STAND BY (ARGO)

KING FLEMING (1962/3/2,9)

STAND BY


【パーソネル】

KING FLEMING (p) MALACHI FAVORS (b) ROYCE ROWAN (ds)
【収録曲】

TIME OUT / ON GREEN DOLPHIN STREET / I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS
STAND BY PART 1 / THEN I'LL BE TIRED OF YOU / JUNCTION CITY BLUES
SONG OF PARADISE / STAND BY PART 2 / LONELY ONE / GYPSY IN MY SOUL
BETWEEN THE TOES

【解説】

 僕は園芸が嫌いです。 園芸のことを考えると円形脱毛症になっちゃうくらい僕は園芸を毛嫌いしているんですが、世の中に園芸好きの人というのは少なくないですよね。特におじさんというのは顔に似合わず園芸が好きだったりするんですが、中でもあまりハゲていない毛のフサフサしたおじさんに園芸好きが多いような気がします。ハゲたおじさんはどちらかと言うと園芸よりも演芸のほうが好きだったりします。いや、根拠はまったくないし、それを裏付けるような統計的データがあるわけではないんですが、何となくそんな気がします。 おそらくハゲているおじさんは自らの毛髪の育成で手一杯なので、植物を育てるという心のゆとりが無いんだと思いますが、植物の葉っぱには毛のようなものが生えていることも少なくないので、それが気に入らないのかも知れませんね。 ちなみに僕は今のところハゲてはいないので、葉っぱの毛にはまったく何のわだかまりもないし、植物を育てるだけの心のゆとりがあっても不思議ではないんですが、にもかかわらず園芸はあまり好きではなくて、それは恐らく極度の面倒くさがり屋だからなんだと思いますが、花を育てるのって何だか面倒ですもんね。エンドウを育てるのも面倒だから野菜の栽培にも向かないし、剣道というのも防具を身に付けるのが面倒だから嫌だし、だからフリチンでやる剣道があったらやってみてもいいかな?…という気もするんですが、何の防具も無しにタマの部分に突きを入れられたりしたらたまらん事態になっちゃうような気もするので、それもあまり気が進まないしー。

 自分で育てるのは面倒だから嫌なんですが、誰かが頑張って育ててくれたものだとか、あるいは自然の力で勝手に咲いた花だとかを愛でたりするのは嫌いではなくて、酒を飲んだり、鮭をチャンチャン焼きにしたりする行為の伴わない、純粋に花を愛でる行事であるところの “花見” というのが結構好きだったりするんですよね。 で、風邪が治りかけの時期には鼻水が黄色かったりするんですが、そんな花見好きで鼻水黄色い僕は先日、 “東館山高山植物園” というところに行ってまいりました。いや、黄色かったですな。一面、ニッコウキスゲが咲き乱れていましたからね。このニッコウキスゲというのは僕が唯一、実物と名前とが一致している高山植物であるわけなんですが、こういうところをギャル、もしくは人妻と一緒に散策する場合には、花の名前が分かるというのは大きなアドバンテージとなります。 「ああん、黄色い花がいっぱい咲いてるのぉ。これ、何と言う花なの?」…と質問された時に、「黄色い花が咲いてるねぇ。」…としか答えられないようでは、2人の会話はまったく盛り上がりません。 「ああ、ニッコウキスゲだねっ。ビーナスラインに咲いてるって聞いてたんだけど、こんなところにもたくさん咲いているんだねっ。」…と答えることが出来れば、「ああん、さばさんって物識りなのぉ♪」…ということになって、僕の好感度もアップ・アップ・アップ!…という事になるに違いありません。

ニッコウキスゲの群生っ♪

 ただ、今の模範解答はあまりにもひねりが無さ過ぎて、面白みに欠けるのではないか?…という気がしないでもないんですが、とにかく最近の若いギャルの気を引こうと思ったら、ボケのひとつもマスターしなければなりませんからね。お笑い系が求められているな。…といった気配を感じ取った場合の回答例としては、「えーと、何だっけ?月光仮面…じゃなくて、ニッコウキスゲっ!」 これでもうツレのギャル、もしくは人妻は大爆笑でありまして、「ああん、さばさんって物識りな上に、とっても面白いのぉ♪」…と、ワンランク高い評価が得られるに違いありません。 ただ、今の解答例はあまりにもつまらなさ過ぎて、ただでさえ涼しい高原の空気が完全に凍りついてしまうんぢゃないか?…という気がしないでもないんですが、いや、相手がおばさんに近いキャラのギャル、もしくは人妻だったりすれば、それなりに効果もあるかも知れませんけどね。 いつぞや京都の東寺に行った時、僕の近くにいたおばさんの3人組は日光菩薩と月光菩薩を見て、 「日光菩薩ー。」 「こっちは月光菩薩−。」 「日光東照宮ー。」「月光仮面ー。」 「がはははは。」 …とか言って、3人で勝手に盛り上がっていましたからね。横で聞いている僕が思わず赤面しちゃうほど低レベルな内容の会話でありましたが、相手がおばさんであればこの程度の単純なギャグのほうがいいのかも知れませんね。すぐに頭に血がのぼってカーッとしちゃう正義の味方。その名は激昂仮面!…みたいな高度なネタは、通用しない恐れが多分にありますからね。

 で、今回の僕の散策も某・人妻と一緒だったんですが、花の名前が分からないから知識自慢で尊敬されるにも、ボケてウケを狙うにもまったく動きが取れなくて、唯一のよすがである例の黄色い花に関しても、 「ああん、ニッコウキスゲぇ♪」 …と、機先を制されちゃいましたしね。 先に名前を言われてしまっては、 「この黄色い花は、確かえーと、月光仮面…」 とボケてみたところで、 「だからニッコウキスゲっ!」 …と言われて、それでおしまいです。 そこでまあ、遅ればせながら他の花の名前に関しても覚えておこうと思って、先日、 『山の草花』 というガイドを買ってみたんですが、ま、植物園の場合なら大抵は花の名前の書かれた標識が付いておりますので、無理に暗記することもないんですけどね。 “ハクサンオミナエシ” と書かれた標識の前で、「この黄色い花は、確かえーと、ハクション大魔王…」 とボケてみたところで、 「だからハクサンオミナエシっ!」 …と言われるのがオチだと思いますし。 だいたいギャルとか人妻と呼ばれる人たちはあまり花の名前とかには興味がなくて、ただ綺麗な花を見て、「ああん、綺麗な花なのぉ♪」…ということが分かればそれで満足しちゃうみたいなので、下手に横で細かい知識を自慢げに披露したりすると、 “どうでもいい細かい事にこだわるウザい奴” と思われる危険性もありますよね。花の名前はこっそりと僕の心の中の “さばりんMy山野草事典♪” に留めておくとして、で、僕が一度見てみたいと思っていた高山植物に “コマクサ” というのがあるんですけどね。何でも “高山植物の女王” と呼ばれているんだそうで、他の植物が育たないような砂地や岩場に生えているところが何とも言えずエライっ!…とされているようでありまして。個人的には女王様というキャラはあまり好きではなくて、聖水プレイとかにもあまりソソられるものを感じないんですが、ま、物は試しという言葉もあるくらいなので、一度くらいは経験しておいてもいいかな?…という気がしないでもないんですけどね。

高山植物の女王コマクサっ♪

 これが植物園に生えていたコマクサであります。地味っ!…というのが率直な感想でありまして、いや、写真でアップになったものしか見たことがなかったので、もうちょっと大きな花だとばかり思っていたんですよね。デジカメ付き双眼鏡で眺めてみてもどこが花やらよくわからんようなシロモノでありまして、下の葉っぱと手前のウンコのような木の枝ばかりが目立って、何がなんやらよくわかりません。ちょっぴり拍子抜けでありましたが、よく花を観察すると馬の顔のような姿をしておりまして、それが駒草という名前の由来なんだそうでありまして。なるほど、高山植物の女王様というのは、馬のマル秘ショー♪…みたいなものであったんですな。よくわかりました。 ということで、次に行きましょう。

アヤメっ♪

 今回、僕が東館山で出合ったお花たちのなかで、いちばんのお気に入りがこの娘であります。アヤメでしょうか?いいですよねぇ、アヤメちゃん。もし僕が大人になって執事とかメイドを雇えるような身分になったら、執事には “よしお” 、メイドには “あやめ” という源氏名を付けようと思っているんですが、ここのアヤメちゃんはですね、そこらの町中に咲いているものとは違って、随分と小ぶりなんですよね。コマクサといい、プチあやめといい、高山植物というのは空気が薄いからあまり大きくはなれないのか?…という気もするんですが、ところでアヤメとハナショウブとカキツバタの見分け方を知っていますか?僕は知りません。そこでまあ、ちょっと調べてみることにしたんですが、基本的にはですね、紫色をしている花びらの付け根の部分の真ん中の模様で判断するんだそうでありまして。ここの部分が黄色い1本の筋のようになっているのがハナショウブ、白い筋になっているのがカキツバタ、網目模様になっているのがアヤメ…なんだとか。アヤメという名前もこの “網目” から来ているんだそうですが、なるほど。実は私、人を殺(あや)めたことがあるのぉ。…といった暗い過去からアヤメという名前になったわけではないんですね。ではどうして白い筋だとカキツバタなのか?…という問題はさておいて、で、この写真からだけではちょっと分かりにくいとは思いますが、何となく中央部分が網目になっているような気もするので、アヤメちゃんで正解でないかという気がしないでもありませんね。いや、よかったです。もしメイドの名前が “カキツバタちゃん” だったりしたら、何だか今ひとつ呼びにくいですもんね。

 ただ、これを単純にアヤメと呼んでもいいのか?…というと、物事はそれほど簡単ではありませんで、どうやら東館山には普通のアヤメ以外にも、ヒオウギアヤメというのが自生しているらしいんですよね。何だか覚えにくい名前でありますが、花がアヤメ、葉っぱがヒオウギに似ているからこういう名前が付いたんだそうです。あと、普通のアヤメとヒオウギアヤメの中間種で、シガアヤメなんてのもあるそうですが、こうなってくるともはや僕には識別不能でありますので、とにかくアヤメの一種っ!…という事で、話を先に進めましょう。

コオニユリっ♪

 あ、これはアレです。ユリの仲間です。メイドの名前としては “ユリちゃん” というのもいいかな?…という気もするんですが、イトコに同じ名前のギャルがいて何だかあまりにも身近すぎるので、駄目ですな。 とまあそれはそうと、ユリにはたくさんの種類があってニッコウキスゲもその仲間だったりするんですが、この独特の形状と斑点模様のヤツはですね、一般に “オニユリ” と呼ばれているようです。オニユリ。何だかこう、ソウメンを口に押し込む鬼嫁、ユリさん(37歳)…みたいな感じがしてとってもラブリーなんですが、赤い花の姿が何となく赤鬼っぽい感じがするから、オニユリ。…ということなんでしょう。で、ここらに咲いているオニユリは普通のオニユリよりも小型であるので “コオニユリ” と呼ぶそうなんですが、小さなオニユリと大きなコオニユリでは、どちらがデカいのか?…という話になってくると微妙な問題がありますので、葉の付け根にムカゴがつくのがオニユリ,つかないのがコオニユリという分け方をするんだそうです。ムカゴというのは何なんだ?ムカゴとムカデの間には何か姻戚関係があるのか?…という問題は置いといて、話を先に進めましょう。

名称不明っ♪

 あ、これはアレですよね。山でよく見かける花であります。で、名前はですね、よく分かりません。これはもしかしたら東館山ではなくて、翌日に訪れた白馬さのさかの近くの “親海湿原” というところで撮影したものかも知れませんが、ここにはですね、コオニユリがたくさん咲いておりました。このムカゴがつかないプチ版のオニユリは東館山ではわずか1輪しか見ることが出来ず、もしかしたら絶滅寸前の超レア物植物ぅ?…とか思っていたんですが、何のことはない。こちらへ来ればいくらでも群生しているものだったんですな。 で、この名前のよく分からない花は何と言うのかと思って調べてみたところ、コバギボウシぃ?…というのが、かなり自信のない回答であるわけなんですが、ちなみにコバギボウシというのはギボウシの仲間のうちで、葉っぱの小さい種類のものを言うんだそうです。小葉ギボウシ…というわけですな。 じゃ、ギボウシというのは何なのかというと、橋の欄干に付いているタマネギみたいなのを擬宝珠 (ぎぼし) と言ったりするので、それと何か関係があるんじゃないですかね?…と思って調べてみたら、つぼみが擬宝珠も形に似ているのでこの名前があるんだそうで。 幸い、僕の撮った写真にはつぼみがたくさん写っておりますのでチェックしてみると、ぜんぜん似てねーじゃん!…としか思えないんですが、もしかしたら全然違う花なのかも知れないので、何とも言えないんですけどね。 ということで、次です。

ワタスゲぇ?

 おお、これはもしかして、ワタスゲというヤツではないんですかね? 志賀高原にはワタスゲ平というところがあって、そこのワタスゲのワタが凄ぇ〜。…という話を聞いていたんですが諸事情から見ることが出来なくて、少し寂しい思いをしてたんですよね。それを親海湿原で見ることが出来たのは思わぬ僥倖でありましたが、ま、ちっともワタが凄ぇ〜くはなくて、危うく見落としてしまうほど地味に咲いていただけでしたけどね。 ちなみにこのワタスゲのワタはですね、正確に言うと花ではなくて果穂なんだそうですが、メイドの名前としては “かほちゃん” なんてのもいいかも知れませんね。少なくとも “ワタスゲちゃん” なんてのよりはいいと思うんですが、ま、ワタスゲちゃんというのも鼻血を出したときに鼻の穴にワタを詰めてくれるのが凄ぇ〜上手なような気もするので、時と場合によってはとっても便利なキャラだとは思うんですけどね。 とまあそれはそうと、果穂というのは何なんだ?…というとですね、よく分かりません。植物に関してはまったく無知な僕であるわけですが、果穂というのは恐らくタンポポの綿毛のようなものなのではなかろうかと。 で、ワタスゲというのは写真で見る限り、折り取ればそのまま耳掻きのホジホジするほうの反対側の耳クソのかけらを掃除するほうに使えそうだよね?…という気がするんですが、親海湿原に咲いていたワタスゲはですね、何だか度重なる耳掃除の苦役に耐えかねて綿毛がすっかり抜けてしまった耳掻きのようになっておりまして、いや、何だかあまりワタが凄ぇ〜くないワタスゲでありますなぁ。…と思っていたら、どうやらこれはワタスゲとは別の種類の植物のようでありまして。綿毛の形が白鷺に似ているから、サギスゲぇ。…というのがこの植物の名前のようですが、ワタスゲだと思って眺めていたのが実はサギスゲだったとは、何だかサギにあったような気分でありますなぁ。。。

 あと、写真にはないんですがこの湿原にはクサレダマなんてのも咲いていたみたいですね。何だかこう、いかにも腐ったタマやな。…といった感じの名前でありますが、漢字で書くと “草連玉” なんだそうでありまして。写真で見る限り、くすんだ黄色をした、地味ながらも意外とラブリーでキュートな花のようなんですが、メイドの名前として “クサレダマちゃん” なんてのは、さすがにあまりソソられるものがありませんね。もっとも語尾に “りん” を付けて “クサレダマリン” という名前にしておけば、腐ってはいても水虫治療には効果がありそうなので、時と場合によってはとっても便利なキャラだとは思うんですけど。いや、それにしても随分とヘンな名前を付けられたものでありますなぁ。…と思っていたら、世の中、上には上があるものでして、もっと酷い名前を付けられた植物があることが判明しました。ヘクソカズラっ♪…というのがソレなんですが、クサレダマが漢字で書けばまだ納得がいかないこともないのに対して、こちらのほうは漢字で書くと “屁糞葛” って、まったく救いがありません。葉や茎をもむとウンコ臭い。…というのが名前の由来だそうですが、それならそれで普通にヘカズラとか、クソカズラとか、ウンコカズラでよかったと思うんですよね。よりによってダブルで形容することもなかろうに。…と思わずにはいられませんが、花のほうは写真で見る限りラブリーなキュートな姿をしておりまして、 “早乙女草” などという、イメージ的にまったく正反対の別名もあるんだそうです。顔はとっても可愛いんだけど、臭い。 そんなギャルをメイドに雇い入れたとしたら、彼女のことを “さおとめちゃん” と呼ぶか、 “ヘクソカズラりん” にしておくか、大いに悩むところではありますが、ま、いずれにせよ大人になってもメイドを雇えるような身分にはなれなかったわけなので、別にどうでもいい話ではあるんですけどね。 ということで、今日のお話はおしまい。

 ということで今日はキング・フレミングでありますか。高山植物の名前と言うのは今ひとつキュートさに欠けるものが少なくなくて、例えばクルマバツクバネソウなんてのは、車を後退させて人を撥ねそうな名前であるな。…としか思えないんですが、見た目と名前とのギャップが結構あったりしますよね。で、このキング・フレミングというのも何だかあまりジャズマンらしくない名前でありまして、どういう演奏を聴かせてくれるのか、まったく見当が付きません。何となく、片足立ちが得意なトリの王様ぁ?…という気がするんですが、あ、それはフレミングではなくて、フラミンゴですよね。フレミングというのはアレです。左手の法則です。 が、フレミングと言えば左手の法則だよね。…と思っていたらそれだけではなく、フレミングの右手の法則というのもあったりするから話はややこしいんですが、右手なのか左手なのか、はっきりしろ!…と、文句のひとつも言いたくなってしまいますよね。いっそのこと、両方まとめてフレミングの両手の法則にしてはどうか?…とか、右手のほうはフラミンゴに譲ってみてはどうか?…とか、いろいろ言われているようですが、フラミンゴには右手も左手もないので、譲られたところで迷惑なだけのような気もするんですけどね。 とまあそんなことでキング・フレミングでありますが、その素性に関してはよく分かっておりません。どうやらシカゴで活躍していたらしい。…ということと、好きな植物の部位はムカゴ。…ということまでは判明しているんですが、ムカゴ好きであることが分かったところで、何がどうというわけでもないですしね。 で、今日は 『スタンド・バイ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、ジャケットにフレミング君は姿を見せていないのでどういう顔なのかもよく分からなくて、とにかくまあ謎に満ち溢れたキャラであることだけは確かなんですけどね。 とまあそんなことで、とりあえず1曲目から聴いてみることに致しましょう。

  「タイム・アウト」 という曲が始まった瞬間、あれっ?…と思ってしまったんですが、というのもですね、この曲にはヴァイブが入っているんですよね。ヴァイブ好きの僕としては、ああん、ヴァイブが入っているのぉ♪…という状況は非常に喜ばしいことではあるんですが、データのどこを見てもヴァイブに関する情報は書かれておりませんでしたので、とっても謎でありますな。名前を明かさないという条件で隠れゲストが参加しているのか、名前を出すという条件でゲスト参加したのに無視されちゃったのか、あるいはキング・フレミング自身がヴァイブ演奏をして後からオーバー・ダビングしたのか、もしくは右手でピアノを弾きながら左手でヴァイブのマレットを振り回しているとか。右手も左手も大丈夫なフレミングだけにあり得ない話ではないですよね。とにかくまあ、謎は謎のまま先に進むことにしますが、この曲はですね、とってもいいです。 フレミングのオリジナルなんですが、ヴァイブとピアノのユニゾンで演奏されるテーマはファンキーなムードがあって、いいです。 で、その後フレミングのピアノ・ソロになるんですが、これは正直、B級ムードがふんぷんと漂っておりまして、安っぽいタッチが何ともいえずチープですよね。ま、誰もフレミングにパウエルみたいな演奏を期待しているわけではないので、これはこれでいいと思うんですが、続くヴァイブのソロは意外としっかりしておりました。フレミングの余技とはとても思えないので、やはり誰か専門家がゲスト出演しているんだと思いますが、よく分からないので深く考えるのはヤメにして、で、テーマに戻って、おしまい。いや、なかなかいい感じの演奏でした。

 2曲目の 「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート 以降は普通のトリオ演奏になっているんですが、それにしてもこの “グリ・ドル” は何とも安っぽいアレンジでありますな。チャカポコとしたコンガ風のリズムがチープさを極限まで高めておりまして、ま、ベースのマラカイ君は局部の痒みにも負けずに渋いビートと刻んでいるんですが、フレミングの “お手軽タッチ&時々ブロックコードに走っちゃう癖” が演奏全体の品位をそこはかとなく低下させているような気がします。ブロックコードって、うまく使えば凄く効果的なんだけど、下手に濫発するとただ耳障りなだけですからね。ま、その辺はフレミング君もよく承知しているようで、ウザくなる前にシングル・トーンに戻しているんですが、あ、ちなみに今日の晩飯は鰻丼でありました。鰻定食ではないので “うざく” はついておりませんでしたが、あんなもの、キュウリの酢の物とウナギの蒲焼きがまったく 一体化してなくて、何のためにこの2つを一緒にしたのかまったく理解に苦しむ料理でありますので、別になくても一向に構わないんですけどね。 ということで3曲目でありますが、スタンダードが続いて、 「アイ・ディドント・ノウ・ホワット・タイム・イット・ワズ」 でありますか。 下手に片仮名で表記するより、 「時さえ忘れて」 という邦題を書いたほうがピンとくると思いますが、それはそうと郵政民営化法案がどうなるか、楽しみですよねー。これをみんなが読んでいる頃には既に結果が出ているかも知れませんが、本当に参議院で法案が否決されたら衆議院とキャンディーズは解散しちゃうんですかね? いや、キャンディーズのほうはもう解散しちゃったかも知れませんが、それはそうと、今日も巨人は大敗ムードでありますな。新しく入ったミヤディッチという投手は何となく名前がミヤリッチ (←ミヤリサンのリッチ版) に似ているので密かに応援しているんですが、どうなんすかね? 少なくとも下痢には効果がありそうなんですが、ピッチャーというのはそういう商売ではないので、どうなんだかよくわかりませんよね。 とまあそんなことはどうでもよくて演奏のほうなんですが、キンキンとした高音部のタッチがどうにも耳障りでありまして、どうもこの人、あまりお上品な歌モノとかは駄目かも知れません。マラカイ君がバックでもソロでも頑張っているだけに、肝心のリーダーの不出来がやや勿体ない感じもするんですが、ま、不出来というほど出来が悪いというわけでもないんですけどね。

 で、3曲目はアルバム・タイトル曲の 「スタンド・バイ」 です。フレミングが作ったこの曲は後でもう1回登場することになるので、これが “パート1” ということになるんですが、いや、これはいいですな。歌モノにおける彼の演奏にはやや否定的であった僕も、コイツは素直に評価したいと思います。ベタと言えば、この上なくベタな曲調で、演奏自体も粗野以外の何物でもないんですが、勢いだけで押し切っちゃったほうがいい結果が出るんですよね、この手のピアニストは。 ラテン風の賑やかなリズムに乗ってフレミングの両手弾きがソロの冒頭から炸裂しておりますが、対象的に中間部で聴かれるマラカイ・フェイバースのベース・ソロがとっても渋くていいですね。最後のほうではロイス・ローワンのドラム・ソロもフィーチャーされそうになるんですが、そのままテーマに戻ってしまって、フェードアウト気味に、おしまい。もっと長く演奏を聴いていたかったんですが、全体的に演奏時間が短めなのがこのアルバムの難点でありまして、仕方がないので次に行きましょう。 4曲目の 「ゼン・アイル・ビー・タイアード・オブ・ユー」 は歌物バラードです。日本語ライナーではヤックンこと寺島靖国クンがこの演奏を絶賛しておりますが、そういえば小泉首相の靖国神社参拝問題はどうなったんですかね? ま、B級ピアニストのキング・フレミング君にはA級戦犯の合祀問題はあまり関係ないかも知れませんが、こういうタッチのバラード、どこかで聴いたことがあるような気がするんですが、誰の何という曲でしたかね?…と、考えてみても思い出せなかったので次にいきますが、何とも味わいの深い、しみじみとした演奏であることだけは確かでありまして、最後、何を思ったのかロイス・ローワンの叩くタイコが何だか級に派手になっちゃうのもご愛嬌ということで。

 6曲目、 「ジャンクション・シティ・ブルース」 。いや、これもいいですね。極限までベタなB級ギャング映画のテーマ。…といった感じの賑やかな演奏でありまして、この節操のなさはシカゴ派ならではといったところでしょう。ほぼ両手で弾きっぱなしのフレミングでありますが、ま、曲が曲だけに大目に見てあげましょう。ここでも唯一の弱点は時間が短すぎることなんですが、お、7曲目の 「ソング・オブ・パラダイス」 で、再び謎のヴァイブ奏者登場!…でありますな。が、この曲、ゆったりとしたテンポでまったりとしたテーマを演奏しているだけで終わってしまって、ピアノもヴァイブもベースもドラムスもまったくソロを取らなくて、ジャズ的スリルは皆無でありました。せっかくのゲスト参加(?)なのに、ちょっと勿体ないですよね。 で、8曲目は 「スタンド・バイ」 のパート2であります。いや、いい曲だけに何度聴いても悪くないですよね。もっとも3回聴いたら飽きちゃうような気もするんですが…、とか言ってるうちに、どぅぇ〜ら〜、どぅぇ〜ら〜♪…というアフリカン・コール&レスポンス的なボーカル…というかコーラスというか、うめき声みたいなのが出てきたのでちょっとビビってしまいましたが、いや、チビったり、尿漏れしたりするほどの事ではなかったんですけどね。 しかしこの展開はまったく予想してなかったので、意外性という点では実に心憎いばかりの演出ですよね。 もっとも、あまりにもプリミティブ過ぎてムードぶち壊しもいいとこでありまして、いや、曲がりなりにもB級ハードバップという枠内に収まっていたのが、この1曲で台なしでありますな。フレミング君の意図が掴めずに、ただ戸惑うしかありませんが、よくわからんので次に進みましょう。

 9曲目、 「ロンリー・ワン」 。ここのところフレミングのオリジナルが続くんですが、ヤックン絶賛の1曲でありまして、確かにミディアム・テンポのくつろいだ佳曲でありますな。ローワン君の刻む何だか幼稚っぽいビートも、ま、いいとして、フレミングの転がるようなタッチが耳に心地いいです。 10曲目、 「ジプシー・イン・マイ・ソウル」 。歌モノでしょうか? かなり速いテンポで演奏されておりまして、ローワン君のブラッシュ・ワークが冴えに冴えて、マラカイ君も堅実なビートで支え、で、ここでのキング・フレミングのプレイからはちょっぴりレッド・ガーランドが感じられたりもします。派手さがないのであまり印象には残りませんが、きちんとしたジャズをやってるな。…という点ではこのアルバムの中でも随一かも知れません。ヘンなアフリカン・ヴォイスも入ってないしー。 ということで、ラストです。フレミング・オリジナルの 「ビトゥイーン・ザ・トーズ」 ですか。何ともシカゴ派を感じさせる曲調&演奏でありまして、きちんとしたソウルをやってるな。…という点ではこのアルバムの中でも随一かも知れません。アフリカンではありませんが、途中、ストップ・タイムのところでフレミングと思しきおじさんのソウルな掛け声も入っていたりして、何ともゴスペル・ライクなところがもう、たまりまへんなー。 ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 いや、たまりません。かなりゴッタ煮感覚の1枚ではありますが、ああん、楽しい〜♪…という言葉がぴったりくる作品だと思います。ま、途中で無意味にアフリカンだったりするところもご愛嬌ということで。


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