STEEL GUITAR JAZZ (MERCURY)

BUDDIE EMMONS (1963/7/22)

STEEL GUITAR JAZZ


【パーソネル】

JEROME RICHARDSON (ts,ss) BUDDIE EMMONS (Steel Guitar) BOBBY SCOTT (p)
ART DAVIS (b) CHARLIE PERSIP (ds)

【収録曲】

(01-03) BLUEMMONS / ANY TIME / WHERE OR WHEN
(04-06) INDIANA / GRAVY WALTZ / OLEO
(07-09) THE PREACHER / CHEROKEE / WITCHCRAFT
(10-11) GONNA BUILD A MOUNTAIN / THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU

【解説】 (2008年05月25日更新)

 ひこにゃん、ひこにゃん、ひこにゃんにゃん♪ ということで、前回、ひこにゃんが出てくる前に終わってしまった彦根城の散策レポなんですが、今日は大丈夫です。ひこにゃん、出ます。というか、ひこにゃんしか出すものがないので、話をどうやって引き伸ばそうか、今から苦慮している次第なんですが、とりあえずオフィシャルサイトを見ればすぐに分かる、ひこにゃんのプロフィールについて、簡単に説明しておくことにしましょう。

 ひこにゃん。 「国宝・彦根城築城400年祭」 のイメージキャラクターで、井伊家由来の赤備えの兜をかぶった猫をモデルにしていると。いいですよね。井伊家というところがいいです。彦根城は井伊家のお城なので、井伊家由来の赤備えの兜をかぶっているのはいいとして、どうして猫なのか?兜をかぶったカブトムシとかでは駄目なのか?…という疑問を持つ人も少なくないと思うんですが、でも大丈夫。ちゃんとその問題に関しても説明がなされております。 Wikipedia の、なぜ 「ねこ」 か。…というところに書かれております。江戸の豪徳寺で彦根藩2代目藩主の井伊直孝が、にわか雨にあって大木の下で雨宿りをしていた際に、手招きをする白猫を見て近寄ったところ、その大木に落雷があった。直孝はこの猫に感謝し、後に豪徳寺を井伊氏の菩提寺とした。この白猫の伝説 (いわゆる招き猫発祥伝説) から決定された。 なるほど。こりゃ、感謝もしますわな。 一方、この “招き猫伝説” にはもう一説あって、江戸時代に彦根藩第二代藩主・井伊直孝が鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかった。そのときこの寺の和尚の飼い猫が門前で手招きするような仕草をしていたため寺にたちより休憩した。すると雷雨が降りはじめた。雨に降られずにすんだことを喜んだ直孝は、後日荒れていた豪徳寺を建て直すために多額の寄進をし、豪徳寺は盛り返したという。…というのがソレです。場所も登場人物も同じなんですが、エピソードそのものがかなりミミっちくなっております。この程度のことなら何もわざわざ井伊家の菩提寺にするほどのことでもなく、黒缶・気まグルメ (にぼし入りかつお) 3缶とかで手を打てそうな感じなんですが、 恐らく、人から人へと話が伝わっていくうちに尾ひれが付いて、殿様が雨宿りしている木に雷が落ちてよぉ。もうちょっとで真っ黒焦げになっちまうところだったがね。…とかなんとか、話が大袈裟になっちゃったんでしょう。よくあることです。 とまあそんなことで、ひこにゃんは猫ということになったんですな。直孝クンを手招きしたのがもしニワトリだったら、ひこにゃんは “ひここけっこー” とか、そういうキャラになっちゃうところでしたが、その他、公式なプロフィールとして判明しているのは次の通りです。

性 別 特に決まっていない。見た人の心に映ったままに。
出身地 彦根城
現住所 彦根城の天守閣
好 物 お魚、お肉 とくにカニと箸で切れるお肉が大好き
趣 味 お城を散歩すること

 ひこにゃん、彦根城の天守閣に住んでいるんですか。お城に住んでいると、殿様気分とか、王様気分とか、殿様キングス気分とか、そういうものを味わえそうな気がするんですが、実際のところ、階段はめっちゃ急だし、すきま風はぴゅーぴゅー吹き込むしで、お世辞にも快適な住環境であるようには思えないし、戦になれば敵が襲ってくるし、花見の時期になればテキヤがタコ焼きとかイカ焼きを焼いたりするしで、のんびり暮らすには不向きなような気がします。ネコにイカを食べさせると腰を抜かすとか言いますしね。イカ焼きの匂いはあまり体によくないような気がするんですが、で、彼の好物というか、彼女の好物というか、性別は特に決まってないのでどちらなのかよく分かりませんが、とにかくまあ、好物はお魚とお肉であると。ちょっとひねりのないキャラクター設定ではありますよね。好物は鉄鉱石とアルマイト。…って、それは鉱物やがなっ! とか、その程度のボケが期待されたところでありますが、そもそも、好物はお魚、お肉。とくにカニと箸で切れるお肉が大好き。…って、カニはお魚ではないような気もしますしね。ネコがカニを食って大丈夫なのかという問題もあるし、箸で切れるお肉って、ネコの癖に贅沢言うな!…と思わずにはいられませんが、ネコはカリカリで十分だと思うんですよね。柔らかいものばかり食ってると歯や顎の力が弱ってしまうので、紅梅焼き を食え!…と言いたくなりますよね。 ややかためどころではなく、めっちゃ硬い上に、山椒の実などという余計なものが入っているのでちょっとヘンな味がして、個人的にはあまり好きではないので僕は食べませんが、とまあそんなことで、ひこにゃん。

<ひこにゃん> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 12時から約10分間の火縄銃試射を堪能し、博物館をザザっと見て、天守閣に入るのに30分ほど待って、15分くらいで昇って降りてくると、13時を10分ほど過ぎたところでありました。ひこにゃん登場まであと20分。既に天守前広場にはかなりの人がたむろしておりましたが、ステージの目の前はみんな遠慮しているのか、まだ空いておりました。おかげで、やや右寄りではあるものの最前列のほぼ真ん中という特等席をキープすることが出来て、ラッキー♪ どうしてやや右寄りなのかと言うと、謙虚な性格である僕は、さすがにあまりど真ん中過ぎるというのも、ちょっとアレかな?…と思って、遠慮しちゃったんですけど。 とまあそんなこんなでワクワクしながら待っていると、おおっ、やって来ました、ひこにゃんにゃん♪性別不明の、ひこにゃんにゃん♪ 2次元の段階で僕の心に映ったひこにゃんの性別は、んー、どちらかというと、オスかな?…というイメージがあったんですが、バレンタインには40個くらいチョコレートを貰ってたし、兜をかぶってるし、刀を持ってたりする図柄もあったりしますからね。 が、初めて目に3次元の “ナマひこにゃん” はですね、こりゃ、どう見ても女の子ですよねー。手には可愛いバッグをぶら下げていたりするしー。 おしゃれギャル、ギザカワユス♪ このバッグ、よく見るとケーキとか、さくらんぼなんかが書いてあって、もうそのままパンツの柄にしちゃいたいほどラブリーなんですが、いや、ナマひこにゃんは絵で見るよりも可愛いですにゃ♪ モリゾーにしろ、キッコロにしろ、キティちゃんにしろ、せんとくん にしろ、普通、立体になった時点でかなりイメージが壊れてしまうものなんですが、ま、せんとくんは平面の時点でも十分に評判が悪いから大丈夫かも知れませんが、ひこにゃんは是非、ナマで見ることをお薦めします。短い足で一生懸命に階段を上ろうとしている姿とか、もう、めっちゃラブリー♪ で、僕は、やや右寄りではあるものの最前列のほぼ真ん中という好位置をキープしていたんですが、真ん中というのは時として、思ってたほど優位でない場合もあるんですな。越前松島水族館の “アザラシおさわりタイム” の時もそうだったんですが、この日のひこにゃんも右、あるいは左のほうのお友達にばかり愛想を振りまいて、あまり正面のお友達には構ってくれませんでした。 ま、正面はどちらかというとオッサンが多くて、ひこにゃんとしてもあまり愛想を振り撒く気分にはなれなかったのかも知れませんが、そこはさすがにプロだけあって、最終的にはちゃんとこっちにも手を振ってくれたんですけどね。 で、ひこにゃんのラブリーさは静止画よりも動画のほうがより伝わりやすいような気がするので、今回も特別にムービーでお届けしましょう。



getquicktime ※動画をご覧頂くには、視聴ソフト(無料)が必要になります。

 みんな、見れたかな? 見れなかった人は見れるように頑張るか、諦めるか、選択肢はその2つしかなかったりするんですが、ま、見れたところで編集はめっちゃ適当だし、特にオチがあるわけでもないし、最後にシシャモが出てくるわけでもなくて、むしろ見れてしまったほうが後悔しちゃうような出来栄えだったりするんですけど。 “Youtube” にもっと小マシな動画がたくさんあるので、そっちを見たほうが賢明でしょう。 あー、ひこにゃん、めっちゃ マツケンサンバ 踊ってるやん! ひこにゃん、めっちゃ 正座 してるやん! ひこにゃん、めっちゃ ヒゲ抜けてる やんっ!! 一緒に入ってる声がめっちゃウザいところがネックなんですが、僕が撮った動画にも、いちいち保存しなあかん大変さを訴える声が入ってたりするんですけど。 ひこにゃんの登場は30分間。僕は最初の10分くらいだけ見て、その場を立ち去ってしまったんですが、いや、あまりいい年をしたオトナが最前列に居座っていると、後ろのほうにいるお子様に悪いかな?…と、余計なホトケ心を出してしまったんですけど。今になって冷静に考えてみると、後ろのほうの子供は早くから来て並んでなかったのが悪いんだから、よく見えなくてもそれは自業自得だし、子供を甘やかしたところで、付け上がったりワガママになったりするだけで、何の得にもならないので、世間の厳しさを教え込むためにも最後まで最前列で粘るべきでありましたな。そうすれば、ひこにゃんのパフォーマンスをもっと楽しめたと思うんですが、その反省はまた今度来た時に活かすとして、とまあそんなことで、ひこにゃん城のお話は、おしまい。


<関ヶ原ウォーランド> (←クリックすると写真ページに飛びます。 注:一部モザイク処理しています。

 彦根城の散策を終え、近江牛を食ったる!…というので、夢京橋キャッスルロードにある 蔵羽 というお店に入ってみることにしました。<上>ステーキ重 100g (近江牛ロース) ¥3,000っ!高っ!近江牛やめるっ!普通の黒毛和牛にするっ!その替わり、130g食ったるっ! ということで、質より量のほうを重く見て、結果、2,600円の出費。いや、十分に美味しかったっす。 で、彦根からそのまままっすぐ家に帰るには、まだちょっと時間に余裕があったので、寄ってみました “関ヶ原ウォーランド” 。 関ヶ原と言えば鍾乳洞メナードランドウォーランドだよねっ♪…と、近隣の住民であれば誰もが知ってる有名な観光施設なんですが、メナードランドは残念ながら廃業しちゃいましたけど。ウォーランドのほうは、どうしてまだ廃業しないのかと近隣の住民から訝しがられつつ、何とかまだ生き延びているようなんですが、僕が前にここを訪れたのは小学6年生くらいの時の社会見学だったので、かれこれ30年ぶりということになりますな。懐かしいです。楽しい思い出などこれっぽっちも無くて、子供心にも最低レベルの施設であったと記憶しているんですが、ま、オトナになった今の目で見ると、また違った新しい発見があったりするかも知れないしー。 ワクワクしながら現地に赴いたところ、駐車場には意外とたんさんの車が止まっていたのでちょっとビビったんですが、どうやらその92%くらいは隣接する “伊吹薬草の湯・緑龍” の利用者みたいなんですけど。ウォーランドごときで駐車場代を取られるのもおこがましいと思っていたんですが、幸いにもクルマを止めるのはタダでした。 が、中に入るのはお金が要りました。大人で700円でした。入口の建物が再建とは言え、まるでホンモノのお城みたいになっておりまして、屋根にはちゃんとシャチホコまで乗っかっていて、威厳たっぷり (写真・いちばん上) 。 建物の内部は “武具甲冑資料館” になっておりまして、自称、実際に関ヶ原の合戦で使われたとされる貴重な鎧や兜がたくさん展示されておりました。武具甲冑の数という点だけで言えば、彦根城博物館のそれを遥かに凌駕する規模であります。小学生の頃、この展示を見たという記憶がないんですが、いや、こんなまともなものもあったんですな。新たな発見でありました。

 が、ここの目玉はなんといっても屋外展示でありましょう。関ヶ原と言えば鍾乳洞メナードランドだねっ♪…という認識がまったくない他の地方の人でも、関ヶ原といえば合戦という知識はあると思うんですが、壮大な戦国絵巻をコンクリート製の人形を使って再現した、とってもウォーなランドということになると、これはもう、 「うぉー!」 と声を上げずにはいられません。小学校の卒業文集を読み返しても、最大のイベントだった修学旅行を差し置いて、ウォーランドでの思い出を記している生徒が少なくありません。


「楽しかった社会見学」 みずたにくん

 ・関ヶ原ウォーランドには首をきるところもあった。

「寒かった社会見学」 くりやまさん

 ・いろいろ見てたら、毛利家家老とかいてあるぞうがあったので、何となく頭にきたから足をふんでやりました。
 ・それから徳川家康をさがして、悪いことですが、足をふんできました。

「寒かった社会見学」 こばやしさん

・徳川さんの足をふんできた。


 寒かった。首を斬るところもあった。足を踏んだ。思い出としてはこの3点に尽きるようなんですが、30年後の現在でも健在でありました、首を斬るところ。正確に言うと、斬られた首を木の棒にくくりつけて、かついで運搬しているところ。…といったシチュエーションなんですが、栗山さんや小林さんが足を踏んだ徳川家康も近くにいるし、見所満載の場内の中でも最大のハイライトと言えるのではないでしょうか。 “首実検” と、 「 ノーモア関ヶ原合戦じゃ!」 と戦争反対を訴える武田信玄の亡霊。この2点がホームページでのウォーランド・レポでは定番の撮影スポットになっているようですが、ところでここ、こんなに木や草が生い茂ってるところでしたっけ? 小学生だった僕の記憶では、学校の校庭のような殺風景な空間に、意味もなく無数の人形が配置されているだけ。…という感じだったような気もするんですが、僕の思い過ごしなのか、あるいは30年という年月を経て、すっかりワイルドになってしまったのか。 ただ、当時は人形の塗装が剥がれていて、かなり荒んだムードが漂っていたのが、メンテナンスによって塗り直されたのか、当時よりも生き生きしていたのはよかったと思います。こうして写真でみると、まるで生きた人間が戦っているかのようなんですが、ここでは動画を撮らなかったので、皆さまに公開出来ないのがちょっと残念なところです。 ま、動画を撮ったところで何も動いてはいないので、あまり代わり映えしないような気がしないでもないんですけど。 で、小学生の僕には、ただ意味もなく人形を配置しているだけにしか見えなかったんですが、実はちゃんと関ヶ原の合戦の史実に合わせられた武将の配置とかが成されていたんですな。もうちょっとよく勉強しておけば、もっとディープに楽しめたかも知れません。その反省はまた今度来た時に活かすとして、問題はその時まで、果たしてこの施設が持ちこたえられるかどうかなんですけど。 ちなみに5月のこの時期、場内に咲き乱れるツツジの花がなかり見事です。全国に “ツツジの名所” と呼ばれるところは数あれど、ツツジと武士を同時に見られるというのは日本中を探しても、恐らくここだけなのではないでしょうか? 花撮りカメラマンとしては見逃せない、貴重な撮影スポットだと思います。

 ということで、楽しかったゴールデンウィークの思い出は、おしまい。 ちなみに彦根にはですね、ひこにゃんのライバルの、いしだみつにゃんというのもいたりします。関ヶ原の合戦で敗れた石田三成をモデルにしたキャラでありますな。石田三成に過ぎたるもの、島の左近と佐和山の城。…と謳われた島左近も、しまさこにゃんというのになっております。どうにも無理やり感の漂うキャラでありますが、他には井伊家から高松城に嫁いだ井伊直弼の次女、弥千代姫をモデルにした、やちにゃんとか。時代、バラバラやん! かと思えば、 さばにゃん なるキャラもいることが判明しました。鯖江に住んでいるから、さばにゃん。 鯖江はメガネの町だからなのか、メガネをかけた猫になっております。が、こりゃ、失敗ですな。フランス語の “Sava” という本を読んでたりするところは評価出来るんですが、今ひとつ可愛くないところが致命的だと思います。いずれにせよ、こうなってくるともう何でもアリですな。桑名でも猫にハマグリの殻をかぶせて くわにゃん とか作ったら、けっこうウケると思うんですが、果たしてどんなもんでしょうか? 恐らく、ひこにゃんにハマグリかぶせただけやん!…と言われて、それで終わりのような気もするんですが、とまあそんなことで彦根城関ヶ原のお話は、おしまい。

 ということで、今日はバディ・エモンズです。知ってますか?僕は知りません。知りませんが、スチール・ギターなどという楽器を使ってジャズをやっているらしいので、とりあえず買ってみました。スチール・ギター、知ってますか?僕は知りません。ギターの弦にはスチール弦とナイロン弦というのがあって、はだしのゲンと合わせて “世界3大ゲン” と呼ばれているという、それくらいの知識はあったりするんですが、あるいは桑名市長の水谷元 (みずたに・げん) を合わせて “ゲン四天王” にしちゃうとか。いずれにしろ、となるとスチール・ギターというのはスチール弦を張った普通のギターなんじゃないか?…とか、そういうふうに僕は解釈していたんですが、ぜんぜん違ってました。この 『スチール・ギター・ジャズ』 というアルバムのジャケットにはどこにもバディ・エモンズの姿はなく、スチール・ギターと思しき楽器だけが大写しになっているんですが、これを見るとスチール・ギターというのは細長い四角い箱に弦を張って、脚を4本付けて、ペダルも付けちゃったという、そういう楽器であるように思われます。 “スチールギターとは” でググってみると、19世紀に作られた楽器である。棒状のバーを演奏する時に弦の上に置いて滑らして音を出す時に使って演奏する。簡単に言うなら、ギターを横に寝かせて弦の上に棒状のバーを乗せ、音を選ぶ時にフレットに合わせ、バーを左右に動かしながら、右指で弦を琴で使う爪のような着け爪を使い、演奏する。…といった解説がありましたが、簡単に言われても今ひとつピンと来ませんね。ま、要はギターを寝かせて、指の変わりに棒で弦を押えて、着け爪で弾くと、そういう種類のギターのようなんですが、写真にあるスチールギターは普通のスチールギターにペダルを付けた、ペダルスチールギターと呼ばれるタイプのようですね。普通のスチールギターは棒で弦を押えるので、普通のギターのような複雑なコードを演奏することが出来ず、それを解消するためにペダルをつけて、弦をどうにかしているんだと思うんですが、そこまでやるんだったら普通のギターを弾けばいいだけの話であるような気もするんですけど。 ま、敢えて変な楽器を使ったおかげで僕の目に留まって、こうして塩通で取り上げられることになったんだから結果オーライなんですが、このアルバムはですね、サイドマンも悪くないんですよね。フロントにはマルチ・リード奏者のジェローム・リチャードソンを据え、ピアノのボビー・スコットに関しては寡聞にしてよく知らんのですが、ベースはアート・デイビス、ドラムスはチャーリー・パーシップと、地味な実力派を揃えております。これはかなり正統派のハード・バップが期待出来るのではないでしょうか?

 …という僕の思いは1曲目の 「ブルーモンズ」 が始まった瞬間に脆くも崩れてしまったんですが、何なんすか、このハワイアンみたいなサウンドは。 僕は決してハワイの音楽がジャズよりも劣っているとは思わないし、ハワイの飲み物グアバは大好物だし、大きくなったら一度でいいからキャバレー桑名ハワイ に行ってみたい!…という憧れをずっと持ち続けているんですが、今はちょっとハワイアンという気分ではないんですよね。 なまじ正統派のハード・バップを期待したばかりに、その落差にちょっと戸惑っているんですが、よくよく聴いてみるとハワイアンなのはスチールギターの音色だけで、曲そのものはオーソドックスなリフ・ブルースだし、演奏自体もさほどグアバ臭くはなかったりするんですけど。タイトルの 「ブルーモンズ」 というのは恐らくブルーなエモンズを省略したものだと思うんですが、邪魔くさい山田クンが “じゃま田” と呼ばれたりするのと同じ理屈ですよね。ブルーなエモンズくんがシンプルなテーマを演奏した後、スチギタ、テナー、ピアノ、ベースの順で短いソロがリレーされることになるんですが、中ではボビー・スコットのピアノがいちばんブルージーな仕上がりでありまして、でもって、g→ds→g→ds の4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。何てことない、ほんのちょっとしたプチ小品。ま、そんな感じの1曲でありました。

 2曲目、 「エニィ・タイム」 。演奏が始まった瞬間、今までの僕は間違っていた!…と、心の底から反省させられることになったんですが、いや、1曲目など、まだマシなほうだったんですな。これぞまさしく真実のハワイアン。僕の部屋の空気が瞬時にして牧伸二と化してしまいましたが、でも大丈夫。テーマが終わると同時にテンポが急に速くなって、しばしスチギタのドライビングなアドリブ・ソロが繰り広げられることになるので、決して、やんなっちゃうようなことはありません。立派にジャズしてます。で、続いてジェローム・リチャードソンが登場することになるんですが、ここでの彼は何だか変な楽器を吹いておりますな。この音、何なんすかね?…と悩んでいるうちに、すぐピアノのソロになってしまうんですが、サイドマンの中では最も期待度の低かったこのボビー・スコットが、なかなかの好演を聴かせてくれるんですよね。スタイルで言うと、誰に似てますかね? わりとテクがありそうなところはフィニアス・ニューボーンで、ブルージーなところは “おぼん・こぼん” で…、などと、ぜんぜん関係のない漫才コンビの名前を書いているうちに再びスチギタのソロになっちゃいましたが、最後にまたハワイアンなテーマに戻って、おしまい。ジェロくんの吹いてた楽器の謎が未解決のまま残っておりましたが、改めてパーソネルを見たら (ts,ss) となっていたので、なるほど、アレはソプラノサックスだったんですな。ちょっぴりシドニー・ベシェを思わせるノスタルジックなサウンドだったように思われますが、ちょっと前の話なので、あまり詳しいことは覚えておりません。

 とまあそんなことで、3曲目。スタンダードの 「ホエア・オア・ホエン」 。日本語にすると 「どこかいつかで」 。あ、日本語、間違ってますか。ホエンとホエアの順序を入れ替えて、 「いつかどこかで」 と訳すのが正解かも知れませんが、アナタとは、いつかどこかで会ったことがあるような気がする。いつかというと五日の日、どこかというと五日市。五日に五日市で会わなかったっけ?…といった、あきる野市あたりの住民をモデルにしたナンバーではないかと思うんですが、広島にもあるんですけどね、五日市町。三重にあるのは四日市で、滋賀にあるのは八日市。で、千葉にあるのは八日市場市と、このあたり、非常にややこしかったりするんですが、八日市場市は市町村合併によって匝瑳市などという、他所者には読めない市になっちゃったみたいですけど。小学生でも読める “あきる野市” を見習え!…と言いたくなりますが、ま、あきる野市も “あきるやし” などと、パーム椰子の親戚みたいな間違った読み方をされる可能性がまったく無いとは言い切れないんですけど。 で、演奏のほうはと言うと、これはアレです。バラードです。ジェロくんの吹くソプラノサックスが都会の夜の哀愁を感じさせ、とっても 「よろしく哀愁」 なんですが、サビの部分でスチールギターが登場すると、ムードが一変してハワイアンになっちゃうところがちょっと問題なんですけど。 で、ちょっぴりバディ・エモンズのソロがあったりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。何だか随分あっさりとした演奏が続いておりますが、最近、僕もちょっと太りぎみですからね。これからココイチでカレーを食う時、400グラムに増量するのはヤメよう!フライドチキンカレーとかの揚げ物もやめて、あさりカレーにしよう!…と心に誓ったところなので、 あっさり系というのは、いい傾向だとは思うんですけど。

 次、 「インディアナ」 。世の中には似たようなタイトルの曲が2つほどあるんですが、ここで演奏されているのは正式名称が 「バック・ホーム・アゲイン・イン・インディアナ」 であるところの、田舎臭い感じがするほうの 「インディアナ」 です。ジェローム・リチャードソンがテーマを吹いているのでハワイアンなムードはわりと希薄なんですが、その代わり、カントリーです。ソロ先発のエモンズのプレイはローカル色豊かで、続くリチャードソンのテナー・ソロはドラッグユタカ。 もしかしてそんなローカルなドラッグストアは、東京では誰も知らないのかもしれませんが、続くボビー・スコットのピアノ・ソロはちょっぴりウイントン・ケリーみたいで、悪くないですよね。 でもって、テナーにスチールギターが絡む後テーマがあって、おしまい。 5曲目、 「グレイビー・ワルツ」 。これはアレです。とってもグレイビーなワルツです。どこかで聴いたことのある曲だと思ったら、レイ・ブラウンのオリジナルでありましたか。 “Groovy” ではなくて “Gravy” 。どういう意味なのかと思ったら、肉汁。そういう意味のようですが、転じて、ぼろ儲けとか、あぶく銭、うまい汁といった意味でも使われるようです。 「うまい汁三拍子」 。何だかとってもよさそうなタイトルなんですが、いいですよね、うまい汁。うまい汁というのはオイシイです。うまい汁というと例えばバジルとか、そういう馬の汁のようなものが頭に浮かぶんですが、この曲、ブルージーなピアノのイントロがなかなかいい感じです。テナーとスチールギターのユニゾンで演奏されるテーマ部も悪くありません。続くバディ・エモンズのソロもリラックスした寛ぎムード満点だし、中盤、やや複雑な和音が出てきたりするところも、さすがはペダル付きやな!…といった感じで、それなりに評価していいのではなかろうかと。続くジェロくんの吹きっぷりもグルーヴィーで、いかにも、あなたを追って出雲崎〜♪ といった感じなんですが、続くボビー・スコットのピアノ・ソロも光りますよね。そろそろこの人について、もうちょっとよく調べてみる必要があるのではないか?…という気がしてきたんですが、面倒なのでとりあえず他に書くことがなくなってから調べることにして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。次第にテンポを遅くしていくというエンディングの処理も見事です。ここまでのところ、この曲の出来が一番よかったと僕は思うんですが、ということで、次。

 6曲目は 「オレオ」 。俺よぉ、オレオ、好きなんだよぉ。…という人は少なくないと思いますが、ソニー・ロリンズのオリジナルの中では、かなりメジャーな部類の作品です。出だしの部分はピアノレスでやるというのが定番なんですが、ここでもちゃんとその手法が継承されていて、ピアノが入っていない分、ベースのランニングがカッコいいですよね。サビの部分のスチールギターとドラムスの絡み具合も渋いし、ピアノもいつも間にか入ってきているし、で、アドリブ・パートに入ると今度はしばらくドラムレスになってたりして、なかなか凝ったアレンジが施されておりますな。エモンズのソロもわりと普通のギターっぽい感じで悪くないし、続くボビー・スコットのピアノも相変わらず好調です。そして何より、バックでメンバー煽り立てるチャーリー・パーシップのタイコが熱いんですが、続く g→ds→g→ds の4バースでも頑張ってます。とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 続いてはホレス・シルバーの 「ザ・プリーチャー」 と、このあたり、有名なジャズ・オリジナルが続いておりますな。 「ザ・説教師」 という名前のとおり、あまりにもベタなゴスペル・ナンバーなので個人的にはあまり好きではないんですが、カントリーな雰囲気が漂うところがエモンズくんにはお気に入りなんでしょう。ま、確かにスチールギターの音色にはお似合いと言えるかも知れませんが、テーマの後、スチギタのソロがあって、リチャードソンのテナーが出てきて、最後はこの2人の絡みになって、テーマに戻って、おしまい。ちょっとした小さな小品でありました。 次、 「チェロキー」 。括弧して (Indian Love Song) とあるんですが、なるほど、これはインディアンの愛の歌だったんですな。愛を語るにしては今ひとつロマンティックではない、どちらかというとお間抜けな曲だと思うんですが、スチールギターとピアノの絡みでテーマが演奏された後、バディ・エモンズのソロがフィーチャーされることになります。テーマのメロディそのものはともかくとして、アドリブの素材としてはなかなか優れているようで、演奏そのものは大いに熱さの感じられるものとなっております。インディアン、熱く愛を語っておりますな。 「 “インディア” へカレー食いにこか?」 「ああん、インディアン、嬉しいのぉ♪」 みたいな。昔、桑名駅前のパルにあったんですよね、インディアという名前のカレー屋さん。インディアンはインド人ではないので、あまりカレーは食べないような気もするし、さほど熱く愛を語っている会話とも思えないんですが、インディアンは嘘つかないですからね。いや、話として何のつながりもないんですけど。 で、ソロ2番手はジェローム・リチャードソン、3番手はボビー・スコットでありまして、いよいよこのピアニストの素性でも調べないと間が持たなくなってきたんですが、えーと、 この人 ですかね?演奏スタイルからして黒人だとばかり思っていたら意外と白そうで、ちょっとイメージとは違ったんですが、調べてみたところで、さほど間が持つというワケでもなかったな。…ということが判明したところで、テーマに戻って、おしまい。

 9曲目、 「ウィッチクラフト」 。ドナルド・バードが 『バード・イン・ハンド』 というアルバムで取り上げていた、あの曲であります。 “Witch” というのは魔女ですよね。マゾではなくて。魔女というのはどちらかというとサドっ気があるキャラのように思われるんですが、で、 “Witchcraft” というのは何なのかと思ったら、魔法、魔術、妖術。もしくは魔力、魅力。ま、そういった意味のようですね。もし僕が魔法を使えるようになったら、魔法瓶を作って一儲けしよう!…と思っているんですが、夢というのは大きいほうがいいですからね。 で、演奏のほうはというと、ミディアム・スイングの、なかなかお洒落な感じの仕上がりになっていたりするんですが、サックス抜きのギター・カルテットとなっておりまして、シンプルなところが複雑でなくて、いいと思います。 10曲目、 「ゴーナ・ビルド・ア・マウンテン」 。注釈として 〜フロム・ザ・ブロードウェイ・ミュージカル・プロダクション “ストップ・ザ・ワールド−アイ・ウォント・トゥ・ゲット・オフ” 〜 とあるので、そういうブロードウェイ・ミュージカルからのナンバーなんだと思いますが、とってもカントリーな、かりんとう。そういった感じのナンバーでありますな。僕は、かりんとうがあまり好きではなくて、かりんとうを食うくらいなら、絶対カントリーマアムやよな!…と思うんですが、あのシケっとした感じがいいですよね。かりんとうはカリカリし過ぎているところがあまりよくありません。シケた感じの “しけりんとう” とかだったら、わりとイケるような気もするんですが、で、演奏のほうはというと、これまたカルテット編成になってますね。ジェロームくん、 “はば” にされたんですかね? もしくは、エンガチョ。 とか思っていたら、ラストの 「ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」 ではソプラノサックスで復活を遂げておりましたが、あなたなしでは駄目なのぉ。…というタイトルの曲だけに、仲直りしたみたいですね。田舎臭いスチールギターと、都会的でアーバンなソプラノとの対比が見事でありまして、バディ・エモンズの堆肥臭さをジェロくんがうまくフォローしていると思います。流れるようなサックスの音色、いいですな。欲を言うならピアノのソロも聴きたかったところなんですが、ま、アルバムの最後を飾るには、なかなかよかったのではないかと思います。 とまあそんなことで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 そもそもスチールギターでジャズをやろうなどという、根源的なところからちょっと無理があったようにも思えるんですが、ま、弘法も筆を選ばずという点では、エモンズくんも頑張っているとは思うんですけどね。 が、筆を選べよ!…と言いたくなっちゃうのも事実でありまして、ハワイ気分満点のカントリージャズ。ま、そういったところでしょう。


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