TRIO & QUINTET (SAVOY)

DUKE JORDAN (1955/10/10,11/20)

TRIO & QUINTET


【パーソネル】

DUKE JORDAN (p) PERCY HEATH (b) ART BRAKEY (ds)
EDDIE BERT (tb) <#6-11> CECIL PAYNE (ds) <#6-11>

【収録曲】

FORECAST / SULTRY EVE / THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
NIGHT IN TUNISIA / SUMMERTIME
FLIGHT TO JORDAN / TWO LOVERS / CU-BA / YESTERDAYS / SCOTCH BLUES

【解説】

 今日は “シャコ” と “快感” について考えてみたいと思います。題して、 「シャコの快感物語」 。世の中に寿司ネタになる魚介類はたくさんありますが、中でも僕はマグロがいちばん好きですね。美味しいですよね、マグロ。僕はエロとかグロの類はあまり好きではないんですが、マグロは大好きでありまして、握り寿司のパックでも、マグロは必ずいちばん最後まで残すようにしております。人類は好きなものをいちばん最初に食べるタイプと、いちばん最後まで残しておくタイプの2つに分類することが出来るんですが、僕は典型的な後者ですからね。よく、法事で出される仕出し料理で真っ先にエビフライに手をのばす人がいますが、信じられないですよね。まさにアンビリーバブルです。いちばん最初にメインディッシュのエビフライを食べてしまっては、その後の人生、いったい何を楽しみに生きていけばいいのでしょうか? まずは “椎茸と高野豆腐を薄味で煮たやつ” やろ!…と思わずにはいられません。

 握り寿司のパックの場合、仕出し料理のエビフライに相当するのがマグロでありまして、いや、別に大トロとかでなくてもぜんぜん大丈夫なんですけどね。普通の赤身で十分です。ま、欲を言えば中トロ…とまでは言わないまでも、小トロくらいあればそれに越したことはないんですが、あまり高級な握り寿司の(上)とかになっちゃうと余計なウニとかイクラが入ってきたりするので、僕にとってはただ、ありがた迷惑なだけでありまして。基本的に珍味系というのはどうも苦手なんですよね。珍味というのはただ珍しい味がするだけで、ちっとも美味ではありませんもんね。 そんなことでまあ、マグロの赤身はいちばん最後まで温存するとして、いや、あまりナマ温かくなると美味しくなくなるので、いちばん最後まで冷存するとして、最初に手をつけるもの、すなわち握り寿司のパックで “椎茸と高野豆腐を薄味で煮たやつ” に相当するものは何かと言うと、僕の場合、“シャコ” ということになるわけです。シャコはいけません。何がよくないって、見た目があまりにもよくありません。何と言うか、体調のよくない貧血気味のエビ。…といった感じで、まったく食欲をソソられるものがないんですが、食べないといつまでもシャコがパックの中に残っていて目障りなので、真っ先に片付けることにしております。いや、食べてしまえばそれなりにシャコシャコした味わいがあって、見た目ほど悪いものではないんですけどね。

 ということで、シャコの話はおしまい。 いや、 “快感” に結びつくことがないまま終わってしまいましたが、仕方がないので “” に話題を転じてみたいと思います。いや、もともと最初から貝の話を書くつもりだったんですが、 「貝の快感物語」 では今ひとつ語呂がよくないかな?…という気がしたので、シャコになっちゃたんですよね。 ということで “貝” でありますが、先日、浜名湖へ行ったらですね、潮干狩りの客がたくさんおりました。そもそもどうして浜名湖なんかへ行ったのかというと、ウインドサーフィンの出来るポイントがないかと思って偵察に行ったんですが、事前の調査では “村櫛” というところがよさそうかな?…という感じだったんですけどね。カーナビに目的地を設定したところ、音羽蒲郡ICで降りて、ひたすら国道1号線を走れ!…という指令が出たのでそれに従ったんですが、高速を降りてからの下道走行が50キロ以上もあって、今ひとつ報われないドライブではありましたな。潮見バイパスと浜名バイパスを経由して弁天島に出て、そこから北上すると “村櫛” というところにでるんですが、浜名湖もこの辺りは海につながっているので ほとんど干潟と化しておりました。ああん、ドロドロでズボズボぉ。…といった感じで、潮干狩りをするには最適なのかも知れませんが、あまりウインドする気分にはなれない状況でありますな。事前の調査によると、水はお世辞にも綺麗とは言えず、藻の類が異常に繁殖しているとのことでありましたが、まさにその通り。特に潮干狩り用の船が出ている辺りがひどくて、こんなところでウインドした日にゃ、脚に藻が絡まって身動きの出来ない状態になっちゃうことは必至。こりゃ、通信販売で “藻を刈ると” の掛け軸を買うしかありませんよね。いや、海の中で恵比寿さまと大黒さまが藻を刈っている姿が描かれていて、藻を刈ると、儲かる。…という、大変にありがたい開運グッズなんですけどね。

村櫛@潮干狩りエリア♪ 村櫛@ウインドエリア♪

 潮干狩りエリアより気持ち北のほうに行くと、海の家…というか、湖の家みたいなのがいくつかあって、この辺りが海水浴場…というか、湖水浴場、ならびにウインドエリアということになっているようです。ドロドロの度合いや藻の繁殖状況もかなり改善されて、これならまあ、我慢できる範囲かな?…といった感じでありまして、10数人ほどウインド兄ちゃんの姿も見られたんですが、皆ここの常連であるようで、よそ者は阻害されちゃうような雰囲気が無きにしもあらず。あまりウインドをする気にはなれず、かといって、一人で貝採りをしてみたところで空しいだけに違いなく、潮干狩りなんてものは半ケツ状態のギャルと一緒にやってこそ、楽しいわけですからね。結局のところ、10分ほど様子を窺っただけで帰ってきたんですが、ところで浜名湖ではどんな貝が採れるんですかね?…と思って帰ってから調べてみたところ、どうやらアサリがたくさん採れるそうでありまして。なるほど、アサリでありますかぁ。僕は基本的に貝類というのがあまり好きではなくて、握り寿司のパックに赤貝が入っていたりすると真っ先に排除しちゃうんですが、いや、シャコと赤貝の両方が入っている場合にはどちらを先に片付けるのか、ちょっと悩むところではあるんですけどね。いずれにせよ貝類、特に正体がよくわからん貝というのはあまり食べる気がしないんですが、アサリだったら、アサリだよね。…という正体が判明しているので、まだ大丈夫です。 “アサリの味噌汁” なんて、あっさりしていて美味しいですよね。 “アサリの酒蒸し” というのも “小林製薬のサカムケア” と同じくらいソソられるものがあります。とまあ、かように身近なアサリちゃんでありますが、その生態に関してはまだよく分かっていないというのが実情のようでありまして。

 アサリというのはどうやら、貝類らしい。…というところまでは分かっています。それも巻貝ではなくて、どうやら二枚貝らしい。…とのことでありまして、いや、そんなのは生態でも何でもないんですけどね。アサリの生態としてはですね、声を出さないから声帯はないらしい。…という事と、週に1回、整体に通っているらしい。…という事実が確認されております。肩が凝ったり、腰が痛かったり、首の筋が違ったりするんですかね? いや、アサリのいったいどこが肩で、どこが腰で、どこが首筋なのか、部外者の僕にはよくわからんのですけどね。ということで、アサリの生態に関して僕の知ってることは以上です。で、続いては美味しいアサリの見分け方でありますが、貝殻がふっくらしているのは駄目で、むしろペチャンコのほうがいいらしいんですよね。そんな貧乳フェチみたいな趣向で大丈夫なのか?…という気がしないでもないんですが、貝殻がふっくらしているアサリというのは貝殻部分に栄養を使いすぎて、肝心のカラダは意外と貧弱だったりして、それよりも着やせするたちのアサリのほうが、実は脱いだらスゴイ♪…んだそうでありまして。貝殻の模様がクッキリしているのも美味しいアサリの証拠なんだそうですね。見た目がケバくて、脱いだら凄い。どうも、地味なロリ系好きの僕の趣向とは今ひとつ相容れないものがあるようなんですが、それともうひとつ。アサリは死んだものより、生きているもののほうが美味しいそうでありまして、そこのところもネクロフィリアの僕にはちょっと頂けないところでありますなぁ。。。

 が、いくら屍体愛好症だからって、死んだアサリにはあまり手を出さないほうがいいそうでありまして、それは何故かというと、貝毒の心配があるからなんですけどね。貝毒の謎についてはまだ完全に解読されたわけではないんですが、いくらお買い得だからって、あまり安くて古いアサリに手を出すと貝毒に当たっちゃう恐れがあります。とりあえず購入する際には、臭いでも嗅いどく?…というくらいの注意は払ったほうがいいのではないかと思います。ま、死んだアサリの見分け方というのはそれほど難しくはないので、あまり神経質に考えなくてもいいんですけどね。熱を加えると口を開いてしまうのは “ハマグリのシゲちゃん” もアサリも同様でありまして、熱湯攻めにした際に口を開くのが生きているアサリ、口を閉ざしたままなのが死んじゃったアサリであると判断していいと思います。そういうアサリは直ちに鍋の中から排除して、姑のお椀の中に入れたりするといいんですが、姑というのは長く生きているだけのことはあって、口を開かない貝は危ない。…というくらいの知識は持ち合わせているので、無理矢理ペンチか何かで貝殻をこじ開けておくのを忘れてはいけません。

 ちなみに貝毒には麻痺性貝毒下痢性貝毒神経性貝毒記憶喪失性貝毒アサリ毒という5つの種類があるんだそうですね。下痢性貝毒というのはですね、下痢をします。これはこれでかなりツライものがあるんですが、でもまあ、下痢くらいで済めば不幸中の幸いと言えるかも知れません。運悪く麻酔性貝毒というのにヤラれちゃうと呼吸困難で死んじゃうこともあるそうですからね。その毒力はフグ毒にも匹敵するというのだから、大したものでありますなぁ。アサリ毒というのも馬鹿には出来なくて、症状のところには、皮下出血・粘膜からの出血・肝機能低下・精神錯乱・昏睡・死亡…という、実に恐ろしげな言葉が並んでおりました。いくら姑がウザいからって、これはちょっとやり過ぎなのぉ。…という気もするので、口を開かないアサリはやはり速やかに処分しちゃったほうがいいかも知れませんね。でないと、“貝毒で姑を錯乱死に追いやった鬼嫁!”…として、女性週刊誌に格好のネタを提供することになってしまいます。下手をするとその年の流行語大賞に “アサリ嫁” なんてのが選ばれることにもなりかねません。恐ろしいことでありますなぁ。。。

 過去、日本における大規模な貝毒中毒としては、1942年3月に、静岡県浜名郡新居浜町を中心に334名がアサリを食べて中毒となり、そのうち114名が死亡した。その後1949年3月にも同じ場所で取れたアサリと養殖カキによって93名が中毒し、そのうち7名が死亡した。…という事例があるそうです。あ、ちょうどこの前、みんなが熱心にアサリを採っていたところではありませんかー。もしかしたら今これを読んでいる人の中に、今度の週末あたり、浜名湖に潮干狩りに行ってみるぅ?…と思って、 「浜名湖 潮干狩り」 で検索してここに辿り着いた人がいるかも知れませんが、どうもご愁傷様です。。。 いや、1950年以降、アサリ毒に当たって死んだ人はいないそうなので、大丈夫だと思いますけどね。いや、死んだ人がいなかっただけで、下痢、もしくは精神錯乱あたりまでイッちゃった人はいるのかも知れませんけど。ま、ちゃんとした潮干狩り場なら貝毒検査をやってるだろうし、検査員が、なんか貝毒出てるけど、ま、いっかぁ。…といったアバウトな性格でない限り、きちんと公表してくれると思うので、まず大丈夫だと思いますけどね。楽しい初夏のレジャーとアサリの味覚を満喫されることを強く望む次第でありますが、しかし何ですな。アサリの貝の中から出てくる小さな蟹、あれは何とかならんのですかね?僕は小さな魚介類というのがどうも苦手でありまして、普通のイカはよくてもホタルイカは苦手で、普通のタコはよくてもイイダコは駄目で、普通のカニは大丈夫でも沢蟹なんか喜んで食うヤツの顔が見てみたい。…と思ってしまうタチなんですよね。が、世の中には沢蟹よりもさらに小さい “アサリ蟹” (仮称) というのがいるようで、幸い、僕は今まで貝殻の中から蟹が出てくるような事態に遭遇したことはなかったんですが、先日、ついに出てきちゃったんですよね、アサリの中から蟹が。いや、とんでもないことになってしまいましたなぁ。。。

 オオシロピンノというのがあの小さな蟹の正式名称なんだそうですね。ちっとも大きくはないんですが、白いのは確かでありまして、おそらくずっと貝殻の中で暮らしていて日光に当たらないから色白になっちゃったんでしょうね。何だか気持ちが悪いので、ただちに箸でつまんでお椀の中から撤去して、紙くずに包んで燃えるゴミとして出してしまったんですが、世の中にはアサリの中からオオシロピンノが出てくると、「ああん、可愛いのぉ♪」…とか言って喜ぶギャルもいるそうなので、いや、物好きというか何というか。そういうギャルとはあまり一緒にアサリの味噌汁を食べたくないものでありますなぁ。いや、そのギャルのことが物すごく好きであれば、それくらいのことは我慢出来るかも知れませんけど。愛に不可能はないですからね、いや、多分。ちなみにこのオオシロのピンノちゃんはアサリと一緒に食べちゃっても特に問題はないんだそうです。いや、美味しいかどうかはともかくとして、少なくとも食べて蟹毒にやられるようなことはないそうでして。殻が柔らかいので喉につかえるようなこともなく、食べたことのある人の話によると、よくアサリのダシがきいた海老の殻のような味なんだそうで。そういえば7〜8年ほど前の4月のある日、某ぎゃる系読者から北海道のお土産として、沢蟹とオオシロピンノの中間くらいの大きさの蟹をそのままスナックにしたような得体の知れない珍味を貰ったことがありました。目にした瞬間、「うわぁぁぁぁぁ。」…と思ってしまいましたが、いや、食べましたけどね、愛の力で。いや、3匹ほど食べて、あとはこっそり燃えるゴミと一緒に出しちゃったんですけどね。それが災いしたのか、やがて彼女からは何の連絡もこなくなってしまったんですが、アサリの中から出てきた小さな蟹を見て、ふとそんなことを思い出したのでありました。ちょっぴり切ない、 「四月の思い出」 でございます。

 んなことで今日はデューク・ジョーダンです。地味ですな。地味ですが、日本ではわりと人気がありますよね。どうして人気があるのかというと、しみじみとした滋味があるからなんだと思いますが、私、ハマグリよりもシジミのほうが好きなのぉ。…といった趣向の人には特に好まれているような気がします。アルバムで言うとブルーノートの 『フライト・トゥ・ジョーダン』 なんかより、70年代のステープルチェイス盤のほうがギャルのハートを射止めているようですね。が、僕はギャルではないので55年録音のサヴォイ盤、 『トリオ&クインテット』 というのを選んでみました。いや、取り上げるアルバムがねーな。…と思って、川口浩探検隊のDVDと一緒に “Amazon” で注文したんですけどね。タイトルからして恐らく、トリオとクインテットの演奏が収録されているんだろうな。…ということは何となく想像出来たんですが、それ以外の細かい情報はあまり気にせずに注文したところ、えーと、どれどれ。なるほど、トリオとクインテットの演奏が収録されているんですな。トリオとクインテットの演奏が入り乱れているのか?…と思ったら、A面とB面できっちり分けられていて、で、1955年の録音ということは彼のリーダー作にしてはかなり初期のものということになるのではなかろうかと。でもって、サヴォイ盤なんですな。ジャケットのセンスがわりと小マシなので、ちょっと意外な感じがしてしまいますが、概してロクなのがないですからね、サヴォイのジャケって。 で、気になるパーソネルはと言うと、トリオのほうはパーシー・ヒースアート・ブレイキーと、なかなか有名どころが押えられていて、悪くありませんな。問題はクインテットのほうなんですが、リズム・セクションはそのままで、エディ・バートセシル・ペインの2人が追加されているようです。エディ・バートって、誰?…というのがまず分からんのですが、トロンボーンとバリトンサックスという組み合わせもこの上なく地味ですよね。これ以上地味な編成の2管クインテットとなると、チューバとユーフォニュームとか、フレンチホルンとハレンチ学園くらいしか思いつかないんですが、いや、ハレンチ学園というのは十分派手なような気もするんですけどね。ということで、では1曲目から聴いて参りましょう。

 えーと、まずは 「フォーキャスト」 でありますか。予想されますなぁ。いや、 “FORECAST” を翻訳したら、 “予想されます” という訳語が出たんですけどね。ジョーダン君のオリジナルでありまして、この人は作曲家としてもその実績が高く評価されておりますので、大いに期待が持てるところですよね。…と思って聴いてみたところ、これはアレですな。わりとバピッシュな感じの作品でありますな。…といった感じの曲でありました。ちょっぴりタッド・ダメロン的なところもあったりして、あ、ダメロンで思い出したんですが、先日来、謎のままになっていた “バイ@グラ系薬物” の正体が判明しました。いや、電柱によく個人輸入のチラシが貼ってあるんですが、そこに書かれた 「男 : シ@リス 女 : なんとか@かんとか」 というのがずっと気になっていたんですよね。先日、信号待ちの際にじっくり観察した結果、女のほうはどうやら “ダイフルカン” という薬物であるようです。男のほうは “シマリス” ではなくて “シアリス” が正解のようですが、いや、効果があるのかどうかは知りませんけどね。試してみたことはないし、今のところ必要性にも駆られていないしぃ。 ま、それはそうと演奏のほうはですね、何とも飄々としてますよね、ジョーダンという人は。好きなネコ科の哺乳類はヒョウで、好きなお菓子は兵六餅。…というくらい飄々としてます。肩肘張らない中庸的なタッチ、ぼーっと聴いてると、ただ弾いてるだけやな。…と思ってしまうほどナチュラルなフレージング。あとはえーと…、特に思いつきませんが、そんな自然体でバンアレン帯なスタイルが彼の持ち味であると言えましょう。さほど長くはない演奏でありますが、パーシー・ヒースのソロや、ブレイキーとジョーダンのじゃれ合いなどもあって、なかなか楽しめる1曲となっております。

 次、 「サルトリィ・アイ」 。今ひとつ翻訳センスに欠ける嫌いのある “こりゃ英和” では 「蒸し暑いイブ」 とでましたが、 “SULTRY” を辞書で調べた結果、 「官能的なイブ」 のほうが適切であると思います。イブというのは恐らくギャルの名前だと思いますが、官能的なんですね、イブちゃん。どれくらい官能的なのかというと、もう、蒸し暑いくらい官能的であるわけでして。これはもう、激しいラテンのリズムでノリノリぃ♪…みたいな演奏を予想していたんですが、ぜんぜん違いました。物静かなバラードでした。無口で清楚なんだけど、蒸し暑い。そんなキャラなのかも知れませんね、イブちゃん。 ジョーダンのオリジナルなんですが、歌モノを思わせる作りとなっておりまして、出だしの部分はちょっぴり 「サマータイム」 だったりするんですが、それ以降は大丈夫です。原文ライナーに “warm” で “moody” とある通り、とってもワームでムーディな作品に仕上がっております。ああん、とってもミミズ、蛭、ウジ虫、カイチュウ、サナダムシぃ。…って、そっちのワームではなくて、 「温かい」 という意味のワームなんですけど。で、ジョーダンの弾くバラードはですね、淡々としていて、いいです。タンタン麺みたいに激烈でないところがいいです。聴いていて、優しい気持ちになれるところがいいです。いやらしいキムチにならないところがいいです。何だかとってもいやらしいですからね、いやらしいキムチというのは。いやらしくないキムチなら、それほどでもないんですけど。 ということで、3曲目。 「ゼイ・キャント・テイク・ザット・アウェイ・フロム・ミー」 はガーシュインの曲なんですね。ガーシュイン・ナンバーの中ではかなりマイナーな類だと思いますが、でもまあ、ガーシュインだったら大丈夫だよね。…と思ってすっかり安心してたんですが、予想に反して何だか今ひとつインパクトのない曲調ではありましたけど。ミディアム・ファーストのナンバーで、ところどころキラリと光るフレーズはあるんですが、ハラリと風呂上りギャルのバスタオルがほどけるようなコーフンはなくて、ま、全体的には中庸的な仕上がりでありますか。アート・ブレイキーがバックで何とか演奏を盛り上げようと盛んに煽っているんですが、ジョーダン君は決して挑発に乗らず、いつも通りのマイペースでございます。ま、途中でアドリブがダブルテンポになったりする場面もあって、ブレイキー君の努力がまったく徒労に終わってしまうという事はないんですけどね。

 で、4曲目は 「チュニジアの夜」 でありますか。あまりジョーダンらしくない選曲のような気もしますが、おそらくブレイキー君のリクエストなんでしょうね。リーダーの資質に合わせて、ここまでかなり抑え気味のドラミングに徹しておりましたが、そろそろストレスが蓄積されてくる頃ですからね。相当の煽りが期待されるところでありますが、いや、実際にはかなり抑制された 「チュニ夜」 に仕上がっているんですけどね。ジョーダン君は選曲がどうであれいつもマイペースでありまして、チュニジアにもこんな暗い夜があったんだね。…ということを思い知らされてしまいましたが、ま、ピアノ、ベースと地味なソロが続いた後、さすがにブレイキーにも活躍の場が与えられてましたけどね。ま、このアルバムではこれが精一杯というところでありましょう。 で、5曲目は 「サマータイム」 。2曲目に比べると出だしの部分はそれほど 「サマータイム」 ではなくて、一瞬、別の曲か?…と思ってしまったんですが、それ以降は大丈夫です。ちゃんと 「サマータイム」 しております。日本でもサイマータイム制度の導入が検討されているようでありますが、ジャズ好きの人なら恐らく大半が、サマータイム、いいんぢゃないの?…と思っているんじゃないですかね。いや、省エネとか、時間の有効活用といった根源的な問題はさておいて、サマータイム、いいんぢゃないの?魚は飛び跳ねるし、麦もよく育つし、父ちゃんは金持ちだし、お前の母ちゃん、とっても美人だしぃ。…みたいな軽いノリで。が、現実問題、もしサマータイムが導入されると、年に2回、家中の腕時計や掛け時計や目覚まし時計の時間を調整しなくてはならず、携帯電話やパソコンやビデオや風呂の給湯器や枕カバーの時間もずらさなければならなくなって、とてつもなく面倒なのでヤメて欲しいんですけどね。

 ちなみに “枕カバー” というのは何なのかと言うと、小学6年生の家庭科の課題で枕カバーを作るというのがあったんですよね。布をフクロの形に縫って、刺繍で模様を付けるという。どういうデザインにしようか悩んだ結果、僕は “PM11じ〜AM7じ” という文字を入れることにしました。午後11時から午前7時まで、お世話になるんだよね。…という意味を込めたわけでありますな。いや、本当のことを言うと僕は当時、午後8時半には布団の中に入っていたんですが、“ PM8じはん” と書いて、クラスの女子児童から、「まあ、いなばくん、夜の8時半に寝てるのぉ?お子様ねぇ。」…などと思われても癪なので、多少サバを読んだわけでありまして。それはそうと、6年生にもなって “” という漢字も書けないようでは、そっっちのほうが恥ずかしいんぢゃないか?…という気もするんですが、いや、ちゃんと “” という字は書けたんですけどね。ただ “時” という字を刺繍するのが面倒だったので平仮名でお茶を濁しておいたんですが、当時の僕は面倒なことをするくらいなら、まだ恥をかいたほうがマシ。…と考えてしまう、ヤル気のない子供でしたからね。ま、その当時だったから “PM11じ〜AM7じ” だけで済んだものの、これがサマータイム導入となるとそうはいきません。 “PM11じ〜AM7じ、あ、でも、夏の間はPM10じ〜AM6じ?” という刺繍を入れなければならなくなって、これはもう、とてつもなく面倒です。いや、サマータイムが導入されたところで午後11時は午後11時なんだから、余計なことを考えなくてもいいんぢゃないか?…という気もするんですが、小学6年生にはそこまで頭が回らないわけでありまして。 とまあ、そんなことはどうでもよくてジョーダンの 「サマータイム」 ですが、これはいいですね。ピアノの無伴奏ソロによるバラードで、この上なく地味ではあるんですが、黒人社会の悲哀が感じられて、秀逸です。いいですよね、悲哀。僕は大好きです。卑猥というのは嫌いなんですけど。

 ということで、続いてはクインテット編でございます。前記の通りトロンボーンとバリトンサックスの2管でありますので、この上なく辛気臭い演奏が展開されるものと思われますが、まずはえーと、 「フライト・トゥ・ジョーダン」 でありますか。 “JORDAN” というのは日本語に訳すと“ヨルダン”なのかぁ!…ということが分かって、ずいぶん得した気分になりますが、後にリーダー作のアルバム・タイトルにもなった彼の代表作でありますな。ファンキーな香りのするなかなかの佳曲だと思います。それをボントロとバリサクでやっちゃうわけなんですが、いや、案の定、地味ですね。渋い。…と評価することも出来ようかと思いますが、ま、トロンボーンとテナーの組み合わせで成功を収めたカーティス・フラーの 「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」 を、より一層地味にしたもの。…と考えれば、それなりに楽しめるんですけどね。テーマ部が重苦しいだけにソロ先発のジョーダンのピアノがことさらキュートに聴こえて、よいですな。このアルバムではリーダーでありますが、基本的にはサイドで光るタイプですからね。で、ソロ2番手のセシル・ペイン、3番手のエディ・バート共、それなりに味のある演奏をしておりまして、地味ながら、ま、そこそこといったところですかね?初めて聴いた (←多分) バート君のトロンボーンは、かなりアーシーであるとお見受けしました。で、ブレイキーのソロがあってそこそこ盛り上がって、テーマに戻って、おしまい。

 7曲目、 「トゥ・ラバーズ」 もジョーダンのオリジナル。タイトル通りのロマンチックなバラードであります。楽器の組み合わせこそ違うものの、なんとなく “K&JJ” を彷彿させる演奏でありますな。前半、エディ・バートがワン・ホーンでテーマを吹いて、後半はセシ・ペンのアドリブ・ソロといった感じでしょうか。バリトンサックスのサブトーンが何とも言えずスケベっぽくて、いいですな。…とか言ってるうちに演奏は終わってしまって、3分7秒のちょっとした小品なのでありました。 続くペインのオリジナル 「キューバ」 は、タイトル通りのラテンちっくな作品でありまして、やや世の中を舐めているようなコミカルなテーマがとってもスキカル。…といった感じです。子供の頃、クラスにかならずひとりはいましたよね、スキカルで家庭内調髪している子供って。ときどき失敗して、やや挑発的な髪型になったりしておりましたが、長髪よりはスッキリしているので、別にいいんですけどね。髪の毛切れよ、阪神の井川!…と思わずにはいられませんが、ということで、井川に似ている。…と言われたこともある僕は、今から床屋へ行ってまいります。…ということで、行ってまいりました。う〜ん、さっぱり♪…としたのはいいんですが、またしてもオマケの森永チョコボールはハズレではありませんか。去年 “銀のエンゼル” が出て以来、さっぱりでありますな。2年に一度のペースで銀が出ればいいところなんすかね?このままでは5枚集めるのにあと9年ほどかかってしまって、おもちゃのカンヅメを貰えることには40代半ばになってしまいます。何とか30代のうちに手に入れたかったんですが、ちょっと厳しいかも知れませんなぁ。…ということでこの 「キューバ」 という曲、全体的に見て、まあまあかな?…といったところでしょうか。

 9曲目。 「イエスタデイズ」 。バラードですね。セシル・ペインがワン・ホーンでテーマを吹いておりますが、これがいいです。泣けます。ペイン君の演奏には何か “痛み” がありますよね。伊丹十三と同じくらい痛みがあります。 “ビタミンちくわ” よりもビタミンがあるかどうかは知りませんが、いや、確かに栄養はありそうなんだけど、何だかあまり美味そうな気がしないね。…ということで、食べたことはないんですけどね。ちくわ、ちくわ、ビタミンちくわ、母さんはやくお願いね〜♪…という 「ビタミンちくわの歌」 は大好きだったんですが、そういえば 「フルールの歌」 というのもありましたよね。ふるふるフルール、何がふーる、ふるふるフルール、槍がふーる♪…でしたっけ?子供心にも、ヤリは降らんやろ。…と思ったものでありますが、本当にそんな歌詞だったのか今ひとつ自信がないので調べてみたところ、ふるふるフルール、何がふーる、犬が尾をふる、ワンダフル♪…というのしかなくて、いや、全体にそんなスベった歌では無かったと思うんですが、僕の記憶違いでしょうか? と、名古屋ローカル (←多分) な話は置いといて、この曲ではアレですね。トロンボーンの人はお休みなんですね。セシル・ペインをフィーチャーしたバラードとなっておりまして、山田クン、バリサクの咽び泣くようなサブトーンに、座布団1枚!…といったところでしょうか。やはりサックスのバラードはこれくらいスケベっぽくなければ、いけません。ブリッジのジョーダンのピアノも、いいな♪

 ということで、ラストです。 「スコッチ・ブルース」 はジョーダンのオリジナルの中でもかなり有名な部類なんですが、すこっち変な曲だよね。…と、シコイワシのシコースキー君、通称、シコっちも言っておりましたが、確かに少し変な曲だよね。…と、僕も思います。スコッチウイスキーをすこっち飲みすぎて、千鳥足になっている様を表現しているのかも知れませんが、この曲をトロンボーンとバリトンのユニゾンでやるというのも、かなり変。 ま、ソロ先発のジョーダン君はそれなりに爽やかなんですが、以下、2人の管楽器奏者は今ひとつ暑苦しい感を拭い去ることが出来ず、何だか悪酔いしちゃいそうな今宵、パーシー・ヒースの千鳥ウォーキング・ベースも聴けたりして、ま、それなりに楽しくはあるんですけど。 ということで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 トリオとクインテットという2つの味が楽しめて、チョコレートとキャラメルの2つの味が楽しめる森永チョコボールのキャラメル。…といったところでしょうか? キャラメルのほうが長持ちするので僕は好きなんですが、最近はピーナッツばかりなんですよね、うちの近所の床屋のオマケ。ま、バナナ味よりはいいんですけどー。


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