THE CUP BEARERS (RIVERSIDE)

BLUE MITCHELL (1962/8/28,30)

THE CUP BEARERS


【パーソネル】

BLUE MITCHELL (tp) JUNIOR COOK (ts) CEDER WALTON (p)
GENE TAYLOR (b) ROY BROOKS (ds)

【収録曲】

TURQUOISE / WHY DO I LOVE YOU? / DINGBAT BLUES / CAPERS
CUP BEARERS / HOW DEEP IS THE OCEAN? / TIGER LILY

【解説】

 カニカニ、グー かにしょうぐ〜ん お味もグー♪…ということで、今日のテーマは “カニ” です。 先日、会社の慰安旅行で城崎に行った時は、カニがまだ解禁になっていなかったので冷凍物だったんですが、食膳にはカニが出ておりました。コンパニオンのお姐さんが、「カニ、ほぐしましょか?」…というサービスを行っておりましたので、僕もすっかりカニ、ほぐしてもらう気分でいたんですが、どういうわけだか僕の前だけ素通りされてしまったので、仕方なく自分でホジホジして食べました。城崎のカニはちょっぴりしょっぱい味がしました。 ちなみに僕が、カニって悪くないよね?…と思うようになったのは社会人になってからでありまして、子供の頃はさほどカニが好きではない、そういう少年だったんですよね。本物のカニよりも、カニかまぼこのほうが好きっ♪…という、大変リーズナブルなコドモでありました。本物のカニを食わしてやると言われても、カンニンしてくれ。…と思っちゃうほど杏仁豆腐が好きな少年だったんですが、それが大人になってですね、次第に食べられるようになったんですよね。カニ好きの中には、カニはやっぱり “カニすき” だよね♪…などと言う人もおりますが、僕はどちらかというとカニすきというのはそれほど好きではなくて、茹でたカニをホジホジして三杯酢で食べるヤツのほうが好きです。茹でたカニをホジホジして三杯酢で食べるヤツなら、カニ3杯くらいはいけるかな?…という気がするんですが、これがもし二杯酢だったりすると、カニ2杯が限度なんですけどね。カニにはやはり砂糖の甘さも必要だと思います。

 一口にカニと言ってもたくさんの種類があるんですが、僕はやっぱり “ズワイガニ” が好きですね。 “ズワイ” という言葉の響きが何となく卑猥な感じがして、とてもいいと思います。ちなみにズワイガニのズワイというのは “楚(すわえ)” が訛ったものなんだそうですが、 “楚(すわえ)” というのは細い木の枝のことで、胴体から生えたズワイガニの足を細い木の枝に例えたものであると思われます。そんなこと言ったら、他の種類のカニの足だって細い木の枝みたいぢゃん。…という気がしないでもないんですが、とにかくまあ、このズワイガニが北陸に行くと “越前ガニ” になって、山陰地方では“松葉ガニ” という名前になるというのはよく知られた話ですよね。ただ、この名前で呼ばれるのは雄のカニだけでありまして、雌のズワイガニのほうは “セイコガニ” とか “セコガニ” とか、そういうセコい名前で呼ばれることになります。ちなみに英語ではズワイガニのことを “queen crab (カニの女王) ” と呼ぶそうですが、雄のズワイガニでも “女王” でいいのか?…と、細かいことに文句を付ける人がいるといけないので、 “snow crab” という呼び方もあるんだそうです。

 ではつづいて、“タラバガニ”。タラバガニのタラバというのは “鱈場” のことでありまして、魚のタラが獲れる漁場に棲息しているカニなので、この名前が付いたんだそうです。勝負の世界に “たられば” は禁物だと言われますが、もしタラバガニが魚のサバが獲れる漁場に棲息しているカニだったら “サババガニ” という名前になっていたわけで、いや、そんな言い難い名前のカニにならなくて本当によかったと思います。関西ではウンコのことをババというので、サババガニでは、何かウンコ臭いカニやね。…といったイメージを持たれる恐れもありますしね。サケバガニでも、アジバガニでも、カレイバガニでも駄目で、やっぱりタラバガニでないと全然ピンと来ないので、タラバガニがタラの漁場に棲息していてくれた僥倖には感謝するしかありませんな。ただ、タラバガニに関してはひとつ、あまりよくない噂が耳に入ってきておりまして、それは何かというと、 “カニ偽証疑惑” なんですけどね。タラバガニは英語では “king crab” と呼ばれ、カニの王様だと言って威張っているみたいだけど、でもアイツ、よく見ると足の数が少ないぢゃん。…と、タラバガニの人気を嫉んだ毛ガ二が場末のスナックでホステス相手にクダを巻いている現場に居合わせたことがあるんですが、言われてみると確かにタラバガニというのは足が6本しかありませんよね。 熱帯から極地まで、世界中の海に沢山の種類が生息し、一部は沿岸域の陸上や淡水域にも生息する。成体の大きさは数mmしかないものから、脚の両端まで3mを超すタカアシガニまで変異に富む。体は堅いキチン質の甲羅で覆われる。5対10本の歩脚の内、第1歩脚は頑丈な鋏脚(はさみ)に変化していて、餌を?んだり、敵を威嚇したりするのに用いる。フリー百科事典 “Wikipedia” より引用。 ) …というカニの定義からすると、明らかにおかしいと言わざるを得ません。

 で、調べてみた結果ですね、タラバガニの正体が明らかになりました。ヤドカリの仲間だったんですなー。これがもしザリガニの仲間ということであれば、ま、名前の後半に “ガニ” という字も付いていることだし、カニの仲間として考えてやってもいいかな?…と思っていたんですが、ヤドカリとなると話は別です。ヤドカリでは、カリの仲間としか思えませんもんね。で、調べてみたところ、カニというのはエビ亜綱エビ下綱ホンエビ上目エビ目カニ下目に属している生き物で、タラバガニのほうはエビ目ヤドカリ下目タラバガニ科ということでありました。カニって、元を正せばほとんどエビぢゃん!…というのがちょっと以外だったんですが、その事実を知った例のスナックの毛ガ二はですね、「ヤドカリ下目だって。だっせぇ!」…と、一人で盛り上がっていたんですけどね。「でも美味しいから別にいいぢゃん。それに私、なーんか毛深いカニって苦手だしぃ。」…とホステスさんに言われて、以後、毛ガニはすっかり無口になってしまったんですが、確かにそうですよね。美味しければカニだろうと、ヤドカリだろうと、ザリガニだろうと、そんな分類は別にどうでもいいわけでありまして。

 で、続いてはすっかり無口になってしまった “毛ガニ” でありますが、全体に毛が生えているから、毛ガニ。そのまんまです。ちなみに英語では “hair crab” って、これまたあまりにもそのまんまでありますなー。他に名前の付けようがないんかい?…と思わないでもないんですが、恐らく他に名前の付けようがないんでしょうね。誰が、いつ、どこで、どのように見ても、毛ガニっ!…としか言いようがないような姿をしてますからね。そもそも、毛ガニにはどうして毛が生えているのかというとですね、よく分かりません。毛ガニの毛はキチンから出来ている。…という話を聞いたことはあるんですが、その件に関してきちんと調べたことはありません。毛ガニにはどうして毛が生えているのか?そんなことは別にどうでもいいやぁ。…という気がするので、話を先に進めますが、続いてはですね、 “ワタリガニ” です。正式には “ガザミ” というようなんですが、それをどうしてワタリガニと呼ぶのかと言うとですね、遠泳が得意だからなんだそうです。泳いであちこちを渡り歩く…というか、あちこちを渡り泳ぐから、ワタリガニ。そのまんまですね。英語では “swimming crab” と呼ぶそうですが、何だかこう、週に3回くらい通うと健康増進によさそう?…といった感じがしますよね。上のほうの脚は普通のカニと同じなんですが、第5脚がボートのオールのような形をした遊泳脚になっていて、それで水をかいてスイスイと泳ぐんだそうです。まさしくスイミング・クラブでありますな。一般にズワイガニよりも安く出回るようですが、味はさほどひけを取らないんだそうで、塩茹でや蒸しガニや味噌汁にして食べるんだそうです。味噌汁の場合はカニ味噌をそのまま入れてやればいいわけなので、手間要らずで便利ですよね。もっともカニ味噌というのは名前に味噌と付いてもその正体は中腸腺というものらしいので、出汁に溶かしてみたところで、味噌味にはならないのかも知れませんけどー。

 ところでこのワタリガニを長く楽しむ方法があるのを知っていますか?それにはまず、生きたワタリガニを手に入れることが大前提になるんですが、ちなみにカニ業界では生きているカニのことを “活蟹” と言うんだそうですね。 “生蟹” というのは生きているカニのことではなく、死んでいるんだけど茹でてないカニのことなので、 “いきガニ” ではなくて “なまガニ” と 読むのが正しいのかも知れません。で、ワタリガニを長く楽しむには生蟹ではなくて活蟹のほうが必要なんですが、生きていて茹でられていないワタリガニが手に入ったら、とりあえずそいつを虐めてやってください。するとですね、虐められて身の危険を感じたワタリガニは “自切” と言って自分の脚を自分で切り落として逃げようとするんだそうでありまして、ま、トカゲのしっぽと同じようなものでありますな。で、切り落とされた脚のほうは茹でて三杯酢で食べるなりして、逃げようとした本体部分のほうは逃げられる前にうまく捕まえて、 「虐めたりしてゴメンね。おじさん、本当に悪い人だったよね。これからは優しくしてあげるから、仲良く一緒に暮らそうね。」 …と声を掛けて、ペットとして大切に飼育してやって下さい。名前を付けてやったりするのもいいですよね。ワタリガニの正式名称はガザミだから “ガザちゃん” だとか、ワタリガニだから “哲也” だとか。その哲也クンを大切に育てると数ヶ月で自切した脚が再生するんだそうでありまして、脚が10本生え揃ったところで思いきり虐めてやれば、また自切した脚が手に入るというわけでありますな。いや、何だかこう、“高速増殖炉もんじゅ”のような、素晴らしいシステムではありませんかー。

 とまあそんなことで、カニのお話はおしまい。

 ということで、今日はブルー・ミッチェルです。とまあそれはそうと、今日は毎年恒例の “仙石杯ソフトボール大会” でありました。仙石部長も今年から岐阜営業所勤務になって、正式にはソフトボール大会担当部長は辞任したようなんですが、いや、相変わらず張り切っておりましたな。毎年恒例となった “先頭打者・意表を衝くセフティバンド作戦” もバッチリと決めて、いや、これほど毎年恒例になってしまうと、もはや相手はちっとも意表を衝かれないような気もするんですが、それでも決まっちゃうところが所詮は素人同士の戦いでありますなー。で、僕はですね、希望していたキャッチャーの座を確保することが出来ず、1試合目はファースト、2試合目はライトの守備位置につくことになったんですが、5つ、6つの凡ミスがあっただけで、まずは無難に自分の持ち場をこなしたと言ってもいいでしょう。ライトにはほとんど飛球がこなかったのが幸いでありましたな。フライが飛んで来たのは1回だけで、簡単にアウトになることろが頭の上を越されて3ベースヒットになって2点ほど取られて、相手チームの盛り上がりという点では大いに貢献したと言ってもいいでしょう。ただ、打つほうはですね、不本意な成績に終わってしまいました。第1試合の第1打席、高めの球をうまく引っ張ってライトまで飛ばして、どう見てもライトのおっさんが落としたように見えたんですが、判定は何故だかアウト!…でありまして、とっても不満でありました。ま、所詮は審判もド素人ですからね。アホらしくて真面目にやってられませんね。これですっかり気分がやさぐれてしまって、残りの5打席ほどは見事なまでにボテボテの内野ゴロばかりでありまして、ま、相手のまずい守備に助けられて2打席ほどは出塁出来たので、最低限の体面は何とか保つことが出来たんですけど。

 とまあそれはそうと、今日は 『ザ・カップ・ベアラーズ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、“cup bearers” というのはアレですね。 “カップ運搬人” の意味ですね。運搬人らしくジャケットにはたくさんのカップが並んでおりますが、何だかこう、あまり趣味のよろしくないコーヒーカップでありますな。泥水が跳ねて、それがそのまま柄として定着しちゃったような。犬にも確か、こんな柄の種類のやつがいましたよね。ダルメシアンでしたっけ?僕はもともと犬があまり好きではないんですが、ああいう柄の悪い犬というのは特に好きになれません。ま、ところかまわずツバを吐いたり、すぐにインネンをつけてきたりするタイプの柄の悪い犬よりはまだマシだと思うんですけどね。で、このアルバム、ジャケット・デザインは今ひとつなんですが、参加メンバーはいいですよね。テナーのジュニア・クックとはホレス・シルバー・クインテットで一緒にフロントを勤めた間柄でありますので、相性のよさは実証済み。で、ピアノがシダー・ウォルントンというのも、シルバーとはまた一味違ったスタイルの持ち主でありますので、演奏全体にモーダルなムードが醸し出されることが期待されます。 1曲目の 「TURQUOISE」 は、そのシダーのオリジナルなんですが、僕は最初、この曲名を何と発音していいのかよくわかりませんでした。タ、タ、タ、タコスか?…と思ったりもしたんですが、違っておりました。無論、酢ダコでもなくて、 “ターコイズ” というのが正解のようで、 “トルコ石” のことを英語ではこう呼ぶらしいんですが、ところでトルコ石というのは一体、どういうものなんですかね? “トルコ椅子” だったら、今でいうところのソープで使う “すけべ椅子” のようなものか?…という気がするんですが、あ、トルコ石というのは宝石の一種でありましたか。12月の誕生石がターコイズなんですね。ちなみに3月生まれの僕の誕生石はアクアマリンなんだそうでありまして、何だかこう、いかにも水産系っ!…という感じがして、いいですよね。宝石言葉 (←そんなもんあったんか。) は “沈着、勇敢、聡明” と、これまた僕にぴったりだと思います。

 で、この曲、いかにもシダーのオリジナルらしく、ちょっぴりモーダルな感じがあってよいですな。ブルー・ミッチェルという人は生粋のハード・バッパーという感じがあるんですが、この曲でちょっぴり新しい世界を切り開いたと言えるかも知れません。えーと、順を追って説明するとですね、まず最初にシダーのピアノによるいい感じのイントロがあって、ミッチェルのトランペットにクックのテナーが絡む形でテーマが演奏されて、で、ソロ先発はミッチェルでありますな。…という演奏の流れでありますな。4ビートではなくて、微妙にワルツっぽいリズムでありまして、で、ミッチェルのソロはいつものとおり哀愁を帯びていて、実にいいと思います。曲がモーダルだからモード奏法なのかというと、あまりそのようには聞こえなくて、普段どおりの吹きっぷりなんですが、続くクックのソロはかなりモードを意識したものとなっているような気がしないでもありません。そのあたりの事情が原文ライナーに書いてあるかもしれないので、ちょっとチェックしてみるとですね、えーと、あまりよく分かりませんな。英語ですからね、原文ライナーって。仕方がないからこの話はなかったことにして先に進みますが、ソロ3番手はシダーでありますな。(ソニー・クラーク+ハービー・ハンコック÷2)+紋甲イカ。…というのが、僕のこの人のスタイルに対する認識なんですが、いや、最後に紋甲イカを足したのはあまり深い意味はないんですけどね。ここでも実に地味渋い、クールで微妙にファンキーなタッチのソロを弾いていて、いいと思います。ということで、テーマに戻って、おしまい。演奏時間が4分59秒しかなくて、各自のソロ・スペースが短めなのが残念なんですが、アルバムの最初を飾るに相応しい、実にいい雰囲気の滑り出しではないでしょうか。

 で、2曲目の 「ホワイ・ドゥ・アイ・ラブ・ユー?」 は、ジェローム・カーンの曲ですね。ミュージカル 『ショウボート』 のナンバーでありますな。ショウボートというのは、消防と警察の対立を描いた作品ではなかったかと思うんですが、ケニー・ドーハムがこのミュージカルの曲ばかりを取り上げた地味なアルバムを作っていますよね。で、この 「ホワイ・ドゥ〜」 もドーハム版の印象が強いんですが、ここでのミッチェルはミュートを使って、やっぱりドーハムっぽい感じでこの曲を料理しております。テーマ部はワン・ホーンによる演奏で、ソロ・パートの最初のところでジュニア・クックが登場するという算段でありますが、ここでのクックは何やら妙にコルトレーンっぽいですな。それもモードに走る前の、プレスティッジ時代のコルトレーンを彷彿させる煮沸消毒…といった感じがします。でもって、ソロ2番手のシダーは何だか妙にウイントン・ケリーっぽいし、で、ブルー・ミッチェルはアドリブに入るとそれほどドーハムっぽくは無くなっているんですが、何だかこう、中間派的なノスタルジーを感じさせる吹きっぷりでありますな。で、ジーン・テイラーのピチカート・ソロがあって、最後にまたワン・ホーンによるテーマに戻るんですが、今度は後半になってクックのテナーが絡んできたりして、で、エンディングの処理もなかなか手が込んでいたりして、何気ない小品のフリをして、意外とじっくり作りこまれていたりして。…といった感じのする仕上がりでありますな。ま、これはこれで、なかなかいいんじゃないですかね。僕の場合、この曲を聴くと、どうしても何だかカレーが食べたくなっちゃうんですけどね。

 3曲目の 「ジングバット・ブルース」 はチャールス・デイビスのオリジナルでありますか。名前にブルースと付いておりますが、さほどブルースを感じさせない曲でありまして、ま、ジングバットなのは確かにその通りなんですけど。いや、ジングバットというのが何物なのか、僕にはまったくわからんのですけどね。勝手にシンドバッドとチョコバットを足して、2で割ったようなものか?…とは思うんですが、もしかしたら全然違うかも知れません。ま、いずれにせよ、ミディアム・ファストの何とも調子のいい曲でありまして、で、ソロ先発はミッチェルでありますな。溌剌とした、とってもいい演奏だと思います。で、ソロ2番手はジュニア・クックでありますな。やっぱり今日のクックって、何だかどーも、モードを意識してるよね。…といった感じの演奏で、ま、これはこれでいいとして、で、短い合奏パートとロイ・ブルックスのドラム・ソロを挟んで、続いてはシダーのピアノ・ソロでありますな。ここでのシダーはですね、けっこう張り切っておりまして、地味なキャラに似合わず、後半はけっこう盛り上がったりしているところがちょっぴり痛くもあるんですが、ま、これもこれでいいとして。で、テーマに戻って、おしまい。

 次です。4曲目の 「ケイパーズ」 はトム・マッキンショッシュのオリジナルでありまして、この人、根はトロンボーン奏者のようなんですが、僕はもっぱら、けっこういい曲を書く人なんだよね。…というふうに認識しております。具体的にはどういう曲を書いているのかと言うと、えーと…、 「プリーズ・セイ・イエス」 とか、 「ウィズ・マリス・トワード・ノン」 とか、 「ザ・デイ・アフター」 とか、えーと…、ま、そんなところですかね。で、この 「ケイパーズ」 というのも実に日本人好みのマイナー調の哀調のメロディとなっておりまして、シンプルなAABA形式なんですが、最初の “A” はトランペットのワン・ホーンで、2回目の “A” はトランペットとテナーのユニゾンで、 “B” の部分は2管のハモリになって、何となく、ティナ・ブルックスのアルバムにこんな感じの曲があったよね?…と、思ってみたりもしました。が、まったく何の根拠もなく、ふと思っただけの話でありますので、ティナ・ブルックスのアルバムにこんな感じの曲はなかったかも知れません。で、テーマに続いて、ミッチェル→クック→シダーとソロが続いて、ミッチェル→ロイ・ブルックス→ミッチェル→ロイ・ブルックス→ミッチェル→ロイ・ブルックス→ミッチェル→ロイ・ブルックス→クック→ロイ・ブルックス→クック→ロイ・ブルックス→クック→ロイ・ブルックス→クック→ロイ・ブルックス…と4バースが続いて、テーマに戻って、おしまい。いや、4バースの順番のところだけがやけに細かくて、肝心の中身がまったくない曲解説でありましたが、美味しいカニを選ぶポイントはですね、甲羅の硬いものを選ぶことなんだそうですね。甲羅の柔らかいカニは脱皮したばかりで、肝心の中身がスカスカである場合が多いんだそうです。…って、いや、ジャズ以外の話題に関しては、なかなか為になるサイトだとは思うんですけど。

 で、5曲目はアルバム・タイトル曲の 「カップ・ベアラーズ」 ですな。4曲目と同様、トム・マッキントッシュのオリジナルなんですが、 タイトル曲のわりには何だか今ひとつ印象の薄いナンバーではありますな。ま、悪くはないと思うんですが、普通。そんな感じだと思います。クック→ミッチェル→シダーとソロの順序を入れ替えてちょっぴり気分転換を図ったところと、4ビートとラテンのノリが交錯するリズム・パターンはなかなか面白いと思うんですが、演奏のほうも全体的に普通。ま、そんな感じです。ま、悪くはなくて普通だから、ま、いいぢゃん。…という気はするんですけどね。 で、続く6曲目は 「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン?」 ですか。このアルバムに収録されている2つの歌物には共通点が2つありまして、どちらもタイトルの最後に“”が付いているというのがまず1点。疑問文の曲名というのは日本ではあまり考えられませんよね。「海はどれくらい深いですか?」…って、いや、そんなこと聞かれても。 “Why do i love you?” にしたって、「私はなぜあなたを愛していますか?」…って、そんなの僕の知ったことではないですよね。多分まあ、顔が可愛いとか、性格がいいとか、エエ乳しとるとか、そういうことなんとちゃうの?…と、ある程度のことは想像出来るんですけどね。どうも疑問文のタイトルというのは日本人の感覚にはそぐわないものがあるので、 “How deep is the ocean?” は、 「愛は海よりも」 と、ずいぶんと誌的に意訳されることになるんですが、で、もうひとつの共通点はですね、どちらの曲でもミッチェルがミュートを使っているということなんですけどね。バラード=ミュートという発想は、実に単純で分かりやすくていいと思います。いや、この人、他のアルバムではバラードでもあまりミュートは使っていなかったような気がするので、これもひとつの小さなぷちチャレンジなのかも知れませんね。で、テーマ部ををミッチェルがワン・ホーンで歌い上げて、アドリブ・パートに入ってジュニア・クックが登場…というのは2曲目とまったく同じパターンなんですが、これをマンネリと捉えるか、ひとつの様式美と考えるかは、人それぞれだと思います。僕としては、ちょっとマンネリなんだけど、これも様式美だよね。…と思っているんですけどね。で、クック以下、シダー、ミッチェルと、しみじみとした良好なソロが続いて、テーマは再びトランペットのワン・ホーンでありますな。ソロの最後がミッチェルなので、アドリブからテーマに戻るところの流れが実にナチュラルでいいですよね。で、エンディングの処理は2曲目と比べると実にオーソドックスなんですが、ルーズソックスのブームが廃れて、みんながオーソドックスなものを履くようになると、普通の靴下というのもそれはそれでいいものだよね。…と思い直したりするものなので、これはこれでいいと思います。

 で、ラストは 「タイガー・リリー」 でありますかぁ。サド・ジョーンズのオリジナルで、最後の最後にあまり日本人好みでないタイプの曲を持ってきたな。…という気がしないでもないんですが、プロデューサーのオリン・キープニュースはアメリカ人ですからね。そうそう、日本人の趣向だけに合わせるわけにもいかない事情があったりするんでしょう。で、ここではソロ先発にシダーを持ってくることで雰囲気に変化が付けられておりまして、ま、その点では評価していいと思うんですが、ソロ2番手がクックで、続いてミッチェルを持ってくるという順番でありますな。その後、ジーン・テイラーのウォーキング・ソロが聴けたりするところも、ムシキング好きのお子様には嬉しいところなんですが、いや、ぜんぜん関係ないんですけどね、ベースのウォーキングとムシキング。とまあそんなことで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

  「トルコ石」「ケイパーズ」 。この2曲だけで買う価値はあるでしょう。“?”の付いた歌物バラードも出来がよくて、アルバムの価値を高めております。ところで、歌物で思い出したんですが、桂歌丸の本名が 椎名嚴 (しいな・いわお) だということを知っていましたか?…って、んなこと知る筈もないんですが、それにしてもイメージとまったく違う本名を付けたものでありますなぁ。親はもっと本人のキャラを考えて名前を付けろって!…と思わずにはいられませんが、いや、歌丸クンも子供時代はずいぶんと嚴 (いわお) な少年だったりしていたのかも知れませんけどね。何でもいいけどソフトボール大会の応援で、頭のハゲたおっさんに向かって、「ヨード卵、ひ・か・り!ひ・か・り!」…と、しつこく声を掛けるのはやめてくださいね。最初のうちは面白くても、あまりに度が過ぎると、ただウザいだけです。それにしても、〆さばヒカルは一向にブレイクしませんなぁ。。。


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