LOU TAKES OFF (BLUE NOTE)

LOU DONALDSON (1957/12/15)

LOU TAKES OFF


【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) CURTIS FULLER (tb) LOU DONALDSON (as)
SONNY CLARK (p) GEORGE JOYNER (b) ART TAYLOR (ds)

【収録曲】

SPUTNIK / DEWEY SQUARE / STROLLIN' IN / GROOVIN' HIGH
【解説】

 いやあ、ちっとも盛り上がりませんな、トリノ・オリンピック (2月14日現在) 。今ひとつ盛り上がらない要因のひとつはテレビの放送時間にもあるわけなんですが、決勝が日本時間の真夜中から早朝にかけて行われることが多くて、とてもナマでは見ていられません。で、結果だけを朝のニュースで知らされることになるんですが、 『トムとジェリー』 の 「人造ネコ」 の巻で、太ったお手伝いさんが 「やっぱりネコは生がいちばんね♪」 …と言っていたのと同じく、オリンピックも生で見ないと、どうも盛り上がりませんなー。ちゃんと日本人の都合を考えているのか?…と思わずにはいられませんが、ま、そんなもの、ちっとも考えていないに違いないんですけどね。 が、やはり、ちっとも盛り上がらない最大の要因は日本人選手の不振にあるわけでして、ま、そもそも冬のオリンピックなどというものは日本人がそれほど活躍出来るものではなかったんですけどね。スピードスケートとかフィギュアスケートあたりで銀と銅が2〜3個取れればいいところでありまして、それがいつからこれほどまで日本人選手にメダルの期待が掛けられるようになったのかと言うと、長野です。長野オリンピックがあまりにも盛り上がり過ぎてしまったんですよね。清水だ!里谷だ!船木だ!原田だ!名前は忘れたけどショートトラックの誰かだ!…と、金メダルをいっぱい取り過ぎて日本中が盛り上がって、あれで燃え尽きてしまったんですよね。僕の家は小学5年生の時に火事で全焼して、燃え尽きた後にはポータブル便器だけが残されたんですが、今の日本チームは便器になってしまったと言っていいかも知れません。

 とまあそんなことで、まず最初は “女子モーグル” でありますか。モーグルというのはですね、凄いですよね。僕も人並みにスキーを滑ることが出来て、八方尾根では滑降競技で使われたコースだって何とか大コケしないで下まで降りてくることが出来るんですが、コブは駄目です。あれは確か白馬五竜でありましたか。タラタラの緩斜面に人工のコブを作ったコースがあって、地元民らしいガキがぴょんぴょんと楽しそうに滑っているので、これくらいなら何とかなるやろ。…と思って軽い気持ちで滑ってみたところ、玉砕しました。大コケして、とんだ恥さらしでありましたが、コブを滑るというのはそれくらい艱難辛苦に満ちたものなんですよね。そんなコブ斜面をいとも簡単に滑って、おまけに途中で2回もジャンプしたり、グルグル回ったりするのだから、モーグルという競技は半端ではありません。 で、長野の時はですね、地元出身の女子高生♪…ということで上村愛子が大いに持て囃されたんですが、あまり注目されていない里谷多英が気楽に跳んで滑って、まさかの金メダル♪…という結果でありましたな。 で、トリノでは上村愛子が5位で、週刊誌に “夜の大開脚” という記事を書かれた里谷は15位という結果に終わったわけですが、ま、順当なところではないですかね?愛子タンもとりあえず、お母さんとお友達から紙皿で作った金メダルを貰ったみたいだし、よい思い出になったことでありましょう。

 期待に応えて大いに盛り上げてくれたのがくれたのがジャンプの原田クンでありまして、ま、恐らく失敗ジャンプか大失速かのどちらかやろな。…という大方の予想を覆して、そこそこのジャンプながらも、失格。…という結果に終わりましたな。履いていた板を使うには体重が200グラム足らなかったそうなんですが、ま、決勝に出ていたとしても失敗したり失速したりしたに違いないので大勢に影響はないんですけどね。で、ノーマルヒルの結果は伊東大貴クンが18位、葛西クンと岡部クンはそれぞれ20位と23位という成績だったんですが、情けないとか、もっとしっかりせえよ!…とか、そういうことは言いません。じゃ、アンタが自分で飛んでみろって!…とか言われたら嫌ですもんね。一度、白馬のジャンプ台に見学に行ったことがあるんですが、あまりの高さに半泣き状態になって、ビビって途中で引き返してしまいましたからね。もし無理矢理スタート地点に立たされたりしたら、恐らく小便を200ccほど漏らして体重が200gほど軽くなって、失格になるに違いありません。漏れないおむつムーニーちゃんを装着していれば、たとえチビったとしても体重は減らずに済んだのにぃ。。。

 ということで、続いては “男子ハーフパイプ” でありますが、これまた大いに期待外れでしたよね。そもそもスノーボードの選手というのは何だかチャラチャラしているので、おじさん達の間では不評だったりするんですが、僕も彼らにはあまりよい印象を持っておりません。自分が去年ボードに挑戦して、まったくモノにならずに挫折しちゃったから言うんですが、あれは非常に不自然なスポーツだと思うんですよね。両足が板の上に固定された状態で、滑ったり跳んだり跳ねたりしようと考えること自体が間違っておりまして、拘束プレイを試してみたことがある人ならよく分かると思いますが、両足を束縛されるというのは非常に不自由なものなんですよね。それでも何とかしちゃうスノーボーダーというのはそれなりに凄いと思うんですが、ハーフパイプの選手はキャラクター的にやや問題があるような気がしないでもありません。例えばですね、まず最初に国母和宏なんですが、彼の場合は “国母” という変な名字にやや問題があると思います。 “コクボ” なら普通に “小久保” でエエやん。…という気がするんですが、どうしてまた、わざわざ “国” や “母” などという不自然な漢字を使っちゃったんですかね? 世の中で “母” という字が付く名字としては、国母クン以外には雲母星人くらいしか思いつかないんですが、これはまあ、本人の努力とかではどうにもならない問題でありますので大目に見ておくとして。で、どうしても大目には見れないのが国母クンの髪形でありまして、名前に “母” という字が付く上にあの長髪なので、最初に見た時は子持ちのギャル系選手なのか?…と思ってしまった程でありまして。国母クンもまだ高校生なんだから、もうちょっと爽やかな髪形を目指して欲しいところであります。タイガースの井川と一緒に、早く床屋に行けよ!…と忠告しておきたいと思います。

 で、名前がヘンと言えば、最大の問題なのは何と言っても成田童夢でありましょう。これも本人の努力とかではどうにもならない問題なので、童夢クンにはまったく罪がないんですが、親の努力次第で何とでもなる話なので童夢パパには何とかして欲しかったところでありますな。ま、百歩譲って “童夢” はまだ許せるとしても、妹の “夢露(メロ)” というのは問題外です。 “夢くらぶ” の主宰者として、どうしても “夢” という字に拘りたいのなら、読み方は “ムロ” にしておくべきだし、それでは何だかムロアジみたいで、やだ。…というのなら “夢” の字は諦めて “目露” とか “芽露” とか “女露” とか “雌轤” にするべきです。いや、最後のは相撲取りの “麒麟児” と同様、サインをする時に非常に面倒なだけの話なのでヤメといたほうがいいかも知れませんが、彼女自身 “夢露” という名前はあまり気に入ってなかったようで、父親から独立して実母の姓を名乗るようになったのをきっかけに “今井メロ” と改名しちゃいました。 “成田夢露” よりも“成田メロ” のほうが語感もいいのでこの改名には僕も賛成なんですが、後は “着” とか “懐” という名字の人を捜し出して結婚して、“着メロ” とか“懐メロ” という名前になるのを待つだけですな。

 で、 “夢露” 以上にまったくもって論外なのが童夢クンの弟の “成田緑夢(ぐりむ)” でありまして、ここまでくると何でもアリと言うか、もはや3人目はヤケクソと言おうか。どうしても “童夢” と韻を踏ませたいという思いは分からんでもないんですが、それならまだ “我夢(がむ)” のほうがマシだと思うんですよね。でもそれは 「愛はかげろう」 という歌が大ヒットした一発屋と同じ名前だしぃ。…と言うのなら、 “成田歯夢(はむ)” という手だってあります。 “姉歯” という珍しい名字がこれほどまでポピュラーになってしまった今となっては、名前に “歯” という字を使うのもタブーとは言えなくなりましたからね。 ま、百歩譲って “ぐりむ” という読み方だけは許すとしても、もうちょっと違った漢字を使うべきだったと思いますね。例えば、土木建築の世界には比較的サイズの大きな砕石を示す “栗石” という言葉があるんですが、これは “くりいし” ではなくて “ぐりいし” と発音することになっております。よって、 “成田栗夢(ぐりむ)” という名前であれば万人が納得…とまでは言わないまでも、少なくとも土建屋業界からはクレームが付かなかったと思うんですよね。にもかかわらず、どうして “緑夢(ぐりむ)” などという無理な読み方にしちゃったんでしょうね? …と思っていたら、その謎はわりと簡単に判明しました。緑はグリーンだから、 “ぐりむ” 。ああん、なるほどぉ♪

 …という名前の問題はとりあえず置いといて、成田童夢クンの場合はそのキャラもかなり問題がありますよね。「行くぞぉぉぉぉぉ〜!」…という甲高い叫び声はもはや国辱モノであるという意見もよく耳にするんですが、オリンピックではよりによって、 「国民的行事ぃ〜〜!」…と叫んでいたという噂もあります。ま、バックで流れていた曲がそういうタイトルなので仕方がないと言えばそれまでなんですが、 それで高得点をマークしたならまだしも、あっさり予選落ちではあまりにもイタ過ぎます。でもまあ、負けて泣いている姿を見て、ちょっとは許してやろうという気になりましたけどね。根は意外といいヤツだったりするのかも知れません。 で、続いては “女子ハーフパイプ” でありますが、偉大なる兄貴に続いて、今井メロちゃんも痛かったですね。いきなり大技の “メロウセブン” に挑戦して2回とも大コケして、担架で運ばれるというのはあまりにも痛い結果に終わってしまいました。ラップの歌詞を考えている暇があったら、もっとボードの練習をしておくべきだったね。…という気がしないでもないんですが、ま、もう終わってしまったことですからね。そっとしておいてあげましょう。で、メロちゃんを除く3人は決勝には進出したので、男子よりはぜんぜんマシでしたよね。中でも中島志保は岐阜県は養老町の出身ということで、かなり注目していたんですよね。養老なんてのは桑名のお隣のようなものなので贔屓しないわけにはいかないんですが、鈴鹿高専の機械工学科を中退し、ガソリンスタンドで働いて貯めた20万円で初めて自分のボードを買ったというエピソードも泣かせますなぁ。オリンピック代表に決まってからもガソリンスタンドの手伝いをしていたそうで、そういう義理堅いギャルというのはとっても素晴らしいと思います。決勝の結果は9位と残念ながら入賞は逃しましたが、堂々と養老町に凱旋帰国してくださいね。

 とまあそんなことで、そろそろ1個くらいはメダルを取ってくれることに期待して、五輪ネタは次回に続きまーす。

 とまあそんなことで今日はルー・ドナルドソンなんですが、とか言ってるうちにどんどんオリンピックも日程を消化しておりますな。2月17日現在、未だにメダルはゼロ。4位とか、惜しいところまでは行くんですけどね。…という話はとりあえず次回に温存するとして、先週はですね、藤沢にあるエバラの工場へ立会検査に行っておりました。エバラの工場ならお昼はきっと、焼肉食べ放題&焼肉のタレ飲み放題だよね♪…と思って期待してたんですが、エバラはエバラでもエバラ食品ではなくて荏原製作所というところだったので、全然でありました。というか、お昼を頼んでいなかったので自腹だったんですけどね。エバラの近くで自腹で食べようと思っていたんですが、朝、家をゆっくり出たらお昼を食べる時間がなくなって、工場検査が終わってから新横浜駅の待合室でシューマイ(6個入り)を買って、カジりました。美味しかったっす。で、今日の前半ネタは新幹線の中で書いたんですが、帰りはですね、3人掛けシートの空席を挟んだ隣が、若いギャルでありました。いや、だから何がどうなんだ?…と言われると、別に何がどうということもなかったんですけどね。 ということで、今日は 『ルー・テイクス・オフ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、このコーナーで取り上げるのは初めてなんですかね?こんな単純明快で書きやすそうなジャケットを僕が今まで放置しておく筈がないような気がするんですが、とにかくまあ 『ルー離陸』 でありますな。このセッションが行われる2ヶ月ほど前に、ソ連が人類初の人工衛星 “スプートニク1号” の打上げに成功しているんですが、当時の宇宙開発というのはアメリカよりもロシアのほうが進んでいたんですよね。この分野では日本も負けていなくて、人工衛星…は無理としても、衛生車の開発には既に成功しておりまして、全国各地の汲み取り便所で大活躍していたわけでありますが、そんなことでまあ、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目はルーさんのオリジナルで、人類初の人工衛星に因んで 「スプートニク」 というタイトルが付けられております。個人的には 「スープと肉」 のほうがいいかな?…という気がしないでもないんですが、この曲はですね、シンプルで単純な急速調のブルースとなっております。 「ホワット・イズ・ディス・シングス・コールド・ラブ」 のコード進行に基づいて作られたものなんだそうで、AABA形式の “Aの部” は粗削りな3管ユニゾンで、 “Bの部” はルーさんのアドリブで演奏されております。ドナルド・バードカーティス・フラールー・ドナルドソンの3管に、ピアノがソニー・クラークということで、もっとまったりしたファンキーな仕上がりを予想していたんですが、イケイケどんどんのジャム・セッションだったんですな、こりゃ。 ま、その分、各自のソロはとてもはっちゃけておりまして、特にここでの先発のルーさんのアドリブはよいですな。まさしくパーカー直系っ♪…といった感じのケレン味のない吹きっぷりは清々しいばかりです。めくるめくようなフレーズ、そして、めくりたくなるようなブリーフ…って、いや、あまり男のパンツの中身というのは確認したくないものでありますが、続くフラーのソロはですね、まあまあといったところですかね?やはりこれ程のアップ・テンポともなるとトロンボーンという楽器はちょっと不利であるかも知れません。ここでのボントロは、ま、 「かっぱ寿司」 のネギトロ程度やな。…という気がするんですが、所詮は100円寿司だけあって、まともなお魚系のネタはどれも今ひとつでしたからね。ハンバーグみたいな邪道系はけっこうイケたんですけどね。 で、続くドナルド・バードのソロは上滑りしている感じがこの人らしくて、ぼちぼちといったところでしょうか。個人的には続くジョージ・ジョイナーのウォーキング・ベース風ソロがけっこう好きでありまして、ジョイナーはよいなー。 …と思ったりもしたんですが、で、ソニー・クラークのまずまずのソロがあって、あとはえーと、 tp→ds→tb→ds→as→ds の4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。

 いや、今日のアルバムは全部で4曲しか入っていないので、もっと余分なことを書いて行数を稼がなければならないというのに、淡泊な出来となってしまいました。2月19日現在、あまりのオリンピックでの日本チームの成績の悪さにヤル気も失せるというものですが、何でもいいけど世間ではトリノ・オリンピックの “鳥のオリンピックねた” というのが蔓延しておりますな。鳥のオリンピックって、ニワトリとかカラスが出場するの?…みたいなつまらないボケを聞かされる度に気分が憂鬱になるんですが、自分が言おうと思っていたとっておきのギャグを他人に先に言われてしまうと、かなりムカついてしまいますよね。何だか悔しいので無視していると、「ほら、鳥のインフルエンザとか、そういうのあるじゃん。」…って、いちいち解説してくれなくてもいいって!…と、ますます気分が荒んでくるわけですが、そんなことでまあ、2曲目は 「デューイ・スクエア」 でありますか。パーカーの曲らしいんですが、僕はこの曲を知りませんでした。オリジナルは 『チャーリー・パーカー・オン・ダイアル』 で聞けるそうなんですが、サヴォイの完全版同様、あまり真面目には聴いたことがありませんからなぁ。で、この曲はアレですね。なかなかメロディアスな今井メロ…といった感じで悪くないですよね。AABA形式の “Aの部” は粗削りな3管ユニゾンで、 “Bの部” はドナルド・バードのアドリブで演奏されております。…といったところは1曲目と似たようなパターンなんですが、テーマのいちばん最後のところだけ微妙にハモったりしているところに、そこはかとなくハード・バップの美学を感じ取ることが出来るのではなかろうかと。 でもって、ソロ1番手はカーティス・フラーでありますか。前曲での彼のアドリブを僕はあまり評価していなかったんですが、今度はですね、大丈夫です。ミディアム・ファストくらいのテンポだと俄然、この人のよさが滲み出てくることになるんですが、地味であるが滋味のあるシジミエキス…といった感じで、何だかとっても肝臓によさそうな感じがしますよね。桑名というところはハマグリで有名なんですが、実はシジミのほうがたくさん取れて、市町村合併で桑名市になった旧・長島町にある 「なばなの里」 というところでも “しじみコロッケ” というのが売られております。美味いのか?…と言われると、お世辞にもそうは思えんのですが、では不味いのかと言うとそんなこともなくて、ごく普通のシジミの入ったコロッケやな。…といった感じなんですが、いや、あまりシジミの味はしないんですけどね。個人的には柿安のコーンコロッケのほうが断然オイシイと思います。コーンがたっぷり♪…というか、コーン以外には何も具が入ってないような状態なんですが、もろこし好きにはたまらないんですよね。ま、検便の前日のメニューとしては不適である気がしないでもないんですけど。

 で、しみじみとしたフラーに続いては、ルーさんのソロでありますか。前曲同様とってもパーカー・ライクなんですが、飄々とした兵六餅といった感じの吹きっぷりがいかにもこの人らしいですよね。どこかで聴いたことのあるバップ曲の一節を引用したりして、余裕綽々、釈由美子…といったところでしょうか。続くドナルド・バードのソロは、ま、いつもの調子でありまして、相変わらず上ずったようなフレージングでありますな。ま、別に悪くはないのでこれでいいとは思うんですけどね。続くソニー・クラークはシングル・トーンで粘っこいタッチを披露しておりまして、こちらはなかなかと言ったところでしょう。ということで、調子のよいテーマ部に戻るわけでありますが、今度はAABA形式の “Bの部” のところがベースとドラムスのアドリブとなっておりまして、これはなかなかナイスなアイデアだと思いますね。こういった何気ない仕掛けがハード・バップなんだと思います。 ということで、3曲目です。ルーのオリジナル 「ストローリン・イン」 ですな。 strollin' というのは、ふらついているな。…といった意味だと思うんですが、確かにこう、ふらついた感じの曲調でありますな。もし、1曲目の 「スプートニク」 がこの曲だったとしたら打ち上げ失敗は必至といったところでありますが、日本のH2ロケットはまたしても打ち上げに成功しましたね。衛生車の時代からすると日本の宇宙開発も少しはマシになったような気がするんですが、日本のロケットというのはジャンプの原田クンと同じくらい、イチかバチか…といった不安が付きまといますからね。で、この曲は金メダル確実@加藤ジョージ・ジョイナーのウォーキングで幕を空けるわけですが、いや、加藤ジョージ君は結局6位どまりだったんですけどね。で、ベースのイントロに続いてテーマが演奏されるんですが、トランペット&トロンボーン(?)とトロンボーン&アルト(?)によるコール&レスポンス形式のシンプルなリフ・ブルースとなっておりまして、グルーヴィなムードという点ではこの曲が一番ではなかろうかと。ジャム・セッションというのはとどのつまり、この手の演奏がいちばん盛り上がるんですよね。城崎の水族館ではとどのつまり、トドのダイビングがいちばん盛り上がっていたんですけどね。

 で、ここでのソロ先発はドナルド・バードなんですが、日本語ライナーで久保田高司も褒めているように、なかなかいい出来だと思いますね。ここまでの2曲で私は彼について触れなかったが、それは悪くはないが他のソロイストのほうがやや抜きんでているからであるし、ここでの好プレイを褒めたかったからでのあった。…と高司クンは書いておりますが、僕もここでの好プレイを褒めてあげたいと思います。いいぞぉ、バードぉ! いや、どこがどのようにいいのか言葉で説明するのは難しいんですが、聴いていて悪くないよね。…という気がするので、おそらく出来はいいほうなんだと思うんですよね。この人はミディアムくらいのテンポのほうが持ち味が発揮されるのかも知れません。それは続くフラーやルー・ドナルドソンにも当てはまるんですが、これくらいのテンポでしみじみとブルースを吹くルーさんって、やっぱり味がありますなぁ。…と、この曲でもあまり書くことはんかったりするんですが、その後のジョージ・ジョイナーのベース・ソロはかなりイケていると思うんですよね。フロレンス・ジョイナーのように軽快なランニングではないんですが、地に足の付いたドス黒いベースの響きは、まさしくレッド・スネーク・カモーン!…といった感じでありまして、いや、レッド・スネークはドス黒くもなければ、地に足も付いていないんですけどね。というか、足無いしー。 で、ベースのピチカート・ソロが次第にウォーキング・ベースへと転じていって、そこからソニー・クラークのブルージーなソロへと移っていく流れがですね、もう群を抜いて抜群だと思うんですよね。ピアノに関していえば間違いなくこの曲がベストの出来でありまして、こういう演奏を耳にすると、やっぱりソニー・クラークって日本人好みの間下このみなんだよね。…と思ってしまいますよね。子役の頃はけっこう好きだったんですよね、間下このみ。子供で無くなってからはどうでもよくなってしまったんですが、クラークのソロを引き継いで後テーマでは提示部のトランペット&トロンボーン(?)とトロンボーン&アルト(?)によるコール&レスポンス形式から、管楽器とピアノのコール&レスポンス形式に変更するなど、ラフなジャム・セッションと思わせておいて、けっこう細かいところで地道な工夫を施したりしているのでありました。

 で、ラストの 「グルービン・ハイ」 はですね、もうオマケのようなものであると思っておいていいでしょう。6分22秒と演奏時間も4曲の中ではいちばん短くて、ま、その分、カルピスのように成分がギュッと凝縮されているといってもいいかも知れませんけどね。ガレスピーの曲というのは基本的にラテンのノリで楽しめるものが多いんですが、ここでのルーはオーソドックスな4ビートで料理しておりまして、それがまたシンプルでいいような気もするし、ちょっぴり物足りないところもあったりするんですが、ま、そこそこグルービンではありますな、ハイ。 ソロ・パートはルー・ドナルドソンが先鋒で、バードが次鋒、中堅がハチ公で、あんたが大将…といったところでしょうか。先日、稲川淳二がラジオで言っておりましたが、忠犬ハチ公というのは焼き鳥が食いたいが為に毎日、渋谷駅に来ていたんだそうですね。ま、稲川淳二が言ってることだしぃ。…というので信憑性のほどは宇都宮名産のカンピョウほどにも高くないような気がするんですが、タレントの他に実は工業デザイナーも手がけているという、けっこう堅いキャラのようですからね、稲川淳二。平成8年には “車どめ” でグッドデザイン賞を受賞したというのだから捨てたものではありませんが、小学校時代の担任の先生がよく渋谷でハチ公に焼き鳥を食わせていたらしいんですけどね。結局、ハチ公は焼き鳥の食い過ぎが原因で死んじゃったそうですが、アルトとトランペットに続いてトロンボーンとピアノのソロがあって、テーマに戻っておしまい。ということで、今日の解説は以上です。

【総合評価】

 いかにもこの人らしいファンキーな作品…というわけではなくて、 『ブルース・ウォーク』 あたりが好きな人はやや違和感を覚えるかも知れませんが、ソウル派に転じる前のパーカー直系なルーさんの真摯なプレイを堪能するには、いいかも?…という気がします。ジャム・セッションならではの粗さというのは否定しませんが、その分、あまりコマーシャルではないので、熱血硬派なバップ好きにはいいかも?…という気がします。


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