IN THE BAG (JAZZLAND)

NAT ADDERLEY (19//)

IN THE BAG


【パーソネル】

NAT ADDERLEY (cor) CANNONBALL ADDERLEY (as) NAT PERRILLIANT (ts)
ELLIS MARSALIS (p) SAM JONES (b) JAMES BLACK (ds)

【収録曲】

IN THE BAG / SISTER WILSON / R.S.V.P. / LOW BROWN
MOZART-IN' / NEW ARRIVAL / CHATTERBOX
THE POPEYE / THE GOSPEL TRUTH
【解説】

 11月23日は勤労感謝の日でありました。みんな、勤労に感謝したかな? ということで、今日は “勤労と外郎 (ういろう) ” というテーマでお届けしたいと思うんですが、僕はですね、勤労が嫌いです。出来ることなら勤労などせずに、外郎 (ういろう) をカジって音楽でも聴きながら遊んで暮らしたいところなんですが、勤労をしないと外郎 (ういろう) を買うお金も、遊ぶお金もなくなってしまうので、仕方なく勤労している次第なんですけどね。 かように勤労嫌いの僕でありますが、外郎(ういろう)のほうはけっこう好きでありまして、子供の頃に “アド三愛” のクイズに応募した時も、希望商品を “かき藤空調” 提供の “青柳ういろう” にしたほどなんですけどね。 “アド三愛” というのは水森亜土がやってる会社だよね。…と、子供の頃は思っていたんですが、大人になって冷静に考えて見ると、亜土ちゃんとはあまり関係がない、ただの広告関連の会社なのかも知れないね。…という気がするんですが、その会社が出している求人関係の新聞チラシにですね、賞品付きのクイズが載っていたんですよね。賞品は求人広告を出している企業がお義理で提供していたんだと思いますが、僕はその中から “かき藤空調” をチョイスしました。家のすぐ近くでガソリンスタンドをやっている会社だから、もし当たっても取りに行くのが楽だよね。…というのがここを選んだ理由なんですが、いや、賞品が当たっても宅急便とかで送ってくれるのではなく、自分で取りに行かなければならないシステムでありまして。ま、当たったところで所詮は外郎 (ういろう) だから、さして期待もしてなかったんですが、そういう時に限って当たっちゃうんですよね。当選通知の葉書を持って近所のガソリンスタンドに行ったら、 「あ、これはアレやから、本社のほうで…。」 とか言われて、しかたなく自転車に乗って本社に行って、青柳ういろうの “白” を1本貰いました。

 1本って、アンタ。しかも “白” って、アンタ。…と、子供心にも随分と不満だったのを覚えております。わざわざクイズに答えて葉書で応募して、見事に当選して、わざわざ自転車に乗って本社まで取りに行くんだから、 “白・黒・抹茶・小豆・コーヒー・ゆず・さくら” の7本セットとまではいかないまでも、3本くらいは貰えるものだと思っていたんですよね。ま、お義理で出している賞品だから、1本が精一杯という会社側の事情は分からんでもないんですが、せめてそれなら “さくら” にしろって!…と思わずにはいられません。青柳ういろうの “白” というヤツは、色は白いし、味はただ甘いだけだしで、7つの味の中では最も工夫の跡の感じられない最下層のチープな外郎 (ういろう) …といったイメージがあるんですよね。その点、 “さくら” というのはいいです。色は何だか微妙にさくら色をしているし、味のほうもただ甘いだけではなくて、何だか微妙にさくらっぽい感じがするしで、ま、基本的にはほとんど “白” と同じようなものなんですが、僕は断然、さくらを支持しております。そんな僕の趣向を無視してクイズの賞品の外郎 (ういろう) を “白” にした “かき藤空調” は、一生許せん!…と思っております。ガソリンだって、ここのスタンドでは絶対に入れないことにしているんですが、許せないと言えば、 “青柳ういろう” にも僕はひとつ文句を言いたいことがあります。それは何かというと、どうして “小豆” を “上がり” に改名したんや?…ということなんですが、白・黒・抹茶・上がり・コーヒー・ゆず・さくら♪…という歌には、どうしても未だに馴染めずにいるんですよね。

 青柳ういろうの “小豆” がいつの間にやら “上がり” になっていたというのは、 “名古屋テレビ” がいつの間にか “メ〜テレ” に変わっていたのと同じくらいショックだったんですが、それはそうと “ういろう” というのはどうして “外郎” と書いて “ういろう” と読むんですかね? “外郎” では、どう考えても “がいろう” か “げろう” としか読めなくて、おかげで僕はこの原稿を書くにあたって、しつこく外郎 (ういろう) と振り仮名を付けることを余儀なくされて迷惑なんですが、外郎 (ういろう) という名前はですね、どうやら中国の元王朝からの帰化人・陳外郎に因んだものらしいんですけどね。…ということで、これで “ういろう問題” は解決しました。中国人の名前だったんですな。どうして “外” と書いて “うい” と読むんや?そんなん、おかしいやん。…と文句を言ってみたところで、漢字の本場である中国人がそう決めてしまった以上、日本人の僕にはどうすることも出来ないわけでありまして。ま、日本人の僕に出来るとしたら、どうして自分の子供にそんな外郎 (ういろう) みたいな名前を付けたんや?…と、陳外郎クンの親を問いただすくらいのことなんですが、だいたい “陳外郎” などという名前では “ちんげろう” と誤って読まれる恐れが多分にあって、学校で “チン毛” というあだ名を付けられる可能性が非常に高いと言わなければなりません。陳外郎、あだ名はチン毛、好きな中国野菜はチンゲン菜。この少年の未来は暗いです。

 が、よくよく調べてみると “外郎” というのは名前ではなくて元王朝の役職名なんだそうで、つまり、うちの会社で長縄クンが長縄所長代理と呼ばれているのと同じノリで、陳延祐という名前の人が陳外郎と呼ばれるようになったわけで、あだ名がチン毛になってしまったのは彼の両親の責任では無かったわけですな。とまあそれはともかく、この陳外郎クンはですね、元王朝の滅亡により日本に帰化して足利義光のもとに身を寄せることになるんですが、その子孫が小田原で “透頂香” (とうちんこう)という名前の薬を製造販売するようになったと。透頂香、あだ名はチンコ、好きは沖縄土産は“ちんすこう”。この子孫の未来もあまり明るくないような気もするんですが、やがてその薬は外郎クンの子孫が作った薬ということで、 “外郎 (ういろう) ” と呼ばれるようになったんだそうです。…と、ここまでは何となく納得のいく話ではあるんですが、どうして最初は薬の名前だった外郎 (ういろう) が和菓子の名前になっちゃったのか?…という問題に関しては、かなり曖昧だったりするんですけどね。陳外郎の祖先が透頂香と一緒に和菓子も作っていたとか、透頂香は苦いから甘い和菓子を一緒に食べたとか、そんな説明では僕はまったく納得出来ないんですが、最初は小田原名物だった外郎 (ういろう) がいつの間にやら名古屋名物になっていたり、山口のあたりでも作られるようになったりする経緯もよく分かっておりません。よく分からないのでその辺の事情はあまり深く追求しないで先に進みたいと思いますが、名古屋で外郎 (ういろう) を製造販売している大手としては “青柳ういろう” の他にもうひとつ、 “大須ういろ” というのもあります。青柳のほうは “ういろう” で、大須のほうは “ういろ” 。これを間違えると、えらいことになっちゃいます。 “大須ういろ” の店でうっかり 「 “ういろう” 下さい。」 …と言って店員に無視されて、泣く泣く “ないろ” を買って帰った人も少ないくないに違いありません。

 ちなみに “ないろ” というのは、ういろう…ぢゃなくて、ういろのアンコ版といった位置付けの商品でありまして、“外郎”に対して、“内郎”。何となく、心の底から納得のいくネーミングではありますよね。で、 “大須ないろ” というのはあっても “青柳ないろう” というのは無いので、 “大須ういろ” の店でうっかり 「 “ないろう” 下さい。」 …と言っても、それほど反感を買う心配はありません。が、反対に “青柳ういろう” の店でうっかり 「 “ないろ” 下さい。」 …と言ってしまうと店員に無視されることになるので、この場合には 「“ういろう”の小豆を下さい。」…と注文しなければなりません。いや、今では “上がり” という事になっているんですが、 僕はまだその名前を正式に認めたわけではないですからね。それでもし、「うちにはそういうのはありません。 “上がり” ならありますけどぉ。」…などとタワケたことをぬかすようなら、「んなこと言うと、 “大須ないろ” にするぞ!」…と、脅すくらいの覚悟は出来ております。ぼんぼんぼーんと時計が3つ、坊やおやつを食べました〜♪ …という “大須ういろの歌” をラジオからカセットテープに録音して、青柳ういろうの店の前で大音量で流して営業妨害だってしちゃいます。何もそこまで。…と思われるかも知れませんが、絶対に許せない一線というのがありますからね。ちなみにこの “上がり” という名前の由来に関しては ここ に詳しく書かれておりますが、ういろうの歴史の話とかは僕が書いたのとは若干ニュアンスが違っているところもあるんですけどね。 で、“青柳ういろう” の柳に飛びつくカエルのマークの話。このネタを書いて今日のオチにしようと思っていたんですが、いや、思いっきりここに書かれておりますな。どうも余計なサイトを紹介しちゃったようなんですが、要するにこれ、小野道風なんですよね。どうして小野道風でカエルで青柳ういろうなのかと言うとですね、小野道風という人を知ってるかな。柳にとびつくカエルを見て努力の大切さに 気づき、書の名人になったと言われる人だよ。その道風の生誕地が近いこともあって、逸話をもとに柳とカエルを青柳のマークにしたんだよ。…という、青柳総本家のおじさんの回答でいいと思います。あ、参考サイトは ここ なんですけど。

 カエルまんじゅうのしおりには 「旅行・ドライブ・無事カエル」 と書いてあります。サブレは 「おいしいお土産持ちカエル」 です。ぼくは、カエルのものはゴロあわせからできたものばっかりなのかなあと、ちょっぴりしんぱいになりました。…って、人のことを言えた義理か、カエルのカオル?…という気がしないでもありませんよね。で、何気なく “青柳ういろう” のマークを柳とカエルに決めて、そう言えば柳って、英語では “Willow”(ういろう) やん!…ということに気付いたというのがちょっと面白いと思って、今日のオチにしようと思っていたんですが、先に言われちゃいましたしね。それはそうと、なごやの人はエビフライをエビフリャーというので、カエルまんじゅうはなんていうかとおもったらカエルまんじゅうでした。そのかわり、とうきょうで 「カエまん」とよんでいる女の人がいて、ぼくはそのよびかたにだんこ反対です。…って、いや、個人的には凄くラブリーでいいと思うんですけどね、カエルまんじゅう= “カエまん” って。ぼくはそのよびかたにだんこ賛成です。こうなったら勢いで青柳総本家に “ヤリイカまんじゅう” というのを作ってもらって、とうきょうで女の人に “ヤリま○” …って、そんなことはどうでもよくて、ところでどうして “饅頭” というのは “饅頭” と書いて “まんじゅう” と読むんですかね?普通に考えたら “饅頭” というのは “まんとう” とか、 “まんあたま” とか、 “まんがしら” とか、 “うなぎあたま” としか読めないような気がするんですが、いや、ウナギというのはちょっと違った漢字だったかも知れませんが、ということで次回は “饅頭と厨子王” というテーマでお届けしようと思うんですが、もしかしたらお届けしないかも知れません。ということで、今日のところでおしまい。

 ということで今日はナット・アダレイなんですが、今日の前半ネタは結局のところオチを思いつかなくて、連載モノにして逃げてしまいました。まことに遺憾です。そういうことではいかんと思います。いかんと言えば、 “羊羹” というのもちょっと不思議な言葉ですよね。どうしてここにヒツジという字が登場するんでしょうか?…という問題は次回、饅頭と絡めて考えてみるとして、いや、もしかしたら考えないかも知れませんが、そんなことでまあ、今日は 『イン・ザ・バッグ』 というアルバムを紹介したいと思うですけどね。鞄の中。君の鞄の中には何が入っているかな?僕の鞄の中にはですね、カバが入っています。…という人はあまり多くないと思うんですが、そう簡単に鞄の中には入りませんからね、カバ。ちなみに僕の鞄の中にはですね、乾パンが入っています。…という人ならいるかも知れません。いざという場合に備えて食料を備蓄するというのは大切なことです。で、このジャズランド盤は何と言っても参加メンバーが興味深いところなんですが、実兄のキャノンボール・アダレイや、ベースのサム・ジョーンズあたりは、ま、ちっとも珍しくはないんですが、ナット・ペリリアントなどという、よく分からないテナー奏者が入っていたりします。ナット・ペリリアント。何となくブリリアントな納豆を彷彿させるものがありますよね。でもまあ、納豆・ブリリアントという名前ではないので、さほどブリリアントな納豆を彷彿させるものがあるわけでもないな。…という気もするんですが、ドラマーのジェームス・ブラックというのもあまりよく素性の分からないキャラであります。で、ピアノがエリス・マルサリスだったりするんですが、この人はアレですよね。ブランフォードとウイントンのマルサリス兄弟の親として、もっぱらその名前を知られているんですが、実際に彼のピアノ演奏を聴けるレコードというのはそう多くはないに違いなく、その意味では非常に貴重な1枚であると言えると思うんですけどね。そもそもエリス・マルサリスという人はニューオリンズの伝説的なエロ系のピアニストであると言われていたんですが、いや、エロ系というのはエリスという名前から受けるイメージだけの話なので、その実態のほどはサダカではないんですけど。

 “イントロデューシング・スリー・ダウン・ホーム・ニュー・スターズ・フロム・ニュー・オリンズ”…と、このアルバムのジャケットには書かれておりますが、つまりまあ、エリス君をはじめ、ペリリアント君、ブラック君という、ニューオリンズから来た3人の土着的な新しい星を紹介しようという、そういうコンセプトの作品であるわけですな。ニューオリンズから来た…と言っても、録音自体がニューオリンズでなされたものでありますので、地元期待の星☆土着3人組が、ジャズの本場ニューヨークから来たアダレイ兄弟の胸を借りるという図式になるのかも知れません。胸を借りるというのはとってもいいことで、僕もアダレイ兄弟の胸はともかくとして、白石ひよりの胸とかだったら是非とも借りてみたいな♪…という気がするんですが、 『ひよたんのむにゅ!』 というのは、実によい“すけべDVD”でありました。 ということで1曲目なんですが、アルバム・タイトルにもなっている 「イン・ザ・バッグ」 はナット君のオリジナルでありますな。ナット君と言ってもこのアルバムにはアダレイ君とペリリアント君の2人がいるので区分を明確にしなければならんのですが、ナット君のほうのアダレイ君が作った曲であります。いかにもナット・アダレイらしい哀感に満ちたファンキー・チューンでありまして、やっぱ、これだよね♪…と、嬉しくなってしまうんですが、ニューオリンズの土着的エンジニアが録音を担当しているからなのか、ちょっぴり音がこもって聞こえてしまうところが残念ではあるんですけどね。…といった細かい点さえ気にしなければ、なかなか良好な演奏であると思います。シンプルな3管ユニゾンに若干のハモりが加わるAA形式のテーマに続いて、ソロ先発はナット・アダレイでありますな。ナットの吹くコルネット…というのは韻を踏んでいてとてもいいと思うんですが、演奏自体もファンキーな味があって、僕は好きです。で、2番手はペリリアントのほうのナットなんですが、この人の吹くスタイルは誰に似てますかね?僕は最初、こんな無名のテナー奏者が参加しているとは露知らず、何だかキャノンボールにしては地味やな。…とか思って聴いていたんですが、あまり癖のない吹き方をする人であるように見受けられますね。微妙にコルトレーンの影響を受けているような感じもあるんですが、とか思っているうちに、いつの間にやらキャノンボールのソロになっていたりして、全体的には今ひとつ印象の薄い感は否めません。で、ここでのキャノンボールの吹きっぷりもかなり控えめでありまして、そうこうしているうちにテーマに戻ってしまって、いや、曲自体はかなりいい感じだったんですが、演奏そのものはちょっぴり地味でありました。

 ということで、2曲目です。 「シスター・ウィルソン」 はドラマーのジェームス・ブラックの作曲でありますか。ウィルソン姉妹というのが一体どのような姉妹なのか、大いに興味をソソられるところでありますが、叶姉妹みたいだったりするんですかね?ちなみに僕は叶姉妹みたいなタイプというはまったくタイプではなくて、こまどり姉妹みたいなのが好きなんですが、テニスのウイリアムズ姉妹なんてのもいいですよね。で、このウィルソン姉妹というのは曲調からすると、姉のほうは母親似でおっとりとした性格、妹のほうはおじいちゃん子で、ピーマンが嫌い。…といったキャラが浮かんできます。ま、ピーマンは苦いですからね、妹に嫌われてもやむを得ないところであるんですけど。で、曲のほうはと言うと、アップ・テンポで快活なものとなっておりまして、なかなかいいのではないかと思います。テーマが終わると同時に飛び出すペリリアントのテナー・ソロは実にブリリアントでドライビングでありまして、誰に似ているのかというと…、えーと、誰に似ていますかね?…と、考えているうちにナット・アダレイのソロになってしまったので、この問題はまた次の曲まで持ち越すことにしますが、ここでのナット (←アダレイのほう) は高音部を駆使した、なかなか派手なプレイを展開しておりますな。続くキャノンボールも1曲目と比べると随分と彼らしい能天気さを発揮しておりまして、概ね良好です。で、続いて1曲目ではソロの出番がなかったエリス・マルサリスのプレイが聞けるんですが、乾いているようでちょっぴり重い独特のタッチで、わりとファンキー系のピアノを弾いておりまして、でもって、テーマに戻って、おしまい。3分20秒という短い演奏でありましたので、各自のソロの内容にまであまり深くは言及出来ませんでしたが、ま、元気があってよかったんじゃないですかね。 で、続く 「R.S.V.P.」 はナット・アダレイとマルサリスの共作でありまして、タイトルからはどういう曲なのかまったく想像がつかないんですが、いざ始まってみればしみじみ系のバラードでありました。マルサリスの弾くイントロが土着的なようでいて、わりと白っぽいようでもあり、何とも興味深いところなんですが、そこにナットのコルネットが入ってくるとですね、これがまた完全にマイルスになっちゃうんですよね。ファンキーな彼とは一味も二味も三味も四味も五味太郎も違った世界を聴くことが出来て、秀逸です。が、何だか唐突に尻切れトンボみたいに演奏が終わってしまって、そこのところがちょっぴり残念ではあるんですけどね。ちなみにここで言う “尻切れトンボ” というのは尻尾が切れたトンボのことでありまして、決して切れ痔のトンボのことではありませんので、念のため。

 ということで、4曲目です。 「ロウ・ブラウン」 。ユセフ・サリムの作曲でありますな。ユセフ・サリムという名前はどこかで聞いたことがあるような気がするんですが、どこの誰でしたかね?…という問題について、真面目に調べてみるほどの熱意は今の僕にはありませんので、そのまま先に進むことにしますが、マルサリスの弾むようなピアノのイントロで幕を開ける、ゴスペル・ライクなコール&レスポンス形式の作品でありますな。で、テーマに続いてマルサリスのソロになるんですが、そういえばこの人はウイントン・ケリーをアイドルにしていたんでしたよね?息子にウイントンという名前を付けたのもそこからだと聞いたことがありますが、ちなみに僕の高校時代のアイドルは 「なんてったってアイドル」 の小泉今日子だったんですけどね。最近では深田恭子とかもいいよね♪…と思っているんですが、どうやら僕はキョンキョンとか深キョンとか、キョン系のギャルが好きみたいです。…という問題は置いといて、ここでのマルサリスはアレですかね?そう言われてみると、ちょっぴりウイントン・ケリーっぽいですかね? ニューオリンズの伝説的なピアニストということで、何だかニューオリンズ・ジャズみたいな古いスタイルの持ち主という勝手な思い込みがあったんですが、ぜんぜん違って随分とモダンではありませんかー。で、ソロ2番手のナットと、3番手のキャノンボールのアダレイ兄弟も実にスリリングな演奏を聞かせてくれておりまして、続くナット・ペリリアントは出だしの部分こそやや出遅れ気味のディオクレティアヌス (←ローマ皇帝) でありましたが、途中から調子を取り戻して、そこにアルトとコルネットが絡んでくるというアレンジも秀逸だと思います。で、この人のテナーはですね、誰に似ているのか、やっぱりよく分かりませんな。わりとアルトっぽい吹き方をする人のような気がするんですが、そんなことでまあ、テーマに戻って、おしまい。 続く5曲目の 「モザート・イン」 はアービン・バティステという人が作った曲のようです。ケリー・ライクなピアノのイントロに続いて、ミディアム・テンポのなかなかいい感じのテーマが演奏されるですが、 “モザート・イン” と言えば、 “三交イン桑名駅前” というビジネスホテルがアネハ系ということで、営業休止に追い込まれ ましたな。 “三交イン” って、何だか3Pみたいな名前だね。…と、2ちゃんねるに書かれておりましたが、言われてみれば確かにそうですよね。三重交通系の三交不動産というところがやっているから “三交イン” なんだよね。…と、今まで何とも思っていなかったんですが、 “三交イン=3P説” を提唱した2ちゃんねらーは実に鋭いところに目を付けたと思います。 で、一方、演奏のほうはというと、ナット・アダレイ→ナット・ペリリアント→キャノンボール→マルサリス→サム・ジョーンズというオーダーでソロ回しが行われて、中ではペリリアント君のワイルドな吹きっぷりが強く印象に残って印象的でありました。続くキャノンボールが対抗意識を燃やして、かなり熱くなってますからね。 いや、演奏時間が6分32秒もあると、かなり充実した演奏になるものなんですな。…ということを感じさせる1曲でありました。

 6曲目の 「ニュー・アライバル」 は2曲目と同じく、ドラマーのジェームス・ブラックのオリジナルであります。どこかで聴いたことのあるような曲調やな。…という気がしないでもないんですが、ワルツ・タイムを用いたキャッチーなメロディが実に印象的でありますな。で、ソロ先発はナット・ペリリアントなんですが、ここでの彼はちょっぴりウェイン・ショーターを彷彿させるものがあるような気がしないでもありません。何だかどうも、結構モードなんですよね。で、続くナット・アダレイはファンキーばりばりで、ソロ3番手のキャノンボールはヤンキーばりばりで、で、聖教新聞の連載まんが 「バリバリ君」 が好きな作曲者ジェームス・ブラックの今ひとつ地味なドラムス・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、いよいよラストですね。7曲目の 「チャッターボックス」 は、5曲目と同じくアービン・バティステ君のオリジナルとなっておりまして、スタンダードの 「ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア」 、日本名 「情事の終わり」 を馬鹿っ速いテンポで演ったような曲だよね。…といった感じのするナンバーであります。サビの部分はまったく違うので、 「ジ・エンド・オブ・情事」 とはまったく違う曲だと言っていいと思うんですが、ソロ先発のキャノンボールの火を吹くようなプレイが激しい情事を彷彿させて、秀逸です。続くナット・アダレイはまったりとした情事を思わせる歌いっぷりで、3番手のナット・ペリリアントは山本ジョージ。…って、あまりにも有りがちなネタの展開でしたけど。で、続くエリス・マルサリスが栗鼠好きのマサル君のような演奏を聴かせて、テーマに戻っておしまい。

 ということで、このアルバムはおしまいなんですが、僕の持っている輸入盤CDにはあと2曲ほどオマケ曲が収録されておりますので、それを簡単に紹介しておきましょう。いずれも2分前後の短い演奏なので、無視しておいてもさほど問題はないんですが、まずはえーと、ナット・アダレイのオリジナル、 「ザ・ポパイ」 でありますか。何となく、ホウレン草が好きそう。…といった感じの曲でありまして、演奏全体からはいかにもニューオリンズなノスタルジックなムードが漂いまくっております。いや、ニューオリンズの土着ミュージシャンとの共演ということで、こういう路線を頭に描いていたんですが、やっぱりこの手の演奏も残されていたんですな。お遊びなのか、マジなのかはサダカではないんですが、結果、あまりにもベタなサウンドになってしまったのでアルバムへの収録は見送られた模様です。いや、賢明な措置でありましたな。続く 「ザ・ゴスペル・トゥルース」 というのも似たようなものでありまして、ま、宴会の余興のようなものだと思って聴いておけば、それで十分なのではなかろうかと。 とまあそんなことで、今日のところは、おしまい。

【総合評価】

 何だが録音がよくなくて、ショボいよね。…というイメージがあって、ずっと僕の心の中では “はずれアルバム” の烙印を押されていたんですが、こうして改めて聴き直してみるとですね、いや、悪くないぢゃないっすかー。1曲目あたり、演奏の盛り上がり具合が今ひとつやな。…といった感じだったんですが、2曲目以降は盛り返してますよね。エリスのマルちゃんのピアノが聴けるのは貴重だし、アダレイ兄弟も頑張っていると思います。…といったアルバムです。個人的には結構オススメ♪


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