EVERYBODY DIGS (RIVERSIDE)

BILL EVANS (1958/12/15)

EVERYBODY DIGS


【パーソネル】

BILL EVANS (p) SAM JONES (b) PHILLY JOE JONES (ds)
【収録曲】

MINORITY / YOUNG AND FOOLISH / LUCKY TO BE ME / NIGHT AND DAY
EPILOGUE / TENDERLY / PEACE PIECE / WHAT IS THERE TO SAY?
OLEO / EPILOGUE
SOME OTHER TIMES
【解説】

 愛知万博に行ってきました。いいですよねぇ。万博。わんぱくなお子様にも金箔の職人にも大人気の万博なんですが、タンパク尿の僕も一度くらいは見ておきたいな。…と思っていたら、さば2号ファミリーが8月15日に行くっ♪…ということでありましたので、ついて行くことにしました。6時7分に桑名駅からJRの関西線に乗って、名古屋でエキスポシャトルに乗り換えて万博八草駅まで行って、そこからはリニモ。でありますな。あ、リニモ。はミニモニ。とは違うので、別に。は付けなくてもいいんですかね?いずれにせよ、お子様の期待を一身に担ったリニモでありますが、別にどうということのない乗り物でありましたな。麻原彰晃の空中浮楊と同じくらいは浮くっ!…という話だったんですが、6ミリ程度では浮遊感を体感出来るはずもなく、ま、最初からあまり期待はしてなかったのでさほど落胆もしませんでしたけどね。法事の時のお茶菓子が都まんじゅうではなくて落雁だったりするとかなり落胆しちゃうんですが、それに比べればショックの度合いも少なめでありました。 で、会場に到着したのは8時頃でありましたか。地下鉄で藤ヶ丘→リニモというのが桑名から鉄道を利用する場合の最短ルートなんですが、混雑を予想してエキスポシャトル (JR中央線→愛知環状鉄道) →リニモという遠回りルートを選んだ選択は果たして正しかったのか、大ハズレだったのか。個人的にはクルマ→シャトルバスのほうが楽だったかな?…という気もするんですが、ま、JRの万博きっぷを買うとキッコロゴンドラが 200円引きになるし、なかなか難しいところでありますな。

リニモ。だぴょん♪

 始発のエキスポシャトルだったにも関らず、会場の北ゲート前に到着した時には既に長い行列が出来ておりまして、別ルートを利用した人に比べて大きく遅れを取った模様であります。予定より30分ほど早く8時半には開場となったんですが、手荷物検査で時間を取られるので行列を消化するペースは遅く、会場内に入ることが出来たのは結局のところ9時過ぎでありました。ちなみに手荷物検査は空港と同じく金属探知機を備えた本格的なものでありますので、モリゾーゴンドラをハイジャックして、北朝鮮へ行け!…みたいな事件を起こそうとしても、この時点で武器を没収されることになります。もし首尾よく会場内まで武器を持ち込むことが出来たとしても、モリゾーゴンドラのケーブルは北朝鮮までつながっていないので、瀬戸開場で下ろされておしまいだと思いますけどね。 で、武器・弾薬・汚物に限らず、手作り以外のお弁当やビン入り、缶入り、ペットボトル入りの飲料もここで没収されることになるんですが、500mlペットボトル飲料は会場内の至るところで 150円で販売されておりますので、ま、さほど大きな問題ではありません。手作り弁当は出来ることなら持参したほうがいいかも知れませんね。場内の食べ物は軒並みぼったくり価格になってますからね。子作りは好きなんだけど、手作りはちょっと。…という奥様はコンビニ弁当を自前の弁当箱に詰め直すなどして、ま、せいぜい頑張って下さいね。

 さば2号ジュニア1号の第1希望は “日立グループ館” なんだそうで、とりあえず会場内に入ったら一番に整理券の確保を目指すという方針であるようです。個人的には企業館などあまり興味はないし、人気パビリオンの行列に並ぶだけの気力もないし、世の中、そう簡単に第1希望に入れるワケが無いんだよね。…と、世間の厳しさをコドモに思い知らせる教育的な見地からも、是非とも整理券が確保出来ないことを希望していたんですが、世の中まだまだ捨てたものではありませんね。頑張って始発のエキスポシャトルに乗ったにも関らず、日立館の整理券は既に配布終了っ!…となっておりまして、さば2号ファミリーの野望は瞬時にして打ち砕かれたのでありました。わははははは。だいたい8月15日などというモロ盆休みのピーク時に来て、でもまあ、何とかなるかも知れないね。…などと考えていること自体、見通しが甘すぎると言わざるを得ません。 失意のうちに第2希望の “長久手日本館” へと移動するさば2号ファミリーでありましたが、こちらは整理券方式ではないので、とにかく並んでいさえすれば、確実に入場することが出来ると。僕たちが並んだ時間で “110分待ち” という看板が出ておりましたが、物好きにもこの行列に耐える覚悟であるようでして。ちなみに僕は万博にはあまり熱意を持って取り組んではおりませんで、ほとんど下調べもしなかったし、舌平目も食べなかったので、これから入ろうとしているパビリオンがどういうところなのか、まったく見当が付いていないんですが、遅ればせながらちょっと調べてみることにしましょうかー。

長久手日本館&大地の塔♪

 長久手日本館は、3つのゾーンとひとつの部屋で構成されています。ゾーン1で人類が直面している地球の危機を体感。ゾーン2では、失われかけた自然とのつながりを追認。そして、「地球の部屋」では世界初 360度全天球型映像システムで地球環境のすばらしさ、地球の生命力を再認識していただきます。最後のゾーン3では豊かな森林空間で自然とのつながりを体感しながら、自然と共生する技術を紹介します。地球が人類にとってかけがえのない場所であり、いかにすばらしい星なのかを実感してください。

 なるほどー。少なくとも日本政府が万博開催地としての威信にかけて、多くの血税をつぎ込んで、血便に血が滲むような思いで作り上げたものに違いないので、ある程度は期待していいかも知れませんね。…といった感じなんですが、結論から言ってしまうとですね、まあまあでした。ゾーン1、ゾーン2あたりはほとんどオマケ、もしくは余興、あるいは日本昭和村の小規模バージョンみたいなもので、最後のゾーン3はコンセプトのよくわからん空間でありました。ま、要は世界初 360度全天球型映像システムだけやな。…といった感じなんですが、せっかくの 360度全天球型映像も立っていた場所が通路の真ん中でありましたので、ま、いいとこ 308度不完全天球型映像って感じぃ? 端っこのほうなら床もガラス張りになっているのでそれなりに 360度全天球だったかも知れませんが、いずれにせよ上映時間があまりにも短過ぎぃ。…でありました。客の回転をよくするにはある程度しかたがないのかも知れませんが、長く待たされた割にはちょっと物足りなかったです。前戯は何だか妙に長いんだけど、本番になったらあっという間。そういうヤツだったんですな、長久手日本館。 で、外に出たらですね、ほぼ11時でありました。並び始めたのが9時半前だったと思うので、ゴールまで1時間半ちょっとと言ったところでしょうか。110分待ちの表示よりもかなりスムーズでありましたが、わざと長めの時間を表示して、思ったほど待たなくてもよかったぢゃん。…というので心の平安を得るというのが日本的なやり方ですからね。逆に外国のパビリオンでは待ち時間を実際よりも短く表示する傾向があるそうですが、いきなり120分待ちっ!…とか言われると気の短い肉食民族はカッとなって暴動が起きかねないので、だいじゃぶ、だいじゃぶ。ほんの12分待ちだしぃ。…ということにして、とりあえずの心の平安を得るのでありましょう。いやあ、国民性の違いでありますなぁ。

 …という話は万博裏話みたいなところでよく語られているので、けっこう有名なんですが、知らない相手にはまだ有効かも知れません。「ああん、さばさんって物識りなのぉ♪」…という評価を得られる可能性が無いわけでもないので、試してみるだけの価値はあるかも知れませんね。続いてはえーと、 “大地の塔” というのはあまり見る気がしませんな。そもそも、どうしてプロデューサーが藤井フミヤなんや?…というのがよくわからんのですが、噂によると名古屋市の偉い人がフミヤのファンだったから。…という、ただそれだけの理由みたいなんですけどね。公私混同も甚だしいと言わざるを得ませんが、このパビリオンのコンセプトはずばり “世界最大の万華鏡” なんだそうで。しかしまた、どうして万華鏡なんですかね?万博の目玉のひとつが冷凍マンモスなので、マンモスと万華鏡で、ヤル気マンマン♪…ということなんでしょうか?あるいは “まんげ” という言葉の響きから、何か別のものを期待してしまったおじさん層を呼び込もうという魂胆だったのかも知れませんが、口コミ情報を見る限り、万華鏡というのはただ大きければいいというものでないということが、よく分かった。…という意見がほとんどで、いやあ、フミヤ君、ハズしましたなぁ。 …ということで、こいつはパス。 で、12時になると食い物屋が混むかもしれないというので、早メシにすることにして。 幸いにもフェスティバル・フードコートというところのテーブルを確保することが出来たんですが、いや、ここのメニューはいかにも国際博覧会らしく、ワールド・ワイドなものでありました。まず日本代表として “天麩羅きしめん” 。中国代表として “チャーシュー麺” 、インド代表として “カツカレー” 、ハワイ代表の “ロコモコ” 、そしてイタリア代表の “あんかけスパゲティ” まであって、普段はとても口に出来ないインターナショナルなフードを堪能出来るというわけでありますな。ただ問題はカレーならカツカレーしか選択の余地がないところでありまして、スパゲティも “あんかけ” オンリーではイタリア代表というより、ただの名古屋名物ですよね。 で、僕が何を食べたのかと言うとですね、ロコモコというものだったんですけどね。

ロコモコ。だぴょん♪

 これがいくらだったのかというとですね、ドリンク付きで 1000円 だったんですけどね。写真にあるビールは別料金 (500円) でありまして、付属のドリンクはコーラ、オレンジ、ウーロン茶からひとつ選ぶというシステムであります。ドリンク単体は 200円 で売られていたので、ロコモコは 800円 ということになりますな。天麩羅きしめんもチャーシュー麺もカツカレーもあんかけスパもすべてドリンク付き 1000円 となっていて、小学生低学年でも計算が簡単だねっ♪…という点は評価してもいいと思うんですが、ややぼったくりに近いお値段ではありますな。そもそもロコモコというのはどういうものかというと、ご飯の上にカルビ焼きもしくはハンバーグとサラダと目玉焼きが乗っかったものなんですが、食べ物にあまりこだわりのないさば君をしても、ま、評価額 500円 がいいとこやな。…といった感じでありました。あ、ちなみに僕が食べたのはカルビロコモコのほうで、ハンバーグロコモコを食べたさば2号ジュニア1号はそれなりに満足してたようですけどね。ただ、僕と同じカルビロコモコを注文したさば2号ジュニア2号はカルビを部をほとんど残していて、もったいないやないけ!…と思わずにはいられませんでしたが、普段から柿安のいい肉ばかり食わしているから、口が贅沢になっちゃっているんですよね。嘆かわしいことであります。 ビールとかコーラはまあ、ごく普通だったので特に文句はないんですが、別途購入した手羽先は今ひとつでありました。揚げ手羽でも焼き手羽でもない煮手羽だったところがどうも今ひとつだったんですが、一口サイズの手羽が3つで 500円 という価格設定もかなり問題でありまして、でもまあ、それもこれもみんな、万博だしぃ。…ということで諦めなければならないのが実情なんですけどね。

だぶるかすぷ形状の先頭車♪

 …とまあ、たいへん充実したランチタイムを過ごした後はですね、JR東海の “超伝導リニア館” であります。ここはお勉強の部の “超電導ラボ” と、山梨の実験線で時速 581km を達成した “ダブルカスプ形状の先頭車” (MLX01-1・車両長28.0m)を展示するスペースと、 “3Dシアター” という3つのパートから構成されているんですが、それぞれ入口が別になっているんですよね。各自が興味あるところだけを見学出来る合理的なシステムであると評価することも出来るし、全部見ようと思ったら3回も並ばなければならんやんけ!…と非難することも出来るんですが、ま、超電導ラボは何だか小難しそうなのでパス。スズキ目のお魚の生態についてお勉強する “ボララボ” とかだったら見てもよかったかな?…という気はしたんですけどね。 で、ダブルカスプ形状の先頭車のほうはほとんど待ち時間なしで見学することが出来て、ま、ここは基本的に客席の中を通過するだけの話なので、ほとんど通路の一部と考えてもいいんですけどね。で、メインのほうは待ち時間40分くらいでしたかね? まず最初に立ち見状態で “鉄道の歴史” みたいなビデオを見せられて、それからシアターに移動して、椅子席で3D眼鏡を利用した飛び出す立体映像を鑑賞するというシステムでありますな。ま、それなりにちゃんと映像は飛び出していたし、上映時間も適切でありましたので、乗り物好きの人ならそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか? あ、ちなみに上の写真のいちばん目立つところに立っているガキは見ず知らずのガキであります。端っこのほうにさば2号ジュニア1号・2号も写っておりますが、僕はまったくショタには興味がないので、別にどうだっていいです。

 …とまあ、このペースで人気パビリオンばかり回っていると1日4〜5箇所くらいで終わってしまうので、後半は不人気外国パビリオンで数を稼ぐ方策に転じるとして。外国館は地域別に分けられた合計6つの “グローバル・コモン” と呼ばれるエリアにあるんですが、しかし何ですな。このグローバル・コモンというのは、何だかとってもグローバルな肛門だねっ♪…という感じがして、ちょっぴりソソられるものがありますよね。ヘイ!カモン・コーモン・レッツ・ゴー!…ということで、このお話は次回に続きます。

 ということで、今日はビル・エバンスです。で、話はまったく関係ないんですが、昨日、現場に早く着き過ぎてクルマの中でボーっとしているとですね、いきなり後ろのほうで、ぼーん!…という大きな音がしたんですよね。見ると一台のクルマが思いっきり電柱に激突しておりました。運転手が若くないおっさんだったら無視しようと思ったんですが、見ると年齢的にもルックス的にもまずまずストライクゾーンに入るギャルでありまして、ここはひとつ、助けてあげなければなりませんな。ほら、困った時はお互い様って言う言葉もあるしー。幸い、そのギャルに怪我はないようですが、クルマの前部はバンパーがぐちゃぐちゃになるくらい激しく破壊されております。やがて工事関係者が続々と集まってきたので、みんなでクルマを押してみたんですが車輪が完全にイカれていてびくとも動かず、細い道をそのクルマが塞ぐ形になっていたので、渋滞も発生してまいりました。しかたなく僕は自主的に交通整理員を買って出て、交差点に立って手で “×印” を作って頭を下げまくっていたんですが、そのうちにポンプ引き上げ用にチャーターしていたレッカーが到着したので警察の要請を受けてクルマの移動のお手伝いをして、いや、我ながら実にテキパキとした働きぶりでありましたな。いや何、ただ一言、「ありがとうございましたぁ♪」…と言ってくれれば、それでいいんですけどね。 ところがそのギャルは何の挨拶もなくいつの間にやら姿を消してしまって、ま、別にいいんですけどね。気が動転していて、とてもそこまで気が回らなかったのかも知れないしぃ。…ということで、 『エブリバディ・ディグス』 です。みんな、掘る。ちなみに、オカマを掘るというのは英語では “dig an asshole” というそうですが、ヘイ!カモン・コーモン・レッツ・ゴー!…ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 このアルバムはアレです。エバンスでもごく初期の作品でありまして、彼がまだ自己のスタイルを完成しきれていないところが興味深かったりするんですが、共演者もサム・ジョーンズフィリー・ジョーって、ばりばりハード・バップの布陣ですもんね。エバンスが当時、まだ “期待の新人” という立場だったことはジャケットに書かれたマイルスやジョージ・シアリング、アーマッド・ジャマルやキャノンボール・アダレイから寄せられた賛辞を見るとよく分かるんですが、いや、英語だから何が書いてあるのか今ひとつよくわからんのですけどね。で、そんな彼の、まだパウエル派のしっぽを引きずった演奏が聴けるのがアルバム冒頭の 「マイノリティ」 でありまして、まあ、いいノリって言えるプレイが展開されていると思います。フィリー君、アタマからノリノリですもんね。対してエバンス君はやや気圧され気味でありますが、それなりに健闘しているケントー・ナガサキ。…といったところでしょう。けっこう好きだったんですよね、プロレスラーのケンドー・ナガサキ。登場する時は防具に身を固めていて隙がないんだけど、リングに上がる時は防具を脱ぎ捨てて隙だらけだったりするところが好きでした。それなりに健闘するんだけど、結局、最後は負けちゃうことが多くて、で、ここでのエバンスもフィリーとの4バースではかなり旗色が悪いですな。ま、スタイルの違いと言えばそれまでなんですが、それはそれで初々しい感じがして、いいのではないでしょうか。

 でもこんなの、エバンスじゃないっ!…と思ってしまったギャルにはですね、2曲目の 「ヤング・アンド・フーリッシュ」 がオススメね♪…でありまして、タイトルは日本語にすると、 「若くて、馬鹿」 でありますか。若いというのは大抵、バカですからね。ま、世の中にはちっとも若くないのに、バカ。…という人も少なくはないんですが、僕は違います。若いころから賢かったですからね。ちっちゃな頃から悪ガキで、15で不良と呼ばれたよ〜♪…と、かつて藤井フミヤが歌っておりましたが、僕はそういうタイプではありませんでした。ちっちゃな頃から消化不良で、しょっちゅう下痢してるような子供ではありましたが、ま、大人になっても下痢癖はちっとも直らないんですけどね。 とまあそんなことはどうでもよくて、この 「ヤング・アンド・フーリッシュ」 でエバンスの耽美派・リリカリストとしても道は完成を見たと言えるでしょう。あの有名な 「マイ・フーリッシュ・ハート」 とは、おなじバカつながりというのことで似たような雰囲気を持った曲なんですが、深く内面に沈み込むようなバラード表現はまさに彼の真骨頂と言ってもいいでしょう。1曲目では持っている資質の違いが浮き彫りになってしまったフィリーも、ここでは抑制されたブラッシュ・ワークで堅実なサポートを聴かせていて、絶品です。いやあ、ギャルと聴くエバンスはやっぱりこうでないと駄目ですよね。 ということで、以上、若さと馬鹿さの際立つ、そんな逸品なのでありました。

 3曲目の 「ラッキー・トゥ・ビー・ミー」 もエバンスらしいリリカルさが十二分に感じられるナンバーであります。が、ピアノの無伴奏ソロ…というところがちょっぴり辛いですな。痔の人にとって辛いカレーというのは辛いものなんだそうですが、そういえば万博会場には 「本場インドカレーの店」 という名前のインドカレーの店がありましたな。ビーフカレーライスが 900円 って、やっぱりそこそこの値段はするんですが、ロコモコよりはよかったかも知れませんね。しかし、本場インドカレーなのに、ビーフカレーというのはどうか?…という気がしないでもなくて、やはりカルビロコモコで正解だったかも知れませんね。ま、カルビもやっぱり牛肉なんですが、ハワイ人は別にヒンドゥー教徒ではないので、食べてもまったく問題はないわけでして。 ということで、4曲目です。 「ナイト・アンド・デイ」 。これはエバンスの生涯で、最もはっちゃけた演奏であるに違いなく、いや、ラテンのノリだから派手にやってみようという意気込みはワカランでもないんですけどね。が、この人のキャラとはあまりにも遊離していて、聴いてるほうが恥ずかしくなっちゃう程でありまして、ま、これも若さゆえのアヤマチ…というやつでありましょう。アドリブ・パートに入るとやや落ち着きを取り戻した演奏になっているんですが、テーマ部で見せたあの狼藉は一生消えない汚点として未来永劫語り続けられるに違いありません。後半、サム・ジョーズがフィーチャーされてなかなか渋いところを聴かせてくれておりますが、そんなことくらいではエバンスの失態を挽回することは出来ず、いやあ、せっかくギャルといいムードになっていたとしても、この1曲でブチ壊しでありますなぁ。。。

 反省するエバンスの姿が5曲目の 「エピローグ」 で聴かれます。やはり世間に大恥を曝したまま更級そばを食べたりするのは気が引けたのでありましょうか、わずか39秒という短い無伴奏ソロでA面の最後を締めくくっておりますが、ま、基本的にどうでもいいような演奏なので、別にどうってことはありませんよね。 で、6曲目の 「テンダリー」 ですが、これはいいですな。ミディアム・テンポのワルツで華麗に料理しておりまして、彼の歌モノ解釈としては最もオーソドックスな演奏に仕上がっていると言えましょう。さらっと流している感じであまり深みはないんですが、あまり深く考え過ぎて不覚をとるというのもよくある話なので、これはアレで、とってもソレだと思います。 で、7曲目はこのアルバムの中でも最高傑作と言われている 「ピース・ピース」 でありますな。 “平和・平和” ではなくて、 “平和・断片” なんですが、いかにも平和でピースフルな世界が展開されていて、とっても耽美的でリリカルであります。…と、世間では高く評価されているんですが、個人的には無伴奏ソロであるところがちょっと辛いですな。痔の人にとって辛いカレーというのは辛いものなんだそうですが、関西人にとって辛い味付けのカレイの煮付けというのもちょっと辛いですよね。基本的にうす味ですからね、関西では。ま、僕としてはカレイの煮付けという食い物自体があまり好きではないので味が辛かろうが薄かろうが、どっちにしろ駄目なんですが、…とか言ってるうちに8曲目の 「ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ」 が始まりました。前曲に続いてバラードなんですが、今度はトリオなので、ミッキー・トリオくらいには楽しむことが出来ますね。いや、三木鶏郎が結成したコンボの名前なんですけどね、ミッキー・トリオ。ミッキーマウスが好きだから。…というのが名前の由来なんですが、最初にこのグループの名前があって、そこから三木鶏郎という芸名が生まれたんだそうで。 で、エバンスの演奏としては、ま、悪くはないんだけど 「若くて、馬鹿」 ほどの完成度はなくて、そこそこにまずまず。…といったところでしょう。ま、普通ですね。

 9曲目はロリンズの 「オレオ」 ですな。隆盛を誇った流星ラムも最近あまり見かけなくなってしまいましたが、あ、りゅうせいラムではなくて、ながせラムと読むんですか。ちっとも知りませんでしたな。いや、けっこう巨乳のAVギャルなんですが、そんなことはどうでもよくて、隆盛を誇ったオレオレ詐欺も最近ではすっかり振り込め詐欺に押されて、形見が狭いですよね。…ということを書きたかったんですけどね。で、この 「オレオ」 はアレです。若さゆえの若狭の焼きサバ。…といった、やや暴走気味の傾向がテーマ部では見られるんですが、その後すぐ、フィリーが抜けてサム・ジョーンズのピチカートだけをバックにアドリブ・プレイをするというアレンジが功を奏して、なかなかいい感じのフレーズが展開されることになります。やがてフィリーも仲間に入ってきて、最終的には派手派手になってしまうんですが、ま、サム・ジョーンズのウォーキング・ソロや、ピアノとドラムスの4バースもあったりして、ハード・バップ的に三位が一体となったプレイはそれなりに評価してもいいのではなかろうかと。 ということで、10曲目にまた短く 「エピローグ」 が演奏されて、おしまい。

 …と思ったら、僕の持っているCDにはもう1曲、オマケ曲が入っておりました。レナード・バーンスタインの 「サム・アザー・タイム」 。 僕はCDにオマケ曲を入れるというのは別テイクに限らず、まったく独立した曲でもアルバム全体のバランスが崩れちゃうから基本的には懐疑的なんですが、この演奏はちょっぴり興味深いですな。というのも、エバンスがこの曲のイントロをまとめ上げるつもりで何げなくピアノを弾いていて、ふと浮かんだメロディがあの 「ピース・ピース」 のモチーフになったんだそうで、なるほど、そういう経緯 (いきさつ) があったわけなんですな。そういうことであれば、この 「サム・アザー・タイム」 は大いに傾聴に値するわけなんですが、いざ聴いて見れば何のことはない、 「ピース・ピース」 の別テイクみたいなもんぢゃん。 …ということで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 エバンスというと相対的に “鬱” のイメージが強いんですが、数曲、 “躁” なエバちゃんが聴けるという点で、貴重ですよね。全体的に見ると完成度は今ひとつですが、ま、これもひとつのドキュメンタリーや。…と考えれば、それなりに楽しめます。


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