THE IN CROWD (CADET)

RAMSEY LEWIS (1965/5/13-15)

THE IN CROWD


【パーソネル】

RAMSEY LEWIS (p) ELDEE YOUNG (b,cello) RED HOLT (ds)
【収録曲】

THE IN CROWD / SINCE I FELL FOR YOU / TENNESSEE WALTZ
YOU BEEN TALKIN' 'BOUT ME BABY / LOVE THEME FROM SPARTACUS
FELICIDADE /
MOTHERLESS CHILD / COME SUNDAY / THE PARTY'S OVER
【解説】

 今日は寺院について考えてみたいと思います。題して、 「ジーンと感動する寺院の話」 。 いや、本当に感動的な話が書けるかどうか、まったく自信はないんですけどね。近藤クンと剣道をした。…という話ではコンドー的やケンドー的ではあっても、ちっともカンドー的ではないですもんね。おまけに寺院とは何の関係もないしー。 とまあそんなことで、日本には一体どれくらいの数の寺院があるのか?…というところから話を進めてみたいと思うんですが、僕の予想ではですね、かなりの数にのぼるような気がするんですけどね。星の数ほど…とまではいかないまでも、寺の数くらいはあるんじゃないですかね? ちなみにうちの近所は神社仏閣密集エリアとなっておりまして、チンケなものばかりではありますが、歩いて10分くらいの範囲に15〜20くらいの神社や仏閣があるような気がします。中には神社なんだか、寺院なんだか、痔の医院なんだか分からないようなものもあって、正確な数はよくわからんのですが、寺院だけで10ヶ所くらいはあるものと思われます。その昔、あまりにも寺院の数が多いことに目を付けた塩サバ2号は、社会科の自由研究として “宗派別寺院数調査” というのをやっておりましたが、「近所を歩いて寺の看板を見て宗派を調べるだけやから、むっちゃ簡単やった。」…などと言っておりましたな。看板に宗派が明記されていない寺院に関しては住職から聞き取り調査を行なったのかと思ったら、そうではなくて、「そういうのは “宗派不明” にしといた。」…とのことでありまして、うちの近所の寺院で最も数が多かったのは “宗派不明” である。…という、恐るべき調査結果が出たみたいなんですけどね。

 で、寺院の数でありますが、うちの近所だけで約10寺あるということは桑名市内で50寺くらいはあるに違いなく、昨年、隣接する長島町と多度町と合併して新・桑名市になった際に20寺くらいは増えただろうから、ま、約70寺といったところですかね。人口は14万人弱なので、1寺あたりの人口は約2000人ということになりますな。日本の人口が1億2700万人であるとすると、2000で割って、63500寺。これが日本の総寺院数ということになるわけですね。…というのが僕の試算なんですが、調べてみたところ、おお、割といい線いっておりますな。ま、だいたい 65000〜75000寺くらいではないか?…というのが正解みたいですね。この数が昔に比べて多いのか少ないのかというと、おそらく全体的には減少傾向にあるものと思われます。新しい寺院が開店して、オープニング記念として先着100名様に限り、木魚30分間叩きたい放題♪…みたいな話はあまり聞いたことがないですからね。ま、仮にそんなイベントがあったとしても大して嬉しくはないんですけど。どうせなら戒名料オール10%オフとか、おめでたい席なので、いつもより長めにお経を読んでおりま〜す♪…みたいなサービスが望まれるところですが、いや、お経など長く読んでくれたところで、迷惑以外の何物でもないんですけどね。足、痺れるっちゅうねん!

 寺院業界への新規参入があまり期待出来ない一方で、面倒を見る人がいなくなって、寺院が店を閉めてしまったという話はよく耳にします。先日もアルプスの少女ハイジが、「私が信仰していたお寺が廃寺になっちゃたのぉ。」…と嘆いておりましたが、いや、ハイジが仏教徒だったとは今の今まで知りませんでしたけどね。何でも、クララの足が早くよくなるように彼女に座禅の修行を薦めていたそうですが、座禅なんかしたら余計に足が痺れるちゅうねん!…という気がしないでもないんですけどね。 ということで、僕が寺院について書いたかったことは、これで全てのネタを使い果たしてしまいましたが、やはり “痔の医院” と “ハイジの廃寺” だけで1回分の原稿を書くというのは、ちょっと無理がありましたなぁ。しかたがないので先ほども少し話の出た “戒名” について考えてみたいと思うんですが、戒名というのはアレですよね。死んだ時に付けてもらうハンドル名のようなものですよね。あるいは、あの世における源氏名と言っていいかも知れません。ところで、キャバ嬢やソープ嬢などの風俗系ギャルが店で使う名前のことを、どうして “源氏名” というのか知ってますか?僕は知りません。知らないのでちょっと調べてみました。えーとですね、平安時代に 「源氏物語」 の巻名ちなんで女官に名前を付けていたから。なるほど、 「源氏物語」 だから “源氏名” なんですな。ま、どうせそんな事だろうとは思っていましたけど。 “源氏” といえば源氏物語か、源氏ホタルか、源氏パイくらいしかありませんもんね。 “平家” だったら平家物語とか、平家ホタルとか、平家蟹とか、木造モルタル平屋建てとか、いっぱいあるんですけどね。ついでに “源氏パイ” の名前の由来についてもちょっと調べてみたんですが、何だか今ひとつよく分かりませんでした。商品発売当時のNHKの大河ドラマ 「源義経」 にあやかった。…という説もあるようですが、どうも今ひとつ説得力がありませんな。 “源氏パイ” という名前を見て、義経みたいでカッコいいから、買っちゃおう♪…などという衝動に駆られる人がいるとはとても思えませんもんね。まだ “弁慶便器” でも作って売り出したほうがマシではないかと思うんですが、どういう便器なのかというと、和式便器の金隠しの手前のところに左右に伸びる突起物が付いているものなんですけどね。しゃがもうとする度にむこう脛を強打して、 “弁慶の泣き所” という言葉の意味を身を持って体験出来るというわけでありますな。

 源氏パイというのはハート型をしているんですが、あれは実はハートの形ではなくて、源氏が使っていた武器の矢羽の形なのである。…という説もあるようで、こちらのほうは、なるほどぉ!…と、心の底から納得がいきますよね。確かに源氏パイ型の矢羽というのは有り得るような気がします。もっとも、どうして源氏の矢羽の形をパイなんぞにしようと思い立ったのか、その真意の程はよくわからんのですが、あるいはここに源義経にあやかろうという下心が働いたのかも知れませんね。大河ドラマで源氏の矢羽が写される度に、無意識のうちに源氏パイが食べたい♪…と思ってしまうサブミナル効果を狙ったとか。 とまあそれはそうと 「源氏物語」 なんですが、この読み物は全部で47帖あるんだそうで、第1巻から順に “桐壺” “帚木” “夕顔” “空蝉” “若紫” “末摘花” “紅葉賀” “花宴” “” …といった名前が付けられております。それにちなんで女官に “葵ちゃん” とか “夕顔ちゃん” みたいな名前を付けたのが源氏名の始まりというわけでありますな。それが江戸時代には大奥で用いられるようになって、更に芸者や遊女などの風俗ギャルが真似をするようになったということですが、それにしても何ですな。源氏物語の巻名から名前を選ぶとなると、 “少女(おとめ)ちゃん” とか、 “蛍ちゃん” あたりはいいんですが、それ以外にはあまりソソられるものがありませんな。 例えば “桐壺ちゃん” なんて名前では、何だか痰壷フジツボみたな顔のギャル?…みたいな感じがして、とても指名しようという気にはなれませんよね。

 そこでまあ、源氏名というのは別に源氏関連ぢゃなくてもいいぢゃん。…ということになって、現在ではレイナとか、レミとか、リリアとか、セリナとか、イザベルとか、ナターシャといった、あんたそれ、絶対に源氏物語には登場せえへんやろ!?…と思わずにはいられないような名前のギャルが幅を利かせているようです。ちなみに、僕が指名するんだったら、断然 “ひなのちゃん” だよね♪…と思っているんですが、いや、名前だけで決めちゃうのはかなりの冒険だと思いますけどね。 で、一方の戒名でありますが、これはアレですよね。死んだ時に付けてもらうハンドル名のようなものですよね。…と先ほど書きましたが、死ぬ前に付けたりするのもぜんぜんOKなんだそうでありまして。というか、本来は生きているうちに付けるものなんだそうですね。戒名とはすなわち、仏教徒になった時に授けられるクリスチャンネームのようなものでありまして、いや、仏教徒なのにクリスチャンというのも変ですが、とにかくまあ、そういうものでありまして。宗派によっては戒名とは言わず、浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と呼ぶそうなんですが、とにかくまあ、戒名 (または法名、もしくは法号) が無いようでは、信仰心が足らんっ!…というので地獄に落とされて、ムチでしばかれたり、ロウソクで攻められたり、生爪を剥がされたり、煙草の火を手の甲に押し付けられたりするに違いないので、死んでしまってから慌てて、実はこの人、熱心な仏教徒だったんだよ。…ということをアピールするために戒名 (または法名、もしくは法号) を付けるようになったんだそうでありまして。幸い、現在のシステムでは生前いかに不道徳で悪いことばかりしていようとも、ゼニさえ積めば簡単に戒名 (または法名、もしくは法号) が手に入るようになっておりますので、地獄に落ちる心配はありません。まさに “地獄の沙汰も金次第” というわけですが、死んじゃった時にせめて戒名くらいは付けて貰えるように、カツアゲしてでも戒名料くらいは手元に残しておくようにしましょう。

 で、気になる戒名のネーミングライツなんですが、これは付けられる名前によってかなり違いがあるようです。基本的には文字数と最後にくる“格付け”によって決められるようなんですが、トータル6文字で “信士(しんじ)” の付く戒名なら15万円とか。同じ6文字でも最後が “居士(こじ)” となると、一挙に倍額となって30万円。ギャル系の場合は “信女(しんにょ)” が15万円で、“大姉(だいし)”が30万円。 私は妹だし、身長も低いから “小妹” でええわ。その代わり5万円に、ま・け・て♪…と言っても駄目です。仏教界でそのような位号は認められておりません。格付けが上がって “大居士” もしくは “清大姉” ともなると戒名料は100万円以上、宗派によっては500万円以上とか、なかには時価なんてところもあったりします。もはや高級中華料理屋の “鯉の丸揚げ” にも匹敵する扱いでありますが、逆に言えばお金さえ積めばどんなに清くないギャルだって “清大姉” という地位を得られるというわけでありまして。いや、世の中、金さえあれば何でも出来ちゃうわけなんですな。  で、戒名の付け方には決まったパターンがあります。 “○○院□□△△居士” なんてのが典型でありまして、 “○○” の部分には院号、“□□” の部分に道名が来て、“△△” のところに狭い意味での戒名が来ます。院号というのは生前に一寺を建立するほどに寺院につくすとか、社会的に高い貢献をした人につけられます。…とのことでありまして、ま、普通の人にはこりゃ無理やなという気がするんですが、別に社会的に高い貢献などしなくたって、銭さえ払えば簡単に院号をGETすることは出来るんですけどね。因業な婆サンなんかはわりと小金を貯めていたりするので、院号を付けてもらうのも簡単かも知れません。

 道号というのは、戒名の上につけられるもう一種類の名ですが、分かりやすく言えば、号とか字 (あざな) にあたるものだそうです。ちっとも分かりやすくないではないか!…という気もするんですが、とにかくまあ、号とか字 (あざな) にあたるものであると。バラの花を口にして踊っている人の場合、道号 (あざな) は “狩麺(カルメン)” という事になるんですかね?…と、ピンクレディ世代にしか分からない話をしておいて、とにかくまあ、院号四文字+“居士” または “大姉”で、一丁上がり!…というわけでありますな。例えば生前の職業がパーマ屋さんだったりしたら、 “美容院髪結着付大姉” とか。老人福祉施設に勤務していた人なら、 “養老院老人虐待居士” とか。 何だか生前の働き振りが目に浮かぶようでありますが、そのうち、源氏名に倣って戒名にもカタカナを使える時代が来るかもしれませんな。例えばそうですね、イラクの元大統領の場合、こんな戒名が付くかも知れませんね。“フセ院パンツ姿暴露大恥”…って、いや、いくら悪いヤツだからって、何もあそこまで人権を蹂躙するというのはどうか?…という気もするんですけど。それに何より、見たくねーって!…と、思わずにはいられませんが、ということで、寺院戒名のお話は、おしまい。

 ということで、今日はラムゼイ・ルイス 『ジ・イン・クラウド』 です。 「ジ・イン・クラウド」 だから、寺院ネタ。…って、それだけのきっかけで書き始めたんですが、ジーンと感動もしなければ、大して面白くもない。そんな話になってしまったことに遺憾の意を表明したいと思います。しかし何ですな。この “遺憾の意” という言葉は実に韻を踏んでいていいですよね。 “ミカンの実” と同じくらい実にいいと思います。 “鵜飼の鵜” というのは一度だけ見たことがあるんですが、「鵜やな。」…という感じがしただけで、さほどいいとは思いませんでしたけどね。ちなみに今年の長良川の鵜飼は愛知万博とのパックがなかなか好評のようでありまして、予約だけで去年の実績を上回っているんだそうです。鵜飼の鵜も、 「ウ〜!」 と嬉しい悲鳴をあげておりますが、 いや、鵜がそんな 「マンボNo.5」 みたいな声を出すのかどうかはサダカではないんですけど。で、ラムゼイ・ルイスでありますが、この人に関してはですね、よく分かりません。ただこの 「ジ・イン・クラウド」 というアルバムだけが一人歩きしている感がありますが、これが一体どういう作品なのかというと、よく知りません。名盤ガイドの類いではよく紹介されているので、名前だけはよく目にするんですけどね。人気盤は敢えて取り上げない。…というのをSHINJOにしている “jazz giant” ではずっと無視していたんですが、ついにネタに困って今回の登場となりました。魂を売ったとでも何とでも言ってください。もう、銭になるんだったら魂だろうが、タムシだろうが、何でも売っちゃいますからね。タムシなんか売れるのか?…という気がしないでもないんですが、あるいは製薬会社が皮膚病の研究用に買ってくれるかも知れず、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょうかー。

 聴いてみて初めて、あ、これ、ライブやったんか。…ということが判明したんですが、そういえばジャケットを見ると下のほうに “RECORDED LIVE AT THE BOHEMIAN CAVERNS / WASHINGTON D.C” と書いてありますよね。その昔、ボヘミア〜ン♪…という葛城ユキの歌がありましたが、ボヘミアンというのは “自由気ままに生きる人” という意味があって、で、 “CAVERNS” のほうは “洞窟” でありますか。何だかこう、いかにもジャズ・クラブらしい名前であるな。…という気がするんですが、これがもし “イカ焼き屋” という名前だったりすれば、いかにもイカ焼きの店やな。…といった感じなんですけどね。 とまあそれはそうと、1曲目はアルバム・タイトル曲の 「ジ・イン・クラウド」 なんですが、こちらのほうは日本語に訳すと “INの群衆” となって、 何が何だか今ひとつよく分かりません。よく分かりませんが、いかにも群衆らしい雰囲気はよく出ておりまして、とにかく賑やかなんですよね、これがまた。十念寺の七福神まつりもかくや?…と思われるほどの人出でありまして、ま、ほとんど誰も見に来ませんからね、七福神まつりなんて。七福神など見たところで面白くもなんともないので、子供の頃はもっぱらニッキ味のねり飴と、 “かいだん巡り” だけが楽しみだったんですが、ま、10円もぼったくるわりには距離も短くて、あまり大したことはないんですけどね、十念寺の“かいだん巡り” 。“かいだん巡り” なのにあまり階段はなくて、おまけに怪談が聞けるわけでもないので、何でこれが “かいだん巡り” やねん?…と、子供の頃からずっと疑問だったんですが、階段でも怪談でもなくて、 “戒壇巡り” だったんですな、あれは。つい最近になって知りました。

 で、演奏のほうはというと、これがもう、ノリノリ♪…でありまして。冒頭、拍手に続いてルイス君以下3人が登場するんですが、手拍子なども聞こえて何とも楽しそうでありますな。ルイス君は基本的に黒っぽい下世話なピアノを弾くキャラであるものと思われ、タイプ的にはジュニア・マンスとか、レス・マッキャンとか、あの系統でありますな。ベースのエルディ・ヤングという人に関しては、恐らくまあ、ヤングなんだろうな。…ということ以外はまったく何もわからんのですが、途中、ベースのピチカートに乗せて、「びぇーん、びぇーん、びぇんびぇんびぇん♪」…と声を出すところなど実に小粋な感じがして、スラム・スチュアート、もしくは元祖ジョージ・ベンソン的な楽しさを感じさせる人であるようです。で、演奏のほうはテーマに続いてルイス君のソロになるんですが、観客全員がノリノリ状態になっているのがレコードからも伝わってきて、いや、エバンスの 『ワルツ・フォー・デビー』 みたいに客が誰も演奏など聴いちゃいないのもなかなか雰囲気があっていいんですが、こういう客席とステージが一体になったパフォーマンスというのもいいものですね。性格が単純な僕は、今すぐにでもジャズのライブに行きたくなってしまいましたが、 『真夏の夜のジャズ』 を見て、今すぐにでも斑尾のジャズ・フェスに行きたくなっちゃったほど単純な性格ですからね、僕って。ちなみに今年も斑尾ジャズは中止のようでありますが、ウケを狙ったエンディングもばっちり決まっていて、なるほど、こりゃ、アメリカで大ヒットしたのも頷けますよね。…といった感じの1曲でありまして、いやあ、楽しかったです。

 2曲目は一転しておしとやかなバラードとなって、 「シンス・アイ・フェル・フォー・ユー」 。 “こりゃ英和”の訳語は 「私がフォー・ユーを打ち倒しますから」 となって、こりゃアカンわ。…といった感じなんですが、 “Excite 翻訳” のほうは 「私があなたにほれ込んだので」 となって、こっちのほうがよっぽどマシですよね。で、演奏のほうはというと、何ともムーディなムードが漂っておりまして、ラムゼイ・ルイスという人がただのノー天気野郎ではないということをサウンドで証明しておりますが、ま、後半はあざといくらいに黒っぽい下世話なムードが次第に濃くなってきて、根はやっぱりただのノー天気野郎みたいなんですけどね。が、客を楽しませるという芸人魂は天下一品でありまして、こういうところが本国アメリカでは受けて、ワビ・サビの国ニッポンでは馬鹿にされる羽目になるわけでありますな。これもまあ、人種間格差というヤツでありましょう。 ということで、3曲目です。 「TENNESSEE WALTZ」 という曲なんですが、これはいったい何と発音するんですかね?テンネッセ・ワルツぅ?…などと、しばらく悩んでいたんですが、 “こりゃ英和”の訳語を見て、この問題は瞬時に解決しました。 「テネシーワルツ」 。なるほどぉ!いや、たまには役に立つことだってあるんですね、 “こりゃ英和”。 で、この演奏はアレです。エルディ・ヤングのチェロ演奏を大フィーチャーしたものとなっておりまして、特に前半の無伴奏ソロのところが凄いですね。チェロをまるでギターのようにかき鳴らして、同時に音に合わせてスキャットで歌ったり、ぶつぶつと独り言をつぶやいたりして、大いに観客の笑いを取っております。いやあ、芸人ですな。ピアノとドラムスが入って以降はわりと普通の演奏になるんですが、ここでも彼の “一人ユニゾン奏法” は絶好調でありまして、元祖ジョージ・ベンソンの面目躍如と言ったところでありましょう。シナチクが嫌い?…って、それはメンマ食わんぞ。…と、なつかしの “おこめ師匠” のフレーズを勝手に引用しておいてと。

 4曲目の 「ユー・ビーン・トーキン・バウト・ミー・ベイビー」 は実に真っ黒なサウンドでありますな。ファンキーという言葉が下世話に思えちゃうほどブラックなフィーリングに満ち溢れておりまして、何というか、この、黒いですよね、もうただひたすら。それでいてあまり息苦しくならないところがルイス君のお人柄だと思いますが、とにかくまあ、エンターテイナーなんすよね、この人は。 んなことで次に参りますが、そろそろ曲解説も手抜きモードに突入しつつあって、5曲目は 「ラブ・テーマ・フロム・スパルタカス」 でありますか。これを正しく 「スパルタカス〜愛のテーマ」 と訳せるセンスが英和クンにあるとはとても思えず、案の定、 「SPARTACUS からテーマが好きであってください」 などという冴えない回答が得られましたが、スパルタという戸塚ヨットスクール的な語感にも拘わらず、何ともラブリーでキュートな “愛のテーマ” なんですよね、これがまた。ドラマチックな展開を見せるルイス君のアレンジも秀逸で、このアルバムの白眉と言ってもいいハクビシン。…といった仕上がりには新型肺炎の患者もきっと大満足だと思います。SARSの感染源と確定されたみたいですからね、ハクビシン (←ジャコウネコ科) 。ハクビシンでサイト検索するとハクビシン料理のページが出て来たりして、食うなよ!…と思わずにはいられませんでしたが、中国ではわりと普通に食べられているようです。 んなことで、6曲目。 「フェリシダーデ」 はボサノヴァ曲でありますな。ルイス君はかなり速いテンポで料理しておりまして、気怠さよりも派手さを優先した模様であります。ラテンのリズムが楽しいのぉ♪ ということで、7曲目。僕の持っている輸入盤CDにはオマケ曲が2つ入っているんですが、最後ではなくて 「マザーレスト・チャイルド」 がこの位置に入ります。おそらく、実際のライブがこの曲順だったんでしょうね。どこかで聴いたことのある曲やな。…と思ったら、その正体は 「時には母のない子のように」 でありまして、正式名称の 「サムタイムズ・アイ・フィール・ライク・ア・マザーレス・チャイルド」 の前半部分をバッサリと切り捨てたものであることが判明しました。ピアノの無伴奏ソロなんですが、ルイス君の弾きっぷりが何だか妙にパウエルっぽかったりするところが一興でありますな。個人的にはおもろいと思うんですが、何だかちっともルイスらしくない。…というのでLPでは没になっちゃったんでしょう。ま、長い人生、時にはそういうことだってあります。

 ということで、次です。LPだとこれが最終ということになるわけですが、 「カム・サンディ」 はデューク・エリントンの曲です。バラードですよね。つい先ほどまでピアノの無伴奏ソロだと思っていたら、いつの間にやらベースのアルコが入っていて、いや、いの間にやら違う曲になっていたんですな。…と思ってしまうくらい、前の曲とは一体化して演奏されております。恐らくルイス君の意図としては “バラード・メドレー” だったんでしょうが、収録時間の関係で勝手に前半をカットされちゃったんでしょう。むごいですね。ハクビシンの解体写真と同じくらい、むごいです。フセイン君のパンツ写真ほどではないんですが、見たくないという点ではいい勝負かも知れません。でもまあ、CDではこうしてちゃんとオリジナルな形で収録されることになったので、ルイス君もおそらく草葉の陰で泣いていることでありましょう。いや、もしかしたらまだ生きているのかも知れませんけどね。 ということで、最後はCDオマケ曲の 「ザ・パーティ・イズ・オーバー」 。どこかで聴いたことのある曲だと思ったら、ボビー・ティモンズが何かのアルバムで弾いていたヤツだよね。…ということを思いだしました。おそらくはルイス君がライブの “テーマ曲” にしているものと思われ、セットの終わりに短く弾いたものなんでしょう。溌剌とした演奏からは楽しかったライブの充実感が伝わって来て、それと同時にパーティが終わってしまうガッツ一抹の寂しさもあったりするんですが、いや、センチですからね、僕って。メンチカツというのも結構好きだったりするしー。ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 追加曲のおかげでコンプリートな作品に仕上がりました。いや、今までずっと馬鹿にしていたんですが、楽しい〜♪…んですよね、これがまた。暗い系ギャルのジャズ入門がエバンスの 『わるでび』 だとすれば、ノー天気ギャルにはこの1枚がいいかも知れないね。…という気がします。


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