会社の慰安旅行で京都と城崎に行ってまいりました。正確に言うと宿泊したのは城崎温泉ではなくて、そこから北にバスで10分ほど走った日和山温泉というところだったんですが、それ、どこ?…と質問された時に、城崎温泉から北にバスで10分ほど走ったところ〜。…と、いちいち説明するのも面倒なので、城崎に行ったということにしておきたいと思います。そもそも城崎というのがどこにあるのかと言うと、京都からずーっと北に上って、日本海に突き抜けたところ〜。…といった漠然とした印象しかなかったんですが、僕は過去に一度だけこの地を訪れたことがあるんですよね。おそらく幼稚園児か小学校の低学年だったと思うんですが、京都から乗った “あさしお” という名前の特急がとっても相撲取りだったよね。…というのと、その “あさしお” がとても混雑していて自由席に座れなくて、クソ暑い連結器のところにウンコ座りさせられて、やさぐれた気分になったということと、城崎の近くの海岸がとても岩場岩場していて泳げそうにもなくて、駄目ぢゃん!…というので、やさぐれた気分になったということと、でも近くにいた人が、「ここから少し行くと “竹野浜” という、エエ海水浴場があるでぇ。」…と言うことを教えてくれて、そちらに移動したらホンマにエエ海水浴場だったので、とってもよかった。…ということが僕の記憶には残っております。
で、改めて城崎の正確な場所を調べてみたところ、思ってたよりも随分と西のほうであることが判明したんですが、京都の上…どころか大阪や神戸も通り越して、姫路の上あたり…といった位置関係になるんですね。ここまで来るともはや山陰と言ってもいいほどで、予定表を見ると京都からの所要時間は約3時間となっておりました。いや、けっこう遠いですなぁ。 ということで、塩サバ物産(仮名)御一行を乗せたバスは最初の目的地である京都を目指して名神高速を走っていたわけでありますが、その車内でですね、カラオケが始まってしまったんですよね。いや、意外な展開でしたな。最近、バスの中であんまりカラオケとかやらないよね。…と思ってすっかり油断してたんですが、虚を突かれてしまいました。僕は何が苦手と言って、人前で歌を歌ったりするのが大の苦手な若手社員であるわけでして、それはまあ、ぜんぜん歌えないというわけではないんですけどね。ぜんぜん場が盛り上がらない地味で暗い歌なら何とか3曲くらいは大丈夫なんですが、ぜんぜん場が盛り上がらない地味で暗い歌というのは歌ってみてもぜんぜん場が盛り上がらなくて、こんなことなら歌わないほうがよかったよね。…といった結果に終わってしまうのが通例なので、何とも気の重いところでありまして。幸い、酒の酔いと乗り物酔いに非常に弱い僕は、後部サロン席で繰り広げられる宴会に巻き込まれるのを恐れて前の席に一人で座っておりまして、 “同僚や先輩後輩、上司の輪に溶け込むことが出来ない社内引きこもり状態の社員” と化しておりましたので、マイクが回って来る心配はあまりなかったんですけどね。
ちなみにこの日、車内で歌われたのは 「オリビアを聞きながら」、 「六甲おろし」 、 「ギザギザハートの子守唄」 、 「涙のリクエスト」 といったところでありました。何故だかチェッカーズが連チャンだったんですが、これはやはり藤井フミヤが愛知万博で “大地の塔” をプロデュースしたのが契機となって、名古屋圏で人気が上昇したということなんですかね? 僕が高校生だった頃に流行っていたんですよね、ギザギザハート。 あ〜あ、分かってくれとは言わないが、そんなに俺が悪いのか?…という、いかにも若者らしい反抗精神が当時のヤングのハートを掴んだんだと思いますが、当時の僕はこの歌に対し、そうや、みんなお前が悪いんや!…とツッコミを入れるような、そんなオトナの性格の高校生だったんですけどね。 仲間がバイクで死んだのさ、とってもいいヤツだったのに…って、暴走するからやん!そんなの、自業自得ですよね。…と、ここまでは選曲上、さほど問題はなかったんですが、その後、テレビの画面にですね、 「赤とんぼ」 という字が出てきたんですよね。もしかしてあの、聞いているほうが恥ずかしくなる恥辱の赤面ソング、あのねのねの 「赤とんぼ」 なのか?…と思って身構えたところ、どうやら、ちあきなおみの別の歌のようなのでほっと胸を撫で下ろしたんですが、いや、せっかくの楽しい旅行であんなつまらない歌を聞かされたりしたら、何もかも台無しですからね。もし、バスの中でアレを歌おうとする者がいたなら、例えそれが上司にあたる人であろうと、空気読めよ!…と罵倒したくなるところでしたが、いや、ちあきなおみでしたか。どんな歌なのかは知りませんが、なかなか渋い選曲だと思いますね。
…と思っていると、ちあきなおみの 「赤とんぼ」 は、わずか数小節で打ち切られてしまって、後部座席からは何やら、 「あの “あかとんぼ” はこういう字と違って…。」 といった声が聞こえてきて、やがてテレビの画面には 「あかとんぼの歌 あのねのね」 という文字が表示され、続いて車内には長縄所長代理の歌声が響き渡ったのでありました。いやあ、これならまだ、地味で暗い歌を歌って、まったく場が盛り上がらないほうがよっぽどマシですよね。ま、幸いにもこれが契機となって車内カラオケという企画自体が打ち切りになってしまったので、僕のところにマイクが回ってくることはなかったんですけど。 とまあそんなことで、清水寺に到着しました。その後、湯豆腐を食べて、高台寺を見学するというのがこの日の京都見学の全行程なんですが、何のことはない、湯豆腐を除けば僕が数年前に京都を訪問した時のコースと半分は重なっているんですけどね。その時の話は ここ と ここ に書いてあるので、暇な人にはまた読んで貰うとして。 で、この日はですね、とっても雨降りでありました。牛肉は霜降りが美味しいんですが、京都は雨降りだとより風情が増しますよね。…といったこともなく、べちょべちょに濡れてただウザいだけなんですが、清水寺から二年坂、三年坂のあたりはいかにも京都らしい情緒があって、いつ来てもいいところですよね。こういうところをギャルと2人で散策したりすれば非常に楽しいに違いないんですが、この日はちらちらと長縄所長代理の姿が見えたりして、何もかも台無しだったんですけどね。で、この人、豆腐屋に到着した時点で一人だけ消息不明になってみんなに迷惑を掛けて、一層のことそのまま消えて頂ければよかったんですが、無事に発見されたりして、で、豆腐を食べて、高台寺の中を歩いて、あとはただひたすら城崎を目指してバスでひた走るばかりであります。
その日のお宿、 “金波楼” はですね、とっても立派でした。日本海を目の前にしたロケーションも実に素晴らしい…んだと思うんですが、当初の予定を大きくオーバーして、到着したのが夜の6時頃でありましたので、回りの景色は真っ暗で何も見えなくて、よくわかりませんでした。とりあえず温泉に浸かって、その後で宴会ということになったんですが、コンパニオンがですね、3人付いておりました。和服を着たコンパニオンでありましたので、仲居さんなんだか、パニオンぎゃるなんだか今ひとつ判然としないものがありましたが、間違いなく3人付いておりました。今回の塩サバ物産(仮名)御一行は総勢19名、うち2人がギャル系という構成でありましたので、おっさん17人あたり、パニオンぎゃるが3人。競争率は 5.67倍ということになりますか。人数的には宴会プラン “松・竹・梅” のうち、ま、梅' (ダッシュ) くらいではないかと思うんですが、ただ質的にはとてもオマケでダッシュを付けるところまでは到達しておらず、若くてまあまあなのは一人だけやんけ!…というのが、もっぱらの評価であったようです。いや、頭を直撃するデッドボールでなければ大丈夫。…という極めてストライクゾーンの広い僕としては、ぜんぜん大丈夫だったんですけど。
で、料理が半分ほど出てきたところでですね、恐怖のカラオケ・タイムが始まってしまいました。これだけは避けられないよね。…ということは覚悟していたんですが、出来ることなら避けたいところでありまして、いや、2次会の会場の暗いところで椅子に座って歌うというのならまだ何とかなるんですが、クソ明るい宴会場のステージの上で立って歌わなければならないとなると、これはもう、晒し者以外の何者でもありません。これはもう、逃げの一手でありますが、ま、結局のところ逃げ切れなくて、ステージの上で歌う破目になっちゃったんですけどね。パニオンぎゃるのうちの一人、客観的に見ればベースのはるか手前でワンバウンドする、投げた瞬間にボールと分かるギャルに、 「デュエットするぅ? “ロンリー・チャップリン” とか?」…と言われて、2人ならまだ注目度が半減するから、いっかぁ。…と思って、了解してしまいました。この歌に関しては実績がありましたしね。旅行に先立つこと10日ほど前、某関連会社の社員が退職することになってその送別会が行われたんですが、その2次会の席で歌ったことがあります。2つのテーブルに分かれて、僕らの席には、お前それ、危険球やろ?…と言いたくなるようなギャルが座ってくれたんですが、その彼女に 「デュエットするぅ? “ロンリー・チャップリン” とか?」…と言われた長縄所長代理の歌いっぷりがですね、あまりにも聞くに堪えないものでありましたので、途中から長縄所長代理代理として、歌ったんですよね。いや、サラリーマンたるもの、時には上司のフォローをしなければならない時もあって、なかなか大変なのでありまして。
で、 “ロリ・チャップ in 城崎” はさほど盛り上がることなく無事に終了した次第でありますが、とまあ、そんなこんなで2次会でありますな。カラオケ大会の第2弾は長縄所長代理の 「あかとんぼの歌」 で幕を開け、おかげで僕はすっかり酔いが醒めてしまったんですが、これはまあ、周囲の人が自虐趣味で強制的に曲を入れたものなので、歌った本人に罪はないんですけどね。ただ、どうせ歌うのなら、もっとうまく歌えって!…と思わずにはいられませんでしたが、で、この2次会の席ではですね、大阪営業所のヤマグチくんとヨシダくん (←敬称略) がですね、ブレイクしておりました。ま、ヤマグチくんのほうは宴会の段階で既に聖飢魔U (←機種依存文字、大丈夫か?) を絶唱していて、かなりアブナイ世界に入っていたんですが、ヨシダくんのほうはですね、宴会の段階では地味に 「悲しい色やね」 を歌っていたんですよね。ヨシダくんはいつもこれを歌うので、僕の心の中では 「悲しい色やね」 しか歌わん人やね。…といった印象があるんですが、ちなみにこれは、ぜんぜん場が盛り上がらない地味で暗い歌3曲のうちのひとつで、僕の貴重なレパートリーだったりするので、先に歌うなって!…と思わずにはいられないんですが、そのヨシダくんがですね、2次会の席で突如として新しい芸風を見せて、大ブレイクしちゃったんですよね。 「日本ブレイク工業」 というのがその演目なんですが、この謎に満ちた得体の知れない歌の正体は??? ということで、このお話は次回に続きます。
ということで、今日はリー・モーガンです。リー・モーガンはですね、1938年7月10日にペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれました。 “一休さんは (1938) 納豆 (7.10) 好き。” …と生年月日を覚えておくといいと思いますが、1972年2月18日に愛人だったヘレンちゃん(47歳)にピストルで撃たれて、翌日に死亡が確認されておりますので、享年33歳ということになります。いやあ、早死にですな。早死にしたロシア人、ハヤジーニ君 (97歳) と同じくらい早死にでありますが、いや、97歳まで生きたのなら、ちっとも早死にではないような気もするんですけどね、ハヤジーニ君。 で、リー・モーガンの場合、18歳からプロとして活躍しているので、早死にしたわりにはリーダー作が多かったりするんですが、吹き込むだけ吹き込んで、発表されることがないままオクラ入りになったものも少なくありません。ブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンはヤク代を欲しがるミュージシャンに対して、仕事もしないのに銭を与えては本人の為にならん。…と考えて、採算を度外視して発売の当てのないレコーディングを何度も行わせたのでありました。ああ、ええ話や。 ジーン (´Д`) … と、世間には伝えられておりますが、果たしてこれ、単純に美談として受け取っていいんですかね? 下手に仕事を与えるから小金が溜まって、それでクスリを買うからヤク中から抜け出せなくなるんだって!…と思わずにはいられませんが、いや、けっこう甘いところがありますよね、ライオン君も。ま、早い話がたくさんレコーディングをしたかっただけの話なんだと思いますが、その結果、キャパオーバーで未発表のまま埋もれてしまったセッションがたくさん発生してしまったと。
で、今日はそんなオクラ入り作品を紹介したいと思うんですが、 『リー・モーガン・スタンダーズ』 というのが原タイトルとなっております。リー・モーガンがスタンダーズを演奏しているだよね。…ということが一目瞭然で、これはこれでなかなか優れたタイトルであると思うんですが、あまりにも味気ないぢゃん。…というので、日本では収録曲のひとつから取って 『ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド』 という名前で呼ばれているようです。スタンダーズと言っても表題曲以外にさほどメジャーなものはなくて、どらかというと渋い選曲となっているんですが、そんなことはどうでもいいぢゃん。…といいたくなるくらい、このアルバムはメンバーが凄いんですよね。フロント陣にはモーガン以下、ジェームス・スポールディング、ウエイン・ショーター、ペッパー・アダムスと、強力無比な3人のサックス奏者を取り揃えて、でもってピアノはハービー・ハンコックでありますかぁ。よくこれだけのメンツを揃えておいて、未発表で済ませたな。…と、ライオン君の勇気に敬意を表したいところでありますが、ショーターにしろ、ハービーにしろ、普段スタンダードを演奏するようなことはほとんど無いので、ま、こんなお気軽セッション、オクラ入りでも別にいっかぁ。…軽く考えていたのかもしれませんね。とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。
えーと、まずはですね、 「ディス・イズ・ザ・ライフ」 という曲ですね。小川隆夫クンの書いたライナーノートによると、ミディアム・アップのご機嫌なナンバー。モーガンがアンサンブルをリードするテーマの後はショーターのソロがちょっと凄みを効かせたプレイを展開する。…とのことなんですが、いや、僕もまったくその通りだと思いますね。ちなみにこの曲はブロードウェイのヒット・ミュージカル 『ゴールデン・ボーイ』 の中の1曲で、モーガンがいた時代のジャズ・メッセンジャーズが拡大メンバー (ショーターとスポールディングも参加) でこのミュージカルを取り上げた 『ゴールデン・ボーイ』 (コルピックス) を残している。…とのことなんですが、あの、ブレイキーが柔道着姿をしているジャケットの奴ですかね? 見た目があまりにも趣味が悪いのと、アルバム・タイトルが何だかタマキンみたいだよね。…という2つの理由で、まったくソソられるものがなかったんですが、そんな凄いメンバーのアルバムだったんですか。そうと知っていれば手に入れておくべきでありましたなぁ。よく考えたらタマキンみたいなのは “ゴールデン・ボール” であって、ボーイのほうはまったく問題なかったわけですもんね。今となってはもう、このアルバムは入手困難のようでありまして、返す返すも残念なことをしてしまいました。…と後悔しても始まらないので先に進みますが、このアルバムはですね、デューク・ピアソンがアレンジを担当しているんですな。言われてみれば、なるほどぉ。…という感じなんですが、言われなければわからないのでこの問題に関してはあまり深入りしないことにして、で、テーマ部のアレンジは隆夫クンが書いている通り、モーガンがリードして、他の3人が追従する形でありますな。ぼーっとしていると、そのまま通り過ぎてしまいそうな印象の薄いメロディ なんですが、よくよく聴いてみると、いかにも歌モノっぽいキュートな作品であるような気がしないでもありません。
で、ソロ先発はショーターですか。いいですよねぇ、ショーター。世の中にはショーターと小学生男児が大好きで、ショーターのコンプリート・コレクションを目指しているショタコンの人がいるそうですが、僕もショーターはけっこう好きですね。小学生男児のほうはぜんぜん好きではなくて、いじめとか、イビリとか、虐待の対象でしかないわけですが、ここでのショーターはですね、ちょっと凄みを効かせたプレイ…と隆夫クンが言ってるほどのことはなくて、ごくノーマルなプレイだと思います。凄みというより、プラごみの分別がしっかりと出来る、ちゃんとした社会人やな。…といった感じでありまして、いや、僕は駄目なんですよね。面倒なのでプラごみは紙くずに包んで、バレないように偽装工作した上で燃えるゴミとして出したりしております。その点、ショーターは立派やな。…と思うんですが、ソロ自体はちょっと時間が短すぎて、やや消化不良という感じがしないでもないんですけどね。 で、続くモーガンのソロは軽く流している流しソーメン屋。…といった感じでありまして、ま、ソーメンなんてものはヘビーに流したところで樋が詰まるだけなので、軽目に流しておいて正解なんですけどね。 で、ソロ3番手はジェームス・スポールディングなんですが、この人のフレージングって、ショーターに似ているよね。…と感じるのは、僕だけなんでしょうかね? 楽器がアルトで、何だか音が上ずっているから世間では軽く見られがちなんですが、多分、テナーを吹かせれば “下手くそなショーターもどき” くらいの地位は確保出来るのではないかと、僕は高く評価しております。で、続くハービーのプレイもそこそこご機嫌だったりするんですが、やはり全体的にソロのスペースが短すぎて、あまり印象に残らない演奏になってしまっているのが残念ではあります。ま、お気楽なオープニングとしては可も無し、不可も無しといった感じで、カモの肉やフカのヒレが出てこない中華料理というのは、今ひとつ不満だったりするんですけどね。
2曲目の 「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」 はバラードです。4本の管楽器がとってもよくハモっておりまして、ハービーのピアノのタッチもですね、非常にキュートであります。さすがはデューク・ピアソン、若干サル顔ではありますが、編曲の才能はなかなか確かなものでありますな。テーマ・メロディをモーガンがリードして吹いているんですが、何となくクリフォード・ブラウンのウィズ・ストリングスを彷彿させるところがあって、いや、もしかしたらモダンなバラード演奏という点ではモーガンのほうがクリフォードよりも上かも知れませんね。クリよりうまい十三里とは、昔の人もうまいことを言ったものですな。いや、あまり関係のない話ではあるんですけど。だいたい、どう考えたってイモよりは栗のほうがうまいやろ?…という気がするんですが、もともとは、イモだってけっこう美味しいんだけど、でも栗にはちょっと負けるよね。…というので、 “三里半” という謙虚な名前が付いていたという話を聞いたことがあるんですけどね。が、ネットで調べてみてもそういう話はどこにもなかったので、あるいはガセネタだったのかも知れませんが、ま、個人的には栗もさほど好きではないので、別にどうでもよくて。で、演奏のほうはテーマを2回ほど繰り返した後、ハービーの萌えキュートなピアノ・ソロになるんですが、いや、これは絶品ですな。隆夫クンも、呟くような味わい深いプレイ…と評価しておりますが、一時期、死亡・自殺未遂説が流れたつぶやきシローもまだ健在なようで、何よりだと思います。ごめんねジローと同じくらい好きでしたからね、つぶやきシロー。ま、キダタローほど好きではなかったんですが、続くモーガンのソロは途中からテンポが速くなったりして大いに盛り上がっておりまして、なかなかの出来であるな。…という気がします。ということで、テーマに戻って、おしまい。
3曲目の 「ブルー・ガーデニア」 はナット・キング・コールの歌でヒットし、その後ダイナ・ワシントンが歌って評判を博した曲でありますな。いや、僕はキング・コールの歌もダイナ・ワシントンのヴァージョンもまったく知らんのですが、隆夫クンがそう書いているので、まずは間違いないところでありましょう。今度のバス旅行のガイドさんは何だか言ってることに間違いが多くて、今ひとつ信用のおけないところがあったんですが、ま、ギャルが相手なのであまり深くは追求せずに、心の中でツッコミを入れるに止めておいたんですけど。ただ、赤穂浪士の討ち入りの数を 「27人」 と発言した時には、カナモリ相談役、マブチ部長、仙石イエス君の長老3人組トリオから同時に、何でやねん!…という声が上がっておりましたが、豊岡市では 「コウノトリの養殖で有名ですよね。」 とか言ってましたしね。コウノトリは養殖とは言わんやろ!…と、ツッコミを入れたい気持ちで一杯でありましたが、保護増殖という言い方はするようなので、なかなか惜しいところは突いていたんですけどね。で、この曲、さば好みのなかなか綺麗なメロディを持っておりまして、ピアソンのアレンジもうまくツボを押さえていて、秀逸でありますな。タイトルから連想するほどブルージーな演奏にはなっていない。…と隆夫クンは書いておりますが、何を言っておるか、隆夫! 僕が思うに、十分にブルージーなブルンジ人。…といった仕上がりとなっておりまして、いや、確かアフリカにありましたよね、ブルンジという名前の国。ブルンジ人というのは今ひとつ言いにくいので、ブルン人と略したほうがいいかも知れませんが、ソロ先発はモーガンでありますか。ヴァーチカルなフレージングが、いかにも彼らしくていいよね。…という気がするんですが、続くショーターのソロが極めてホリゾンタルであるのとは対称的で、そのコントラストが、えーと…、よく分からない片仮名ばかり使ったら後が続かなくなりましたが、このアルバムで唯一、ペッパー・アダムスのソロがあったりして、で、とってもブルージーなテーマに戻って、おしまい。いや、実によい出来でありました。
4曲目の 「ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ」 は大ヒットしたミュージカル 『バイ・バイ・バーディ』 からのナンバーだそうです。そんな名前のミュージカルは聞いたことがないので、本当に大ヒットしたのか?…と、自分の無知を棚に上げて隆夫クンのライナーノートにあくまでも懐疑的な僕でありますが、1曲目のタマキン・ソング同様、チャールス・ストラウスとリー・アダムスのコンビが書いたものなんだそうで。これまた、僕としては全然知らない人なんですけどね。で、この演奏、出だしの部分があまりスタンダード風はでなく、何だかモードのオリジナル曲のようなんですが、テーマに入るとメロディ自体はしっかり歌モノしてますよね。で、ソロ先発はショーターなんですが、ここでの吹きっぷりはこのアルバムの中でもベスト6に入る出来でありまして、ま、全部で6曲しかないからベスト6に入るのは当然なんですが、個人的には第1位に任命してもいいよね?…と思っておりまして、それを受けたモーガンのソロも元気があってとってもよくて、続くハービーのプレイも溌剌としていて、それにしても今年のパリーグのプレーオフはちっとも盛り上がりませんな。(←第2ステージ第3戦・8回表現在。)ロッテの強さばかりが目立って、このままでは阪神も4タテか?…という気配が次第に強くなってきましたが、少なくとも井川はおそらくパカ打たれでありましょう。床屋に行かんからや!…と思わずにはいられませんが、ちなみに僕は今日、床屋に行ってさっぱりして来ました。オマケに貰った森永のチョコボールは今回もまたハズレでありまして、おもちゃの缶詰のほうはさっぱりでありますが、そんなことで4曲目はおしまい。
続いてはですね、バラードです。 「サムホエア」 はお馴染みのミュージカル 『ウエストサイド・ストーリー』 からのナンバーでありまして、これはもう間違いなくお馴染みのミュージカルでありますな。隆夫クンの言ってることは間違いなく間違いではありません。テーマ部ではスポールディングの吹くフルートが今までの演奏とは一味違った雰囲気を醸し出しておりまして、これだけで彼がこのセッションに参加した意味はあったと言えるでしょう。主旋律は主にモーガンが担当しているんですが、最後のところだけショーターがワン・ホーンで吹いておりまして、そこのところがいかにも彼らしいミステリアス・ムードに溢れていて、いや、泣けますなぁ。最近、こんなに泣けたのは “カツオの最期” の話を読んで以来ではないかと思うんですが、いや、2ちゃんねるの 「火曜日サザエさん」 というスレにそのエピソードが書いてあったんですけどね。二代目カツオ役の声優、高橋和枝が亡くなる寸前、既に意識が無くてサザエ役の加藤みどりが 「和枝さん」 と声を掛けても反応がなかったのに、「カツオ!」と呼びかけたら返事が返ってきたんだそうで。いやあ、真のプロフェッショナルですなぁ。…と、涙に暮れているうちに演奏のほうは終わってしまいましたが、アルバムの最後を飾るのはですね、マイルスの名演で有名な 「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」 …ではなくて、 「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」 という曲であります。厳密に言うとスタンダードではなくて、シンガー・ソング・ライターのティム・ハーデンの曲なんだそうです。 もし私が大工ならば、何がどうだと言うんでしょうな? もし私が大工ならば、自分で家が建てれるのにぃ。…って、それくらいの展開しか頭に浮かびませんが、ま、 「もし私が鐘ならば」 というのも、鐘になったところで、何がどうやちゅうねん?…というのが “大工” 以上によく分からなかったりするんですけどね。で、この曲はですね、ジャズ・ロックで演奏されております。せっかくここまで4ビート・オンリーで来たんだから、今回くらいはジャズ・ロック路線を封印して欲しかったところでありますが、やっぱり無理でしたか。ま、さほど露骨に8ビートというわけではないのがまだ救いなんですが、ペッパー・アダムスが吹いている超低音のフレーズがなんともカッコいいですな。ソロ先発はショーターでありますが、この人は 「アダムス・アップル」 みたいなジャズ・ロックの名曲も作っておりますので、この手のサウンドでも十分に実力は発揮されております。続くモーガンのソロの後半にはホーンのアンサンブルが被って大いに盛り上がって、でもってハービー・ハンコックのソロもファンキーな味があって、悪くないですね。ということで、テーマに戻って、おしまい。 で、僕の持っているCDではこの後、 「ブルー・ガーデニア」 の別テイクが入っているんですが、そんなものは無かったことにして、今日のところはおしまい。
【総合評価】
強力なメンバーを集結したわりには、何だかぬるぽ。…という否定的な見解もあるでしょうが、緊張ばかりがJAZZではありません。弛緩と、痴漢と、イカ缶。 世の中、たまにはそういったものも必要だと思うしー。 いや、痴漢は犯罪行為だし、イカ缶は生臭いから嫌いなんですけどね。あ、パリーグのプレーオフ、ソフトバンクが9回裏に追いついて、10回にサヨナラ勝ちですかー。まだまだ分かりませんね。いや、この原稿がUPされる頃には、すっかり分かってるかも知れませんけど。