MAKIN’ THE CHANGES (NEW JAZZ)

JACKIE McLEAN (1957/2/15,8/30)

MAKIN' THE CHANGES


【パーソネル】

JACKIE McLEAN (as)
MAL WALDRON (p) <#1,3,4> ARTHUR PHIPPS (b) <#1,3,4> ART TAYLOR (ds) <#1,3,4>
WEBSTER YOUNG (tp) <#2,5,6> CURTIS FULLER (tb) <#2,5,6>
GIL COGGINS (p) <#2,5,6> PAUL CHAMBERS (b) <#2,5,6> LOUIS HAYES (ds) <#2,5,6>
【収録曲】

(01-03) BEAN AND THE BOYS / WHAT'S NEW / I NEVER KNEW
(04-06) I HEAR A RHAPSODY / JACKIES GHOST / CHASIN' THE BIRD

【解説】 (2009年12月27日更新)

 カニカニグー、カニしょうぐぅーん、お味はグー、いいんでないカニ〜♪ ( by 千代の富士 ) …ということで、今日は “カニ” について考えてみたいと思います。 題して “カニの夢” 。 ホレス・シルバーの名曲、 “ニカの夢” をもじってみたんですが、営業二課の忘年会は、カニだった。そういう人もいるかも知れません。 もし僕が営業二課の人だったら、ちょっぴりウツになっちゃうところでしたが、というのも、さほど好きではなかったりするんですよね、カニ。 世の中でナニがうまい、カニがうまいと言って、カニほどうまいものはない。…なんてことを言う人もいますが、僕はとてもそうは思えません。 “カニ” と “ウニ” と “ワニ” 。 この3つの中なら、ワニが一番うまいと思います。 いや、僕はまだワニを食べたことがないので、めったなことは言えないんですが、滋賀県の和邇に住んでいる和仁さんが、 「ワニはうまい」 と言ってたので、たぶん美味しいんだと思います。 一方、 「カニはそんなにうまくない」 という話も耳にしたことがあります。誰がそんなことを言ってたのかというと、岐阜県の可児市に住んでいる蟹江クンなんですが、あと、愛知県の蟹江町に住んでいる可児クンも、同じようなことを言ってました。 この3人の証言から、カニよりもワニのほうが美味しいと断言していいと思います。 そんなの、たまたま和仁さんがワニ好きで、蟹江クンと可児クンがカニ好きじゃなかっただけじゃん。…と言われると、確かにそれはその通りです。 もし、カニすきが大好きなロシア人のカニスキーさんとかに聞いたら、また違った結果になったかも知れませんが、僕は日本人ですからね。 ロシア人よりも可児クンのほうに親近感を覚えるわけでありまして、カニすきは嫌い。 そういう意見に賛意を表したいところでございます。

 ただ、オトナになって、その趣向に変化が生じてきたのも事実でありまして、コドモの頃は食う気がしなかったカニも、オトナになって、少しは食べるようになりました。 僕が初めて本格的にカニを食べたのは、社会人になって1年目。 確か忘年会の席だったと思うんですが、食っちまったんですよね、カニ。 恐らく、酔っ払って正常な判断能力が著しく低下していたんだと思うんですが、茹でたカニを三杯酢で食ってみたら、ん、意外とイケる? そもそも、僕の好き嫌いの “嫌いの部” というのは、そのほとんどが食わず嫌いだったりしますからね。 どうして嫌いなのかというと、食う気がしないから。 そういう明確な理由があるわけなんですが、 “ウニ” なんかがその典型です。 食ってみたら意外と美味しかったりするのかも知れませんが、食う気がしないので、いつまでたっても好きになれません。一生、ウニ嫌いのままで死んでいこうと覚悟を決めているんですが、カニのほうは忘年会のメニューとして出てくれたお陰で、何とか克服することが出来ました。 営業二課の忘年会で、ちょっぴりウツになっちゃう話と矛盾していると思われるかも知れませんが、社会人1年目以降、普通にカニを食べるようになって、どうやら僕にとって大丈夫なカニ料理と、そうでないカニ料理、2つのタイプがあるということに気が付きました。ズワイガニを茹でて三杯酢で食べる。 それが唯一、僕にとって大丈夫なカニ料理でありまして、それ以外の種類のカニや料理法は、未だに駄目だったりするんですよねー。 営業二課の忘年会ごときでは、まともなズワイガニが出てくるとは思えなくて、しかもカニすきだったり、焼きガニだったりする可能性も十分に考えられるので、ちょっぴりウツになっちゃうんですが、中でもカニ味噌というのが最悪ですよね。 味噌というから脳味噌のようなものなのかと思ったらそうではなくて、内臓のようなものなんだそうですな。 じゃ、脳味噌だったらいいのか?…と言われると、内蔵よりも更に始末が悪いような気もするんですが、いずれにせよ、カニ味噌だけは駄目です。食べてみたら意外と旨かったりするのかも知れませんが、見た目だけで、とても食う気にはなれません。 一生、カニ味噌嫌いのままで死んでいこうと覚悟を決めているんですが、カニの甲羅酒など、たとえ酔っ払って正常な判断能力が無くなったとしても、絶対に飲みたくありません。 出来ることならカニには甲羅を無くして貰って、脚の部分だけで生きていて欲しいと思うほどなんですが、ま、甲羅の部分が無くなると10本 (タラバガニ、ハナサキガニは8本) の脚がバラバラになってしまうので、恐らくカニにとっては “出来ないこと” なんだと思うんですけどー。

 で、最近、カニの甲羅がますます嫌いになる出来事に遭遇してしまいました。最近というのはいつのことなのかと言うと、昨日のことなんですが、ちょっと思うところあって “るるぶ” (←JTBの旅行ガイド) の 「天橋立・城崎・北近畿 '09 」 と 「福井・越前・若狭 '09」 を買ったんですよね。 そしたら前者のほうが “松葉がに特集” 、後者のほうが “越前がに特集” だったんですが、この2つのカニ、名前は違っても、その正体は同じカニだったりします。 生物学的に言うと、どちらもズワイガニの雄です。同じズワイガニの雄でも、福井で獲れると “越前がに” 、京都から島根までのエリアで獲れると “松葉がに” 。 で、石川県では加賀と能登だから “加能がにっ”! …というブランドで売りにだそうとしているようなんですが、 “かのう” という言葉の響きは何となく “傷口が化膿した加納典明” みたいで、あまりイメージがよくありません。 大人しく福井に魂を売り渡して “越前ブランド” を使わせて貰ったほうが賢明であるような気もするんですが、ま、典明とか賢明とか、余所者がとやかく言うのは、大きなお世話かも知れませんけどー。  ちなみにズワイガニでもメスのほうは “香箱ガニ” とか “セイコガニ” などと呼ばれているようです。 松田聖子みたいなカニというイメージがあって、悪くはないですよね。 が、ちょっと間違えると、野田聖子や橋本聖子みたいなカニ、更に大きく間違えると、田辺聖子みたいなカニということになってしまって、新鮮味がかなり薄れてしまうんですが、メスだけに甲羅の中には卵や卵巣がぎっしり詰っていて、オスのカニよりも、こっちのほうを好む人もいるようです。 タラコ、カズノコ、イクラ、キャビア、コノワタ、ふぐの白子、あるいは子持ちシシャモに至るまで、魚介類の卵やら、内臓やら、卵巣やら、精巣やらの類が軒並み駄目な僕としては、カニ味噌だけでなく、卵や卵巣まで詰っているカニなど、考えてみたくもありません。 無論、その中身を食いたいとは思わないし、甲羅をパカっと開けて、中身を覗くという行為も遠慮させて頂きたいところです。 ま、カニも甲羅を開きさえしなければ、さほど害はないんですけどねー。

 と、今までずっと思ってしたんですが、その考えは大甘だったことに気付かされました。 「その考えは大甘だよ。」 と、大海人皇子 (おおあまのみこ) にも言われてしまいました。 巫女さんにならともかく、オメーにそんなこと言われたくねーよ!…という気もするんですが、後に天武天皇になると思って、付け上がっているとしか思えません。 ま、うちの家のすぐ裏のところに “天武天皇御足洗井跡” というのがあるところを見ると、天武天皇になってからは、ちょっぴり付け上がっていた大海人皇子からは足を洗った形跡が窺われるので、許してやってもいいんですが、それはそうと、カニ。 甲羅さえ開かなければ気持ち悪くないと思っていたんですが、そうではありませんでした。 “るるぶ” にはたくさん、松葉ガニや越前ガニの写真が載っているんですが、それを見ると何やら、甲羅の部分に黒い粒々のようなものが付いていたりするんですよねー。 え?何これ?黒ゴマ? “るるぶ” からのものではないんですが、写真でいうと、 こんな感じ です。 わー、気持ち悪ぃ〜! アンパンに黒ゴマというのは相性が抜群なんですが、カニにゴマというのは何か意味があるのか?…と思ったら、その謎はすぐに解けました。結論から先に言ってしまうと、これは黒ゴマではありませんでした。 “るるぶ” の福井・越前・若狭編のほうの冒頭に 「まなぶクンに学ぶ!越前がに満喫旅」 というのがあるんですが、福井旅行を満喫したい帰国子女。越前がにに興味津々!…というディスカちゃんの疑問に、歴史や食文化など福井について何でも知っている福井マスターのまなぶクンが答えるという、そういう企画でありますな。 ディスカちゃんも僕と同じように 「 Q.甲羅に付いている黒い粒は何? 」 という疑問を持ったようなんですが、それに対するまなぶクンの回答は、こうなっております。

 A.これはカニヒルという虫の卵。たくさん付いていれば、脱皮してから時間が経っている証拠で身の詰まりがいいんだ。

 ん? カニヒルという虫の卵ぉ? そんな気持ちの悪いものを、何事もなかったかのように、さらっと言うな、まなぶ!…と思わずにはいられませんが、 あらやのあんちゃん が言うには、かにの甲羅を繁殖に利用するだけで、特に実害はないそうなんですけどね。 見た目が気持ち悪いだけで、立派な害や!…と、僕は思うんですが、そういうニーズにお応えして、カニヒルの卵を除去してから店頭や食卓に並べることもあるようです。 いくら身が詰っている証とはいえ、こんなものをこれ見よがしに付着させたまま店頭や食卓に並べる神経が理解出来ないので、出来ることならやめて欲しいです。 甲羅を無くして、脚の部分だけで生きていて貰うのに比べれば難易度は極めて低く、やって出来ないことはないと思います。 というか、出来るに決まってます。今すぐにでもやるべきです。 それはそうとカニって、脱皮する生き物だったんですなー。 殻を脱ぐということは、あの硬い殻が無くなっちゃうということなんですかね? カニを食う時は、あの硬い殻を割るのが面倒でならないんですが、脱皮したてのカニを捕まえてくれば、その手間が省けますよね。 おまけに甲羅を脱いだ瞬間、中身のカニ味噌は流れ出すことになると思うので、カニ味噌嫌いな僕にとっては、まさに一石二鳥。 甲羅も味噌も殻も無い、脚肉部分だけのカニが10本 (タラバガニ、ハナサキガニは8本) ほど海中に漂っている姿はファンタスティックであると言っていいんですが、よくもまあ、そんな状況から元のカニの姿に戻れるものでありますなぁ。 ま、恐らく、僕が思っているような脱皮とは違った形で殻を脱ぐんだと思うんですが、調べてみたらカニの脱皮動画を配信しているサイトがありました。 ここ です。

 おおっ、カニの脚、ばらばらになってないやん! カニ味噌、流出してないやん! 脱皮しても、カニのままやん! 古い殻を脱ぐ前に、既にスペアの殻を用意してたんですなー。 何だかちょっと騙されたような気もするんですが、ま、確かにそのほうが賢明な措置ではあるんですけど。脱皮直前で殻が二重になっている “二重蟹(フタヨカニ)” なんてヤツがいるんですな。 で、脱皮して半年以内のカニは “ミズガニ” とか “ズボガニ” と呼ばれているそうで、殻がまだ柔らかく、身の詰まりも悪くて、水っぽいんだそうです。 脱皮の際に大量のエネルギーを費やすため、疲れ切って、カニ本体のほうも抜け殻みたいになっちゃうそうです。 カニ味噌もやわらかく、茹でても固まらずに流出しちゃうそうです。 僕の想像も、当たらずと言えども遠からずだったようですが、カニとして生きていくのも、なかなか大変なんですなぁ。。。

 とまあそれはそうと、思うところあって、年明けに若狭湾に行ってみようと思っております。いいですよね、若狭。 若狭に溢れていて。 いや、夏の海水浴シーズンならともかく、今の時期の若狭にはさほど若さがないような気もするんですが、福井県でもいちばん京都府に近い高浜町というところに泊まろうと思っております。 この辺り、福井県だから越前ガニが棲息しているだろうし、京都から松葉ガニが領海侵犯してくる可能性もあるので、もしかして2種類のカニが食べられるかも知れませんな。 ま、僕の場合、1種類のカニ、それも茹でて三杯酢で食べるヤツだけでいいんですけどー。 宿は 国民宿舎城山荘 というところを押さえました。 “極ふぐ・カニ料理” や “かにづくし料理” なんてのもあるんですが、“かにづくし”は写真を見る限り、カニヒルの卵がちょっぴり付着しているし、しかも突出からいきなり 「カニ味噌」 ですからね。蒸物は 「カニ味噌甲羅蒸し」 だし、余計なものを余計なところで蒸すな!…と思わずにはいられません。 そこで、じゃらん だと一人でも泊めてくれる 「若狭の味会席」 というプランにしました。 旨い海の幸はもちろん、【ステーキ】もついてボリューム満点♪…というところがいいですよねー。 お刺身(旬の五点盛)/ 国産牛サーロインステーキ/天婦羅五種盛 / 旬の魚料理(ズワイガニまたは鰤の照り焼きや連子鯛の姿焼きなど)高浜寿司…他。 さほど魚貝類が好きではない僕にとっては、この程度の魚貝っ気で十分です。 旬の魚料理がズワイガニを茹でて三杯酢で食べるヤツ (カニヒル無し) だったら言うことがないんですが、あ、オフシャルサイトをチェックしてみたら、現時点では焼物のところが 「ぐじ(甘鯖)若狭焼き」 となっておりますな。 事前の調査によると “ぐじ” というのは甘鯛のことだったと思うので、甘鯖というのは恐らく間違いでしょう。 ああん、甘鯖のほうがよかったのにぃ。…って、ま、鯖よりも鯛のほうが高級魚なので、あまり文句は言えないんですけど。 ただ写真を見る限り、鯛のお頭付きというより、 “鯛のお頭だけ” に見えるのがちょっと心配なんですが、若狭焼きというのは頭部だけを焼く料理なんすかね?

 で、カニはというと、酢物のところに 「ワタリガニ姿」 という字が見えますな。 福井なのにワタリガニっすかぁ。。。 そもそもワタリガニというのがどういうカニなのか、僕はよく知らないんですが、ということで、調べてみました。越前系のサイトがヒットしました。 ワタリガニってどんなかに? 越前町でも稀に網に引っかかることありますが、あまり食べたりはしません。 あまり食べんのかいっ! 主に味噌を食べる商品です。 主に味噌を食べるんかいっ! ワタリガニが好きな方は、腹子がいっぱいのせいこがにも好きかもしれませんね。 コピペしているうちに、だんだん気分が落ち込んできてしまったんですが、あ、でもこれ、期間のところが 4月1日〜6月30日となってますよね。 オフシャルサイトだと、冬の間は越前ガニか若狭フグを食え!…という方針なんでしょうな。 果たして “じゃらん” のプランでは何を食わせて貰えるのか、それはそれでちょっと心配だったりするんですが、 “カニヒルの卵のカニ味噌和え” とか、そういうカニ料理だけは堪忍して欲しいですなぁ。。。 ま、それはそうと、 “カニの夢” というタイトルを付けてしまった以上、その点についても少しは触れておかなければならないんですが、ということで、カニに来年の夢を語って貰いました。

  脱皮して、一回り大きくなりたい。 by カニ

 ま、頑張って下さい。

 ということで、今日はジャッキー・マクリーンです。 いいですよね、マクリーン。 スカートまくり、ん〜♪ …と、考えただけでもコーフンしちゃうんですが、 「おいどまくり」 というのもいいですよね。 今日は二十五日、おいどまくりはやつた♪ …って、あ、今これを書いているのは27日なんですが、2日前に 「おいどまくり」 するのを、すっかり忘れておりましたなー。 来月は忘れないように、心の片隅にでも小さくメモしておこうとおもうんですが、で、今日は 『メイキン・ザ・チェンジズ』 というアルバムを紹介したいと思います。マクリーンは時代によって、かなりスタイルに変貌があるキャラだったりするんですが、保守的な僕としてはやはり、プレスティッジ時代がいちばん好きだったりします。中でもこの、微妙に中原中也っぽいジャケットの1枚は、かなり好きな部類に入る筈なんですが、今までこのコーナーで取り上げられなかったのが、ちょっと不思議な気もします。ただ単に忘れていただけなのか、あるいは僕の勘違いで、内容的には大したことなかったりするのか。 実際に聴いてみればその答えが分かるんですが、で、これ、2つのセッションに分かれているんですな。 マル・ウォルドロンのトリオをバックにしたワンホーン物と、ウエブスター・ヤングカーティス・フラーの参加した3管物。後者のほうではギル・コギンズがピアノを弾いているんですが、どうもこの “ギル・コギ物” がハズレのような気がします。何となくそんな予感がします。 韓国料理のプルコギにはあまりハズレが無いんですが、ギル・コギは危ないです。 ま、それもすべて聴けばわかるに違いないので、ということで、では1曲目から参りましょう。

  「ビーン・アンド・ザ・ボーイズ」 。 「豆と少年」 。 ジャズ・テナーの巨星、コールマン・ホーキンスの作品で、 “ビーン” とはホーキンス自身のニックネームである。…と、小西啓一クンの書いた日本語ライナーにあるんですが、僕もその通りだと思います。だから 「豆と少年」 という邦題は間違っていると思うんですが、このあたりが翻訳サイトの限界でありますな。 で、これはアレです。 マル入りワンホーンのほうのセッションなので、大いに期待が持てるんですが、実際のところ圧倒的なプレイが展開されております。 イントロ無しでいきなりマクリーンがテーマを吹き始めるんですが、不安定な音程、危なっかしいようなフレージング。 そこにマクリーンの魅力がぎっしりと詰っております。セイコガニの甲羅の中身のように、カニ味噌と内子と外子が詰ってます。 見た目だけで食わず嫌いになっちゃうか、中毒的にハマってしまうか、ふたつにひとつ、バロムワン。 アドリブ・パートに入ってからのマクリーンは、アップ・テンポに乗ってその独自なマクリーン節というべき、情熱的なフレーズを流麗に滑らせていくが、実に壮快な出来栄えである。…と、小西クンが書いておりますが、僕もその通りだと思います。 で、続くマルのソロは、 「かなりエキサイティングなプレイに徹している」 という啓一クンの意見とは違って、ややエキサイト不足にも思えてしまうんですが、ま、それだけマクリーンの出来が突出しているということで。 で、終盤はアルトとドラムスの4バースで大いに盛り上がって、最後はアート・テイラーがソロを聞かせて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、よかったです。

 ということで、次。 「ホワッツ・ニュー」 。 プレスティッジ時代にもブルーノート時代にも、繰り返して取り上げているような気がするので、彼にとっての愛奏曲なんだと思うんですが、確かにこのメロディはマクリーン独特の掠れたようなトーンで吹くと、より一層、味わいが増すような気がします。 バラードではなく、ミディアム・ファーストで軽くバウンスするナンバーに仕上げられているんですが、 A-A'-B-A型の32小節からなっており、A-A'の部分を、ウエブスターのトランペット、B のサビの部分をマクリーンのアルト、そして終りのテーマをカーティス・フラーのトロンボーンという型で、1コーラス奏した後、アドリブ・パートに導入される。…と、日本語ライナーに書かれている通りの演奏が展開されております。 お客さん、凝ってますなー。 が、凝りすぎたのが結果、裏目に出ているような気がしないでもなくて、個人的には普通にアルトのワンホーンでやって欲しかったような気がしないでもありません。 でもって、ソロ先発はマクリーンです。 テーマのメロディを次第に崩していくような感じでありまして、出来そのものは悪くないと思います。食品添加物でいうと、デキストリン。 そういったレベルの出来だと思います。 で、続くポール・チェンバースのベース・ソロは、地味です。貝類でいうと、シジミ。そういったレベルの地味さだったりするんですが、ま、アルコでないだけ良かったとしておかなければなりません。 続いてフラーのトロンボーンと、低音系のソロを続けるアイデアは悪くないと思うんですが、やっぱり何だか地味。 で、警戒していたギル・コギは、意外と軽快でさほど問題はなかったんですが、最後はウエブスター・ヤングが華の無いマイルス風のスタイルでビシっと締めて、でもって、最後はピアノが軽くテーマ風のものを弾いて、おしまい。 全体的にちょっと緩かったような気がしないでもありません。

 3曲目、 「アイ・ネヴァー・ニュー」 。 ワン・ホーンでマクリーンが縦横無尽に吹きまくっていて、サラ金で言うと、むじんくん。 そういった、高いレベルの演奏が展開されております。 途中、ピアノのソロを挟むこともなく、最初から最後までマクリーンの独壇場でありまして、いやあ、よかったっす。 で、次。  「アイ・ヒア・ア・ラプソディ」 。 マクリーンがバラードで、しみじみと歌い上げます。 で、アドリブ・パートに入ると一転、テンポが速くなって、スインギー路線へ。 ま、何となく予想されていた展開ではあるんですが、何だか、ばっちり決まっておりますな。鍋物でいうと、てっちり。そんな感じです。 いくら書くことがないからと言って、いつもこのパターンだと、さすがに自分でも飽きてきたんですが、フグ毒の成分は主にテトロドトキシンでありますか。 デキストリンと間違えて食品に添加したりすると、えらいことになりそうですが、で、ソロ2番手はマルのピアノです。この人のプレイには独特の毒気があるんですが、ま、ジャズの場合、少しくらい毒があったほうが、苺があるよりもいいような気がするし、で、再びマクリーンが登場して、ひとしきり吹いて、でもって、最後はバラード調のテーマに戻って、おしまい。 いやあ、よかったです。

 ワン・ホーンのほうはここでネタが尽きてしまって、今後の展開に若干の危惧が持たれるジャッカー電撃隊。 そんな気がしないでもないんですが、とりあえず5曲目です。 「ジャッキーズ・ゴースト」 。 マクリーンのオリジナルではなく、チューバ奏者レイ・ドレイパーの曲なんですな。 演奏が始まる前に日本語ライナーに目を通したら、チェンバースのボーイングによるソロも、今となっては実に懐かしい味わいがある。…と書かれていて、今から何だか嘆かわしい気持ちになってしまったんですが、若死しちゃいましたからね、チェンバース。 死んじゃった人の悪口を書くのは日本人としての美徳に悖るので、今回は敢えて、その件には触れないようにしておこうと思うんですが、演奏そのものはアレです。 3管の絡み具合がなかなかに複雑で、よく出来ていると思います。 本来、チューバの担当と思われるパートをトロンボーンでフォローしていて、重厚なハモり具合が、何とも言えずに、鱧 (←ウナギ目・ハモ科に分類される魚の一種) 。 ソロ先発はマクリーンでありますか。…と思わせておいて、実はそれがテーマの途中だったりするところも、なかなかよく考えられていて、で、実際のソロ先発はウエブスター・ヤングとなっております。 僕は基本的に、この人にはあまりよい印象を持ってはいなかったんですが、ここでの吹きっぷりはアレですな。いいですな。あなどれないアドレナリン。 そういったレベルの出来でありまして、以下、マクリーン、フラー、ギル・コギとソロが続くんですが、やはり個人的にはマクリーンが、好き♪…です。 フラーもぜんぜん悪くないんですけどね。 ソロの切れ目にアンサンブル・パートを挟んだり、ソロのバックに残りの2管を絡めたりするアレンジもなかなか凝っているし、最後に例のアレがあったりするのはちょっとソレなんですが、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、ギル・コギ物も別に悪くはないですなー。

 で、ラストです。 パーカー・ナンバーの 「チェイシン・ザ・バード」 。 テクニカルなだけで、個人的にはさほど好きなタイプの曲ではないんですが、演奏そのものは、それなりによかったです。 マクリーンのソロからはパーカー直系としての矜持のようなものが伝わってくるし、続くウエブスターもロブスターみたいに頑張っているし、所詮はザリガニだしぃ。…とか言われて、奮起したんでしょうな。 で、以下、フラー、ギル・コギンズと続いて、最後は3管のチェイスで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 普通によかったっす。 「ホワッツ・ニュー」 だけは、ワン・ホーンのほうがよかったかな?…という気もするんですが、3管モノも残りの2曲はよかったっす。 とまあそんなことで、2009年の “jazz giant” は、おしまい。 では皆さま、よいお年を〜♪


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