SPIDER MAN (PRESTIGE)

FREDDIE McCOY (1965)

SPIDER MAN


【パーソネル】

FREDDIE McCOY (vib) CHARLIE WILSON (p) 
STEVE DAVIS (b) RUDY LAWLESS (ds)
【収録曲】

(01-03) HAV' MERCY / YESTERDAYS / THE GIRL FROM IPANEMA
(04-06) SPIDER MAN / THAT'S ALL / SPEAK OUT , DEAGAN!
【解説】 ( 2011年10月23日更新 / 連載 1,003回 )

 前回 までのあらすじ) 堂ヶ島から松崎までのバスに乗ったら、運転手から 「今日の夕日は駄目だしぃ。」 と、駄目出しされた。

 ということで、松崎に到着しました。いいですよね、松崎。 なまこ壁の残る古い町並みで知られております。 と言っても、つい最近になってガイドブックを見るまではぜんぜん知らなかったんですが、世俗に関しては疎いですからね、僕。 珍味の類が好きではなく、干し椎茸を除くキノコの類がそんなに嫌いでない僕としては、 「なまこ壁」 よりも 「なめこ壁」 のほうがいいな。 そんな気がしてしまうんですが、でまた、松崎は 『世界の中心で愛を叫ぶ』 のロケ地としても知られております。 一度も見たことはないんですが、世俗に疎い僕でも名前を聞いたことがあるくらいなので、かなり有名なんでしょうな。 “セカチューのロケ地” と言えばそれだけで、世間のみんなから 「へぇ〜。」 と関心して貰えるレベルだと思われます。 ちなみに僕の住んでいる桑名は土曜ワイド劇場 『天才刑事・野呂盆六(6)〜哀しみ館の惨劇!殺しを見られた令嬢に迫る姿なき脅迫者!青のトラウマの恐怖!千羽鶴に隠された美人母子の秘密〜』 のロケ地だったりするんですが、 “ノロボンのロケ地” と言ってみたところで、 「はぁ?」 とか言われて、それでおしまい。 同じ “は行” の感嘆詞なんですが、随分とリアクションが違います。 ま、実際、地元の見慣れた風景が出て来なかったら、始まって5分でテレビの電源を切りたくなっちゃうような出来でしたからね。盆六くん、何故か漁船に乗って赤須賀に入港するという、あまりにも無理のあるアクセス方法で桑名に来てたしー。 どうして近鉄の急行で来んかったんや? そう思わずにはいられませんが、どうして東海バスで来んかったんや? そんなことを言われたりすると癪なので、漁船に乗って松崎港に向かうというのはヤメにして。 ま、それはそれでいいんですが、なまこ壁の残る古い町並みは松崎のバス停からは微妙に遠いんですよね。 雲見方面行きのバスに乗って 「商店街口」 という停留所まで行けば絶妙に近そうなんですが、便数が極めて少なくて、うまく乗り継ぐには綿密なプランニングが必要となります。 こんな感じ 。 乗り換え待ちが 13分で、乗車時間が 3分。 歩いたほうが早いじゃん! そんな気もするんですが、やだ! 意地でも歩かないっ! オトナである僕は固く心に決めたんですが、幸か不幸か堂ヶ島での観光が予定よりも早く片付いて 15時02分発のバスに乗れちゃったので、諦めて歩くことにしました。 とりあえず国道を南下することにしたんですが、何かこう、ごく普通の地方都市といった感じで、風情がありませんなぁ。 松崎しげるの銅像があるわけでもないしー。 “銅像にしたい芸能人No.1” に認定されているというのに、勿体ない話です。 松崎散策プラン、もしかして、ハズしたか? そんな気配は漂い始めたりもしたんですが、那賀川に掛かる橋のあたりまで来ると、

< 松崎散策 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 おお、ちょっといい感じ♪ オッサンがいい感じに釣りをしてたりして、なかなかいい川ですなぁ。 どうやら那賀川という川らしいんですが、なかなかの那賀川だと思います。 春になるとこの川沿いが6キロにも及ぶ桜並木になるそうですが、さぞや壮観でしょうなぁ。 で、川に沿って下流に向かって歩いて行くと、 明治商家・中瀬邸 というのが見えてきます。 いかにも “昔の金持ちの家” といった感じなんですが、明治商家というくらいだから恐らく、明治ドロップとかカルミンとかを売って財を築いたんでしょうなぁ。 遠足の前日にはかなりの売り上げがあったものと思われますが、で、この明治商家の前には時計塔もありました。 (写真・上から2番目) でありますな。 どんな謂れがあるのかと思ったら、こんな謂れ。 大正13年に建設、昭和13年に水没、昭和62年に復元。 復元ではあまり大した価値は無さそうですな。 福源という中華料理屋でもそれくらいの歴史はありそうですからね。 「 13時の文字がうんぬん」 という説明を見て、改めて写真を見直したら、普通に12時までの時計だったんですが、更によく見ると “12” と “1” の間のどうでもいいところに “13” という文字が。 「あり得ない時刻に松崎の風景が前を流れる川面に写し出される」 などと、意味不明の供述を繰り返しておりますが、そんなことよりこの時計塔の下の部分、絶対 “マグマ大使” がモデルやろ!? そう思わずにはいられませんな。 ほら。 あんまり違和感無いしー。

 で、なまこ壁はですね、 (写真・真ん中) です。 ちょうど西日が強く当たる時間帯だったので光と影のコントラストがくっきり。 アナクロな雰囲気を出すためにモノクロにしてみたんですが、なまこ壁の直線的なデザインと、道路に引かれた白線のカーブとのコントラストが絶妙。 で、西日といえば (写真・下から2枚目) の 「なまこ壁夕景」 。 ちょうど山の端に太陽が沈む瞬間を捉えたものなんですが、強烈なゴーストのラインが “なまこ壁” の斜め45度とぴったりフィットしていて、秀逸。 前回登場した “夕日撮影コンサルタント兼バスの運転手” は、 「今の時間、光が強すぎて町を撮るのもちょっと。」 てなことを言っておりましたが、“今の時間”にしか撮れない会心の一枚で、総本家貝新。 そのように自負しております。 あ、ちなみに総本家貝新というのは桑名にある “しぐれ屋” なんですけが、とまあそんなことで、松崎の古い町並み散策は以上です。 時間があれば 伊豆の長八美術館 とかも覗いて見たかったんですが、それはまた次回の課題ということにして、で、次。 アサイミート。 今回、宿を素泊まりにしちゃったので、どこかで晩飯を食わなければならんのですが、このような 過密なスケジュール を組んでしまったので、テイクアウトで軽く済ませてようかと。 で、第一候補は下田の金目コロッケだったんですが、営業時間内に辿り着けそうもないので、代替品として “川のりコロッケ” で我慢しようかと。 ということで、行ってみました。めっちゃ普通の町の肉屋でした。桑名で言うと、京町の柿安レベル。 が、鎌倉ハムくらいしか惣菜が無い京町の柿安とはちがって、アサイ君のところは揚げ物パラダイス状態♪ 基本、ナマの状態で売られているんですが、お昼前後と 15時〜17時半 (←うろ覚え) の 「揚げものタイム」 であれば、中の係のお姉さんが何とかしてくれるので、揚げたてのアツアツをハフハフすることが出来ます。 いろいろと種類があって迷ったんですが、「 “川のりコロッケ” を2つと、 “チーズはんぺん” を1つ下さい。」

 揚げたてのコロッケ (他1品) を手に、漁港を横を通って、松崎海岸 (写真・いちばん下) に移動。 ビーチには植物の残骸系のものが漂着していて、正直、あまり綺麗ではなかったんですが、砂浜と住民生活区域との境目が階段状のコンクリート護岸になっているので、腰を下ろして海を眺めながら コロッケ (他1品) を食うには最適。ということで、食べてみました。 景色はいいし、コロッケはアツアツ、サクサクで、美味ちい♪ ほんのり、川のりの風味も絶妙♪ とっても満足のいくディナーでありましたが、でもまあ、所詮はコロッケですなぁ。 1個食べたら、納得。そんな気分でありました。 むしろ、真っ白なハンペンにチーズを挟んでパン粉を付けて揚げた “チーズはんぺん” のほうが美味しかったような気がしないでもありません。 でもまあ、川のりは松崎の名産らしいので、とりあえず食っておけば旅情も深まるし、ただ、揚げ物連続3個食いは痛風にも悪そうなので、残りの1個はまた後で食べるとして、で、海岸べりを歩いていたら こんなヤツ がいたので、モフらさせて頂きました。 しゃがむと膝の上にまで乗っかってくる人懐っこいヤツでありました。 で、海を後にして、松崎のバス亭に向かって歩いて行く途中で まつざき海浜荘 を発見。 ここ、一度予約を入れたものの、途中で気が変わってキャンセルしちゃったんですよね。 申し訳ない気持ちでいっぱいでありますが、でもまあ見るからに地味っぽいし、新鮮な海の幸よりもハンペンのほうが好きな僕としては、後悔する必要は無さそうですな。無論、反省もしていないし、とまあそんなことで、

   “松崎散策” の軌跡  ( ← Click Here!! )

 距離にして 2.8km、時間にして 1時間17分。 最初、バスに乗り継げなかった分だけ、ちょっぴり疲れる散策ではありましたが、で、続いては夕日です。 夕日〜♪ (←) ここのところはピンクレディの 「UFO」 の節で歌って頂きたいんですが、西伊豆の夕日の鑑賞スポットと言えば、 この辺り がメジャーなところかと。 基本、西側に海が開けた半島地形なので、どの地点でも1年を通じて海に沈む夕日が見られる筈なんですが、季節によって太陽の沈む方角が変わるので、その辺を考慮しなければなりません。無論、日没時間も押さえておかねばなりません。 ちなみに10月8日@西伊豆。 そういう条件だと 17時19分頃、263度くらいの方角に沈みます。 ほぼ真西ですな。 通常、日が沈む 30分くらい前から、いい感じに夕焼けてくるので、16時50分からが勝負という事になります。 で、地図を見ながらあれこれと検討した結果、今の時期、仁科漁港がベストな撮影スポットなのではないか? そういう結論に達したんですが、とまあそんなことで、松崎を 16時50分に出るバスに乗って仁科というところまで行って、そこから堂ヶ島まで歩きながら、いろんなロケーションで撮影に励む。 そういうプランが出来上がりました。 で、その成果がこちら(↓)です。

< 松崎の夕日・堂ヶ島の夕日 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 (写真・いちばん上) はバスに乗り込む前、松崎の海岸から撮影したもの。 微妙に雲ってはいるんですが、ちょっぴり焼け気味で、いい感じ。 で、バスに乗って北上しているうちに、もっといい感じに太陽が顔を覗かせてくれました。 おお、いいぞぉ♪ で、この状態をキープしたまま仁科漁港に辿り着くことが出来たんですが、 (写真・真ん中とその下) は、うん。 僕のイメージ通りでありますな、こりゃ。 ただ単に海にドボンと沈んで貰っても、何だか今ひとつ芸が無かったりするので、アクセントとして島とか防波堤とか、そういう奴らを入れたかったんですよね。 よく見ると、防波堤にはいい具合に釣り人のシルエットまで配置されております。 RAW現像で色を調整したお陰で、真っ赤な夕焼け具合も申し分なし! おい、バスの運転手! 今日の夕日は駄目って、ぜんぜんそんなことないじゃん! 素人の戯言を真に受けて田んぼの写真とか撮りにいかないで、本当によかった♪ 心の底から勝利感に浸ることが出来たんですが、僕の絶頂感は残念ながらこの時点まで。 更に北上して乗浜海岸に到達した頃から、太陽は次第に雲に隠れてしまって、写真の出来としては今ひとつ。 でもまあ、バスを待っている女子高生が2名ほどいて心がときめいたので、わざわざ歩いただけの甲斐はあったのではなかろうかと。 砂浜では少年たちがボール遊びをしておりました。 少女に比べれば、ときめきの度合いは皆無に等しいんですが、明るく 「こんにちは〜」 と挨拶してくれたので、何となく和やかな気分に。 少年たちよ。君たちは見慣れているから何とも思っていないに違いないけど、ここは恐らく、日本でも屈指の絶景ポイントですぜ! そんなことを考えながら海を眺めているうちに周囲は暗くなって、「じゃ、またな〜。」 そんな挨拶を交わしながら、少年たちはそれぞれの家へと帰って行きました。 僕の心の中には井上揚水の 「少年時代」 が流れていました。そしていつの間にか女子高生の姿も見えなくなっていました。彼女たちもバスに乗って、それぞれの家へと帰って行ったのでありましょう。

   “夕日鑑賞” の軌跡  ( ← Click Here!! )

 太陽が海に沈む瞬間をカメラに捉えることは出来ませんでしたが、徒歩部分は 1km強の道程。 とってもお手頃な散策コースで、オススメ♪ で、堂ヶ島からバスに乗って、約1時間で下田に到着。 夕方の6時半を少し過ぎたくらいの時間だったんですが、構内の売店は既に閉店していて、うらびれた感が半端ではありません。 で、ここから伊豆急に乗って、ひとつ向こうの蓮台寺駅まで移動。 どうしてそんな下田駅以上にうらびれていそうなところに行ったのかというと、 これ を見るためなんですが、会場の中学校までは駅から歩いて5分程度。 近所のお子様連れがゾロゾロと歩いていたりして、思ったよりも賑やかな雰囲気で何より。 が、混雑の度合いはぜんぜん大したことなくて、最前列の特等席を余裕で確保することが出来ました。 とまあそんなことで、花火大会の始まり〜。


< 河内諏訪神社例大祭手筒花火大会 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 まず手始めに、前座として地元の小学生たちによる太鼓と笛のお囃子が披露されました。 (写真・いちばん上) 参照でありますな。 太鼓担当のいちばん右端の女児、顔、デカっ! 写真上で実測してみたら6頭身くらいだったんですが、隣の女児より僕のパソコンの画面上で 1mm顔がデカいですな。 ま、右から3人目になると、また同じくらいのサイズに戻るので、真ん中の娘の顔が小さすぎるのかも知れませんけど。 ま、いずれにしろ、この先、相当にヌルい花火大会が展開されるであろうことが予感される、ローカル色たっぷりのオープニングだったんですが、とか思っていたら、いきなり場内にとんでもない爆音が鳴り響いて、思わずチビリそうになっちゃいました。 プログラムに 「音でビビらせるだけの花火」 という演目が掲載されていなかったので油断していたんですが、すぐ目の前で爆発するので、結構な迫力だったりします。 で、その後は概ねプログラムに則った出し物が披露されたんですが、いやあ、手筒花火の撮影って、めっちゃ難しいですなぁ。 距離が近いだけにスローシャッターでは手ぶれが半端ではなく、打ち上げ花火の撮影よりも難易度は遥かに上。 三脚無しではどうにもならん事が判明したので、これはもう、諦めるしかありません。 で、この大会では手筒だけでなく、色んな種類の花火が楽しめました。 普通に立派な打ち上げ花火もあったりして、その意味では思わぬ拾い物。 というか、手筒系が思ったよりも少なくて、ちょっと物足りない気がしたくらいなんですが、ま、どうせまともな写真は撮れないんだから、別にいいんですけど。 で、そうこうするうちに夜の8時が近付いてきました。 僕は今回、下田大和館というところに泊まることになっているんですが、そこに向かうバスの時刻は こんな感じ 。 下田駅を 20時36分に出るバスを逃すと、後がありません。 その為には蓮台寺駅を 20時20分に出発する電車に乗らなければならないんですが、花火大会の終了時間は 20時10分。 駅まで徒歩5分の距離ではありますが、ホームがごった返していて、電車に乗れない恐れも多分にありますよね。 後ろ髪をひかれる思いで中学校を後にして、終盤のナイヤガラとスターマインは駅近くの道路から見ることにしたんですが、下のほうに障害物があってちょっぴり邪魔な以外は思ったよりもよく見えて、何よりでありました。 というか、蓮台寺駅から 20時20分発の電車に乗った乗客は全部で10人くらいしかいなくて、余計な心配もいいところだったんですが、晩飯に下田駅の近くで肉チャーハンを食うというプランを捨ててまで見に行ったこの花火大会、それなりにアレだったので、ま、よかったっす。 写真のほうの成果はさっぱりだったんですが、途中で諦めて動画に切り替えたりしたので、最後にその作品をアップしておきます。 ファイルをそのまま置いておくので、各自、右クリックで保存するなどして適当にお楽しみください。 場合によっては左クリックで再生が始まったりするかも知れません。

   “回転花火(大火車)動画”  ( ← Click Here!! )


 とまあそんなことで、つづく♪

 ということで、今日はフレディ・マッコイです。 誰? …と聞かれると僕にもよく分からなくて、ま、おそらくフレディ・ハバードとマッコイ・タイナーの間に生まれた子供。 そう答えるしか無いんですが、いや多分、間違っているとは思うんですけど。 たとえ、この2人が間違いを犯したとしても、生物学的に不可能ですからね。 で、今日はそんなフレディ・マッコイの 『スパイダー・マン』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、タイトルとジャケットに惹かれて買ってみて、それで初めてこの人がヴァイブ奏者であることに気付きました。 見た目のイメージで何となく、オルガン、もしくはソウル系テナーだと思い込んでいたんですよね。 どうしてそんな誤解が生じたのかというと ザ・スティンガー と、ごっちゃになっていたからなんですが、あ、この時は飛行機がよく落ちるネタでありましたか。 最近もよく飛行機が落ちたり、飛行機が落としたりしてますよね。 那覇でF15戦闘機が落ちて貴重なパイロットが行方不明になっちゃったり、小松でF15戦闘機が燃料タンクを落として、貴重な松井秀喜ベースボールミュージアムがもうちょっとで炎上するところだったり。 秀喜クンは恐らく、炎上をエンジョイする程の度量の持ち主だと思うんですが、残念ながら素人防衛大臣の怒りを買ってしまって、小松の航空祭が中止になっちゃいました。 ま、今年は見にいくつもりが無かったので個人的な影響はないんですが、怒りを買ったのはマズかったですなぁ。 イカリングを買ったという話なら 「美味しかったね♪」 で済んでいたと思うんですけどね。 とまあそんなことで、では1曲目から聞いてみることにしましょうか。

 まずはフレディ・マッコイのオリジナルで、 「ハヴ・マーシー」 。 日本でマーシーと言えば田代まさしなんですが、アメリカだと何でしたっけ? 何か、教会っぽい単語だったような気がするんですが、調べてみたら分かりました。慈悲。日本語にしたらとっても寺院っぽい単語であることが判明したんですが、曲のほうはというと、普通に教会風。 ヴァイブ+ピアノ・トリオという爽やかな楽器編成なのでアーシー感は希薄なんですが、マーシー感は満載。 慈悲深く慈愛あまねくアッラーの御名において、南無阿弥陀仏。 個人的にはこういうゴスペル・ライクなのって、郷スペシャル・イクラほどにも好きではなかったりするんですが、そもそも僕はイクラそのものがあまり好きではないので、その評価はかなり低いということになります。 いくら郷ひろみ特別のイクラでも、所詮は鮭の卵ですからなぁ。 でもまあ、ここでのマッコイくんのヴァイブはチャーリー・ウィルソンのピアノ共々、なかなかソウルな仕上がりで、僧侶も納得。 とまあそんなことで、おしまい。 3分10秒の、あまりにも小さなちょっとした小品でありましたが、ま、プレスティッジ盤の蜘蛛男ジャケだし、こんなもんすかねー。 で、次。 歌物ナンバーの 「イエスタデイズ」 。 しみじみとしたバラードです。 ヴァイブという楽器はどんな下品でエロい奴が演奏しても、スロー・テンポだとそれなりにアーバンで哀愁な仕上がりになったりするんですが、ここでのマッコイくんのプレイも、なかなか。 裏本っぽくはなくて、普通にアーバンです。ソロ先発はマッコイなんですが、始めは処女の如く、後は脱兎の如し。 途中から次第にテンポが速くなっていって、何だかそれなりに盛り上がっちゃってます。 で、ウサギに逃げられたところで、チャーリー・ウィルソンのソロへと引き継がれます。 このチャーリー浜とチャック・ウィルソンとの間に生まれた子供のような名前のピアニスト、その正体に関しては寡聞にしてよく知らんのですが、ググってみると、いろんなのがヒットしますな。 『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 という映画だとか、 80年代に多くのヒットを飛ばしたファンクバンド、ギャップ・バンド (Gap Band) のリードボーカリストだとか。 テキサス州選出の民主党下院議員チャーリー・ウィルソン (トム・ハンクス) は、女と麻薬に目がない不良代議士。ただ、テキサス男らしいおおらかな性格で、どこか憎めない男だった。ある日彼は、巨乳ギャル二人を含む4P状態のジャグジーで、ソ連が侵攻したアフガニスタンの悲惨な現状を知る。 おお、なんだかとっても楽しそうな映画で、俄然興味が湧いてきたんですが、肝心のピアノ弾きのチャーリー・ウィルソンに関しては、何の手掛かりも得られませんでした。 雰囲気で言うとジュニア・マンスっぽい感じのスタイルだったりするんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 7分21秒という、標準よりもちょっと長めの中作でありましたが、出来はよかったっす。

 ということで、3曲目。 お馴染みのボサノヴァ・ナンバー、 「ザ・ガール・フロム・イパネパ」 でありますか。 「イパネマの娘」 っすな。 こういうベタな曲を取り上げると、日本の辛口なファンからは馬鹿にされる傾向にあるんですが、傾向と言えば 「鶏口となるも牛後となるなかれ」 という中国の諺、あれは間違ってますよね。 牛の尻尾はいい感じのテールスープになるんですが、鶏の口ばしとか、唐揚げにしても硬くて不味そうだしー。 メキシコにはピコ・デ・ガイヨ (直訳すると「鶏の口ばし」の意味) という料理があるそうですが、ダイスカットしたオニオン、トマト、チリ、シラントローをミックスしたもので、鶏の口ばしは入ってみたいです。 白 (玉ねぎ) と赤 (トマト) との取り合わせがニワトリっぽいとの事なんですが、それはそうと、シラントローって何なんすかね? 世の中にはまだまだ、僕の知らんトロがあるようなんですが、で、演奏のほうはアレです。爽やかです。 都会的でお洒落なボサノヴァで、そして、ちょっぴり哀愁。 叩いているうちに興が乗ってきたらしいマッコイくんが、声を出して地味にハモったりするのがちょっとアレなんですが、ま、ヴァイブではよくある事ですからね。 隣の家のオッサンが犬とじゃれながら奇声を発しているのに比べれば、ぜんぜんマシです。 今、ちょうど聞こえているんですよね、隣のオッサンの声。 娘ばかり3人か4人いるご家庭なんですが、恥ずかしいとは思わないんですかね? 対抗上、こちらも音楽のボリュームを上げることになるわけなんですが、そうこうしているうちに、テーマに戻って、おしまい。 ま、選曲も演奏も、無難な線ではなかったでしょうか。

 で、次。 アルバム・タイトル曲の 「スパイダー・マン」 はマッコイのオリジナルです。 え、そうなん? 映画の主題歌とかとちゃうん? ということはアレですか? マッコイくんが思い付きで 「スパイダー・マン」 などという曲を作っちゃったばかりに、わざわざジャケットに本物のスパイダー・マンを招聘した。 そういう事なんすかね? スパイダー・マンを招聘するのって、笑福亭笑瓶を招聘するよりギャラが高そうなんですが、プレスティッジも無駄なところに予算をつぎ込んだものでありますなぁ。 で、曲そのものはアレです。 「イパ娘」 よりもテンポが速くて、もうちょっと賑やかなラテンって感じ? 蜘蛛男ってブラジルのほうの出身だったんすかね? ちょっとイメージと違ったものがあるんですが、演奏そのものの出来は良好、良好、りょこりょこ、良好〜、アサハラ良好〜。 「尊師マーチ(選挙バージョン)」 にも匹敵するノリのよさでありますが、彰晃、彰晃、消費税廃止〜♪ で、ソロ先発はウイルソンくん。 かなり激しいタッチで、おさわりに対する強い意気込みが感じられるんですが、シャンシャンシャンなパーカッションも入っていたりして、大いに盛り上がっておりますな。 で、続いてはマッコイくんがマレットを振り回して、怒涛の鉄琴乱打を披露…するのかと思ったら、え、これでおしまい? 3分25秒って、わざわざ蜘蛛りんを呼んだわりには、ほんの小さなちょっとした小品だったんですが、ま、それはそれで、アレだったと思います。 で、続いてはスタンダード・ナンバーの 「ザッツ・オール」 。 ムードは一転、静謐で思慮深いバラードでありますな。 クールではなく、ほっこりとしたブロッコリー。 そんな感じがします。地獄蒸しでよく蒸さったというか何というか。 アドリブに入ってからは少しテンポが速くなって、スインギーな歌心を感じさせるプレイになったりして、で、続くウィルソンのソロもいいですなぁ。 少なくともキム・イルソンよりはピアノがお上手と言っていいと思うんですが、でもって、再びヴァイブのソロが出てきて、バラードなテーマに戻って、おしまい。 歌モノ系、安定してます。

 ということで、ラストです。  「スピーク・アウト・ディーガン!」 はマッコイのオリジナル。 ディーガン! …と、名前に気合が入っている割には、穏やかな雰囲気のミディアム・テンポな作風でありますな。 で、演奏のほうは何と言うか、ま、普通ですな。普通に悪くありません。 が、今ひとつインパクトに欠ける嫌いがあるのも確かでありましで、でもまあ、悪くはないので、いいと思います。 とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 ハモンド・スミスの 『ザ・スティンガー』 ( “泣く子も踊るソウル・ジャズ・コレクション” の1枚として 98年にCD化 ) の姉妹編のようなジャケット・デザインから、コテコテのソウル・ジャズを連想される方も多いと思われるが、内容は (いわゆる) メイン・ストリーム・ジャズである。 そう、原田和典クンが日本語ライナーに書いているんですが、まさに正鵠を射ております。 思ったよりも普通というか、見た目のわりには性格が真面目というか。 その分、やや面白みに欠けるところもあるんですが、普通に悪くない出来だったりするので、保守的なヴァイブ好きの人にも、オススメ☆ …かと。 泣く子が踊るのはタイトル曲だけなんですが、呼子はイカ。 そんな演奏がたっぷり楽しめる1枚なのでありました。


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