EASY WALKER (BLUE NOTE)

STANLEY TURRENTINE (1966/7/8,1967/7/28,1969/6/23)

EASY WALKER


【パーソネル】

STANLEY TURRENTINE (ts) McCOY TYNER (p)
BOB CRANSHAW (b) <#1-7> GENE TAYLOR (b) <#8-11> MICKEY ROKER (ds) <#1-6> ROY LUCAS (ds) <#7> BILLY COBHAM (ds) <#8-11>

【収録曲】

MEAT WAVE / THEY ALL SAY I'M THE BIGGEST FOOL
YOURS IS MY HEART ALONE / EASY WALKER
WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE / ALONE TOGETHER / A FOGGY DAY
SATN'S SHUFFLE / WATCH WHAT HAPPENS / INTERMISSON WALK / WAVE
【解説】

 君は “ペンキ” が好きかな? 僕はですね、別にそれほど好きではありません。どちらかと言うと、ペンキよりも便器のほうが好きだったりするんですが、ペンキと便器とベンチ。 温めるんだったら、やっぱり便器かな?…という気がしますもんね。 スポーツをやるんだったらやっぱり、ベンチを温めるのではなくて試合に出たいし、ペンキを温めるとシンナーが揮発しちゃうような気がするんですが、これからの季節、便器が温かいというのはとってもいいことだと思います。 洗浄・脱臭・暖房便座。 便器にどれかひとつだけオプションで付けてもいいと言われたら、僕は迷わず暖房便座を選びますね。別に無理して洗浄してくれなくたって紙で拭けば何とかなるし、臭いだって便所の中に5分も立てこもっていれば、そのうちに臭覚が麻痺して気にならなくなっちゃうんですが、便器に座った瞬間に便座が冷やっこかったりするのは、もう、どうにも我慢なりませんからね。 で、もし、大マケして、もうひとつサービスしちゃえ!…という流れになったとしたら、僕は脱臭のほうを選びたいと思うんですが、いくら臭いのはそのうちに慣れるとはいっても、慣れるまでの間はやっぱり臭いですからね。脱臭機能があるに越したことはありません。 対する洗浄のほうはと言うと、僕はあまりその必要性を感じておりません。よく、一度ウォッシュレットの快感を覚えてしまうと、もう元の便器には戻れない。…みたいな話を聞きますが、それほどのものですかね? ま、快感という点では確かにそうかも知れませんが、その洗浄能力に関しては僕は大きな疑問を持っております。チョロチョロっと水で流してみたくらいで、さほど綺麗になるとも思えないんですよね。それはまあ、カーピカランドにある高圧洗浄ガンくらいの水圧があればそれなりに効果もあるんでしょうが、そうなってくると今度は粘膜の損傷が心配になってくるし、やはり、おとなしく紙で拭いたほうが無難なような気がするんですよね。 ま、確かに痔だとか、下痢で粘膜が荒れたりしている場合には、非常にありがたい機能だとは思うんですけど。

 とまあそんなことで、今日は “ペンキ” のお話です。いくら便器ほどソソられるものがないと言ってみたところで、機械器具設置や配管業などを営んでいる僕たちの業界では、ペンキというのはどうしても避けられない分野なんですよね。 先日も、某水源地でポンプとピットの蓋を塗装した工事の完成検査があったわけなんですが、その場で僕は大いに慌てる羽目になってしまいました。 というのも、設計書ではポンプもピットの蓋も、どちらも長油性フタル酸樹脂系を使うという塗装仕様になっていたんですが、実際にピット蓋の塗装に使ったのはアルミニウムペイントという種類だったんですよね。 何でや?…と激しく追及されて、僕は大いに困ってしまったわけでありますが、いや、何でや?…と聞かれても、ペンキ屋が勝手にそれを塗っちゃっただけの話だしぃ。。。 そもそも今回の工事は他の現場と重なっていたのと、ペンキを塗っているところをぼーっと見ていたところで、さほど面白くもないよね?…といった理由で、ほとんどペンキ屋に任せっきりだったんですよね。結果、工事写真のほうも今ひとつ不出来で、その点でも検査官にいろいろと指摘されたわけなんですが、とりあえず、 「アルミニウムペイントが長油性フタル酸樹脂系塗料と同等の性能である旨を明記した協議書」 を後出しすることによって、何とかその場の追及から逃れることが出来たんですが、いや、本当にアルミニウムペイントにそれだけの性能があるのかどうか、僕が知っている筈もないんですけどー。

 そもそも、仕様書に長油性フタル酸樹脂系と書いてあるのに、勝手にアルミニウムペイントを塗ってしまったペンキ屋にすべての問題があるのであって、監督の僕にはまったく何の責任もないんですよね。元を正せばペンキ屋から貰った見積書に長油性フタル酸樹脂系と書いてあったので、僕はそれをそのまま役所に出したわけでありまして、にも関わらず、土壇場になってアルミニウムペイントに寝返ってしまったペンキ屋の背信行為は絶対に許されるものではありません。 どうしてそんなことになってしまったのか冷静に考えてみると…、あー、もしかしたら塗装色の関係だったかも知れませんな。 僕が土建屋経由で塗装作業を依頼した際、先方から 「色はどうすんの?」 と聞かれて、 「んーと、今と同じ色で〜。」 と、適切な回答をしたところ、「それでは分からん!ちゃんと色番号で言ってもらわんと!」 などと言われてしまったんですよね。 僕はエロ関係にはめっぽう弱い極めて真面目な青年だったりするんですが、色関係にもあまり強くはないんですよね。赤緑色弱だったりもするしぃ。。。 困ってしまった僕は、同じ現場でポンプの整備をお願いしたことのあるご老人に、 「あそこのポンプとピット蓋の色、何色やったっけ?」 と聞いてみたところ、 「ポンプは荏原色 (えばらしょく) や。で、ピットは色見本と合わせてみな分からん。」 と言って、色見本帳というのを貸してくれました。おおっ、実に役に立つ老人やん! でもまあ、わざわざ現場に行って色見本帳と照合するというのも面倒な話なので、とりあえず土建屋には 「ポンプは荏原色です。で、ピットのほうは…、とにかく今と同じ色っ!」 …という指示を与えておいたんですが、荏原製作所のポンプの標準塗装色である “荏原色” というのは、普通のペンキ屋にはまったく通用しないものであるらしく、ピット蓋のほうもその回答では許しては貰えなくて、結局は現場を見にいかされる羽目になってしまったんですけどね。

 で、自分なりに色について色々と勉強してみた結果、どうやら塗装の色というのは、赤とか、青とか、黄色とか、やまぶき色とか、ビリジアンといった絵の具の色みたいには簡単に話が進まないようで、マンセル記号というのがあったりするらしいんですよね。それが一体どのようなものであるのかを説明するのはとっても面倒なので、とりあえず ジェダイマスター山本 にでも聞いて貰うとして、いや、リンク先のサイトは今ひとつ面白くなかったりするので、最後まで真面目に読んだ人は皆無に等しいとは思うんですけど。 とにかくまあ、色にはマンセル値というのがあって、ペンキの色はその記号で示されるもののようなんですが、わざわざ頑張ってそのマンセル記号というのを調べてやっても、ペンキ屋というヤツは 「いや、マンセルでは分からん!」 とか言いやがるんですよねー。 何でもマンセル値というのは色の傾向を示すだけのものであって、メーカーによって同じマンセル番号でも微妙に色が違ってきちゃうんだとか。 そんな細かいこと、別にどうでもええねん! どうせこっちは赤緑色弱なんやから、細かい色の違いなんか、ぜんぜん分からんへんねん!…という気がするんですが、依頼を受け付けて貰えないことには先に進めませんからね。 で、そこで登場するのが “色票番号” というヤツなんですけどね。 これはどういうものなのかというと、(社)日本塗料工業会が出している塗装の標準色見本帳に付けられている番号でありまして、塗料によく使われている一般的な色が何百色と網羅されております。この番号さえ言ってやれば、さすがのペンキ屋もそれ以上、駄々をこねることはないという、なかなかのスグレ物なんですが、この色票番号というのはマンセル記号と1対1で対応しているので、結局はマンセルで言ってるのと同じぢゃん!…という気がするんですけどね。いや、ペンキ屋というのはどうにも気難しい輩でありますなぁ。。。

 で、問題の荏原色でありますが、荏原ポンプの塗装仕様書を見たらちゃんとマンセル記号が載っておりましたので、これはもう安心です。そのマンセル値に相当する色票番号を言ってやればさしものペンキ屋も、ぐうの音も出ないに違いありません。 が、色見本帳にですね、載ってないんですよね、これがまた。荏原の標準塗装色というのは、一般の塗装業界ではまったく標準的では無かったことが判明してしまったんですが、仕方が無いので色見本帳と見比べて、ま、似たような色やな。…と思えるような色相番号で代用するとして。 どうせ、全体を塗り直しちゃうわけなので、今まで暗い青緑色っぽかった奴が、いきなりショッキングピンクにでも変わったりしない限り、普通の人なら細かい色の違いまではバレないと思うんですよね。 実際、けっこう細かいところまでチェックする性質らしい検査官も、着工前と完成を対比して並べた完成写真帳を見て、微妙な色票番号の違いまでは指摘しませんでした。 もっとも、適当に完成写真を撮ったら着工前とはあまりにもアングルが違い過ぎて、「どうせ撮るなら、同じ構図にしてもらわないと。」とか言われて、色の違いうんぬん以前の問題だったんですけどね。 …というのは後々の話なんですが、一方のピット蓋はと言うと、これは既設がシルバーでありました。それが判明すればもう、色見本帳で似たようなシルバーを探してその色票番号を言ってやればいいんですが、これがまた載ってないんですよねー。 “なんとかシルバー” という名前のついたものが一応はあったりするんですが、これ、ただの灰色やろ?…としか思えないほど、ちっともシルバーではなかったりするんですよね。アカン、色票番号が分からんやん!これでまた、土建屋の兄ちゃんに叱られてしまいますなぁ。。。

 が、分からないものは仕方ないので、恐る恐る 「ピットの蓋は…、えーと、シルバーみたいな色なんやけど…。」 と申し出たとおろ、今まであれほどまで色票番号にうるさかった兄ちゃんがですね、わりとすんなり引き下がってくれたんですよね。 で、結果、ピット蓋に塗られたのが長油性フタル酸樹脂系ではなくて、アルミニウムペイントということになってしまったんですが、今から思うと長油性フタル酸樹脂系では、輝くようなシルバーの色は出せないということだったんですかね? なら、しゃあないやん!既設がシルバーなんやから、アルミニウムペイントに仕様変更したのは当然やん! 現場監督員としても僕の判断はまったくもって正しかったわけなんですが、いや、それを役所の担当者に無断で決断したというのは、ちょっとまずかったんですけど。 というか、設計書に書いてあったのが長油性フタル酸樹脂系だったというのも、実際に塗られたのがアルミニウムペイントだったというのも、僕はまったく把握していなかったんですが、仕様の違いを指摘されても何のことだかさっぱり分からなくて、 「はぁ?」 とか思ってましたもんね。 で、会社に帰って、慌ててアルミニウムペイントについて調べてみました。 えーと、フェノール樹脂あるいはアルキッド樹脂ワニスに、アルミ粉を混合したもの。…ということなんですかね? そもそも僕は長油性フタル酸樹脂系というのがどういうものなのかもよく分からなくて、長油性だからって、チョーヤの梅酒とは何の関係も無いということくらいしか把握していないんですが、ま、フェノール樹脂も、アルキッド樹脂も、フタル酸樹脂も、樹脂の一種には違いないので、それにアルミの粉を混ぜてみたところでピカピカして綺麗になるだけで、塗料の性能としてはまったく問題が無いということですよね、これはおそらく。

 僕は自信を持って、 「アルミニウムペイントはとっても綺麗で、長油性フタル酸樹脂塗料と比べても耐久性の面でまったく問題がなく、よってピット蓋塗装の仕様を変更することを推奨致します。」 という旨の協議書を今さらながらでっち上げた次第でありますが、内容的に今ひとつ自信がなくて、突っ込まれて嫌な思いをするのも嫌なので、とりあえず連休明けの火曜日にタカシマ君に持っていって貰おうと思っております。 タカシマぁ、塗装の仕様くらいはちゃんと勉強しとけよなー! ということで、今日のところはおしまい。

 ということで今日はスタンリー・タレンタインなんですが、いや、世の中、何事も日々勉強だよな。…と思いますね。ジャズに関してもまだまだ勉強しなければならないことがたくさんあるんですが、とりあえず今日は 『イージー・ウォーカー』 というのを紹介したいと思います。タイトルの意味するところは “簡単歩き人” で、だいたい合っているとは思うんですが、あるいはもっと深い意味があるのかも知れませんが、とりあえず翻訳ソフトにかけてみた結果も “容易な歩行者” となって、さほど大差はありませんでした。 とまあそれはそうと、このアルバムはジャケットがよいですなー。ブルーノートの4000番代にはギャルをあしらったジャケが何枚かあったりするんですが、その中でも9本の指に入る素晴らしい出来ではないかと思います。9本だから、北朝鮮のミサイル発射に抗議して切断した自分の指を朝鮮総連に送りつけた、右翼の無謀なお兄さんだって大丈夫でありまして、特にこの腰のあたりのラインが何とも言えず、せくすぃ〜でありますな。 ただ、服装のセンスをもうちょっと何とかしろよ!…と、このネエチャンには言いたくなりますけどね。シルバーの円盤をこれだけたくさん服にぶら下げたら、きっとカラスにつつかれることになると思うんですが、キラキラしたものが好きらしいですからね、カラス。その意味でアルミニウムペイントというのは耐候性には問題ないとしても、耐カラス性という点ではやや心もとない気もするんですが、でもまあ部屋の中だからきっと大丈夫だと思いますけどね。

 とまあそんなことで、スタンリー・タレンタイン。 その昔、 “スタンリー鍛錬隊員” という 体を鍛える集まりの隊員を募集したりしたこともありますが、アメリカでいちばん高いギャラを取るとされるこの男も、日本での人気はさほどでもありませんな。我が国ではソウル系のミュージシャンは軽視されがちな傾向にあったりするんですが、そんなスタタレ嫌いの貴方にもお薦めの1枚がこの 『簡単歩き人』 でありまして、マッコイ・タイナーのトリオを従えたワン・ホーンという編成からは、真っ向、マッコイ勝負のストレートなジャズが展開されていることが期待され、でまた、僕の持っている輸入盤CDにはオリジナルの6曲の他に “previously unissued” な1曲と、BNLTシリーズで出された4曲がオマケで入っていたりして、お得感もひとしおだったりするんですよね。 とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。 まずはえーと、 「ミート・ウェイブ」 という曲ですか。タイトルの意味は “肉波” ですかね? 僕は子供の頃によく、お使いで柿安まで “牛並” を買いにいかされたものですが、 “肉波” というのは初耳ですな。作曲したのはハンク・ジョンソンという人なんですが、聴いてみると確かに、ちょっぴり肉の波っぽい雰囲気が漂うジャズ・ロック調のナンバーに仕上がっておりまして、ま、幾分、軽くて安っぽい感じもあるんですが、ノリがいいのでアルバムのオープニングとしてはうってつけであると言えましょう。マッコイが入ったところで、タレンタインが急にコルトレーンみたいになってしまったりしたら、それはそれでちょっと嫌ですもんね。 で、テーマに続いてスタタレが 魂を感じさせるソウルなソロを披露して、でもって、続いてはマッコイ のピアノ・ソロでありますか。これがまた、何ともポップな仕上がりとなっておりまして、彼がジャズ・ロック調のナンバーを嬉々として演奏している姿は、熱血硬派で恐い顔のマッコイが好きっ♪ …というコアなファンにとっては、ちょっとショックかも知れません。ピアニストのキャラまで変貌させてしまうとは、スタタレ・マジック、おそるべし! で、最後に再びタレンタインが登場して、ひとくさりテナーを吹いて、テーマに戻って、おしまい。 ま、元気があって、よろしいのではないでしょうか?

 でもやっぱり、タレンタインって何だか下品なんだよね。…と思ってしまったアナタはですね、2曲目の 「ゼイ・オール・セイ・アイム・ザ・ビッゲスト・フール」 を耳にした瞬間、その考え方が間違っていたことを思い知らされることになるでしょう。ソウルでアーシーではあるんですが、決して上品ではない。そんなバラード・プレイが展開されておりまして、いや、やっぱり下品であるには違いないんですけどね。が、彼の場合、この黒っぽさが持ち味であるわけでして、白いスタタレなんて、糞っタレだと思うわけなんですよね。 で、前曲ではずいぶんとポップだったマッコイが、ここではラブリー&キュートなキャラと化してタレンタインをサポートしておりまして、その助演ぶりは大いに評価してもいいと思います。助演をエンジョイといったところでしょうか。 個人的には、援助交際のほうがエンジョイ出来るかな?…などと思っている人もいるかも知れませんが、何とも怪しからん話でありますな。ついでに言うと、自分の家が炎上というのも、あまりエンジョイ出来ないシチュエーションだったりするんですが、限りなくスロー・ブルースに近いバラード…といった感じの、独特の味わいのある1曲なのでありました。それはそうと、 「彼らはみんな、僕が最大バカだと言う。」 というタイトルには、かなり笑えるものがありますなー。

 ということで、3曲目です。 「ユアーズ・イズ・マイ・ハート・アローン」 は、とっても調子のいいナンバーです。ピアノのイントロからしてもう、ノリノリの “のりピー” 状態でありまして、いや、ノリノリのノリスケさん状態というのは前に一度使ったことがあるので、今度はちょっとパターンを変えてみたんですけどね。ノリピーと言っても今の若いヤングはピンとこないかも知れませんが、その昔のぉ、酒井法子というオナゴがおってのぉ、世間では “のりピー” と呼ばれておったんぢゃ。…って、いや、長老になるほど昔の話というわけでもないんですが、最近ではキティちゃんと組んで “ハローキティ ピーピー リコリノ” なるブランドをプロデュースしたりしているようです。 キティといっしょで 「マンモスうれピー。」 と書かれた記事を見て、僕はちょっぴり頭が痛くなってしまいましたが、今年でもう35歳になるんですかぁ。何だかすっかり大人っぽい雰囲気のオンナに成長していて、びっくりしてしまいましたが、そろそろ “のりピー語” は卒業して欲しいピー♪ と、思わずにはいられません。あ、僕の使いかた、ちょっと間違ってますかね?  で、話は確か、ピアノのイントロがノリノリであるというところまで進んでいたと思うんですが、その調子のよさはテーマ部に入っても依然として持続しておりまして、いかにも小歌小歌した感じのなかなかキュートな曲ではありませんか。 で、ソロ先発のタレンタインがケレン味の無いブロウをブチかまして、で、続いてマッコイが転がるようなタッチのおさわりを披露して、いや、おさわりは関係ありませんな。転がるようなタッチのピアノを披露して、でもって、テーマに戻って、おしまい。 それにしても何ですな。あだち充の 「タッチ」 というのは、名前に反して “おさわりシーン” がほとんど登場しない、実に爽やかな漫画でありましたなぁ。 ちなみに僕の高校時代のヒーローは “ミナミちゃん” だったんですが、いや、 「タッチ」 に出てくる浅倉南ではなくて、 『おーい!はに丸』 で “かんだくん” の役をやっていた三波豊和なんですけど。

 ということで、4曲目です。アルバム・タイトル曲の 「イージー・ウォーカー」 なんですが、あ、これはビリー・テイラーのオリジナルなんですな。そこそこ実力はありながら、日本ではあまり人気がない。…という点で、タレンタインとビリー・テイラーは共通するものがあるんですが、とっても “簡単歩き人” らしい、ゆったりとしたウォーキング・テンポのブルージー&キュートな曲調のナンバーでありますな。 テーマ部に続くスタタレのソロは持ち味が十分に発揮された餅味の餅。…と言った感じでありまして、ま、餅なんだから餅の味がするのはもちろんなんですけどね。 で、続くピアノのソロは誰が聞いても絶対にマッコイとは思えないほど、彼の持ち味がまったく感じられないものだったりするんですが、こんなウイントン・ケリーの顔をちょっぴり恐くしたような弾きかたをするマッコイというのは、初めて聞きましたな。何か、悪いものでも食ったんですかね? 悪いものと言うと、例えば “悪いイモ” とか、そういったものなんですが、ジャガイモの芽はナマで食べると毒だと言いますからね。でもまあ、珍しくマッコイがこういうキャラだったりするのも悪い話では無いので、イモさまさまであると言っていいかも知れません。 とまあそんなことで、ピアノのソロが終わるとテーマに戻って、そうこうしているうちにこの曲は、おしまい。 で、続く5曲目の 「ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ」 がこの上なく巧みで絶妙だったりするんですが、これ、どこかで聴いたことのあるメロディだと思ったら、バカラックのナンバーなんですな。バカラックという人は馬鹿だったことで有名なのではなく、美しいメロディを書く人として広く世間に知られているわけですが、哀愁味を帯びた 「世界が今必要とするのは、愛である」 というこの曲も、実に日本人好みで素晴らしいですね。そうだよね。今、世界が必要としているのは “愛” なんだよね。…と、思わず愛人バンクに走りたくなってしまうような魅惑的な旋律がタレンタインの下品さを中和して、ちょうどいい感じの仕上がりになっております。中間部で聴かれる転がるようなタッチのマッコイのピアノも極めて優れて絶品でありまして、いやあいいですなぁ、バカラック。

 …と、この余韻に浸ったまま今日のところは終わりにしたいところなんですが、このLPにはまだ1曲ほど残っております。輸入盤CDだとあと6曲も残っていて、こうなってくるともう、お買い得というよりも有難迷惑な領域なんですが、ま、6曲目の 「アローン・トゥゲザー」 は僕の好きな曲でありますので、まだ許せるとして。 原曲はスローなバラードだと思うんですが、ジャズの世界ではスインギーなミディアム・テンポで演奏されることが多くて、で、このスタタレ・バージョンもご多分に漏れず、尿漏れもせず、そのような味付けがなされております。 タレンタインの持つ泥臭いブルージーさと、哀愁を帯びた曲調とが絶妙にマッチして、なかなかの仕上がり具合だね。…と、テーマ部を聴いた時点では思っていたんですが、アドリブに入ると次第にアクが強くなって、ちょっぴりクドくもなって来て、アルバムの最後を飾るにしては、やや上品さに欠ける嫌いがありますかね? そんなことでまあ、有難迷惑ではあるものの、CDオマケ曲の展開に期待せざるを得ない展開になって来ましたが、7曲目は 「ア・フォギー・デイ」 と、これまたお馴染みのスタンダードを持って来ましたね。録音日としては本編の約1年後ということになるんですが、ドラマーがミッキー・ローカーからレイ・ルーカスに代わる以外、メンバーがほぼ共通しておりますので、オマケに持って来たということなんでしょう。 で、演奏のほうはと言うと、6曲目同様、スインギーなミディアム・テンポの設定で、 ややアクが強くて、ちょっぴりクドくなるところもほぼ同様でありますな。これではとてもアルバムの最後を締めくくるには値しないと言わざるを得ませんなぁ。。。

 ということで、 『エイント・ノー・ウェイ』 というアルバム・タイトルで世に出されたこともあるオマケの残り4曲に望みを託してみることにしましょう。ちなみにこのアルバムには元来、全部で5曲が収録されていたようなんですが、どういうだけだかタイトル曲だけオマケから外されていて、何とも中途半端な作りになってしまっているんですよね。アメリカ人の考えることはどうも今ひとつよく分かりませんが、 「エイント・ノー・ウェイ」 というタイトルが何となく “会陰 (えいん) ” を連想させて、よくない。…という教育的配慮から、ボツになったのかも知れませんね。 “会陰” で、健全なる青少年がコーフンしたら困るということなんすかね? ま、この言葉を耳にしてアメリカ人がコーフンするようなことはまず無いと思うんですが、そんなことで8曲目には 「スタン・シャッフル」 という曲が入っております。 「スタンのごちゃまぜ」 という名前からしてスタンリー君のオリジナルであることが分かるんですが、幾分、行進曲っぽいビートに乗った、ややベタなナンバーでありますな。 ま、所詮はオマケ曲なので、あまり多くを語る義務は僕にはないわけでありまして、ということで、次です。  「ワッチ・ホワット・ハップンズ」 。 これはアレですな。実にしみみじとしたバラードでありますな。下品なところなどみじんも感じられない深い味わいのテナーが、彼がスタンリー・タレンタインであることを忘れさせてしまいますが、こんな “おかずゼロ” のストレートな吹き方も出来る人だったんですね。いや、ちょっぴり見直しました。 ちょっぴり見直しはしたんですが、所詮はオマケ曲なので、あまり多くは語らずに先に進むとして、えーと、次は 「インターミッション・ウォーク」 という曲ですな。 “インターミッション” というのはわりとよく耳にする言葉なんですが、どういう意味でしたかね? 股が痒くなる皮膚病?…って、それは “インキンタムシやん” 。微妙に違いますよね。で、ちょっと調べてみたところ、どうやら “休み” とか “休憩” といった意味のようなんですが、ということは、この曲のタイトルは 「休み歩き」 ということなんですかね? 休むんなら歩いてないで、休んでろって!…と思わずにはいられませんが、ま、走っている最中なら休んで歩くというのもアリかも知れませんけどね。ちなみにこれはスタンリーの兄であるトミー・タレンタインの作曲のようですが、おまけ曲であるにも関わらず、途中でボケまで入れてしまったので、これ以上その内容にまで踏み込むことはヤメにしておきましょう。ま、簡単に言えば、いかにも歩いているような感じのする、とってもウォークで魚九 (うおく) な演奏である。…といったところでしょうか。三重県の美杉村のほうにあるんですよね、魚九 (うおく) というホテル。魚 (うお) を食うにはとってもいいところみたいですが、ま、クソ山奥に位置しているので、魚と言っても川魚なんでしょうけどね。

 ということで、いよいよCDのほうでもラストということになりました。ここでアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲、 「ウエィブ」 を持って来たかぁ。…というのは、最後を締める当たって、なかなかいい選択だったと思いますね。 で、この演奏がですね、露骨にラテン系に走ることもなく、いや、無論ベースはボサノヴァ調なんですが、タレンタインの持ち味を阻害しない程度に泥臭さも残されていたりして、泥鰌なんかはすべて泥を吐き出させたほうが美味しいんですが、この人の場合、あまり淡泊になり過ぎちゃうのも何だかつまらないですからね。 並の 「波」 ではなく、 “18歳、奈美の恥じらい女子校日記。” を彷彿させる 「波」 とでも申しましょうか。いや、 “奈美” でググってみたら真っ先にそんなブログがヒットしたんですが、いやあ、奈美ちゃん、すんげぇ可愛いやん♪ いやあ、これはいいもの発見しましたなぁ♪…って、これ、単なるAVギャルの宣伝やん! しかもSMやしぃ。。。 ということで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

  「肉波」 で始まり、普通の 「波」 で終わる。そんな1枚です。いや、だから何なんや?…と言われると、別に何がどうというわけでもないんですけど。 肝心のマッコイがちっともらしくなくて、演奏自体はまるっとタレンタイン・ペースでありましたが、作りとしてはオーソドックスで、ソウル嫌いのハード・バップ好きの人にも十分に耐えられるサウンドなのではなかろうかと。 ただ、おまけが6曲というのは、やはりちょっと多すぎて、最後のほうはダレますなぁ。珠玉のバラード+ 「波」 の2曲くらいでよかったのではないか?…という気がします。 ま、何はともあれ、本編のバカラック・ナンバーを聴くだけでも、買う価値のある1枚でありましょう。



INDEX
BACK NEXT