幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 8月26日 ● アンディ・フグとセナ。

 K−1の人気格闘家アンディ・フグの急死には驚きました。数十万人に一人と言われるような病魔に倒れた彼の無念は察するに余りありますが、K−1を目玉コンテンツとしているフジテレビにとってもまた、これは大きな痛手です。

 K−1がこの数年でここまで発展するには、フグを始めアーネスト・ホースト、ピーター・アーツら格闘家たちのキャラクターが大きく寄与しています。格闘ゲームを現実の世界に生み出したようなK−1では、なによりも個性的な格闘家と、彼らが繰り出す派手な必殺技が不可欠。小柄なアンディ・フグが、かかと落としというわかりやすくて見映えのする技を駆使して、自分より大きな相手を倒すシーンは、まさにK−1のハイライトでした。

 急遽追悼番組を組んで大騒ぎをしているフジテレビにしてみれば、この最も人気のある格闘家を失った痛手をどうリカバリーするかが今後のポイントです。かつて同じようにフジテレビが仕掛けてブームを作ったF1は、アイルトン・セナというトップスターの事故死によって、急速に求心力を失いました。K−1はF1でのノウハウを生かして、ここまでフジテレビが育ててきたコンテンツだけに、同じ轍を踏みたくないという思いもまたよくわかります。

 F1との違いと言えば、当時セナはまさに絶頂期でしたが、フグは年齢的にもそろそろトップクラスの座を降りる時期だったことです。新旧交代劇の一方の主役ではありますが、急死というドラマチックなカタチでの降板は、それもまたひとつの物語となり得ます。恐らくフジテレビとしては、フグをひたすら神格化して、さらにK−1のために生かし続ける手法をとってくることでしょう。

 それにしてもフグは得難いキャラクターでした。あの人を惹きつける陽性なカリスマ性は、プロ野球の長嶋や大相撲の若乃花(三代目)、ジャンプの原田、テニスのアガシらに通じるものがあります。実績的にはフグよりアーツ、長嶋より王、若乃花より貴乃花、原田より船木、アガシよりサンプラスかも知れません。しかし、スターというのは作って作れるものではない、ということを彼らは教えてくれます。フグの冥福を祈ります。

とりあえず、読むたびに(1日1回)


を押してください。 日記猿人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記猿人に登録してみる

前日翌日最新今月