THE EXPLOSIVE PIANO OF (EPIC)

HERMAN FOSTER (1961/5/09)

THE EXPLOSIVE PIANO OF HERMAN FOSTER


【パーソネル】

HERMAN FOSTER (p) EARL MAY (b) GRASSELLA OLIPHANT (ds)

【収録曲】

(01-03) YESTERDAYS / LIKE SOMEONE IN LOVE / CAROL
(04-06) DANCING IN THE DARK / GOODBYE / DREAM

【解説】 (2009年01月25日更新)

 ホントにホントにホントにホントにライオンだー、近過ぎちゃって、どうしよう♪ ( by 和田アキ子 ) ということで、行ってきました、 富士サファリパーク ♪ いや、ホントはあれ、 松崎しげる が歌っているみたいなんですけどね。…とか言ってる人もいるようですが、どちらも違います。 串田アキラ というのが正解です。真ん中の “−田アキ−” の部分が和田アキ子と同じなので余計に間違えやすいんですが、串田アキラのほうは 「キン肉マン Go Fight!」 とか 「1たす2たすサンバルカン」 なんかを歌っていて、その世界ではけっこう有名なんだそうです。1たす2たすサンバルカンでは、答えが6バルカンになってしまうので、 「1たす2はサンバルカン」 のほうがいいのではないかという気もするんですが、それはともかく、行ってきました富士サファリパーク。同じ富士だしぃ。…というので、富士急ハイランドとペアで行ってみることにしたんですが、同じ富士でもこの2つはけっこう離れておりました。富士急ハイランドまでは富士急に乗れば大丈夫なんですが、そこから公共交通機関でサファリパークに行くというのは事実上不可能でありました。御殿場か三島に出ればそこからバスが出ているみたいなんですが、富士急から御殿場や三島まで、どうやっていけばええねん?…みたいな。しかもバスの本数も極めて少ないようなので、事実上、無理だと思っておいたほうがいいでしょう。仕方がないのでレンタカーを借りることにしました。トヨタレンタカーの富士河口湖店でカローラフィルダーを借りて、三島店で乗り捨てることにしました。乗り捨て料金は決して 安くはなかったんですが、帰りは三島から新幹線に乗ったほうが遥かに便利なので、多少の出費はやむを得ないところでありますな。

<富士サファリパーク (サファリゾーン編) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、到着ー。 サファリゾーンを回るには自分のクルマを利用する以外に、オープンカーで回る、徒歩で回る、サファリバスを利用する、サファリナビゲーションカーを利用する。…といったいくつかの方法があるんですが、オープンカーだと恐らく中に入れてもらえないに違いないし、ウォーキングサファリも事前に予約しておかないと駄目みたいです。勝手にどこでも自由に歩き回れるというものではないんですな。サファリバスはクマたんやライオンたんに餌をやれるというので人気が高いようですが、僕はサファリナビゲーションカーというのを借りてみることにしました。これだとクマやライオンは無理でも、キリンや鹿には餌をやれるみたいだし、普通のクルマでは入れないオフロードゾーンを走ることが出来て、優越感に浸れること、必至。 事前に会員登録をして、パソコンで予約しなければならないんですが、予約は例えば1月に利用するのであれば、12月1日になった瞬間から可能になります。僕はいつも夜の11時には寝ちゃうんですが、この日ばかりは11時50分に目覚ましをかけておいて、日付が変わった瞬間に予約を入れました。特に5人乗りショートボディのAT車は人気が高く、すぐに予約で埋まっちゃうみたいですからね。そんな努力の甲斐あって、14時10分スタートの部を無事に確保することが出来たんですが、そういうこともあって、ちょっと雪が降ったからと言って、そう簡単に予定を変更するわけにもいかなくて、電車とレンタカーで行くことにしたんですけど。

 ナビカーは乗車30分前までに手続きをしないとせっかくの予約がパーになるというので、到着してすぐに乗車手続きを済ませておくことにしました。窓口 に行ってみたら、問題発覚。本日は雪の影響でキリンたんの餌やりが出来ないんだそうで。ああん!その為、ナビカーのキャンセルが相次いでいるが、どうする?何だったら14時10分と言わず、今からでもすぐに乗れるが、どうする?…との事でありました。せっかく夜中の12時に起きたのにキャンセルというのでは何だか悔しいので、乗るっ!とりあえず乗るっ!今すぐ乗れるんだったら、すぐに乗るっ! が、急な予定変更だったので、まだ十分に心構えが出来ていなくて、おまけにショートボディのつもりがデカいほうのクルマになったのもあって、かなり上ずった気持ちでサファリゾーンに放り出されることになってしまったんですが、こ、これ?どうすればいいんですかね?  事前の調査によると、どうやらナビカーはジャングルバスと同じコースを走れるらしいという事らしいんですが、ちょうど目の前にバスがいたので、その後ろについていくことにして。 まず最初はクマゾーン♪ 奥飛騨クマ牧場のアリスたんのおかげで、さばクンはすっかりクマ好きになってしまったので、めちゃ楽しみだったんですが、クマたん達はバスに群がって、めっちゃ餌をあさっておりました。何とも心温まる、ほのぼのとした風景なんですが、何年か前に飼育員の兄ちゃんがクマに襲われて、死亡。…という事故も発生しているようなので、嘗めてかかってはいけません。特にクマは鮭が好物ですからね。同じ魚類ということで、サバくんも襲われる可能性が極めて高いに違いないので、恐る恐る通過ー。 ちなみにサファリカーの場合、横の窓のところに金網があったりするので、横を向いて写真を撮るにはちょっと不向きでありました。

 ということで、続いてはライオンゾーン♪ ネコ化の動物はやはり、どこかネコっぽいところがあったりするので、楽しみでありますな。 ここでもバスの乗客が差し出す餌をあさるライオンの姿を間近に観察することが出来て、間違いなく、ホントにホントにホントにホントにライオンだー、近過ぎちゃって、どうしよう♪…という状態だったんですが、いや、ホントにどうしようかと思ってしまいました。 というのも、バスが去ってしまった後、僕のナビカーは幾多ものライオンに行く手を阻まれて、まったく身動きの取れない状況に陥ってしまったんですよね。こ、これは一体、ど、どうすればエエねん!?ライオンを轢き殺す覚悟で無理やり進めば何とかなるのかも知れませんが、対物・対人事故の自動車保険には入っていても、対ライオンというのは入ってなかった気がするので後の損害賠償請求が怖いし、ここはやはり穏便に事を進めておきたいところなんですが、とりあえず夜になってライオンがおうちに帰るまで、ずっとここで立ち往生しているしか、手立てがないようでありますな。 …と思っていたら、やがて窮状を察したパトロールの車がやって来て、凄い勢いでライオンたんを蹴散らしてくれたんですが、ただ僕のナビカーは停止を命じられて、 「ちゃんとナビ、付いてますかぁ?」 と、お兄さんに詰問されてしまったのでありました。 今から思えばライオンの餌やりゾーンはナビカーでは立ち入ってはいけないエリアだったのかも知れませんな。クルマに取り付けられたナビを見たら、左に行け!…という指令が出ていたっぽいのに、僕は無視してバスの後ろについて、右のほうに走っちゃったっぽいしー。最初、お兄さんが何を言っているのか聞こえなくて、思わず窓を開けそうになったんですが、早まらなくてよかったです。もっと激しくお兄さんに叱られることになるところでした。 この事件のおかげで、以後、さばクンはすっかり “いじけモード” に突入してしまったんですが、どうせ僕なんか、ナビカーに乗る資格は無かったんだぁ。。。

 以後、トラゾーンチーターゾーンゾウゾーンなどを見て、最後の山場の鹿ゾーン♪ キリンたんは駄目でも鹿たんの餌やりは大丈夫で、クルマにはちゃんと鹿せんべいも用意されておりました。 こうなったら鹿にめっちゃ餌をやって、サファリナビゲーションカーの底力を見せ付けてやるぅ! 普通のクルマの奴らを羨ましがらせてやるぅ! ここに来てようやく、ちょっとだけ元気を取り戻したサバくんだったんですが、鹿ゾーンに入ると、あっちにいた鹿集団が道路を横断して右のほうにいったかと思うと、今度はまた左のほうに移動したりして、何やら不穏な雰囲気が。鹿たちが道路を悠々と横断するので、鹿渋滞が発生しておりました。何だか殺気立った気配も感じられたんですが、も、もしかして僕の鹿せんべい、狙われている?…と思ったら案の定、餌やりゾーンに入っていくと、鹿が物凄い勢いでクルマに体当たりして来たりして、恐っ!鹿、恐っ!! ちょっと身の危険を感じてしまう程だったんですが、手に持った鹿せんべいはあっと言う間に食い散らかされて、貴重な餌やり体験は、これで終了〜♪ 奈良公園の鹿に比べるとあまりにも野性的で恐ろしかったんですが、ま、鹿にシカトされるよりはマシ?…とでも思って、自分を慰めるしかしません。というかコレ、写真を見る限り、鹿とは別の生き物なのではないかという気もしますな。鹿せんべいを食ったから、てっきり鹿だとばかり思い込んでいたんですが、これはえーと、ムフロン??? ムフロンの癖に鹿せんべいを食うな!…と思わずにはいられませんが、とまあそんなことで、サファリゾーンは以上です。

<富士サファリパーク (ネコの館編) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 富士サファリパークには動物放し飼いゾーンのほかに “イヌの館” や “ネコの館” というのもあったりします。別料金なんですけど。犬を見るだけで500円というのはぼったくりだと思うんですが、ネコの館が500円というのはお得ですにゃ。時間制限なし、猫撮り放題、猫サワリ放題で500円っ♪極楽や〜♪ こういう施設は中レベルの猫好きには大好評でも、熱心な猫好きの間では概ね不評だったりするんですが、猫の気持ちも考えずに好き勝手にサワられて、不憫だという意見は分からないでもありません。猫の立場にしてみれば、そっとしておいて欲しいところなんでしょうが、生憎、僕は中の下から下の上といったところに位置するレベルの猫好きですからね。500円も払わされたんだから、もう好き勝手に写真を撮ってやるぅ!オサワリしまくってやるぅ! 館の中はテーブルがあったり、ソファーがあったり、キャットタワーがあったり、ストーブがあったり、普通の家みたいな作りになっているんですが、いるいるー。可愛い猫にゃんがいっぱいいますにゃー♪ 1年ほど前、残念ながら猫の天国へと旅立ってしまったクロコによく似た黒ニャンもいますにゃ♪ ここにいる猫たちは仕付けが行き届いているのか、あるいは既に諦観の境地なのか、サワられても無反応なのが多かったですな。ナデでもナデても、生きてるのか?…と心配になってくるほど微動だにせず眠りをむさぼる猫もおりました。 愛想の悪いヤツばかりなのかと言うと、そんなことはなく、おっさんの膝の上に乗って、寛いでいるゴルビーもおりました。いや、用意されているアルバムを見たら、どうやらそういう名前みたいなんですけどね。種類まではチェックするのを忘れていたんですが、よりによって、こんな金正男っぽいオッサンの膝に乗るとは、かなりのマニアであるに違いありません。 ま、その後は可愛いギャルの膝に乗ったりしていたので、審美眼が決して間違っているわけではなさそうなんですけど。 その他、ストーブの上で長く伸びきっている猫もおりましたな。熱気そのものは側面に放射されるようなので、上のところがめっちゃ熱いというわけではないんですが、 「燃えへんのか?」  という人間の心配をよそに、何とも気持ちよさそうに眠っているのでありました。いやあ、猫はいいですにゃ♪

<富士サファリパーク (ふれあいゾーン編) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 富士サファリパークには動物放し飼いゾーンや犬猫のほかに、普通の動物園っぽいエリアもありました。ライオンの子供やハイエナ、あるいはカバ、リルザルなんかがいます。エミューや羊に餌をやれるコーナーもあります。エミューの餌は小さなカップに入って50円なんですが、手のひらに中身を1個乗せて目の前に差し出しても見向きもせず、カップのほうばかり狙って来ます。突付かれてカップを落としてしまって、地面に散乱した餌を食われて、それでおしまい。ああん、アタチの50円がぁ!…という幼女の姿を目の当たりにしたので、僕は用心してカップを隠し持っていたんですが、それだとまったくこっちに寄っては来ません。とてもエサを貰う立場のエミューとは思えないような態度だったりするんですが、手のひらの上に5個くらいエサを乗せてやったら、連続でパクパクと啄ばんでくれたんですけど。 あとはえーと、ワラビーやミニブタなどと触れ合えるコーナーとかがあって、おしまい。 あ、そうそう。ここの売店に、ジャズ好きなら思わず買ってしまうに違いない、素晴らしいライオン・グッズが売られているのを発見しましたー。 これ です。アンドレ・プレビンの 『キング・サイズ』 ぅ ♪ どうやらこれ、ライオンだしぃ。…という、ただそれだけの理由で、その由来とか、あまり深く考えずに売りに出している模様なんですが、米ロサンゼルスのレコード会社、 「コンコードミュージックグループ」 が所有するジャズのレコードジャケットが商品化されました。コンコードはアナログレコードの再発レーベルとして世界的に有名であり、マイルスデイビス、ジョンコルトレーン、セロニアスモンクなどの名盤を数多く所有しております。多くは1950年代のビ・バップ時代のレコードジャケットが中心ですが、そのジャケットデザインは “アート” と呼んでも差し支えない優れたものです。そしてそれはジャズファンのみならず幅広い層にアピールするものだと確信してます。…との事なんですが、となると “トートバッグ(ライオン)” 以外にもいくつか商品があるんですかね? ハンプトン・ホーズコレ とかー? もし “トートバッグ(ワニ)” が実存するのであれば、熱川バナナワニ園での販売を切望する次第でありますが、とまあそんなことで、今日のお話はおしまい♪

 ということで今日はハーマン・フォスターなんですが、いやあ、風邪をひきました。いつの事なのかというと、この前の木曜日なんですが、朝起きたら何だか喉が痛かったんですよね。あまり気にもとめずに仕事をしていたら、そのうち全身がだるくなって、カラダの節々が痛みはじめ、さらには頭痛やら悪寒やらも感じられるようになってきました。 も、もしかして、インフルエンザ?…と思っていたら、翌日には熱っぽい症状が緩和されたので、恐らく普通の風邪であろう。…という素人判断のもと、とりあえず安静にしつつ、今日に至っている次第であります。相変わらず喉は痛いので、そこらあたりに病原菌がたかっているのではないかと思うんですが、咳き込んだ拍子にしゃっくりが出て、ずーっと止まらないという変な症状が出て、困りました。しゃっくりぐらい、ぜんぜん大したことないと思われるかも知れませんが、まともに喋れなくなっちゃうし、周囲に変な声は漏れるしで、ロクなものではありません。今まで、しゃっくりが止まらずに死んだヤツはいないという話はよく聞くので、恐らく生命に関わるような問題ではないと思うんですが、その一方、3日間しゃっくりが止まらないと、死ぬ。…という話もあるので、油断はなりません。何とかして、死に至る前にしゃっくりを止めてやらねばなりませんが、木曜の昼にはコモのパンを飲み込んだ瞬間しゃっくりが止まったので、何かものを食べるというのは効果があるのかも知れません。金曜日の夜もゴハンを飲み込んだら止まったしー。

 が、しゃっくりの側にも次第に食い物に対する耐性が出来てくるのか、何を食ってもぜんぜん止まらない場合も少なくないんですが、そういう場合は深呼吸が有効です。息を吸って吸って、思いきり吸って、もうこれ以上は吸えません。…というところまで吸って、そこから更にもう一息吸って、そこで息を止めて、我慢して我慢して、もうこれ以上我慢すると窒息死するぅ。…というところまで我慢して、更にそこから5秒ほど息を吐くのを我慢してやれば、しゃっくりは止まります。特にしゃっくりの出始め、一発目の直後にこれをやってやれば、効果抜群。やばいと思ったら即、息を大きく吸い込むことで、続く発作を抑え込むことが出来ます。 が、一度タイミングを逸してしまうと、この呼吸法もあまり効果はないようで、結局、有効なしゃっくり克服法を見つけだすことが出来ないまま、急な発作→何となく止まる→再び発作→どうこうしているうちに止まる。…というパターンを繰り返しつつ、とりあえずまだ死なずに生きてはいるんですけど。 幸い、今日のところ、しゃっくりは止まっているんですが、体調はまだ万全でなく、この原稿も布団の中で寝ながら書いている次第でありますので、今日の後半は軽く駆け足で流すことにして。

 ということで、今日はハーマン・フォスターです。単独での知名度は決して高いとは言えないんですが、よくルー・ドナルドソンと一緒に演奏している盲目のピアニストと言えば、思い出す人もいるでしょう。独特の飛び跳ねるような黒いノリは、能天気なルーさんのスタイルとはぴったりでありまして、ジャズは人生の苦難そのものである。…とか、そういう堅苦しいことを言う人には概ね不評なんですが、そうでない人には、わりと人気があったりします。 で、今日はそんなハマ・スタくんの 『ジ・エクスプロシヴ・ピアノ・オブ・ハーマン・フォスター』 というアルバムを紹介しようと思うんですが、ちゃんとリーダー作まで作っていたんですな。ちっとも知りませんでした。 『ザ・一触即発のピアノ』 ということで、大いに期待が持てるんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはお馴染み、ジェローム・カーンのスタンダード・ナンバー 「イエスタデイズ」 。 お上品にやろうと思えば、いくらでもギャル好みに仕立て上げられる素材なんですが、ハーマン君は決してブレません。ルー・ドナルドソンの元を離れたら、意外にもラブリー&キュート路線だった。…という展開もあるのではないかと思っていたんですが、そんなことはぜんぜん無かったです。鍵盤を叩きつけるかのような強引極まりないタッチ、隠そうとしても隠し切れない、持って生まれた品の無さ。 もう、完璧にハーマン・フォスターやな、こりゃ。…と思わずにはいられない世界が繰り広げられているんですが、バックで聴かれるウォーキング・ベースもなかなか強力だったりして、悪くありません。このベース、誰? ま、恐らく、さほど有名な人ではあるめぇ。…と思ったら、アール・メイという人のようなんですが、タイコ担当のグラッセラ・オリファントという人も、地味にブラシで頑張っております。アドリブが進むに連れてブロック・コードも熱を帯びて、よりディープに下品になるところが圧巻なんですが、最後はわりと普通な感じになって、テーマに戻って、おしまい。 で、続いては 「ライク・サムワン・イン・ラヴ」 でありますか。 “恋する乙女” を色濃く感じさせるナンバーなんですが、ここでのハーマンは意外にもプリティー&キュート。 キュンキュンとしたタッチが何とも乙女チックでありまして、ま、アドリブに入るとちょっぴりテンポも早くなって、下品な下心がちょっぴり透けて見えて来りもするんですけど。 そして中盤以降、いつもの彼が戻ってくるんですが、考えようによってはソウルフルであると前向きに評価することも可能かも知れません。あまり、お利口なプレイとも思えないんですが、賢いだけが人生ではありませんからね。3コーラス目に入るとアホになる。そういう演奏家がいてもいいと思います。とまあそんなことで、最後はわりと普通な感じになって、おしまい。

 3曲目、 「キャロル」 。すごく綺麗なバラードなので、てっきり歌モノだとばかり思っていたんですが、ハーマン・フォスターのオリジナルなんですな。ちょっと意外でした。奥さんに捧げたナンバーなんだそうですが、ミュージシャンはこうして愛する人に曲とかを捧げることが出来るから、いいですなぁ。僕には作曲の才能がないので、もし捧げるとしたら、何がいいですかね?ささげのゴマ和え? もしくは永谷園の “あさげ” ? この2つをペアにすれば、それなりの朝食メニューにはなりそうなんですが、相手が和食嫌いだったりすると駄目なんですけど。 えー、ウインナー、ハムハム、ソーセージはないのぉ?…みたいな。キャロルちゃんも名前からして和食党ではなさそうなので、 “ささげ” や “あさげ” を捧げられるより、 「キャロル」 という曲を捧げられたほうがよっぽど嬉しいと思うんですが、しかもそれが極上のバラードとなれば、言うことはありません。いつもはおちゃらけているハーマン君も、この時ばかりは真剣な眼差しで、途中でアホになることもなく、最後まで真摯な態度を崩しません。立派です。普通にやろうと思えば、ちゃんと出来るんじゃーん♪優しい気持ちにさせてくれる、そんな素敵な1曲なのでありました。

 ということで、4曲目です。 「ダンシング・イン・ザ・ダーク」 。 「暗闇で踊る」 ですか。そんなことしたら蹴躓いたりして危険ではないかと思うんですが、ネコのしっぽを踏んじゃったりー。 ネコならまだいいんですが、ライオンのしっぽを踏んじゃったりー。 ダンシング・イン・ザ・ダーク・イン・富士サファリパークとかだと、そういう可能性が無いとも言い切れないんですが、ナイトサファリとか、そういう企画もあるみたいですしね。さすがに踊ったりはしないようなんですが、どうして暗闇で踊ったりするのかと言うと。どさくさに紛れてあちこち、いろんなところをオサワリしようという魂胆なんでしょう。ハーマン・フォスターなら、やりかねません。奥さんの前では殊勝にバラードなんか弾いていても、一歩外に出れば、どこで羽目を外しているか分かったものではありませんからね。 で、これ、そんな下心とは裏腹に、とても綺麗なメロディを持った曲だったりするんですが、バラードでなくミディアム・テンポで演奏すると、小粋な感じが強まって悪くないんですよね。 ここでのハーマンはそういった素材の特性を十分に踏まえた上で調理しておりまして、いわば定番と言った味付けだったりするんですが、やっぱり “ささげ” はゴマ和えにするのが一番だと思うんですよね。いくら和食が好きでないからといって、ささげをペスカトーレ風にするというのは、ちょっとどうかと思います。ちっとも珍しくはないが、安心の出来る逸品。そういったところでありましょう。 ただ、いくらゴマ和えとは言え、ちょっとゴマが多過ぎるんちゃう?…と言いたくような濃い味付けであるところが、いかにもこの人らしいところではあるんですけど。

 で、続いては 「グッドバイ」 。 最後ではなく、5曲目にこれを持って来たところに禅味が感じられるんですが、それにしても全体的にベタな選曲が目立ちますよね。 「さよなら」 だけに、暗くて救いのないムードが特徴的なナンバーなんですが、ハーマンの弾きっぷりも全体的には暗くて救いがありません。 が、途中、何だか妙にテンションの高い部分もあったりして、別れの悲しさと、カレーの嬉しさがごっちゃになっちゃてるような。さよならは寂しいけど、でも、今晩カレーだしぃ♪…みたいな。今日でお別れだし、しかも今夜のおかずはカレイの煮付けだしぃ。…というのでは生きる希望が無くなってしまうんですが、不幸中の幸いというか、今晩カレーでよかったですな。…とまあ、そんな悲喜こもごもな弾きっぷりだったりするんですが、最後は結局、暗くて救いがないモードに戻って、やはり別れの痛手はカレーでは補えませんでしたかぁ。

 ということで、ラストです。 「ドリーム」 。恋する乙女は、また、夢見る乙女でもあったりするんですが、熱がある時って何だか変な夢を見たりしますよね。今回、風邪で寝込んだ僕はどういうわけか 「富士急〜」 「フリー券〜」 「サファリパークぅ〜」 「裾野ぉ〜」 といった字幕がエンドレスで現れるという、そういう単純な夢をずーっと見てたんですが、微熱ながらも、まともな思考活動が出来ない脳の状態になっていたのかも知れません。ほとんどアホになりつつも、塩サバの原稿だけは書かなければならないというプロ意識が 「サファリパークぅ〜」 という字幕を見せたんだと思いますが、裾野のほうはおそらく、富士山の裾野にあるから裾野市って、あまりにもそのまんま過ぎないか?…という思いが、心のどこかに引っ掛かっていたんでしょう。体温が40℃くらいまで上がった時はあからさまに嫌な感じの悪夢に魘されたので、 「裾野ぉ〜」 くらいで済んでラッキーだったと思います。 で、一方、ハーマン・フォスターが語る “” はいうと、快活にして明朗活発で、お目覚めもスッキリ♪ 今度もまたバラードだったら、ちょっと嫌だな。さすがに飽きるよな。…とか思っていたんですが、さすがにそういう気配は読めているようで、スインギーなミディアム・テンポのナンバーに仕上がっておりました。何気にクドいんですが、ま、それも愛嬌のうちだし、ロクな栄養も無さそうなんですが、とりあえず腹だけは膨れるし、そういうジャンクフードな味わいがこの人の持ち味ではないかと思うんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 愛すべき “ジャンク・ピアニスト” とでも言いましょうか? もし彼がいなかったとしても、ジャズ・ピアノの歴史には何の変化も無いに違いないんですが、でも、いてくれないと何だか寂しい。…みたいな。 あまりにもクドいスタイルは正直、ちょっとやり過ぎちゃうか?…という気もするんですが、大人しいハーマン・フォスターなんて、歯応えのない豆腐ハンバーグみたいなもんだしー。 やや選曲がスタンダードに偏り過ぎている気もするんですが、変なオリジナルを無理に聴かされるよりは数倍マシだと思うし、で、唯一のオリジナルが珠玉のバラードだったりする意外性もあって、マニアにはお薦め出来る1枚だと思います。


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