『HORACE SILVER』

(1929.9.7−)
silver

 さ、「バイキング桑名」の探訪レポートです。題して『“バイキング桑名”探訪レポート』。ま、わざわざ題するまでもない、そのまんまのタイトルでありますが、「バイキング桑名」という店の名前自体に何のひねりもないので、これはこれで「ヨシ!」としておきましょう。ちなみにこの、片仮名で「ヨシ!」と言い切って指差呼称するという手法は土木・建築現場における“KY活動”(危険予知活動)の基本でありまして、毎日、朝礼のときに「ヘルメットはよいか?」「ヘルメット、ヨシ!」「安全帯はよいか?」「安全帯、ヨシ!」「貞操帯はよいか?」「貞操帯、あ〜ん♪」とかいうふうに、みんなで唱和するわけですね。最後だけ「ヨシ!」ぢゃなくて「あ〜ん♪」ぢゃん。といった細かい意見もあろうかとは思いますが、最後に「ヨシ!」だけつければ何でもいいのかというと、どうやらそういうものらしく、安全衛生の講習会に出たりすると「ワイヤが切れて積み荷の下敷きになる、ヨシ!」という例だって登場します。本当にいいのか、それで?

 で、『“バイキング桑名”探訪レポート』でありますが、実際に行ってみるまで、この店に関する予備知識というのはまったくありませんでした。いや、「どうやら桑名にあるらしい」ということと、「どうやらバイキングの店らしい」ということは店の名前からも薄々とは察しがついていたんですが、それ以外のことはまったくわかりません。一口に「バイキングの店」と言ってもピンからキリまで、ピンキーとキラーズからぴんから兄弟まで様々な種類がございまして、それこそ帝国ホテルの「インペリアル・バイキング」から「安曇野スイス村のバイキング」まで、一口に「バイキング」という名称で括るのも憚られるような多種多様のレベルが存在するわけでございます。安曇野スイス村のバイキングだと、鶏の唐揚げに揚げギョーザに焼きソバに日本蕎麦にアメリカンドッグに、デザートとして「ちびっこゼリー」といったことろですか。ま、昼メシとしてはこんな程度でいいのかも知れませんが、大人のディナーともなると、もう少しメニューに工夫を凝らして欲しいところですよね。少なくとも「ちびっこゼリー」を「プッチンプリン」に変えるとか。

 で、期待と不安の感情が入り乱れる中、店の前までやってきて判明したことは、「どうやら寿司に自信があるらしい」ということと、「どうやらカルビ祭りらしい」ということなんですけどね。というのも、店の前に「寿司に自信あり!」というノボリと「カルビ祭り」というノボリがたくさん立っていたからなんですが、 この2つのノボリから僕たちが「どうやら寿司に自信があるらしい」ということと、「どうやらカルビ祭りらしい」と判断し、そして「どうやらここは寿司と焼肉のバイキングの店らしい」という結論を下したのはまったくもって正解でありまして、入口のところに掲げられた『当店のシステムについて』という貼り紙には「当店は寿司と焼肉のバイキングの店でございます。」といった趣旨が書かれていたのでありました。寿司と焼肉。いいぢゃん。で、値段のほうはというと詳しくは覚えていないんですが、確かディナータイムで大人が1人1850円か1880円ではなかったかと。ちなみに90分という時間制限が設けられているんですが、普段メシを食うのに要する時間なんて10分そこそこなので、90分もあれば余裕ですよね。もう、9回分ぐらいメシを食えるぅ?といった感じなんですが、ただ「ヨーデル・焼肉食べ放題」と同じく、割り箸は割り放題でも「ビールは別料金〜♪」というシステムになっているようです。とにもかくにも、さあ、食うぞぉ。

 「寿司と焼肉のバイキング」だから、寿司と焼肉しかないのか?と思ったら、それ以外のものもちゃんと用意されておりました。茄子の味噌炒めもあったし、揚げギョーザもあったし、焼きソバだってありました。アジのフライもあればトンカツを卵で綴じたものもあって、ランチタイムだったらこれだけで充分ですよね。ちなみにランチタイムは制限時間が60分で、平日だとかなり値段も安くなるようですが、メニューに焼肉と寿司があるかどうかはサダカではありません。で、第一次出撃部隊として、茄子の味噌炒め(1切れ)と、揚げギョーザ(2個)と、トンカツを卵で綴じたもの(1切れ)と、焼きソバ(適量)を確保した次第でありますが、すぐに「そんなものを食ってる場合ぢゃない!」ということに思い至り、第二次出撃部隊は焼肉用の肉を、第三次出撃部隊は寿司を集中的に略奪し、そこでようやく落ち着きを取り戻してテーブルに座り、心静かに戦果品の太郎カルビ(なんだかよくわからぬ)、やわらかカルビ(やわらかいカルビらしい)、豚ロース、つくね等を焼きにかかった次第でありますが、ここでふと時計を見ると入場からすでに30分ほど経過しておりまして、何だか時間がたつのが思ったよりも早いんですよね。90分?余裕ぢゃん。…とか思っていたら、案外そうでもないかも?と不安になりつつ、とりあえず肉が焼けるまで焼きソバを食べていたんですが、そこでふと新たなる不安が沸き上がってまいりました。そう、あの忌まわしき記憶がよみがえってきたのでありますが、喫茶店で焼きソバ定食を食べた30分後にいきなり襲った「下痢出る苦」でありますな。ここで急性の下痢になったりすれば食べ放題バイキングの収支報告は大赤字になっちゃうに違いなく、おまけに飲物は別料金でもデザート類は食べ放題なのをいいことに「フローズン(オレンジ)」というのを食べてしまい、腹部がかなり冷えてきております。だいじゃぶか、さば君?下痢の危機を堪え忍ぶことが出来るのでありましょうか?

 あ、そうそう。この店で用いられている皿には「すたみな太郎」と書いてありまして、どうやら寿司と焼肉食べ放題のチェーン店「すたみな太郎」と同じ系列のようでありまして。そういえばここも寿司と焼肉食べ放題の店ですもんね。で、「すたみな太郎」だから「太郎カルビ」だったわけですね。で、最後に結論を申し上げると、焼肉の肉は食べ放題の店にしては必要十分なレベルを確保しておりますし、寿司にはある程度の自信を持ってもらうのにヤブサカでないし、何よりコーヒー、フルーツ、アイスクリーム、ケーキ、プリン、ゼリー、フローズン…と豊富に用意されたデザートがうれしいし、ただ、フローズンの食べ過ぎは頭痛と下痢の危機をもたらす恐れがあるのがネックでありますが、ホットコーヒーで中和してなんとかやり過ごし、焼きソバは食べてから30分たっても何も起こらずに、結果的には参加者のうち僕を除く約2名が下痢になっただけでこれといった問題もなく、いつか塩通の桑名オフが開催される際には、是非この店で「太郎カルビ」を食おう。と思った次第であります。そんだけ。


 ということで、あ、“ATOK Pocket”を買いました。最初、インストゥールしようとしたら「御使用中のデバイスはサポートされておりません。」とか言われて、思わず半泣きになってしまいましたが、個別に実行ファイルをコピーしたら、何とか使えるようになりました。危ないところでした。もう少しで約6000円をどぶに捨てるところでありましたが、高いだけあって日本語入力は良好でございます。もう、蕁麻疹だって齧歯類だって麒麟児だって、一発変換って感じぃ?ということで、ホレス・汁婆なんですが、この人に「伝説」と呼べるようなネタがありましたかね?僕が知っている限りでは「パパりんはポルトガルの血をひいている」ということと、「ママりんはインディアンの血をひいている」ということと、「インディアン、嘘つかない」ということと、「正直屋仏壇店のおじさんは正直や」ということだけなんですが、いや、本当に正直屋仏壇店のおじさんが正直なのかどうか、サダカではないんですけどね。本人が自分でそう言ってるだけの話でありまして、世の中で「自称ナニナニ」というものほど信憑性に欠けるものはないですもんね。で、「パパりんはポルトガル系」と言われると、なるほど思い当たる節がございまして、確かにシルバーはちょっぴりポルトガルっぽい彫りの深い顔をしてますよね。こういうのを何と言うんでしたっけ?「カラダは正直だねっ♪」でしたっけ?いや違いますね。「血は争えないねっ♪」とか、そういうふうに言うんでしたよね。

 で、ここで例の本からシルバーのプロフィールをちょっと紹介してみると、54年に結成したクインテットは翌年ジャズ・メッセンジャーズと名を変え活動を開始。しかし56年にはブレイキーを残してメンバーを引き上げ、新たに自己のクインテットを旗揚げする。…となっております。俗に言う「ジャズ・メッセンジャーズ・のれん分け事件」でありますな。これはどういう事件なのかと言うと、ジャズ・メッセンジャーズがのれん分けしたという、そういう事件なんですが、よくある話なんですよねぇ、のれん分け。のれんというのは「のれん分け」がしやすいように途中に切れ目が入れてあるわけでありますが、しかしこの事件は正確に言うと「のれん分け」ではありませんで、のれん、すなわち屋号であるところの「ジャズ・メッセンジャーズ」という名前はブレイキーが受け継いで、で、ブレイキーを除くメンバー全員をシルバーが引き連れて独立を企てたという、そういう話でありまして、この事件以来、ブレイキーとシルバーの仲は倦怠期の中年夫妻のように冷え切ってしまったと言われております。ま、早い話が「お盛んじゃなくなった」というわけなんですが、ただブレイキーが「グループのベイビー」と呼んで可愛がっていたハンク・モブレイのリーダー作には2人が仲良く顔を揃えていたりして、巷間言われるような「喧嘩別れ」ではなかったようですが、股間は股の間でありますなぁ。

 で、例の本(『伝説で綴るジャズ・ジャイアンツ』とか言うやつ)には、これといった話がぜんぜん書いてないんですが、『完全ブルーノート・ブック』を順番にめくっていくと、1969年代の後半から70年代の初頭にかけて、「“人心連合3部作”を発表」という流れを読みとることが出来ますね。これは何かというと、「人類は皆兄弟」という思想が音楽の前面に押し出されてきたということなんですが、『ザット・ヒーリン・フィーリン』というアルバムのジャケでは、頭にターバンを巻いておりますな。そのうち「印度ブラ」風にブラを装着して登場するやもしれませんが、ぶらぶらするのは股の間でありますなぁ。いや、ぶらぶらするほどのモノではないんですが。。。で、さしもの僕も“人心連合モノ”ともなると、さすがに聴く気もソソられず、で、一般的にはブルー・ミッチェッルとジュニア・クックが参加したクインテットの評価が高いようですが、コックがあるのは股の間でありますなぁ。…って、しつこいですね、僕も。で、例の本(『伝説で綴るジャズ・ジャイアンツ』とか言うやつ)には「ホレス・シルヴァーを知る5枚のアルバム」として

  ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ(BLUE NOTE)
  ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ(BLUE NOTE)
  ソング・フォー・マイ・ファーザー(BLUE NOTE)
  ドゥー・イン・ザ・シング(BLUE NOTE)
  ペンシル・パッキン・パパ(CBS)

 というアルバムが紹介されておりますが、何なんだよ?ペンシル・パッキン・パパ。…という気がしますよね。金髪で太さが鉛筆並みのパパぁ?…って、ナニが鉛筆並みなでしょうね?で、おそらくこれはかなり新しめの録音なのではないかと思うんですが、個人的にはコイツを無視して、『ケイプ・バーディアン・ブルース』というBN盤を推奨しておきたいところですね。ウディ・ショウ、ジョー・ヘンといった新主流派なメンツに、曲によってはJ.J.ジョンソンが加わって3管編成になり、モーダルなムードとシルバーらしい“ラテンのノリ”が絶妙にブレンドして、その有無を言わせぬサウンドには思わず「うーむ。。。」と唸ってしまいますね。で、あとの4枚はまあ、無難なところでしょう。無難すぎるような気がしないでもないんですが、世の中は無難なのがイチバン。…と、次男である僕は思うわけでありますが、ギンナンというのはウンコ臭いものでありますなぁ。。。

 ということで、今日はおしまい。

 
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