SOLAR (JAZZLAND)

RED GARLAND (1962/1/30)

SOLAR


【パーソネル】

LES SPANN (g,fl) RED GARLAND (p) SAM JONES (b) FRANK GANT (ds)

【収録曲】

(01-03) SOPHISTICATED SWING / SOLAR / WHERE ARE YOU?
(04-06) MARIE'S DELIGHT / THIS CAN'T BE LOVE / THE VERY THOUGHT OF YOU
(07-08) BLUES FOR 'NEWS / I JUST CAN'T SEE FOR LOOKING

【解説】 (2008年09月15日更新)

 僕が今、これを書いているのは9月13日なんですが、果たしてこの原稿を無事に最後まで書き上げることが出来るのか、ちょっと心配です。あるいはこれが僕の遺作になるかもしれないし、ネット上にアップされることなく、永遠に埋もれてしまう可能性もあったりするんですが、むしろその確率のほうが高いかも知れません。というのもですね、今日、来るらしいいんですよね。何が来るのかというと、大地震なんですが、何でもよく当たると評判のブラジル人の予言者が、そういう予言をしているそうです。なんと言う名前の人でしたっけ?ガセリーノ? いや、違いますな。ジュセリーノですな。ガセリーノではなんだか、まるで当たらないと評判の予言者みたいなんですが、ジュセリーノは違います。とにかく当たるそうです。歳末の一号館グループの “どんどん抽選会” ではサンジルシの醤油が当たり、生牡蠣を食べればアタり、クルマを運転すれば当たり屋のクルマに当たり、学生時代に買ったゲーム機はアタリ、好きなおつまみはアタリメ…と、とにかくまあ、何でも当たっちゃうそうなんですが、予言者の世界ではあのノストラダムスを超えた!? と、疑問符付きで語られたりもしております。もっともノストラダムスの大予言なんてのは、当たりもかすりもしない大ハズレに終わったので、彼を超えるのはそう難しい話でもないんですが、ジュセリーノの場合は飛び抜けています。これまでのところ、ハズれた予言以外はすべて的中させているというのだから大したものですが、そんな彼がこんな予言を残しているんですよね。2008年9月13日に東海地震が起こる!…と。

 予想と予言というのは似て非なるものなんですが、予報ともやや意味合いは違います。僕の感覚だと、予報>予想>予言の順に、どんどん的中率が下がっていくような気がするんですが、競馬の予想なんてのもあまり当てになりませんからね。その点、予想というのはわりといい線いってると思うんですが、たとえば先日、ラジオの天気予報で気象予報士の兄ちゃんが 「この気圧配置は8年前の東海豪雨の時と非常によく似ておりまして、今晩、記録的な大雨になる恐れがあります。」 てなことを言っておりました。僕はそれを聞いて、なにをオーバーなこと言っておるか。…と馬鹿にしてかかっていたんですが、その夜、岡崎市を中心に記録的な豪雨となり、甚大な被害が出ました。馬鹿にしてかかってゴメンな!…と、僕は心の中で気象予報士の兄ちゃんに謝らずにはいられませんでしたが、いや、意外と当たるものなんですな、予報って。 そこへいくと予言というのはどうも眉唾モノだったりするんですが、ただ東海地震というのは学術的にも予知は可能かも知れないと言われてますからね。用心するに越したことはないので、僕は地震が来てもいいように身構えながら、半分逃げ腰になってこの原稿を書いているんですが、果たしてジュセリーノは具体的にどんな予言を出しているのでしょうか?

 その内容は 公式サイト を見れば一目瞭然なんですが、正式名称は 『ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース公式サイト』 でありますか。ずいぶんと覚えにくい名前を付けてくれましたな。覚えにくいのでここでは仮に 『ダ・サイト』 という略称で呼ばせてもらおうと思うんですが、いや、同じ略すにしても、もう少し適切な略し方があるのではないかという意見もあろうかとは思いますけど。 で、このサイトを見るにあたって留意しなければばらないのは、予言は石の上に書き込まれたものではなく、確定しているものではないということです。…と、ジュセくん本人が言い訳、いや、意見の提示をしていることなんですが、つまりまあ、ハズレても文句を言うな!…と。 むしろ、地震が来なくて、よかったじゃないの!…と。 確かにまあ、某・宗教団体のハルマゲドンの予言のように、どうもそんなのは来そうにもないので、とりあえず自分たちで起こしてみるぅ?…とか、余計なことをやらないだけ良心的だとは思うんですが、しかも彼の偉いところはこれから起こりそうな事件や事故の予言だけでなく、すでに期限を過ぎてしまった過去の予測に関してまで、ちゃんと公式サイトに記録を残しているところにあります。あるいは、ただ更新するのが面倒だっただけかも知れませんが、本人に気付かれて消されてしまうと困るので、証拠として魚拓を残しておきましょう。 これ です。

 ん?2008年5月12日、中国に大きな地震が起きる可能性!? もしやと思って調べてみたら、あの四川大地震が発生したのは現地時間の2008年5月12日14時28分でありました。的中やんっ! その昔、僕がどこかで見たことのある“競馬的中術”に 「騎手の名前に注目して“的場”や“中舘”が乗る馬を買え!」 というのがあったんですが、何でも “場” と “舘” で “的中” なんだそうですけど。 目から鱗の素晴らしい的中術だと感心することしきりだったんですが、ジュセくんはもしかして、6月14日に岩手でマグニチュード7.0の地震がおきなかったら大阪で6.3の地震が起きる可能性があります。これによって多くの問題が発生します。…というのも的中させましたかね? 確かその頃に岩手で大きな地震があったような気がするんですが、調べてみたらやはり2008年6月14日午前8時43分頃に岩手・宮城内陸地震が発生! あまりにも見事な的中ぶりに背筋が冷たくなってきましたが、ただこの2件の予言に関しては (2007年7月23日発刊の手紙より) と、わざわざ明記いているところがちょっと気になるんですけど。去年の公式サイトには載ってなかったのを、実は2007年7月23日の時点で既に予言していた!…と、後出しで掲載したように思えなくもありません。そういう、ドラえもんの “ギシンアンキ” を飲んだ時みたいな発想は、ちょっとどうかという気もするんですが、のび太くんは人の言うことをあまりに素直に信じすぎて、いつも損ばかりしているわけですからね。疑う心というのも大切にしなければりません。 が、 “スナオン” を飲んだ時のようなまっさらな心でこの予言を見ると、もうひとつ恐るべき的中事例があることに気付かされます。 8月27日大きな台風が日本と中国、韓国を直撃し、多大な犠牲者と家屋を失う人が多く出る可能性があります。 今年、まだ日本には一度も台風が上陸していないので、この予言は一見するとハズレのようにも見えるんですが、あの岡崎の豪雨災害は8月29日の未明。 的中とまではいかないんですが、 “的小” くらいは当たっていると判断してもあながち間違いではないもではなかろうかと。 なんせ僕は今、性格が素直になっているところですからね。かえって100%当たってないところが、いい線いってるな!…と思わずにはいられません。となるとやはり、来るんですな、地震。

 9月13日にマグニチュード9.1の巨大地震が中国を直撃し、百万人に達する死者を出す可能性があります。もし中国で地震が起こらない場合は、日本の名古屋でマグニチュード8.6の東海地震が発生する可能性があり、その場合、600名の死者と3万人の家屋が失われる可能性があります。 この予言にも (2007年5月8日発刊の手紙より) という注意書きがありますが、これは後出しではありません。9月13日、まだ地震が発生していない段階で、公式サイトにこの予言が掲載されているのを僕はこの目で確認しております。 ただ唯一の救いとしては、この予言の主眼が中国直撃の地震のほうにあることでして、中国の人には申し訳ないとは思うんですが、名古屋の地震のほうはオマケかな?…という気もします。 そもそも東海地震の震源は名古屋ではなく、静岡の駿河湾ではないかと思うんですが、それとはまた別の都市直下型の地震が起こるということなんすかね? ま、ブラジル人だけに静岡という地味な地名が出てこなかっただけなのかも知れませんが、一説によると名古屋ではなくて愛知県岡崎市だという説もあるし、となると地震と集中豪雨がごっちゃになってる可能性もあるし、 山口敏太郎くんの話 だと、実は伸びたみたいだし、大槻義彦クンのブログ を見ると、教授は “ギシンアンキ” を飲んじゃったのか、端から全面否定の様相でありますな。 ま、言われて見れば確かに9万件の予知夢というのはちょっと無理があるような気もするんですが、さすが大槻教授。なかなか鋭いです。 ただ、普通の人なら毎日9個ずつの夢を見るのは不可能かも知れませんが、相手はジュセリーノですからね。超人的な能力によって、それくらいのことは可能であるような気がしないでもありません。 少なくとも、2008年10月、アル・ゴアが立候補すれば、アメリカの新大統領になります。…という予言がおそらくハズレるであろうことは、ほぼ間違いないんですが、東海地震を回避出来たとしても、まだ鳥インフルエンザがありますからね。油断はなりません。

 …とか言ってたら、新潟でマグニチュード3.1の地震があったみたいですな。名古屋と新潟では少し場所が離れているんですが、同じ日本であるには違いないし、マグニチュードも8.6の予定が3.1になっちゃいましたが、、「地震は来ない」と日々思う心があれば天災の規模は小さくなると予め本人も言ってますからね。名古屋人の 「地震は来ない」 という強い思いが震源地を新潟にシフトさせ、天災の規模も小さくしたに違いありません。新潟県民からすれば何とも迷惑な話なんですが、2008年10月、前年と同規模のマグニチュード6.6の地震が起こり、柏崎刈羽原子力発電所内で放射能汚染が起こる可能性があります。…という予言もあるので、あるいは新潟県民の意趣返しによって、こちらが名古屋で起きるという可能性も考えられます。 ところでこのジュセリーノくん、前年と同規模の地震うんぬん…という予言を残しているくらいなので、当然、去年の7月16日に発生した新潟県中越沖地震に関する予言も的中させているに違いないんですが、念のため。2007年の予言に関してもチェックしておきましょう。 幸い、 ヒロシくんのブログ にその記録が残されております。 2007年2月16日に書かれたこのブログにおいて、2008年に中国で発生する超巨大地震について言及しているというのは驚愕の事実でありますが、ただ残念ながら新潟の地震に関する予言は確認することが出来ませんでした。3月に東京で地震が発生し、パニックに。…とか、カリフォルニアで大地震と津波が発生し、西海岸のいくつかの都市が壊滅。…とか、大ハズレした予言については書かれているんですけど。 ブッシュ政権は崩壊してるし、アメリカで臨時大統領選挙が実施されて暫定政府が誕生しているし、金正日政権も崩壊しているし、ま、これは2008年9月の段階では、当たらずと言えども遠からずな状態になっておりますが、脳卒中による死亡説とかも出てきてますからね、金正日くん。 東京では10月にも地震が発生しているし、世界各地で大地震やら暴動やらが発生しているし、でも大丈夫。神に祈ればこれらの災害や事件・事故は回避することが出来るとジュセリーノは言ってるし、事実、これらの予言はほぼ100%の確率で大ハズレして、人類は無事に2008年を迎えることが出来ました。 ま、予言にはなかった新潟で地震が発生するなどして、それなりに大変な年ではあったんですが、とまあ、そうこうしているうちに運命の日、9月13日も残すところあと3時間半ほどになりました。このまま新潟の震度3の地震でお茶を濁すことになるのか、あるいはこれから中国か名古屋で大地震が起きるのか。名古屋の近くに住んでいる僕としては、決してなごやかな気分ではいられませんが、でも心配はいりません。日本に川口喜三郎さんがいてくれる限り、きっと大丈夫でしょう。

 ヒロシくんも 昨日付けのブログ で楽観的な見解を述べておりますが、事業がより一層繁盛した。電気料金が安くなった。車の燃費がよくなった。給油なしで燃料が増えた。化粧品がいつものように使用しても数ケ月間全く減らなかった。化粧品が空っぽになった後、1回分の使用量が何ケ月も出てきた。…などなど、川口喜三郎さんが実際に起こしたアンビリーバブルな奇跡体験がいくつか書かれております。 まったく減らなかった化粧品が空っぽになってしまって、何とも残念な事だと思っていたら、今度は1回分の使用量が何ケ月も出てきましたかぁ。そんな面倒なことをするなら、最初から化粧品が一生減らないようにしてくれたほうが分かりやすいような気もするんですが、車の燃費もよくなるんですか。 というか、給油しなくても燃料が増えるということなので、もはや燃費という概念を超越していると言わねばなりませんが、ぶつかった車両の傷だって自然に修復しちゃいます。ぶつかって車がへこむ前に、車がぶつからないようにしてくれるほうがよりベターなような気もするんですが、ま、人間、誰しも過ちは犯してしまいますからね。事実、yuukunさんは今から1週間ほど前にマツダの新車をぶつけちゃったようですが、でも大丈夫。念じただけで、 凹んだ車が元に戻りました!…って、まさにアセンション♪ これはもう “なにかのご塩” を買うしかないですかね? 川口先生いわく、塩分を控えて、1日に30グラム以上の塩を摂ることが必要なんだそうですが、通常、食塩の摂取量の目安は1日10g以下とされているようなので、これはかなりの量ですよね。しかも塩分を控えて1日に30グラム以上の塩を摂らなければならないということなので、かなりの難関であることが予想されるんですが、ちなみにこの “なにかのご塩” は料理以外にも色々な使い道があるようです。洗顔に使えば顔がツルツル、ピカピカ。頭に振って揉みこめば髪の毛はサラサラ。ハンカチに包んで首に巻いて寝れば咳がぴたりと止まって、お風呂上りに塗りこめば毒毛虫に刺された痒みも2日で消えると。水道水に混ぜて眼を洗っても痛くないし、洗面器に38℃のお湯を用意し大さじ2杯の塩を入れ「ぢ」の患部に掛けるのもよい。 これはもう、全身を塩漬けにするしかありませんね。

 もしこのまま名古屋に地震が来ずに生き延びることが出来たとすれば、1ヵ月後の僕は “なにかのご塩” のおかげですごく立派な塩サバになっているであろうことを予言しておいて、今日のお話はおしまい。

 とまあそんなことで今日はレッド・ガーランドなんですが、いやあ、来ませんでしたなぁ、地震。 “Gyao” で 独占インタビュー が配信されていたのでちょっと見てみたら、中国と名古屋で同時に地震が起きる可能性もあるとか言ってたんですけどね。今年の5月8日のインタビューなのに、その4日後に起こる筈の四川大地震については何も言及してないし、この夏、日本の最高気温が43℃とか45℃くらいまで上がるとか言ってるし、8月に次々に巨大台風が上陸するとも言ってるし、でもまあ、彼の予言の的中確率は90%らしいですからね。これまで9万件くらいの予言をしているらしいので、9000件くらい大ハズレしたとしても別に不思議ではないんですけど。いずれにしろ、“Gyao” の配信期限が9月14日の正午までとなっているのは適切な判断だと思うんですが、それにしてもユーザーレビューの採点が10点か0点かで、何とも両極端ですなぁ。個人的には環境破壊に対する警鐘など、花やしきの “エコマン” みたいないい事も言ってるので、1点くらいはあげてもいいと思うんですけどね。いずれにしろ、この原稿がUPされる頃にはすでに視聴不能になっているので別にどうでもいいんですが、とまあそんなことで今日は 『ソラー』 というアルバムを紹介したいと思います。“ソラー” というのは空ではなく、太陽ですかね? “そら” というと個人的には “蒼井そら” という名前のスケベ女優が頭に浮かんでしまうんですが、実際、オフィシャルサイトのタイトルも 『SOLAR POWER』 だったりしますしね。すけべビデオとしては 『淫語 エロい女の淫語あそび』 とか、そんなのに出演しているみたいです。いや、見たことはないんですけど。 このガーランドという人は、ピアニストとしてはオスカー・ピーターソンの次くらいにたくさんリーダー作を出してるようなイメージがあるんですが、この 『ソラー』 というのはリバーサイドの傍系レーベルであるジャズランドの作品だからなのか、あまり日本ではメジャーな存在ではないような気がします。このレーベルは変則的な楽器編成が好きそうなイメージがあったりするんですが、本作もガーランドのトリオにレス・スパンを加えたカルテットになっておりまして、この人、ギターを弾く以外にフルートも吹くみたいで、ちょっと変り種だったりします。とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずは洗練された体が揺れ動く曲である 「ソフィスティケイティッド・スイング」 。 ウィル・ハドソンとミッチェル・パリッシュという人の作った30年代の佳曲だそうです。ハドソンというと高橋名人のいるゲームメーカーを思い出すし、パリッシュというとワニを食うヤクルトスワローズの助っ人を思い出してしまうんですが、ちなみに熱川のバナナワニ園にワニ料理の店はありませんでした。バナナは普通にフルーツパーラーで食べられるんですけど。 とまあそれはそうと、僕はいつも思うんですが、“Sophisticated” という単語はあまりにも言いにくいですよね。こんなの噛まずに言えるアメリカ人は尊敬するに値すると思うんですが、いやあ、それほどでも。…って、それは尊敬ではなくて、謙遜ですね。日本語もけっこう難しいです。 で、曲のほうはというと、日本語ライナーで久保田高司クンが佳曲と書いている通り、なかなか佳子ちゃんな感じの旋律を持った作品でありまして、で、ガーランドはこれを思いきりなブロックコードで演奏しております。ちょっぴりカクテルピアノっぽい仕上がりなんですが、そこにサム・ジョーンズのピチカードがユニゾンで絡んでくることによって、立派なジャズとして傾聴に値する出来になっておりますな。 ソロ先発にそのサム・ジョーンズを持って来るところもなかなか粋な演出でありまして、でもって、ソロ2番手はレス・スパンのギターでありますか。ウエス・モンゴメリーを彷彿させるオクターブ奏法がなかなかいい感じで、個人的にピアニストのリーダー作にギタリストが入ってるのって、あまり好きではなかったりするんですが、いい意味で裏切られる結果となりました。久保田クンのライナーによると、テーマ部でメロディをユニゾってるのもスパンのギターという見解のようなんですが、どうなんすかね? 僕としてはベースのようにも聞こえるんですが、間を取って実はサム・ジョーンズがチェロを弾いてるとか? リバーサイド系のアルバムだと、たまにありますからね、サム・ジョーンズのチェロのピチカート。 ま、いずれにしろソロの3番手はガーランドでありまして、テーマ部とは対称的にアドリブ・パートではシングルトーンを多用しているところがなかなかいいと思うんですが、フランク・ガントという、あまりよく知らないドラムを叩いている人のブラッシュ・ワークも絶妙です。…とか思っていたら、中盤以降は思いきりブロックコードの連発になっておりましたが、最後にガントくんのソロを軽くフィーチャーしておいて、テーマに戻って、おしまい。 いや、リラックスしたムードのなかなかの佳作でありました。

 続いてはアルバム・タイトル曲の 「ソラー」 。 僕の持ってる日本盤CDでは 「ソーラー」 という表記になっているんですが、なるほど、太陽だとすればそういう発音のほうが正しいということになりますか。 が、個人的に僕はずっと、この曲は 「ソラー」 という名前だとばかり思い込んでいたので、今さら修正はきかないので前半は延ばさない方針で押し通そうと思うんですが、これはアレです。マイルス・デイビスの曲です。 久保田クンも書いている通り、出だしの部分の雰囲気は 「ディア・オールド・ストックホルム」 なんですが、続いて登場するテーマの旋律は、何とも間の抜けた感じがしちゃいます。イントロと絶妙に合ってない? 微妙といったレベルではないですよね。その、無理から感が意外に悪くなかったりもするんですが、ガーランドは最初の2小節くらいを除いて、最初っからブロックコードばりばりでありますな。好きか嫌いかは別にして、これが彼の十八番なので素直な心で受け入れるしかないんですが、そんな彼が弾くテーマに続いて、レス・スパンのギター・ソロが登場します。先ほどはかなりウエスっぽかった彼も、ここではわりと独自な路線を歩んでおりまして、それがどういう路線なのかと言われると、ま、次の機会までに考えておくとして、で、続いてはサム・ジョーンズのベース・ソロでありますか。ニールス・ペデルセンのソロには冷たい態度を取る僕も、サム・ジョーンズに関してはわりと寛容でありまして、けっこう好きなんですよね、サム・ジョーンズ。 サムのムサくさいところがいいなと思っているんですが、ただパチンコ 「海物語」 に出てくるサムは、ちょっとどうか?…という気がするんですけど。ムキムキなところがちょっと気持ち悪いですよね。サムくんは “さぶ系” にはウケるのかも知れませんが、僕としてはただ、さぶいぼが出るだけです。 とか言ってるうちにガーランドのソロにスイッチしましたが、流れるようなフレーズ、心地のいいスイング感、どれもが…とか言ってるうちにテーマに戻って、おしまい。余計な楽器が入っているだけに、純粋に彼のピアノに耳を傾けるにはやや物足りないような気もするんですが、ま、これはこれでいいような気もします。

 3曲目、 「ホエア・アー・ユー?」  フランク・シナトラの名唱で知られるこの歌は、ハロルド・アダムソン(詞)とジミー・マクヒュー(曲)の作品。…とのことでありますが、綺麗なバラードですな、こりゃ。 ガーランドのピアノによるリリカルなイントロに続いて、レス・スパンがフルートでテーマを歌い上げるんですが、ここに持ってきましたか、フルート。僕はこの楽器が大好きでありまして、宮川大助とどっちが大好きかというと、やはり大助のほうが大好きなんですが、アホそうに見えて、意外と賢くないそうですからね、宮川大助。…って、それでは見たままだったりするんですが、メロディが登場した瞬間、 「マイ・オールド・フレイム」 か?…と思ったんですが、違ったんですな。 ま、よくありがちな歌モノと言ってしまえばそれまでなんですが、アメリカ人って何事につけても大ざっぱな人種であるように見えて、意外と繊細な曲を作ったりするんですよね。 ちなみにレス・スパンの吹くフルートは、エリック・ドルフィーのソレを彷彿させるものがあるんですが、一抹の寂しさを感じさせるところが何とも言えずに秋ですなぁ。秋になると人恋しさのあまり、ついつい人攫いとかやりたくなってしまうんですが、人攫いというのはドブさらいと違って、もしそれをやったとしても決して人から褒められるものではないし、お駄賃として “いよさん” で使える50円分の商品券を貰えるわけでもないので、僕は未だに一度もやったことはないんですけど。 テーマの真ん中はトリオ演奏になって、再びスパンが出てきてメロディを吹いた後、ガーランドのソロが登場するという流れなんですが、で、その後、フルートのソロもちょっとだけフィーチャーされます。ドルフィーの場合、テーマ部はリリカルでもアドリブに入るとやや意味不明になっちゃうところが難点なんですが、スパンの場合はあくまでも正統派。サブの楽器なので、あまり手の込んだ演奏が出来ないだけの話なのかも知れませんが、主旋律を軽くフェイクする程度に抑えてもらったほうが聴いてるほうとしては気が楽だったりします。バラードなのに気疲れするようでは、ちょっと嫌ですもんね。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。ちなみにこの曲、 「グラッド・トゥ・ビー・アンハッピー」 にもちょっと似てます。

 4曲目はガーランドのオリジナル、 「マリーズ・デライト」 。 マリーというのは彼の奥さんの名前なんだそうですが、何となくビスケットが好きそうな感じがしますな。 個人的にはマリーよりもチョイスとかハーバードのほうが好きなんですが、マリーは歯にひっつくところがよくありません。甘食パン同様、そこのところがどうもよくありません。 「マリーの楽しみ」 って、あの歯にひっつくところがたまらんっ♪…みたいな、やや変態じみた趣向が感じられてちょっと嫌なんですが、曲自体は明るく楽しくデライトで、悪くありません。 おそらく明るいキャラなんでしょうな、マリーちゃん。 「おしゃれキャット」 みたいな感じ? ちなみにあのアニメ、マリーちゃんではなくて、ダッチェスという猫が主人公…というか、主猫公だったんですな。名前がちょっぴりダッチワイフみたいだから、日本では不人気なんでしょうか? で、演奏のほうはというと、いかにもレッドらしく軽快に進行するトラックでは、彼のきびきびしたプレイが好調そのもの。太く逞しい○○○も立派だ。…と、日本語ライナーにはあるんですが、一部を伏字にしたところ、何だかいやらしい文章になっちゃいましたね。別に○○○の部分に、宇能センセイ言うところの “そのもの” に相当する単語が入るわけではなく、普通に “スパン” という人名が入るだけなんですが、 “そのもの” といえば世の中には こんなもの があるんですな。 ソノモノ超極太)♪ 宇能センセイ言うところの “そのもの” というのは、こういうモノだったのか!…と、目から鱗が落ちた思いでありますが、テーマに続いてガーランドのピアノが出てきて、続いてスパンの太く逞しいギター・ソロがフィーチャーされるんですが、ここでの彼はかなりウエスっぽいです。 ジャズ・ギターがさほど好きではない僕もウエス・モンゴメリーは大丈夫だったりするので、まずはよかったという気がするんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 5曲目の 「ジス・キャント・ビー・ラブ」 はアップ・テンポのホットな演奏です。 テーマ部はピアノとギターとのハモリ具合が絶妙でありまして、でもって、ソロ先発はレス・スパンでありますな。さほど大々的にフィーチャーされているわけではなく、わりと早めにガーランドにバトンタッチされることになるんですが、スパンくんの出番はこれで終わりという事ではなく、演奏の後半はギターとピアノの4バースで大いに盛り上がることになります。終盤はそれがドラムスとピアノの4小節交換に転じて、ますますヒートアップすることになるんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。テンポが速いだけに演奏時間も 4分06秒と、やや短めだったりするんですが、無駄にダラダラと引き延ばすだけが能でないのは言うまでもなく、いや、今週からこのコーナーを思い切って短くしようと思っていたのに、ふと気が付くといつものペースになってしまっていたんですが、とまあそんなことで、次。  「ザ・ベリー・ソート・オブ・ユー」 。 これはアレです。バラードです。 でもって、レス・スパンはフルートを吹いております。 どうやらバラードではフルートを吹くというコンセプトのようなんですが、ただ 「ホエア・アー・ユー?」 とは違って、今回はガーランドがテーマを演奏して、最初のソロをスパンに委ねるという形になっております。そのフルートも決して悪くはないんですが、ここでの主役はやはり、ガーランドのソロであると言えるでしょう。珠玉というのは、こういうプレイのことを言うんでしょう。珠玉って “たまたま” ではなく、“しゅぎょく” と読むのか!…というのを、僕はわりと最近になって知ったんですが、玉を転がすようなタッチはこの人ならではのプレイではないかと思います。この人でなくても、例えばソープ嬢なんかも似たようなプレイをしてくれると小耳に挟んだことがあるんですが、それはともかく。 ピアノのソロに続いて再びスパンが登場し、テーマの再現部なんだか、アドリブなんだか、ちょっとゴッチャになった感じの演奏を繰り広げて、ということで、おしまい。エンディングの最後の一音まできっちりと練り上げられていて、いや、なかなか見事な演奏でありました。

 7曲目、 「ブルース・フォー・ニュース」 。 ガーランドのオリジナルです。 ニュースなんかにブルースを捧げて、どうすんねん?…と思ったら、どうやらこのニュースというのはプロデューサーのオリン・キープニュースのことなんだそうですが、それなら 「ブルース・フォー・おりん」 にして貰ったほうが日本人には分かりやすかったと思うんですけど。 ピアノとギターによる主題が魅力的。アドリブ・コーラスはレッド(7コーラス)、スパン(2コーラス)、レッド→ガント→スパン→ガントといった手順でくりひろげられるが、レッドの5コーラス目が圧巻! それに次ぐのが4バース。…と、日本語ライナーに書かれている通りの演奏が繰り広げられておりまして、それ以上、僕が補足することは何も無いんですが、ブルースといっても泥臭さは希薄で、アップ・テンポのかなりカッコいい作品に仕上がっております。ガーランドのプレイそのものは 『ソウル・ジャンクション』 というアルバムに収録されている 「バークス・ワークス」 を彷彿させると言えば、それを聴いたことがある人には分かりやすいでしょうか? 5コーラス目だけでなく、もう最初から、かなりの飛ばしっぷりでありまして、いいぞぉ、雄三ぉ!…って、ぜんぜん関係の無い加山雄三にエールを送ってしまいましたが、このアルバムのベスト・パフォーマンスは5曲目やな。…と思っていたら、さらにこっちのほうが熱かったです。3分22秒と演奏はかなり短いんですが、いやあ、よかったっす♪ ということで、ラストです。  「アイ・ジャスト・キャント・シー・フォー・ルッキング」 。 ロビンソン・スタンフォード作のこの小唄は、ナット・キング・コールが 40年代に歌った小粋なナンバーと解説しなくても、耳の肥えた方ならすぐにキング・コール・トリオを思い浮かべるに違いない演奏に終始する。…と久保田クンは書いておりますが、そっかぁ? ま、確かにギターが入っているところはちょっぴりナット・キング・コールなんですが、普通にガーランド・トリオの演奏っぽく聞こえてしまいます。 ま、僕の耳が肥えてないだけの話かも知れませんけどね。 腹回りとかは普通に肥えているんですけど。明後日には人間ドックがあるんですが、今年もまた肥え過ぎとか、コレステロール多過ぎとか、尿酸値が痛風の発症寸前とか言われちゃうんでしょうなぁ。…とか言ってるうちに、なるほど、演奏のほうは部分的にナット・キング・コールっぽい場面もあったりしたんですが、ゆったりとした寛ぎムード満点の仕上がりでありまして、アルバムの最後を飾るに相応しい出来だったと思います。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 そう言えば、こんなアルバム買ったんだっけ?…と、ほとんど記憶の片隅にも残っていなかったような1枚なんですが、思いのほか、内容のほうはよかったです。 ガーランドって悪くないけど、どのアルバムも似たようなもんだしぃ。…と、やや倦怠ムードが漂っている人には特にお薦めなんですが、レス・スパンを仲間に入れたのは大正解でありましたな。メインのギターも、おまけのフルートも実にいい味を出しています。 全8曲、ハズレなし。いいぞぉ、雄三ぉ!


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