数年前までは、3月10日前後にデパートのホワイトデー売場に行くと、オジサンでごった返していました。日頃あまりデパートで買い物なんてしそうにないスーツ姿の人が、ハンカチやらポーチやら下着やらを数個、時には10数個も抱えてレジで並んでいたものです。

　ところが今年デパートで観察したところ、最盛期の半分以下、印象的には1/3くらいの賑わいでしかありません。いや、もはや「賑わい」という言葉は相応しくなく「寂れている」と言っても良いほど。具体的な数字を掴んでいるわけではないので、あくまでも印象だけですが、ホワイトデーの売場面積も品揃えも以前に比べると随分縮小されていて、デパートもあまり多くを期待していないのではないかと思われます。

　ホワイトデーが菓子屋の陰謀であることは明白たる事実なわけですが、それにしては上手くここまでキャンペーンを拡大してきたヒット事例だと思っていました。それがここにきて急激に萎んでしまったのは、もちろん本家（？）であるバレンタインデー市場の縮小によるものでしょう。

　バレンタインデー自体は相変わらず女性にとってクリスマスの次くらいに重要な季節イベントとなっているようですが、ただその質が少しずつ変化してきています。端的に言えば義理チョコが減ったということです。バブル期から増える一方の義理チョコの負担にＯＬが音を挙げかけていた時に、多くの企業で「義理チョコ禁止令」が出されました。それにタイミング良くバレンタインデーが土日と重なったことで、一気に義理チョコが職場からなくなったようです。

　そもそも日頃のお礼に渡すのが義理チョコなのに、それに対してまた義理でホワイトデーのお返しをするというのは無意味な虚礼以外の何ものでもありません。お互いにプレゼントを贈り合って嬉しい関係なら、こういうイベントも良いきっかけだと思いますから、全面的に否定するつもりはありませんが、まあ無駄になるようなチョコとキャンディの交換なら、すっぱりとやめた方がお互いのためですよね。

　

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