけて投げれば、間違いなく一本です。目の前で見ていた副審はすぐさま一本と判定しました。しかし、主審はなんと「有効」。しかも相手のポイントとしてつけたのです。明かな誤審です。野球でも時々アウトをセーフと言ったり、ホームランを2塁打と言っりするミスジャッジはありますが、ここまでひどいものは記憶にありません。強いて言えば、大相撲でビデオ判定を取り入れるきっかけとなった大鵬-戸田の大誤審くらいでしょうか(あまりに古い話だけに、ほとんどついてこられないだろうな)。

 誤審の原因はいろいろ考えられます。直接的にはもちろん主審の審判技術の拙さにあります。あの時、篠原は相手の技をすかして投げました。投げると同時に自分も飛んだので、多分主審は篠原が投げられたと思ったのでしょう。篠原の倒れ方は確かに投げられたとしたら「有効」が妥当なところです。しかし、あれはあくまでも捨て身の投げ技だったのです。

 これが素人ならわかります。技の攻防は一瞬であり、篠原の投げは高度なテクニックでした。しかし、オリンピックの決勝戦の主審を務めるような人間が、どちらが投げ、どちらが投げられたのかもわからないようでは話になりません。いや、本当はわかる人なのでしょうが、あの試合に関しては目が曇っていたのだとしか思えません。

 今大会、散々審判団が日本に厳しいと言われてきました。楢崎の決勝戦だって、あれは一本ではないと思いますし、他にもいくつもそういう場面を見受けました。どうやら初日に男女で金メダルを獲得した日本に対する反感が、判定を厳しくしたらしいのですが、篠原の試合でも、そういう審判団の偏った心情が目を曇らせてしまったということも考えられます。篠原の「弱いから負けた」という言葉も、裏には「はっきりと勝たない限り負けにされても仕方ない」という諦めがあったのかも知れません。

 さらに極論を言えば、篠原が負けた遠因には日本柔道と国際柔道の歴史的対立があります。国際化した柔道は、ことあるごとに日本の伝統とぶつかってきました。一本を重んじるのではなく細かく分けられたポイント柔道、「柔よく剛を制す」の精神を踏みにじる体重別階級制、そして最近ではカラー柔道着。いずれも柔道をレスリング化するような改変(日本からすれば改悪)です。

 日本にしてみれば、伝統を守ろうと必死になって抵抗しているわけですが、他の国からしたら、宗主国であることをかさにきた日本のワガママにしか映らないことでしょう。せっかく合理的にルールを変えようとしているのに、日本だけが伝統という名の元に、旧来の価値観を押しつけ、ゴリ押しをしてくる、と思われても仕方ありません。

 日頃からこうした日本の態度に反感を抱いているからこそ、いざという時にそれが露骨に表れてしまうのでしょう。「審判がアンチ日本だ」と騒ぐ前に、もっと日本柔道界は外交というものを学んだ方がいいのではと思います。少なくとも、今回の誤審は覆らないだろうけど、それを誤審だときちんと認めさせなければなりません。その上で、日本に対する感情を良くさせるような方策を考えるべきでしょう。そりゃ篠原は可哀想だけど、第二の篠原を生まないためにもね。


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