DEXTER CALLING (BLUE NOTE)

DEXTER GORDON (1961/5/9)

DEXTER CALLING


【パーソネル】

DEXTER GORDON (ts) KENNY DREW (p)
PAUL CHAMBERS (b) PHILLY JOE JONES (ds)

【収録曲】

(01-03) SOUL SISTER / MODAL MOOD / I WANT MORE
(04-06) END OF A LOVE AFFAIR / CLEAR THE DEX / ERNIE'S TUNE
(07-08) SMILE / LANDSLIDE
【解説】 (2010年05月09日更新)

 いやあ、連休でしたなぁ。 連休なので緊急に電球の研究でもしようかと思ったんですが、よくよく考えたら電球など早急に探究しなければならないテーマでもないので、やめました。 結果、やる事がなくなって、とっても暇でした。 僕の場合、暦どおりのお休みだったので、5月1日から5連休だったんですが、最初の2日間は塩サバの原稿とジャケ絵書きで潰れました。 アスキーアートを作ったりしたので、クマーの改変で、(゚д゚)ヒマー な状態を回避することが出来ました。 が、それも飽きました。 3日目にはやる事がなくなって、完全にダラけてしまいました。 ダラけて鼻毛を抜いたりして過ごしていたんですが、あと2日もこういう状態が続くのかと思うと、何だかやりきれません。 こうなったらもう、どこかに行ってやるぅ! …ということで、どこかに行ってみることにしました。 やりきれない時に行くところといえば、 ヤリキレナイ川 というのが最初に頭に浮かぶんですが、さすがに北海道夕張郡由仁町というのはちょっと遠すぎますな。 4日目だけ何とかすれば、最終日はその余韻で何とか過ごすことが出来るので、お手軽に日帰り出来る範囲内で何とかしたいところです。 高速道路料金の上限が 1,000円なのは大変ソソられるものがあるんですが、その分、酷い渋滞に巻き込まれる恐れもあるし、ここはやはり鉄道利用のほうが無難かも知れません。

 こうなったらもう、鯖江 (←福井県) に行ってやるぅ!…というプランがまず最初に浮かんだんですが、とりあえず、お花が綺麗に咲いているところがいいと思うんですよね。 で、調べた結果、 西山公園 というところに、ツツジがたくさん咲いていることが判明しました。 個人的にツツジにはあまりいい思い出がないんですけどね。 そういえば小学生の頃、テツジという名前のヤツに虐められたなぁ。…という記憶が蘇ってくるところがよくないんですが、ただ、鯖江という地名にはかなり惹かれるものがあります。 『サバくん、鯖江に行く』。 語呂がいいですよね。鯖江駅より徒歩15分と、交通アクセスもまずまずだし、で、ついでなら現地で何か美味しいものでも食べたいところでありますなぁ。 サバ寿司とか。 が、個人的にはサバ寿司って、さほど美味しいとは思えないので、出来ればあまり食べたくないところなんですが、鉄道の旅ということになると、駅弁なんかがいいかも知れませんな。お手軽だしー。 で、鯖江駅にはどんな駅弁があるのかと思って調べてみたら、若狭牛ステーキ重 というのがありました。 おおっ、美味そうじゃん♪ ステーキ重と言いつつ、半分というか、5分の3くらいが “牛そぼろ重” っぽいところがちょっとアレなんですが、 “そぼろ” って、ぜんぜん重くはないですからね。 でもまあ、“牛そぼろ軽” だと思って買ったら、ステーキまで入ってたぁ♪…と考えれば、すごくラッキーなような気もするし、これはもう、鯖江で決まりでありますなぁ。

 ということで、京都に行くことにしました。 いや、何となく鯖江が面倒に思えて、途中で気が変わったんですが、どうやら宇治の 平等院 で、藤の花が見頃らしいんですよね。 小学生の頃、テツジくんに虐められた僕も、藤田クンとはけっこう仲がよかったので、藤のほうが遥かに印象がよかったりします。 それにツツジなんてヤツは桑名の九華公園にだって咲いているし、 関ヶ原ウォーランド でも、いっぱい写真を撮りました。 別に珍しくも何ともないので、どうだっていいです。 それに宇治という地名であれば、サバくんという恥ずかしい呼び名を捨てて、堂々と本名で勝負することが出来ますからね。『ユウジくん、宇治に行く』。 いいじゃないっすかぁ。 ただ、 “若狭牛ステーキ重” が食べられないのはちょっと残念なんですが、でも大丈夫。 調べてみたら京都には はつだの特製和牛弁当 というのがあるようです。 オヤジナイトくんも絶賛♪ これはもう、買うしかありませんなぁ。 下手をすると午前中に売り切れることもあるそうなので、京都駅に着いてすぐ、伊勢丹の地下2階へと直行したんですが、無いっ。どこにも無いっ。。。 売り切れたのではなく、存在そのものが見当たらなかったんですが、もしかして、オヤジナイトの野郎のガセネタだったんすかねー? 10分ほど 「老舗弁当」 と書かれたコーナーの周辺をうろついたんですが、どうしても見つけることが出来ず、もういいっ! 特性和牛弁当なんか別に食べたくないっ! 売ってなかったけど、別に悔しくなんかないっ! こうなったらもう、サバ寿司を買ってやるぅ!!

 が、神様は僕を見放しませんでした。 探すのをやめた時〜、見つかる事はよくある話で♪…という 「夢の中へ」 の法則 ( by 井上陽水 ) は、平成の時代になっても有効だったようで、諦めて売り場から離れようとした僕の目に 「和牛」 という文字が飛び込んできました。 おおっ、発見♪ この店の前は3回ほど通っていた筈なんですが、どうして気が付かなかったんですかね? 売り切れた時はでかでかと張り紙が出ているようなんですが、売り切れてない時は、わりとひっそり売られているんですなぁ。 僕の前にいたおばちゃんが 「和牛弁当、2個くださ〜い。」 と言ったので、それで売り切れてしまうのではないかと気が気ではなかったんですが、大丈夫でした。これで、心置きなく宇治に行けるというものですが、もし途中で諦めていたら、ウジウジした気分のまま宇治に行く破目になるところでした。いやあ、危なかったっす。


<平等院> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、無事、宇治に到着〜。 京都駅からJRの奈良線で約30分といったところでしょうか。 で、平等院。 平等院と言えば鳳凰堂なんですが、鳳凰など別に珍しくもなんともないですよね。 あんなもの、桑名の “ぬし与仏壇店” の屋上にだって止まってます。 ほら 。 ちなみにこの仏壇屋、僕が小学生だった頃は小さな民家のような店構えだったんですが、ある日、立派なビルに建て替えられました。 その際、屋根の上の鳳凰も2代目になったんですが、建物のほうに予算を使いすぎたのか、見た目がかなり安っぽくなってしまいました。別館 『たん亭』 スタッフには ヘンテコリンな鳥扱い されてるし、昔のほうがよかったのにぃ。。。 で、もしかして平等院の鳳凰は、ぬし与仏壇店よりも立派だったりするんですかね? 期待と不安が渦巻く中、駅から歩いて15分ほどで到着したんですが、さすがはゴールデンウィークだけあって、長蛇の列が出来ておりました。 平等院の敷地内に立ち入るのに大人で 600円ぼったくられるんですが、その券を買うのに15分ほど並びました。 鳳凰堂の中まで見ようと思ったら、別途で志納金を 300円ふんだくられるんですが、こちらは20分毎、50名までの完全入れ替え制になっていて、今からだと2時間ほど先しか入場出来ないようで。 そうまでして中なぞ見たくはないので、外から眺めるだけで妥協することにしたんですが、いやあ、なかなか立派なものでありましたなぁ、鳳凰堂。 ま、600円出す価値があるかどうかは人それぞれだと思いますが、少なくとも 10円玉の裏くらいの価値はあるような気がします。 寺というのは古いか新しいか、立派かシケているかの差があるとは言え、基本的にはどれも似たような建物だったりするんですが、五重塔や鳳凰堂だけはちょっと別格です。 何というかこう、木製建築模型ヲタの心を激しく揺さぶるものがありますよね。 木製建築模型と言えば、とりえず 「平等院の鳳凰堂」 と 「法隆寺の五重の塔」 と 「姫路城」 やろ!?…という気がします。 が、 これ を見たら、 2010年05月08日21時08分現在、姫路城は10位、鳳凰堂は19位が最高ですなぁ。薬師寺・東塔や松本城に負けたのは、まだ諦めが付くんですが、 「みちのくの水車小屋」 や 「狭小住宅B(平屋根の家)」 よりも下だとは。。。

 で、僕のお目当ての藤の花はというと、確かに咲いておりました。 が、敷地内の片隅にちょっとした藤棚があるだけで、正直、ちょっと期待はずれでありましたな。 むしろ、忌まわしいツツジのほうが目立っていたんですが、いや、別に綺麗だったから、ぜんぜん問題はないんですけど。 で、一方、鳳凰はというと、鳳凰堂の屋根の上には偽者のヤツしか止まっていませんでした。 ま、墨俣一夜城の金のシャチホコみたいに盗まれちゃってもアレなので、やむを得ないところではあるんですけど。 じゃ、本物はどこにいったのかと思ったら、平等院の中にちゃんといました。 “鳳翔館” という博物館のようなところに展示されておりました。 オスとメスそれぞれ1匹ずつ、別々のガラスに入れて展示されていたんですが、さすがに立派でした。 仏壇屋のキャラのように無駄にケバケバしく彩色されていないところに、本物としての威厳が感じられました。 金閣寺でもシャチホコでも、変に金ピカだと、かえって安っぽく見えたりしますからねー。 ちなみにこの鳳凰のうちのオスかメスかのうちのどちらかが、1万円札の裏を飾っているわけなんですが、あ、よくよく調べてみたら、鳳凰のオスとか鳳凰のメスといった言い方は、正しくないんですな。 鳳凰のうちの鳳がオスで、凰がメス。 そういうことになるそうです。 鳳啓介はオッサンなので、辻褄は合ってますな。 で、どうやら麒麟というのも麒がメスで、麟がオスだったりするようなんですが、平等院の鳳凰は雌雄同体という説もあったりするようで、何だかよく分からないので、次。

 雲中供養菩薩像。 いや、これはよかったです。個人的には、鳳凰より、いいっ♪ 井伊直弼よりも、いいっ♪…と思ってしまった程なんですが、どんなヤツなのかというと、 こんなヤツら なんですけど。 全部で52匹いるうち、半分が平等院の中から持ち出されて鳳翔館に展示されているんですが、壁一面、色んなタイプの菩薩が飛んでいる様は、けだし圧巻でありました。 是非、フルタ製菓から 「チョコエッグ雲中供養菩薩像編」(全52種+別途シークレット) として発売して頂きたいところですが、シークレットはやはり、御本尊の阿弥陀如来坐像なんでしょうか? あるいは意表をついて鳳凰だったり、もっと意表をついてケロロ軍曹だったりするのかも知れませんが、あまりにも奇を衒い過ぎて、暴動が起きるレベルであるような気もするんですけど。 とまあそんなことで、よかったです、鳳翔館。 鳳凰堂を外から見るだけで 600円というのは、ちょっとぼったくりだと思ったんですが、これだけ宝物を見られるのなら納得です。 臓物でも食えば1皿 168円くらいは取られるワケだしー。

 


<宇治公園> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、続いては、すぐ近くの 宇治公園 というところに行ってみました。 宇治の駅前はマンションとかが建っていて、とっても都会だったし、平等院の周辺も普通に住宅密集地だったんですが、そこから数分歩いただけで、こんなに景色が変わるんですなー。 宇治川というのはどうせ、ウジ虫が湧いてるドブ川のようなものだろうと踏んでいたんですが、なかなかどうして、思ったよりもずっと立派な川でありました。 調べれみたら、これ、要は 淀川 なんですなー。 琵琶湖から流れ出した瀬田川が、京都に入ると宇治川と呼ばれるようになって、やがて淀川と名前を変えて大阪湾に注ぐことになるんですが、善太川と同レベルだと思い込んでいて、正直、すまんかったっす。。。 川べりに腰を下ろして、遊覧船を眺めつつ “特性和牛弁当” を食べたんですが、おおっ、 お肉たっぷり ♪ 一見すると牛丼っぽく見えるかも知れませんが、ゴハンの上にキャベツを乗せて、その上に炭火で焼いた肉が敷き詰められております。 ダシ巻き卵とか、カマボコとか、そういった貧乏臭いおかずは一切無くて、肉オンリー。 シンプルでいさぎのよい弁当だと思います。 肉とキャベツにはいい感じにタレが沁みていて、美味ちい♪ めっちゃ美味ちい♪ 肉はちょっと脂っぽい部位もあったりして、美味ちい♪ あまりにも肉だらけなので、食ってる途中でちょっぴり口の中がクドくなってくるんですが、そういう時は唯一の副菜といっていい “しば漬け” が絶妙のお口直しとなります。 こいつのおかげで何とか 「京都のお弁当」 の体裁を保っているとも言えるんですが、いやあ、わざわざ伊勢丹まで行って、10分ほど徘徊しただけの甲斐がありました。 ま、これで1680円の価値があるかと言われると、ちょっと微妙なところではあるんですが、ま、ホルモンが嫌いな僕としては、1皿 168円の臓物を10皿食うよりは、遥かにマシなのは間違いありません。

 すっかり満足して、橋を渡って川の真ん中にある島へと渡ってみたんですが、橋の向こうの宇治川の流れは、けっこうワイルドでありました。 あちこちに こんな看板 が立っていたんですが、確かにこりゃ、泳いだら溺れて、お魚もびっくりでありましょう。 ながれ・はやいクン(8歳)、自業自得とはいえ、哀れですなぁ。。。 とまあそんなことで、その後、付近のシケた神社を散策したりしたんですが、面倒になってきたので、その話はまた、いずれ。 で、家に帰って何気なく2ちゃんねるのニュース速報をチェックしてたら、こんなスレが。

 【京都】河川敷でバーベキューをしていた横浜の男性(23)、水遊びで流され行方不明に 宇治川

 えええええええ!? BBQをしているようなDQNは見当たらなかったような気がするんですが、

    1 :かなえφ ★:2010/05/04(火) 23:40:39 ID:???0
  4日午後3時25分ごろ、

 …って、僕が帰った直後にそんな悲劇が起こっていたとは。。。 続きを読んだら京都市伏見区横大路下三栖里ノ内の宇治川と書いてあったので、 僕がうろついていたところより10キロほど下流のようですが、恐らくそこも 「ながれ はやい およぐな」 だったんでしょうなぁ。 川は恐いですなぁ。河童も出るしー。 伏見と言えばカッパ黄桜の地元なので、尚更ですよね。 何でもいいけど、この手のニュースになると、必ずと言っていいほど、このコピペが出てきますよね。

  258 :名無しさん@十周年:2010/05/05(水) 09:44:04 ID:YH0p4+wO0

  こういうDQNは止めても無駄なんだよな
  俺も遊泳禁止の場所で遊んでるDQNに向かって
  危ないぞ、沖に流されたらどうするんだ!って注意したら
  DQN「おきに流されるって、後鳥羽上皇かよwww」
  DQN女「マジ受けるんだけど、超承久の乱〜」
  とか言って聞き入れなかったわ

 とてもよく出来た話だと思うんですが、 「超承久の乱〜」 って、DQN女にしては、ちょっと教養があり過ぎぃ。 いずれにしろ、これからの季節、暑くて水が恋しくなるんですが、絶対に遊泳禁止の場所で泳いではいけません。 無論、 「遊びで泳いでんじゃねーよ!真面目に全力で泳いでんだよ!」というのも駄目です。 遊びでなかろうと、真面目だろうと、全力だろうと、溺れる時は溺れます。 ああ、溺れるものは久しからず。。。 ということで、今日のお話は、おしまい。

 ということで今日はデクスター・ゴードンです。 デクスター・ゴードンといえば、 「溺死体、合同葬儀に、間に合わず」 という人名俳句があったような気がするんですが、鮭師匠の作でしたか? 今日のネタに超タイムリーというか、いささか不謹慎な気もするが。…と、イササカ先生が苦言を呈しておりますが、もうちょっと健全な作風のほうがよかったかも知れません。 「えり子で楠田、後藤、ん〜♪」 とか。 いましたよね、楠田枝里子。『なるほど!ザ・ワールド』 の司会とかやってました。 で、いましたよね、後藤えり子。 『痴・女教師 後藤えり子』 とかに出演しておりました。個人的に女教師モノってあまり好きではないんですが、とまあそんなことで、今日は 「デクスター・コーリング」 というアルバムを紹介したいと思います。 いやあ、めっちゃ電話してますなぁ、デックス。 このニヤケ具合からすると、「パンツの色は何色ぉ?」 とか聞いてるんですかね? ま、ジャケ絵でこのニヤケ具合を再現する自信はまったくないので、この件に関してはあまり深入りしないようにしておきますが、で、これ、メンバーがいいですよね。 ケニー・ドリューポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズ。 いいですよね、ドリュー。 何と言うか、度量の大きさのようなものを感じさせます。 いいですよね、フィリー・ジョー。 何と言うか、 「フィリー・ジョーだじょー♪」 といったノリのよさを感じさせます。 ただ、ちょっと問題なのはポール・チェンバースなんですが、ポールって、棒だよな。…という印象しかなかったりしますからね。 油断するとすぐに弓を持ち出したりするし、取り柄と言えば、黒人のわりに見た目がまったく恐くなかったりすることくらいなんですが、あ、チェンバースのスレというのもあるんですな。

  ポール・チェンバース

  1 :名無しさん@そうだ選挙に行こう[]:2005/09/10(土) 22:28:52 ID:SM0Vyrwu
  過去にあったらスンマセン。
  なぜがアルコのギコギコソロばかり叩かれるこの人。
  でも、バッキングはいいと思うけどな〜。
  語っておくんなまし。

 読んでみたら内容はえらくマトモで、チェンバースのギコギコが嫌われるのは、ブルーノートの録音のせいもあるのではないか?…というところに落ち着いておりましたが、なつほど、ルディ・ヴァン・ゲルダーは管楽器重視、ベースは軽視、ケーシーは高峰。そういうスタンスだったんですな。 そう言われると、ポールくんを馬鹿にするのがちょっと可哀想な気がしてきたんですが、34歳で若死しちゃったし、今日はひとつチェンバースを温かい目で見るというか、暖かい耳で聞いてみたいと思うんですが、とまあそんなことで、1曲目。 ゴードンのオリジナルで、 『ソウル・シスター』 。 これはアレです。ゆったりしたテンポのソウルフルなシスターです。 この場合のシスターは姉妹というより、修道女の事なのかも知れませんが、若干ゴスペルっぽい雰囲気もあったりしますよね。 テーマは3/4拍子で書かれている。彼の3拍子のジャズはこれがはじめてである。…と、日本語ライナーで岩浪洋三クンが語っておりますが、成るほど、言われてみれば確かに3拍子ですな。 テナーとピアノの掛け合いがコール&レスポンスなテーマ部に続いて、ゆったりした4ビート (←だと思う) に乗せてデックスがソロを取るんですが、何とも言えないダルなムードが漂っております。 極端なまでの後ノリがこの人の特徴なんですが、半拍くらい置いていかれそうになって、それでも何とかギリギリ踏みとどまるところが立派です。 続くドリューのソロも同じ空気を追従しておりまして、でもって、みんな、おまたせ! いよいよここでチェンバース君の登場となるんですが、ギコギコではなく、普通にピチカートなのは、よかったんだか、悪かったんだか。 弓でなく、普通に指で弾いてる分には文句の付けようがないですからね。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 アルバムの冒頭を飾るには、ややディープな嫌いが無かったわけではないんですが、ま、普通によかったのではなかろうかと。

 で、2曲目です。ドリューのオリジナルで、 『モーダル・ムード』 。 これはアレですな。ちょっと速めのテンポで演奏される、モーダルなムードを持った作品でありますな。 ピアノのイントロに続いてデックスがテーマを吹いて、で、そのままアドリブへと流れていくことになるんですが、ドライブ感が半端ではありません。 後ノリなのにグイグイと前に進んでいく、不思議な感覚を味わうことが出来るんですが、フィリー・ジョーの切れ味鋭いドラミングも絶妙で、チェンバースのバッキングも悪くないと思います。 少なくとも罰金モノのバッキングということはありません。 で、続くドリューのソロも完璧な出来の緩閉式チェッキ弁。…といった感じで、で、最後、テナーとドラムスの絡みで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、いい仕上がりでありました。 で、次。 『アイ・ウォント・モア』 。 デクスターのオリジナルなんですが、これまたなんともノリのいいナンバーでありますな。 テナーのソロはもはや、恍惚の境地に達していると言ってもよく、時々、どこかで聴いたことがあるフレーズを引用したりするところも飲尿好きのこの人らしいです。 ドリューのソロも悪くないんですが、スインギーなデクスターのワンマンぶりがたっぷり聴ける。…と洋三クンも書いているように、リーダーの独断場と言える仕上がりでありました。

 ということで、4曲目。歌物ナンバーの 『エンド・オブ・ア・ラブ・アフェア』 。 「情事の終わり」 などという、何とも気怠い邦題が付けられておりますが、その実、本当は哀しい失恋のバラードだったりします。 が、ここでのデックスは山本譲二なノリで押し通しておりまして、いや、いいですな、こりゃ。 彼の自然なアドリブがよく出ており、彼の名演のひとつに挙げられる。…と、岩浪クンも絶賛しておりますが、確かにこれは名演です。金沢の兼六園、岡山の後楽園、水戸の偕楽園にも負けないものがあると思います。 少なくとも桑名の 伝馬公園 には勝ってます。 船の形をした遊具が残骸になった今は、単なるその辺の公園に成り下がっちゃいましたからね。 ま、すぐ裏手に 天武天皇社 があるところは、 「超壬申の乱〜」 で、悪くないと思うんですけど。 で、その後、ドリューが出てきて、こんにちは〜。ぼっちゃん一緒に遊びましょ♪ …となって、テナーとタイコの絡みで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 で、次。  『クリアー・ザ・デックス』 。 ドリューの曲です。 これは、ま、普通ですな。 正直、似たような感じの演奏が続いて、ちょっと飽きてきたような気もするんですが、でも大丈夫。 みんな、おまたせ! テナー、ピアノとソロ廻しが続いた後、ついに登場、チェンバースくんのギコギコソロっ♪ が、やっぱりこれは、どうしても好きになれませんな。録音がどうのこうのとか、そういう話とは無関係に。 生理的に受け付けないので、こればかりはどうしようも無いんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 で、6曲目、 『アーニーズ・チューン』 。 デクスターのオリジナルなんですが、バラードなんですな、こりゃ。 同じようなテンポに飽きかけていたので、ここでスローなのを出てきたのは大歓迎です。 肉ばかり食った後の “しば漬け” のような清涼感があります。 ちなみにタイトルにあるアーニーというのは 『コネクション』 という麻薬劇の登場人物なんだそうですが、マクリーンとかが出ていた例のヤツにデクスターも関わっていたんですな。アーニーのジキルとハイド的性格を表現した云々と日本語ライナーにありますが、痛いのを我慢するか、手術して痔を切るか、ジキル博士としても、心が揺れ動くところでありましょう。 さっさと切れよ!…という気もするんですが、手術ってやっぱり、ちょっと勇気がいるしー。 基本、テーマをストレートに吹いているだけで、ピアノのソロとかも出てこない小品なんですが、これはこれでよかったんじゃないかと思います。 で、次。 「スマイル」 。 チャーリー・チャップリンの曲なんだそうですが、作曲まで出来るんですな、チャップリン。 せいぜい、宇治で 「茶プリン」 とか作ってるだけだと思っていました。すいません、みくびってました。 で、これがまた、普通にいい出来だったりするんですが、デクスターのスインギーな吹きっぷりも快調そのもの。 時おり、音が裏返ったりするのもご愛嬌でありまして、ま、靴下が裏返っているのと比べたら、それほど恥ずかしくもないしー。 ちなみにタビックスの右足ばかりに穴が開いて左足が2足残ってしまった場合、裏返してやれば右足用として再生が可能なんですが、とまあそんなことで、ドリューのピアノとか、チェンバースのギコギコとかがフィーチャーされることもなく、ほぼデクスターの一人舞台状態で、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 デックスのオリジナルで、 「ランドスライド」 。 ハード。バップ調の明快で楽しい演奏でデクスターのテナー・ブローが一際目立っている。…と日本語ライナーにある通りの演奏でありまして、何でもいいけどこれ、CDオマケ曲だったんですな。 となれば、わざわざ気合を入れて解説をする必要もなくて、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 全曲でデクスターのテナー・ブローが一際目立っている、そんな1枚でありました。 特に前半の4曲は、非の付けどころのない快演だと思います。 もう、海援隊の武田鉄矢もびっくり。 欲を言えば、ドリューのピアノが思ったほど目立たなかったのがちょっと残念なんですが、その分、チェンバースもあまり出しゃばってないし、とまあそんなことで、ま、よかったのではないかと思います。


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