TAKING CARE OF BUSINESS (PRESTIGE)

OLIVER NELSON (1960/3/22)

TAKING CARE OF BUSINESS


【パーソネル】

OLIVER NELSON (ts,as) LEM WINCHESTER (vib)
JOHNNY "HAMMOND" SMITH (org) GEORGE TUCHER (b) ROY HAYNES (ds)
【収録曲】

(01-03) TRANE WHISTLE / DOXY / IN TIME
(04-06) LOU'S GOOD DUES / ALL THE WAY / GROOVE

【解説】 (2010年10月31日更新)

 苺模様のぱんつだから、子供に見られちゃう♪ …と、かつて、高野真由子&IPT (いちごパンツ隊) は歌っておりましたが、では一体、子供に見られない “オトナのぱんつ” はどんな模様なのかというと、やはり “毒模様のぱんつ” という事になるのではなかろうかと。 例えば こんなの とか。 いや、ググってみても僕のイメージにぴったりフィットするパンツが見当たらなかったので、とりあえず “中国製思いやり全開ブリーフ” に絵付けしてみたんですけど。 いちばん下の 「」 って、何や?  「」 の間違いちゃうんか? そう思われた人もいるかも知れませんが、いつも完璧な僕に間違いなど有り得ません。 これはアレです。 毒を食らわば皿まで。 あの諺を具象化したものであります。 皿うどんに毒を盛られて、 ウゲっと気持ち悪くなって、どうせ俺、もう死んじゃうんだぁ。 …と捨て鉢な気分になって、自棄を起こしてバリバリの皿うどんだけでなく、皿までバリバリと食っちゃうという。 結局、毒そのものは大したことなくて、軽い下痢程度で済むところだったのに、後から食べた皿の破片が胃に刺さったりして、それが致命傷になるんですよね。 人間、いかなる場面でも自棄を起こしてはいけない。 そういう貴重な教訓をこの諺は僕たちに教えてくれるんですが、とまあそんなことで、今日は“毒”について考えてみたいと思います。 題して 『ドクトル鯖の毒をとるお話』 。 もっとも僕は毒に関しては独学で軽くカジっただけなので、あまり大した話にはならないと思うんですけど。

 世の中にはありとあらゆる “毒” が溢れております。 例えば、女子高生のパンツとか。 用例 : 「パンツが丸見えで、目の毒だ。」  “目の毒” という言葉には (1)見ると害になるもの。 (2)見ると欲しくなるもの。 …という2つの意味があるんですが、この場合は (2) ですかね? いや、僕は別にパンツが見えたからといって、それが欲しくなったりするわけではないんですが、あと、毒蛇なんかも毒ですよね。 「毒蛇が丸見えで、目の毒だ。」 とか、そういう意味で毒なのではなく、普通の意味で毒だったりするんですが、毒には少なくとも2つのタイプの毒があるようです。 すなわち、(1) “目に毒” な毒。 (2) “噛まれると毒” な毒。 僕は蛇があまり好きではなく、それが毒蛇となると、なおさら嫌いだったりするんですが、毒蛇の気持ちというのは分からんでもありません。 自分の身を守るため、もしくは敵を倒すために “毒” を持つ。生きていく上では当然の手段だと思います。 が、世の中には了見のよく分からない毒蛇というのもいたりします。 “無牙類の毒蛇” という奴らです。 普通、毒蛇には毒牙というのがあって、噛まれると牙から毒が出てきて毒液を注入されることになるんですが、無牙類の毒蛇には毒牙がありません。 それはただの “毒蛇ではない、ただの蛇” なんじゃないか? …と思われるかも知れませんが、そうではなくて、毒はちゃんと持っているんですよね。 ただ、毒はあってもそれを注入する毒牙がないので、どうすることも出来ないという。 じゃ、いったい何のために毒を持ってんねん!? ま、恐らく、無我夢中で毒を作ってはみたものの、無牙のままで終わってしまったんでしょうな。仕方がありません。 ほとんど何の説明にもなっておりませんが、独学の僕にそれ以上のことは分からないので、仕方がありません。

 ということで、次です。フグ。 こいつも毒ですよね。 毒ではあるんですが、「フグが丸見えで、目の毒だ。」 という話はあまり聞いたことがありません。 「ふぐりが丸見えで、目の毒だ。」 というのは、よくある話なんですけど。 この場合、見ると害になるという意味で “目の毒” なんですが、ま、害とまではいえないまでも、見ると不快になるのは確かです。 で、フグに噛まれて死んだという話もあまり聞いたことがありませんな。 「ふぐりを蹴られて死にそうになった。」 というのはよくある話なんですが、ということはつまり、フグの毒は今までにない、新しいタイプの毒ということになります。 すなわち、(3) “食べると毒” な毒。 ま、今までにないタイプといっても、話の流れ上、今まで出てこなかっただけで、世間ではもっともポピュラーなタイプだったりするんですけど。 ポピュラーではあるんですが、フグの気持ちというのは今ひとつよく分かりません。 「しびれフグ」 が気持ちいい♪…というのは何となく分かるんですが、そもそもどうしてフグはどうして、毒を持とうなどと思い立ったんでしょうな? 自分の身を守るためだろうというのは何となく分かるんですが、フグの場合、食われて初めて毒が威力を発揮するわけですからね。 食われてしまっては、既に身を守れなかったという事になると思うんですが、食われる前に何とかしようとは考えなかったんすかね?

 フグは自分の体を犠牲にして、フグ族全体の繁栄を図っているのだ。 そういう意見もあろうかと思います。 フグを食った。美味かったけど、死んじゃった。 その様子をそばで見ていた者としては、俺、フグを食うのはやめよう。蕎麦にしよう。そう思わずにはいられません。 そばで見ていたからって何も蕎麦に限定せず、うどんでもきしめんでも、何でも好きなものを食えばいいような気もするんですが、少なくともフグは食べられなくなって、繁栄が図られることになるよね? そうフグが考えたとしても不思議ではありません。 が、それならそれで、どうして肝臓とか卵巣にしか毒を作らなかったんだ? …という疑問は残ります。 フグが毒と言ったって、肝臓とか卵巣とかを食べなければいいだけじゃん。 その事がバレてしまって、人間に食われまくってますもんね、フグ。 全身を毒にしておかなかったばかりに、フグには人間という天敵が生まれてしまったわけです。 もし毒の部分を食べちゃったとしても、点滴して貰えば大丈夫だしぃ。 などと天敵に思われているようでは、フグも馬鹿にされたものでありますなぁ。 もっともフグの中にも賢いタイプのフグもいるようで、例えばクサフグなどという奴らは肝臓や卵巣だけでなく、体の全体に毒がたまるように工夫しているようです。 おかげで長らく食用には適さないと思われていたんですが、筋肉の部分は毒が弱いことがバレてしまって、結局はやっぱり食われちゃってるみたいなんですけど。 フグといい、無牙類の毒蛇といい、どうも最後のところの詰めが甘いですなぁ。。。

 で、続いては毒キノコ。これも毒です。タイプとしてはフグと同じく “食べると毒” なタイプの毒なので、いくら毒でも、食われてしまっては元も子もないんですが、ただキノコの場合はフグと違って、どの部位も分け隔てなく毒だったりするので、フグよりもかなり賢いと言えそうです。 食べられるフグというのはいくらでもあるんですが、食べられる毒キノコはない。 そう思っておいたほうがいいでしょう。 塩漬けにしたり、よく水で洗ったり、干して乾燥させてり、茄子と一緒に料理したりすれば毒が抜けるから大丈夫。…といった、根も葉もない俗説もあるようですが、まったく何の根拠もないようで、ちっとも大丈夫ではありません。 もともとキノコなんてのは根も葉もないヤツなので、根も葉もない噂に惑わされてはいけません。 キノコの毒の幻覚作用で惑わされる事になるのがオチです。 ということで、さ、ここでいよいよ “解毒” について考えてみなければなりません。 『毒をとるお話』 というタイトルにしてしまった以上、毒をとらなければドクトル鯖としての立場がありません。 ここまでの話の流れからすると、世界最強という事にもなりかねないキノコの毒に、果たして弱点はあるのでしょうか? そのヒントは諺にあるのではないかと僕は踏んでいるんですが、そうです。アレです。 毒をもって、毒を制す。 毒キノコに打ち勝つには、もはやこれしか手がないのではないでしょうか? 「柄が縦に裂けるキノコは食える」 とか、 「色が地味なキノコは食える」 とか、 「虫が食べているキノコは食える」 とか、昔からの言い伝えには何の根拠も無いばかりか、むしろ有害だったりするものも少なくないんですが、目には目を、歯には歯を、毒には毒を。 何となくイケそうな気がしないでもありません。 ちなみにフグの毒に当たった場合は、首から上だけを出して土に埋めたりしますよね。 あれって本当に効果があるんすかね? ということで、調べてみました。

  フグ中毒の民間療法のうち最も有名なのに「土に埋めること」というのがあります。
  中毒症状を起こしますと血圧の低下が起こることから抹消部分を
  圧迫させて血圧の降下を防ごうとしたものだと思われます。
  また、体を冷却する目的でもあったようです。

 おお、ちゃんとした科学的な根拠があったんですなぁ。 民間療法も馬鹿になりませんなぁ。

  しかし、効果はありません。

 効果無いんかいっ!! で、毒キノコの解毒法についてもググってみたんですが、僕の感性にぴったりフィットするようなエレガントな療法は見出すことが出来ませんでした。 すぐに病院に行きましょう。 …とか、そんなのばかりで。 「毒キノコに当たった時はフグの肝を食べるといい。」 とか、「コブラに噛まれてみるのが効果的。」 とか、そういう話は出てこなかったので、いくらキノコに当たって苦しくて死にそうだからといって、自棄を起こして無茶するのは得策ではなさそうです。 で、解毒とはあまり関係ないんですが、 こんなサイト がありました。 千葉県立中央博物館と書いてあるので、僕なんかよりもよっぽどキノコの権威なんだと思われますが、中身のほうは結構シュール。

  No.1 ドクツルタケ

  (前略)  エレガントな姿からは想像もできない強い毒をもつ。
  致死量が約1本、食べた翌日位に本当の効き目が現われ、数日間から約1週間、苦しみ抜いた末に死んでしまう。
  食べた人の話によると、味は良いという。その姿と効き目から「殺しの天使」の名もある。

 …って、アンタ。 でまた、死にはしないものの、手足の末端の腫張、壊死。末梢神経障害による激痛。兆候は4〜5日後にでて1カ月続く…という、中毒の種類で言うと “拷問タイプ” に分類される “ドクササコ” という茸もあるようです。こんなものを食ってしまった日にゃ、むしろフグ毒による安楽死を選んだほうが幸せかも…? ちなみに毒キノコの判別法としてわりと有効なものに、 「とりあえずかじってみる」 というのがあるそうですな。 カジってみてヤバそうだったら毒キノコなんだとか。 毒キノコでも飲み込まずに唾液と一緒に吐き出せば、ぜんぜん大丈夫なんだそうですが、ただドクツルタケとか、味は良いらしいですからなぁ。 毒とは思わず、そのまま食べちゃいそうで怖いです。 毒なら毒でちゃんと不味くしておけよ!…と思わずにはいられませんが、間違えて食べちゃった場合は、とりあえず吐くしかないんでしょうなぁ。 そんな時、とっても頼りになるヤツがいます。クサウラベニタケぇ〜♪ (←ドラえもん風に。) コイツもれっきとした毒キノコなんですが、死んじゃう程ではなくて、「食べたらひどい目にあうもの」 というレベル。 食べたら下痢と嘔吐が止まらなくなるようで、それはそれでかなり嫌なんですが、ドクツルタケを食べちゃった後ではむしろ好都合。 上と下の両方からドクツルの毒を体外に排出してくれることになります。 実際、 こんな例 もあったみたいですな。 ま、 “しいたけお” が言ってることなので、あまり信憑性はないんですけどー。

 で、また新たな毒キノコの名前が登場しました。カエンタケ。 調べてみました。 これ ですな。 嫌過ぎる…。 今後、ちょっと嫌なことがあっても、ドクササコとドクツルタケとカエンタケを食わされるよりはマシだと思って、何とか頑張れるような気がしてきましたが、今からアルバムのレビューとジャケ絵を書かなければならないのがクソ面倒で、ちょっと嫌ですなぁ。。。 とりあえず気分がハイになるキノコでも食べて乗り切ろうと思うんですが、とまあそんなことで、おしまい。

 ということで、今日はオリバー・ネルソンなんですが、この人はアレです。 『ブルースの真実』 の人です。 JAZZ名演・名盤ガイドの類だと、ほぼこれ1枚だけで語られる一発屋。 そんなイメージを持ってる人も少なくないと思いますが、しかもあれ、フレディ・ハバード、エリック・ドルフィー、ビル・エバンスといった豪華なサイドマン目当てで買う人がほとんどだしぃ。 誰もリーダーには目をくれなかったりするんですが、ま、冒頭を飾る 「ストールン・モーメンツ」 は悪く無いので、作編曲家としての才能は認めないワケでもないんですけど。 とまあ、その程度にしか思われていない、このようなミュージシャンにスポットを当てるのがジャズ・サイトとしての使命じゃないのか!? …と、勝手な義憤に駆られたりしているんですが、ま、色んな人の名前を並べておいたほうが、何となく格好もつくしぃ。 ということで、今日は 『テイキング・ケア・オブ・ビジネス』 というアルバムを紹介したいと思います。 ジャケットで見るオリバーくんの印象が “ブル真” とはまったく違っていたりするんですが、ツキヨタケとマツタケくらい、まったく違いますよね。 レーベル・カラーの違いという事になろうかと思うんですが、プレスティッジ盤のこっちのほうが、より “オリバー・ネルソンの真実” に近い。 そんな気はします。 根はソウルなキャラなんでしょうな、この顔を見る限り。 で、これ、サイドマンが地味に悪くなかったりします。 レム・ウインチェスターのヴァイブと、ジョニー・ハモンド・スミスのオルガン入り。 ベタなソウル系でも新主流派風でも、どちらにでも転べそうなんですが、ベースはジョージ・タッカーで、ドラムスはロイ・ヘインズ。 いや、イケそうですな、こりゃ。 ということで、かなりの期待を持って演奏の経緯を見守っていきたいと思います。

 ということで1曲目。 オリバーくんのオリジナルで、 「トラン・ホイッスル」 。 “Train Whistle” なら列車の汽笛なんだろうなという気がするんですが、 “Trane Whistle” って、何なんすかね? 調べてみました。 「トレーンホイッスル」 。 片仮名に直してくれただけでありましたなぁ、 Excite 翻訳 。 ちっともエキサイトではない翻訳ぶりにガックリなんですが、こんなとき “ほんやくコンニャク” があれば、美味しい味噌おでんを作れるのにぃ。 ちなみにうちのほうでは味噌のおでんを 「味噌おでん」 と呼び、味噌ではない普通のおでんを 「関東煮」 と呼んだりするんですが、ま、この話は前にも何度か書いているので、これ以上は深入りしないことにして。 深入りと言えば、フカ入りスープの話も何度か書いたことがあるんですが、で、これはアレですな。 何だかすごく普通のブルースでありますな。 オルガンに軽くヴァイブが絡む形のイントロに続いて、オリバー・ネルソンがアーシーな雰囲気のテーマを吹く。 そんな感じのブルースです。 で、そのままテナーのソロへと流れていくんですが、この人のプレイはあれです。 抑揚が少なく平坦で、特徴にとぼしくて、ちょっぴりトコブシの風味。 そんなふうに僕は理解してたんですが、ここでの彼の吹きっぷりは普通に歌心が感じられるものがあって、悪くありません。 で、続いてはウォルト・ディッカーソンのソロ。 この人、“ヴァイブのコルトレーン” などと呼ばれることもあって、あ、そういえばこの曲のタイトルの“Trane Whistle” の “Trane” って、もしかして “John Coltrane” の事なのか?…という気もしてきたんですが、いや、演奏そのものはまったくトレーンっぽいくはなかったりするんですけど。 で、それはともかく、ディッカーソン。 この人は時として、えらく退屈な前衛系のプレイに走ることもあって、その点がちょっぴり心配されていたんですが、ここではオーソドックスなスタイルに終始して、とりあえずは安心院。 大分県にあるんですよね、安心院。 僕はずっと “あんしんいん(?)” と読んでいたんですが、 “あじむ” と読むのが正解だと分かって、ちょっぴりカルチャーショック。  とまあそれはそうと、続くジョニ・ハモのオルガン・ソロも普通に悪くなくて、で、その後、もう一度ネルソンくんが登場することになるんですが、何だか今度はさっきよりも気合が入っていて、頑張ってます。 でもって、短いベースのソロを挟んで、テーマに戻って、おしまい。 何だかこう、思ってたのとは違っていて、ちょっとアレだったんですが、これはこれで、そういうことなのかも知れません。

 で、次。 「ドキシー」 。 ロリンズの曲ですな。 ドキドキさせるよドキンちゃん♪ 僕はこの 「ドキシー」 というタイトルを見ると、このフレーズを思い出してしまうんですが、あと “土禁(どきん)” のクルマに乗り込む時とかも。 クルマを汚して叱られるんじゃないかとドキドキしてしまうんですが、曲そのものは何ともほのぼのした、能天気系でありますな。 個人的にはあまり好きなタイプではなく、もっと哀愁味があるほうがいいんですけど。 例えば、田原俊彦の 「哀愁でいと」 とか。 でもまあ、リーダーがこれをやりたいと言い出したんだから、聞いているほうとしてはそれに従うしかなく、ま、テーマはともかく、アドリブが始まってしまえばどれも似たようなものなので、別にいいんですけど。 演奏のほうは至ってシンプルで、オルガンのトリオをバックにテナーとヴァイブのユニゾンで主旋律が演奏されて、以下、オリ・ネル、ジョニ・ハモ、レム・ウィン、ジョー・タツの順で、充実したソロが繰り広げられることになります。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 ネルソンのソロ、なかなか頑張っていて、悪くはなかったっす。 さして名曲ではないが、そこそこ名演ではあったな。そんな気がしないでもありません。

 で、3曲目。  「イン・タイム」 。 テナーとヴァイブもしくはオルガンとの絡みで演奏されるテーマは何だかちょっとカッコよくて、なかなかいい感じ。 ネルソンくん、ようやくその実力の片鱗を見せてくれましたな。 微妙にファンキーなムードもあったりして、ヤンキーの兄ちゃんにも概ね好評。 あ、ファンキーのヤンキーねたは、あまりにも安易なので自粛しようと思っていたんですが、他にネタを思いつきませんでした。 もう、今日の僕は終わったな。 …という感じなんですが、一方、ネルソンのほうはというと、尽きることの無いアイデアで、表情豊かなフレーズを連発してくれております。 作編曲の才能はあるのかもしれないけど、楽器を吹くほうは今ひとつやな。 僕は今まで、この人のことをそんなふうに思ったりしていたんですが、ゴメンな。 今までの僕は間違っていたよ。そう訂正させて頂こうかと思います。お詫びはしませんけど。だって実際、平坦に聞こえたんだから、仕方ないじゃん。 でもって、続いてはジョニー・ハモンド・スミスのソロでありますな。 最初の2曲までは正直、この人のオルガンって、全体の雰囲気に今ひとつ合ってねーよな。 信号を適切なレベルに減衰させるには、アッテネーターがねえと。 …とか思っていたんですが、ここでは何だかいい感じに溶け込んでおります。コンピングの段階ではさほどでもなかったんですが、少なくともソロは大丈夫です。 何でもいいけどグーグル日本語変換を使うと、コンピングが “今萍” に変換されそうになっちゃうんですが、何なんすかね、今萍。 ググってみたら、「コンピング」ってgoogleIMEで変換したら「今萍」って出た。…というネタしか出てこなくて、その真意は不明なままなんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 で、4曲目、 「ルーズ・グッド・ジュース」 。 「ルーのよい汁」? ルーと言うとジャズ・ファンの場合はルー・ドナルドソン、一般人ならルー大柴の顔が浮かんでくるのではないかと思うんですが、いずれにしろ、あまり舐めたりはしたくありませんな、ルーの汁。 …と思いつつ翻訳サイトに掛けてみたら、 「ルウの良い支払われるべきもの」 という訳語が出てきたんですが、あ、“dues” は汁ではありませんでしたか。 汁は “juice” ですよね。 正しい汁の英語を知ることが出来て何よりですが、曲のほうは何だかアレですな。 オルガンのイントロが、何だか地味。 で、テーナーとヴァイブとオルガンのユニゾンで演奏されるテーマが、何だか普通。 ま、普通のブルースなんでしょうな、多分。 で、これ、何だかいつもと様子が違うな? …と思ってしまったんですが、その要因が判明しまいた。 アルトを吹いているんですな、ネルソンくん。 ルー・ドナルドソンに対するトリビュート? …とか思いながら原文ライナーをチェックしたら、違ってました。 Tribute for Louis Bellson と書いてありました。 ああ、ルイス・ベルソンでしたかぁ。 僕はその人のことは全然知らないんですが、ま、曲の感じからして、あまり大したヤツではないのではなかろうかと。 ネルソンのアルトの腕も、もさほど特筆すべき点があるようにも聞こえなくて、普通ですな。 ま、それなりに流暢ではあるんですけど。 あ、でも、オルガンとヴァイブのソロに続いて出てくる2回目のほうのソロを聴くと、それなりに流暢どころではなく、何だかえらく流暢でありますな。 どうもこの人、後半にヤル気を出すタイプのようなんですが、意外とやるやん、ネルソン。 とまあそんなことで、最後は結構盛り上がって、おしまい。

 で、次。 歌物ナンバーの 「オール・ザ・ウェイ」 。 好きなんですよね、この曲。 ネルソンくん、バラードでしみじみと聞かせてくれるかな? …と期待してたら、出だしの部分はテナーの無伴奏ソロで、なかなかお馴染みのテーマが出てこなくて、やきもきさせられるヤンキーのモッキー。 そんな感じの仕上がりになってたりしました。 名前が森清(もりきよし)とかだと呼ばれそうですよね、モッキー。 何だかヤンキーらしからぬ平凡な本名でありますが、 「こんなつまらん名前を付けやがって!」 とか、そういうところから親に反抗して、悪の道に進んだのかも知れません。 でもまあ、 モッキー はまだ、ピッチピチの小学生のようなので、長い目で見守ってあげようと思うんですが、でもって、演奏のほうはアレです。 言われてみれば確かに 「オール・ザ・ウェイ」 かな? …という気がしないでもないフレーズが登場したりもします。 で、そのうちリズムが入って来て、何となくソレっぽい仕上がりになったりするんですが、ソロ・パートはネルソン、ウィンチェスター、ジョニ・ハモの順番でありますな。 で、最後に再びネルソンが登場して、わりとよく頑張ってそれなりに盛り上がったところで、テーマに戻って、おしまい。 もっとシンプルな作りにしたほうがよかったんじゃないか?…という気がしないでもないんですが、ま、これはこれで、アレだったと思います。

 ということで、ラスト。 ネルソンのオリジナルの 「グルーヴ」 。 分かりやすいタイトルですな。 恐らく名前を考えるのが面倒になったんでしょうな。 僕としても真面目に解説をするのが面倒になったので、軽く流しておこうと思うんですが、タイトル通り “グルーヴ” な雰囲気を持った作品で、各自の良好なソロが楽しめます。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 正直、ちょっと微妙な作品ではあります。 ワンホーンではせっかくのアレンジャーとしての腕を振るうことも出来ないし、オルガン&ヴァイブという組み合わせは、もっとラテンっぽいノリにしないと、さほど有効的ではありません。 思うにこれ、オリバーくんが作編曲家としてではなく、一人のサックス奏者として、のびのびと吹いてみたかった。 そういう願望を具象化したものなのかも知れませんな。 そういう耳で聴くと、これはなかなかの出来だったりします。 今まで、凄く印象が薄かったオリバーくんのテナーなんですが、おまけのアルトを含めて、けっこうやるぢゃん♪ そう思わせてくれる1枚ではありました。 でもまあ、 『ブルースの真実』 でオリバー好きになった人達にしてみれば、やっぱり微妙。。。


INDEX
BACK NEXT