NEWER THAN NEW (RIVERSIDE)

BARRY HARRIS (1961/9/28)

NEWER THAN NEW


【パーソネル】

LONNIE HILLYER (tp) CHARLES McPHERSON (as) BARRY HARRIS (p)
ERNIE FARROW (b) CLIFFORD JARVIS (ds)
【収録曲】

(01-03) MUCHO DINERO / EASY TO LOVE / BURGUNDY
(04-06) THE LAST ONE / ANTHROPOLOGY / I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS
(07-08) MAKE HASTE / NAIGHTINGALE

【解説】 (2008年10月05日更新)

 僕は今まで、クマを誤解していました。ゴメンな!…と、最初に謝っておきますが、僕は今までクマに対して誤った認識を持っていました。凶暴で冷酷で惨忍。粗にして野だが卑でもあり、ヒトと見ればすぐ襲い掛かる。そういうケダモノのような奴だと思っていました。 事実、少し前の事なんですが、北海道標津町で、川にサケの遡上を見に来ていた58歳の男性がヒグマに襲われて死亡するという、痛ましい事故が起こっております。鮭を横取りされるとでも思ったんですかね? 襲う前にとりあえず話を聞いて、ただサカナが川を遡る様子を眺めているだけの善良なオッチャンであることが判明すれば、そこで襲撃をやめるとか、何か手立てがあったような気もするんですが、問答無用ですからね。人間社会には 「話せば分かる。」 という言葉があるんですが、クマにはそれが通用しないんでしょうか? そんなんだから 「熊出没注意」 とか、そんなステッカーを作られるんや!…と思わずにはいられませんが、クマと痴漢と変質者。この3者の出没には十分に注意しなければなりません。

 とまあ、クマにはそんなマイナスのイメージがあるんですが、人には到底、懐きそうにもありませんよね。 甘えない、頼らない、待たない、泣かない、夢見ない。…という、郷ひろみの 「素敵にシンデレラ・コンプレックス」 みたいなタイプだとばかり思っていたんですが、その印象が少し変わったのは昭和新山にある クマ牧場 でありました。 クマ、めっちゃ立ってるやん! その直立ぶりはレッサーパンダの風太に勝るとも劣らない立派なモノでありまして、この分ではあと3年くらいで脳ミソがめっちゃ発達して、人間をも凌駕するめっちゃ賢い哺乳動物へと進化してしまうのではないか?…という危機感を抱かせるほどでありました。 ここにいるクマたちは餌欲しさに甘えるし、ヒトに頼りっぱなしだし、餌を貰えるまで大人しく待ってるし、それでも餌をやらないとそのうちに鳴いて怒るし、ドリーミーな表情のクマもいたので、それなりに夢も見ているのではないかと思うんですが、まったくもってシンデレラ・コンプレックスっぽくない奴らでありましたな。そんなことでいいのか、郷ひろみ?…とまあそんなことで、行ってきました奥飛騨温泉郷。 “おくひだおんせんきょう” ではなくて “おんせんごう” 。僕は今までずっと “おんせんきょう” だとばかり思っていたんですが、 “おんせんごう” が正解だったんですな。そんなことでいいのか、郷ひろみ?…というと、郷ひろみは “ごうひろみ” であって “きょうひろみ” ではないので、やはりそれで正解なのかも知れませんけど。

 僕は今まで何度か奥飛騨温泉郷には行ったことがあって、そこに クマ牧場 があるというのは知っていたんですが、いつも素通りしておりました。ぜんぜん興味無かったですからね、クマ。 が、社員旅行で強制的に連れて行かれた北海道のクマ牧場のクマたん達が意外にもラブリーだったので、奥飛騨にあるクマ牧場にも行ってみることにしたんですが、しかもこちらのクマ牧場ではですね、 “クマのマル秘ショー♪” というのもやってるそうではありませんか。これはもう、行ってみるしかありません。 とまあそんなことで、行ってみました。

<奥飛騨クマ牧場 (牧場編)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 入場してまず最初に目に入ったのは “檻のクマさん” でありました。語呂的にはちょっぴり “森のクマさん” っぽくて、キュートなイメージもあるんですが、オープンなスペースでのびのびと暮らしているクマと違って、こちらのほうはやや虐待感があって、ちょっぴり可哀想です。可哀想なので餌を与えることにしたんですが、受付のところに “クマさんのおやつ” として、200円でドライフルーツが売られておりました。中身を見ると、乾燥バナナ、干しブドウ、ちょっと大きめの赤くて四角いヤツといった内容でありました。普通に人間が食ってもけっこうイケそうで、クマにやるのが惜しくなったりするんですが、ここは思い切ってクマたんに施すことにして。 ここで注意しなければならないのが乾燥バナナの取り扱いでありまして、こいつはヒラヒラしていてしかも軽いので、なかなか檻の中まで投げ入れることが出来ません。大抵、鉄格子に当たってバウンドして手前に落ちてしまって、クマの立場からすると、目の前に餌が見えているのに、取れねぇ!…という、非常に残酷な事態になってしまいます。こりゃ、動物保護団体から文句も出ますわな。下手に勢いよく投げると勢いよく跳ね返って手の届かないところに落下してしまうので、最初からふわっと投げて、檻のすぐ目の前に落としてやるようにしましょう。するとクマが鉄格子の隙間から手を出して、必至になって餌を奪っていきます。見ていると何だか哀しくなってくるので、檻のクマさんにはバナナではなく、干しブドウか、四角いフルーツを与えるようにしましょう。 ま、干しブドウは干しブドウでクマの図体に対してあまりにも小さくて、下手に食べるとかえって飢餓感が増すのでは?…と心配になったりもするんですけど。

 人間に捕獲されちまったクマの悲哀を感じつつスロープを上がっていくと、ここは普通のオープンなスペースとなっておりました。たくさんのクマがいるんですが、昭和新山にいた奴らと比べると、今ひとつサービス精神は希薄でありまして、投げて地面に落ちた餌を、しょうがねえから食ってやるか。…みたいな態度で、あまり気乗りしなさそうに食べたりします。プライドが高いのか、あまり “おねだり” とかしないんですよねー。 が、投げた餌をうまく口でキャッチする技術に長けたクマは昭和新山よりも数が多くて、何だかこちらの餌やり技術が飛躍的に向上したような、高揚した気分を味わうことは出来ます。 ま、たまに失敗して、ウンコの上にべちょっと落ちちゃうこともあるんですけど。 あ、写真ページの上から2番目の “仰向けクマ” なんですが、周囲に散らばるウンコの姿があまり美しくはないので、見ている人に不快感を与えないように軽くモザイクを入れておきました。ついでに、下半身があまりにも開けっぴろでありましたので、股間にも同様の処置を施しておきました。これで動物保護団体の人が見ても大丈夫でしょう。 ちなみにこの牧場で飼われているのはツキノワグマが中心なんですが、胸元の白い模様がけっこうオシャレ♪ 中には三日月形というより、くっきり “” の字になってる奴もして、 “VALENTINO” みたいでイケてます。

 芸達者という点ではやや劣るところもあるクマ達でありましたが、例外はこの牧場で生まれたクマばかりを集めたエリアでありまして、こいつらはきっちり “おねだりポーズ” も決めて、愛嬌たっぷり♪ やはり子供の頃から人間に餌を貰いなれているというか、幼児教育の大切さを実感させられます。 ここら辺りまで来ると手持ちのドライフルーツが枯渇してしまうんですが、でも大丈夫。 ちゃんと “おねだりクマ” の前のところに餌の自販機が設置されておりまして、こちらは猫のカリカリみたいなタイプのが100円と、お値段のほうもリーズナブル。 餌をやらずにはいられないように、うまく考えられています。


<奥飛騨クマ牧場 (クマジアム編)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 餌やりを堪能したところで、いよいよ次はお楽しみの“クマのマル秘ショー♪” ここでは1日4回 “くまさんの学習発表会” と称して、クマのショーが行なわれます。クマのショー、略して “クマショー” 。 何だかちょっと “ハマショー” みたいだし、略したところで1文字分しか得していないので、あまり意味はないんですが、このショーは “森のクマジアム” という屋根付きのステージで行なわれます。この “クマジアム” というネーミングのセンスは、ちょっとどうか?…という気もするんですが、ショーの内容は極めて充実しておりました。所詮はクマのやる事だし、どうせ大した芸も無いだろうと馬鹿にしてかかっていたんですが、なんのなんの。アリスちゃんという12歳のピチピチギャルが登場するんですが、チェックの可愛いワンピースを着ていて、可愛いっ♪めっちゃ可愛いっ♪ クマは20〜25年くらい生きるんだそうで、人間の年でいうと35歳くらいになるようですが、僕より5歳も年下だから、十分に若いギャルであると言っていいと思います。 で、このアリスちゃんがですね、玉に乗ったり、バスケをしたり、自転車に乗ったりするんですよね、これがまた。 特に自転車乗りに関しては、女子高生時代は “けった通学” だったに違いないと思えるほどペダルを漕ぐ姿が板についておりまして、時おりペロペロと手を舐めたりしながら一生懸命に乗ってるところが、可愛いっ♪めっちゃ可愛いっ♪ 補助輪付きの自転車とは言え、凄ぇ!クマ、凄ぇ!! 続くブランコ乗りは、やや無理からではありましたが、ちゃんと自分で漕いで加速までして、凄ぇ!クマ、凄ぇ!! スカートがまくれ上がって下半身が丸見えになったりして、いやあん、まいっちんぐぅ♪…と、恥ずかしそうな素振りも見せずに一心不乱に漕ぎ続けるところはややマイナスポイントでありましたが、それもまあ、幼女のようなあどけなさと前向きに捉えれば、ロリ好きにはたまらないかも知れません。35歳になっても乙女心を持ち続けるアリスたん、めっちゃキュート♪

 圧巻だったのは最後の “さんすう” なんですが、出題は全部で5問。写真ページの1番上、 “玉に乗る♪” のところに問題の書かれたボードが見えてますな。 5つの中からお客さんが問題を選んでアリスちゃんがその計算をするんですが、最終的には5問とも答えることになるんですけどね。 どうやって回答するのかと思ったら、 “ブランコに乗る♪” の写真に写っているように、長机の上に“1”〜“5”の数字の書かれた箱のようなものが置いてあって、アリスちゃんが正解と思しき数字の箱を持ってくるというシステムであります。両手でしっかり箱を抱えて、ちょこちょこと歩く姿が可愛いっ♪めっちゃ可愛いっ♪ 相方のオッサンの話によると、昨日は残念ながら0点だったそうですが、今日はどうかなー?何点取れるかなー? ドキドキしながら見守っていると、アリスちゃんは1問目から3問目まで、見事に正解〜。 が、4問目、 “5−4=” という出題に対して “” の箱に手を出して、ああん、残念。。。 と思ったら、手に取った“5”を机の上に置いて “” の箱に持ち替えたりして、アリスちゃん、芸が細かいっ!凄ぇ!クマ、凄ぇ!! 最後は “3+2=” という出題に、残った “” の箱を運搬して、パーフェクトぉ! こりゃ、昨日は0点だったというのは嘘やな。…と思わずにはいられませんでしたが、そういうオトナの見方は置いといて、それにしても、凄ぇ!クマ、凄ぇ!! お客が問題を選ぶんだから、順番を覚えているわけでもないし、アリスたんがどういうふうに計算問題を学習したのか、何とも不思議でなりません。 いちばん簡単な仕掛けは、中に人間が入ってるというオチなんですが、どうみても背中にチャックなんか無かったし、なんとも不思議なショータイムでありました。 とまあそんなことで、 “不思議のクマのアリス” を堪能したところで、今日のお話はおしまい♪

 ということで、今日はバリー・アリスです。 あ、違いました。バリー・ハリスですな。 わざと間違えるところが何とも白々しいんですが、知っているのに、わざと間違えるというのが 「恋人試験」 の基本ですからね。アリスちゃんは松本ちえこから、100点取る人、大嫌いっ!…と言われるに違いありませんが、知っているのにわざと間違えるフリをしたんだから、許してやっていいような気もするんですけど。心が狭すぎるぞ、ちえこ! ということで、今日は 『ニューアー・ザン・ニュー』 というアルバムを紹介したいと思います。 前回、このコーナーを分量をちょっと少なめにしたところ、某ギャル系読者から 「これくらいがちょうど読みやすい♪」 という評価を頂きましたので、今回も短めで行こうと思いますが、文章もスカートもちょっと短いくらいがいいんですな。その点、アリスちゃんはファッション的にもなかなかいい線をいってると思うんですが、このアルバムにはトランペットのロニー・ヒリヤーとアルトのチャールス・マクファーソンが参加しております。マクファーソンは、ま、ハリスの弟子みたいなものだから順当だとして、ヒリヤーの参加がちょっと貴重? ま、どういう人なんだかよく分からないので、あるいはこの選択が裏目に出ちゃうかもしませんが、まず1曲目はハリスのオリジナルで、 「ムーチョ・ディネロ」 。 ラテンの名曲 「ベサメ・ムーチョ」 は 「もっとチュウして♪」 という意味らしいので、ベサメが 「もっと」 で、ムーチョが 「チュウ」 なんですかね?…と思っていたら、逆なんですな。 ムーチョって、いかにもラテンっぽいブチュっとしたキスみたいな語感なんですが、世の中、語感だけで判断は出来ないということなんですな。 となると 「ムーチョ・ディネロ」 は 「もっとディネロ」 ということになるんですが、そう言われても、一体どうすればいいのか、日本人には今ひとつよく分かりません。 「もっと拗ねろ」 なら、とりあえず拗ねておけばいいと思うんですけど。

 原文ライナーにも日本語ライナーにも、この曲名に関する記述は何も無いのでとりあえず先に進みますが、ラテンっぽいタイトルだけに、曲のほうもラテンっぽい仕上がりになっております。いいですよね、ラテンのノリ。 ラテンのノリと事故米で作った糊なら、断然ラテンのほうがいいと思うんですが、それはそうとコドモの頃、ヤマト糊ってお米で作っているから、食べても安心なんだねっ♪…と思って、よく舐めたりしてたんですが、事故米で作ってたんかい! ほんのり甘くて美味しいとか喜んでいたら、大変なことになっちゃいますな。もうオトナなんか信じないっ!…って、ま、オトナの誰からもヤマト糊を舐めていいと薦められたわけではないので、自業自得なんですけど。 で、これはアレですな。出だしの部分がちょっぴり 「コーヒールンバ」 だったりしますね。出だしの部分がちょっぴり 「お嫁サンバ」 だったりはしません。ヒリヤーが主導するメロディにマクファーソンが絡む形でテーマが演奏され、で、ソロ先発はバリー・ハリスでありますか。この人、ラテン曲でもわりとしっかりしたタッチでピアノを弾くんですが、軽さに走らないところが重鎮っぽくて、いいのではないかと思います。 で、続いてはヒリヤーのソロですか。僕は正直、この人にはあまり期待感を持っていなかったんですが、よく歌うフレーズはなかなかのものだったりします。恐れ入りました。もう、 “恐れヒリヤーの鬼子母神” って感じ?…って、いや、ただそれが言いたかっただけで、実はさほど恐れ入ってはなかったりするんですけど。自分の気持ちに嘘をついてまでネタに走ったりしますからね、僕。 ちょっぴり中間派っぽいスタイルで、僕の好きなタイプでは無かったんですが、そこへいくと続くマクファーソンのソロはストレートにパーカー直系で、気持ちいいですよね。やはりハリスにはビ・バップが似合います。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 2曲目、 「イージー・トゥ・ラブ」 。 ハリスの弾くイントロが何だかカッコいいです。クリフォード・ジャービスの叩き出すリズムも切れ味鋭く、で、ピアノのイントロと同じパターンのマクファーソンの一節があって、続いてヒリヤーの吹くテーマの最初のメロディが登場します。言葉ではちょっと説明しにくいので、恐らく読んでいる人にはまったく実態が伝わっていないものと思われますが、トランペットとアルトが交代に出てくるあたり、なかなか手が込んでますね。 で、ソロ先発はマクファーソン。 急速調のテンポを物ともしない余裕のある吹きっぷりが悪くないです。 続くヒリヤーも意外と悪くなかったりするんですが、ま、恐れ入るほどのものではないんですけど。 続くハリスのソロは、さすがやな!…といったところありまして、貫禄が違いますよね。ヒリヤーの場合、貫禄というより、兵六餅といった感じですもんね。 とまあそんなところで、テーマに戻って、エンディング。 ここではぐっとテンポがスローになって、ヒリヤーがフィーチャーされる格好になるんですが、この部分を聞いて分かりました。 この人のスタイルって、誰かに似ているよな?…という気がしていたんですが、サド・ジョーンズですな、こりゃ。ちょっぴりサドっ気が感じられます。そこのところがちょっぴり僕の趣向とは一致しないんですが、単なる太股フェチですからね、僕の場合。ちなみに佐藤秀樹クンの書いた日本語ライナーによると、この人はガレスピー派ということになっているんですが、そっかぁ? 僕は違うと思いますね。…と、秀樹クンに喧嘩を売っておいて、次。

 3曲目はハリスのオリジナルで、 「バーガンディ」 。 テーマ部ではヒリヤーがフィーチャーされているので、個人的な印象としては今ひとつなんですが、曲そのものはラテンな感じで悪くないと思います。 ソロ先発はハリスで、これまた悪くないと思います。ちょっぴり 「カスバ」 を彷彿させる感じ? 曲名はバカなんですが、その実態はカスだったんですな。 アホとバカとボケとカス。 この中ではどれがいちばんタワケなのかというと、カスというのがいちばんスカっぽい気がするんですが、続いてはヒリヤーのトランペットでありますな。この人の吹きっぷりは、ちょろこい感じがするところがさほどガレスピー派ではないと僕が判断する所以なんですが、が、人の弱点ばかりをあげつらうというのは、教育者としてはあまりよくないことだと思います。 ま、僕は別に教育者ではないのでどうでもいいんですが、遭えてこの人のいいところを挙げるとすれば、えーと…、ま、人にはそれぞれ、好みというものがありますからね。間下このみが好みだという人もいれば、お好み焼きが好みでない人もいるわけで。機雷が嫌いでないという人もいたりしますしね。…と、適当に論点をぼかしておいて、で、続くマクファーソンはいいですな。単なるパーカーのエピゴーネンだと評する人もいるかも知れませんが、エピゴーネンというのも、決して悪いことではありません。何だか、ちょっぴりゴネてる海老みたいで、意外と可愛い?…みたいな。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 4曲目、これまたハリスのオリジナルで、 「ザ・ラスト・ワン」 。 今ひとつインパクトの弱い曲調ではあるんですが、バピッシュと言えば確かにそうなんですけど。 ヒリヤーくん、ここではミュートを用いて、新たな世界を構築しようと頑張っておられますが、テーマ部ではマクファーソンのほうが目立っております。 で、そのままアルトのソロへと流れていくことになるんですが、これがまた、あからさまにパーカー・スタイルだったりして、いっそ清々しいばかり。 続いてヒリヤーのソロがあって、ハリスが出てきて、テーマに戻って、おしまい。 いくら解説はちょっと短いくらいがいいとは言え、あまりにもt抜きではないかと自分でも思うんですが、ここまでのところ、1曲目がちょっといい感じではあったものの、以下、やや印象の薄いナンバーが揃っていて、ジャケットのセンスだってもうちょっとだったりするし、リバーサイドのバリー・ハリスのリーダー作としては、群を抜いて抜群に影が薄いですね、こりゃ。 とりあえず、後半の盛り返しに期待することにしましょう。

 5曲目、 「アンソロポロジー」 。 ここでガレスピーとチャーリー・パーカーのバップ・チューンを持ってきましたか。 僕はこのタイトルを見るとどうしても、ああん、早漏、ボロ爺ぃ。…と嘆くギャルの様子が目に浮かんでしまうんですが、お年寄りに対して、そんな失礼なことを言ってはいかん!…と僕は思うんですけど。 “ボロ爺ぃ” はちょっと言いすぎですよね。せめて “カス爺ぃ” とか“スカ爺ぃ” あたりの婉曲な表現に留めておいて欲しいところですが、 “スカジー” なんて、スカイライン2000GT っぽくて、カッコいいですよね。ああん、早漏、スカ爺ぃ。…って、さほど代わり映えしないような気もするんですが、本来 “Anthropology” というのは “文化人類学” という立派な学問のことだったりします。 ここでもヒリヤーはミュートを用いているんですが、なるほど、これくらいの急速調のミュートプレイだと、ガレスピーっぽく聞こえないでもないですよね。秀樹クンのいうことにも一理あるような気はするんですが、僕らがこの面子に求めていたのは、こういう演奏だと言えるかも知れません。ヒリヤーくん、汚名挽回、名誉返上。…って、名誉を返上して、汚名を取り戻しても仕方が無いですよね。汚名返上というのが正解ですか。僧正遍照 (そうじょうへんじょう) というのは百人一首に出てきたりするんですが、こいつは坊主なので、坊主めくりの時に出てくると、あまり嬉しくありません。スカートめくりの時に出てこられても、さほど嬉しくはありませんな。坊主のパンツが見えたところで、ちっとも嬉しくないですもんね。 人形 だと一体71,400円 (税込) もしたりして、けっこう高価なんですけど。同じ出費なら 蝉丸 のほうが、琵琶が付いてくる分だけ、まだお買い得だと思います。 演奏のほうはテーマの後、マクファーソン、ヒリヤー、ハリスとソロが続いて、最後にアーニー・ファーロウのウォーキング・ベースまで聞けたりするので、琵琶の分くらいは得したような気分になります。 でもって、テーマに戻って、おしまい。

 6曲目、 「アイ・ディドゥント・ノウ・ホワット・タイム・イット・ワズ」 。 「時さえ忘れて」 という邦題が定着しておりますが、個人的には定着よりも巾着のほうが好きです。そういう、まったく次元の違ったものを比較するとういうのはどうか?…という気がしないでもないんですが、好きなものは仕方がありません。いいですよね、巾着。中でも “山ねずみロッキーチャック巾着” というのが僕のお気に入りなんですが、ネタのためなら持ってないものだって勝手に捏造しちゃいますからね、僕。 で、演奏のほうはというと、個人的にはしっとりとしたバラードで聴きたかったところなんですが、ちょっと遅めのミディアムくらいで料理されておりました。マクファーソンのスケール感の大きな歌いっぷりが、スケールが大きくていいと思います。 ヒリヤーのプレイもこれくらいのテンポだと、ちょっぴりケニー・ドーハムっぽくて悪くありません。続くハリスのソロもブルージーなところがいいですな。いいですよね、ブルージー。 ムロアジというのも干物にすると美味しかったりするんですけど。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 7曲目、 「メイク・ヘイスト」 。 ハリスのオリジナルなんですが、まるっきりバップ曲です。マクファーソンとヒリヤーとハリスとファーロウの生き生きとした粋なプレイを堪能できます。 8曲目、 「ナイチンゲール」 。 いかにも歌物らしい歌心を満喫出来る作品に仕上がっております。 とまあそんなことで、6曲目が終わった時点で前回の原稿と同じくらいの分量になったので、終盤は駆け足になってしまいましたが、今はちょうど運動会のシーズンだしぃ。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 見た目同様、インパクトの弱い1枚でありました。ヒリヤーがハズしたか?…とか、一概にそういう問題ではなくて、違うトランペッターが入ったところで、さほど劇的によくなるとも思えないんですが、いっそ、マクファーソンのワンホーンにしちゃったほうがよかったとか? ま、ハリスのプレイそのものは地味に悪くなかったりするので、過度に期待を持ちさえしなければ、ま、こんなものかも知れません。


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