MUCHO MUCHO (PRESTIGE)

SHIRLEY SCOTT (1960/7/8)

MUCHO MUCHO


【パーソネル】

PHIL DIAZ (vib) GENE CASEY (p) SHIRLEY SCOTT (org)
BILL ELLINGTON (b) JUAN AMALBERT (cga) MANNY ROMAS (timb)
【収録曲】

(01-03) WALKIN' / TELL ME / I GET A KICK OUT OF YOU
(04-06) MUY AZUL / THE LADY IS A TRAMP / MUCHO MUCHO

【解説】 (2007年12月02日更新)

 去る11月23日の 「勤労感謝の日」 、勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう心を持って、地元の祭りに行ってきたので、報告します。


<十念寺・七福神まつり> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 まずはこれ。桑名の祭りの知名度を相撲の番付に喩えた場合、 石取祭 が西の張出大関、 金魚まつり が前頭十三枚目、 桑名の殿様御台所祭・千姫折鶴祭 が十両六枚目くらいだとすると、 “七福神まつり” はまあ、序二段六十三枚目あたりでしょうか? 十念寺というはうちの近くにある小さなお寺で、歩いていけるくらいの距離なので、こういうイベントが行なわれている事に気付いてしまったんですが、桑名市民でも恐らく、日進小学校の学区外の住民にはほとんど知られていないのではなかろうかと。それでもまあ、僕が子供の頃には水飴売りの屋台くらいは出ていたし、 “かいだん巡り” も出来るというので、子供たちの間ではそれなりに人気のあるお祭りだったんですけどね。 “かいだん巡り” と言っても階段はあまりなく、平坦な薄暗い地下道のようなところを巡るという、そういう企画だったんですが、薄暗いと言っても何とか前が見える程度の明るさはあったし、お堂そのものが小さいので総延長距離もぜんぜん大したことがなく、子供心にも、 「しょうもな!」 と思わずにはいられないような代物でありました。 大人になって長野の善光寺に行った際、 “戒壇巡り” というのがあったので、十念寺のノリで気軽に挑戦してみたところ、あまりに真っ暗で、しかもめっちゃ長かったので、思わず半泣きになってしまいましたが、前のほうにオバチャンの集団がいて、わいわい、きゃーきゃーと騒ぐ声が聞こえていたので、何とかそれを頼りにゴールに辿り着くことが出来たんですけど。もしオバチャンがいなければ、号泣していたに違いありません。改めて、十念寺、大したことないな!…という思いを強くした次第でありますが、とまあそんなことで七福神祭り。 お寺なのに神サマを売り物にしていること自体、かなり怪しいものがあるんですが、神仏混交の流れの中で、神様も仏様も稲尾様もゴッチャになっちゃったんでしょうな。

 とまあ、そんな十念寺に久しぶりに行ってみることにしたんですが、前を通ることはあっても、中に入るのは小学生以来?特に用事がないですからなぁ、こんなところ。子供の頃は、小さなシケた寺やなぁ。…という印象しかなかったんですが、大人になって改めて訪れてみると、やっぱり小さなシケた寺でありました。体がデカくなった分、シケ具合に、より拍車が掛かったようにも思われます。前日、新聞に入っていた折込チラシによって、 “ミス桑名と七福神を写す集い” の開始が10時と判明したので、その時間に遅れないように出掛けたんですが、年に1度のお祭りだというのに、さほど盛り上がってはおりませんな。子供の頃と違って、屋台の姿も見えません。来年、このイベントは無いかも?…という、一期一会の思いを強くさせるような状況でありましたが、ミス桑名目当てなのか、あるいは七福神のほうなのか、一眼レフを首からぶら下げたオッサンが6人ほど見受けられました。会社の慰安旅行の宴会なんかでは、社員8名あたり1人の割合でコンパニオンがつけばいいほうなんですが、こちらはカメラマン7名に対して七福神が7人♪ かなり贅沢な状況であると言えましょう。あるいはオッサンが七福神に気を取られている隙に、ミス桑名のほうを独占するというのも可能かも知れません。撮影会としては、けっこう穴場かも?…と、顔が思わずニヤけてしまうんですが、何でもいいけど、10時を過ぎてもぜんぜん七福神が姿を現さないんですよねー。 あるいは、観客が少ないから、出てくの、ヤだ!…とか、ゴネているのかも知れませんな。ずっと昔から使い古されてテープがすっかり伸びて、時おり音が途切れたりするオリジナル・ソングの 「十年寺音頭」(仮称) がエンドレスに流れる中、仕方なくお墓の前の蝋燭を撮影するなどして、待たされること約20分。やっとのことで七福神が姿を現しました。七人が一度にバッと出てくるのではなく、あっ、布袋や! おおっ、今度は弁天さんかぁ。…と、各自がバラバラに、あまりヤル気なさ気に登場するんですが、そのうち、着物姿のミス桑名も姿を見せて、いよいよ撮影会の始まりでありますかぁ。

 ほな、ぼちぼち撮ろうか。…とカメラを構えると、一体いつの間にこれだけの数のオッサンが来ていたのかと思うほど、たくさんのカメラマンが七福神とミス桑名の前に集結して、押すな押すなの大盛況。すっかり出遅れたサバ君が後ろのほうでオドオドしながらファインダーを覗いてみると、オッサンの後頭部しか見えんやーん! 僕は今まで山とか、湿原とか、お花畑とか、そういうところでお花の写真を撮ることが多くて、そういうところで見掛けるカメラマンのおっさんというのは、わりと地味なタイプのおっさんが多かったんですが、ネーチャン目当てのカメラマンというのは、何だか人種が違いますな。とにかく厚かましくて、押しが強くて、ウザくて、目障りで、しかも何でお前らが七福神の立ち位置とかを仕切ってるねん!? 僕はただただ圧倒させて、斜めのほうから隙間を縫って写すのがやっとだったんですが、ちなみにミス桑名というのは1人ではなくて、総勢6名くらいはいましたかね?正確に言うと、ミス桑名が4名、ミス北伊勢が2名という内訳ではなかったかと思うんですが、 “北伊勢” というのが何とも微妙なところでありますなぁ。 おそらく三重県の北部あたりを示す概念ではないかと思うんですが、四日市市、桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町、朝日町、川越町あたりが範疇に入るものと思われ、鈴鹿が入るかどうかはちょっと微妙なところですな。いずれにせよ、桑名よりは広い範囲なので、ミス桑名よりもミス北伊勢のほうがレベルは上なんすかね? 昔はミスとか、準ミスとか、ミス補欠とか、ミスと呼ぶにはどうか?…とか、そういう順列が設けられていたような気がするんですが、最近は横一列で何人かを選ぶという方式が取られているようです。 いずれにせよ、七福神とミス桑名を並べて撮影会を行なって、一体どんな意味があるのか?…と思わずにはいられないような催しでありましたが、いちばん下の写真の右端のギャルなんか、演歌歌手にするとちょっとよさそうな感じではあるんですけどね。ミス桑名もしくはミス北伊勢のうち、約1名ほど今回は紹介することが出来なかったんですが、ちょっと不細工だったので敢えて外したとかそういう事ではないので、念のため。七福神のほうは一応7人とも入っているので、ま、いいんじゃないっすかね? とまあそんなことで、十念寺は以上です。


<多度大社・流鏑馬(その1)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 気を取り直して今度は多度大社に行ってみることにしましょう。多度町は市町村合併によって桑名市の一部ということになったんですが、多度と言えば何といっても多度山多度豆多度まつりですよね。ま、詳しいことは ここ を見てもらうとして、あ、こっちでは多度の三大名物が多度山多度豆多度大社になってるやん! ま、多度まつりというのは多度大社で行なわれる祭りなので、この2つは同義と言っていいかも知れませんが、もう少し正確に言うと、多度大社で行なわれる祭りは多度まつりだけではなかったりするんですけどね。5月の連休に行なわれる多度まつりの “上げ馬神事” というのが、めっちゃ動物虐待やん!…というのでわりとよく知られているんですが、8月には “ちょうちんまつり” というのも行なわれております。いや、僕は知らなかったんですけど。で、11月23日には “流鏑馬” でありますかぁ。 ずーっと昔に行なわれて、ずっと途絶えていたのを、平成3年になって復活させたものらしいんですが、知名度のほうは、ま、ちょうちんよりはマシ?…といったところでしょうか。 流鏑馬という行事そのものも、ま、七福神よりはマシ?…という気がしますよね。 とまあそんなことで、お昼ちょっと前に多度大社に到着したんですが、参道のところは車両通行止めになっていて、少し離れたところに臨時の無料駐車場が設けられておりました。多度まつりに比べると認知度は低いとはいえ、さすがに十念寺よりは賑わっておりますな。食べ物の屋台も6〜7軒は出ていて、後でニュースを見たら観客動員数は2万人だったそうですけど。七福神のほうはカメラマンのおっさんがウザかったとはいえ、ま、せいぜい1日と累計で500人くらいのものでしたからね。多度大社へは、多度豆を買いにすぐ近くまでは行ったことがあるんですが、正式に階段を上って本殿までお参りしたのは、もはや記憶には残っていないほど、遠い昔のことではなかったかと。 “上げ馬神事” というのも一度も見たことがありません。一度くらいは見てみたいと思っていたんですが、 「あんなん混んどるし、しょうもないで、ヤメときな!」 と、おかんに反対されて、結局、行けず仕舞いのままだったりします。ちなみに、うちのおかんは石取祭も、 「やかましいだけで、しょうもない。」 と思っているようで、基本的にお祭りにはあまり理解がなかったりするんですけど。

 で、多度大社というのは境内には小さな川も流れたりしていて、わりと立派で清らかで、なかなかいいところだったんですが、上げ馬をする坂というのも初めて見ることが出来ました。 (写真・いちばん上) のがソレです。 最後のところが壁になっていて、こりゃ、馬が上るのは無理やろ!…と思わずにはいられません。ムチでしばいたり、ドーピングをしたりして、かなり無茶なことをしてウマたんをいぢめるらしいんですが、その一方でこの神社はウマを神様として祀っていたりもして、境内にも白いウマが1頭、飼われていたりします。こちらのウマは参拝客から餌のニンジン(有料)を貰ったりして、悠々自適の生活でありますな。白いウマのほかに、白黒のパンダもいました。 (写真・上から2番目) 。時節柄、七五三参りのお子様の姿も見受けられます。流鏑馬は13時の開始なので、とりあえず屋台でタコ焼きとオム蕎麦を買って食べるとして。ちなみに流鏑馬は上げ馬の坂で行なわれるわけではなく、参道の平坦な道路に土を入れて作った特設コースで開催される模様です。長さは通常2町(約218メートル)。進行方向左手に間をおいて3つの的を立てる。馬場から的までの距離は5m前後、的の高さは2m前後…というのが一般的なルールのようです。それなりに賑わってはおりますが、かぶりつきで見ることが出来るくらいの混雑度でありまして、七福神と違ってオッサンに邪魔されてストレスを感じるようなことはなさそうです。

 で、多度大社ともなると、さすがに議事進行もしっかりしておりまして、午後1時きっかりに古式ゆかしき装束に身を包んだおっさんが馬と一緒に姿を現しました。プログラムを見ると

13時00分 流鏑馬祭奉仕者列次を整える。馬場入の儀。
13時10分 馬場元列立の後、流鏑馬執行の下知

…となっておりますが、ま、要するにゾロゾロと行列して神社のほうから向こうのほうに歩いていって、また神社のほうに戻ってくるという、そういう出し物でありますな。 で、再びあっちのほうへと歩いていって、いよいよ流鏑馬の開始となります。


<多度大社・流鏑馬(その2)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 流鏑馬って、要は馬の上から矢を射るだけやろ?…とか思って、僕は最初ちょっぴり小馬鹿にしていたんですが、よく考えたら馬の上から矢を射ようと思ったら、手綱から両手を離さなければならないおわけですよね。その時点で普通の人なら馬から落ちて落馬しちゃうと思うんですが、更に弓をぐいっと引っ張ったりすれば、横方向に不自然な力が加わることにもなります。的までの距離は約5m、的の大きさは流鏑馬競技連盟の正式ルールでは80cmの方形となっているようで、わりと当たりやすそうではあるんですが、馬に乗ってそれを射抜くとなると、これはかなり難しいと言わざるを得ませんね。僕の場合、まず馬に乗れないという時点で失格なんですが、写真撮影のほうも意外と苦戦を強いられました。かぶりつきの絶好の位置をキープして、こりゃ、楽勝やな♪…とか思っていたんですが、あまりにも馬場に近過ぎて、どういう状況になっているのか遠くのほうの様子がまったく見えなかったりするんですよね。 僕がカメラを構えていたのは “三の的” のやや後方というポジションだったんですが、頼りになるのは 「スタートしました!・・・・。一の的、的中!・・・・。二の的、・・・。」 (←外した時は何も言わない。) という場内放送だけであります。近くの観衆から、わーっという歓声があがって、来たな!…と思ってファインダーを覗いたら、あっという間に行き過ぎてしまって、ああん、駄目ぢゃん! 1人目はさほど腕前の優れたキャラではなかったようで、走らせる馬の速度もかなりゆっくり目だったんですが、それでもぜんぜん駄目で、先行きが危ぶまれますな、こりゃ。 2人目、3人目と走ってきて、ようやく何とかタイミングを計れるようになって来たんですが、馬か近付いてくると前の観客がロープから身を乗り出すようにして右側にはみ出してくるので、ファインダーを覗くとオッサンの後頭部が思いきり邪魔になってしまって、駄目ぢゃん! いやあ、七福神に続いて、何ともストレスの溜まる状況でありますなぁ。。。 更に悪いことに、かぶりつきという位置が災いして、目の前を疾走する馬が蹴り上げる泥がモロに飛んで来たりもして、服もズボンもカメラも、めっちゃドロドロやーん! この日はとっても爽やかな晴天だったんですが、前日にちょっと雨が降ったりして、重馬場のダートコースみたいになってましたからなぁ。。。 もういいっ!こんな場所、変わるっ!!

 ということで、上げ馬坂の上の地点に移動することにしました。 かなり距離は遠くなるんですが、スタートしてからゴールするまでの競技の様子が大変によく分かります。最初からここにすればよかった!…と思わずにはいられませんでしたが、35mm判換算で450mmくらいの望遠レンズがないと撮影はなかなか難しいんですけどね。一の的、二の的のあたりは距離も遠いし、上空を横切る電線が邪魔になってしまうので、絵的にはあまりよくありません。ここはやはり、三の的にポイントを絞って撮るしかありませんが、しかし何ですな。流鏑馬をやる人って、思ったよりも結構、ヘタクソだったりするんですなぁ。 ま、馬にも乗れないようなヤツにそんなことを言われたくないとは思うんですが、そんな僕でもヘタクソなりに、鼻クソをほじるくらいの事は出来ますからね。たまに爪の先で粘膜を傷つけて鼻血が出たりすることもあるんですが、そんな鼻クソ好きの僕から見ても、ヘタクソな人が多かったです。一の的は全員が射抜くことに成功するんですが、二の的以降はヘロヘロになって、ぜんぜん当たらないんですよね、これがまた。 競技の中盤は中堅クラスの登場となったようで、二の的まではなんとかクリアする人が多くなってきたんですが、僕が狙いを定めている三の的では矢を射ることすら出来ない人も出てくる始末で、最後が締まらない事、この上ありません。よくよく見ていると、的と的との距離がちょっと短すぎるようで、馬をあまり早く走らせ過ぎると、ちゃんと弓を構えるだけの余裕がないみたいなんですよね。かと言って、あまりゆっくり馬を走らせていると迫力に欠けることになるし、これはやはり、かなりのテクニックとたゆまぬ鍛錬とが求められる競技であると言えそうですね。

 で、やっている人たちも、いくら最初の2つの的を射抜いても、最後のひとつを外すと何だか締まらないよね。…ということに気付いたのか、端から “二の的” は諦めて、 “一の的” と “三の的” の2つに勝負を懸ける人が増えて来たんですが、イチかバチかで100点を狙うのではなく、ま、66点でいいやぁ。松本ちえこも 「65点の人が好き♪」 って言ってるしぃ。…という戦術に切り替えた模様なんですよね。 ま、確かに見ているほうもそっちのほうが盛り上がるし、  “三の的” 一発勝負の僕としても、おかげで何とかそれらしい写真を撮ることに成功しました。 的をバシっと捉えた瞬間を捉えるのがベストなんでしょうが、ま、 (写真・いちばん上) みたいに、矢がちゃんと写っただけでも、よしとしておかなければなりません。100点とはいかないまでも、ま、62点くらいは貰えますかね?  (写真・上から2番目) のようにカメラを縦位置に構えるというのも効果的かも知れません。 上げ馬坂の上から撮るのって、いいぢゃん!…ということに気が付いたのか、少し下の階段のところに陣取っていた多度大社の広報担当カメラマンとアシスタントのお姉さんが、僕の隣に移動して来たんですが、さすが専門職だけのことはあって、キヤノンの白レンズを装着しております。焦点距離300mm、開放F値2.8、通称 “サンニッパ” と言われるヤツです。サンニッパが32,800円くらいなら僕も思い切って買っちゃうんですが、489,985円くらいするヤツですかね、ありゃ。 で、使っているカメラ本体も只者ではなさそうで、僕がニコンの “D50” で、カシャーン、カシャーン、カシ…と連写 (秒間2.5コマ) しているその横から、カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャという軽快なシャッター音が。 先生、僕、大きくなったら多度大社の広報担当カメラマンになるよ!…と思わずにはいられませんでした。アシスタントも凄く可愛いお姉さんだったしー。

 今ひとつ技量の伴わない流鏑馬集団も、さすがに後半はかなりの切れ者を揃えて来たようで、見事にパーフェクトを達成する人もぼちぼち現れるようになりました。プログラムを見ると、狭物射手12騎となっているので、6頭の馬が2往復して、計12回ということになるんですかね? 最後の12人目も3つの的を的確に射抜いて観客も大いに盛り上がり、いや、最初は一体どうなることかと思いましたが、途中で場所を移動してからは概ね満足のゆく出来でありましたな。タコ焼きとオム蕎麦も美味しかったしー♪ 僕はすっかり満足して、用を足して帰ることにしたんですが、すっきりして便所から出てくると、まだ流鏑馬やってるやーん! もうすっかり終わった気分になっていたので、調子が狂ってしまったんですが、駐車場に戻りがてら、途中で軽く写真も撮っておきますかねー? 違ったアングルの作品も何枚かあったほうがいいし。 幸い、観客のほうもちょっと飽きたのか、 “二の的” の真横あたりに空きが出来ていたので、そこでカメラを構えてみることにしたんですが、間近で見るとやはり違いますなぁ。最初の2〜3人は馬を走らせる速度も遅いし、おまけに的は外すしで、あまり大したことはないなと思って場所を移動してしまったんですが、うまい人の演技はさすがです。的を射抜くバシっ!…という音は、かなり迫力があって、凄いです。 動きの速いものを写すのは “流し撮り” というテクを使うのが定番なんですが、 (写真・下から2番目) は “流さない撮り” というか、正確に言うなら “流せなかった撮り” というか。シャッタースピード 1/80秒で、馬と騎手と弓はこれだけ激しく被写体ブレするものなんですなぁ。スピード感を出すテクニックとして、敢えてこういうのもアリっすかね? で、最後の1枚は的だけに一点集中。 的の後ろがちょうど黒っぽい幕みたいになっていたので、シンプルな作品になりました。こちらはシャッタースピード 1/250秒。 秒間2.5コマだって、運がよければ的を射抜く瞬間を写せるんだい!分かったか、多度大社の広報担当カメラマン!

 とまあそんなことで、七福神はともかくとして、流鏑馬のほうは個人的には納得のいく作品が撮れたんですが、 「まあ、サバさんって写真も上手なのね!素敵っ♪」 と、ギャル系読者をハートを見事に射抜く ことが出来ましたかね? む、無理かなぁ、やっぱり。。。

 とまあそんなことで、今日はシャーリー・スコットです。ギャル系のオルガン奏者なんですが、旦那がスタンリー・タレンタインだった事でも知られてますよね。やはり、オルガン・ギャルのハートを射抜くにはテナー・サックスが有効な手段だったんでしょうか?テナーとオルガンというのは相性がいいですからなぁ。ま、後に離婚しているので、何とも言えないところではあるんですが、オルガンというのはテナー以外に、縦笛、ピアニカ、アコーディオンといった楽器と組ませると、わりといい仕事をしてくれそうな印象があります。小学校の音楽の時間で使われるのって、概ねそのあたりだったりしますからね。あるいはカスタネット、タンバリン、トライアングル、鈴といったパーカッション系のものだったりとか。その他、音楽室には鉄琴、木琴などという大物もありましたが、中でも僕の憧れの的は鉄琴でありました。大きくなったら鉄筋の家に住んで、叩くんや!…というのが夢だったんですが、木琴ではなくて断然、鉄琴。あのメタリックな感じが男心を擽るんですよね。僕も大人になって、木のぬくもりの大切さというのも、次第に分かってきつつはあるんですが、子供の頃は断然、金属が好きでした。木造の家よりも鉄筋コンクリート。木の机でなくて、スチールデスク。木製バットよりも金属バット。それが都会と言うものなんや!…と信じて疑わなかったんですが、そのおかげで大人になった今でも鉄琴の進化系と言えるヴァイブラフォンという楽器が大好きだったりします。オトナはやっぱりヴァイブだよねっ♪

 とまあそんなことで、今日は 『ムーチョ・ムーチョ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、ベサメ・ムーチョ、カラムーチョ、すっぱムーチョのムーチョ。 ベサメ・ムーチョというのは確か、もっとキスして♪…といった意味ではなかったかと思うんですが、ベサメとムーチョのどっちが “もっと” で、どっちがキスなんですかね? イメージ的にはムーチョのほうが、ムチュっとキス しているような感じがあるんですが、調べてみたらどうやら “ベサメ” のほうがキスの命令形ということになるようです。となると、 『ムーチョ・ムーチョ』 は 「キスして、キスして♪」 ではなく、 「もっと、もっと♪」 ということになるんですが、で、この作品はザ・ラテン・ジャズ・クインテットとの共演ということになっているんですよね。 ラテン・ジャズ・クインテット、通称L.J.Q. は、モダン・ジャズ・カルテットほどメジャーではないんですが、ラテン系のジャズを演奏する目的で結成された5人組のコンボでありまして、ヴァイブ、ピアノ、ベースにラテン・パーカッションのコンガ、ティンバレスを加えた編成はシャーリー・スコットともなかなか相性がよさそうです。 オルガンという楽器はテナーと組むとコテコテ系のソウルになりがちなんですが、ラテン系だと意外と小洒落たサウンドになったりするんですよね。もともとシャリ・スコという人はギャル系なだけあって、オルガン・アレルギーの人にも受け入れられやすい要素を持っていたりするんですが、ヴァイブ入りのこの作品はかなり期待が持てるのではないでしょうか?

 とまあそんなことで1曲目なんですが、まず最初に 「ウォーキン」 を持って来ましたかぁ。ちっともラテンとちゃうやん!…と言いたくなる選曲なんですが、どちらかというとジャム・セッションの素材というタイプだったりしますからね。でもまあ、ここで 「ウォーキン」 の替わりに 「魚金(うおきん) という居酒屋を素材にしたオリジナルを持ってきたところで、事態がさほど好転するとも思えないので、まだ、よく知ってる曲をやってくれたほうがマシかも知れません。魚が美味しいと評判らしいですけどね、魚金。 で、演奏のほうはアレです。ヴァイブが無伴奏で、ちゃんちゃちゃーちゃ、ちゃんちゃちゃーちゃ、ちゃんちゃちゃーちゃ♪(×2)…とイントロを演奏して、2回目の途中からは、ドン、ドンというリズムも入ったりして、で、ここでインテンポになってテーマのメロディが登場することになります。ここまでがラテン・ジャズ・クインテットの5人による演奏で、アドリブ・パートに入ったところで満を持してシャーリー・スコットが登場するという算段なんですが、これはアレですな。ジミー・スミスをソフトにしたような、ジミー大西を地味にしたような、ソウルというよりもハード・バップ、もしくはビ・バップ、あるいはムトーハップな感じがあって、なかなか悪くないですよね。もう、お風呂に入れればインキンも完治!…みたいな。序盤はシングルトーン中心にホーン・ライクなフレージングを聞かせ、中盤以降は和音も交えてかなりオルガンっぽいサウンドになって来るんですが、ま、ギャルが弾いていると思えばなんとか許容出来る範囲なので、大丈夫なのではなかろうかと。 で、続いてフィル・ディアズという人のヴァイブ・ソロになるんですが、クリアでメタリックな響きがよろしいですなぁ。ま、ラテン系なのでそれなりに派手な叩きっぷりでありまして、時折、妖しげな呻き声が聞こえたりもするんですが、ま、バイブ奏者にはよくありがちな現象です。日本の古いジャズ歌手、ナンシー梅木あたりも呻き系だったと言われております。で、続いてジーン・ケイシーのピアノ・ソロとなるんですが、オルガン・ジャズなのにピアノが入ると、一種独特の味があったりしますよね。ちなみにこのジーン・ケイシーという人はケーシー高峰っぽい、なかなかグラッチェなプレイを聞かせてくれる人でありまして、でもって、最後は org→vib→p の3人による4バースで大いに盛り上がって、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 2曲目はピアニストのジーン・キャッシーという人が書いた、じーんと感動するバラード、 「テル・ミー」 でありますか。小学生の頃、同じクラスにいましたなぁ、てるみちゃん。通称、てるやん。いかにも、てるやんやん!…といったルックスの眼鏡をかけた女の子だったように記憶しているんですが、雪合戦の時、中に小石が入った雪をぶつけられたとか言って、大いに憤っていたのが何だか妙に頭の片隅に残っております。鯨の大和煮缶詰なんかにも、たまに小石が混入したりすることがあるので、ま、運が悪かったと思って諦めるしかない不可抗力による事故のようなものだったと思うんですけど。 で、演奏のほうはアレです。M.J.Q. を思わせる典雅な仕上がりとなっております。大阪の天下茶屋というのもなかなか典雅な土地柄だと聞いておりますが、オルガンをバックにしたヴァイブというのも、なかなかいいものですよね。AABA形式の作品で、 “Bの部” がアドリブになっているような作りの曲なんですが、でもってソロ先発はシャリ・スコでありますか。ひとつひとつの音をじっくり噛みしめるような弾きっぷりでありまして、噛めば噛むほど味が出る亀料理といったところですかね?いや、個人的にはスッポン料理とか、あまり食べたいとは思わないんですけど。 ソロ2番手はジーン・ケイシーのピアノなんですが、これが何とも言えずにお上品な出来でありまして、…と、ここまで書いたところで気が付いたんですが、この曲を作ったジーン・キャッシーと、ここでピアノを弾いているジーン・ケイシーとは、どうやら同一人物だったみたいですね。 CDのクレジットのほうはケーシー、ライナーノートの日本語訳のほうはキャッシーと、カタカナ表記が違っていたので、今の今まで気が付きませんでした。ケーシー高峰みたいな名前のわりには綺麗なピアノを弾くなと思っていたんですが、その実態はキャッシー中島みたいなキャラだったわけですね。それで何となく納得しました。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 3曲目はコール・ポーターの有名なスタンダード、 「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」 でありますか。キック・アウトというと何となく、プロレスで相手をリングの外に蹴り出すようなイメージがあったりするんですが、翻訳サイトで調べてみたら、どうやら 「私はあなたについて喜びを感じます。」 といった意味であるようです。北朝鮮の “喜び組” みたいなものなんですかね? フィル・ディアズのヴァイブによって演奏されるテーマ部は、かなり速めのテンポ設定になっておりまして、バックではピアノよりもオルガンのほうが目立っているんですが、フィニッシュの部分ではこの2者がユニゾンで絡んで、互いに気持ちを高め合いながら悦びの境地に達する。…みたいな感じになっていて、なかなかエキサイティングだったりします。 で、その勢いそのままにオルガン・ソロへと突入していくわけでありますが、ギャル系ながら、なかなか迫力のあるプレイだったりしますよね。 で、続くジーン・キャッシーのピアノが相変わらずお洒落で、かなりいい感じだったりするんですが、最後にもう一度シャーリー・スコットが登場して、そこにコンガとティンバレスが絡んで、狂乱の3P状態に踏み込んでいくことになります。ああん、キック・アウト♪ とまあそんなことで、テーマに戻って、最後はちょっと尻切れトンボみたいになって、おしまい。

 4曲目はキャッシー中島ライクなピアニストのペンによる 「ムイ・アズル」 という曲であります。国境の街のような雰囲気を持ったムイムイ・クール・ブルース − 昼寝から醒めたばかりのときのような気分のブルースというわけだ。…と、原文ライナーの日本語訳には分けのわからないことが書かれておりますが、外人というのはいきなり何を言い出すか分かったものではないので、訳者もなかなか大変ですなぁ。 訳者と、役者と、むしゃくしゃ。 この3つの中からどれかひとつを選べと言われたら、僕は迷わず “むしゃくしゃ” を選択することになろうかと思うんですが、外国語は苦手だから訳者にはなれないし、人前に出るのが苦手だから役者にも向かないし。その点、“むしゃくしゃ” というのはただ、むしゃくしゃして人に八つ当たりしたり、むしゃむしゃと甘食パンの自棄食いをしたりすればそれで済む話なので、かなり楽そうですもんね。いや、甘食パンの自棄食いはちょっと胸焼けしそうではあるんですけど。 七福神の撮影会ではオッサンが邪魔で思うように写真が撮れず、かなりむしゃくしゃして、思わず、後ろから “膝カックン” したろかい?…とか思ってしまったんですが、キャッシーの書いた曲はかなり能天気な感じで、思わず脱力しそうになっちゃいます。出だしの部分や、メロディの区切りのところで聞こえる、ふぃゃ〜♪ という気の抜けたような音はいったい何なんすかね? 鼻から息を抜きながら、縦笛を吹いているみたいな。 で、アドリブ・パートに入ると俄然、演奏が引き締まってくるんですが、それはやはり、ソロ先発のシャーリー・スコットがかなり頑張ってくれているからでしょう。ラテン・ジャズ・クインテットの5人だけではどうしてもダラケがちになってしまうところを、このお姉さんがよくまとめてくれていますよね。良妻にして賢母、好きな野菜は白菜にして、好きな宇宙人はウンモ星人。そういったところですかね? いや、当時の彼女が子持ちだったのかどうか、そこまで調べはついていないんですが、ちなみに僕はウンモ星人よりもザクット星人のほうが好きだったりします。今度の成人式には是非、ザクット星人にも出席して貰いたいところなんですが、ま、どうせ来年で40歳になる僕は成人式には参加出来ないので、別にどうだっていいんですけど。 で、オルガンに続くピアノの人も相変わらず好調を持続しておりまして、それに続くヴァイブの人もなかなか頑張っていて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 5曲目は歌モノです。 「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」 「淑女はトランプだ。」 って、何だかよく分からないタイトルですよね。トランプというと僕たちはどうしても、ババ抜き、神経衰弱、七並べ、あるいはポーカー、ブラックジャック、大富豪といったゲームを頭に浮かべてしまうんですが、トランプというのは本来 “切り札” という意味で、このゲームに興じている外人が 「トランプ」 という言葉を発したのを聞いた日本人が、この遊びのことを“トランプ”と呼ぶのだと勘違いしたのがその語源になっている。…という話を子供の頃に学研の 「科学」 だか 「学習」 だかで読んだことがあるような気がします。あまり科学的な話ではないので、あるいは 「学習」 のほうだったのかも知れませんが、さすがに学研というのは学習研究社の略だけあって、いろんな知識を学習させてくれたんですよね。となると、 「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」 は 「淑女は切り札だ。」 ということになるわけですが、これでもまだ今ひとつよく意味が分からない上に、“だ” の音が2つ重なって語呂もよくないですよね。そこでこの曲名を例の如く翻訳サイトにかけてみたんですが、すると 「女性は放浪者です。」 という訳語が出てきて、なるほど、“tramp” にはそういう意味もあったんですか。またひとつ学習しました。というか、トランプのほうのトランプは “trump” やん!…という新たな新事実が判明してしまったんですが、僕は今までずっとこの曲名の意味を取り違えていたんですな。それならそうと、 “trump” のほうは “トルンプ” にせんかい!…と、逆ギレせずにはいられませんが、ラテンなジャズの5人組とシャーリーちゃんは、この曲をかなり速いテンポで料理しております。意外とラテンのリズムにも合うというのは新たな新発見でありましたが、ソロ先発のシャリ・スコ、2番手のフィル・ディアズと、それぞれが持ち味を十二分に発揮したプレイを展開して、で、その後、ヴァイブとオルガンのユニゾンで第2のテーマのようなものを演奏するパートがあったりするんですが、そのユニゾンがパーカッションとの4バースみたいになっていたりして、大いに盛り上がったところでメイン・テーマに戻って、おしまい。いや、素晴らしい出来でありましたな。

 で、アルバムの最後を飾るのはタイトル曲の 「ムーチョ・ムーチョ」 ということになるんですが、これはアレです。シャーリー・スコットのオリジナルなんですな。ヴァイブによるイントロに続いて、オルガンの呼び掛けに対してピアノが応答する、コール&レスポンスなテーマが演奏されるんですが、これがまたブルージーというか、ファンキーというか、なかなかいい感じの仕上がりだったりします。 ソロ先発はフィル・ディアズのヴァイブなんですが、これがまたブルージーというか、ファンキーというか、なかなかいい感じの仕上がりだったりします。 続くシャーリー・スコットはソフトなスイング感が何とも言えずに、えーと…、何とも言えないので何とも書きようがないんですが、とにかくまあノリノリだと思います。中盤に聴かれる “単一フレーズ何度もしつこく繰り返す反復リピート奏法” も、ブルースを盛り上げる常套手段として実に効果的でありますな。終盤はそこにヴァイブも絡んで来て、何ともハッピーでヒッピーでグッピーな世界が演出されることになるんですが、続いてピアノが出てきたところで事態が急に沈静化するところもなかなか面白いです。鍋でインスタントラーメンを作っていたら激しくお湯が沸騰して吹きこぼれそうになったので、あわてて “びっくり水” を入れたって感じ?びっくりするほど効果があるんですよね、アレ。 で、ピアノ・ソロも中盤にオルガンが絡んでくることにより、再びジワジワとお湯の温度がヒートアップすることになるんですが、キャッシーは落ち着いたものです。きっちりと自分の仕事をこなして、ビル・エリントンのベース・ソロへと繋いでいくわけでありますが、このパートが全体を通してもっとも盛り上がらない場面であるのは間違いありません。 ま、それも次に聴かれる org→vib→p の4バースへの橋渡しだと思って諦めるしかありませんが、ま、ここでも激しく沸騰するというところまではいかないんですけどね。 最後に再びオルガンのソロが出てきて、テーマに戻って、フェイドアウトして、おしまい。 途中の “びっくり水” が効き過ぎたのか、何となく尻つぼみな感じで終わってしまいましたが、14分16秒という演奏時間の長さを感じさせず、もっと、もっと♪…と、おねだりしたくなるような1曲なのでありました。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。


【総合評価】 オルガン・ギャルとラテン・ジャズとの出会いは思いの他、素晴らしい成果を上げておりました。これでもう、テナーサックスと別れても、生きていく道が開けたという感じですかね? キャッシーのオリジナル2曲、シャリ・スコのオリジナル1曲に、歌物ナンバーと有名ジャズ・オリジナルを混ぜ合わせた選曲もバランスがよくて、オルガン、ピアノ、ヴァイブの絡みが至高の3P状態を生み出しております。買うべし!…でありましょう。


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