IMPRESSIONS (ALFA JAZZ)

KENNY DREW (1988/8/1,2,3)

IMPRESSIONS


【パーソネル】

KENNY DREW (p) NIELS PEDERSEN (b) ALVIN QUEEN (ds)

【収録曲】

(01-03) IMPRESSIONS / EVENING IN THE PARK / CAFE FLORE
(04-06) AUTUMN LEAVES / NO GREATER LOVE / MY SHIP
(07-08) ROUGE BLUES / MORNING MIST
(09-10) LAST TANGO IN PARIS / THE WAY WE WERE

【解説】 (2008年08月31日更新)

 熱川のお土産と言えば “バナナまんじゅう” と “へらへら餅” です。僕はそう思います。 美味しいですよね、 “バナナまんじゅう” と “へらへら餅” 。 いや、バナナまんじゅうのほうは、本当に美味しいか?…と言われると、正直、さほどではないような気もするんですけど。個人的には “うまい棒” のほうがうまいと思います。 が、へらへら餅のほうは抜群にうまいです。もしかすると、うまい棒よりもうまいかも知れません。 もし、うまい棒に “へらへら餅味” というのが出たとすればいい勝負になるかも知れませんが、少なくとも “たこやき味” には勝てる気がします。うまい棒のたこやき味って、味そのものはうまいと思うんですが、他の味に比べると、何故か食感がちょっと固めだったりするんですよね。そこのところが、へらへら餅に勝てない所以なんですが、やわらかいですからね、へらへら餅。 が、この “へらへら餅” がですね、さば家では不評でした。 付属のゴマだれは概ね好評だったんですが、量的に不満の声が上がっておりました。確かに箱の大きさのわりには4個入りと書いてあって、ちょっと少ないかな?…という気はしていたんですが、箱を開けてみたところ、ゴマだれの入った容器が全体の2/7くらいの面積を占めていて、餅のほうはと言うと、へらへらしたのが4個入っていただけでした。1個ずつ容器のくぼみに収納されているんですが、高さ的にも壁の部分の3分の1くらいまでしかないので、かなり上げ底っぽくて、見た目的には確かにかなりショボいです。好意的に考えると、これは恐らく、ゴマだれをかけた時、隣のへらへらの領域を侵さないように容器に余裕を持たせたということではないかと思うんですが、実際、ゴマだれのほうは必要以上にたっぷりありましたからね。半分くらい余ったので、うちでは普通の焼餅につけて食っていたようですが、せめて、へらへらを2段重ねにして8個入りにしていただければ、うちでも文句は出なかったと思うんですけど。

 一方、バナナまんじゅうのほうは会社のお土産にしたんですが、こちらのほうは味はともかく、概ね好評だったように思います。外箱だけでなく、個別包装の袋のほうにもちゃんと “熱川バナナワニ園名物” と明記されているところがポイントでありまして、義理で 「どこ行ってきたん?」 と聞かれて、いちいちそれに答えなければならないという手間を省くことが出来て、無口な僕にはぴったりでありました。 ただ、形がバナナというだけで基本的にはアンコの入った固めのカステラのようなもので、言われてみれば確かにちょっとバナナのフレーバーが感じられないでもないかな?…といった程度にバナナなだけのまんじゅうなので、真のバナナ好きにはちょっと物足りないかも知れません。そういう人にはチョコバナナのほうがいいと思います。 チョコレート好きにはまったくもって物足りないものの、何だか必要以上にバナナの味がしますからね、チョコバナナ。 個別包装に別に熱川バナナワニ園の名前が入っていなくてもいいというのなら、 “バナナカステラ” のほうがいいかも知れません。自宅用のお土産に買ったところ、「バナナの形をしたのが4つ入ってただけやった。」 と、これまた量的に不満の声が上がっておりましたが、カステラの中にバナナ味のクリームが入っていて、おいちい♪ あまり多くのものは期待していなかったので、意外とおいちい♪ とまあそんなことで、熱川の温泉問題は解決したので、続いては北海道のお土産について考えてみたいと思います。

 北海道のお土産と言えば “白い恋人” と “木彫りの熊” です。僕はそう思います。 いや、木彫りの熊のほうは、貰って嬉しいか?…と言われると、これほど迷惑なものは無かったりするんですが、個人的にはまったくソソられるものがありません。置き物なら夫婦岩か金閣寺やろ?…みたいな。 “熊出没注意” のステッカーというのも、いりません  で、一方の “白い恋人” のほうはというと、一時期、やや人気が下降気味だったりしたんですが、賞味期限の改ざん事件によって知名度が上昇して、今や伊勢の “赤福” 同様、笑いの取れるお土産として、人気急上昇チュウ♪ ま、さすがにちょっと旬は過ぎた感があるんですが、とりあえず “白い恋人” を買っておけば、わざわざ説明しなくても北海道に行ってきたことを理解して貰えるというメリットはあると思います。お土産としてはやはり超一流であると言えるでしょう。 商品として一流であるかどうかの基準として、パチモンがあるか?…というのが判断の目安になろうかと思うんですが、例えば “赤福餅” に対するパチモンの “御福餅” だとか、桑名の “安永餅” に対するパチモンの “なが餅” だとか。 いや、どちらがパチモンなのかというのは意見の分かれるところでありまして、特に “安永餅” と “なが餅” に関しては桑名と四日市との間で、グルジアと南オセチアの問題に匹敵するような火種になっているんですが、では “白い恋人” はどうかというと、これにもちゃんとパチモンがありました。 “私の恋人” というお菓子です。 この7月に北海道に旅行した際、各地で目にすることが出来ました。 ま、 “臼い恋人” にしなかっただけ良心的だと言えるんですが、“(しろ)”と“(うす)”では印刷のかすれなんだか、何なんだか、ほとんど判別が出来なかったりしますからね。

 で、そんな僕はお土産に何を買ったのかというと、 細雪のレガロ というヤツなんですけど。買ったというか、大きな荷物を持ってあるくのが面倒なので、事前に楽天で注文しておいたんですが、どうしてこれを選んだのかというと、クール便でなくて普通の宅急便でも大丈夫そうなお菓子が、これくらいしか見当たらなかったからなんですけど。要冷蔵のお菓子を、よそに配る分も含めて大量に自宅に送りつけたりすると、冷蔵庫に入らん!…と文句を言われるのは必至ですからね。 で、結果的にはこれが大正解だったんですが、この “粉雪のレガロ” 、商品説明に、カマンベールチーズをたっぷりと練りこんだホワイトチョコレートを サクリと香ばしいラングドシャでサンドしました。…とあって、まさしく由緒正しき “白い恋人” のパチモンかと思われたんですが、実際はカマンベールチーズ感が極めて強く、ホワイトチョコレート感が極めて希薄なお菓子でありまして、めっちゃチーズ味で、甘さは皆無。 いや、オトナの味でありましたな。子供の頃の僕は、チーズって、めっちゃウンコ臭いやん!…という、コドモじみた理由でチーズを毛嫌いしてたんですが、オトナになって好きになったんですよね。甘いものが苦手な人にもお薦めのお菓子でありましたが、それともうひとつ。僕にはどうしても手に入れたい物があったんですが、それは何かというと じゃがポックル なんですけどね。今さらと思われるかも知れませんが、現地でもなかなか手に入らないんだそうで、手に入らないとなると無性に欲しくなるというのが人情なんですよねー。

 僕は事態をわりと楽観しておりました。落雁みたいに普通に和菓子屋に売ってると、そこまで楽観はしてなかったんですが、現地が駄目なら、ネットがあるぢゃん。…みたいな。 最近は欲しいものが何でも簡単にインターネットで買えるようになって、便利な反面、ちょっと寂しい思いがあったりもするんですが、今はそんな情緒的なことを言ってる場合ではありません。金に糸目だってつけません。目的のためなら手段は選びません。 が、そんな悲壮な覚悟を決めるまでもなく、じゃがポックルは普通に楽天で売られていたりするんですが、ほら、 こんなところ にー♪ 販売時間が21時00分〜23時59分と限られているようですが、2時間もあるから余裕ですな♪ 販売開始日時をメルマガで通知するとか、そういう阿漕な商売をしているところもあるようですが、それに比べるとここは良心的です。 とまあそんなことで僕は電波時計を横目に、販売開始時刻になるのを固唾を飲んで待ち受けていたんですが、3秒前…、2秒前…、1秒前…、クリッククリッククリッククリッククリック! 混みあっていて繋がりませんでした。。。 10秒くらいたってようやく次の画面に進むことが出来て、クレジットカードによる決済手続きも済ませ、「注文する」のボタンをクリック! やった、買えたっ!…と思ったら、 「この商品は売り切れました。」 という表示が。ああん。。。 いや、ものの数秒の勝負でありましたな。

 が、落胆することはありません。落胆しなくたって、落雁があるじゃん♪…って、いや、今の僕はそんなもの、ぜんぜん欲しくはないんですが、大丈夫です。金に糸目を付けず、目的のためなら手段は選ばない。 そういう覚悟さえあれば、じゃがポックルは意外と簡単に手に入ります。他のものとセットで売られているのを買えばいいです。 たとえば ここ 。 じゃがポックルが “羆(ひぐま)出没注意(9個入)” とセットになっていて、まあ、お得♪ よりによって、一番いらんものと抱き合わせてくれたな。…と、恨めしく思わずにはいられませんが、ま、お店のほうとしても不良在庫を処分したい思いで必死でしょうからね。ちなみにこの “羆出没注意” はステッカーではなくてクッキーみたいなお菓子らしいので、その点はまだ良心的かも知れません。キットカットやプリッツの北海道限定モノというのも許容範囲。 他にも店によって色んなタイプの抱き合わせ商法をやっているので、いくつか選択の余地があるんですが、じゃがポックル以上に現地では入手が困難だと言われている “花畑牧場の生キャラメル” とセットにしている ここ など、むしろ有り難くて拝みたくなっちゃう程です。 じゃがポックル(18g×10袋入)と生キャラメル(50g 約12粒) で 3,899円 (税込) という価格が果たして公正な取引なのかどうか、僕には判断が付きかねるんですが、230gで 3,899円ですからね。100グラムあたり 1,695円。 養老町の “丸明” なら、けっこういい飛騨牛が買えそうです。 ちなみに僕は花畑牧場は、ま、別にどうでもいいとして、生キャラメルという食べ物にはちょっと興味があったんですが、めっちゃ生乳(なまちち)の味がして、美味しそう? が、要冷蔵なのでヤメにして、じゃがポックルと夕張メロンのゼリー、更には “じゃがバター” と “じゃがですよ!” というお菓子が入ったセットを買ってみることにしました。

 じゃがバターというのは何かと思ったら、じゃが芋にバターが埋め込まれている食い物でありました。お菓子ではなくて、本物のじゃが芋が真空パックみたいになっておりました。そのままでも食べられますが、温めるとより一層美味しくお召し上がり頂けます。…と書いてあったんですが、お弁当の代わり持っていって、クルマの中でそのままカジったので、より一層美味しいという程ではありませんでした。 ま、普通ですな。 夕張メロンは株式会社ホリの 夕張メロンピュアゼリー というヤツで、これは別口で配布用のお土産として “細雪のレガロ” と一緒に注文しちゃったくらいなので、かなりレベルは高いです。あまりゼラチンっぽくないピュアな食感で、たいへん美味でありました。 抱き合わせにしては良心的なチョイスです。 で、問題は “じゃがですよ!” というお菓子なんですが、こりゃ、誰がどう考えても “じゃがポックル” の由緒正しいパチモンですよね。 僕は以前、 “POTEぼーや” というのをお土産に貰って食べたことがあるんですが、また新作が出たんですな。頼もしい限りです。

じゃがポックル VS じゃがですよ!(外箱対決) じゃがポックル VS じゃがですよ!(小袋&カップ対決)

 せっかくなのでこの機会に、この2つを食べ比べてみたいと思うんですが、もし “じゃがですよ!” のほうが美味しかったりしたら、わざわざ苦労して “じゃがポックル” を買う必要もありませんもんね。 ちなみに “じゃがポックル” の代替品としていちばん有名なのは “ジャガビー” なんですが、これはカルビーの製品なので、パチモンというよりも姉妹品という感じでしょうか? 食べ比べた人の話によると、ほとんど区別が付かないそうですが、原料へのこだわりとか、製造工程の違いとか、そういった差異があるようです。 で、一方の “じゃがですよ!” なんですが、これは明らかに喧嘩を売ってますよね。 “POTEぼーや” が英語系の名前で、類似性をなるだけ薄めようと努力しているのに対して、 “じゃがナントカ” と直球勝負。 ナガシマスパーランドがラジオのコマーシャルで、東京のテーマパークがなんだー、夢と希望はナガシマにもありますよー、大阪のテーマパークがなんだー 、日本にいて外国ぶることないんだよー♪ といった歌を流して、ディズニーランドやUSJに喧嘩を売っておりますが、 “じゃがですよ!” もなかなかいい根性をしております。 “オホーツクの焼き塩味” に対して、こっちは “宗谷の塩” ですからね。POTEぼーやが “バター醤油味” で独自路線を歩んでいるのとは好対照です。 ただ、パッケージはぜんぜん違いますな。 “じゃがポックル” と “POTEぼーや” が小袋入りなのに対して、 “じゃがですよ!” は “じゃがりこ” みたいなカップ入り。 が、中身のほうはというと、ま、どれも似たようなものでありますな。  “じゃがりこ” みたいなのではなくて、 ここ で紹介している “ナチュラルポテト” の系統です。 “ほんじゃが” というのも似たようなものですか? どれも同時に食べてみたことがないので厳正な比較は出来ないんですが、とりあえず手元にある “じゃがポックル” と “じゃがですよ!” を比べてみると、んー、見た目的には、じゃがポックルが微妙に細切り? サクサク度は “じゃがですよ!” > “じゃがポックル” ですかね? “じゃがですよ!” は、ほんのちょっと固めで、 “じゃがポックル”は、ちょうどいいサクサク。 記憶によると “POTEぼーや” や “ナチュラルポテト” は、もうちょっとソフトな食感だったような気がします。 ただシケてたのを食べていたのかも知れませんけどー。 で、お味のほうは “POTEぼーや” はバター醤油味だけに、バターと醤油の味だったような気がします。ちょっとクドめ? で、 “じゃがポックル” と “じゃがですよ!” はいずれもシンプルな塩味なんですが、 “じゃがポックル” のほうが多少、昆布のダシが効いてる感じ? 後味も、おいちい♪…ですな。 それに対して “じゃがですよ!” は単純明快な塩+イモの味+若干の嫌味。 何でも宗谷の塩には“にがり”の成分が含まれているようなんですが、それが裏目に出ちゃいましたかね? あと、 “じゃがですよ!” のほうは口に入れた瞬間に油っぽさが感じられたんですが、 “じゃがポックル” にはまったくそれがなく、結論から言ってしまうと、やっぱりパチモンは本家には勝てなかったような気がしないでもありません。 いや、食べ比べてみなければ分からないようなレベルなので、 “じゃがですよ!” も、これはこれで十分に美味しいとは思うんですけどー。

 思うに、 “じゃがポックル” は (18g×10袋入) というところに真髄があると言えるかも知れません。 1袋が18gというのは少ないです。微妙に少なくて、物足りない感じが残ります。物足りないから、また食べたくなってしまうんですが、 “じゃがですよ!” のほうは量がたっぷりあるので、1カップ食べると、もういいやぁ。…という気分になってしまいます。 世の中、ただやたらと量が多ければいいというものでもないんですなー。 いつも無駄に長いだけでほとんど中身のない文章を書いている僕としては、ちょっと考えさせられるものがあるんですが、次回からこのコーナー、ちょっと物足りないくらいの長さになってたりするかも知れないので、そこんとこ、ヨロシク!

 ということで、今日はケニー・ドリューです。とりあえず手始めに、今日の後半から “物足りないバージョン” でお届けしようかと思うんですが、ということで、 『インプレションズ』 です。 ドリューにそんなアルバム、あったっけ?…と不思議に思われる人もいるかも知れませんが、これはアレです。 俗に 『パリ北駅着〜印象〜』 という名前で知られている、例のアレであります。パウエル直系のハードバッパーとしてデビューしたドリューが晩節を汚してしまった典型例として、僕がよく馬鹿にしているアルバムなんですが、実はまだ一度も聴いたことがありません。 一度も聴いたことがないのに、ただイメージだけで馬鹿にするというのは、ちょっとどうか?…という気もするので、オトナになった僕は、この度、モノは試しに聴いてみることにしたんですが、意外と入手困難になっておりました。 いや、ネットで調べたらすぐに出てきたので、入手するのにまったく困難はなかったんですが、既に中古でないと手に入らないみたいなんですよね。 新しい吹き込みだとばかり思っていたら1998年の録音ということなので、今からもう20年前ということになるんですな。中古市場では14,000円とか、24,263円とか、無謀な値段を付けているところもありました。 ま、1,498円で売ってるところもあるんですけど。 で、買ってみて初めて、このアルバムの正式名称が 『インプレションズ』 であることが判明したんですが、どうしてこれが 『パリ北駅着〜印象〜』 になっちゃったんですかね? 日本のレコード会社が製作したものなので、日本の婦女子にウケがよさそうなタイトルを付けたというのは分かるんですが、どうして “パリ駅着” でなくて、 “パリ北駅着” なんでしょうか? 地元の例で言うなら、 “桑名駅着〜印象〜” と “西桑名駅着〜印象〜” では、ずいぶんと受ける印象が違ってきますからね。 西桑名駅というのはめっちゃローカルな三岐鉄道・北勢線の駅で、全国的にも珍しいナローゲージの電車が走っていて、よく、けった通学の高校生に追い抜かされております。 となるとパリ北駅にもあまり多くのものは期待出来そうもないんですが、調べてみたら利用者数は年間約1億8千万人で、フランス国鉄の駅では最多なんだそうで。 西桑名駅の利用者数は年間200万人くらいみたいなので、 ちょっとだけ負けてます。どうやらパリ駅という名前の駅はなくて、方面別にパリ北駅とかパリ東駅とか、そういう名前の付け方になっているようなんですが、で、これ、ベースはニールス・ヘニング・オルステッド・ペデンルセンなんですな。ドラムスのアルビン・クイーンという人については寡聞にしてよく知らんのですが、なかなか手堅い面子だと思います。 で、これ、日本の婦女子向けに有名なスタンダードばかりを演奏しているのかと思ったら、わりとドリューのオリジナルとかも入っているんですね。 これは意外と馬鹿にしたものでも無かったりするのかも?…という期待感が高まってきたりもするんですが、ということで、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 1曲目、アルバム・タイトル曲の 「インプレションズ」 。 これはアレです。ドリューがパリ北駅に到着した時に受けた印象を音で綴った作品であります。僕はパリには一度も行ったことはないんですが、紀文のパリパリポテトは好きなので、パリにはわりと詳しいほうだと思うんですが、なるほど。いかにもパリらしい情景がうまく表現された仕上がりでありますな。 出だしはピアノの無伴奏ソロによるリリカルなバラード。続いてペデルセンが出てきて、これまた無伴奏ソロでテクニシャンぶりを発揮して、で、ここでリズムが入ってテンポも少し速くなって、スインギーな感じでテーマが演奏されます。いかにもパリジェンヌな、綺麗なメロディでありますな。 ドリューのソロ・パートに入るとテンポがさらに速くなって、ドライブ感が上昇することになるんですが、いや、立派にジャズしてますね。思ってたよりもずっとマトモだったので、馬鹿にしようと思ってた当初の予定がちょっと狂ってしまいましたが、でもって、続いてはペデルセンのピチカート・ソロですか。この人がかなりのテクニシャンであることは冒頭でも触れましたが、ウッドベースでここまで縦横無尽なフレーズを連発されると、感心するのを通り越して、ちょっと厭味にすら思えてしまいます。なーにが 「ぺけぺけぺけぺけぺけぺけぺけ♪」 や。ベーシストの癖に生意気だぞ!…みたいな。個人的にはウォーキング・ベースっぽいソロのほうが好きなので、あまりテクをひけらかすのもどうかと思ってしまうんですが、ま、アルコでやられるよりはマシだと思って諦めるしかありません。 でもって、スローなテンポのテーマに戻って、おしまい。

 2曲目の 「イブニング・イン・ザ・パーク」 もドリューのオリジナルです。 「夕暮れの公園」 ですか。いいですなぁ。公園を散策するなら、やはり夕暮れ時がいいですよね。朝っぱらから公園をうろうろしていると、このオッサン、無職か?…とか思われるし、夜中にカメラを持って公園をうろうろしていると、このオッサン、覗きか?…とか誤解されるし、そこへいくと夕暮れ時の公園というのは幼女とか人妻とかもたくさんいそうで、いいですよね。昼休みの公園というのもOLがバレーボールをしてそうで、それはそれでいいんですけど。北京オリンピックの影響で今後、バドミントンOLとか、フェンシングおっさんとかも増えそうなんですが、で、この曲はアレです。ミディアム・テンポの、なかなか綺麗なメロディの作品でありまして、OL層のウケもよさそうですよね。ちょっと軽めのピアノのタッチは、上司のおさわりに日々苦悩するOLの心を癒すには最適です。ドリューのソロの後、ペデルセンが出てくるところはちょっと余計なんですが、この人、ベーシストの分際に、ちょっと前に出て来過ぎぃ。。。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、次。 「カフェ・フローラ」 。 今回は、ちょっと物足りないくらいの曲解説ということで、進行のほうも早くなっているんですが、 “フローラ” というのは英語で言うところの “フラワー” なんですかね? あるいは漢字で言うところの “浮浪裸” だったりするのかも知れませんが、お花がいっぱいのカフェと、浮浪者や裸のオッサンがいっぱいのカフェとでは、かなり印象が違ってくるんですけど。演奏のほうは綺麗なバラードだったりするので、イメージ的には前者のような気もするんですが、世の中には小綺麗な浮浪者というのもいるかも知れないので、何とも言えません。 これまたドリューのオリジナルなんですが、出だしの部分は 「マイ・フーリッシュ・ハート」「トゥ・ヤング」 をつなぎあわせたような旋律でありますな。テーマの途中でペデルセンが出てきて、またかい!…と思ってしまったんですが、サビの部分をベースで演奏するという、こういうアレは、アリかも知れませんね。 アドリブに入ると次第にテンポも速くなって、熱っぽさを増していくことになるんですが、終始、ドリューとペデルセンが絡む形で進んで行って、でもって、テーマに戻って、おしまい。 以上の3曲は、組曲と言ってよさそうなパリジャンな雰囲気で統一されておりまして、ドリューの持つリリカルな一面が存分に発揮された作品として、それなりに評価していいのではないかと思います。

 4曲目、 「オータム・リーブス」 。 直訳すると 「秋葉」 ということになるんですが、日本ではもっぱら 「枯葉」 という名前で知られております。秋になっても葉っぱが枯れない常緑樹の立場からすると、この邦題は必ずしも正確であるとは言えないんですが、秋葉だと三重発動機で働いていた秋葉クンのことを思い出してしまうので、ここは普通に 「枯葉」 でいいと思います。枯れてこその秋の葉っぱですもんね。 ただ、ここに来てこの選曲というのは、ちょっとどうか?…と思ってしまうんですが、これぞまさしく、僕が当初アタマの中に描いていた “日本の婦女子向けイージーリスニング・ジャズ” の典型のようなスタンダードですもんね。ドリューのほうも、 「それはちょっと。」 と、断るべきだったと思うんですが、 「これを弾けば日本のギャルにモテモテだしぃ♪」 と言われて、どうしても断りきれなかったんでしょう。その気持ちは分からないでもありません。 で、ここまで有名な曲となると、どうしても凝ったアレンジとかを施したくなるところなんですが、ここでのドリューは敢えてオーソドックスにさらりと料理しておりまして、その奇を衒わない姿勢はそれなりに評価してもいいと思います。普通にいい感じの演奏に仕上がってますもんね。 で、続いては 「ノー・グレーター・ラブ」 と、これまたメジャーな歌物ナンバーが演奏されることになるんですが、こちらのほうはスインギーな仕上がりとなっておりまして、これもまた悪くありません。僕はこの “グレーター・ラブ” という曲名を見るとどうしても、 “グレた騾馬” といった動物の姿が頭に浮かんできてしまうんですが、どうせ俺なんかロバとウマの相の子だからよぉ。…とか言って、すっかりやさぐれちゃってるみたいな。 が、そんな彼もこの軽快な演奏を耳にして、きっと改心してくれると信じておりますが、立ち直った騾馬のこれからの人生に乾杯♪…って、正確に言うと人生ではなくて、ラバ生なんですけど。

 6曲目、 『マイ・シップ』 。これはアレです。ドイツ出身の作曲家で 「三文オペラ」 で有名なクルト・ワイルの作曲。…と、岩浪洋三センセイがライナーノートに書いているので、多分そうなんだと思いますが、この曲はちょっとハイブラウで詩的な曲であり、そのムードを生かした演奏となっている。…とも書いてあります。ハイブラウ。僕の中にはなかった語彙ですな。さすが洋三クン。学問、教養のある人。知識人でありますなぁ。そこへいくと僕はまだまだですね。知識、無いですもんね。ピロシキも食べたことないし。 ピアノの無伴奏ソロで始まって、そこにアルビン・クイーンのブラシが入ってくる瞬間がゾクっとして、なかなかいい感じなんですが、ドリューの弾くピアノも両手のバランスが絶妙で、この上なく巧みであります。中盤以降は無伴奏となって、ややクラシカルな展開をみせたりもするんですが、最後にまたリズムが戻ってきて、でもって、おしまい。わりと短めの小品でありますが、なかなか格の高いハイブラウな仕上がりでありました。 で、次。7曲目。 「ルージュ・ブルース」 。 ドリューのオリジナルです。 「口紅ブルース」 とは、なかなかOL好みのタイトルを付けたものでありますが、OLといえば口紅ですからね。 OLといえばパンストやろ?…という意見もあろうかとは思いますが、僕はパンストというのがあまり好きではないので、その意見には賛同しかねます。パンティとストッキングを一緒にするな!…と思わずにはいられません。パンストがパンティとストッキングを一緒にしたものなんだったら、パンストを穿いてる時はパンツは穿くな!…とも言いたいです。 “Yahoo!知恵袋” に 「ノーパンでパンスト履いて出勤したことある人いますか?」 という質問があって、アバターからして若いギャルと思われるmimikoca63さんが、 「はい、何か? パンストはパンティーストッキング。別にわざわざパンティー履かなくても、許されると思います。」 という回答を寄せておりますが、まさにその通りだと思います。 ただ僕はパンストというのがあまり好きではないので、出来ればパンストを穿かずにパンツだけにして貰うか、あるいは、パンストもパンツも穿かずにノーパンだけにして貰ったほうがよっぽど嬉しいんですが、とまあそんなことで 「口紅ブルース」 。 ブルースなんですが、さほど黒っぽくはなく、口紅だけに赤っぽい仕上がりとなっております。 が、ドリューとて根は黒人なので、まったく黒くないというわけでもなくて、総体的に言うと、赤黒い。 ま、そういった感じでしょうか? 長期に保存し過ぎた牛肉をイメージするといいかも知れませんが、終盤に聴かれるペデルセンのソロがちょっとクドいところがネックでありますな。 それ以外は概ね良好でありまして、最後はドリューがピアノを弾きつつフェードアウトして、おしまい。

 8曲目、 「モーニング・ミスト」 。 ペデルセンのオリジナルなんですが、タイトルは 「朝霧」 の意味ですよね。朝霧と言えば特急 「あさぎり」 というのが鉄ヲタの間では有名なんですが、小田急とJR東海の相互乗り入れなんですかね? 僕は鉄道関係には疎いのでよく分かりませんが、1日4往復しか運行してなくて、さほど利便性があるようには思えません。朝霧高原のあたりを走るのかと思ったらそうでもないし、僕にとってはどうでもいい存在のような気がします。 で、演奏のほうはというと、テーマ部からペデルセンが大々的にフィーチャーされることになるんですが、ま、自分で作った曲なので、今回ばかりは大目にみるしかありません。なかなか綺麗な旋律を持ったバラードでありまして、意外と作曲の才能もあったりするんですな、この人。 ということで、次。 「ラスト・タンゴ・イン・パリ」 。 マーロン・ブランドが主演した同名の映画のテーマ曲で、作曲したのはアルゼンチン出身のテナー、ガト・バルビエリなんだそうです。アルゼンチン出身だからタンゴなんですな。相撲取りにも星誕期 (ほしたんご) とか、いましたしー。 星安出寿 (ほしあんです) という、かなり強引なヤツもいましたけど。 で、これ、タンゴだけにラテンのノリなのかと思ったら、さほどでもなかったんですが、アップテンポのドライビングな仕上がりではあるんですけど。 テーマ部ではまたしてもペデルセンがフィーチャーされておりまして、ま、曲調とよくマッチしているので、今回も大目にみておこうかと思うんですが、演奏が進むにつれて、それなりにラテンっぽくもなってきますしね。ドリューのアドリブの出来もよく、ペデルセンの超絶技巧も堪能することが出来て、珍しくアルビン・クイーンのドラム・ソロまでフィーチャーされていたりして、何よりではありませんか。

 ということで、ラストです。 「ザ・ウェイ・ウイ・ワー」 。 どこかで聴いたことのある曲だと思ったら、映画 『追憶』 の主題歌なんですな。最後にちょっとヒヨってしまった感はあるんですが、ま、これを弾けば日本のギャルにモテモテだしぃ♪…というので、その気持ちは分からんでもないんですけど。映画音楽をジャズに取り入れること自体は別に軟弱でも軟便でも、何でもないですからね。またしてもペデルセンがフィーチャーされまくっているのがちょっと耳障りではあるんですが、哀愁味を帯びた美しい旋律はOLの心を解きほぐすには最適です。昼下がりのBGMにはちょうどいいのではないでしょうか。…って、こんなの聴いてたら爆睡しちゃうのは必至なんですけど。職場でうとうとしていると、どさくさに紛れておっさんにサワられる危険性が高いので注意が必要なんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 思ってたほど、甘さべったりの作風でもなくて、意外と悪くはなかったです。ベース弾きはちょっと前に出過ぎだと思いますけどー。 選曲のほうも納得のいく範囲でありまして、ただ、おっさんが手に取るにはあまりにも恥ずかしいジャケットのセンスだけは、ちょっと頂けませんね。 『パリ北駅着〜印象〜』 などというタワケた邦題はやめて普通に 『インプレションズ』 にして、ジャケットもノーパンでパンストのOLの実写版とかにすれば、もっとオッサンにも売れるような気がするんですが、どんなもんでしょう?


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