INVOLVEMENT (CADET)

JOHN KLEMMER (1967)

INVOLVEMENT


【パーソネル】

JOHN KLEMMER (ts) MELVIN JACKSON (b) WILBUR CAMPBELL (ds)
SAM THOMAS (g) <#1,3,4,6> JODIE CHRISTIAN (p) <#2,5,7>

【収録曲】

PASSION FOOD / HOW DEEP IS THE OCEAN? / WILL'N' JUG / STAND IN THE SUN
MY BLUES / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / LATER WITH THEM WOES

【解説】 (2007年02月18日更新)

 君は “ばってい” という言葉を知っているかな?僕は知りません。 いや、 “バッテラ” なら知ってるんですけどね。 バッテラというのはアレです。サバの押し寿司のことです。どうしてサバの押し寿司のことをバッテラと言うのかというと、ポルトガルで小舟のことを “bateria (バッテイラ) ” と言うからなんですが、サバの押し寿司というのは何となく形が小舟に似ているので、こういう名前が付いたのでしょう。 そんなこと言ったら、サバの押し寿司だけでなく、サンマの押し寿司だってフナの押し寿司だって、小舟みたいな形をしてるやん!…という気がしないでもないんですが、事実、明治26年頃に世界で始めて大阪の寿司屋で作られたバッテラは、サバではなくてコノシロの片身を使ったものだったんだそうですね。 コノシロの寿司というのはあまりなじみがないんですが、よく、 「寿司はコハダから。」 などと言われるコハダというネタは、コノシロの若いヤツのことを言うんですな。 ちなみに僕はコハダの寿司というのは一度も食べたことがなくて、どうしてなのかと言うと、桑名寿司の並寿司にはそんなネタが入っていた例 (ためし) が無いからなんですが、桑名寿司に限らず、平和寿司にもなかったような気がするし、金沢でかねた寿司・羽島店でも、そのようなネタは回っていなかったような気がします。 いや、食べたいと思ったこともないので、メニューにあっても気が付かないだけなのかも知れませんが、少なくとも僕はコハダなんかより、シーチキンとかコーンのほうが美味しいと思うんですよね。 ウニとかアンキモといった類はあまり好きではなく、特にアンキモなんてのは、ああん、キモい。…と思わずにはいられませんが、でかねた寿司ではバッテラというのも回転していなかったように思います。押し寿司ではなくて、サバの握り寿司が 「サバ」 という名前で回っていたのではないかという気がするんですが、とまあそんなことで “ばってい” 。 これは一体どういうものなのかというと、骨を折った際に骨にボルトで固定された金属のプレートを、1年くらい経ってから取り出す手術のことらしいんですけどね。 それを専門用語では “ばってい” と呼ぶらしいです。 どういう漢字を書くのかと思って調べてみたら、どうやら “抜釘” というのが正解みたいなんですが、なるほど、骨にねじ込んだ釘…というか “骨ネジ” のようなものを、抜き取る作業をするわけなんですね。 今から何ヵ月後になるのか知りませんが、またしても入院して、点滴→筋肉注射→腰椎麻酔→手術というフルコースを体験しなければならないのかと思うと、今からとっても憂鬱なんですが、再度の入院生活に備えて、今のうちからいろいろと準備をしておかなければなりませんなー。

 今回、生まれて初めて入院してみて気付いたのは、とにかく暇だったよな。…ということなんですが、もう、和田弘クンところのグループに入れて貰おうかと思ったほどで。 いや、僕は子供の頃 「和田弘とマヒナスターズ」 のことを、ずっと “ヒマナスターズ” だとばかり思っていたんですよねー。 きっと和田さんちのヒロシくんが、暇なスターばかりを集めて結成したんやろな。…みたいな。 先ほど “抜釘” のついでに調べてみたところ、 “マヒナ” というのはどうやら、ハワイ語で “月” という意味なんだそうですが、なるほど、マヒナスターズというのは “月星ズ” といった意味なんですな。ひとつ賢くなりました。 で、今回の入院生活での暇つぶしグッズとして大いに重宝したのが “Zaurus SL-C3100” だったんですが、最近、携帯電話や電子辞書に押されてすっかり影が薄くなってしまったザウルス君を、僕は今でもしっかり愛用しているんですよね。 今回は急な入院でデータ通信カードを用意出来なかったのでネットの閲覧やメールのチェックは出来なかったんですが、ベッドに寝た状態でもキーボードが打てるので、このコーナーの原稿を書くのにも重宝だったし、あらかじめ電子書籍のデータを大量に入れてあったので、たっぷりと読書を楽しむことも出来ました。 で、この度、次回の入院に備えてその機能をパワーアップしようと思い立ったわけなんですが、とりあえず手始めにCFカードを 128MBから 4GBのものに変更しました。おおっ、31倍の容量アップ (当社比) やんっ! それに合わせて電子書籍も10冊ほどダウンロードしておいたんですが、その中には 『入院を愉しむ本〜ジョイフル患者学』 (石川恭三 著) なんてのもあります。 非常に興味深い内容でありましたので、あらかた読んでしまったんですが、いやあ、実にしょうもなかったですなー。 例えば 「長期入院なら入浴設備のよい病院を」 というところには、“入浴禁”の状態であれば看護婦に体を拭いて貰おうという記述があったりするんですが、 若い女性に体を拭いてもらえることなど一生のうちで滅多にあるものではない。入院しているときの特権でもある。 …だとぉ? どうしてそういう下らないことを書くのか、僕は読んでいてとっても哀しい気持ちになってしまいましたが、看護婦といっても必ずしも若いギャルとは限らんやんっ!…って、いや、僕の怒りのポイントはそういうことではなくて、病院とイメクラを一緒にするなと言いたいわけなんですが、 “入浴禁” と言えば僕は1ヶ月ほど風呂に入れない状態だったんですよね。 その間、僕は温かい蒸しタオルを貰って自分で体を拭くという自立した生活を送っていたんですが、手術からちょうど4週間。 ギプスが外れて、自分で脱着可能な装具を装着する段階になって、ようやく入浴の許可が出されることになったんですけどね。

 病院における患者の入浴は、曜日によって男女を分けているところが多いようですが、僕の入院していた青木記○病院では少し違ったシステムが取られておりました。 入浴に看護助手の介助が必要な患者は週2回、決められた曜日の午前中に入ることになっていて、1人でも大丈夫な患者は日曜日以外の午後からであれば毎日入ることが出来るという。 ただし浴室は1つしかないので、時間帯によって男女が交代で使うことになります。 絶対に一番風呂で無ければヤダっ!…とか、女の人が入った後のほうが若いオナゴのエキスが染み出しているから、イイっ♪…とか、いろんな考え方の人がいるかと思いますが、そこは平等に、月・水・金は男のほうが先発 (13:00〜15:00) で、火・木・土は後発 (15:00〜17:00) ということになっておりました。 どうでもいいようなことで、いちいちイチャモンをつける患者とかがいたりするので、病院側も何かと気を使っているのでしょう。 ちなみに僕の場合、一番風呂にも若いオナゴのエキスにもまったく興味はなくて、そもそも入院患者を見回してみても若いエキスにはまったく期待が持てそうもなくて、どちらかと言うとよく出汁が出そうなお年頃のご婦人ばかりでしたしね。 入る順番はいいとして、看護助手の介助が必要ということになると、ちょっと嫌やな。…という気がしてたんですが、何せ僕は極度にシャイな性格ですからね。 ご婦人の目の前でパンツを脱ぐような破廉恥な行為は出来るだけ避けたいところなんですが、混浴風呂というのも大の苦手だったりしますしね。…という話は この辺り を読んで貰えればよくわかると思うんですが、いや、広告はウザいし、背景は青いし、改行の無いダラダラのレイアウトだしで、読むのに非常に骨が折れるかとは思うんですが、もし骨が折れたら病院での入浴体験も出来るようになりますしね。 幸いにも僕の場合は介助無しで、いきなり1人で入ってもいいということだったのでラッキーだったんですが、ただ、どういう入浴システムになっているのか今ひとつ分からないので、最初の時はちょっとドキドキしましたけど。 どうやら風呂は2階のリハビリ室の前にあるというのと、その日は男が遅番であるという事が判明したので、意を決してそこに行ってみたんですが、するとドアのところに 「女性入浴中」 という手書きの札がぶら下げられていたんですよね。 時計を見ると3時を5分ほど過ぎているんですが、は、はたしてこれは、一体どうすればいいのでありましょうか???

 大いに焦った僕はこっそりと中の様子を窺ってみたんですが、誰か入っているような気もするし、空いているような気もするしー。 もし実際に 「女性入浴中」 だった場合、入院患者を見回してみても若いエキスにはまったく期待が持てそうもなくて、どちらかと言うとあまり見たくない場面に遭遇してしまう恐れが多分にあるので、僕はそれをいちばん恐れていたんですが、するとそこにリハビリ室担当のオバチャンが通りかかったので、「あのー、これ、女性入浴中の札が掛かってるんやけど…?」 と、窮状を訴えてみることにしました。 すると、「誰もおらへんみたいやけどねー? ドアをノックしてみたらぁ?」 という回答が得られたので、試しにドアをコンコンと叩いてみたところ、特にこれといった反応がなかったので、ドアをそっと開けて中を覗いてみたところ…、おおっ! 誰もおらへんやーん。。。 どうやらそこが更衣室になっていて、その奥の引き戸の向こうが浴室であるらしいんですが、さすがにそっちまで覗く勇気は無かったのでオバチャンに頼んで確認して貰ったところ、やはり誰もいないということで、えーい、しょっぱなからドキドキさせやがってーっ! とまあそんなことで、病院における入浴の話はおしまい。 あとはえーと、お見舞いの話なんかも書いてありましたなー。 お見舞いにお花とか果物を持っていくのはやめようとか何とか。 何て余計なことをいうジジイやっ!…と、僕は思いましたね。 お見舞いて言うたら、果物の籠盛りやんっ! 僕は “女体盛り” にはまったく何の興味もなくて、せっかくの刺身が生ぬるくなるやんっ!…としか思えなかったりするんですが、果物の籠盛りにはコドモの頃から憧れておりました。入院したら絶対 “果物のかごもり” を貰うねんっ!…と、「籠盛り」という漢字は難しくて書けなかったので、その部分だけは平仮名でそのように思っていたんですが、ただ “果物のかごもり” と言っても、ただ適当にそのへんにある果物を盛り付けただけでは駄目なんですよね。 柿とか枇杷とか多度みかんとかイチジクとか、そんなものをいくら高く積み上げて貰ったところでまったく嬉しくはなくて、果物の籠盛りと言えば、マスクメロンにイチゴに桃に巨峰、それにサクランボなどで構成するというのが最低限のマナーと言えるでありましょう。 ただ、せっかくマスクメロンを貰っても、病院ではなかなかそれを切って食べるというわけにもいかなくて、結局はおかんがうちに持って帰って1人で全部食べちゃったりするので、メロンゼリーみたいなものを貰ったほうが僕としては嬉しいかも知れません。 これを読んでいるギャル系読者の皆さまは 「サバさんのお見舞いにはメロンゼリー♪」 と、心の片隅にでも記憶しておくとよろしいのではなかろうかと。

 で、お花というのもやはり有効的だと思うんですよね。 ま、仏壇に供えるようなヤツでは、あまり気分も晴れないかも知れませんが、僕の隣のベッドで寝ていた寅爺ちゃんのところにある日、豪華な花束が届けれらて、「わーっ、綺麗なお花っ♪ これ、5000円くらいはするよねー?」 と、看護婦の間でも話題になってましたからね。 ただ、それを持って来たのが若いギャルとかではなくて、何故だか寺の住職だったりしたので、僕はそれほど羨ましいとも思わなかったんですが、実際、せっかく綺麗なお花を貰っても狭い病室ではなかなか飾る場所もありませんしね。 結局のところ寅爺ちゃんのお花も速攻で娘に持ち帰られておりましたが、「うちの父ちゃんにお花を持ってくること自体、間違っとるわ。」 とか言われておりました。僕もそう思います。 爺さんには花ではなくて鼻クソ…というのはちょっとひどいかも知れませんが、ま、鼻紙くらいが妥当なのではなかろうかと。実際、よく物をこぼしたりしてますしねー。 で、石川恭三センセイはお見舞いに花や果物ではなく、何を持っていけと薦めているのかと言うと、 “美味しいおかず” なんだそうでありまして。 病院食はあまり美味しくないので、きっと患者に喜ばれるとのことなんですが、せっかく病院できっちりカロリー計算して食事を出してくれてるのに、余分なものを食ったらアカンやんっ! あまり肉ばっかり食べて痛風が悪化したら困るから夕食はサカナ料理にしてくれてるのに、勝手に牛レバー焼きなんか食べたら尿酸値が増えるやんっ! プリン体が増えたらどうしてくれるねんっ! デザートのプッチンプリンとかなら、さほどプリン体は多くないような気がするので大丈夫なんですが、主食になるようなヘビーな食べ物は論外として、ちょっぴりおかずが寂しい時の足しになるような惣菜や瓶詰めの類いを持ってきて貰えると、かなり嬉しかったりするんですけどね。 イカの塩辛とか粒ウニとか、そういう珍味系は僕の場合は駄目なんですが、柿安の 「牛肉しぐれ煮」 なんてのは保存も効くし美味しいので、なかなかのスグレ物であると言えるのではないでしょうか。 「サバさんのお見舞いには牛肉のしぐれ煮も追加♪」 と、心の片隅のメモに書き足しているギャルの皆さま。 あ、そんなに気を遣って貰わなくても大丈夫です。 そんな高級なものでなくても、もっと嬉しいものが他にあったりするので、お見舞いの際にはそれを持ってきてくれれば大丈夫なんですが、それはいったい何かというと、 “ふりかけ” なんですけどね。いや、これは嬉しいっす。

 お昼は肉系のおかずでよかったんやけど、晩飯はサカナかいっ! カロリーオーバーになろうと、プリン体が増えようと、痛風の発作が起きようとかまへんから、鶏の唐揚げとか食わさんかいっ!…と、荒んだ気分になった時でも、ふりかけの小袋があれば大丈夫♪ とくに こんなふりかけ だったりしたら、見ているだけで心がなごむし、たらこ・かつお・たまご・さけ・のり…と5つのフレーバーが楽しめて毎日食べても飽きないし、世の中にこれほどまでスグれたお見舞いの品が他にあるだろうか?…という気がしますよね。 いや、実を言うと僕はたらことさけはあまりすきではないんですが、このふりかけのたらことさけはそれほどたらこやさけっぽくはなかったのでぼくでもぜんぜんだいじょうぶだったし、いや、平仮名ばかりで句読点もなくて読むのにちょっぴり骨が折れたかもしれませんが、もし骨が折れてもカルシウムが強化されているから事後の経過も順調だし、先ほど、 「牛肉のしぐれ煮も追加」 という一文を心のメモに追加したギャルはその部分を2本線で消して、その替わりに 「キティちゃんふりかけ」 と書き加えておいてくださいね。 その他にはえーと…、暇つぶしの手段として、漫画の本とか雑誌なんかを持ってきて貰えれば言うことはありませんな。 雑誌の種類としては学研の 『ムー』 なんかがいいんですが、あとはカメラ関係のものだとか。 いや、カメラ関係と言っても 『アクションカメラ』 とかそういうのではなくて、学研の 『キャパ』 みたいなのとか。 『キャパ』 ってキャバクラの情報誌だとばかり思っていたのに、全然ちゃうやんっ!…みたいな。 とまあそんなことで、今回は “Zaurus 暇つぶし強化策” として、動画ファイルの取込・変換方法について考えてみたいと思っていたんですが、お見舞いネタだけで時間が無くなってしまったので、この続きはまたそのうち。

 ということで今日はジョン・クレマーです。誰や、それ?…とか、そういうことを僕に聞いてはいけません。そういうことはまったく知らずに、また、そういうことはまったく気にせずに、とにかくテナー編のネタとして取り上げるにはいいかな?…と思って、この 『インヴォルヴメント』 というアルバムを買ってしまったんですが、そんなことで演奏の中身もまったく見当が付かなかったりします。唯一見当が付くのは、拳闘というのはボクシングのことだよね。…といったことくらいなんですが、あとはまあ、遣唐使というのはよく健闘したよなぁ。…という気がするくらいで。 ジャケットの写真を見る限り、ジョン・クレマーというのはどうやら白人の兄ちゃんのようで、職業はテナー吹き。好きな食べ物は、クレマーだからネギマ。 ま、何となくそんな感じは伝わってくるんですけどね。 サイドマンにも誰一人として僕の知っている名前はなく、まったくソソられるものが無いという点では粒ウニの瓶詰に匹敵するものがあるんですが、世の中には食わず嫌いという言葉もあったりしますからな。 例えば蛙 (かわず) なんて食材は、出来れば食わずに済ませたいところなんですが、ひどい食糧難に襲われて嫌々ながら食べてみたら意外と美味だったりして、かわず嫌いは、ただの食わず嫌いだったな。…ということにならないとも限らないわけで、ただ、ウミウシなんてのは食べてみたけどやっぱり不味かったよな。…という結果に終わるのは間違いないような気もするし、果たしてこの1枚は蛙と出るでしょうか、それともウミウシでしょうか? 期待と不安が入り交じるところでありますが、では1曲目から聴いてみることにしましょうかぁ。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「インヴォルヴメント」 でありますかぁ。 僕はその昔、 「歌って覚える英単語」 という画期的な作品を自分で勝手に作ってカセットテープに吹き込んだことがあるんですが、その中に 「 involve 巻き込む、含む〜♪」 という歌詞があったように記憶しております。もし、その記憶が正しければこのアルバムのタイトルは 「巻き込み、含み」 といった意味になる筈なんですが、調べてみたところ、えーと、 「巻き込まれること、連座、かかわりあい」 でありますぁ。 サバくんの記憶術、まずまずやんっ!…といったところでありますが、それはそうと、僕は “連座” という考え方があまり好きではありません。 連座というと例えば、僕が仕事で大チョンボをした場合、僕を指導監督する立場にあるナガナワ所長代理も罪に問われることになるんですが、それってちょっと変では無いですかね? 罪というのは本来、一人で背負うべきものであると僕は思うんですよね。 だからこの場合、悪いのは全てナガナワくんのほうで、僕は直ちに無罪放免となってしかるべきだと思うんですが、連座の名の元に僕まで巻き込むのはやめて欲しいと思わずにはいられません。 と思って、改めてCDを見直したところ、あっ、ちゃうやんっ! 1曲目は 「パッション・フード」 という曲やんっ! で、 「インヴォルヴメント」 なる曲はどこにも入っていないことが明らかになったんですが、今さら長縄ネタを撤回するのも面倒な話なのでそのまま突っ走ることにすると、えーと、まず最初は 「情熱の食べ物」 という曲でありますな。 情熱の食べ物と聞いてまず最初に脳裏に浮かぶのはパッションフルーツなんですが、実はアレ、情熱の果物ではなくて、受難の果物なんだそうですね。花芯が十字架に見えるから受難なんだそうですが、花芯と言えばその昔、ケンドー・カ・シンというプロレスラーがいましたなぁ。 で、このクレマー君のオリジナルは、微妙にボサノヴァっぽいリズムのなかなかメロディアスな仕上がりとなっておりまして、ピアノレスのギター入りという変則的なカルテット編成が独特のムードを醸し出しております。 ギターを弾くのはサム・トーマスという人で、テーマに続くソロ1番手も生意気にこいつが務めたりしているんですが、やや変則的なスタイルの持ち主であるようで、ミステリアスというか、微妙にロマンチックというか、何とも表現のしようがない世界を構築しております。 それに比べて続くクレマー君のテナー・ソロは割とオーソドックスな仕上がりで、ごく普通にハード・バップしてると言ってもよろしいのではないでしょうか。 特に後半の盛り上がり具合からは十分にパッションを感じることも出来るし、いや、食べてみたら結構イケるではありませんか、ジョン・クレマー。

 で、2曲目はスタンダードの 「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン」 でありますか。 「愛は海よりも」 なんて邦題が付けられることがありますが、僕は先ほどから何度もしつこく言っているように、ウニがあまり好きではありません。 が、もしも僕の大好きな人が無類のウニ好きだったりしたら、頑張ってウニを食べてみようかな?…と思ったりもしているんですが、僕の愛はウニよりも深かったりするわけなんですよね。 で、クレマー君の演奏はどうなのかと言うと、これまた深い仕上がりでありますな。 今度はギター抜きのピアノ入りという、オーソドックスなカルテット編成になっているんですが、しみじみと深いトーンでゆったりとテーマ・メロディを歌い上げるクレマーが、何とも言えずにディープです。 と思っていたらドラマーのウィルバー・キャンベルが暴発して、いきなり急速調のナンバーに転じたりするんですが、もう一度テーマ・メロディを演奏した後のソロはピアノのジョディ・クリスチャンでありますかー。 コンピングの時点からやや不穏な気配を漂わせていたこの人は、ソロに入ってからもちょっぴり前衛風でありまして、なかなか綺麗なタッチではあるんですが、一筋縄ではいかない長縄クンのようなフレーズを聴かせていたりします。 続くジョン・クレマーもそれに連座してか、1曲目とは打って変わったアヴァンギャルドなプレイを展開していて、いや、ただの歌モノだと思って軽く構えていたら、何だかえらいことになっておりますなぁ。。。 ということで、気を取り直して3曲目。  「ウィルン・ジャグ」 はジョン・クレマーのオリジナルなんですが、ミディアム・テンポのなかなかの佳曲だったりしております。 テナーとギターのユニゾンがグルーヴィなムードを醸し出しておりまして、いやこの人、テナー奏者としては今ひとつ捕らえ所がなかったりするんですが、メロディ・メーカーとしては、なかなかいいモノを持っておりますな。これならきっと不二家でメロディ・チョコレートを作らせても、きっといい仕事をしてくれるでしょう。不二家再建への道程はクレマーの両肩にかかっていると言っていいかも知れません。 で、魅惑のテーマに続いてはトーマス君のギター・ソロということになるんですが、やはりこの人のプレイはちょっぴり変態的でありますな。 僕はジャズ・ギターに関してはあまり詳しくなかったりするんですが、強いて言うならパット・マルティーノに近いですかね? で、続くジョン・クレマーのソロは今度は至ってオーソドックスでありまして、伸びやかでエモーショナルで、ちょっぴり哀愁を感じさせる吹きっぷりは傾聴に値する出来であると言っていいでしょう。 で、続いてはメルヴィン・ジャクソン のベース・ソロなんですが、もしも例えば僕の大好きな人が、ベース・ソロの大嫌いな人だったりした場合、僕がウニを食べる代わりに、ここは頑張って図太いベースのピチカートに耐えて欲しいところでありますな。 敢えて、互いに苦手なものに挑戦することによって、2人の愛はより堅固なものになるわけですが、いや、何もわざわざそんなマゾみたいなことをしなくてって大丈夫ですかね? いずれにせよ、僕はけっこうベースのソロが好きっ♪ ということだけ申し述べておいて、ということで、テーマに戻って、おしまい。 いや、ベース・ソロさえ無ければ完璧な演奏だったんですけどねぇ。。。

 4曲目は 「スタンド・イン・ザ・サン」 。 これまたクレマーのオリジナルなんですが、これまたなかなかハード・バピッシュな佳曲であるな。…と言っていいかも知れなくて、ただテーマに続いてギターのソロが出てくるところはパターン化してしまった感があるので、そろそろソロの順番を考え直してみてもいいかな?…という気もするんですが、続くクレマーのテナーは至って快調でありまして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 4分08秒とやや短めの演奏ではあるんですが、その分、あっさりしているところがクドくなくて、いいのではないかと思います。 続く 「マイ・ブルース」 は、とっても僕のブルースやな。…といった感じのするブルースでありまして、ただブルースと言ってもそれほど泥臭くはなくて、草臭くもなくて、いや、草むしりをしていると独特の草の匂いが感じられることがありますよね。その草の匂いがしないということは、ここでのクレマーは草むしりをしていないという事が言えるわけですが、そういう奴には “いよさん” の50円の券はやれませんね。働かざるもの銀矢サイダーを飲むべからず。 いや、子供会で新屋敷西の集会場の裏の草むしりをしたりすると、近くの “いよさん” という駄菓子屋で使える商品券を貰えたんですよね。 新聞の織り込みチラシを小さく切って、その裏にマジックで 「50円」 と書いただけのものだったんですけど。 それだけなら子供でも簡単に偽造出来そうなものですが、恐らく、本物には “いよさん” のハンコが押してあったのでしょう。 “いよ” というのはどういう字を書くのか覚えがないんですが、ちょっと変わった名字なので百均の店に行ってもおそらく三文判は無かっただろうし、100円出してハンコを買って50円のハンコを偽造しても元が取れないし、欲張って10枚くらい作ったりすると、使う時にすぐ店のおばちゃんにバレるような気がするしー。 とまあ、そんな感じのブルースだったりしておりますな。急速調のビ・バップっぽい仕上がりになっております。 ピアノ入りのほうのセッションなので、テーマに続いてすぐにギターが出てくるパターンからも脱却していて、テナー → ピアノの順に各自の充実したアドリブが披露されて、ts→ds→ts→ds の4バースで大いに盛り上がって、テーマに戻って、おしまい。 けれん味のない、実にストレートな演奏であったと思います。

 続くバラードの 「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」 ( 日本名 : 「恋を知らないあなた」 ) は、テナー奏者にとってはある種のチャレンジと言ってもよく、何せこの曲にはロリンズとコルトレーンという、この楽器の両巨頭による極め付けの名演がありますからね。 が、挑戦なくして北朝鮮の非核化は実現出来ないわけでありまして、さすがの北の将軍様も大好きな大トロやメロンが食えないとなっては、核実験などやっている場合じゃないっ!…と思ったんですかねー。 もし脚の骨を折って入院ということになっても、お見舞いの “フルーツの籠盛り” にはメロンが入っていなくて、その変わりに真桑瓜が盛ってあったりするわけですからね。とてもじゃないけど、これではやり切れません。 退院したお祝いに “でかねた寿司” に行っても大トロはちっとも回ってこなくて、サバばっかりだったりして。 それが嫌でクレマー君もこの曲に挑戦してみることにしたんだと思うんですが、その結果はですね、まあまあといったところですかね? なかなかディープではあるんですが、気が滅入るほど暗くて地味なところがネックでありまして、ま、ギター入りということもあって、トレーンやロリちゃんとはまた、一味違った世界を構築してはいるんですけどね。 ま、暗いと言っても明るいばかりが人生ではないような気もするし、 「暗いと不平を言うよりも、進んで灯りを付けましょう。」 …という、ケラー氏のモットーだってあるしー。 ケラー氏というのは高校時代に勉強したキリスト教倫理の教科書に登場したんですが、結局のところ何をした人なのかよく分からないまま卒業してしまって、ちなみにサバ氏のモットーは 「臭いと不平を言うよりも、進んで臭いを嗅ぎましょう。」 だったりするんですけど。 臭い悪臭も嗅いでいるうちに臭覚が麻痺して、何も感じないようになっちゃいますからねー。

 ということで、ラストです。 最後もビシっとオリジナルで締めて、 「レイター・ウィズ・ゼム・ワーズ」 でありますか。 タイトルは 「それらを持つ後で、苦難」 といった意味らしいんですが、超アップ・テンポの勢いだけの曲やな。…といった感じで、続くテナーソロも勢いだけのような気がしないでもないですが、ジョディ・クリスチャンのピアノ・ソロはキリスト教徒にしておくのが勿体無いようなアクティブさに満ちあふれておりまして、いや、名前がクリスチャンだからと言って必ずしもキリスト教徒だとは限らないし、クリスチャンがアクティブであって悪い道理もないんですが、何もここまでむきにならなくても。…という気がしないでもありません。世の中でむきになってもいいのは、茹で卵の殻むきの時くらいですからね。どちらが早く、しかも綺麗に茹で卵の殻をむけるかを2人で競争したりすると、妙にむきになってしまったりするんですが、続いては、おおっ! ベースのアルコ・ソロでありますかぁ。。。 ピチカートであれば何とか我慢出来る僕もベースの弓弾きとなるとさすがに耐えられなくて、思わずCDを早送りしたくなってしまうんですが、苦難を乗り越えてこそ、その先には名探偵コナンが待ち受けているわけですからね。 ここはひとつ、耳に指で栓をするなどして何とか乗り越えて、明るい未来を待ち望もうではありませんかぁ。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 でもって、今日のところは以上です。

【総合評価】

 食べてみるまでは何とも言えない1枚だったんですが、食べみたらことのほか美味でありました。 特にクレマーのオリジナル曲には日本人のハートに訴えるものが多分にあって、ま、演奏のほうはそれなりにハードで、決してギャルの耳に聴き易い類いのものではないんですが、たまにはハードなプレイに身も心もゆだねてみるのもイイかもしれません。 さば君的にかなり評価は高いんですが、これでベースのソロさえなければ完璧だったんですけどねぇ。。。


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