FEELIN’ LIKE BLUES (WORLD PACIFIC)

DON RANDI (1960)

FEELIN' LIKE BLUES


【パーソネル】

DON RANDI (p) HERSHEY HAMEL (b) GENE STONE (ds)
【収録曲】

FEELIN' LIKE BLUES / SUMMERTIME / JA DA / FALLOUT
BUDDHA'S MOOD / CHEEK TO CHEEK / BLUES FOR MITI

【解説】

 昔アラブの偉いお坊さんが 恋を忘れた哀れなな男に
 しびれるような香りいっぱいの 琥珀色した飲みものを教えてあげ・ました♪


 ということで、今日はコーヒーについて考えてみたいと思います。 題して、 『 “コーヒールンバ” と “お嫁サンバ” の意外な関係 』 。 結論から先に言ってしまうと“コーヒールンバ” と “お嫁サンバ” の間にはまったく何の関係もないので、この際 “お嫁サンバ” のほうは忘れてもらっても構わないんですが、それにしても、アラブに “偉いお坊さん” なんているのか?…というのが子供の頃からずっと疑問だったんですよね。日本は仏教国だから、偉いお坊さんやら偉くないお坊さん、あるいはエロいお坊さんなど、色々なお坊さんやエロエロなお坊さんがいたりするんですが、アラブというのはイスラム教の世界ですからね。 でもまあ、イスラム教の僧侶という言い方があるくらいだから、別にアラブにお坊さんがいても不思議ではないよね。…という気もするので、この問題はわりと簡単に解決してしまったんですが、しかし何ですな。どうしてこの偉いお坊さんは、コーヒーなんぞを教えてあげたんですかね? 恋を忘れた哀れな男に、キャピキャピの女子高生を紹介♪…というのであれば、それなりに効果はあるような気がするんだけどねぇ。…などと思ったおじさんもいるかも知れませんが、そういうおじさんはですね、もう終わってます。 “キャピキャピ” などという、今ではもう誰も使わなくなってしまった言葉を使っている時点で、完全に終わっております。 それにもう、女子高生というのは既にヤングの間ではトレンドと言えなくなっておりまして、これからはやっぱり女子中学生だよね♪…と思うわけでありますが、アラブの偉いお坊さんが “恋の薬” としてコーヒーを処方したということは、それなりに何らかの根拠があってのことなんでしょうか?

 コーヒーは苦いです。この苦いというところが、いかにも何だか、効果がありそう?…という気がしますよね。 “良薬は口に苦し” ということわざもあるように、よい薬というのは苦いものと相場が決まっております。 “正露丸トーイ” は甘いんですけどね。甘くて美味しいものだから子供の頃、ずっと舐め続けていたことがあるんですが、途中まで甘くて美味しかった薬が、ある時期を境に急に苦味に変わってしまったものだから、思わず半泣きになってしまいました。 「君子、豹変す」 というのは、この事か!…と思ってしまうほどの変貌ぶりでしたからね。 この悲惨な体験がトラウマとなって、 “正露丸トーイ” なんか嫌いだぁ!これからは “正露丸チカイ” にしてやるぅ!…と心に誓った幼児期の僕でありますが、 “正露丸トーイ” というのは遠い、近いのトーイではなくて、 “糖衣” の意味だったんだね。…ということに気が付いたのは、ずいぶんと後になっての事でありました。いや、それならそれでちゃんと “正露丸糖衣” と漢字で書いてくれればよかったんですけどね。それならそれで、僕もそれほど知能の低い子供ではありませんでしたので、何だかよくわからんけど、お砂糖のコロモのついたお薬なんだね。…ということに気が付いていたと思うんですよね。もっともその事に気が付いたからといって、やっぱり糖衣錠の中身が露出するまで舐め続けていたとは思うんですけど。中身が苦いからこそ、飲みやすいように表面をシュガーコートしているんだね。…ということが理解出来るほど、分別のある子供ではありませんでしたしー。

 苦い薬は胃腸に効く。…という事は分かりました。でも、ミヤリサンは甘いけど胃腸に効くぢゃん?…という反対意見を言い出す人がいるかも知れませんが、この際、無視します。その問題に関しては、すでに ここ で検証済みですからね。もっともその時の議題は、ミヤリサンはどうして下痢にも便秘にも効くのか?…という話であって、苦み、甘みの問題については直接言及していないんですが、今日はあくまでもコーヒーの話であって、整腸剤について語る場ではありません。先を急ぎましょう。 苦い薬は胃腸に効く。…という事に関しては異論のないところでありますが、問題は、果たしてそれを “恋の病” にまで応用してもいいのか?…ということですよね。コーヒーは苦い。だから恋を忘れた哀れな男にコーヒーを教えてあげた。…というアラブの偉いお坊さんの発想は、あまりにも安易ではなかったのか?…という気がするんですよね。とりあえず、苦ければ何にでも効くんちゃう?…みたいな軽いノリでやっているとしか思えませんもんね。 ところがですね、思慮深くて分別があって、ゴミの分別だって無難にこなしている僕が “苦味と効能” というテーマで研究を進めてきた結果、苦味成分が恋の病に効くという話も、満更ただの思い付きではないな。…という結論に至ったわけでありまして、いや、何はともあれ “結果オーライ” ではありませんかー。

 苦味は恋にも効能がある。…と僕が判断した理由はですね、 “イモリの黒焼き” にあります。イモリの黒焼きというのは古来より媚薬や惚れ薬として知られているわけでありますが、イモリの黒焼きというのはですね、苦いです。いや、実際に作って舐めてみたわけではないんですが、イメージ的に何だかとっても苦そうな気がしますよね。 “イモリの生焼け” であれば、食べたら食中毒になりそうだよね。…という気はするものの、さほど苦いという印象はないんですが、黒焼きにした時点で苦くなりそうな気がします。黒焼きというのはすなわち、黒焦げになるまで焼くということなんだと思いますが、コゲというのは大抵が苦いものですからね。苦いイモリの黒焼きがソッチのほうに効くのなら、同じように苦いコーヒーだってきっとアッチのほうに効果があるよね?…というのが僕の長年の研究の結論であるわけですが、ちなみにイモリの黒焼きの場合、テトロドトキシンというのが有効成分であると見られているようです。

 テトロドトキシン。どこかで聞いたことのある名前やな。…と思ってしらべてみたら、その正体はフグ毒の成分だったんですが、いや、イモリの体にも含まれていたんですな。んなもの惚れられる以前の問題として、毒ぢゃん!…という気がしないでもないんですが、少量を服用すると心臓がドキドキして、「何、この胸のトキメキは?もしかして、恋?」…などと勘違いする可能性が皆無とは言えないんだそうでありまして。もっともイモリを黒焦げになるまで焼いて、粉にして相手に振りかけてみたところで、テトロドトキシンの効果はまったく期待出来ないそうですけどね。むしろ “イモリの生焼け” でも食べさせたほうが惚れられる可能性は高いのかも知れませんが、ま、イモリのレアステーキを薦められて喜んで食べるようなギャルは相当にレアな存在ではないかと思うんですけど。 …とまあ、そこで代用品のコーヒーの登場です。 コーヒーにはおそらくフグ毒の成分は含まれていないと思うんですが、その替わりカフェインというのが入っております。もしこのカフェインに “心臓ドキドキ効果” があるとすれば、「何、この胸のトキメキは?もしかして、狭心症?」…などと考える現実的なギャルでない限り、たとえそれが勘違いであるとはいえ、惚れられる可能性は大いにあると言えるわけでありまして。特に相手が夢見る年頃の女子中学生だったりすれば尚更ですよね。逆に自分で服用すれば、胸のトキメキから恋を思い出すことだってあるに違いありません。

 中枢神経が刺激されることによる興奮利尿効果持久力アップ。 この3つがカフェインの主な効能と言われております。これは使えますよねー。どれもこれも、実にアッチのほうやソッチのほうに効力を発揮しそうです。コーフンと持久力アップはともかくとして、利尿効果というのはどうやって使うのだ?…と思われるかも知れませんが、これはですね、山歩きとか、ハイキングとか、トレッキングなんかの場合に効果を発揮します。明日は殿様キングスとトレッキングするんだぁ♪…という場合は別にどうでもいいんですが、いや、どうしてここでいきなり殿様キングスが出てくるのかというと、キングの部分が韻を踏んでいて、いいかな?…と思ったからなんですが、実際に書いてみたら今ひとつだたんですけどね。 ま、それはそうと、明日はギャルとトレッキングするんだぁ♪…という場合には魔法瓶に多量のコーヒーを詰めていくことをお薦め致します。 「コーヒーは持続力アップの効果があるから、トレッキングにはいいんだよ。」 「ああん、さばりんって物識りなのぉ♪」 …などと言葉巧みにギャルにコーヒーを飲ませておけば、カフェインのコーフン効果でもう、ヒロコ (仮名) の胸はドッキドキ♪ ま、山歩きでただでさえ心臓がドキドキしているわけなので、それを “恋” だと勘違いするようなギャルはいないでしょうが、そのうちにカフェインの持つ利尿効果がジワジワと効いてくるわけでありますな。 「ああん、ヒロコ (仮名) 、ちょっとおトイレ行きたくなっちゃったぁ。」…ということになるんですが、そこは生憎と山の中でありますので、そうそう都合よくおトイレなどないわけでありまして。 が、どういうわけだか都合よく、 “森のぺんしょん・殿様きんぐす” なんていうのはあって、「じゃ、しかたないからちょっとあそこで “休憩” しようかぁ。」 という展開になるわけですよね。 ああん、日帰りだと言うから付いて来たのにぃ。…という貞操ギャル・ひろこ (仮名) も、中枢神経が刺激されることによる興奮のせいで思わずその気になって・・・。

 ところで話は変わるんですが、僕はこの7月、志賀高原に行って池めぐりでもしてみようか?…と思っているんですけどね。ただ、一人で池など巡ってみたところでただ空しいだけに違いないので、 “志賀高原トレッキング・オフ会” というのをやってみたいと思うんですけどね。 日帰りのとっても健全な催しでありますので、ギャル系読者の皆さまも奮ってご参加くださいね。 “コーヒー飲み放題” のサービス付きとなっておりまーす。

 ということで、今日はドン・ランディでありますが、あまり聞いたことのない名前ですよね。どういう人なのか知ってますか?僕は知りません。今回紹介しようと思っている 『フィーリン・ライク・ブルース』 というアルバムではピアノを弾いているので、職業はおそらくピアニストなんだろうな。…というのと、ジャケット写真を見た限りでは、爆笑問題の太田似の白人の兄ちゃんやな。…ということは分かるんですが、それ以上のことは何も分かっちゃおりません。ある意味、 “謎のピアノマン” のような存在であるわけなんですが、いや、ただ僕が知らないだけも話なんですけどね。…と、ここまでは前回の原稿をそのまま流用しておいてと。ここしばらくは “レア・ピアニスト編” ということになるわけですが、ここで言う “レア” と、生焼けステーキの “レア” というのは同じ言葉なんですかね? “レア物” というと、それが希少品なのか、ナマ物のことなのかちょっと悩んだりするんですが、このドン・ランディという人はそんな生焼けピアニストの一人であるわけでして。 ちなみに僕の場合、ステーキは断然ウェルダン派でありまして、黒焦げに近いくらいのほうが好きであります。ただ世の中のギャルから、お肉をよく焼いて食べるなんて、お子様ねっ。…などと思われたりするのも癪なので、店で注文する際には思わず 「ミディアムで。」 と言ってしまうわけなんですが、いや、男の体面というのは海綿体と同じくらい大切なものですからね。とは言ってもレアを頼むだけの勇気はなくて、 “血のしたたるようなステーキ” なんてのは出来れば勘弁願いたいところなんですよね。 “血のしたたるようなスッポンの血” というのも駄目ですな。そんなものを飲んで、もし鼻血でも出たらどうするんや?…と思わずにはいられませんが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目はアルバム・タイトル曲の 「フィーリン・ライク・ブルース」 ですかい。ドン・ランディのオリジナルなんですね。演奏が始まった瞬間、僕が脳裏に描いていたサウンドとはあまりにも掛け離れた音が飛び出して来たので、驚愕のあまり思わず共学校へ乱入したくなっちゃいましたが、ま、共学校には男子生徒もいたりしてつまらないのでヤメにして、いや、白人ピアニストで名前が “ドン” だから、てっきりドン・フリードマンみたいなスタイルなのかと思ったら、ぜんぜん違うんですね。ドン・フリードマンというより、ドーンとフリチンマン (←堂々と露出) みたな感じでありまして、他のミュージシャンに例えると、ザ・スリー・サウンズのジーン・ハリスみたいな感じぃ? 白人のくせに嫌に黒っぽいピアノを弾く兄ちゃんでありますなぁ。日本語ライナーでは岡崎正通クンが、黒人ジャズのファンキーなフィーリングを感じとることができるけれども、それはあくまでも白人ミュージシャンであるドン・ランディなりのファンキー解釈というべきで、いわゆるファンキー派の黒人ピアニストのようにベタベタしたものではない。どこか乾いていて、ロサンゼルスに吹くそよ風のようにさわやかなフィーリングが感じられるのである。…などとタワケたことを書いておりますが、それは大きな間違いだと思います。もう、カルピスの原液を床に垂らしちゃったくらいのベタベタさ加減でありまして、蟻がたかるっちゅうに!…と思わずにはいられなくて、ロサンゼルスに吹くそよ風のようにさわやかなフィーリングなど、みじんも感じることが出来ません。ま、ここまで確信犯的に黒っぽくやられると、ゼンジー北京の似非中国人風アクセントと同じで、もう笑うしかありませんよね。あ、それはそうと荏原ハ○ドロテックという会社にいた “ゼンちゃん” こと鈴木ゼンジ君がですね、大阪のほうに転勤になったそうです。ネチこいキャラでウザかったから、清々しました。…なんて事は本人の目に入ると困るので書きませんが、その知らせを聞いた時は何だかこう、ロサンゼルスに吹くそよ風のようなさわやかな気分になったものでございます。

 とまあそれはそうと、ジーン・ハリス風のブロック・コードでブルースなテーマが演奏された後、ランディ君のソロになるんですが、アドリブに入るとクドさが幾分は希釈されて、水で4倍に薄めたカルピスを床にこぼしたくらいのベタベタさ加減にはなっているんですけどね。タイプでいうと、ジュニア・マンスに近い感じですかね? いずれにせよ、顔を見ずに聴いたら絶対に黒い兄ちゃん、もしくは黒いオッサンが弾いているとしか思えなくて、ま、それはそれでなかなか面白いキャラであるとは思うんですけど。で、ピアノ・ソロの後、ハーゼイ・ハメルという人のかなり長いベースのピチカート・ソロがあって、その後はピアノとドラムスの4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。 いや、典型的なイースト・コーストのハード・バップ風でありまして、これはこれで、なかなかいいのではないでしょうか。 ということで、次です。2曲目はおなじみ 「サマータイム」 でありますか。北海道では試験的にサマータイム制度を導入したところもあるようですが、ちなみにサマータイム制度というのはですね、アメリカではサマータイムとは言いません。デイライト・セービングズ・タイムと言います。日光をセーブする時間…ですな。だからここで言う “サマータイム” というのは単純に “夏” ということでいいと思うんですが、夏というのはいいですなぁ。麦はよく育つし、魚は跳びはねるし、お前の父ちゃん金持ちで、お前の母ちゃんとっても美人。…というお馴染みの歌詞で知られる子守歌でありますな。いや、夏になったからといって、お母さんが急に美人になるとも思えないんですが、あるいは大きなグラサンをかけて顔の面積の3分の2くらいを隠せば、私もそこそこ見れるぅ?…みたいな感じなのかも知れませんけどね。サングラスのことをグラサンなどと言ってる時点で、このお母さんはやや問題がある気がしないでもないんですが、それはそうとこのランディ版の 「サマータイム」 ですね、やや異色の作りとなっております。と言っても、特に難しいことをやっているわけではないんですが、ザ・スリー・サウンズ流のスタンダード解釈だよね。…といった感じで、アメリカの大衆受けしそうというか、何というか。わりとサラっとした仕上がりでありますので、こういうところを岡崎クンはロサンゼルスのそよ風だと言ってるのかも知れませんね。が、全体的にはウイントン・ケリー的なノリのよさも感じられたりして、で、またしてもベースのソロがあったりして、ま、これはこれで悪くないのではないでしょうか。

 3曲目の 「ジャ・ダ」 はピアニストのボブ・カールトンという人が1918年に作った古いナンバーなんだそうです。根はデキシーなんだそうですが、まったく古臭い感じはありません。無論、溺れ死んでいることもないんですが、それはデキシーやなくて、溺死やがな。…って、いや、ネタに困ってつい古典に走ってしまいましたが、何だかこう、小粋で小洒落た曲でありますな。テーマがあって、ピアノ・ソロがあって、ランディ君のプレイは前半さっぱり気味であるものの後半はブロック・コードがややウザくなって、で、ベースのピチカート・ソロがあって、ピアノとドラムスの4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。…って、何だか曲の構成もマンネリ化してまいりましたな。で、後半はブロック・コードがややウザくなって…というところで思い出したんですが、先日、 “うざく” を食べました。いや、ISOの内部監査の為に津の営業所に行って、お昼に “うなぎ定食B” を食べさせて貰ったんですが、うなぎ定食というのは基本的にどれもこれもウナギの蒲焼きやんけ!…といった感じで、バリエーションというものがありませんな。 “うざく” というのはウナギの蒲焼を細く切ったものをキュウリの酢の物と一緒にしたものなんですが、蒲焼とキュウリの酢の物とがまったく仲良くしておりませんで、ウナギのほうは基本的に蒲焼の味しかしません。 “うまき” というのはウナギの蒲焼を細く切ったものを出し巻き卵の中に巻き込んだものなんですが、蒲焼と出し巻き卵とがまったく仲良くしておりませんで、食べてるうちに蒲焼だけが分離しちゃうので、結局のところウナギのほうは基本的に蒲焼の味しかしません。その2品+ウナギの蒲焼+肝吸い+奴豆腐…というのが定食Bの内訳だったんですが、ウナギのほうはどれもこれも結局は蒲焼の味やったな。…という印象しか残っておりませんで、いや、決して安くないものを食べさせて貰っておいて文句を言うのも何なので、おとなしく食べたんですけどね。

 ということで、4曲目です。ランディ君のオリジナル、 「フォールアウト」 でありますが、結論から先に言ってしまうと、この曲が本作のハイライトでありますな。エルモ・ホープあたりが書きそうなマイナー調のテーマは実に日本人好みだし、シングル・トーンを中心としたドン・ランディの秀逸なソロもアルバム中の白眉と言えるハクビシン。…といったところでしょう。後半、例によってブロック・コード癖が出そうになって、どうか?…と思う瞬間もあるんですが、すぐに思い止どまって単音に戻るので結果的には大丈夫でありました。 ただ、相も変わらずベースのピチカート・ソロがあって、ドラムスのジーン・ストーンという人も4バースで登場したりするんですが、白人ピアニストというのは基本的にビル・エバンスのインタープレイみたいに三位一体でやるのが好きなんすかね?…という点が少し気になったりはするんですが、それ以外には特にこれといった不満もなくて、とてもいい曲&演奏だと思います。で、続く 「ブッダズ・ムード」 も、なかなか興味深い作品となっております。ハメル&ストーンのサイドマン・コンビの作品なんですが、仏陀の雰囲気♪…というヘンな曲名とは裏腹にモーダルな感じの仕上がりとなっておりまして、ま、確かにちょっぴり仏陀っぽいムードがないわけでもないんですけどね。ランディのソロは前半やや抑制気味で、後半に入るとかなりハイになっておりますが、その盛り上がり具合が悪くないですな。またしてもピアノとドラムスの掛け合いはあったりするんですが、ピチカートが出てこないだけまだマシでありまして、えーと、そろそろ書くことが無くなって来たので後は適当にライナーノートを引用してごまかしておきますが、ちょっぴりエキゾチックな雰囲気をたたえた、6拍子のメロディをもっている面白い曲…って、そうそう。6拍子なんですよね。エンディングに近いあたり、何だか 「テイク・ファイブ」 に似てるよね。…という気がしたので、試しに “ワン・ツー・スリー、いち、にっ♪” とカウントして見たら今ひとつ字余りだったんですが、5拍子で字余りだったということは、6拍子で正解なわけですよね。何だか字余りだよね。…ということに気がついた時点で “ワン・ツー・スリー、いち、に、さんっ♪” までカウントしていれば岡崎クンよりも先に6拍子であることを発見出来たんですが、後塵を拝することになって、ちょっぴり不愉快です。

 6曲目、 「チーク・トゥ・チーク」 。こういう歌物になると俄然、ザ・スリー・サウンズと化すのがこの人の特徴なんですが、そう言えばあのグループもコンセプトは三位一体ですよね。そっかぁ。そういうことだったんだぁ。…と、一人で勝手に納得してしまいましたが、そうしてみるとドン・ランディが黒人的であるというよりも、意外とジーン・ハリスが白人的だったりするのかも知れないね。…という気もしたりして、で、寺院ハリスだから仏陀の雰囲気なんだね。…と、ぜんぜん関係のない話になったりしているうちに演奏のほうはハメル君のピチカート・ソロなんですが、この人、頻繁にフィーチャーされるわりにはさほどテクがあるようなタイプには見えず、どちらかというと枯れた味わいに特徴があるようなんですが、だったらそんなに前に出てくるなって!…という気がしないでもありませんね。ま、リーダーの意向だから仕方がないのかも知れませんけど。 ということで、 アルバムの最後を飾るのはランディ君のオリジナル、 「ブルース・フォー・ミティ」 でありますな。ブルースで始まり、ブルースに終わる。…というのをやりたかったんでしょうね。いや、何となくその気持ちはわかります。何だかそれとなく、ソレっぽい感じがしますもんね、そういうのって。 で、この 「ミティのブルース」という曲は、みっちゃんミティミティうんこ垂れて〜、紙がないから手で拭いて〜、もったいないから食べちゃった♪…という歌とはまったく何の関係もなくて、コール&レスポンスですな、こりゃ。ベタなまでにゴスペルな曲ではありますが、アドリブ・パートに入ると意外とあっさりしてたりして、こういうところがやっぱり白人なんですなぁ。レス・マッキャンあたりにやらせたらタドンくらい真っ黒になっちゃうところなんですが、黒いといってもイカ墨程度ですからね。セピア色のブルース。…といった感じでしょうか? とまあ、何だかそれっぽい結論が出たところで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

  “白人版ザ・スリー・サウンズ” ですな、こりゃ。


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