Mっちゃんと2人でランチしていた時のこと。「クリタさん、平日昼間3000円均一のラブホテルを見つけたんだよ」と、いきなり教えてくれました。いや、そう教えられても、Mっちゃんと違って僕の場合は平日の昼間にラブホに行くのは、なかなか困難を伴うのですが。でもMっちゃんは嬉しそうに場所を説明してくれます。
「ほら、錦通を千種の方に向かって行って、中央線の橋を越えたところにホテルあるじゃん。あそこが全室3000円均一なんだよ」。はー、それは安いですね、確かに。「均一っていうのが良いんだよね。女の子に見栄張って高い部屋を選ばなくても済むじゃん」。そうなんですか。僕はそんな見栄を張らねばならないような女性とは、あんまりラブホに行ったことがないもんですから。
「でもね、そのホテルは割引券がないと3000円にならないんだよ。それを出すのが恥ずかしくてね。そこはフロント方式だから、どうしても女の子に見られちゃうんだよなぁ」。いいんじゃないでしょうか、見られても。「ダメだよ。ホテルの割引券を使ってるなんてセコイ奴と思われちゃうだろ。シューター式のところだと、札の間に挟んで送ってしまえばいいけど、フロント式はそこが難点なんだよなぁ」。なるほど、そういうものかも知れませんね。タメになります。
「ほら、これがその割引券」。おいおい、そんなものを無造作に財布に入れておいて大丈夫なんですか?奥さんに見つかったりしませんか。「ほら、場所はこの地図に書いてあるよ」。うーん、さっきから気になっていたんだけど、そのホテルって、やっぱりあそこだ。
「あれ、知ってるの?クリタさん、実は使ってんじゃないのぉ」。いや、そのホテルってさ、みんな良く仕事で使っているカメラマンのKさんのスタジオのすぐ側だよ。「え?そうなの?」。そうそう、あそこのスタジオに行く時にさ、いつも前を通るからね、ここのホテルを使っている間抜けがいたら、すぐにバレるね、っていつも話しているんだよ。みんな知ってるよ。
「うそぉ、俺、もう何回も行っちゃったよ」。別にいいけどね、Mっちゃんのあの派手なグリーンのアウディじゃ、今から入りますよぉ、って宣伝しているようなもんだわなぁ。「うわぁ、どうしよう。せっかく良いホテル見つけたと思ったのになぁ。でも昼間ならみんな気づかないよね」。もしもし、昼間だからこそ、みんな仕事であそこのスタジオに行くんだよ。昼間仕事していないのは、あなただけ。大丈夫かなぁ、この人。
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