FEELIN’ THE SPIRIT (BLUE NOTE)

GRANT GREEN (1962/12/21)

FEELIN' THE SPIRIT


【パーソネル】

GRANT GREEN (g) HERBIE HANCOCK (p)
BUTCH WARREN (b) BILLY HIGGINS (ds) GARVIN MASSEAUX (tambourine)
【収録曲】

(01-03) JUST CLOSER WALK WITH THEE / JOSHUA FIT DE BATTLE OB JERICHO / NOBODY KNOWS THE TROUBLE I'VE SEEN
(04-06) GO DOWN MOSES / SOMETIMES I FEEL LIKE A MOTHERLESS CHILD / DEEP RIVER
【解説】 ( 2012年01月29日更新 / 連載 1,017回 )

 僕は今、アンディアーモ・パルテンツァ・ホテルにいます。 おお、凄ぇ♪ …と思われるかも知れませんが、どこにあるのかというと、岐阜羽島駅の近くだったりするので、実はぜんぜん大したことはありません。 この地における僕の定宿だった “ターミナルホテル・フォロ・ロマーノ” が、いつの間にやらこんな名前に変わっちゃったんですな。 失敗をフォロー。 ローマの親戚、もしくは、ロマーのパン屋。 そんな感じでようやく名前を覚えたところだったのに、あんまりじゃん! しかも今度のは、なまじっかな決意では到底覚えられそうにもない、あまりにも無駄に凝り過ぎたネーミングだったりしますよね。 何だかこう、アンティークなパンツっぽいホテル。 その覚え方で何とか近いところまではいきそうなんですが、100点は絶対に無理。 で、今回、どうしてこんなところに泊まっているのかというと、雪が積もりそうだったので先手を打ったというか、先手を打ったんだけど、誰も後手を打ってくれなくて、仕方なく一人で五目並べをして遊んでいるというか。 友達のいない僕は子供の頃からけっこう得意だったんですよね、一人五目並べ。 勝率100%でいつも僕が勝っていたので、我ながらたいしたものだと思うんですが、この週末、岐阜県の平野部でも20センチくらい雪が積もりそうだと。 三重県の北部でも10センチはいきそうだと。 特にこの週末、僕が仕事で行くことになっていた垂井町というところは、とってもタルい町であると同時に、そこそこ雪が積もることでも知られているんですよね。 お隣の関ヶ原ほどではないにしろ、ま、そこそこ。 以前、大雪が降った日に大垣から桑名までクルマで帰ろうとして、午後から半休を取って3時頃に出発したにも関わらず、家に着いたのが次の日の夜明け過ぎだったことがあります。 ガソリンが残り少なくてガス欠になっちゃいそうで、必要最低限しかエアコンが使えなくて寒かったし、尿意は迫ってくるしで、大変でした。 あの時の教訓を元に、大雪になりそうな時は身動きが取れなくなる前にガソリンを満タンにしたり、クルマに毛布を積んでおいたり、尿瓶 (しびん) 代わりのペットボトルを用意したり、いろいろと対策を講じるようにしております。 ペットボトルへの放尿プレイは未経験の人にはちょっと敷居が高いかも知れませんが、僕はあの時、必要に迫られて一線を越えちゃったので、もう大丈夫。 ま、本物に比べると投入口が狭かったりして、使い勝手は今ひとつなので、出来ることならちゃんとした尿瓶を常備したいところなんですが、僕の場合、会社のクルマに聴診器を積んでいるのをタケムラ君に見られちゃってますからなぁ。 ただでさえ 「何のプレイっすかぁ?」 と怪しまれているのに、その上、尿瓶まで積んでいるのを目撃されたりしたら・・・。

 そもそも、どうして会社のクルマに聴診器なんかが積んであるのかと言うと、それしか欲しいものが見当たらなかったから。 そんな理由があったりするんですが、ある日、ネット通販で何かを注文したんですよね。 それがいったい何だったのか、今となってはまったく記憶にないんですが、何だか安い工具の類のようなものではなかったかと。 とにかく、とっても安いものなので、それだけ注文するのは何だか送料がもったいないような気がして、じゃ、ついでに何かいらないものでも追加しようかと。 いらないものなら買わないほうが得だというのは頭の中では分かっているんですが、理屈じゃないんですよね、アレ。 特に、○○円以上お買い上げの場合は送料無料という場合、無理してでも○○円を越えるまでお買い物をしてしまって、まさに店側の思う壺。 尿瓶と痰壷のセットとか、普通に考えればまったく必要のないものまで、ついついカートに入れちゃうんですよねー。 で、その時も何かついでに買う物がないかとショップ内のページをあれこれと見ていて、基本、ソソられるものが何もなかったりしたんですが、その中で、まだ何とか使えそうな気がしないでもなかったのが “サウンドなんとか” という名前の工具。 エンジンの音を聞いたり、配管の水漏れをチェックしたり。そういう用途に用いるものなんだそうです。 ちょうどその数日前、ポンプが起動する時に、 「モォ〜〜」 という牛の鳴き声みたいな音がする。 そんな話で現場に呼ばれた事があるんですよね。 で、行ってみたら本当に牛の鳴き声みたいな音だったので、ちょっとワロタんですが、原因は不明。 で、お客さんが持っていた聴音棒を借りて音の発生源を探ったんですが、それも不明。 塩サバ物産のサバ君はまったく何の役にも立たなくて、ヤク (←ウシ科の哺乳動物) にでもなりたい気分でありました。 ヤクなら同じウシ科の哺乳動物なので、牛の鳴き声に関しては何らかの役に立てたと思うんですが、ま、ヤクになるのは無理だとしても、あの時 “サウンドなんとか” という名前の工具さえあれば・・・。


 とまあ、そんな思いで注文してみたんですが、届いてみれば何のことはない、そいつは純然たる 「ただの聴診器」 だったんですが、こんなもん、お医者さんごっこ以外に使い道はあるんかー? タケムラあたりに見られると、間違いなく 「何とかプレイ」 とか言われて、うるさい事になるに違いありません。 見つからないように後でこっそり鞄の中にでも隠しておこうと思いつつ、とりあえず後部座席の上に置いて会社に行ったら、速攻でタケムラ君に見られて、うるさい事になっちゃったんですが、まさか手元に届いた半日後にバレちゃうとは、思いもよりませんでしたなぁ。。。 結局、この聴診器は恥ずかしくて人前で使えないので、未だに “牛の声問題” は未解決のままだったりするんですが、とまあそんなことで、大雪に備えて尿瓶を用意するワケにもいかなくなって、最近はもう、雪の日は家に帰るのを諦めることにしました。 で、今回も先手を打って、早めに宿を押さえることにしたんですが、結果、ほとんど雪は積もらなくて、無駄でした。 でもまあ、家と会社を往復するだけの毎日にはちょっと飽きたので、たまには宿に泊まってみるというのもプチ旅行気分が味わえて、悪くないっすよね。 で、このホテルは名前以外に何が変わったのかというと、前に泊まったのが1年くらい前なので、あまり細かいところまでは覚えていないんですが、部屋に備え付けのタオルの質がかなり向上したような? 家に持ち帰ってもウエスとか、スータローの肛門拭きとかにしか使えないようなペナペナのやつではなく、家に持ち帰るのがはばかられるレベル。 ちなみにスータローというのは昔、家で飼っていたペルシャ系の雑種猫なんですが、無駄に長毛なのでよく肛門の回りにウンコを付着させたまま走り回っていたんですよね。今となってはいい思い出なんですが、で、後、フロントでチェックイン時に夕刊だとか、入浴剤だとか、ひげ剃りだとか、綿棒だとかを自由に持ち逃げ出来るシステムになっておりました。ただでくれるというのに無視するのは何だか悪い気がするので、とりあえず夕刊と、入浴剤と、ひげ剃りを貰ったんですが、よく考えたらひげ剃りは不要でありましたな。 こういうところでタダでくれる奴って切れ味が悪くて、繊細な僕のお肌には合わないんですよね。 たいてい流血の事態を招くことになるので、いつも乾電池式のシェーバーを持参しているんですが、使わずにそのまま部屋に置いておくと、 「なら、最初から取るなよ!」 と思われそうだし、家に持って帰っても絶対に使うことはなくてゴミになるだけだし、果たしてどうしたものでしょなぁ・・・。

 とか思っていたんですが、大丈夫でした。 家から持ってきたシェーバーは完全に電池が切れていて、うんともすんとも動かず。 普通、ほんの少しはエネルギーが残っていて、スイッチを入れた瞬間 「すん」 と寸動して、すぐに止まるものなんですが、それすらありませんでした。駐車場のクルマに戻れば予備の電池があるはずなんですが、そこまでするのも面倒だし、フロントでひげ剃りを貰っておいて正解でしたなぁ。 幸い部屋にはシェービングフォームも備えられておりましたので、これでもう怖いもの無し。 相手さえいれば、そのまま剃毛プレイに移行出来そうな充実ぶりでありますな。 いや、別に相手がいなくても一人剃毛プレイをすればいいだけの話なんですが、とりあえず手始めにヒゲだけを剃ってみることにしました。 めっちゃ安っぽい癖に、妙に切れ味の鋭いひげ剃りでありまして、ふと気が付いたら流血の事態に。 家に持ち帰るのがはばかられるタオルが薄く血で染まったりもしたんですが、いやあ、勢いに任せて剃毛に走らなくて、本当によかったっす。 とまあ、一部のサービスに若干の問題があったんですが、夜はぐっすり眠れたし、で、サービスの朝食を食べて、部屋に戻って出発までの時間、スマホでこの原稿を書いていたら、ちょっぴり揺れました。 1月25日に東海地震が発生するという予知夢を見た。 そんなネタがちょっと話題になったことがありましたよね。何でも東日本大震災の前にも同じような夢を見たんだとか。それだけなら論じるに足りない豚汁。 そのように打ち捨てる事も出来るんですが、同じ日に東海地震が来る夢を見たという人が他にも何人か出没しました。岐阜の大垣でめっちゃ揺れたとか、三重県でも半端なく揺れたとか、あまりにも話題が地元近辺過ぎて、笑えません。 場所が違うとは言え、数日前には福島で震度5弱の前震 (?) が発生しているし、エコーだか何だかを調べている北大の教授だか誰だかが去年の12月か今年の1月に大地震が来ると言ってたし、太陽のフレアか何かで磁気嵐が発生するみたいだし、これはもしかして、もしかしたりするかも・・・?


 とか思っていたんですが、大丈夫でした。 特に何も起こらないまま、1月25日は無事に過ぎ去りました。 ほんの少しでもそんなデマを信じてしまった自分がちょっぴり可愛く思えたりもしたんですが、そんなふうに油断させておいて、3日後の土曜日の朝に来ちゃったのか? そんなことを感じさせる揺れ具合だったんですが、富士五湖の辺りで震度5弱の揺れだったんですなー。 関東地方と東海地方で数日間にわたって大規模な停電が発生するという予知夢とはかけ離れた規模の地震でありましたが、完全に大ハズレだったとは言い切れないような気がしないでもなくて、とまあそんなことで今日は午前中、会社でちょっぴり書類を作成するなどして過ごして、今現在は 東洋健康ランド でのんびりとリラックス中。 昼過ぎに着いてとりあえず風呂に入って、東洋大飯店で鶏の唐揚げセットを食って、しばらく仮眠室でゴロゴロしながらこの原稿を書いていたんですが、飽きてきたのでちょっと大広間を覗いてみることにしました。 ちょうど昼の部のお芝居の最中だったんですが、いやあ、よかったっす。後ろのほうの席しか空いてなくて今ひとつよく見えなかったし、音響設備に難があって台詞もちょっと聞きづらかったんですが、とても身近に観劇することが出来て、ちょっと感激しました。 任侠物の人情系お芝居で、これぞ大衆演劇の王道という感じ。 王道よりも尿道のほうが好きな僕でも十分に楽しめました。 芝居と舞踊の合間に座長の挨拶があったんですが、1〜2ヶ月のスパンで全国を渡り歩いているみたいですな。なかなか大変な商売だと思います。 ま、渡り歩けなくなると手形が不渡りになって廃業を余儀なくなれるので、渡り歩けるうちがワタリガニだと思うんですが、劇団員が客席のほうまで歩いてきて、煎餅やらお茶やら蜂蜜やらを売り歩いていたのがちょっとワロエました。 あんなものでも貴重な現金収入なんでしょうなぁ。 煎餅とお茶のセットが千円、お茶の2個セットが千円、蜂蜜も千円。 煎餅の単品が500円なら買ってもいいかなという気がしたんですが、お茶はいらないので購入は見合わせました。 そういえば昔、 『探偵!ナイトスクープ』 で 「大衆演劇の役者になった息子を見たい」 というのをやっていたんですが、当時中三だったあの少年は今頃、立派に大衆演劇の世界で大成しているんですかね? ただの体臭のきついオッサンとかに成長してなきゃいいんですけどー。


 とまあそんなこんなで東洋の健康をランドして、で、家に帰り着いた次第でありますが、で、今回、話の流れで聴診器の存在を思い出したので、とりあえず部屋まで持ってきてみました。 これ です。 本物を見たことがないので、これがパチモノなのかどうか判断のしようがないんですが、購入履歴を遡ってみたところ、どうやらこれが サウンドスコープ MO100 という商品であることが判明しました。 やましいところなど、みじんも感じられない立派な仕事道具でありますな、こりゃ。 で、早速、試しに自分の心臓の鼓動を聞いてみることにしたんですが、んーと、何も聞こえないような…? もしかして僕の心臓、僕の知らない間に活動を休止しちゃってるとか? ハードディスクのカリカリ音は聞こえるので、不良品というわけではないと思うんですが、もっと心臓がドキドキするようなコーフン状態に陥れば、ちゃんと自分の鼓動が聞こえるようになるんっすかね? もっとコーフンするような状況というと、例えば、蝶の口吻を観察するとか。 通常はクルクルと巻かれている口吻が、蜜を吸うためにビローンと伸びたりして、ハアハア♪ 考えただけでも…、ちっとも興奮しませんなー。 もし、読者から 「サバさんと一緒に聴診器ぷれいをしてみたいですぅ♪」 みたいなメールが届いたりすれば、かなりハアハア出来ると思うんですけどねー。 最後のところに 「48歳・男」 と書かれているのを見て、心臓が止まりそうになったりするかも知れませんけど。 とりあえず、 このスピリットというメーカーの ハート型のやつ なんか、可愛くてギャル受けしそうだし、あ、こっちの アニマルタイプ もいいですなぁ。 小さなお子さまの緊張をかわいい動物達が和らげます。すぐに仲良くなれる聴診器! おおっ♪ これで幼女のハートをがっちりキャッチ☆ あと、ノーマルタイプの場合は このお店 でネームを入れて貰うというのもいいかも知れませんな。 で、何気なく “この商品を購入された方のレビュー” を見ていたら こんなの が。 TH.さん 50代/男性 自分用にプレゼント。 おおっ♪ 最後の 「しかし・・・。」 がちょっと気になるところでありますが、超新鮮な気分になれる聴診器。 貴殿も試してみませんかー?

 ということで、今日はグラント・グリーンです。 いつもならフォントを紫色にするところを、グリーンなので緑にしてみたんですが、昨日、東健ランドでウダウダと過ごしていたツケが祟って、僕にはあまり残された時間がありません。 ということで早速、本題に入りたいと思うんですが、聴診器メーカーのスピリットに敬意を表して 『フィーリン・ザ・スピリット』 。 これ、いってみたいと思います。 ここでいうスピリットというのは、ニグロ・スピリチュアル。 日本語でいうところの黒人霊歌のことだと思うんですが、この単語を見るとどうしても、白い着物を着て頭に三角の布を付けた黒人が歌を歌っている姿が頭の中に浮かんで来ちゃいます。 音楽的にはアーシーで泥臭くて、都会派でアーバンな僕としてはあまりタイプではなかったりするんですが、しかもそれをギターでやっちゃうとは、聴く前からあまり真剣に聴く気にはなれませんな。 そんな気分の人もいるかも知れませんが、このグラント緑の 『感じる・ザ・黒人霊歌』 は、大丈夫。 ポイントはサイドマンとして参加しているハービー・ハンコックにあるんですが、ハービーと言えば、届きましたぜ、ディアゴスティーニ♪ ある日、何気なく新聞を見てたらマイルス・デイビスの写真が大きく載っていて、何かと思ったら、隔週刊 『ブルーノート・ジャズ・ベストコレクション』 の広告でありました。 創刊号は 490円。 本にCDが付いてこのお値段ならお得じゃん♪ …と思って、あまり深く考えずに定期購読の申し込みをしちゃったんですが、2号からは 1,190円もするんですな。でもまあ2週間に1回、このネタだけで食いつなげるほど内容が充実しているのであれば、十分、投資するだけの価値はありますよね。 で、先日、創刊号とマイルス編と第2号のハービー編とが同時に届きました。 これ です。 思ったよりもデカくて分厚くて、めっちゃ邪魔くさい感じ。 その分、中身のほうには期待が持てそうなんですが、開けてみると こんな感じ 。 厚みの大半がCDの収納に無駄遣いされていて、肝心の本のほうはペラペラでありました。 おまけのCDなんて紙の封筒にでも入れておけばいいのにぃ。 こんな邪魔くさい奴が全70巻コンプリートしちゃった時の状況を頭に描いて、即座に定期購読の解約を申請しました。 傷が深くなる前に手を切ることが出来て、よかったと思います。 もう少しで致命傷になるところでしたが、解約の手続きをした直後、本の部分だけ取り外せる構造になっていることに気付いたんですけどね。 こんな感じ です。 これならそんなに邪魔にはなりませんな。無駄なゴミが出ますけど。 CDは5〜7曲入り、本は10数ページ。 これで 490円なら納得がいくんですが、 1,190円となると、うーん…。 さすがにデァゴスちんもちょぴり良心の呵責を覚えたのか、ハービー編のほうには 「ジャズ・キーワード事典」 という11ページの別冊付録が付いてましたけどね。僕が曲の解説でよく使っている単語も分かりやすく解説されているので、これからちょっとジャズを聴いてみたいと思うのぉ♪ そういうギャルにはそれなりに有効的かも知れません。 とまあそんなことで、ハービー参加のお陰でそれなりには都会的になった黒人霊歌集に耳を傾けてみることにしましょう。

 まず最初は 「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・シー」 という曲なんですが、これは駄目っす。 あまりにもアーシー過ぎて、さすがのハービーでもフォローしきれないレベル。 ま、ハービーにも 「ウォーターメロン・マン」 みたいなギャル受けしないのがあったりしますからね。 ちなみに “アーシー” というのはオマケの用語集 (監修:行方均) によると、ブルース、ゴスペル、ソウルなど黒人音楽の土臭い素朴なサウンドの形容。 そういうことになります。 土臭いのは駄目っすよね。 乳臭いのは大好きなんですけど。 タンバリンの加わったベタなリズムをバックに、単純なフレーズをただひたすら繰り返すというスタイルは、グリーンらしさバリバリ全開で、夜露死苦! そのように評価することも出来るし、ハービーのファンキーなピアノ・ソロもご機嫌だったりするんですが、やっぱりちょっと、アレです。 ということで、次。  「ジョシュア・フィット・デ・バトル・オブ・ジェリコ」 。 分かりやすく日本語で言うと、「ジェリコの戦い」。 誰もがどこかで耳にしたことがあるに違いない、ニグロ・スピリチュアルの代表的なナンバーです。 どこんとなく哀調を帯びたメロディは、愛鳥家の間でも人気が高かったりするんですが、ハービーの弾くピアノのイントロが、めっちゃいい感じっすよね。 その後、グリーンが出てきてテーマを弾き始めると、やっぱりちょっとダサい感じになっちゃうんですが、朴訥としたフィーリングは冒頓単于(ぼくとつぜんう) を彷彿させるものがあって、悪くありません。 アドリブ・パートは最初のうち、わりと淡々とした感じなんですが、弾いているうちにだんだんと興が乗ってきて、最終的にはトランス状態にまで上り詰めたりするところが、とってもスピリチュアル。 もう、トランス脂肪酸、摂取しまくりぃ♪ …みたいな。 で、その後を引き継ぐハービーのソロが、これまた絶品。 決して羽目を外すことのないハメネイ師。 そういうタイプだったりするんですが、適度にファンキーで、いい感じにクールで、内に秘めた熱さは内山田洋とクールファイブ。 そんなプレイを展開してくれております。 で、その後、再びギターの人が登場して、熱い心の内をさらけ出して、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ディアゴスティーニのBN本のグラント・グリーン編のオマケCDに収録されることは確実な、屈指の名演であると言っていいでしょう。 BN本って、何だかビニ本みたいだったりもするんですけど。

 で、次。  「ノーバディ・ノウズ・ザ・トラブル・アイブ・シーン」 。 これまた、わりとお馴染みのナンバーだったりするんですが、スロー・テンポで土臭さが顕著な作風だったりするので、個人的にはちょっと辛いところが無きにしもアラジンの完全無欠のロックンローラー。 ま、必要十分に哀愁は感じられるので、変に毛嫌いさえしなければ、それなりに悪くはなかったりするんですが、ということで、次。  「ゴー・ダウン・モーゼス」 。 日本名、「行け、モーゼ」 。 命令口調のタイトルというのはちょっと珍しいような気がするんですが、 オリジナル訳詞付き名曲カラオケ って、こんなの、スナックとかで歌うヤツって、いるんすかね? 行け (行け) モーゼ (モーゼ) ♪ …って、ここのところで他の客を交えたコール&レスポンスで盛り上がったりするんでしょうか? で、これ、曲名を見てもどういうメロディだったのか思い出せずにいたんですが、 “netscapeの方は (音符マーク) クリックください” のお陰で、無事に思い出すことが出来ました。 ああ、これっすかぁ。 グリーンの一味はこのカラオケよりも速いテンポでスインギーに料理していて、なかなか調子がいいっす。 反復フレーズの超絶リピートで、リビドーを昇華させる例のテクも存分に駆使されているし、続くハービーのソロもいい感じに熱いし、で、その後、再びギターの人が登場して、熱い心の内をさらけ出して、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 終盤のギターとピアノの絡みによる盛り上がり具合は 「ジェリコ」 をも超越していて、やっぱりこっちにしておこうか? …と、ディアゴスちんとしても、悩みどころかも知れません。

 ということで、次。  「サムタイムズ・アイ・フィール・ライク・ア・マザーレス・チャイルド」 。 日本名、 「時には母のない子のように」 。 「母のない子」 を意味する “Motherless Child” などという英単語が存在することに、ちょっぴり感動を覚えたりしましたが、カルメン・マキの歌とは直接関係ありません。日本人としては正直、作詞:寺山修司/作曲:田中未知のほうが、すんなりと心に染みてきたりするんですが、黒人の幽霊が歌っているほうも、それなりにしんみりしているので、ぜんぜん大丈夫。 ミディアム・スローくらいのテンポで、演奏時間が 9分01秒と長いところが、ちょっとどうか? …という気もするんですが、わりと飽きっぽいタイプの昭夫くんも最後まで大丈夫だったと言っていたので、たぶん、大丈夫だと思います。 とまあそんなことで、ラスト。 これまた黒人霊歌としては超定番の 「ディープ・リバー」 。 日本名、 「深い河」 。 僕はこのタイトルを見ると、深い河 → 深川 → 通り魔殺人事件と連想が進んで、頭の中に川俣軍司のパンツ姿が浮かんで来てしまうので、あまり好きではなかったりするんですが、曲そのものも名前の通り、かなりディープだったりするしぃ。 で、これはCDオマケ曲だったりするので、真摯に解説しなければならない義務はどこにもなかったりして、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 グラント・グリーンという深い沼に足を踏み入れるには最適の1枚であると言えるでしょう。 黒人霊歌という素材は好き嫌いの分かれるところではないかと思いますが、お馴染みの曲がほとんどなので、その意味では初心者でも親しみが持てるものと思われます。 泥臭いグリーンと洒脱なハービーとが、絶妙なところでバランスを取っていて、ソウル嫌いな人でも十分に楽しめるので、オススメ♪


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