FREE AT LAST (ECM)

MAL WALDRON (1969/11/24)

FREE AT LAST


【パーソネル】

MAL WALDRON (p) ISLA ECKINGER (b) CLARENCE BECTON (ds)

【収録曲】

(01-03) RAT NOW / BALLADINA / 1-3-234
(04-06) ROCK MY SOUL / WILLOW WEEP FOR ME / BOO

【解説】 (2009年01月04日更新)

 あけましておめでとうございます。いよいよウシ年ですね。みんな、牛、食べたかなー?僕はですね、新年そうそう食べました。さば家では毎年、元日には近くにあるワタナベの叔父さんのところに行って、柿安牛のすき焼きを食うというのを慣わしにしているんですが、あ、柿安牛というのはあれです。 柿安 で売ってる牛です。柿安というわりには安くないし、おまけに柿でもないんですが、美味しいです。 うまいですよね、牛。もしかして、馬よりもうまいのではないか?…という気もするんですが、僕はほとんど馬を食べたことがないので、断言することは出来ないんですけど。 馬と言えば岐阜市に 「馬食一代」 という店があります。馬料理屋さんなのかと思ったら、飛騨牛一頭炭火焼きが名物らしいんですが、あ、これ、何か変だと思ったら、中国語のサイトなんですな。那是美味的誘惑、那是前所未聞的飛彈牛的世界。何となく言いたいことは分かります。菜單(メニュー)のところは日本語が併記されているんですが、霜降りは “肥牛” でありますか。言いたいことは非常によく分かります。タンは “牛舌” 、テール煮込みは “煮牛尾湯” 、飛騨牛高級どて煮は “どて” の部分の説明に困ったのか、 “DOTE” などというローマ字で誤魔化しておりますが、その他、リンクを辿っていくと日本の便利店は非常方便だという記事もあったりして、なかなか面白いですね、中国版ぐるなび。ちなみに便利店というのはコンビニのことなんですが、便所もあって非常に方便だと、中国人も感心しているようです。

 こいつ、使えるな!…という気がするんですが、この話の続きはまたいつかネタに困ったときに有効活用するとして、今日はですね、ウマの話をしたいと思います。去年の暮れにウマを見に行ったですよね。どこに行ったのかというと名古屋の隣の豊明市というところにある 中京競馬場 なんですが、ウマがですね、走っておりました。ボーナスが出たので Nikon の D90 というカメラを買ったんですが、こいつには動画撮影機能がついております。そこで、どこかへ試し撮りにいくことにしたんですが、どうせ動画を撮るなら動きがあるもののほうがいいですよね。聚楽園大仏とかはぜんぜん動いたりしたので、動画を撮ってもあまり面白くはないような気がします。そこでまあ、走っているウマを撮りに競馬場に行ってみることにしたんですが、その結果、動画の撮影は三脚無しではかなり困難であることが判明しました。 でもまあ、普通の写真のほうはなかなかうまく撮れたので、ここで発表させて頂きたいと思います。ちなみに使用したレンズは AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-F5.6G (IF) です。

<うま (1)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 これはアレです。コースにいちばん近い芝生広場のようなところで撮影したものです。レース中ではなく、入場してしばらくその辺を走っているところを撮ったものなんですが、何でもいいけどウマというのはレース前、あれだけ無駄に走っ回ったりして、疲れたりしないんですかね? そのエネルギーを本番に取っておけよ!…と思わずにはいられませんが、ウマの考えてることは今ひとつよく分かりません。 ウマの耳に念仏で何を言っても聞かないので、関係者も諦めているのかも知れませんな。 で、これ、ウマまでの距離が近いので、ヨシアイビームのアホ面などもなかなかよく捉えられていると思うんですが、いかんせん柵が邪魔ですな。めっちゃ邪魔です。こんなところに柵なんか作って、写真を撮る人の立場を考えたことがあるのか?…と思わずにはいられませんが、ま、柵がなかったらウマがこっちに突っ込んできたりして、撮影どころではなくなっちゃいますからね。ウマに蹴られて脚の骨を折って、今年のクリスマスも病院のベッドの中かぁ。…という事態になっても嫌なので、必要悪だと思って諦めるしかありません。 ということで、 (写真・下から2枚目) 。黄色いヘルメットが眩しかったので、何となく撮ってみました。ちなみに真ん中は若いギャルだったと思います。黒い帽子の人はオッサンです。ヘルメット被れよ!…と思わずにはいられません。大手ゼネコンの作業現場なら即、出入り禁止ですな、こりゃ。 で、 (写真・いちばん下) はゴール板を駆け抜けたところではなかろうかと。 芝と泥の蹴散らし具合がなかなか躍動的なので、とりあえず採用させて頂きました。露出、めっちゃアンダーですけどね。柵、邪魔だしー。

 ちなみに今回、せっかくの競馬場なのでウマの写真を撮るだけでなく、馬券のほうも買ってみることにしました。競馬場に来るのは3年ぶりか、あるいはもう5年くらいになるのか、とにかく、かなり久しぶりだったので馬券の買い方を忘れてしまったんですが、券売機の前で呆然と突っ立っていると係のオバチャンが寄ってきて、操作方法を教えてくれました。オバチャンというのは基本的に機械モノに弱い生き物だという認識を持っていたので、オバチャンに教えて貰うのは理科系の青年男子として、ちょっぴり屈辱的でありましたが、何はともあれ、無事に買えてよかったです。 とまあ、競馬に関してはその程度の関わりしか持っていないので、どのウマが速いのか遅いのか、まったくよく分からないので、事前に このサイト の画面をザウルスに取り込んでおいて、現地でチェックすることにしました。第6レースから始めることにしたんですが、ザウルスの画面は外だと見難いし、スクロールさせるのも面倒なので、 “◎” とか “△” といったマークだけを見て、適当に2頭をチョイスしました。今となってはもう、どのウマに賭けたのかすっかり忘れてしまいましたが、単勝で各1,000円ずつ、計2,000円の出費であります。馬券には色んな種類があるんですが、複勝か単勝以外はとても当たる気がしなくて、で、複勝だと当たっても配当がショボいので、個人的には単勝がいちばん好きっ♪タン塩というのも、けっこう好きなんですけど。 で、一緒に来ていたサバ兄に 「ナニ買ったん?」 と聞いてみたところ、 「俺はこれや!」 と、馬券を見せてくれました。えーと、どれどれ。ん!? ハンサムデイイヤツ? そんなヤツがいたんかー! もっと出走場の名前をよくチェックしてから買うべきでしたなぁ。。。僕は激しく後悔してしまったんですが、ま、結果的にコイツは8位に終わってしまったので買わなくて正解だったんですけどね。ハンサムでいいヤツなんだけど、足は遅かったんだね。…という、非常に分かりやすいオチでありましたが、多少ブサイクだろうと性格が歪んでいようと、この世界では足が速いほうが勝つような気がします。ちなみに僕も非常にハンサムで、性格も抜群にいいんですが、足は遅いので、ヤツには親近感を持ってしまいます。頑張れ、ハンサムデイイヤツ♪ ちなみに僕の買った馬券も、めっちゃハズれました。先行きが心配です。


<うま (2)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 最前列の芝生広場は柵が非常に邪魔であると同時に、レースの結果が分かりにくい事が判明したので、2階スタンドに移動〜。この位置からだと 35mm判換算で450mm相当の望遠レンズで、何とか使える写真が撮れるという感じでありますな。後でトリミングしてやれば、かなりソレっぽい仕上がりにはなります。 (写真・いちばん上) は、敢えて低速シャッターを使うことによって被写体ブレによる躍動感を表現した芸術的な作品であります。ウマ、まっちゃ走ってるやん!…という臨場感を持って頂ければ幸いです。ただの失敗やん。…とか、物事の本質を突いた発言をしてはいけません。写真家というのはセンシティブな生き物ですからね。拗ねるか、グレるかして、何かと後がやっかいです。 (写真・上から2枚目) は、わりとピシっと決まった一例です。トリミング無しだと、ウマはこの程度の大きさになります。 で、トリミングして見栄えをよくしたのが (写真・下から2枚目) 。 ウマって、こんなに地面から宙に浮いて、跳ぶようにして走っていたんですなぁ。空中浮遊の腕前としては麻原彰晃よりも上? 手前の黄色いヘルメット3人組がいい感じに被写体ブレしてくれて、躍動感のある作品に仕上がったと思います。  (写真・いちばん下) は騎手やウマにではなく、敢えて手前の柵にピントを合わせることによって、レースの余韻を表現した芸術的な作品であります。どうみても失敗作品なんですが、自分を無理やり納得させて慰めるというのも、生きていく上では大切なことだと思います。

 で、一方、馬券のほうはと言うと、第7レースは出場馬の名前をじっくりと検討して、ウォーターボーイズマチカネフクノカミの2頭に各1,000円ずつ。 結果、フクノカミが2位。惜しいっ! で、ウォーターボーイズは5位。んー、まあまあ。シンクロナイズドスイミングが得意そうなので期待していたんですが、地上を走る能力はそこそこだったようです。 このペースだと、 2,000円がどんどんゴミと化してしまうので、しばらくは出費を1レース 1,000円に抑えることにして、第8レースはサクラダモン1頭に絞ることにしました。“桜田門” なのか、 「サクラだもん♪」 と可愛く言っているのか、どちらなのかよく分かりませんが、牝馬なのであるいは後者かも知れませんね。 だとすればなかなかプリティなんですが、徒競走はあまり得意ではないようで、16頭中、14位に終わってしましました。でもまあ、ヨシアイビームは15位だから、勝ててよかったね♪ ヨシアイビーム、アホ面な上に足も遅くて、取り得なし。 ま、そういうところがちょっとお茶目だったりもするんですけど。 で、第9レースは “サラナビ” 予想の “◎” を信じて、オメガファルコンに 1,000円。 跳ぶような走りで見事、期待に応えて、1着でゴールっ!やったぜ、パパ!万馬券だぜっ♪ …って、倍率もあまりよく見ないで買ったんですが、どうやらコイツは鉄板だったようで、単勝は 350円の配当でありました。でもまあ 3,500円になったので、思わぬ大儲けですな。僕は前に来た時、1度だけ単勝を当てたことがあるんですが、喜びのあまり馬券をどこかに落としてしまったので、これが生まれて初めての競馬での儲けということになります。オメファル、よくやった〜♪

 第10レースはメイショウアツヒメに 1,000円。 これがまた、見事に1着〜! いいぞぉ、篤姫ぇ♪ いや、競馬なんてチョロいもんですな。 ま、単勝 320円と、今度も安かったんですけどー。 ここまで 7,000円出費して稼ぎが 6,700円と、ほぼチャラになるところまで取り戻して来ました。当初の予定では11レースに 3,000円注ぎ込んで、きっかり1万円をスッたところで帰るつもりだったんですが、こうなったら最後は 5,000円、いっちゃう?

<うま (3)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 最後の勝負は愛知杯でありました。G3なので、まずまず大きいレースですな。距離は芝2,000m、出走条件はサラブレッド系3歳以上牝馬ということなので、人間で言うと16歳くらいから上のギャルということになりましょうか。女子高生と女子大生とOLの混合徒競走みたいな感じですかね?いいぢゃん♪ 個人的には41歳くらいのギャルが好きなので、出来れば9歳馬くらいに頑張って欲しいところなんですが、出走場を見ると最高齢でも6歳ですかぁ。 となればこれはもう、年齢に関係なく名前だけで選ぶ手でありますが、事前の予想ではニシノフラワーの娘のニシノマナムスメ (写真・上から2番目) が1番人気。 一応、 1,000円だけ押さえておいて、今ひとつお洒落な感じが希薄なカイゼリンという馬にも 1,000円。 で、 “Yes!ぷりきゅあ5GoGo!” みたいで可愛いテイエムプリキュアという馬に 3,000円。勝負や〜!

     ( 中 略 )

 ただ今のレース結果をお知らせします。ニシノマナムスメ、8着。カイゼリン、9着。テイエムプリキュア、18着 (←最下位) 。 プリキュア、あかんやんっ!! 勝ったのはセラフィックロンプ (写真・いちばん下) という16番人気のウマで、2着のチェレブリタは14番人気。3番人気のマイネレーツェルが3着に入って、これだけはまずまず順当だったんですが、配当は単勝 5,850円、枠連 24,420円、馬連 61,380円、3連単 1,440,120円っ! ああん、100円でも買ってれば、144万円と20円儲かったのにぃ。。。…というより、こんなに大ハズレするんだったら、愛知杯なんか買わずに、さっさと帰ればよかったという思いのほうが強いです。ああん、300円の損だけで済んでたのにぃ。。。 ちなみに買った “セラフィックロンプ” という名前は “天使のようなお転婆娘” という意味なんだそうですが、土壇場でお転婆娘にやられた、そんな1日なのでありました。悪魔やぁ。。。

 ということで、今日はマル・ウォルドロンなんですが、いや、最後にハズすと、その前の連続当たりがすっかり霞んでしまって、何だかやさぐれた気分になってしまいますな。 ま、サバ兄は全敗だったので、それよりはマシだと思って諦めるしかありませんが、プリキュアちゃんも最下位では、お転婆娘がどうのこうのといったレベルの話ではありませんしー。 去年のことはきっぱり忘れて、今度は “金鯱賞” に行くぞぉ! …とまあそんなことで、今日は 『フリー・アット・ラスト』 というアルバムを紹介したいと思います。 『ついにフリー』 。 フリーと言うと、フリチンねたに走るというのがお約束なんですが、そんな事はもう書きません。今年の僕は去年までの僕とはちょっと違います。フリチンに走ったり、フリチンで走り回ったりせず、爽やかに生きていこうと心に誓った次第でありますが、ちなみにこれ、ECMの記念すべき第1作目なんですな。ECMというのはドイツ人のマンフレット・アイヒャーという人が 「うひゃひゃー♪」 とか言いながら設立したレコード会社なんだそうすが、 “Editions of Contemporary Music” の略なんですな。 “現代音楽の版” ですか。何だかちょっと小難しいそうですよね。 「うひゃひゃー♪」 とか言ってる場合じゃない!…と思わずにはいられませんが、ま、これは僕がアイヒャーという名前から勝手に想像しただけのものでありますので、実際はそんなアホみたいに浮かれてはいなかったのかも知れませんけど。 で、これ、ジャケットが地味ですよね。地味な癖に書くのが面倒そうで、なかなかの曲者なんですが、普通に白い紙に鉛筆で線を引いておいて、後で白黒反転させてやろうと思っております。去年までの僕はわりと真面目にジャケ絵を書いていたんですが、今年の僕は違います。手を抜けるところでは適当にやろうと思っているんですが、とまあそんなこいとで、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 このアルバムは6曲中、5曲までがマルのオリジナルとなっているんですが、まず手始めは 「ラット・ナウ」 。 「ドブネズミ、今。」 ですかね? ラットとマウスではラットのほうが可愛くて、マウスのほうがドブ臭いようなイメージがあったんですが、ラットのほうがドブだったんですね。 そういえば昨年、サバ家の天井裏を跳梁跋扈していたネズミも最近は姿を見かけなくなりましたが、どうしたんですかね?もしかして、冬眠してる? ちなみにネズミ目のヤマネという小動物は漢字で “冬眠鼠” と書いたりするようですが、あとはえーと、クマですか。 いや、ここは別に冬眠する哺乳類を列挙する場ではないので、話を先に進めますが、演奏はまず、端正な感じのするドラムスの音で幕を開けます。タイコ担当は、えーと…、クラレンス・ベクトンという人でありますか。あまり知らない人なので、話を更に先に進めますが、続いて、マルが出て来てテーマらしきメロディを演奏し、更にはイスラ・エッキンガーのベースがねっとりと絡んで、そのままアドリブ・パートへと突入します。混然とした三位一体的なインタープレイでありますな、こりゃ。かなり前衛的でアバンギャルドな世界が展開されているんですが、決してフリーというわけではなく、畳み掛けるようなマルのタタミイワシ的フレーズの反復が壮絶です。 いや、いいですな、こりゃ。…と思っていると急に世界が静かになって、無駄にクソ長く、嫌がらせとしか思えないほど地味なベースの無伴奏ソロに突入することになります。今井正弘クンの書いた日本語ライナーによると、彼 (イスラ・エッキンガー) はスイス人だがヨーロッパのベーシストにしてはテクニック・オンリー型ではなく、むしろエモーショナルな部分を持ち合わせているミュージシャンだ。…とのことなんですが、これならまだテクニックをひけらかされたほうが、まだマシだったような気がします。コルトレーン・カルテットのジミー・ギャリソンが大丈夫な人なら、何とか耐えられるかも知れませんけど。 で、遠くからタイコの音が聞こえてくると、辛く厳しい精神修養の時間もようやく終わりということになるんですが、しばらく地味めのドラム・ソロが披露されて、でもって、テーマに戻って、おしまい。一部のパートを除けば、なかなかエモーショナルで、よかったのではないかと思います。

 マルと言えば日本人はどうしても 「レフト・アローン」 のような、ほの暗い哀愁を期待してしまうんですが、期待されて新登場。 2曲目、 「バラディナ」 。 いや、これはいいですな。ほの暗いです。“ほの” の部分を省略して、純粋に暗いと言ってもいいんですが、バラードはやはり暗くないとムードが出ませんよね。 が、ただ暗いだけだと途中で飽きてしまうので、それなりにエモーションも必要とされるところなんですが、マルの場合、そこのところの兼ね合いがなかなかうまいです。押すところは押す、引くところは引く。その精神がドアを開ける際には大切になってくるんですが、よくいますよね。取っ手のところに 「引く」 と書いてあるのに、いつまでも押して開けようとしているオッサン。 …とか言ってるうちに、テーマに戻って、おしまい。 無駄なベース・ソロとかがなくて、普通によかったと思います。 で、3曲目。 「1−3−234」 。何とも謎めいたタイトルなんですが、答は −236? …って、別に引き算をしろというわけではないですよね、多分。 パワフルで前衛的なナンバーでありまして、ひとつ間違えるとフリー地獄に落ちてしまいそうなんですが、マルは何とかギリギリの線で留まっております。途中、ベースのソロも出てくるんですが、背後でベクトン君のドラムスが必死になって盛り上げてくれているので、退屈せずに過ごすことが出来ます。極上のウォーキング・ソロをお楽しみください。 とまあそんなことで、テーマに戻って、ちょっぴり唐突な感じで、おしまい。

 続いて4曲目です。 「ロック・マイ・ソウル」 。タイトルだけ見るとジャズ・ロック調のソウル・ジャズみたいなんですが、ま、概ねそういった感じの作品であると思っていただければ、いいのではなかろうかと。わりと親しみやすい仕上がりになっております。疾走感に溢れたピアノのソロと、喪失感があらわなベース・ソロとのコントラストが、何とも言えずにブリリアントな午後 ( by 田中康夫 ) でありまして、いや、歌いながらピチカート・ソロとハモるエッキンガー君の姿は、ほんのちょっとだけジョージ・ベンソン?…という気がしないでもなくて、少なくとも1曲目の彼に比べれば数段マシだと思うんですけど。地味ながらバックにはピアノとタイコの音も入ってますしね。 で、後半、再びマルが登場して、短いフレーズをただひたすら反復する、ソウルでディープな反復横跳び的なプレイで場の空気を大いに盛り上げて、で、ドラムのソロがその後を引き継いで、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、5曲目です。本作で唯一のスタンダード・ナンバー、 「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 。 ウィローと言えば昨日、ワタナベの叔父さんのところで虎屋のヨーカンが出されたんですが、僕は食べませんでした。あまり好きではないんですよね、ヨーカン。伊予柑は好きなんですけど。何でもいいけど虎屋のヨーカンって、大棹だと1本 6,090円 (税込) もするんですな。高っ!めっちゃ、高っ! 竹皮包羊羹でも1本 2,835円 (税込) 。 そんなお金を出すんなら、僕なら 368円 (税込) の青柳ういろうを2本買って、99円は貯金して、残った 2,000円でハンサムデイイヤツの馬券を買いますね。 とまあ、そんな “ういろう派” の僕でありますが、この 「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 という曲は、どうもあまり好きではありません。 「柳よ泣いておくれ」 という日本語のタイトルも何だかダサくって、嫌です。ダサくって、駄作だと思います。 ここまでわりとカッコよく決まっていたアルバムが、この選曲によってヘロヘロになることが懸念されたんですが、でも大丈夫。マルくん達、なかなかクールに決めてくれておりますぜ。 駄作も、やりようによっては 「与作」 になるというのが判明したんですが、あ、そうそう。昨夜のワタナベの叔父さんちでは、モロゾフのプリンも出ました。僕はプリンよりもゼリーのほうが好きなんですが、プリンも別に嫌いではないので、食べました。美味しかったです。 と、同時に、よしもと新喜劇でよく小藪がネタにしているモロゾフのプリンというのは、これか♪…と、ちょっぴり感動してしまったんですが、成るほど、確かにコップとしてずらーっと並べておきたくなるほど、立派なガラス容器でありますな、こりゃ。

 とまあそんなことはどうでもよくて、演奏のほうはアレです。ゆったりしたテンポのスローなナンバーでありまして、あまり早くないところが遅いです。この曲の場合、あまり情緒纏綿に走らないのがポイントかと思いますが、ここでのマルのプレイは “柳” との間に適度な距離感があって、悪くないです。ヤナさん、決して悪い人ではないと思うんですが、ちょっとクドいところがあったりするので、つかず離れず、適当に相手をするというのが得策なのではなかろうかと。 いや、ヤナさんって、柳原さんのことか?…とか、変に勘ぐられると困るんですが、あくまでも譬え話でありますので、念のため。 テーマそのものはやはり、あまり好きにはなれないんですが、アドリブに入ってからはマルらしい黒い情念的な世界が展開されておりまして、ベースのソロも何とか耐えられる範囲内だし、ということで、テーマに戻って、おしまい。 で、ラストです。 「ブー」 。 ここまでわりとカッコよく決まっていたアルバムが、この曲名によって台無しになることが懸念されたんですが、ちっとも高木ブー的でない、クールで知的な作品に仕上がっておりました。いや、高木ブーが知的でないとか、そういうことでなくて、あくまでも名前から受けるイメージの話なんですが、いや、渋いですな、このブーは。 基本、ミディアム・ファストなテンポ設定で、途中、急にスローになって、またしてもイスラ・エッキンガーが出しゃばってきそうな場面もあるんですが、マルがうまく丸め込んで何とか後テーマに持ち込んで、ということで、おしまい。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 現在ECMのレーベル・イメージからすればジャズ的要素が色濃いが…と、日本語ライナーに書いてあるので、恐らくそういうことなんでしょう。色恋沙汰とは無縁の小難しいジャズが展開されております。 『レフト・アローン』 みたいなのを期待するギャル系にはちょっと厳しいかも知れませんが、コアで硬派なファンなら十分に楽しめると思われます。 黒い情念とか、黒い自然薯だじょー。…とか、そういうものが色濃く感じられる作品でありまして、すりおろしてそのままにしておくと、すぐに黒くなっちゃうんですよね、自然薯。…といった1枚なのでありました。


INDEX
BACK NEXT