LIVE! (PRESTIGE)

JACK McDUFF (1963/6/5)

LIVE!


【パーソネル】

RED HOLLOWAY (ts) BROTHER JACK McDUFF (org) GEORGE BENSON (g)
JOE DUKES (ds)
【収録曲】

(01-03) ROCK CANDY / IT AIN'T NECESSARILY SO / SANCTIFIED SAMBA
(04-06) WHISTLE WHILE YOU WORK / A REAL GOODUN' / UNDECIDED

【解説】 (2008年1月2日更新)

 今日は “頑張ってバッテイしよう!” というテーマでお届けしたいと思うんですが、去年のクリスマスイブにスキーでコケて左脚がどうにかなって、クリスマスの日に病院に行ったら 「骨、折れてます。」 と言われて入院させられ、12月27日に手術をすることになったんですが、その手術というのがですね、折れた骨に金属のプレートをあてがって、骨にドリルで穴を開けて、木ネジ…というか、骨ネジのようなもので固定するという、かなり強引なものだったりするんですけどね。 壊れた棚の修理と発想が同じやん!…と思わずにはいられませんが、棚と違って人間のカラダというのは非常によく出来ていて、そうやって固定しておいてやれば、そのうちに折れた骨も自然にひっついて、元に戻ってしまうんですよね。人体のパワーって、仁丹よりも凄いな!…と思わずにはいられませんが、気分爽快、口臭予防って、あまり効能も大したものではありませんからね、仁丹って。 で、自然に治癒してしまえば、脚に入れた金属プレートというのは邪魔以外の何物でもなくなってしまうので、抜こう!…ということになるんですが、いや僕としては別に、入ったままでも一向に構わなかったりするんですけど。脚に金属が入っているからといって、それで痛むわけでもなく、違和感があるわけでもなく、ま、強いて言うなら普通の人に比べて雷に打たれる確率が増えそうな気がするのと、磁石の近くに行くと脚が吸い付けられそうな気がするのが、ちょっとネックになるくらいですからね。はに丸さまは怒ると体が磁石になるそうなので、一緒に遊ぶ際には相手の機嫌を損なうことがないよう、細心の注意を払わなければなりません。 が、ワシは、はに丸なんかと一緒に遊ばんから、構わん。…という年寄りなどは金属プレートを抜かずにそのまま墓場まで持っていくという人も少なくないんだそうで、ま、墓場までは持っていかないにしても、焼場で焼かれた時に骨から取り外すという手もありますしね。 僕としても出来ることならプレートを抜く、専門用語ではバッテイ手術と呼ばれるらしい荒技を体験することなく、平穏な余生を送りたいところなんですが、それでもやっぱり抜かなければならないんでしょうか???

 それでもやっぱり抜かなければならん!…というので、手術を受けることになりました。クリスマスイブに入院して、翌日には手術という、覚悟を決める心の余裕もないような慌ただしいスケジュールだったんですが、ただ手術は午後からということになったので、前日はそれほど忙しいというわけではなかったんですけどね。えーと、まず最初は “剃毛の部” でありますかぁ。剃毛といっても左脚のスネ毛を剃られるだけなので、さほど羞恥心に駆られるものではなかったりするんですが、足首近くの骨がちょっと出っ張ってるところにガッとカミソリの刃が当たって、ちょっぴり出血しました。痛いやん!担当のナースがちょっとビビって、 「自分で剃るぅ?」 とか言い出したので、仕方なく半分手伝うことにして、自分で剃りました。骨がちょっと出っ張ってるところにガッとカミソリの刃が当たって、ちょっぴり出血しました。自分で剃っても痛いやん!やはり剃毛プレイというのはちょっぴり危険であるというのを再認識した次第でありますが、午後7時からは通常通りの食事が供されました。イブの夜はおそらく断食だろうと覚悟していたんですが、1食儲けた気分でありますな。ただ、午後9時からは “浣腸の部” というのが待ち受けていて、せっかく食べたディナーを余すことなく排出することを余儀なくされて、この上なく無念でありました。ゆっくり消化吸収している暇もないんですが、いや、さすがに食べてから2時間ではまだS字結腸や直腸付近までは到達してませんかね?あるいはランチを排出しただけで被害は止まっていたのかも知れませんが、いずれにせよ浣腸というのはあまり緊張しているとうまくいかないことがあるので、リラックスすることが何よりも大切でありますな。 で、手術の当日は朝から絶飲食を言い渡されて、朝の10時頃から持続点滴が始まりました。嫌ですよね、点滴。僕は大の苦手だったりします。点滴と豚テキ、どちらか好きなほうを選べ。…と言われたら、僕は迷わず豚テキを選びますが、たとえ牧場で豚たんと大の仲良しになれたとしても、点滴は避けて豚を食べる道を選びます。何と言っても点滴というのは血管に針を刺されるわけですからね。針を刺される時のチクっとした痛みと、仲良しになった豚たんを食べちゃう時のチクっとした心の痛み、どちらがまだ耐えられるかというと、僕はまだ実際に豚と仲良くなったことがないので現時点では何とも言えなかったりするんですが、点滴の場合はただ痛いだけでなく、下手に動くと針が抜けたりして、ナースに不快な顔をされたりするのも嫌なところです。ま、持続点滴の場合は一緒に点滴を便所に連れてっても大丈夫なように、動き回っても大丈夫な針の刺し方をしてくれるようなんですが、その代わりに使う針が太いらしく、刺される際にとっても痛かったりします。 どっちに転んでもロクなことはありません。こうなってくると、食べても心が痛まないよう、豚とはあまり仲良しにならないほうが得策かも知れませんが、手術開始30分前には筋肉注射を刺されました。前回の手術の時、担当のナースに 「これはかなり痛い!…らしいです。」 と脅されて、ビビっていたら本当に痛くて大変だったんですが、今回はあらかじめ覚悟を決めていたのが幸いしたのか、思ったよりも大したことなくて、ぜんぜん大丈夫でした。何事も経験ですなぁ。 とまあそんなことで、いよいよ手術室に搬入ということになります。

 前回の経験から、僕が手術そのものよりも恐れていたのは腰椎麻酔なんですが、背骨の隙間から注射針を刺されるというのは、思わず 「ウッ!」 と唸ってしまうほどの苦痛でありまして、背骨の中に冷たい液体がチュ〜っと入ってくる感触というのも、何とも言えずに嫌なものでありました。前回はまあ、折れてる脚のほうもかなり痛かったし、それを治してもらいたい一心で何とか我慢したんですが、今回は別に、普通に歩けるまで回復しているわけですからね。思わず、 「あ、やっぱりバッテイやめます!金属入ったままで、別にいいっす!」 と言ってしまいそうになったんですが、主治医はそんな患者の心の声にはいっさい耳を貸さず、問答無用で僕を横向きの順エビ固めの体勢にして、非情の針を僕の背中へと突き立てるのでありました。ウッ! あ、でも覚悟を決めていたせいか、思ったよりも大丈夫かも?いやあ、何事も経験ですなぁ。 前回は、麻酔が終わったなと思ったらすぐに手術が始まって、いきなりかいっ!…と思わずにはいられなかったんですが、今回は切られるまでに10分ほどの猶予があったので、少しは安心です。 が、にも関わらず、気のせいか下半身に意識の残った感じが前の時よりも強いような??? 「脚を触ってる感じ、分かりますかぁ?」 うん、わかるよな。はっきり分かるよなぁ。 「痛くはないですかぁ?」 うん、確かに痛くはないような気もするけどなぁ。 「どうしても痛くて我慢出来なかったら言って下さいね。」 …って、 いや、いくら痛くて我慢できないと言ってみたところで、切ってしまった後ではどうにもならないような気もするんですが、幸いにも麻酔はうまく効いているようで、パソコン・ゲーム 「ライフ・アンド・デス」 のような事態にはなりませんでした。外科手術のシミュレーションゲームなんですが、麻酔するのを忘れてメスで腹を切ったりすると、 「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」 という悲鳴が上がって、ゲームオーバーになっちゃうんですよね。何事も手順というのが大切なんだな。…と、しみじみ実感させられましたが、しかし何ですな。バッテイ手術というのは漢字では “抜釘手術” と書くように、まさしく釘を抜く手術だったりするんですなぁ。前回の手術は骨にドリルで穿孔している感触が伝わってきたりしたんですが、今回は脚が激しく横に引っ張られるような感じが何度かありました。おそらくペンチのようなもので骨釘をつまんで、思い切り引っ張って抜こうとしているのでありましょう。 “てこの原理” を使えよ!釘抜きとか、そういう便利な道具があるやろ?…と言いたくなってしまうんですが、脚の中でということになると、なかなかそうもいかないんですかね? かなりその作業に苦労していたようなんですが、やがて 「全部抜き終わって、今から縫うところです。」 という報告がなされて、ほっと一安心。手術はこれで終わったも同然でありますな。

 と思ったら、いや、ここからが長かったですな。直線で1本ピーッと切ったのを縫うのなんて、チョチョチョイのチョイで終わっちゃうような気がするんですが、いつまでたっても終わらんのですよね、これがまた。 助手の兄ちゃんから 「筋肉の下のところと皮膚のところを別々に縫ってますんで。」 という説明がなされたんですが、それにしても、ちょっと時間が掛かり過ぎてへん? しばらくすると今度は助手の兄ちゃんから 「かなり丁寧にやってもらってますんで。」 という説明がなされたんですが、その口調からはかなり言い訳めいたものが感じられるようになって来ました。もしかしてこの主治医、小学生の頃、家庭科の授業で雑巾を縫うのとか、めっちゃ遅かったんちゃう?…という疑念がむくむくと頭の中に沸き上がってくるのを抑えることが出来ません。この頃から次第に手術室の空気もダレはじめて、あっちのほうでは古いCTの機械の処分に関して、何やらのんびりした会話が交わされているのが聞こえてきます。かと思うと今度は、4階の外科の患者がどうやら骨髄炎を起こしているようなんやけど、脚を切断したほうがええやろか?…といった恐ろしげな話も出たりします。助手の兄ちゃんから 「あっちで何か言ってますけど、気にしないで下さい。」 と言われたりしたんですが、めっちゃ気になるちゅうの!

 とまあそんなことで、手術のほうは何とか終了。縫う時間があまりにも長過ぎて、ちょっとうんざりする部分もあったんですが、バッテイそのものはあまり大したことなくて、よかったっす。病室に戻されて、ほっと一安心。…と言いたいところなんですが、実はこの先、僕が腰椎麻酔の次くらいに恐れていた試練が待ち受けていたのでありました。それは何かというと、術後の排尿だったりするんですが、手術の後、何時間かの間にオシッコが出なかったりすると、ちょっとマズいらしいんですよね。最悪の場合、先っちょに管を入れて強制排出というのを余儀なくされるようなんですが、前回、担当のナースはそういう事態を極端なまでに恐れていて、 「早く出しましょう!とにかく出しましょう!頑張って出しましょう!」 と、しきりにプレッシャーを掛けて来たんですよね。重圧を掛けられれば掛けられるほど、ますます萎縮しちゃうというのは誰もが経験したことがあると思うし、それに第一、いくら脳味噌で頑張りたいと思ってみたところで、肝心の下半身が完全に感覚麻痺しちゃっているので、どうにも頑張りようがないっ! 前回、大いに苦しみつつも、何とか管の挿入だけは避けることが出来たんですが、今回もうまくいくかどうか、まったく自信はありません。 ま、余計なプレッシャーを掛けてくるヤツがいない分だけ気が楽だし、下半身の意識の戻り具合も前回より順調に思えたので、僕はわりと楽観視していたんですけど。

 現実はやっぱり厳しかったです。手術前に最後に便所に行ったのは午前10時頃だったんですが、そこからカウントして8時間が経過した午後6時の段階で、尿意ゼロ。その時点で飲み物オーケーの許可が出て、どんどん水分を補給するんですが、事態はまったく好転しません。午後7時、軽い食事を取ってもいいことになったんですが、出すほうは駄目ですなぁ。午後8時が近づいてくると、さすがに僕も担当ナースも相当に焦りはじめて、もし午後9時までに出なかったら、いよいよ管挿入もやむなしか?…というところまで追いつめられてしまいました。麻酔はかなり切れてきて、下半身に感覚が戻りつつはあるんですが、それでもやはり駄目ということになると、精神的な要素がかなり強いのではないかと思うんですが、恐らくベッドの上で尿瓶 (しびん) の中に用をたすという行為に、僕のプライドがかなり頑迷に抵抗しているのでありましょう。男の股間は男の沽券に直結することになりますからなぁ。この問題は去年の時点ですっかり克服した筈なんですが、1年も絶ってしまうと駄目ですね。それに今回はあまりにも環境が悪過ぎました。僕が入院したのは4人部屋だったんですが、隣のベッドは50歳くらいのオッサン、向かいのベッドは80歳くらいの爺さん、斜め向かいのベッドは30代後半から40代前半と思われるオッサンでありました。で、この日は運悪くクリスマスということもあって、僕以外の3人のところにはいずれも奥様やお子様がお見舞いに来ておりました。50歳くらいのオッサンの奥さんは何だか妙に若くて40前後くらい? 斜め前のちょっと若めのオッサンは奥さんも若めで、35歳くらいでしょうか。その2人のお子様はワカメちゃんよりも若めな6歳くらいの女の子。いくら僕のベッドの周りはカーテンで囲まれているとは言え、平均年齢27歳のギャルの声が間近に聞こえるような状態で、尿瓶にオシッコとか、出来るかぁ? 80歳くらいの爺さんの奥さんは76歳くらいで、いたずらに平均年齢を上げるだけなので敢えてカウントしなったんですが、悪いことに爺さんのほうが大のナース好きでした。クリスマス・プレゼントと称して、何やら小袋のようなものを多量に用意しているようで、点滴や注射や回診に来たナースひとりひとりの名前を聞き出してはモノで歓心を買おうとしているんですよね。この日は僕が苦しんでいた午後8時前にナースが回診にやってきて、せっかく婆さんが頑張って引き上げてくれた平均年齢を再び下げることになってしまったんですが、そして更に悪いことに、爺さんのプレゼント攻勢にまんまと引っかかってしまいました。 「これ、あげるわ。好きな色を選びな。」 …って、これが始まるとナースの滞在時間が無駄に長くなってしまうというのが、これまでの約1日半の入院生活の中で明らかになっております。僕としては一刻も早くこの部屋から立ち去って欲しいところだったんですが、悪いことにこの時のナースは極度なまでに優柔不断でした。 「えー、いいんですかぁ。ありがとうございまーす。じゃ、何色にしよっかなー?んー?どうしようかなー?じゃ、お爺ちゃんが選んで貰えますぅ?」 「アンタの好きな色にすればええがな。」 「んーと、じゃあ、お爺さんはワタシにどの色が似合うと思いますかぁ?」 「アンタの好きな色にすればええがな。」 「えー?じゃあ、奥さんはどの色がいいと思いますかぁ?」 「・・・。」 (無言でニコニコ。) 「んーと、じゃあ、えっとぉ、んー、どれにしようかなー?」 …と、いつまでもグズグズしておりまして、何でもエエから、はよ選べって!

 8時を過ぎてようやくオッサンと爺さん以外の余計な人が消えて、落ち着いて排尿に臨める環境が整ったんですが、この頃には明確な尿意も感じ取れるようになりました。これでもう大丈夫!…と思ったら、世の中、そうそう思い通りにはならないものでありまして、ぜんぜん出なかったりするんですよね、これがまた。出るような気がするのに出せないというのは尿意を感じない時よりも遙かに辛くて、僕は思わず半泣き状態になってしまいましたが、チャレンジしては諦め、チャレンジしては諦め、苦悩すること15分。こうなったらもう、管でも棒でも何でも突っ込んでくれ!…と、すっかり捨て鉢な気分になってフテ寝をしていると、今までにはなかった確かな尿意が感じられて来て、よしっ!今ならいけるっ! 全神経を先っちょに集中する…と、かえって逆効果なので、なるべくリラックスしてー。小さく深呼吸してー。すーっと力を抜いてー。・・・・・。ん!よし、出たぁ!やったぁ!…と思って、喜び勇んで尿瓶の中を覗いてみると…、ん?出てへん。ガクッ。そういえば去年も同じ落胆を味わったことを思い出して、これだけは何度経験してみたところで、ちっとも進歩しないものなんですなぁ。ま、最終的にはその5分後くらいには無事に排尿出来ることになるのが常なので、あまり深く考え込まないのが一番なのかも知れませんけど。 とまあそんなことで、最後に記念に貰ったプレートと骨釘の写真を皆さまにお見せしておきましょう。これです。

プレート&骨ネジ全数♪ 骨ネジ詳細(その1)♪ 骨ネジ詳細(その2)♪

 プレート1枚に骨釘が8本。プレートのほうにはよく見ると、何やら字が書いてありますな。んーと、“MIZUHOIKA”。ん? みずほイカ? さば君の脚にはイカが埋まっていたんですか? 調べてみたらどうやら、瑞穂医科工業という会社が作ったものらしいんですが、ちゃんと 製品案内 のところにも載っておりますな。恐らく、日本人のために生まれた、新しいカタチ。豊富な臨床データに基づいた、理想のアナトミカルデザインで多彩なラインナップをご用意しました。…という “Jプレートシステム” というヤツではないかと思うんですが、この微妙なカーブの具合が日本人の下腿骨にフィットした理想のアナトミカルデザインなんでしょう。素晴らしい! 一方、骨釘のほうはというと、骨の太さに合わせて4種類の長さを使い分けてくれていたようで、しっかりネジも切られているので、骨釘というよりは骨ネジといったほうが正しいんでしょうか?ネジの頭は+でも−でもない、☆型の特殊な形状となっておりまして、回すのには専用の工具が必要みたいです。金属価格の高騰で窃盗事件が頻発している昨今、夜中に寝てるうちにこっそり脚の中のネジを盗まれでもしたら大変ですからね。簡単には回せないように考えてあるんでしょう。もっとも抜釘手術では強引に引っ張って抜いているような感じだったので、回すという操作はあまり関係なさそうな気もするんですけど。ちなみに材質はプレートも骨釘もチタン合金なんすかね?軽くて鈍く光ってて、なかなかいい感じなんですが、ちなみに磁石には引っ付きません。怒った “はに丸さま” に吸い付けられるというのはまったくの杞憂だったようなので、抜釘手術前の患者も安心して気分を害してやってください。ということで、では最後に。 はに丸のアホー!

 とまあそんなことで、今日は ジャック・マクダフ です。頭に “兄弟” というのを付けて、ブラザー・ジャック・マクダフと呼ばれることもあるんですが、略して “ブラジャマ” でありますか。ま、確かに、ブラ、邪魔やな。…と思ったりするシーンもあったりするんですが、では最初からノーブラのほうがいいのかというと、僕は決してそうは思いません。僕はブラが結構好きだったりします。パンツとブラを比べると、んーと、やっぱりパンツかな?…という気はするんですが、子供の頃は “ぶらさがり健康器” に憧れたりもしましたしね。ブームは瞬時に去ってしまって、ぶらさがり健康器は物干しとして第2の人生を歩むことになったりするんですが、ぶらさがり健康器に干されたブラが風に揺られてブラブラしている様は、当時まだ少年だった僕の心を激しく揺さぶったものでありました。大人になってから泊まった格安の職人宿では、何故だか客室にルームランナーが設置されていて、それがハンガー掛けに流用されておりました。手で持つパイプの部分がちょうどいい感じだったりするんですよね。ただ、高さがちょっと低すぎて、ハンガーだけを掛けるのならともかく、ハンガーに服を掛けてぶら下げるにはどうか?…といった感じだったんですが、 “ジョーバ” あたりは座布団を干すのに使えそうですけどね。 で、今日はそんなジャック・マクダフの 『ライブ!』 という1枚を紹介したいと思うんですが、これはアレです。ライブ盤だったりします。前回のこのコーナーで、まだ脚に金属が入っていた頃の僕がロニー・スミスのクラブ・モザンビークでのライブを取り上げたりしておりましたが、あっちでギターを弾いていたジョージ・ベンソンが、7年ほど前のこっちのライブでもギターを弾いておりまして、当時のベンソンがオルガン奏者の間ではかなり重用されていたというのが分かります。確かに、もし僕がジャズのオルガン奏者だったとして、ジョージ・ベンソンとチョー・ヨンピル。重用するならどっち?…と聞かれたら、迷わずベンソンを選ぶことになると思うんですが、演歌の世界では重用されるんですけどね、チョー・ヨンピル。 で、その他、輸入盤CDのジャケットを見ると、レッド・ホロウェイハロルド・ヴィックという2人のテナー奏者が入っていることが分かるんですが、これにはちょっとからくりがあって、このCDはですね、ただの 『ライブ!』『ライブ!アット・ザ・ジャズ・ワークショップ』 という2枚のライブ盤がカップリングされた形になっているんですよね。で、ただの 『ライブ!』 ではホロウェイが、もう1枚のほうではヴィックがテナーを吹いていて、2人の共演は1曲もなかったりするわけで、敢えてオリジナルのジャケットを微妙に変えてまで 2in1 にしちゃうというアメリカ人の強引な発想は、僕はあまり好きではありません。曲数が倍に増えて、レビューを書くのが面倒やんっ! よって今回、ジャズ・ワークショップのほうのライブは無かったことにしようと思うんですが、ジャ ケットをオリジナルに戻すというのも面倒な話なので、ハロルド・ヴィックの名前は残すことにしますけど。 個人的にはブルーノートにリーダー作もあるヴィックのほうが馴染み深くて、レッド・ホロウェイというのがどういう人なのか、よく知らなかったりするんですが、名前からすると、いつもほろ酔い気分でご機嫌なオッサンといった感じなんですかね?そのうち、その素性が明らかになってくるのではないかと思うんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聞いてみることにしましょう。

 いかにもライブらしい臨場感あふれるMCと観客のざわめきに続いて登場するのは、マクダフのオリジナル、 「ロック・キャンディ」 でありますか。曲名は 「岩の飴玉」 という意味なんすかね?そんなの食べたら結石になるんじゃないかと心配になってしまうんですが、聞くところによると結石というのはかなり激しく痛いものらしいですな。思わず学校や会社を欠席しちゃうほど痛いそうなんですが、ちなみに僕は手術直後から頭痛に苦しめられております。腰椎麻酔の時、脊髄から髄液が漏れちゃったのが原因のようなんですが、髄液が減った分、体を起こすと脳が下がって頭が痛くなっちゃうらしいんですよね。寝ていれば痛みは無くなるし、起きている時の痛みも結石に比べればぜんぜん大したことはないんでしょうが、それでも思わず会社を欠席したくなる程度には辛いです。麻酔の後、数日から1週間程度は続くんだそうで、この原稿が更新される頃にはちょっと脳の下がり具合も軽減されていると思うんですが、曲そのものは単純明快で、めっちゃスピード感のあるリフ物やな。…といった仕上がりになっております。1小節4つの音からなるフレーズを11回繰り返して、最後の12小節めだけ変化を付けるという構成なんですが、みんなでテーマを演奏して勢いがついたところでレッド・ホロウェイのソロへと突入していく事になります。この人の素性に関して、僕はあまり多くの情報を持ち合わせてはいなかったんですが、実際の音を聴いてみて、その本性が明らかになりました。コテコテですな、こりゃ。左官屋さんの道具を見ると大きなコテや小さなコテ、丸いコテやら細長いコテと、いろんな種類のコテがあって、めっちゃコテコテやな。…という気がするわけなんですが、決してそれにひけを取っていません。下品なんだけど豪快なブロウは、まさしくブロウ・ジョブのキング・オブ・王様といった感じでありまして、迫力は満点、貫禄も満点、兵六は餅で、助六は寿司。ボンタン飴と比べて子供に今ひとつ人気がないところが兵六餅の欠点なんですが、ホロウェイの場合はギャルのウケがあまりよくなさそうなところが弱点でありましょうか?ま、オルガン・ジャズというジャンル自体にも同じ事が言えるわけなんですけど。 で、間に12小節のテーマの合奏パートを挟んで、ソロ2番手はベンソンでありますか。後年、お洒落でアーバンな都会的ボーカルでギャルのハートをつかむことになる彼も、この時点ではなんとも田舎くさいブルース系のギタリストに徹しておりまして、臭みたっぷりのフレーズを連発して、オッサンの心を激しく揺さぶってくれます。 で、間に12小節のテーマの合奏パートを挟んで、最後はマクダフのソロでありますか。出だしはシングル・トーン中心にホーン・ライクな演奏を聴かせ、途中から、ピャ〜〜〜ッ♪…という下品なロング・トーンを交えたオルガンらしい表現に転じて、最後は結局ノリノリ状態に持っていくわけでありますが、この体臭が一般大衆にはウケるのかも知れませんな。 最後にもう一度みんなでテーマを演奏して、とまあそんなことで、1曲目は、おしまい。ライブなんですが、各自のソロに無駄な時間を費やすでなく、節度ある長さにまとめ上げているところに共感が持てます。

 で、続いてはガーシュインの 「イット・エイント・ネセサリリィ・ソー」 なんですが、これはちょっと不思議な仕上がりになっていたりします。ドラムスとギターの伴奏に乗せてテーマのメロディを弾いているのは、これ、何の楽器なんですかね?オモチャのピアノのような、ガラスのコップに水を入れて叩いているような、あるいは超安物の木琴のような、何ともチープな音色が独特のムードを醸し出しているんですよね。ちなみにテーマ部ではテナーはお休みで、バックではよく聴くとベースのような音も聞こえたりするので、マクダフはおそらく足でオルガンのベースペダルを踏んでいるんだと思うんですが、となると手のほうもやはりオルガンを弾いているということになるんですかね?ハモンド・オルガンで果たしてこんな音が出せるものなのか、僕は寡聞にしてよく知らんのですが、根が電子楽器だけに絶対に無理とは言い切れません。通常ならAC200Vの電圧が必要なところ、ケチって75Vくらいにしちゃうと、こういう安っぽい音がするのかも知れません。いずれにせよ、ダレるかダレないか、ぎりぎりくらいの絶妙なスローテンポとも相俟って、ソロ先発のベンソンも、その次に登場してくるホロウェイも何ともダルでアンニュイな世界を展開しているわけなんですが、続いて出てくるマクダフはごく普通にオルガンの音だったりして、かと思ったらまた例のオモチャのピアノに戻ったりして、何とも不思議な感じがしますなぁ。原文ライナーを見ても僕の英語力ではこの謎の答えを見出すことは出来ませんでした。マクダフはオルガンとシンバルの間で、うんぬん。…といった文章があったようにも思えるんですが、とてもアレがシンバルの音だとは思えないしぃ。 ところでこれ、ヘッドフォンで聴くと、最初、右のほうで鳴っていた楽器がいつの間にか左に移動しているのがよく分かりますよね。恐らく録音する係の人がマイクを持ってぐるぐると歩き回った結果なんだと思うんですが、ご苦労様なことです。

 ということで、次。3曲目はマクダフのオリジナルで 「サンクティフィード・サンバ」 なんですが、概ねこのあたりが僕の限界だったりします。何の限界なのかというと、眠さの限界なんですが、夜、布団に入ってこのアルバムを聴いていると、大抵この曲の途中あたりで意識が無くなるんですよね。元来、僕は極めて寝付きのいいほうで、布団に入ってから眠りに落ちるまで5分掛かるかどうかといった感じなので、3曲目まで持てば上等なんですが、何せこのところずっと半寝たきりのような生活を送っているので、そうそうすぐには寝られないんですよね。どうしても15分くらいは掛かってしまいます。 で、この曲、タイトルにサンバとある通り、リズムが微妙にサンバっぽかったりもするんですが、どちらかというとゴスペルの要素が強くて、ギターとテナーの2人の呼び掛けに対して、オルガンが応答する形で演奏が進められていきます。ソロ・パートも純粋な個人のソロというより、呼び掛け部分はテーマ部そのままで、それにマクダフがアドリブで返すような形になっていたりして、で、それが2コースほど続いたところで、攻守交代。今度はオルガンとテナーがタックを組んで、それにベンソンのギターが対する形になって、これが合計3コーラス。最後はギターとオルガンとでペアを組むのかと思ったら、また最初のパターンに戻って、ここでも3コーラス。で、おしまい。 レスポンスに多少のバリエーションが施されているものの、コールの部分は総計9コーラスに渡って同じメロディを聴かされることになって、ちょっぴり単調な嫌いは否めません。なるほど、それで思わず、途中で寝ちゃうわけなんですな。

 ということで、続いては 「ホイッスル・ホワイル・ユー・ワーク」 という曲でありますか。どこかで 「口笛吹いて働いて」 などと日本語に訳されているのを見たような気がするんですが、あるいはこれ、 『白雪姫』 のナンバーですかね? さっきのサンバ曲よりもラテンっぽいリズムに乗って、ん?ローランド・カークぅ?…と思ってしまうようなフルートが出てくるのでちょっと意表を突かれるんですが、続いて、ピャララララララ♪…とマクダフのオルガンが入って、さ、楽しい絵本の世界の始まりです。おーい、始まる〜、始まる王子〜、いつも一緒のお馬のひんべぇ、バナナがあったら 「はにゃ」「ふにゃ」、ズボンを履いても 「はにゃ」「ふにゃ」、笑顔と笑顔がごっつんこ、涙が出たら空を見上げよう、まあるい大きな虹が浮かぶよ♪…と、思わず 「おーい!はに丸」 の歌詞で歌いたくなってしまいますが、いや、替え歌になっているのは最初の部分だけなので、何もフルコーラス歌う必要もなかったんですけど。 ま、いずれにせよ、勤務時間中に口笛を吹いたりすると不真面目な印象を与えてしまうので、少なくとも現場監督という立場の僕はやめておこうと思うわけなんですが、職人のオッサンとか、よく歌を口ずさんだりしてますけどね。 「兄弟船」 とか。 で、演奏のほうはアレです。フルートからオルガンに引き継がれたテーマ部に続いて、マクダフが最初のソロを取ることになるんですが、わりと短く、あっさりとした感じで、すぐにベンソンのギターが登場することになります。最初、かるくテーマのメロディをフェイクしておいてから本格的なアドリブに入るんですが、訥々とした弾きっぷりは嫌みがなくていいと思います。で、その後、2曲目で聴かれた例のチープな音色の楽器が登場することになるんですが、んーと、やっぱりオモチャの木琴を叩いてるとか? いくら電圧を下げてみたところでハモンド・オルガンでこの音は出せないような気もするんですが、誰かこの時のライブを生で見ていたという人はいないんですかね? 正体はいったい何なのか、考え出すと気になって夜も眠れなくなっちゃうんですが、ま、大抵この曲が始まる前には寝ちゃっているので、さほど大きな問題ではなかったりするんですけど。ということで、テーマに戻って、おしまい。欲を言えばフルートのソロも聴きたかったところですが、ホロウェイ君もアドリブ出来るところまでは、この楽器を吹きこなせてないのかも知れません。

 次、マクダフのオリジナル、 「ア・リアル・グッダン」 。ミディアムなテンポの、いかにもオルガンっぽいアーシーな雰囲気を持った作品です。トリオによるイントロに続いて、テナーのホロウェイが入ってテーマの演奏ということになるわけなんですが、ま、曲そのものは単純明快なリフ・ブルースだったりするわけなんですけど。 でもって、ソロ先発はベンソン君でありますか。ベンソンという人は下に “君” を付けると韻を踏んでなかなかいい感じになるんですが、新幹線とか、アンパンマンなんかと同じリズムになりますもんね。その他、萬珍軒 (まんちんけん) などという、やや品位に欠けるネーミングの中華料理屋もあったりするんですが、ここでのベンソンの演奏は、喧噪の中にもメンソールな法曹界を感じさせるものとなっていて、とか言ってるうちに合奏パートを挟んで、ホロウェイのテナーへと移行してしまったんですが、この人のソロがフィーチャーされるのって、1曲目以来、ちょっと久しぶりですかね?相変わらずのコテコテぶりなんですが、とか言ってるうちに合奏パートを挟んで、今度はマクダフのオルガンでありますか。観客の手拍子に加え、掛け声も頻繁に聞かれるリラックスした空気の中、ヘンに張り切りすぎたりしない姿勢には共感が持てるところでありますが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。演奏はかなりクドいんですが、解説はあっさり。そろそろ僕もネタ切れ。 で、アルバムの最後を飾るのは古いスタンダードの 「アンディサイディッド」 です。アンパンチ!アンキック!アンディサイディッド! 特に意味無し。ジャム・セッションでよく取り上げられる曲だけに、おそらくジャムおじさんも得意としているのではないかと思うんですが、いいですよね、ジャム。僕はジャムが大好きです。ジャムとハム、どちらが好きかと言われたら、それはもう断然ハムだったりするんですが、美味しいですからね、ハム。朝食バイキングにパンとジャムとハムとハモが並べられていたとすると、僕は迷わずハモ以外のものは全部取ることになると思うんですが、つまりまあ、ハムには遠く及ばないものの、ハモよりは好き。僕にとってジャムというのはそういう位置付けにあるわけです。ま、お茶漬けよりは下なんですけどね。それで果たして大好きと言えるのか?…というと、確かにちょっと無理があるような気もしてきましたが、ま、おみくじに例えると小吉よりも下の “末好き” といったところですか。 で、演奏のほうはアレです。ジャム・セッションっぽいヘッド・アレンジが施されているだけなんですが、ま、あまり余計なことをしないというのもひとつの手ですからね。4人の参加者がテーマをユニゾンで吹いたり弾いたり叩いたりした後、合奏パートを挟んで、マクダフ、ホロウェイ、ベンソンの順にソロ回しが行われて、でもって、テーマに戻って、おしまい。シンプルなだけにソウル臭よりもバップ色の強く感じられる仕上がりになっておりますが、とまあそんなことで、今日のところは以上です。


【総合評価】 オルガン・トリオ+テナーという編成からして、勢いだけのソウル野郎達なのか?…と思ったら、ま、全体の半分くらいはそんな感じだったりしたんですが、随所に工夫が施されていて、意外とバラエティに富んだ仕上がりになっておりました。いかにもライブらしい臨場感も抜群で、ま、お洒落さとか、都会的とか、洗練とか、品格とか、そういう “ないものねだり” さえしなければ、それなりに楽しめる1枚なのではなかろうかと。とにかく酒を飲んで下品に騒ぎたい。そういうオッサン向けの作品なのでありました。


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