AT BIRDLAND (DECCA)

FRIEDRICH GULDA (1956/6/28,29)

AT BIRDLAND


【パーソネル】

IDREES SULIEMAN (tp) JAMES CLEVELAND (tb)
PHIL WOODS (as) SELDON POWELL (ts)
FRIEDRICH GULDA (p) AARON BELL (b) NICK STABULAS (ds)
【収録曲】

(01-02) PEE WEE MARQUETTE INTRODUCES FRIEDRICH GULDA & HIS SEXTET / QUINTET
(03-05) DARK GLOW / INTROVERT / SCRUBY
(06-08) TEHERAN / AIR FROM OTHER PLANETS / NEW SHOES
(09-11) COOL HILL / VIENNA DISCUSSION / A NIGHT IN TUNISIA
(12-14) OUT OF NOWHERE / LULLABY OF BIRDLAND / DODO
(15-16) ALL THE THINGS YOU ARE / BERNIE'S TUNE

【解説】 ( 2011年02月06日更新 / 連載 967回 )

 今日は “加湿器” について考えてみたいと思います。 題して 『 過失のない加湿器選び (菓子付き) 』 。 あ、 (菓子付き) というのはアレです。 加湿器ネタだけで1回分を賄えなかった場合、お菓子の話を付け足して、何とか尺を合わせようという魂胆なんですが、現時点では特に菓子について書きたいことは、特にありません。 何とか菓子を付けなくて済むように頑張らなければなりませんが、とまあそんなことで、加湿器を買いました。 どうしてかというと、空気が乾燥していたからなんですが、空気が乾燥すると、肝臓を食う気が無くなります。 ま、僕はレバーが嫌いなので、肝臓を食う気が無くなってもまったく問題はないんですが、空気が乾燥すると喉が痛くなります。 ま、喉の痛みくらい、ノドンが伊丹空港に落ちることを思えば、ぜんぜん大したことはないんですが、でもまあやっぱり嫌です。 特に寝ている時に喉をやられることが多いんですが、そこで枕元用に小さな加湿器を買うことにしました。 これ です。 どうしてこれを選んだのかというと、ただ何となくなんですが、僕が枕元用の小さな加湿器に求めるポイントは次の通りです。

  (1) 小型であること。
  (2) 加湿器であること。
  (3) 枕元に置いても、うなされないこと。

 この “ TiNY ” の場合、とりあえず小型のようだし、加湿器だし、うなされるかどうかは実際に枕元に置いてみないと何とも言えないんですが、超音波式なので音は静かだと思うんですよね。 音が出ても超音波なら人間の耳には聞こえないので、大丈夫。 ただ、超音波に誘われて枕元にコウモリが飛んできたりすると、何となく嫌な夢を見ちゃいそうなんですが、例えばどんな夢なのかというと、えーと、コウモリ、コウモリ。 大盛りのコウモリとか、コウモリの子守りとか。 …と、いくら考えても、ちっともいいネタが思い浮かばなくて、原稿がまったく前に進まなくなっちゃう夢だとか。 あまりにもリアル過ぎて、地味に嫌な悪夢なんですが、そもそもコウモリが近寄ってくるリスクがある事が明白なのに、どうして加湿器に超音波式なんかを採用したんすかね? そのデメリットを補って余りある長所があるというのなら仕方無い気はするんですが、そこで “超音波式加湿器” の原理や長所や短所や急所や秘所ついて、簡単に調べてみることにしました。

  〔原理〕 タンクの水を超音波振動によって霧状にして、ファンによってその辺に撒き散らす。

  〔長所〕 比較的小型で安価。音が静かで消費電力も小さい。

  〔短所〕 白い粉 (←水道水に含まれるカルシウム) が飛び散る。霧の粒が大きいため床や家具、壁が濡れてしまう。

  〔急所〕 器具に雑菌が繁殖しやすく、そいつを問答無用でその辺に撒き散らしちゃう。

  〔秘所〕 いや〜ん♪

 最後の項目は、別に無くてもよかったかな? …という気もするんですが、それはともかく、この急所はちょっと致命的ですなー。 旧正月に急所をガツン。 それくらい、痛いものがあります。 空気が乾燥して雑菌が繁殖して喉が痛くなるのが嫌だから加湿器を買ったのに、その加湿器が雑菌を撒き散らしてくれるとは! コウモリは寄ってくるわ、雑菌は撒き散らすわで、踏んだり蹴ったりですよね。 「近寄ってきたコウモリを、雑菌で退治するという事なんじゃないか!」 と言われると、そうかな? …という気もするんですが、ただこれはあくまでも、その辺に転がっている何の工夫もない安物の超音波式加湿器の話。 その点、 “TiNY” は違います。銀イオン抗菌カートリッジで清潔なうるおいをお届けしてくれるようです。 銀イオンがギンギンにキンをやっつけてくれるワケですな。頑張れ銀さん! とまあそんなことで、届きました。 思ったとおり、とりあえず小型ではありますな。 で、早速、水タンクに水を入れて本体にブッ刺して、スイッチを入れてみました。 おお、霧が出ますな。どうやら加湿器であるようです。ここまで、僕の目に狂いはありません。完璧です。 ただちょっと誤算だったのは、思ったよりも 音が大きいような気がするんですが、水をブルブルさせる部分は確かに超音波なんですが、発生した霧を撒き散らすためのファンの音は可聴域なんすな。 まだ課長の域に達しない課長代理の僕には、そこまで見抜くことが出来ませんでした。不覚です。 でもまあ、気にしなければ我慢出来ないこともない範囲だし、それ以外の機能は概ね満足のいくものでした。加湿量をダイヤルで無段階に調節出来るのがいいですな。 あと、イルミネーションランプが7色に光るというギミックも、無駄に嬉しいです。 課長代理ならレインボーやろ? …みたいな。 自分でも言ってる事の意味がよく分からんのですが、それで本人が満足しているのなら、他人からとやかく言われる筋合いはありません。 とまあそんなことで、いやあ、いい加湿器を買いましたなぁ。

 とまあ、ここまでが約2ヶ月前の話です。 それから1ヶ月。 ごく希になんですが、過加湿吸着シートがベタベタになる。そういう事例が発生するようになりました。 過加湿吸着シートというのはアレです。 段ボールの板をビニールの袋で包んで、古くなったヨレヨレの半袖シャツを巻いてガムテープで止めた、とってもお洒落なオリジナルグッズです。 以前にも違ったタイプの超音波式加湿器を使っていたことがあるんですが、そいつは上記の 〔短所〕 のところに書いてある、 「霧の粒が大きいため床や家具、壁が濡れてしまう」 という現象がとっても顕著なヤツだったんですよね。 特に床がベタベタになってウザいので、加湿器の霧が落下する地点に過加湿吸着シートを置いて、半袖シャツに水分を吸収させることにしたんですが、 “TiNY” は霧の粒子が細かいのかその必要が無くて、その点でも気に入っていたんですよね。 1ヶ月使ってみて、うなされる悪夢を見ることも、コウモリが近寄って来たことも、一度もなかったしぃ。 が、ここに来て 「床がベタベタにならない」 という利点の一角が突如として崩れてしまったんですが、それも尋常なベタベタ具合ではありません。 霧の粒が大きいため床が濡れてしまうと言ったレベルではなく、半袖のシャツが “おもらしぱんつ” になっちゃったみたいな。こんなことなら半袖シャツではなく、段ボールにパンツを履かせておけばよかった!…と自分を激しく責めたんですが、後悔先に立たず、覆水盆に返らず。 ま、シャツを絞ってタンクに戻してやれば、少しは覆水も加湿器に返るんでしょうが、そんなことをしても雑菌が増えて、銀イオンに余計な手間をかけさせるだけなので、やるだけ無駄でしょう。 ちなみにタンクの水はすっからかん。 減水により加湿器は自動停止状態となっておりました。 今まで一度も粗相をしたことがなかったのに、どうしちゃったんでしょうな? いろいろと原因を考えてみたんですが、ま、恐らく気のせいであろう。 そういう結論が出て、これで問題はすべて解決♪

 で、翌日も翌々日も、タイニーちゃんは無事に職務を全うしました。 3日目も4日目も大丈夫。 やっぱりアレは気のせいだった。 …とすっかり安心したある日のこと、突如として漏れました。 恐らく僕の使用法が間違っているんだと思うんですよね。 取扱説明書のほかに 「ご使用上の注意」 という紙が入っていて、そこには

  ◎ 本体に直接水を入れない
  ◎ タンク (又はペットボトル) を斜めに差さない
  ◎ タンク (又はペットボトル) の抜き差しを繰り返さない
  ◎ タンク (又はペットボトル) を差した状態で本機を持ち上げたり持ち運ばない
  ◎ タンク (又はペットボトル) を差し込むときや運転中に本機を斜めにしない

 と書かれているんですが、今までタンクを差した状態で、思いきり本機を持ち上げて持ち運びまくっていたしー。 取扱いが手荒だった己の不徳を恥じて、それからはタンクと本機を別々に持ち運んで、本機を所定の位置に鎮座させてからタンクをセットするようにしたんですが、それでも漏れる時は漏れるし、面倒になって、 タンクを差した状態で本機を持ち運んでやるぅ! …と捨て鉢な気分になった時も、漏れない時は漏れないしー。 ただひとつ言える事は、漏れる頻度が日に日に増えている。それだけは紛れも無い事実です。 そして先週。ついに百発百中の確率で漏れるようになりましたー♪ こうなるとむしろ、原因を究明するには好都合ですな。幸い日曜日でちょっと暇だったので、じっくりの加湿器の動向を観察してみることにしました。 いつも寝る前は何ともないのに、朝起きたら半袖のシャツがベタベタになっていて、寝ている間にいったい何が起きているのか、よく分からなかったんですよねー。 そこで今回、起きている時間帯にも加湿器を付けてみることにしたんですが、その結果、おどろくべき事実が判明しました。 めっちゃ漏れてるやん! 僕はてっきり、一晩かけてジワジワと水が漏れ出しているものだとばかり思っていたんですが、運転を開始して約10分。 床の上に水溜りが出来るくらい、めっちゃ漏れました。 これは恐らく1時間くらいでタンクの水が空になるくらいの勢いでありますなー。 思うにこれはタンクのほうに問題があるんじゃないっすかね? タンクの蓋は下から出っ張りを押してやるとバネ仕掛けの弁が開いて、水が落ちるようになっているんですが、本機にセットした状態では常に弁が開いた状態になります。 これでどうしてタンクの中の水が全部落ちていかないのかというと、空気と水との間に得も言われぬ絶妙のバランスが生じるからなんだと思うんですが、そのバランスが何らかの拍子に崩れるとタンクの水が必要以上に落ちて、本機から溢れて、床がベタベタになっちゃうという。 ちなみに加湿器の蓋を外した状態は、 こんな感じ になっています。

 怪しい! 謎の隙間と謎の穴が、めっちゃ怪しい! タンクの水が必要以上に落ちると、いかにもこの穴や隙間から水が漏れちゃいそうですよね。 ただ謎の隙間のほうはタンクの水が必要以上に落ちなくても、常に水に浸かる位置にあります。 本機にタンクをセットしても、電源スイッチさえ入れなければ水はまったく漏れないので、謎の隙間のほうは無罪と言えそうですな、どうも。 となると、謎の穴か?おまえが犯人なのか!? それと同時にファン吹出口のほうも怪しいんですが、試しに謎の穴のほうに水を垂らしてみても下には抜けていかなかったんですよね。 どうやら謎の穴ではなく、ただの窪みだったようですが、一方、ファン吹出口のほうはというと、こちらは中に羽根があるだけで、底までツーツーになっております。 犯人はお前だっ!! ただ、いくら底までツーツーだからと言って、水タンクさえ適切な量の水を供給していれば、ここから外に漏れる筈はなく、主犯が水タンクで、ファン吹出口は唆されて死体を遺棄しただけの役目のようにも思われます。 そこで主犯の水タンクの身柄を押さえて、タンク無しの状態で、本体に直接水を入れてスイッチを入れてみることにしたんですが、ほら、これなら水は漏れ・・・、ん? めっちゃ漏れるやんっ! ファン吹出口よりずっと下のところまでしか水位がないのに、しっかり漏れてくれます。 どこから漏れるのかと思ったら、どうやら本体の底から漏れるようです。 試しに本機をひっくり返してビスを緩めて底の板を外してみたんですが、すると こんな感じ になっていました。やはり送風ファンがある側から下に漏れているようなんですが、スイッチを入れなければ漏れないし、スイッチを入れれば本機の水位に関係なく漏れるし、もし構造上の欠陥なら2ヶ月前の時点から漏れなく水が漏れなければならないのに、しばらくは大丈夫だったし、この2ヶ月でどこかが壊れたようにも思えないし、うーん、分からんっ! …というのが、僕の出した結論です。クチコミを見ても同じような “おもらし病” の事例は見当たらないんですが、ハズレを引いちゃいましたかね? ちなみに自分用の青い奴と同時に、オカン用にピンク色の奴も買ったんですが、そっちのほうも最近になって、漏れなく水が漏れちゃうようになったようで。 青とピンクがつるんで不良に走って、2人して不良品になっちゃったとしか思えませんなー。

 ということで、最後に “お菓子ネタ” をひとつ。 クッキーがちょっとシケちゃったんだけど、食えないほどでもない。 でも、食ってもマズい。 そんな時に使える、とっておきの加湿器ネタをお教えしましょう。 まず加湿器 (超音波式がベスト) を用意します。 スイッチを入れて出力をMAXにします。 吹出口にクッキーを近付けて、待つこと30秒。 あら不思議。 食ってもまずい “ちょっとシケたクッキー” が、あっという間に “カントリーマアム” に変身♪ 他にも、湿気たウエハースとか、湿気たキャラメルコーンとか、湿気たカール (チーズ味) とか、意外と (゚д゚)ウマー だったりするので、お試しあれ。 とまあそんなことで、“過失のある加湿器を買ってしまった話 (菓子付き) ” は、おしまい。

 ということで、今日はフリードリヒ・グルダなんですが、いいですよね、グルダ。 伝説のピアニストですよね。 どれくらい伝説なのかというと、 『グルダの伝説』 というファミコン・ソフトがあったような気がするくらい伝説だったりするんですが、ちなみに僕はこのグルダという人のことは、まったく知りません。 先日、名駅のタワーレコードで偶然この人のアルバムを見掛けて、何気なく買ってみたんですが、その正体はというと、今から10分ほど前にググってみて、ようやく判明しました。 クラシックのピアニストだったんですなー。 オーストリアのピアニスト・作曲家。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの演奏を特に得意とした。ジャズ演奏でも知られる。 …とのことで、そっちの世界ではかなり有名みたいです。 が、ジャズ演奏は付け足しみたいです。 となると、そのプレイにはまったく期待が持てないような気がするんですが、ただこの 『フリードリヒ・グルダ・アット・バードランド』 というアルバムは、サイドマンが無駄に豪華だったりします。 僕がこんなよく分からんオッサンのリーダー作を買う気になったのは、その一事に尽きるんですが、アイドリース・シュリーマンジェームス・クリーブランドフィル・ウッズセルダン・パウエルという、豪華4管編成。 ま、ウッズ以外はやや小粒な人選なんですが、いい意味でB級っぽいサウンドが期待出来そうですよね。 ベースがアーロン・ベル、ドラムスがニック・スタバラスと、リズム隊のほうはリーダーを含めて地味の極みなんですが、で、これ、タイトルからもわかるように、名門ジャズ・クラブ 「バードランド」 でのライブとなっております。 ライブなのに全部で16曲も入っていて、それってちょっとどうか?…という気がするし、レビューを書くのもクソ面倒だったりするんですが、ま、とりあえず適当に頑張ってみることにしましょう。

 ということで、まずは1曲目。 というか、これは曲ではないんですが、 「ピー・ウィー・マーケット・イントロデューセス・フリードリヒ・グルダ・アンド・ヒズ・セクステット」 。 これはアレです。 バードランドの名物MC、ピー・ウィー・マーケットによるメンバー紹介です。 独特のカン高い声で、 「あーと・ぶれいきぃ! あーと・ぶれいきぃ・あんど・じゃーず・めっせんじゃーず!」 とか言ってるオッサンでありますな。 それが今回は 「ふりーどりぃ・ぐぅだ・あんど・せくすてっと!」 とか言ってるので、ちょっぴり違和感があったんですが、何はともあれ、この声を聞くと、いやがおうにも気分が高まりますな。 この後、どんなノリノリの演奏が繰り広げられるのかと思ったら、2曲目の 「クインテット」 は何だかウエスト・コーストっぽい、何とも落ち着いた雰囲気の作品でありました。 タイトルはクインテットなんですが、実際はセクステット…というか、 「グルダと彼の六重奏団」 なので、総勢ではセプテットとなりますか。セクステットというのは何となく言葉の響きがエロいので、健全派の僕としてはセプテットのほうがいいと思います。 4管がしっとりとハモるテーマ部に続いて、トロンボーンのちょっとしたソロのようなパートがあって、テーマに戻って、もう一度トロンボーンが出てきて、テーマに戻って、おしまい。 ギンギンのハード・バップを期待していた僕としては、ちょっぴり肩透かしを食らった気分でありますが、ま、これはそれで、それなりにアレなのかも知れません。

 で、次。  「ダーク・グロウ」 。 タイトルからしてダーク広和を愚弄したナンバーなのかと思ったら、しみじみとしたバラードだったんですが、フィル・ウッズのアルトが心に染みます。 4管の絡み具合も控えめで、好感の持てる股間。…といった感じなんですが、基本、ソロを取るのはアルトだけで、でもって、テーマに戻って、おしまい。悪くは無い、ちょっとした小品でありました。 で、次。  「イントロバート」 。 もの凄く西海岸っぽいサウンドの作品です。 良くも悪くもヨーク。 …といった感じで、ヤクルト派の僕としてはちょっと物足りないんですが、ま、こういう、あっさりしたのが好きな人もいますからな。微妙にファンキーっぽい気配が感じられたりもするし、シュリーマンとパウエルとウッズのソロもそこそこフィーチャーされているし、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、次。  「スクルビー」 。 ちょっぴりノスタルジックな雰囲気の、たそがれ戦隊ノスタルG。 そんな感じの仕上がりなんですが、クリーブランドとグルダのソロがフィーチャーされております。 そういえばリーダーのソロを始めて聴いたような気がするんですが、微妙にカクテル・ピアノっぽくて、カクピー好きの人には好意的に受け止められるかも知れません。 で、その後、シュリーマンも出てくるので、修理饅頭好きの人にもオススメ。 世の中にそんな饅頭があるのかどうかは知りませんが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 で、6曲目。  「テヘラン」 。 いいですよね、テヘラン。 何がいいのかはよく分からんのですが、とりあえずイランの首都ですよね。 そういう名前を付けたからには当然、イランの首都っぽい中近東サウンドに仕上がっているに違い無いんですが、聴いてみたら確かにエキゾティカな作風で、テヘラン、テヘラン、テヘランラン♪ そんな気分になりました。 賑やかなテーマの後、パウエル→ウッズ→グルダの順でソロ廻しが行なわれるんですが、リーダーのソロもちゃんとスイングしているし、それに続く合奏パートも派手派手だし、ホーン陣とタイコのおっさんとの掛け合いもあるし、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、このライブもここに来て、ようやく盛り上がってきましたなぁ。一時はどうなるかと思ったんすけど。 で、7曲目。  「エアー・フロム・アザー・プラネッツ」 。 「他の惑星からの空気」 ですか。 それ、間違いなく未知のウイルスとかに汚染されていると思うので、むやみに吸わないほうが賢明だと思うんですが、曲のほうはアレです。 普通に清々しいバラードです。 テーマ部ではミュート・トランペットが他の惑星っぽさをうまく表現していて、秀逸です。 アドリブ・パートではセルダン・パウエルが栴檀の香りを放っていて、とってもパウエル。 とまあそんなことで、おしまい。 で、次。  「ニュー・シューズ」 。 いかにも新しい靴やな。…といった感じの曲に仕上がっておりまして、クリーブランドとウッズとシュリーマンのパウエルの短いソロが聴けます。 で、次。  「クール・ヒル」 。 いかにも涼しい丘やな。…といった感じの静かなバラードでありまして、ま、地味と言えば地味なナンバーです。 で、僕としては正直、ちょっと飽きてきちゃったんですが、という事で、次です。  「ビエンナ・ディスカッション」 。 「鼻炎な議論」 ですか。 くしゃみ連発、鼻水ズビズビで、とてもまともな議論は出来そうにもないんですが、個人的にはディスカッションよりも、うまかっちゃんのほうが好きだしー。 で、演奏のほうはというと、ウエスト・コーストっぽいアンサンブルでテーマが演奏されて、でもって、おしまい。 わずか 37秒という、極めてあっさりした1曲でありました。

 と、ここまではすべてグルダくんのオリジナル。 何だか無駄に頑張ってくれたものでありますが、この先は一転してスタンダード中心の選曲となります。 ということで11曲目。  「ア・ナイト・イン・チュニジア」 。 チュニジアと言えば先日、政変があったようですが、この 「チュニジアの夜」 のおかげで、ジャズ・ファンには馴染みのある地名ですよね。 治安の心配があるので、あまり夜は出歩かないようにしたほうがいいかも知れませんが、で、これはピアノ・トリオによる演奏なんですな。 リーダーの実力の真価が問われるところですが、概ね無難に纏められていたと評価していいのではなかろうかと。 意外にも、ちょっぴりハンプトン・ホーズっぽい雰囲気が感じられたりもして、これならジャズの世界でも飯が食える…というところまではいかないかも知れませんが、少なくともパンの耳くらいは食えるのではなかろうかと。余興としては十分なレベルです。 で、次。  「アウト・オブ・ノーホエア」 。 よく耳にする曲名なんですが、今までどういう意味なのか、あまり気にした事がありませんでした。 せっかくなので翻訳サイトに掛けてみたんですが、 「どこにも」 ですか。 何ともリアクションに困る訳語が出てきたものですが、ピアノによるイントロに続いて、クリーブランドがワン・ホーンでテーマを吹奏します。どこでもですな、確かに。 で、そのままトロンボーンのソロへと流れていくんですが、これがなかなかいい出来だったりします。 クリーブを入れないランドなんて。 そんな感じがします。 続くセルダン・パウエルのソロも、 「セルダンは二葉よりカンパチ」 という諺を思わせる仕上がりでありまして、以下、ウッズ、グルダの順で、極めて上質なプレイが展開されております。 終盤は4管の絡みで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いいぢゃん♪

 で、12曲目。  「ララバイ・オブ・バードランド」 。 バードランドでのライブとなれば、やはりコイツは外せません。 テーマ部はピアノ・トリオによる演奏なんですが、ちょっぴりジョージ・シラリングっぽい仕上がり? …とか思っていると、そこに管楽器か絡んで来て、 なかなかいい感じに盛り上がるんですが、でもって、ソロ先発はグルダくんでありますか。 グルダくんというと僕は何となく、グルクンという沖縄の魚を思い出すんですが、唐揚げにすると美味しいそうです。 で、ここでのグルダくんのソロも、なかなか上手いです。 もしかしてクラシックの世界で有名なフリードリヒ・グルダと、ここでピアノを弾いてるグルダとは、違うグルダなんじゃないか?…と思ってしまうほど、しっかりジャズしてます。 「ジャズの世界でもパンの耳が食える」 というレベルではありませんな。 「ミミガー (←豚の耳) も食える」 と訂正しておきますが、以下、ウッズ→クリーブランド→最後グルダ…と、各自の良好なソロが続いて、地味にベースのアーロン・ベルくんもフィーチャーされたりして、トリオによるテーマに戻って、管楽器が加わって大いに盛り上がって、おしまい。 で、次。  「ドド」 。 これはアレです。グルダくんのオリジナルです。 わりと威勢のいいナンバーで、最初に飛び出してくるシュリーマンのソロがなかなか活発です。 で、以下、アンサンブル・パートを挟みながらセルダン・パウエル→グルダ→ウッズと、各自の良好なソロが続いて、テーマに戻って、おしまい。 で、次。  「オール・ザ・シングス・ユー・アー」 。 フィル・ウッズをフィーチャーした、至極真っ当でオーソドックスな好演です。シュリーマンのソロも聴けます。パウエルも出ます。グルダもフィーチャーされます。 タイコの人も頑張ってます。で、ピアノ・トリオによるテーマに戻って、最後は管楽器が絡んで大いに盛り上がって、おしまい。 で、ラスト。  「バーニーズ・チューン」 。 メンバー全員が頑張ってます。 とまあそんなことで、今日はおしまい。

【総合評価】

 前半 (10曲目まで) と後半 (11曲目以降) で、ガラっと印象が変わりますな。 ちなみにオリジナル盤は 1→3→5→7→8→10→11→14→16 の全9曲入りだったようですが、個人的には 1→6→11→12→14→15→16→3→13 という流れがベストではないかと思います。 いや、最初はどうなることかと思いましたが、最終的には思わぬ拾い物であったと、高く評価していいと思います。オススメ♪


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