FREE WHEELING (VANGUARD)

TED BROWN (1956/11/26)

FREE WHEELING


【パーソネル】

ART PEPPER (as) TED BROWN (ts) WARNE MARSH (ts)
RONNIE BALL (p) BEN TUCKER (b) JEFF MORTON (ds)
【収録曲】

(01-03) ARETHA / LONG GONE / ONCE WE WERE YOUNG
(04-06) FOOLIN' MYSELF / AVALON / ON A SLOW BOAT TO CHINA
(07-09) CRAZY SHE CALLES ME / BROADWAY / ARRIVAL
【解説】 (2010年08月22日更新)

 甲子園へ高校野球を見に行きました。甲子園へ高校野球を見に行くのは高校生の時以来なんですが、僕が高校生だった時、甲子園に行ったんですよね、僕の高校。 四日市にある海星高校という学校なんですが、長崎にも海星高校というのがあって、夏の甲子園で2度ほど対戦したことがあるようです。 同じ 「かいせい高校」 という読みでは、めっちゃ賢いことで有名な開成高校と、「21世紀枠に負けたことは末代までの恥、腹を切りたい」 という発言で有名になった島根の開星高校というのもあって、なかなかバラエティに富んだラインナップでありますな。 混乱を避ける為、三重と長崎の海星は 「ひとで高校」、賢い開成高校は 「ひらきなおり高校」、ハラキリの開星は 「開星論のUFO党高校」 と呼ぶようにしてはどうか?…という提案を出しているんですが、今のところ世間の賛同を得られるまでは至っておりません。 それでは三重と長崎の区別がつかないしぃ、開成を「ひらきなおり」と読むのは無理があるしぃ、1996年、UFO党が東京都議会に提出した 「臨海副都心に宇宙人を歓迎するUFO離着陸ポートを建設する法案」 は、一顧だにされぬまま審議未了により廃案となったみたいだしぃ。 賛同を得られない理由はおそらく、そういうところにあるのではないかと自己分析を進めているところですが、で、三重の海星高校というのはどういうところかというと、さほど賢くはないんだけどDQNでは無くて、野球部は強い。後頭部はカリアゲ。 そういうキャラの学校でありました。 近年は “滑り止め私立高校としては地域トップクラス” としての地位も危うく、野球部の凋落も著しく、ここ10年ほどは甲子園からも遠ざかっていてちょっとアレなんですが、そこはそれ。 ま、そのうちに神のご加護があるのではなかろうかと。そういう教えの学校ですからね。 もっとも生徒は神サマなど誰一人として信じておらず、教室に掲げられた “幼子を抱く聖母マリア像” に紙くずを投げたりして遊んでいたんですけど。 そんなことするから罰が当たって、学校のレベルが落ちたんや!…と思わずにはいられません。

 とまあそんなことで、今年の夏の高校野球の三重代表は “いなべ総合学園” でありました。 つい数年前まで 「いなべの高校に負けたら末代までの恥」 みたいに言われていたような気がするんですが、いやあ、時代は変わりましたなぁ。 もっとも、全国的な知名度は最低レベルのようで、2ちゃんねるの 「2010年選手権最弱代表校はどこだ」 というスレでも “マツコ (松本工業) ” や “はちあたま (八頭) ”、 “ヒデアキ (英明) ” などと並んで、よく名前を挙げられておりました。 最終的にチャンピオンは能代商業で落ち着きそうな情勢なんですが、高校生たちが炎天下で汗水垂らして頑張っているというのに、何とも失礼な話でありますな。 いなべ総合の甲子園出場が決まった際は

83 :名無しさん@実況は実況板で:2010/07/28(水) 14:50:10 ID:Gk1l+xBj0
おなべキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

84 :名無しさん@実況は実況板で:2010/07/28(水) 14:50:21 ID:fT8Z7VOT0
いなべ到着しますた

85 :名無しさん@実況は実況板で:2010/07/28(水) 14:50:23 ID:jX7UggQr0
いなべー!

86 :名無しさん@実況は実況板で:2010/07/28(水) 14:52:45 ID:KkfB/8f+0
平仮名ーーー

 …と、何だかえらく盛り上がっておりましたが、やはり校名が平仮名というのはインパクトが強かったみたいです。 “いなかっぺ総合学園” というのもよく見られました。 ま、確かにイナカ臭いですからね、いなべ。 イカ臭いのとどちらがマシかというと、ま、似たようなものなんですが、かといって元の“員弁高校”という名前では、間違いなく “いんべん高校” と間違えて読まれちゃうしぃ。 通称 “いん高” って、そんなの間違いなく “淫行” よばわりされるし、 “いんべん” だと “検便” とか言われる恐れがあるし、智弁和歌山なんて案の定 “血便” とか言われてましたからね。 2ちゃんねるって、発想がほとんど塩サバ通信の俳句大会みたいで、なさけない限りなんですが、そんな期待の “いなべ総合” も、福井商業に6−0で、あっさり負けちゃいました。 ちょっとラジオから耳を離した隙に、一挙に6点も取られていて、笑うしかなかったんですが、最弱スレ的には順当な結果だったのではなかろうかと。 ま、最弱と言われるほど弱くはなかったんですけどね。普通に弱かっただけで。リリーフで登板して好投したピッチャーはまだ2年生みたいだし、来年に期待!…ということで。 一方、東海3県のチームでは愛知の中京大中京が2−1で山口の南陽工に辛勝。 南陽工は最弱候補のひとつに挙げられていたんですが、優勝候補(?)相手に健闘しましたなぁ。よく健闘した!…と、遣唐使も褒めてくれるに違いありませんが、一方、 優勝候補(?)の中京大中京は次の試合で早稲田実に21−6と大負けして、多大なるインパクトを与えてくれました。 で、岐阜の土岐商は1回戦で鳥取の八頭に15−2で完勝。 鳥取の人には申し訳ないんですが、対戦相手に恵まれたと言えると思います。多治見の人たちはさぞかし悔しい思いをしたでしょうが、隣同士、何だか仲が悪いみたいなんですよね、多治見と土岐。 近親憎悪というヤツなんでしょうか、よくありますよね、そういうの。 「枚方・寝屋川、都会闘争」 とか。 土岐の人が 「“はちあたま”に勝ったー!」 と喜んでいるその横で、多治見の人が 「最高気温で館林に勝ったー!」 と、関係ないところで喜んでいる姿が目に浮かんできます。 桑名もいつも最高気温では多治見に負けてしまって悔しい思いをしているので、 「敵の敵は味方」 の発想で、土岐を応援したいところなんですが、次の試合では東海大相模の一二三クンに1安打完封を食らっちゃいましたなぁ。 高校野球の勝敗というのはあまりにも予測不能で、琴光喜やさぞかし頭を悩ましたことでありましょう。…といった野球賭博ネタも、2ちゃんねるでは多く見られました。

 とまあそんなことで、もしイナベ君が勝ち上がって、尚且つ、雨天による順延が無かったら登場することになっていた8月15日、サバ兄とサバ兄ジュニア1号・2号 (←又の名をサバ甥1号・2号) が甲子園に行くというので、暇つぶしに着いていくことにしました。 とまあそんなことで、到着しました。 夜中の12時頃に家を出て、湾岸桑名ICから高速に乗って、新名神→旧名神と走って、西宮に2時半頃に着きました。 で、 ここ にクルマを止めました。 ここで朝まで最大限に仮眠するというマックス・カミンスキー計画が立てられていたんですが、クソ暑くて最小限しか仮眠できなくて、超寝不足。 寝られないので6時過ぎに電車に乗って甲子園球場に向かうことにしたんですが、この日は試合開始が9時半。 開門は8時半の予定で、いくらなんでも早過ぎるんじゃないか?…と思われたんですが、なんのなんの。 お盆休み&1試合目に地元の報徳学園が登場するということもあってか、すでにチケットを買い求める人たちの長い行列が出来ておりました。 チケットの発売&開門が7時15分に早まって何よりでありましたが、早く起きて並んだ甲斐があって、バックネット裏のやや一塁側寄りの、前から10列目くらいの好位置を確保することが出来て、何よりでした。いいですよね、好位置。 少なくとも森田公一よりはいいと思うんですが、とまあそんなことで、第1試合、開始〜。 この原稿がUPされる頃には優勝高も決まっている筈で、今さらジロー感が半端無いんですが、ま、簡単に振り返ってみることにしましょうかぁ。


< 報徳学園 (兵庫) − 福井商 (福井) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ☆試合結果☆  (←クリックすると魚拓ページに飛びます。)

 いなべ総合学園に勝った福井商業と、地元兵庫の報徳学園との対戦ですな。 とか言ってるうちに決勝戦が終わってしまったんですが、いやあ、強かったですなぁ、沖縄の興南。 振り返ってみれば、準決勝でその興南といい勝負をした報徳学園が、実質的には準優勝だったと言ってもよさそうですが、この時の試合を見た限りでは、飛び抜けて強いというイメージはなかったんですけどねー。 この日のピッチャーは、エースの大西クンから1年生の田村クンにつなぐという形だったんですが、その名前すらよく知らなかったしー。 試合は1回、いきなり先頭打者が3塁打を打って、その後、タイムリーヒットが出て、あっさり先生。 …って、誤変換で頭の中に 「アサリ先生」 という貝類のキャラが頭に浮かんでしまったんですが、あっさり先制。ちなみに桑名警察署には “クラム君” という、ハマグリのキャラクターがいます。グーグルで画像検索しても出てこないような泡沫キャラなんすが、で、報徳は4回にも1点を入れて、その裏に1点を返されたんですが、5回には2点を取って突き放し、その後、福井商の反撃を1点に抑えて、そのまま逃げ切り。 基本的に淡々とした試合だったような気がします。 で、写真の成果のほうはというと、バックネット裏だったので、ネットの網網感が出ちゃうのはやむを得ないところでありますな。 ま、好位置だったのでトリミング無しでもいい感じの大きさに撮れて、その点ではよかったと思います。


< 興南 (沖縄) − 明徳義塾 (高知) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ☆試合結果☆  (←クリックすると魚拓ページに飛びます。)

   ということで、第2試合です。 優勝候補…というか、現時点では既に優勝が決まっちゃった興南高校と、8月15日の時点では、とりあえず知名度だけで上位進出も期待されていた高知の明徳義塾との対戦ですな。 明徳と言えば松井秀喜の5打席連続敬遠なんですが、あれ以来、すっかりダークなイメージが付き纏っておりますな。 明徳と帝京だけは絶対に応援せん! そういう超保守的な爺ィというのも少なくないようです。 今から18年も前の話なんですが、馬淵クンのお陰で生徒としてはいい迷惑ですよね。 馬淵監督がお詫びの印に関係者にマブチモーターを配ったという話も聞いたことがないし、ま、それくらいで許される話でも無いですしね。 どうせならバルサ材と木工用ボンドもくれよぉ!…と言いたくなっちゃいますが、とまあそんなことで1回の表、興南高校の攻撃。 1回戦と同じく、いきなり先頭打者が3ベースを売って、その後、タイムリーヒットが出て、あっさり先制。 その後1点を追加して、興南、強っ!! エースの島袋クンは2回の裏、わりとあっさり1点を返されるんですが、4回、興南は伊礼クンがレフトスタンドにソロ・ホームラン♪ 5回にも連打で2点を加え、その裏、1点を返されたものの、終わってみれば8対2で興南の圧勝でありました。 しまぶーのトルネード投法は球の出どころが見にくくて、打ちにくそうですな、ありゃ。 中盤以降は尻上がりに調子を上げて、被安打8、四死球3ながらも12個の三振を奪って、自責点は2ですか。 対する明徳義塾のほうはシング・アンドリュー君が頑張ってましたな。 ま、4打数1安打なので、あまり大したことはないんですが、フィジー人というのがレアでした。 夢はプロ野球選手になって、世界の子どもたちにワクチンを寄付することって、立派なフィジー人ではありませんか。加山雄三も 「フィジーにおいで〜♪」 と、暢気に歌ってる暇があったら、ワクチンを寄付しろよ!…と思わずにはいられませんが、あ、真ん中の写真はアレです。 右下のほうに何やらオーブのようなものが写っておりますが、前の席のオッサンの頭が入っちゃっただけで、霊的なものではありません。よって、宜保愛子に相談にいかなくても大丈夫です。


< 仙台育英 (宮城) − 延岡学園 (宮崎) > (←クリックしても写真ページに飛びません。)

 ☆試合結果☆  (←クリックすると魚拓ページに飛びます。)

 ということで、第3試合です。 僕はですね、延岡学園のほうを応援してました。何だか弱そうだしー。 高校野球観戦の基本、“判官びいき” という奴ですよね。プロレスではアントニオ猪木 ではなく、ハルク・ホーガンを応援する。陸上の投擲競技なら円盤投げやハンマー投げよりも、砲丸投げのほうが好き。それが判官びいき。 (←違う。) で、一方、敵役の仙台育英はというと、1回戦、開星論のUFO党高校を相手にほとんど負けかけていたのに、勝ちを拾っています。 この試合 ですな。 甲子園には魔物が住んでいると言われますが、魔物にやられちゃいましたなぁ、開星のセンターの人。 ナマモノにあたって下痢気味だったりしたのかも知れません。 このフライを取れば便所に行けるっ!…と思って、一瞬、気が緩んだのかも知れません。 ま、肛門括約筋が緩んじゃったことを思えば、まだ全然マシだと思って諦めるしかありません。 落球シーンはハイライト映像にもないし、よかったですなー。 何でもいいけどこのハイライト映像の実況のオッサン、喧し過ぎぃ。 とまあそんなことで、仙台育英と延岡学園なんですが、これは神懸り的な好試合でありました。 1回表、仙台育英にいきなり1点を取られて、先行きに暗雲が立ち込める思いでありましたが、その裏、一挙に3点を取って、延岡学園が逆転! が、2回の表、一挙に5点を取られて再逆転を許して、ああん。。。 が、ここで諦めてはいけません。延岡学園は3回の裏に一挙4点を奪って、7−6と再逆転! なんちゅう試合やー。 この調子では、いったいどれだけ点が入るんだか分かったものではありませんが、仙台育英のピッチャーが木村クン(←通称・ボブ ) から田中クンに変わって、試合が落ち着きました。 延岡学園の坂元クンも2回にパカパカ打たれて押川クンと交代したんですが、3回からまたマウンドに復帰して、立ち直りました。 5回に仙台育英が1点取って同点になってからは、両チームともまったく点が入らなくなりました。 チャンスは作るんですが、相手の好守備に阻まれたり、バックホームでアウトになったり、スクイズを失敗したり。 延岡学園は何度も勝ち越せるチャンスがあったんですが、どうしても1点が取れなくて、結局、延長戦でありますかぁ。。。

 10回裏、11回裏と、一打サヨナラのチャンスだったのに、ここでも点が取れなくて、応援しているほうとしても何だか疲れてきちゃいましたなぁ。 外は暗くなってきて、帰りの時間が心配になってくるし、かと言って、途中で帰っちゃったりしたら、まず間違いなく後悔することになると思うしぃ。 こういっては何ですが、もうどっちでもいいから、さっさと勝負を決めろって! そんな捨て鉢な厭世観さえ漂い始めていたんですが、12回表、延岡学園の守備の乱れもあって、致命的な3点を取られてしまいました。 もしその裏、4点を取って軌跡の逆転サヨナラ勝ち!…とかだったら、それこそ神懸り的なんですが、世の中、そうそうドラマチックな展開などある筈もなく、最後はあっさり抑えられて、万事休す。 どうせ負けるんだったら、9回であっさり負けちゃえばよかったのにぃ。…と思わないでもないんですが、でもまあ、凄く面白い試合だったし、両チームとも全力を出せて何よりでありました。 とまあそんなことで、最後は面倒になってきたので、クリックしても写真ページには飛ばなくて、おしまい。

 結果的に優勝した興南高校の試合が見れたし、しまぶーの写真も撮れたし、その興南と好勝負を繰り広げた仙台育英や報徳学園の試合も見れたし、来年もまた甲子園に行ってキューリを食おう!そう心に誓った一日でありました。 いや、何だか妙に美味かったんですよね、キュウリの浅漬け。 こんなの 。 おそらく、軽い熱中症でカラダが塩気を求めていたからなんだと思いますが、なかなかいい塩梅に塩気が効いておりまして、そんなことで、おしまい。

 とまあそんなことでテッド・ブラウンなんですが、今日はあまり時間がありません。 というのも昨日(8月21日)、鈴鹿サーキットに “スーパーGT” の予選を見に行っていて、原稿を書く時間がなかったからなんですが、でも大丈夫♪ 今日はテッド・ブラウンですからね。何も書くことがなくて、後半はすぐ終わっちゃうに違いなくて、そもそもテッド・ブラウンって、誰?…と聞かれても、僕にもよく分かりません。 たまたま手元に 『フリー・ホイーリング』 というアルバムがあって、趣味の悪いジャケットも、書くのがそう大変そうではないので、今回はこれでいっちゃおうと心に決めて、現在に至る。 とまあ、ざっとそういう経緯だったりするんですが、アート・ペッパーウォーン・マーシュも入っていて、サイドマン的にはけっこう豪華。 ま、恐らく、僕のあまり好きではない、ウエスト・コースト系のサウンドであるに違いなく、ヤル気のでない夏休み終盤の日曜の午後にレビューするにはお手頃なのではなかろうかと。 下手に演奏がよかったりするとついつい力が入って、解説が長文化する恐れがあるんですが、その心配はまず無さそうです。 幸い、僕の持ってるCDには原文ライナーの日本語訳と、柴田博という人の書いた日本語ライナーがあるので、それを適当に引用するだけで、アルバム・レビューの体裁を整えることは出来そうだしー。 ちなみに日本語訳のほうは油井正一センセイが担当しております。 オーネット・コールマンを大網冷凍人間、コルトレーンを不治肩凝、タッド・ダメロンを勃起時不能論と訳された才人でありますが、その中に最大限仮眠魔=マックス・カミンスキーというのもありました。 高校野球ネタにさりげなく盛り込んでおきましたが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずは 「アレサ」 。 このアルバムでピアノを弾いているロニー・ポールのオリジナルです。 <オール・ザ・シングス・ユー・アー> を土台にしたもので、トリスターノのカラーを濃厚にとどめたテーマと、 “フォー・ブラザーズ” サウンドを想起させるサックスのアンサンブルが印象的である。…と柴田クンが書いているので、そういうものなんだと思います。そういえばこのテッド・ブラウンという人はトリスターノ派なんだそうですが、やはり僕のあまり好きではない、アンサンブル重視のサウンドのようでありますなぁ。…とか思っていたら、続いて出てくるポールのピアノ・ソロが思いのほかにスインギーで悪くなかったりするんですが、以下、ペッパー、マーシュと、これまた悪くないソロが続いて、で、最後にタイコのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。 テッド・ブラウンはアンサンブル・パートに参加しているだけのようです。 リーダーがそんなことでいいのか!?…と思ったらこれ、元々はウォーン・マーシュ五重奏団のメンバーにペッパーが加わったものなんだそうで、テッド・ブラウンはおまけなんですな。 何らかの事情でブラウン名義のアルバムとして再発されたのではないかと思われますが、ということで、次。  「ロング・ゴーン」 。 マーシュのオリジナルです。 <インディアナ> を元にしたものなんだそうです。こういう手法って、もしかしてけっこうビ・バップ的? というか、あるいはトリスターノ派というのがそういう奴らなのかも知れませんが、よくは分かりません。調べる気もありません。 テーマの後、ブラウンのソロが出てきます。脇役のくせに一番乗りとは、やりますなぁ。 何というか、普通にウォームなトーンで、そこそこスインギーな吹きっぷりなんですが、その後、マーシュのソロがあるようなことが日本語ライナーに書いてあるんですが、よく分からず、ピアノのソロにホーンが絡むようなパートがあって、ペッパーが出てきて、短いタイコのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。

 3曲目、 「ワンス・ウイ・アー・ヤング」 。 「かつて僕たちがヤングだった頃」 ですか。 ヤングだった頃はよくヤングコーンを食べたよなぁ。…とか、昔を懐かしく思い出しているんでしょうな。爺サン婆サン、乙。 で、これ、ロニー・ボールのソロをフィーチャーしたバラード。ブラウンがメイン・テーマを奏し、マーシュが見事なオブリガードをつける。展開部でのポールの哀感にみちた美しいソロがまさに絶品で、トリスターノ的な資質とは異なったポールのもうひとつの側面があますところなく伝えられている。…と、日本語ライナーに書いてある通りの演奏が展開されております。ちょっとした短い小品ながら、出来としてはなかなか。こういうバラードは西海岸派ならではですな。奈良の人なら、こうは行きません。 で、次。 「フーリン・マイセルフ」 。 ピアノのイントロがお洒落な、いかにも小歌っぽいナンバーです。ジェフ・モートンのブラッシュ・ワークもセンシティブ。 しばらくトリオで演った後、ブラウンのソロが出て、そこにマーシュとペッパーが絡んできて、いかにも知的なサウンドが展開されたりするんですが、でもって、管入りでテーマらしきものを演奏して、おしまい。 で、5曲目、 「アヴァロン」 。 3管が絶妙に絡むテーマ部のハモリ具合が印象的です。ピート・ブラウンのソロがフィーチャーされておりまして、いや、単なる脇役なのかと思ったら、わりと活躍しておりますな。 で、終盤はピートとドラムスの掛け合いで大いに盛り上がって、テーマに戻って、おしまい。

 6曲目、 「スロー・ボート・トゥ・チャイナ」 。 これまた軽快な歌物ナンバーでありますな。 スロー・ボートと言ってるわりにはそこそこスピード感もあって、で、テッド・ブラウンのテナーと、ロニー・ボールのピアノ・ソロがフィーチャーされて、で、この2人が4バースと2バースを繰り広げて、最後はほとんど2者が入り乱れて、でもってテーマに戻って、おしまい。 ま、アイデア的には悪くなかったと思います。 で、7曲目。 「クレイジー・シー・コールズ・ミー」 。 「気が狂った彼女は、私に電話をします」 。 こりゃ、たまったものではありませんな。居留守を使って、電話には出んわ。 そういう態度を取るのが賢明なような気がするんですが、それならそれで 「どうして家にいるのに電話に出んの!」 と、家まで押し掛けてくる恐れもあって、それはもっと嫌ですよね。引越し。それが最良の手でしょうなぁ。引越しが無理なら、モッコシというのが次善の策なんですが、ま、モッコシしてみたところで問題が解決するとはとても思えないんですけどー。 とまあそんなことで演奏が始まりましたが、予想に反して何だかえらく静かなバラードでありますなぁ。 気が狂った彼女、電話口で陰々滅とグチをこぼしたりするだけで、さほど害はないのかも知れません。それだったらモッコシで、何とかなるかもー? マーシュがテーマをフェイクして1コーラス、つづいてボールが 1/2コーラス、ブラウンが 1/4コーラス(ブリッジの部分)、残りの 1/4コーラスはブラウンとマーシュの絡みあい (伴奏) によって展開されるという、そういうアレだったようですが、ま、悪くはなかったと思います。やや単調だったので、個人的にはちょっとアレだったんですけど。

 で、次。  「ブロードウェイ」 。 軽快な歌物ナンバーです。ゆったりとしたレイジーな雰囲気で演奏されております。中間部のアンサンブル・コーラスはカウント・ベイシー楽団でのレスター・ヤングのソロをそっくり転用したものなんだそうですが、そういうのが好きなんですかね、トリスターノ派の奴らは。よく分かりませんが、とりあえず個人的にはマーシュとペッパーのソロがよかったと思います。ベン・タッカーのウォーキング・ベースも聞けます。 ということで、ラスト。  「アライヴァル」 はロニー・ボールのオリジナル。 ドラゴンズの二遊間コンビのアライバ (荒木&井端) にルー大柴が加わると 「アライバルー」 になるんですが、アライバというと何だか “洗い場盗撮” みたいで、変態っぽいですよね。 +ルー大柴だと、無駄にテンションが高そうだしー。 で、演奏のほうはというと、普通にバップっぽい仕上がりだったりして、ま、黒人さんたちのソレに比べると、遥かに賢そうなハーモニーが聞かれたりするんですが、アドリブ・パートでは普通に各自の卓越したソロが聞けるので、その点では安心です。中盤以降は各自の絡み合いやら4バースやら2バースやらで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日は以上です。

【総合評価】 思ってたほど、極限まで面白くないサウンドというわけではなくて、一応は最後まで頑張って聴くことが出来ました。 個人的にはペッパーとロニー・ボールのソロが聞けたのは収穫で、ウォーン・マーシュも思ったよりも悪くはなくて、テッド・ブラウンは特に印象無し。 そんな1枚でありました。 何でもいいけど、頭の上でクルクルとコマが回っていたりして、かなりアホそうな犬 (?) でありますな、こりゃ。


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