君は高いところが得意かな? 僕は大の苦手です。 高いところに上ると血の気が失せて顔面が蒼白になり、額に脂汗が浮かんで膝が小刻みに震え、そしてオシッコをちびりそうになります。いわゆる “きょうしょこうふしょう” というヤツでしょうか? あ、恐ろしさのあまり舌がもつれてしまいましたが、いわゆる “高所恐怖症” というヤツでしょうか? ちなみに僕は狭いところも苦手です。狭いところに閉じ込められると血の気が失せて顔面が蒼白になり、額に脂汗が浮かんで膝が小刻みに震え、そしてオシッコをちびりそうになってしまいます。どうやら “閉所恐怖症” の気もあるみたいです。 更には暗いところというのもかなり怖かったりするので、 “高所・閉所・暗所のトリプル恐怖症” ということになるかも知れません。 かなり “ビビり” ですからね、僕って。 些細なことでビビって、チビりそうになることがしばしばあるんですが、しばしばと言えば、柴犬なんてのもちょっと怖かったりします。柴犬なんてのは犬の中でも人懐っこい部類で、ぜんぜん怖くないぢゃん。…などと思う人もいるかも知れませんが、 人懐っこくって、こっちに近寄ってくるから怖いんだって! た、た、頼むからこっちに来るなよ。…と思っているのに、その空気を読めずに近寄ってくるから始末が悪いんですが、そもそも僕はどうして犬が嫌いなのかと言うと、噛まれるからなんですが、犬に噛まれると痛いですよね。ただ痛いだけではなくて、狂犬病にもなっちゃいます。 僕が子供の頃に愛読していた 『毎日こども生活事典』 という本に狂犬病の症状が書かれていたんですが、何でも水を極端に恐れるようになるんだそうですな。これといった治療法も無くて、発病後の死亡率はほぼ100%…って、そんなん、めっちゃ嫌やんっ! 水を極端に恐れるようになるということは、オブラートに包んだ粉薬を水無しで飲まなければならなくなるわけで、そんなん、オブラートがめっちゃ喉に張り付くやんっ! いや、狂犬病に罹患しているというのに、そんな悠長な事を気にしている場合ではないのかも知れませんが、僕ってけっこう粉薬が苦手だったりするんですよねぇ。。。
高所・閉所・暗所の3種混合状態に犬恐怖症が加わって “恐怖症四天王” となって、更には粉薬も駄目だから “恐怖症の五稜郭状態” と化しているわけですが、犬にはなるべく近寄らないようにして、で、向こうから近付いてくる犬を追い払ってやりさえすれば、犬に噛まれる危険性はなかり少なくなるのではないかと思われます。 いや、向こうから近付いてくる犬を追い払う際に、相手の機嫌を損ねて噛まれちゃう恐れも無いわけではないんですが、噛まれたら、噛み返すっ! そういう強い意志を持って望めば、ま、何とかなるかも知れませんな。 こちらがビビっているから犬のほうが付け上がって、調子に乗って噛んできたりするんですよね。 とは言っても、いざ実際に犬を目の前にすると、どうしてもビビってしまって、犬に舐められて、舐められるだけでは済まずに、結果的に噛まれることになるような気もするんですが、となるとこれはもう、仮面ライダーに変身するしかありませんかね? さすがの犬も仮面ライダーだけは噛めんのではないかと思うんですが、ということで、 “コンプリートセレクション仮面ライダー新1号変身ベルト” (税込31,500円) を購入することにより、犬恐怖症は克服出来る目処が立ちました。 犬にさえ噛まれなければ狂犬病になる恐れもぐっと減少するし、狂犬病にさえ罹らなければ水を怖がることもないので、オブラートに包んだ粉薬を水で飲み込むことが出来るようになります。 となれば、粉薬もさほど恐れるほどの存在ではなくなるし、幸いにも僕は、他人を褒めて褒めて褒めまくって、相手をいい気分にさせるという行為に対してさほど恐れを抱いてはおりません。 “高所恐怖症” で、 “閉所恐怖症” で、尚且つ “暗所恐怖症” でもあるんだけど、 “ヨイショ恐怖症” ではない。…という事になるわけで、となると、これから克服しなければならないポイントは3つに絞られたと言ってもいいでしょう。
そんな僕がこの1年間でもっとも恐怖を感じたのは、長島温泉のジャンボ海水プールの “トルネードスライダー” だったりするんですが、スタート地点の高さは、な、な、何と! 25メートルっ! いや、な、な、何と!…というほど、大したことないやん!…と思われるかも知れませんが、ビルにすれば7階建てくらいですからね。 桑名では長らく6階建てのパルがいちばん高い建物だったので、それより更に1階分も高いとなると、これはもう想像を絶する高層建築物であると言ってもいいでしょう。 でまた、上に昇る階段の作りがけっこう透け透けだったりして、下界が透けて見えたりするところがより一層恐怖感を高めるんですよねー。 僕はパンツでも、黒のレースの透け透け♪…というのはあまり好きではなかったりするので、出来ればスライダーの階段もイチゴたんの柄みたいな乙女っぽい感じにして欲しいところなんですが、5分の2の高さまで上った時点で額に脂汗が浮かんで、2分の1のところで膝が振るえて、7分の5まで来たところではっきりと、引き返そう!…と決意を固めました。 つまり、僕の高度に対する限界は 17.8mということになるんですが、それでも尚も昇り続けて最高地点まで辿り着くことが出来たのは、ひとえにステバチでヤケクソな気分になっていたお陰なんですけど。夏の終わりのプール営業最終日でもの凄く空いていて、このチャンスを逃せばもう一生、トルネードスライダーは滑れないかもしれないな。…という思いもありましたしね。 で、全部で8つほどあるレーンのうち、僕が滑ったのはトンネルみたいになっているタイプだったんですが、これなら360度チューブに囲まれているから、勢い余って外に飛び出して墜落する心配はないかな?…と思ったからなんですけど。
そもそも、僕がどうして高いところが苦手なのかと言うと、高いところにいると低いところに転落したり墜落したりするからなんですが、高いところから転落したり墜落したりすると、痛かったり辛かったりワヤだったりしてして、何かと大変ですからねー。 脚から落ちれば左下腿骨を骨折するかも知れないし、途中で上下が逆さまになったりすれば頭を強く打って頭蓋骨が陥没したり、パリンと割れて中からミソが出ちゃったりするかも知れません。そういうのって、ちょっと嫌です。 そこでまあ、どう転んでも下には落ちそうも無いトンネルタイプのレーンを選んだんですが、滑り始めた瞬間、僕は思いっきり後悔しました。パイプの中、めっちゃ狭いやんっ! でもって、めっちゃ暗いやんっ!! 僕の思った通り、外が見えないおかげで高所感はやや希薄だったんですが、思いもよらない閉所と暗所のダブル恐怖で、思わず半泣きになってしまった上に、ちょっぴりオシッコもちびってしまいました。 あの日のプールの水は、いつもよりちょっとだけ塩味だったかも知れません。 ま、ナガシマのプールは場所によって海水を使っていたりするので、多少の塩分の混入はさほど大きな問題ではないと思うんですけど。 とまあそんなことで “東京タワー” なんですが、5月19日の “さば君・治癒祝いオフ” の前座として、東京タワー水族館に行きたいのぉ♪…という話が出てきた時、僕はちょっと焦りました。 東京タワーというのは僕にとって、高くて怖くて思わずチビりそうになっちゃう、そんな恐怖のスポットであるに他ならないわけでありまして、思い起こせばあれは中学校の修学旅行の時でありましたか。 高さ 150mの大展望台までは全員が強制連行される形だったので、泣く泣くみんなの後に着いて行ったんですが、お友達から 「お金を払って上の特別展望台まで行こかー?」 と言われた時は、僕は血相を変えて反対しました。お金がもったいないやーん。…というのが表向きの理由なんですが、無論、恐かったからなんですけどね。 150mでも半泣き状態だというのに、それが 250mともなれば、恐さはざっと 1.67倍 (当社比) でありまして、これはとても半泣きくらいでは済まされません。 150m:0.5泣き=250m:x …ということは、x=(250×0.5)÷150=0.83泣きということになって、これはもう、かなり泣いちゃうに違いありません。 僕があまりにも猛烈に反対するものだから、お友達も特別展望台に昇るなどという無謀な自殺行為は思い止まってくれましたが、ほっと一安心して大展望台の下のフロアに降りてみたら、床の部分がガラス張りになっている “下界モロ見えスポット” があったりして、いや、ロクなものではありませんな、こりゃ。。。
とまあそんなことで水族館なんですが、東京タワーの中に水族館なんかあったんですなー。ちっとも知りませんでした。ちなみに僕は自ら “さば” を名乗ってはいるんですが、どちらかというとオサカナというのはそれほど好きではなく、もしAランチが “唐揚げ定食” 、Bランチが “カレイの煮付け定食” 、Cランチが “ちくわの磯辺揚げ定食” だったりしたら、まず間違いなく “A” か “C” を選びます。オサカナも、すり身にして練って棒に巻きつけて焼いたものに小麦粉と青海苔をつけて揚げたものであればまったく問題はないんですが、煮付けにしたりするのはあまり好きではないんですよね。 生で食べるお刺身はけっこう好きだったりするんですが、生の状態で泳いでいる水族館というのは特別に好きというわけではなくて、ま、ギャルと一緒に見に行くのであれば、悪くないかな?…という気はするんですけど。 ところで、東京タワーのどのあたりに水族館なんかあるんですかねー? もし特別展望台よりも高い 318mくらいのところだったりすると僕としてはかなり恐怖なんですが、水族館というのはたいてい薄暗いし、タワーというのは上に行くほど先細りになっちゃうので、318mもの地点ともなると、かなり狭いであろうことが推測されるしー。 ちょっとドキドキしながら調べてみたんですが、あ、フットタウンの1階なんですな。これならどう間違っても下には落ちそうもなくて、とっても安心なんですが、それはそうとここの オフィシャルサイト 、天下の東京タワーの中にある水族館にしては、ちょっとつくりがショボ過ぎやしませんかねー? 特に “うれしいクーポン” のところなど、少女時代は漫画家を目指していたものの、その夢を果たせず、今では結婚して2人の子供を育てながら東京タワー水族館の切符売り場でパートをしている港区白金台在住の木下孝代さん (37歳) とかが書いたんとちゃうか?…と思ってしまうほど、何だかとっても庶民的だったりして、果たしてこんなので本当に入館料を割引してくれるんですかね?…と思ったら、どこにも割引券とは書いてなくて、 “グループで一つ特性シールをプレゼント” との事らしいんですが、このクーポンと同じ絵をプリントアウトして、裏に両面テープを貼り付けてプレゼントしてくれるのかも知れません。 とまあそれはそうと、てっきり潰れたものだとばかり思っていた東京タワーの蝋人形館って、まだやっていたんですなー。 潰れたというのは僕の思い違いだったのか、それとも、こんなつまらないところ、さっさと潰れてしまえばエエのに!…という、僕の願望だったのか。
いずれにせよ、水族館と蝋人形、合わせて、ま、1時間半もあれば十分か?…という気がするので、僕は夕方の5時を目標に行こうと思っているんですが、ギャルのみんなはどうするかなー? 展望台にも上るのかなー? 少なくとも僕は大展望台の “下界モロ見えスポット”だけは避けたいと思っているんですが、あ、そう言えばこれってもしかして、ミニスカートのギャルがガラス張りの床の上に立っているところを下界から双眼鏡で覗いてやれば、パンツが丸見えなんぢゃないですかね? 先生、俺、みんなと一緒に東京タワーに行くよっ! でも展望台には昇らないで、下のところでずっと待ってるよっ!! ということで、女子高生のみんな、東京タワーの大展望台というのはとってもお洒落で素敵で楽しいところなので、お友達を誘ってどんどん上ってみるといいんぢゃないかな?…と、僕は思うのでありました。 ということで、今日のお話はおしまい。
ということで、さ、トロンボーン編ですな。トロンボーンの世界というのは極めて人材に乏しく、僕の手持ちのアルバムでは、ま、3回行けばいいとこかな?…といった感じなんですが、そんな中、一気に2人分を片付けておきましょう。J.J.ジョンソンとカイ・ウインディングです。 J.J.ジョンソンは “JJ” を愛読しているギャル、カイ・ウインディングのほうは貝類が大好きなギャルの間で、絶大なる人気を誇っている。…という噂を小耳に挟んだことがあるんですが、恐らくそれはガセネタではないかと思われます。ジャズ・トロンボーンなどという地味なジャンルがギャルに受けるわけがないですもんね。 じゃ、ジャズ好きのコアなおっさんの間では、J.Jやカイ君は人気があるのかい?…と言われると、必ずしもそうとは言い切れなくて、特にJ.Jの場合は、テクニックがあり過ぎてさぁ、巧いのは分かるんだけど、今ひとつ面白みがないんだよね。…などと、意外に毛嫌いする人が少なくなかったりします。 完璧過ぎてつまらないというのは何となく理解出来るところでありまして、僕の場合、まったく隙が無い完璧な美女よりも、隙まるけでパンツも透けているギャルとかのほうが好きだったりしますからね。 僕は透け透けのパンツというのはあまり好きではないんですが、スカートからパンツが透けて見えたりするのは、けっこういいかな?…と思ってしまうんですよね。 で、もう一方のカイ君はというと、貝だけにテクニックの点ではJ.J.に手も足も出なかったりするんですが、その分、味はあると言ってもいいのではないかと。 なかなかいいダシが出ますからね、貝類って。 とまあそんなことで 『ジェイ・アンド・カイ』 なんですが、これは2人のトロンボーン奏者による双頭コンボ “J&K” の記念すべき初リーダー作という位置付けにある作品です。 サヴォイというレーベルはジャケットのセンスが致命的にショボかったりするので、本作も恐らく相当なマニアでなければ手に取ることはないような気がするんですが、ジャケ絵を書くのがめっちゃ楽そうなところがサバ君的には嬉しいところでありまして、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。
えーと、まず最初は 「バーニーズ・チューン」 という曲でありまして、僕の手持ちのCDでは作曲者のところにジョンソンの名前がクレジットされているんですが、これは紛れもなくバーニー・ミラーの作品だと思います。 僕は猫耳が大好きなんですが、 “うさ耳” というのも嫌いではなくて、いやあ、いいですよねぇ、バニーちゃん♪ “愛の戦士・ビューティーバニー” とか、かなりソソられるものがあるんですが、この 「バーニーズ・チューン」 というのはバニーガールとは何の関係も無く、バーニー・ミラーの作った曲だから、バーニーズ・チューン。ただそれだけのことです。 ちなみにバニー服というのはやはり若いギャルが着るからこそ可愛いのであって、いくら発音が “バーニーズ・チューン” に似てるからって、 “バニー中年” というのはどうか?…という気がするんですが、熟女は熟女らしく、和服とかで攻めたほうがいいのではないかと僕は思います。和服もいいですからなぁ。…って、そんなことはどうでもよくて、J&Kの魅力は何と言っても、ぴったりと息の合ったホモ的なアンサンブルにあると言ってもいいでしょう。 その特長は初リーダー作から実にビシっと決まっておりまして、でもって、テーマ部に続いてはトロンボーン・ソロ(その1)でありますか。 僕はジェイとカイの区別がつくほどトロンボーンの世界には精通していないんですが、1/2の確率でいくと、最初のソロがジェイ君のほうで、2番手がカイ君なのではないか?…という気がします。 で、続くピアノ・ソロが短いながらもなかなかいい感じで、いったい誰なのかと思ったらワリー・キリーロ (?) とかいうよく知らない人だったんですが、誰なんですかね、キリーロ。 ケロロ軍曹の友達か何かなんですかね? で、ピアノに続いて2本のトロンボーンの絡みがあって大いに盛り上がって、終盤はそこにドラムスとベースも微妙に絡んだりして、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、J.J、悪くないぢゃないっすかぁ♪
続く2曲目は 「ラメント」 なんですが、これは恐らくJ.Jのオリジナルの中で、もっとも多くのジャズマンによって取り上げられている曲と言えるのではないでしょうか。 いかにもラメントらしい哀しみに満ちた旋律が日本人の魂を激しく揺さぶるんですが、いやあ、いいですよねぇ、 「ラメント」 。僕はラーメンと 「ラメント」 がかなり好きだったりするんですが、ラメ入りのパンツというのはあまり好きではなかったりします。 で、この曲ではキリーロのピアノの代わりにビリー・バウアーのギターが入っているんですが、バウアー、わー、うわー♪ …と感激するほどの事ではないものの、なかなか渋い助演ぶりではあると思います。 ギターが入ることにより室内楽的なムードが高まっておりまして、2本のボントロによるハモり具合も実によく練られておりますな。 ややアレンジ過多で、西海岸的な作風に仕上がっておりますが、そこのところがJ.Jという人の持ち味でもあり、また、日本では今ひとつ人気が上がらない要因でもあり。ジャズ的なスリル、アドリブ命っ!…といった点では、ちょっと物足りないところがあったりしますからねー。 で、続く3曲目は 「ブルース・フォー・トロンボーンズ」 でありますか。 タイトルの示す通り、トロンボーン(複数形)の為に作られたブルースでありまして、なるほど、ブルーなフィーリングがなかなかよく出されておりますな。 ベースがけっこう目立ってるなと思ったら、何と、チャールス・ミンガスやんっ!…ということに気付いたんですが、ストップ・タイムがなかなか効果的に使われていたりもして、J.Jにしてはかなり黒っぽい作風であると言えるのではないでしょうか。 順序不明の2人のトロンボーン・ソロが繰り広げられた後、ビリー・バウアーのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。
続く4曲目の 「ザ・メジャー」 もバウアー入りかいっ!…というので、やや作風が煮詰まってきた感もありますが、スガキヤの袋入りのインスタントの味噌煮込みうどんを火にかけたまま長電話とかしていると、すぐに煮詰まってしまうので注意が必要なんですよね。 あ、汁が無くなったやんっ!…というので慌てて湯を足したりすることになるんですが、ミンガスのベース・ソロやバウアーのギター・ソロがあったりして、テーマに戻って、おしまい。 演奏に関してはあまり書くことのない1曲でありましたが、続く5曲目の 「イエスタデイズ」 は録音日がこれだけぐーんと古くなっていて、1947年でありますかぁ。 J&Kではなくて、バリトンサックスのレオ・パーカーが入っていたりするJ.J.ジョンソンのリーダー・セッションからの1曲でありまして、ま、やや作風が煮詰まっていた感があるので、ちょっと湯で薄めてみようか?…という効果を期待しての選曲ということになりましょうか。 バリトンサックスのレオ・パーカーが入っていたりする…と書きましたが、彼の出番はほとんど無くて、J.Jのワンホーンによるバラード演奏と言ってしまってもいいでしょう。中間部で聴かれるハンク・ジョーンズのピアノ・ソロもなかなかにキュートで、破綻の無い落ち着いたプレイが展開されております。 ま、破綻の無い畑中クン。…といったところでしょうか? で、6曲目は 「クープ」 という曲なんですが、このアルバムはバーニーの曲とスタンダード以外はすべてJ.Jのオリジナルなんですな。双頭コンボの片割れのカイ君は作曲部門ではまったく出番がありません。カイ・ウインディングは後に甲斐バンドを結成して 「安奈」 や 「HERO(ヒーローになる時、それは今) 」といったヒット曲を生み出すことになるんですが、もしかしたらそっちの甲斐クンとこっちのカイ君とは、まったくの別人だったりするのかも知れませんけど。 で、この 「クープ」 というのはアレですな。なかなかに御陽気でキュートな曲調だったりするんですが、ちょっぴり “まにまに・ぷりてぃ♪” な 「アイ・ヒア・ミュージック」 に似ているというか。 J.Jの作曲の才能って 「ラメント」 だけで枯渇したわけでは無いんや。…という事実が明らかになったんですが、いかにもトロンボーンらしい、ほのぼのとしたソロ (その1) と、中間部で聴かれるキリーロのピアノ・ソロがいいですよね。 で、続くミンガスのベース・ソロはどうでもいいですよね。…などと、けっこうベースが好きだったりする僕は思ったりしないんですが、その後、トロンボーンとドラムスの短い4バースがあったりして、で、テーマに戻って、おしまい。 トロンボーン・ソロ (その2) は出てこないのか?…という点がちょっと気になったので、改めて最初から聴き直してみたところ、あ、ピアノの前にトロンボーンが2人とも出てきているのかも?…という可能性に思い当たったんですが、途中で微妙にトーンが変わっているような気もするんですよねー。同じ楽器が複数入っているセッションというのはどうも今ひとつ分かりにくいので、ソロの前に 「カイ君、いきまーす!」 みたいに宣言して貰えると助かるんですけどねぇ。。。
ということで、次です。 「リフレクションズ」 。モンクにも同じようなタイトルの曲があったような気がするんですが、こちらはJ.Jのオリジナルです。 で、この曲はアレですな。何とも沈痛ですな。 もし、僕がこのHPを立ち上げた時に食べた晩飯のおかずが塩サバではなくて “チンゲンサイの油炒め” だったりしたら、このサイトは今頃 『チンゲンサイ通信』、略して “チン通” と呼ばれていたと思うんですが、あ、このネタはチンゲンサイだったり、チンジャーロースーだったりして、既に何度か使ったことがあるんですが、 「リフレクションズ」 のほうは出だしの鎮痛ムードから一転、途中からはすっかり実験的ジャズみたいになっておりますな。途中でテンポやムードを変化させつつ、時には時任三郎のように、時には二代目彫三郎のように、さまざまな表情を見せてくれるわけなんですが、あ、二代目彫三郎というのは刺青の彫り師なんですけどね。先代の後を継いで大垣市で立派に彫り物屋さんをやっているようで、いや、僕は看板を見たことがあるだけで、実際に彫ってもらったことはないんですけど。 刺青を彫られるのと、オカマを掘られるの、どっちがいいかというと、どちらも痛そうだから両方とも嫌なんですが、それはそうとこの演奏、ま、実験的なのは分かるんだけど、聴いていてもちっとも面白くないんだよね。…としか思えないところがネックでありまして、保守的なイメージの強いJ.Jにしてみれば思い切ったチャレンジだったとは思うんですが、その試みは失敗に終わったと言ってもいいでしょう。 反省して、大人しく普通にブルースかスタンダードでも吹いて貰いたいところだと思います。
ということで、8曲目、 「ブルース・イン・トゥズ」 。 大人しく普通にブルースを吹いております。 9曲目、 「ホワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラヴ」 。大人しく普通にスタンダードを吹いております。 コール・ポーターのこの曲はえもすればラテンのリズムで演奏されがちなんですが、J.J君は普通に4ビートで演奏しております。 ま、いかにも彼らしくアレンジはかなり凝っているし、ピアノレスのバウアー入りというのもなかなか効果的だったりするんですが、ま、トップレスのイナバウアーほどのインパクトはないんですけど。 あ、バウアーが参加している時点でいつかは出てくると思っていた “イナバウアー” が思わずここで出てしまいましたが、流行語大賞を取った言葉というのは使うのが めっちゃ恥ずかしいので、出来ればやめておきたかったんですけどね。 上半身を反らすところが眼目だけに、トップレスというのはなかなか理にかなっているような気もするんですが、ということで、いよいよラストです。 「ザ・ボーイ・ネクスト・ドア」 。 翻訳サイトにかけてみたら “少年隣” と出て、そのまんまやんっ!…と思わずにはいられませんでしたが、ぱっと見、 “少年鱗(うろこ)” ぉ?…と間違いやすいところも問題だと思います。 で、もし隣に少年が住んでいたとしても僕はちっとも嬉しくなかったりするんですが、この曲はけっこう好きだったりするんですよね。 少年愛に目覚めてしまった、ちょっといけないボク。…といった妖しげな雰囲気のある曲なんですが、このセッションはジェイ君抜きのカイ君ワン・ホーンとなっておりまして、どうしてよりによってアルバムの最後にそんなのを持ってくるんだ?…というのが僕は不満でならないんですが、実際に聴いてみたらこれがなかなかいい出来でありましたので、ま、いっかぁ。…という気もするんですけど。 トロンボーンでしみじみと歌い上げるバラードは、J.Jに比べてより一層、人間的な愛と少年への愛に満ち溢れたものとなっておりまして、 “しょこたん” (中川翔子)もいいけど、“ショタコン” というのも悪くないかな?…とか思ってしまいますよね。 とか言ってるうちに演奏のほうは急にテンポが速くなって、何だかもの凄く賑やかになってしまっているんですが、近付く時はあくまでも優しくジェントルに、で、いざ手に入れてしまったら、後は欲望に任せてどんどん行ったれーっ!…という方針なんでしょうか? カイ君の変貌ぶりがちょっと恐かったりするんですが、コトが終わった後は、また元の優しいカイおじさんに戻ってくれたから、ほっと一安心といったところなんですけど。 とまあそんなことで、この曲はおしまい。 ということで、今日は以上です。
【総合評価】
途中、聴いてるほうの集中力がやや途切れることもあるんですが、概ね、小さくまとまった、ちょっとした小品…と評価してもいいのではなかろうかと。 録音が古いわりにはさほど古臭さを感じさせず、風呂臭さも感じさせず、ま、硫黄系の温泉でもなければ風呂というのはそれほど臭かったりするものではないんですが、その代わり、ちょっとだけ説教臭い。 でもまあ、線香臭くはないから、いっかぁ。…といった、そんな感じの1枚なのでありました。