THE HAP’NIN’S (PRESTIGE)

GIGI GRYCE (1960/3/3)

THE HAP'NIN'S


【パーソネル】

RICHARD WILLIAMS (tp) GIGI GRYCE (as) RICHARD WYANDS (p)
JULIAN EUELL (b) MICKEY ROKER (ds)
【収録曲】

(01-03) FRANKIE AND JOHNNY / LOVER MAN / MINORITY
(04-06) SUMMERTIME / NICA'S TEMPO / DON'T WORRY 'BOUT ME

【解説】 (2010年01月10日更新)

 1月1日午前の部、異常なし。午後の部、異常なし。1月3日午前の部、異常なし。午後の部、異常なし。…と、冬季休暇中の巡回点検4回分 ( ← ここ 参照) を、5分で片付ける予定だったんですが、現場に到着して、唖然。 めっちゃ雪、積もってるやんっ! いや、大晦日から元旦に掛けて大雪になるという話は聞いていたんですが、桑名ではさっぱりだったので、油断してたんですよね。 が、海津→養老→垂井と進むにつれて、道路脇に積まれた雪の量が次第に多くなり、ポンプ場がある小学校の敷地は完全に 雪に埋もれておりました。 四駆+スタッドレスだったので安心して突っ込んだら雪に埋もれて、先に進めなくなりました。 慌ててバックしたらスベって、身動きが取れなくなりました。ヤバっ! もがいているうちに、何とか積雪地獄から抜け出すことが出来たんですが、いやあ、正月早々、大ハマリするところでしたな。 安全地帯にクルマを止めて、歩いて現場を巡回することにしたんですが、膝下くらいまで雪が積もっていて、ワヤでした。長靴を持っていなかったので、靴の中は雪でべちゃべちゃ。正月早々、何でこんな目にあわなアカンねん!? 一応、1月1日の分も証拠写真を撮っておいたんですが、恐らく1日の時点ではこの地点まで、辿り着くのは不可能だったでしょうな。 巡回する気は満々だったんだけど、大雪で現場に辿り着くことが出来ず、無念のリタイア。 そういう筋書きにしたほうが賢明なような気もするんですが、とまあそんなことで、約20分を費やしてしまったものの、無事、巡回点検は終了。 さ、遊びに行くぞぉ♪


<伏見稲荷大社> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 当初、1月3日に若狭湾方面を散策し、4日に京都の伏見稲荷に行く予定だったんですが、予報によると北陸地方の天気は3日よりも4日のほうがまだマシみたいなので、日程を入れ替えることにしました。 現場から関ヶ原インターに向かう道はちょっとヤバそうな状況だったんですが、何とか無事に名神高速に乗ることが出来て、でもって、米原駅に到着〜。 岐阜羽島駅周辺の駐車場は無人の機械式のところが多く、やや対人恐怖症の気がある僕でも大丈夫なんですが、岐阜羽島駅周辺の駐車場はオッサンがいるんですな。 やや不満なんですが、それしかないのなら仕方がありません。 何とか無事に入庫手続きを終えることが出来たんですが、気疲れしたので、京都までの新幹線の切符はお気楽に自動販売機で購入したいところです。 …と思ったら、2台ある券売機のうち、1台は取扱中止になっていて、もう1台のほうには先客がいました。若い兄ちゃんなんですが、携帯電話で話をしていて、ちっとも埒があきません。北朝鮮の拉致問題と同じくらい埒があかないので、諦めて “みどりの窓口” で自由席の切符を買ってホームに向かうと、ちょうど新幹線が出発するところだったんですが、兄ちゃんの電話が終わるのを待っていたら、1本後になるところでしたな。雪の影響で3分ほど出発が遅れていたのもラッキーでした。 で、京都駅で奈良線に乗り換え。 ホームに向かうと快速列車が停車中だったので、慌てて乗ろうとして、すんでのところで思い止まりました。 稲荷駅に快速は止まらないんですよね。 快く速く行こうとして、危うく、不快で遅くなっちゃうところでした。危ないところでした。 が、時刻表のところに貼られた紙を見たら、1月1日〜3日まで快速列車も臨時で稲荷駅に停車することが判明しました。何かちょっぴり得した気分♪ とまあそんなことで、 伏見稲荷大社 に到着〜。

 もっと混んでいるかと思ったら、そこそこだったんですが、人出の具合は (写真・いちばん上) を見て貰うとして。 で、ここの売りはアレです。本殿よりむしろ “千本鳥居” のほうが有名だったりするんですが、朱色の鳥居がですね、千本ほど、ずらーっと並んでいるんですよね。 千本と言えば大根の千六本より6本ほど少ないんですが、実際は350本くらいしかないらしいハリセンボンの針の3倍弱なので、まずまずの数であると言えましょう。 ま、千本鳥居と言っても実際は約800本らしいので、嘘八百もいいところなんですが、しかも行き道と帰り道、2つあわせて800本なので、片道だと400本。 ハリセンボンの針より、ほんの少し多いだけなんですが、それでもまあ、それなりにアレではありました。 というか、この伏見稲荷、千本鳥居以外のところも、やたらめったら鳥居まるけなんですよね。 総数で言うと5000基以上なんだとか。 千本鳥居の鳥居はやや小振りで、しかも間隔が密集しているので、鳥居のトンネルっぽさでは一番なんですが、で、それを抜けると “奥社” に到着します。 普通、奥社と言えば、社 (やしろ) の奥やな。…という気がするものなんですが、ここの場合、奥社はほんの入口。 大社マップ を見ると分かるんですが、まだまだ先は長いです。

 ということで、次。“熊鷹社”。 何となく、能ある鷹は爪を隠すっぽい社なんですが、 “能鷹(のうたか)” ではなくて “熊鷹(くまたか)” なんですなー。 熊ある鷹は何を隠すんですかね?熊手? 熊手を隠されたら潮干狩りの時にクマってしまうんですが、この付近、ちょっとした池 (←水が汚い) と、お参り所のようなものがありました。 で、次。 “三ツ辻” 。更にその先が “四ツ辻” 。 その少し手前、“3.9ツ辻” くらいのところに展望のよいスポットがあります。京都の町並みが こんな感じ に見えます。 …と、ここまで来るのも結構大変なんですが、ここまでは大抵の人が来るみたいです。 お陰で、けっこう賑わってます。 が、ここで引き返す人が多いのか、この先の道はちょっぴり寂しくなってきます。 やや対人恐怖症の気がある僕としては、むしろ好都合だったりするんですが、タイ人の観光客もそんなに多くは無さそうですしね。タイ人の恐怖に直面する心配もなく、ただ、ずーっと登りが続くので、かなりバテます。 四ツ辻で行く手が三方に分かれるので、どっちに行けばいいのか少し悩むんですが、普通に考えれば “三ノ峰” “二ノ峰” “一ノ峰” と、反時計回りに回るのが正解?…という気がしたので、僕はそうしました。 一ノ峰が稲荷山の最高峰で、標高233メートル。 いやあ、けっこう歩きましたなぁ。 ここまで来れば後は基本、下り坂ということになるので、気分的にも 「山を越えた」 という気持ちになるんですが、終盤のポイントとしては “眼力社” が揚げられるでしょう。“がんりき” ではなくて、 “めぢから” 。 単独で オフシャルサイト があったりするので、それなりにアレなんでしょうな。“がんりき” ではなくて、 “めぢから” だと言ってるのに、URLが http://ganrikisya.com/ だったりするんですが、ということは僕が間違っているんですかね? 何故 “めぢから” だと思っていたのかというと、2ちゃんねるの伏見稲荷スレにそう書いてあったからなんですが、ソースとしてはかなり怪しいですからなぁ。 ま、いずれにせよ、 こんなキツネ が不自然な体勢で、口に咥えた筒からヨダレを垂らしていたりして、いかにも眼に効きそう!…という気配はあまり感じられなかったんですが、ここを過ぎてしばらくすると “四ツ辻” のところに戻ることになって、おおっ、 “伏見稲荷・奥の部” 、クリア♪

 “三ツ辻” から今度は、熊鷹とは違うほうの道に進んだら、千本鳥居の “帰り部” を通ることが出来なくて、ちょっと残念でしたが、八島ヶ池(←水が汚い) の辺りの、何とも下俗的な雰囲気もそれはそれで悪くなく、とまあそんなことで、伏見稲荷は終了〜。 ざっと歩いて、所要時間は1時間半でありましたな。随所に散らばる小さな社に真面目にお祈りしてたら、2時間では済まないと思いますけど。 かなりバテたんですが、いい運動になったし、一応は山の上まで行ったという達成感もあったし、いやあ、よかったっす。 戻ってみたら本殿のあたりは半端でない人出になっていたんですが、人ごみに揉まれながら伏見稲荷参道商店街を散策ー。 すゞめ&うづら 、ありましたー。買いませんでしたけど。 サバ寿司も随所で売られておりましたー。買いませんでしたけど。 で、結局 “いなり寿司” を買いましたー。 屋台で買ったので、あるいはパチモンなのかも知れませんが、ということで、稲荷駅から奈良線に乗って、京都駅に到着ー。


 当初の僕の予定は、こうなってました。

1月3日行程表

 巡回点検で20分ほど無駄に時間を費やしてしまったんですが、元々かなり余裕を見てましたからね。予定より早く、9時55分頃には伏見稲荷に到着しておりました。 で、12時15分頃には京都駅に戻っておりました。 13時24分発 “きのさき3号” で綾部まで行って、そこでリレー号というのに乗り換えて東舞鶴まで行くつもりだったんですが、出発まで、まだ1時間以上ありますなー。 この分なら、もっと早いヤツに乗れるかも知れません。サンダーバードで敦賀まで行って、小浜線に乗り換えるという手もありますよね。 特急列車の自動券売機があったので、操作方法がよく分からないなりにチャレンジしてみることにしたんですが、操作方法がよく分からなかったので、断念。 仕方なく “みどりの窓口” に頼ることにしました。 お姉さんに 「若狭高浜まで特急を使って、いちばん早く付くヤツで行きたいんですけどー。」 と申し出ると、 「12時24分発で、東舞鶴行きの特急がありますけどー。」 というお返事が。 おおっ、乗り換え無しで行けて、めっちゃ好都合♪ が、時計を見ると出発まで7分くらいしかなくて、かなり微妙。。。 とりあえずその特急の指定券を買うことにしたんですが、幸いにもそのお姉さんはテキパキと発券手続きをしてくれたので、駅の構内で迷いさえしなければ、何とか間に合いそうな気がしないでもありません。 「31番乗り場、この下の階から出ますぅ。」 とのことだったので、小走りで31番乗り場に向かいました。 小走りであっちのほうに行ってみたら、どうも逆のような気がしたので引き返し、で、30〜33番乗り場と書かれている下りの階段を発見。 小走りのスピードを上げ、中走りで駆け下りて、停車中の列車に何とか乗り込むことが出来ました。発車まで、あと1分。危ないところでした。 みどりの窓口のお姉さんのミドリちゃん (仮名) がトロいギャルだったら、危ないところでした。ミドリちゃんが 「この下の階から出ますぅ。」 と教えてくれなければ、おそらく駄目だったと思います。 地下鉄でもないのに下の階から出るとは、思ってもいませんでしたからね。 で、指定された座席に向かうと、隣は若いギャルでした。 正直、ちょっと気詰まりでありますなぁ。 ま、オッサンならオッサンでちっとも嬉しくはないので贅沢は言えないんですが、これはちょっと隣で “いなり寿司” を食える雰囲気ではありませんな。何となく愛想の悪そうなギャルだしぃ。 とまあそんなことで、一番最初の予定では次の日、東舞鶴から京都に向かう時に乗る予定だった “タンゴディスカバリー号” 、出発〜♪


<城山海水浴場> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 東舞鶴、到着〜♪ 乗り込む時にはまったく余裕が無かったので、降りてから 写真 を撮ってみました。 この駅で小浜線に乗り換えるんですが、少し時間に余裕があったので、ホームのベンチで いなり寿司 を食べました。ベンチで食べると旅情が高まって、普通のいなり寿司も何だか美味しく感じられますなー。便器で食べても、あまり美味しくは感じられないんですけどー。 で、小浜線に乗り込み、若狭高浜駅で下車。到着は14時53分頃だったと思います。 当初の予定より1時間早いですな。こんなに早く着いてしまったら、暇を持て余すじゃないか!…と思ってしまったんですが、とりあえず城山海水浴場というところに行ってみることにしました。 途中、ザーッと雨が降って来て、ちょっぴり気分がブルーになったんですが、海に着く頃にはやみました。 冬の日本海なんて誰も来ていないに違いなくて、散策に要する時間は、ま、5分くらいと踏んでいたんですが、おおっ、めっちゃサーファーがいるやん。このクソ寒いのに、若いですなー。冬の若狭にも意外と若さがあることが判明したんですが、で、砂浜には何やら白っぽい固まりが多数。何かと思ったら、ウミネコたんでありました。 いや、僕は鳥には疎いので、もしかしたら単なるカモメなのかも知れませんが、ネコ好きの僕としてはウミネコ説を採用したいと思います。みゃあみゃあ鳴いてはいなかったので、やっぱり違うのかも知れませんけど。 いずれにせよ、海鳥とサーファーのコンビネーションは、なかなか絵になりますなー。 で、砂浜を散策していると、道路のほうからクロネコたんがやって来ました。赤い首輪を着けていて、おおっ、数年前にお亡くなりになってしまったウチのクロコにそっくり♪ 様子を窺っていたら砂浜にしゃがみ込んだんですが、ん?もしかして、ウンコ? もしかしたらオシッコだったのかも知れませんが、前脚でチョイチョイと砂を掻いて証拠隠滅を図って、悠然と近くの民家へ帰っていきました。 自宅前のビーチがトイレ替わりなんですなー。いいですにゃー♪ 夏、海水浴に来た人が砂を掘って遊んでいると、中からクロコのウンコが出てくるかも知れなくて、ちょっと嫌なんですけどー。


<城山公園> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 このあたりで最大の景勝地、 “明鏡洞” も、すぐ近くにありましたー。 冬の日本海は波が荒く、こりゃ、岩にも穴が開くわな。…と、納得。 この付近は城山公園ということになっていて、遊歩道も整備されているんですが、いやあ、なかなかよかったです。特に高浜城山灯台の下のところは岩場の近くまで降りていけるようになっているんですが、岩にぶつかって砕ける波が、かなりの大迫力。 ただ、一歩間違えると海に転落する恐れもあるので、いくら遊歩道だからと言って、遊びながら歩くのはやめておいたほうがいいでしょうな。真剣に歩いたほうがいいと思います。 途中、何とか神社という看板の出ている上り坂があったので、そっちに歩きかけたんですが、日が暮れてきてあまりにも雰囲気が陰気になって来たので、すぐに引返して、以上で散策は終了ー。 本日の宿泊先・城山荘に向かうことにしました。公園の敷地内に建っているので、とっても便利。 チェックインを済ませて部屋に入ると、激しい雨がー。 ヘタに神社なんかにお参りしてたら、大ハマリするところでしたなー。

 とまあそんなことで、現場付近の思わぬ積雪で出鼻をくじかれてしまいましたが、それ以降は、新幹線もタンゴディスカバリーもぎりぎりのタイミングで乗れたし、雨のほうもちょうど散策タイムの間だけやんでくれたし、クロコにも逢えたし、実によい1日だったのでありました。 ということで、この続きは、次回。

 ということで、今日はジジ・グライスなんですが、あ、そうそう。高浜の海にはトンビも多かったですな。 いなり寿司はビーチで海を見ながら食べようかとも思っていたんですが、やめておいて正解でした。そんなことをしたら、トンビに油揚げをさらわれるに違いありません。隙あらばすぐ、食い物をさらっていきますからな、トンビ。 食べ物をさらわれて、皿が割れたりすることもあるんですが、びっくりして手に持った皿を落としちゃうんですよね。そんなことだから 「鳶が鷹を生む」 とか、素性が悪いほうの代表にされるんや!…と思わずにはいられませんが、それはそうとジジ・グライス。 この人はですね、分かりません。 何が分からないのかというと、 ミニゴリラ で、分かりません。 このカーナビにはSDカードの音楽ファイルをFMトランスミッターで飛ばす機能があるので、ランダムプレイにして “独りブラインドフォールドテスト” をしたりするんですが、マクリーンとか、ソニー・クリスとか、アート・ペッパーとか、わりとよく当たるんですよね。我ながら、凄い♪…と思ったりもするんですが、ま、どのSDにどのミュージシャンを入れてあるのか、だいたい検討が付くというのもあるんですけど。 が、ジジ・グライスは駄目です。 「ん?このアルト、誰?」 と思って、降参して画面を切り替えると、ジジ・グライスだったりすることがよくあります。 誰だかよく分からんから、ジジ・グライスっ!…と、適当に答えたら当たっていたこともあります。 つまりまあ、今ひとつ特徴が無いというか、ある意味、誰にも似ていなくて独創的とも言えるんですが、名前が爺くさい人。 そういうイメージしかなかったりします。 見た目がちっともジャズっぽく無くて、どちらかというと学究肌なんですが、ドナルド・バードと “ジャズ・ラブ” というコンボを組んでいたこともありますよね。 「ジャズ・愛」 ではなく、「ジャズ・研究所」 ( “Jazz Laboratory” の略 ) 。 学究肌ですなぁ。学級委員長にするとよさそうなんですが、今日はそんなジジくんの 『ザ・ハプニンズ』 というアルバムを紹介したいと思います。 一見すると人がよさそうなんだけど、よく見ると眼鏡の奥の目が笑ってない。 そんなジャケットが印象的な一枚なんですが、トランペットがリチャード・ウイリアムスで、ピアノがリチャード・ワイアンズ。 両リチャードの参加が何気に嬉しかったりするんですが、とまあそんなことで、1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはトラディショナルの 「フランキー・アンド・ジョニー」 。 寅年の今年こそ、トラディショナルにじっくり耳を傾けたいところなんですが、フランキー堺とジョニー・デップに捧げた曲でありますな、多分。 もしかしたら、フランキー為谷と “風に吹かれて豆腐屋ジョニー” だったりするのかも知れませんけど。 で、曲のほうはアレです。何か田舎くさいです。所詮はトラディショナルですからなぁ。アメリカの民謡みたいなもんなんすかね? 打撃音とベースによるイントロに続いて、ジジがアルトでテーマを吹いて、で、同じメロディを今度はリチャード・ウィリアムスが吹くんですが、ミュートの音色が何とも言えずローカル色豊か。 で、最後は2管の絡みになって、アルトのソロへと流れていくんですが、最初からジジだと分かっていれば、それなりに個性的だったりしますかね? わりとトーンが独特であるような気がします。 フレージングはやや平坦で、オリバー・ネルソンをアルトにしたような感じとも言えそうなんですが、で、短い合奏パートを挟んで、続いてはウイリアムスのトランペット・ソロ。 相変わらず垢抜け無いんですが、温かみのあるプレイは、ま、それなりにアレだと思います。 再び短い合奏を挟んで、今度はワイアンズのピアノが登場。 ちょっぴりソニー・クラークを彷彿させるものがあったりして、いいですな、こりゃ。 3人のソロの中では最後がいちばんよかったような気がするんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 …と思ったら、その後、ジュリアン・エウエル (←正確な読み方は不明) のベースと、ミッキー・ローカーのドラムスをフィーチャーしたパートが出てきたりしたんですが、でもって、テーマに戻って、おしまい。 地味なところで凝った構成ではありましたな。

 で、次。  「ラバー・マン」 。 パーカー派アルト奏者の必須科目と言える歌物ナンバーなんですが、ジジくんは主旋律をミュート・トランペットに任せて、自らはサブで支えるという、意外な手法で来ました。 …と思ったら、今度は普通にアルトでメロディを吹いたりして、やはり根が凝り性なんですな、この人。 単なるパーカー直系に留まらない理性の持ち主と言えそうなんですが、だからと言って 天才クイズの博士 みたいに頭でっかちなワケでもなく、あ、最近の博士、ちょっぴり顔が変わりましたかね? 昔よりちょっぴり知的になったような気もするんですが、で、ソロ先発はジジくんでありますな。都会的なトーン、スムーズなフレージング、6秒に1本売れているファンケルのクレンジング。悪くないと思います。幸せの黄色いカステラ1号も6秒に1本売れているそうですが、続くウイリアムスのトランペットは1曲目と同じミュート・プレイでありますな。 が、今度は幾分アーバンな雰囲気が感じられて、良好です。 続くワイアンズのブルーなピアノもいいです。 その後、再びアルトが出てきて、最後は2管が絡んで、でもって、テーマに戻って、おしまい。 今までに聴いたことのないパターンの 「愛人」 でありまして、いやあ、ジジくん、意外とやりますなー。 ただエンディングのおちゃらけは、定番とは言え、ちょっぴり余計だったような気がします。

 ということで、3曲目です。 「マイノリティ」 。 ジジのオリジナルでは最も有名な作品であります。 僕の酒井法子、マイのりピーは覚醒剤で捕まっちゃいましたが、「マイノリティ」。 前乗りって、いい? いや、駄目です。ワンマン運転の小浜線は後乗り前降りが原則です。扉が自動で開いてくれないので、最初は、とまどいトワイライト ( By 豊島たづみ ) だったんですが、そのうちに慣れました。 ただ、 “なれ寿司” だけはどうしても慣れることが出来無いんですが、それはそうと、「マイノリティ」。 賑やかなラテンのリズムに乗った、楽しい演奏に仕上がっておりますな。 ファンキーな香りのする、かをり山下町本店。…といった感じの作品で、テーマの合奏に続いて、リチャード・ウイリアムスのトランペットが勢いよく飛び出してくる瞬間が、実にスリリングで、スリングショット。 Y字型の投石器(パチンコ)のような勢いが感じられます。 スリングショットの水着というのは、かなりエロいものがあるんですが、続くジジの知性派の仮面をかなぐり捨てたワイルドな吹きっぷりも、傾聴に値する出来であると言っていいと思います。 ルー・ドナルドソンを彷彿させるノリのよさと言えるでしょう。 続くワイアンズのピアノは相変わらず快調だし、ロプロスは相変わらず怪鳥だし、御開帳というのはワクワクするし、で、最後は tp→ds→as→ds の4バースで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 けれん味のないストレートなハードバップだったんですが、いやあ、よかったっす。

 で、次。  『サマータイム』 。 今の季節にぴったりだね♪…とは、とても言えないんですが、夏には若狭の海でスリングショットのギャルと海水浴に行きたいものでありますなぁ。…という期待を持たせてくれる曲であるとは言えそうです。 別に露出度が高いものでなくても、スクール水着でも大歓迎なんですが、で、ジジくん。 冒頭からいきなり 「イット・エイント・ネセサリリー・ソー」 のメロディを吹いたりして、意表をついてくれます。 ガーシュイン繋がりで来ましたかぁ。 そこにピアノが入って来てファンキーなムードになって、ジジがミディアム・テンポで 「サマータイム」 を吹いて、そこにトランペットが絡んで、でもって、ソロ先発はリチャード・ウイリアムス。 見事なアレンジです。 ブルージーなミュート・トランペット、ブルンジ共和国なワイアンズのピアノ、フリチンなジジ・グライスのアルト…って、知的な彼に限って、そんな破廉恥な振る舞いには出ないと思うんですが、各自のソロも十分に持ち味が発揮されているホッケ。…といった感じで、悪くないです。 と、先行して適当なことを書いていたら、ピアノの後はベースのピチカート・ソロだったりしたんですが、その後でアルトが出てきて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 今までに聴いたことのないパターンの 「夏時間」 でありまして、いやあ、ジジくん、意外とやりますなー。エンディングにおちゃらけでは無く、再び 「いつもそうとは限らない」 を持って来たところも、よかったと思います。

 ということで、5曲目。  「ニカズ・テンポ」 。 ジジのオリジナルでは2番目くらいに有名な作品であります。 ホレス・シルバーの 「ニカの夢」 、セロニアス・モンクの 「パノニカ」 と並ぶ、世界3大 “ニカもの” のひとつなんですが、ジャズ界のパトロンとして知られるニカ夫人に捧げた曲でありますな。 ジャズ界のパトロンって、何をしてくれたんですかね? ハトロン紙を恵んでくれたとか? 厚みの割には強度があるので、路上生活者がくるまるのには便利ですよねー。 で、“ニカもの” なんですが、 「ニカの夢」 は、ま、いいとして、 「パノニカ」 はかなり変な曲なので、捧げられたほうとしても迷惑だったと思います。 ニカ夫人も内心、カニをお歳暮に贈ってくれたほうがよかったのにぃ。…と思ったに違いありません。 ハトロン紙の見返りにカニを求めるのは、ちょっと虫が良すぎるように思えるんですが、ザザ虫の佃煮とかが妥当なところでしょうな。 で、一方、ジジくんの 「ニカズ・テンポ」 なんですが、何故 「ニカのテンポ」 なのか、その意図が今ひとつよく分からんのですが、曲そのものとしては悪くありません。 ムーディなピアノのイントロで幕を開け、テーマに入ると一転して急速調になるんですが、ハードバピッシュな佳曲であると評価していいと思います。 ザザ虫よりはこっちのほうが嬉しいでしょうな。腹の足しにはならんのですけど。 ソロ・パートはジジ→ウイリアムス→ワイアンズの順で、良好な演奏が繰り広げられております。 最後はアンサンブルとドラムスとの絡みで、そこそこ盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ちょっとした小品だったんですが、商品価値の高い演奏でありました。 で、ラスト。  「ドント・ウォーリー・バウト・ミー」 。 僕はこの曲を聴くと、思わずウォーリーを探したくなってしまうんですが、佐賀市まで探しに行っても、いなかったりするんですよね、ウォーリー。 ジジがワン・ホーンでテーマを吹いているんですが、肩肘を張らないリラックスしたムードが耳に心地よいですな。 ソロ先発にワイアンズのピアノを持って来たのも正解で、政界からも高く評価されるような気がします。前半はシングル・トーン中心に、終盤はブロックコードで盛り上げるというレッド・ガーランドな手法はとってもベタなんですが、下手なピアノを聴かされるよりは遥かにマシだし、続くウイリアムスのミュートもウイリアムズ姉妹のようなパワーは無いものの、ウィリアムズ体操みたいに腰痛には効きそうだし、で、最後はジジがきっちり締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日は以上です。

【総合評価】

 正直、期待度はかなり低く、案の定、1曲目の印象もちょっとアレだったんですが、それ以降は非常にいい出来でした。 有名なスタンダードが多いんですが、アレンジが凝っているので、新鮮な気分で楽しむことが出来ます。2曲のオリジナルも有名どころを揃えているし、両ウイリアムスの活躍も光ります。 ジジ・グライス、伊達に爺くさいチョッキを着ているわけではないな!…ということを実感させられた1枚でありました。


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