DAVIS CUP (BLUE NOTE)

WALTER DAVIS JR. (1959/8/2)

DAVIS CUP


【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) JACKIE McLEAN (as) WALTER DAVIS JR. (p)
SAM JONES (b) ART TAYLOR (ds)
【収録曲】

(01-03) 'S MAKE IT / LOODLE-LOT / SWEETNESS
(04-06) RHUMBA NHUMBA / MINOR MIND / MILLIE'S DELIGHT

【解説】 (2009年02月08日更新)

 子供の頃、早く大人になりたいと思ったことがありますか?僕はあります。どういう時にそう思ったのかというと、節分の時なんですが、もっと豆を食わせろ!…みたいな。今から思えば煎った大豆なんてさほど美味しいものでもないし、食いたけりゃ、お小遣いで豆を買って勝手に食えばよかっただけの話なんですが、子供の頃って無駄に心が純真だったりしますからね。言われたとおり、きっちり年の数だけ豆を食って、物足りないような満たされないような、そんな思いを抱いたものでありますが、そんな僕も今ではすっかり大人になりました。大豆だって、40粒も食えるんだぜっ!…と、そんなトシになってしまったんですが、大人になると節分の日に豆など食わなくなってしまいますな。 いや、子供のいる家庭なら、それなりに家族で豆を撒いたりして楽しむのかもしれませんが、僕の場合、独り身ですからね。家にコドモはいないし、コモドオオトカゲとかもいないし、ま、家にコモドオオトカゲがいたところで豆撒きをするきっかけにはならないような気もするんですが、ここ23年ほど節分に豆など、食べていないような気がします。そんなことでちゃんとマメに働けるのか?…というと、それとこれとは話が別でありまして、お正月にはちゃんと黒豆を食べているので、別に大丈夫だと思うんですけど。 ただ、田作りというのはどうも好きになれなくて、今年の正月も一匹として口にはしなかったので、今年も田作りや子作りに励むことなく終わる事になるのではないかと思うんですが、とまあそんなことで、今日は節分について考えてみたいと思います。

 ここ数年、急速に広まったものに “恵方巻き” というのがありますよね。節分の日にその年の恵方に向かって太巻きを丸かじりすると、めでたい。…という、ま、概ねそういうアレだったりするんですが、子供の頃には聞いたこともなかったような風習が、オトナになったらいつの間やらすっかり定着しておりまして、何とも迷惑な話だと思います。世の中にはマグロ、イカ、エビ、タコ、サバ、穴子、鉄火にカッパ、コーン、カニかま、シーチキン、いなり、バッテラ、寿司太郎。…と、実にさまざまなタイプの寿司があるんですが、よりにもよって太巻き。僕は寿司の中では太巻きというのが一番どうでもいい存在だと思っているんですが、伝統行事に絡む食い物ととしては、冬至の日に食わされるカボチャと同じくらいソソられるものがありませんよね。 しかも、その太巻きをただ食えばいいと言うのではなく、恵方に向かって食え!…と命令されるところもよくありません。僕の家の食卓は西もしくは東に向かって着席するようにセッティングされていて、僕がいつも東を向く椅子に座ることにしております。それがもし、恵方が北北西ということになると体を左向きに112.5度ほど捻ってやらなければならなくなって、とっても座りにくいです。僕は幾何学があまり得意ではないので、この計算が合っているのかどうか今ひとつ自信は無いんですが、それが非常に寿司を食いにくい体勢であることだけは間違いありません。 でまた、太巻きを丸かじり、もしくは丸かぶりさせられるところもよくありません。実際にやってみると分かるんですが、太巻きの丸かじりというのは、食いにくいやん!…と思わずにはいられなくて、特に中身のカンピョウを噛み切れず、でろーんと延びて垂れ下がってしまうところがいけません。どんなにハンサムでいいヤツでも、カンピョウでろーんでは台無しもいいところでありまして、そういう男のプライドを著しく傷つける恐れのある食い方を強要するというのは、ちょっとどうか?…という気がしますよね。

 で、ただ太巻きを恵方を向いて丸かじりすればいいのかと思ったら、それだけではまだ条件不足でありまして、目を閉じて一言も喋らず、願い事を思い浮かべながら太巻きを丸かじりするというのが正式なルールなんだそうです。そうすれば、願い事が叶うかも知れないということなんでしょうが、僕の場合、このシチュエーションで頭の中に浮かんでくるのは、面倒くさいなぁ。…とか、太巻きって大して美味くもねーよな。…とか、誰がこんなしょうもない事を言い出したんや?…といった否定的な考えばかりでありまして、願い事と言っても、チクワの磯部揚げを食いたい!…とか、そういった些細な願望しか浮かんでこなかったりします。そんな願い事なら、わざわざ太巻き寿司を丸かじりして願掛けなどしなくても、最初からチクワの磯部揚げを買って食えばダイレクトに願いが叶うわけで、大きな願い事でないとあまり意味がないかも知れません。大きな願い事というと例えば、めっちゃ大きなチクワの磯部揚げが食いたい!…みたいな。太巻きくらいの太さのチクワがあれば、さぞやボリューム満点の磯部揚げが出来るのではないかと夢が大きく膨らむわけでありますが、ま、あまりにもデカ過ぎて、食ってる途中で飽きちゃうような気もするんですけど。

 とまあそんなことで、今年も節分の日がやってきました。2月3日の夕食は太巻きの丸かじり。土用の丑の日にウナギを食べることはまずないんですが、冬至のカボチャとか、そういう安上がりなヤツだと、わりと律儀に食べたりするんですよね、うちの場合。ちなみに今年の恵方は東北東ということで、体を22.5度ほど捻るだけで済んだんですが、だからというわけでもないんでしょうが、まったく期待をせずに食べた太巻きは、ん、意外と悪くない? カンピョウが噛み切れず、でろーんとなっちゃうのは例年通りだったんですが、毛嫌いするほど不味いものでもなかったような気がします。もともと、寿司の中では太巻きがいちばん好きではないというだけで、蕁麻疹が出るほど嫌いというワケではないですからね。地方によってはイワシの頭をヒイラギに刺して玄関に吊し、さらにはそれを焼いて食ったりするところもあるそうなので、それに比べれば恵方巻きでまだよかったような気もします。 ということで、今年もサバ家では寿司を食べただけで、豆は撒かずに終わってしまったんですが、全国各地ではさまざまな節分の行事が行なわれた模様です。例えば桑名だと、大福田寺で豆まきがありました。この大福田寺は聖徳太子が開いたと伝えられているそうです。弘法大師が開いたと伝えられる寺というのはあちこちにあるんですが、聖徳太子というのはけっこう貴重かも知れません。もしかして法隆寺や四天王寺くらい価値があるとか? でもまあ、そう伝えられているというだけの話で真偽のほどは定かではないし、もしかしたら聖徳太子ではなく、マグマ大使が作った寺だったりするのかも知れませんが、いずれにしろ、桑名ではわりと有名なわりには大して大きくもなく、わりとシケた感じのお寺だったりします。 で、ここで行なわれる豆まきはですね、家計が黒字になるようにという願いを込めて、普通の大豆ではなく黒豆を使うんだそうですが、厄年の男女やミス桑名らが3回にわたって豆を撒いたようです。以前はOSK日本歌劇団のギャルが豆を撒いていたと記憶しているんですが、経費節減でヤメちゃったんですかね? 歌劇団が無理だとしても、せめて過激派くらいは呼んで欲しかったところなんですが、豆の代わりに火炎瓶を投げつけたりすれば、けっこう盛り上がると思うんですけどね。ここ大福田寺では毎年4月に火渡り神事というのが行なわれるんですが、節分と火渡りを一度に済ませることも出来て、一石二鳥。これを読んだ関係者によって、来年はきっと過激派が召集されるものと期待が持たれますが、鈴鹿の椿大社では相撲取りが豆を撒いたみたいですね。普段、土俵の上でよく塩を撒いているから、おそらく豆を撒くのも上手であろう。上手投げとかも上手であろう。…とまあ、そういう発想が働くからなのか、節分に力士を呼ぶというのはよくあるパターンですよね。 で、椿大社には誰が来たのかというと、佐渡ケ嶽親方 (元琴の若) をはじめ、琴光喜琴奨菊が来たというのだから、立派なものです。話題性という点では若麒麟という手もあったと思うんですが、大麻を嗜んでいたのなら護摩を焚くのも上手そうだし、来年あたり、大福田寺に呼びますかね? ちなみに今年、広島市の住吉神社で行なわれたイワシ1000匹の頭を焼いて厄を祓う節分行事 “焼嗅 (やいか) がし”には、疫病神の一員として大麻を持った相撲取りも登場したそうですが、イワシの頭を焼く臭いを嫌って退散したとも、警察に逮捕されたとも伝えられておりまして、来年、無事に桑名に来ることが出来るのか危ぶまれるところでありますが、執行猶予付きの判決が出ることに期待するしかありません。

 一方、市町村合併によって桑名のものになった多度大社でも、盛大に豆まきが行なわれました。ゲストとして松田次生クンを呼んだようです。 誰?…と思ったら、桑名出身のレーシングドライバーなんだそうですが、有名なんですかね? 全日本選手権フォーミュラ・ニッポンでシリーズ・チャンピオンになったようなので、その筋ではそれなりに有名なのかも知れませんが、クルマを走らせるのが速いからと言って、豆を撒くのが上手かどうかは未知数でありまして、どうせなら神戸市の生田神社で豆を撒いたらしい “ナックルりえちゃん” のほうがよかったような気もします。 ま、ナックルで豆を投げられると予測不能な変化をして、非常に取りにくいような気がするんですが、ちなみに多度で撒く豆は、ごく普通の大豆のようでありますな。どうせなら “多度豆” を撒いて欲しいところなんですが、きな粉の固まりの中にシケた大豆が入っているので、恵方巻きの代わりにロールケーキを丸かじりするよりは理に適っていて、それほど大きな罰は当たらないような気がします。 ただ、165gで500円くらいするので、コスト的にちょっと難しいかも知れませんけど。 ちなみに地方によっては大豆ではなく、落花生を撒いたりするところもあるようですが、殻のまま撒けばそのまま拾って食えるし、何より煎った大豆よりも落花生のほうが格段に美味しいし、中の粒ではなく、殻付きの状態で数をカウントするんや!…と言い張れば、40歳にして最大80粒は食うことが出来るし、ま、それだけ食えば鼻血が出ちゃうかも知れませんが、血と一緒に厄だって流れ落ちるから、これでエエんや!…と言い張れば、それなりに合理的な説明だってつくしー。 落花生、いいではありませんかぁ。 来年の多度大社の節分は、ナックルえりちゃんによる落花生撒きということに決定したいと思いますが、ただ落花生だけというのもちょっと飽きますからね。ついでにアーモンドやカシューナッツ、更にはジャンボコーンなんかも撒いて、ミックスナッツ撒きにして貰えると、もっと嬉しいでっす。

 最後に津市の恵日山観音寺で行なわれた “鬼押さえ節分会 (え) ” を紹介したいと思うんですが、 「鬼を押さえて津クイーン守れ」 などという記事が掲載されておりました。何でも、振り袖姿の “津クイーン” を連れ去ろうとする鬼を、裃 (かみしも) 姿の武士が退治するという、そういう寸劇が行なわれたそうなんですが、何だか 『リンカーン』 という番組でやっていた “初島スペシャル・姫を守って島一周サバイバルレース!” みたいで、楽しそうですなー。 残念ながら姫のひとり、原西オカンは去年の暮れにお亡くなりになってしまいましたが、津クイーンのほうは無事に守られたんでしょうか? 何でもいいけど津クイーンって、あまりにも語呂が悪すぎますよね。 かと言って、津レディや津ギャルにしてみたところで、さほど代わり映えがするワケでもないし、この際、この行事は津でなくて福井の神社に移管することにして、津クイーンも “福井ーン” と改名したほうが、何だか福を呼ぶ医院みたいで、いいんじゃないか?…という気がします。

 いろんなアイデアが出て来年の節分が今から待ち遠しくなって来ましたが、とまあそんなことで、節分に関する拙文は、おしまい。

 ということで、今日はウォルター・デイビス・ジュニア 『デイビス・カップ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、これ、このコーナーで取り上げるのは初めてでしたっけ? ドナルド・バードジャッキー・マクリーンサム・ジョーンズアート・テイラーという、最高にソソられるサイドマンばかりを集めた1枚なので、当の昔に紹介していると思い込んでいました。ちょっと意外です。ジャケットのデイビス君が今ひとつ男前で無いのが、これまでボツになってきた要因ですかね? が、わりと書きやすそうな感じなので、柿安の肉と書きやすいジャケットが好きな僕が、そんな理由で敬遠するとも思えないんですが、味のある顔だと評価することも出来ますしー。ちょっと目と目の間が離れ過ぎのような気もするんですが、こういう人は視野が広いに違いなくて、知識やモノの考え方の幅も広いものと推測されます。いいことではありませんかー。 とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 このアルバムに収録されている曲はすべてデイビス君のオリジナルなんですが、まずは 「ス・メイク・イット」 。最初の 「ス」 というのがいったい何なのか、ちょっと気になるところではあるんですが、普通に考えれば酢か巣ということになると思うんですけど。 でも、岐阜県の白川町にある丸ス産業の 「ス」 は鈴村の 「ス」 らしいので、あるいは 「鈴村・メイク・イット」 ということなのかも知れません。鈴村クン、何を作ったんでしょうな? で、演奏が始まった瞬間、これを今まで取り上げてこなかった理由を即座に思い出したんですが、なーんか違うんですよね。僕は勝手にマイナー調のファンキー・チューンを期待してたんですが、バードにマクリーンですからね。それは当然の要求ではないかと思うんですが、にも関わらずウォルター・デイビス・ジュニアくんは、ちょっと違ったタイプの曲を持って来ました。変に明るくて、妙に能天気というか、親しみやすいようで、今ひとつ乗り切れないというか、とにかくまあ、日本人にはあまりウケない感じの仕上がりなんですが、期待が大きかっただけにちょっとガッカリしてしまって、この1曲目のおかげでアルバム全体の印象が悪くなって、今まで冷たくあしらわれていた。…と。 が、今回、改めてじっくり聴き直してみたら、これはこれで悪くないような気もしてきたんですが、トランペットとアルトのユニゾンに、時折アート・テイラーのドラムスが絡んでくるテーマ部に続いては、ウォルター・デイビスのピアノ・ソロでありますか。ちょっぴりソニー・クラークを彷彿させる陰りのあるスタイルはなかなか日本人好みだと思うんですが、と思っていたら急にホーンのアンサンブルが絡んで来たりして、こういうところがちょっと 凝り過ぎではないかと思うんですが、でもってソロ2番手はドナルド・バードでありますな。いつも通り、ちょっぴり上ずったような感じはあるんですが、概ね良好な吹きっぷりでありまして、で、続くマクリーンのソロは好調そのもの。やっぱりいいですな、マクリーン。 少なくとも津クイーンより個人的にはソソられるものがあるんですが、とまあそんなことで、最後にドラムスのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。曲はともかくとして、ま、演奏そのものは意外と悪くありませんでした。

 ということで2曲目です。 「ルードル・ロット」 。これまた、ファンキーとは微妙に違った感じで、すんなりとは入っていけないんですが、じっくりと何度も聴いていると、そのうちになんとなく分かってくるような気もするし、とりあえずソロ先発のマクリーンの出来がいいから、ま、細かいところは許せてしまうんですけど。ちなみに、このアルバムが作られた1959年の8月2日というのは、ウォルター・デイビスも参加していたマクリーンのリーダー作 『ニュー・ソイル』 の吹き込みから約3ヶ月後という時期に当たり、当時のマクリーンは脱ハードバップの方向性を模索していた頃だったりします。 が、ここでの彼はサイドマンという気楽さもあってか、わりとオーソドックスなプレイに徹しているところが喜ばしいんですが、で、ソロ2番手はウォル・デビのピアノでありますか。この人の場合、根はパウエル派であるものと思われるんですが、作曲の面ではやや冒険しがちな彼も、演奏スタイルは奇をてらったところが微塵もなくて、ミジンコ好きの人でも素直に楽しめるのではないかと思います。 で、続くバードのソロも普通に悪くなくて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。曲はともかくとして、ま、演奏そのものは意外と悪くありませんでした。

 3曲目、 「スイートネス」 。これはアレです。とってもスイートっすね。…といった感じのバラードでありまして、テーマ部がトリオ演奏になっているところがいいですな。気分転換には持ってこいでありまして、金、持ってこい!…と言われて気分が落ち込んだ時も、優しいピアノの音色を耳にすれば、許せる気分になれること間違いなし。ゆすられたって、たかられたって、強く生きていける。そういう人に僕はなりたいです。 いや、そうして一度金を渡してしまうと、相手はつけあがるに違いないので、出来れば金を持っていかずに済ませたいところではあるんですが、殴られたり蹴られたりしても嫌だしぃ。 とまあそんなことで、歌モノのように美しいメロディを持ったテーマ部がトリオで演奏された後、満を持してドナルド・バードが登場。アドリブというより、主旋律をもう一度、そっとなぞるような感じなんですが、変に技巧に走ったりしない姿勢は大いに評価していいと思います。スローな曲は素直にやるのが一番なんですよね。 続いてウォルター・デイビスのソロになるんですが、倍テンという技法に頼らず、しかも湿っぽい雰囲気を感じさせずにバラードを演奏してみせているのだ。それだけなら大したことはないとおっしゃる方には、彼が曲自体の魅力だけでファースト・コーラスを押し通す自制心を持っている点を指摘したい。ありがたいことに彼はそのやり方が気に入っているらしく、一切装飾音を使わずにファースト・コーラスを演奏している。…と、原文ライナーにジョー・ゴールドバーグが書いている通りのプレイが展開されております。ジョーの言ってることは正しいじょー。 ということで、最後にもう一度バードが出てきてテーマを吹いて、続いてデイビスが出てきてテーマを弾いて、でもって、おしまい。 いやあ、実に素晴らしい出来ではありませんか。…と、素直に評価していい1曲だと思います。やや単調ではあるんですけどー。

 ということで、4曲目。 「ルンバ・ヌンバ」 。これはアレです。ルンバです。ルンバであると同時にヌンバでもあるという、そういうアレだったりするんですが、明るく陽気で能天気なカリプソ風のナンバーに仕上がっております。それとなく “Hawaiian War Chant” のメロディを使った…と、ジョー君がそれとなく盗作疑惑について触れたりしておりますが、僕はその 「ハワイの戦争チャント」 という曲をちゃんと知ってるわけではないので、パクリなのかどうなのか言及することは出来ません。 テーマ部ではフロント陣とアート・テイラーのタイコとの絡みが面白く、でもってソロ先発はマクリーンでありますか。これがまた実に快調だったりするんですが、続くバードのソロは普通に悪くなかったりします。 で、最後を飾るウォルター・デイビスが絶品でありまして、軽妙にして洒脱、大名にして脚立なプレイは、高いところで作業をするにはとっても便利。…とか、訳の分からないことを書いてるうちにテーマに戻ってしまって、ピアノ・ソロが短いところがちょっぴり残念ではあるんですが、概ねよく出来た演奏だったと言っていいでしょう。

 で、次。 「マイナー・マインド」 。 これこれ。こういうのを待ってたんだって!…と言いたくなるようなマイナー調のファンキー・チューンでありまして、テーマ部が単純な2管のユニゾンではなく、絶妙にハモっているところもポイントが高いです。オーソドックスなAABA形式で、最後にちょっぴりオマケが付くという構成なんですが、実によく出来ております。でもって、ソロ先発がデイビスのピアノというところもいいんですが、この人のプレイはやはり、どこかソニー・クラークを彷彿させるものがありますな。おもろい顔なのに意外と哀愁系だったりするんですが、いいですよね、哀愁。日本の歌謡曲にもいくつか哀愁ソングがあって、中でも僕は田原俊彦の 「哀愁でいと」 がいちばん好きなんですが、ここでのデイビスの演奏はトシちゃんに勝るとも劣らない出来映えだと思います。少なくとも花田勝よりは勝っていると思うんですが、ちゃんこ屋経営のことばかり考えてて、真面目に相撲と向き合っているようには見えませんもんね、元・若乃花。…とか言ってるうちにマクリーンのソロが始まりましたが、やはりこういう曲調におけるこの人のプレイは抜群だと思います。お笑いでは “X−GUN(バツグン)” のセンスが抜群だと思うんですが、細木数子の指示によって、コンビ名を “丁半コロコロ” に変えたのは、ちょっとどうかと思いますけどね。さすがに本人達も、ちょっとどうか?…と思ったのか、元の名前に戻したようですが、で、続いてはドナルド・バードのソロでありますな。よく歌うフレーズの連発で、このアルバムの中では屈指の 出来ではないかと思うんですが、他にこれと言って書くことも思い浮かばないので、先に進みます。 あとはえーと、再びデイビスが登場して短めのソロを披露して、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いや、スバラ歯科という歯医者と同じくらい、素晴らしか。…な1曲だったと思います。 あ、歯医者で思い出したんですが、養老町に “早崎よ歯科” というのがあって、看板の前を通る度に気になって仕方がありません。 何なんですかね、 “” 。 いつも、会社に戻ったらネットで調べようと思っていて、結局、会社に戻ったらそんなことはすっかり忘れてしまって今日に至っているんですが、この機会にスッキリさせておきましょう。 えーと…、よく分かりませんなぁ。。。

 スッキリしないまま最後の曲を迎えることになりましたが、 「ミリーズ・ディライト」 。 あ、もしかして院長の名前が “” なのかも?…と思って改めて調べ直してみたところ、ようやく謎が解けました。早崎よ歯科の院長、早崎嘉一。“よしかず” だから “よ歯科” なんですな。ほとんど “福井ーン” と同レベルの発想なんですが、スッキリしたところで最後の曲に参りましょう。 「ミリーの悦び」 。 誰なんですかね、ミリー。 隊長?…って、それはビリーですな。ビリーズブートキャンプもすっかりブームは去ってしまいましたが、そういえば僕もこのところ、鍛錬隊員の活動をまったくやっておりません。中途半端に運動するより、食う量を減らすほうが効果があるのではないかと思って、昼飯のカロリー摂取をなるべく押さえるようにしているんですが、先日、ハマダさんと一緒に飯を食いにいった時は、どうせ奢って貰えるんだしぃ。…というので、思わず 「びっくりドンキー」 でレギュラーバーグステーキの300gとライスの大盛を頼んでしまいました。ライスは普通でよかったかな?…と、ちょっぴり後悔しているんですが、で、この曲、さほどファンキーというわけではないんですが、そこそこハードバピッシュで悪くはないと思います。 ま、さほどソソられるタイプの曲でもないんですけど。 2管のユニゾンによるテーマに続いて、マクリーン、バード、デイビスの順にソロが回されて、テーマに戻って、おしまい。 とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 思ったほど日本人好みの曲が多くはなかったんですが、全曲をオリジナルで固めた意欲は買わねばなりません。 ま、変なオリジナルをやられるくらいなら、大人しくスタンダードをやってくれたほうが無難だったりするんですが、ここでのウォルター・デイビスの作品群は何とか許容出来る範囲内には納まっていると思うしー。 個人的には3曲目と5曲目が優、4曲目が良で、残りは可…といったところでしょうか。演奏そのものは全て合格ラインを上回っております。リーダーのピアノも悪くないんですが、特にマクリーン・フリークにお薦めしたい1枚でありますな。マグロのフレーク好きの人には、ちょっとどうか?…という気もするんですけど。


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