THE RIGHT TOUCH (BLUE NOTE)

DUKE PEARSON (1967/9/13)

THE RIGHT TOUCH


【パーソネル】

FREDDIE HUBBARD (tp) GARNETT BROWN (tb) JAMES SPAULDING (as)
JERRY DODGION (as,fl) STANLEY TURRENTINE (ts)
DUKE PEARSON (p) GENE TAYLOR (b) GRADY TATE (ds) 

【収録曲】

CHILI PEPPERS / MAKE IT GOOD / MY LOVE WAITS (O MEU AMOR ESPERA)
LOS MALOS HAMBRES / SCRAP IRON / ROTARY

【解説】

  “腐っても草津” という言葉がありますよね。いや、僕がさっき思いついたものなので世間にはあまり知られていないし、草津は別に腐ってねーよ!…と、関係者から文句を言われるかも知れませんが、とにかくまあ、腐っても草津。先日、その草津に行ってまいりました。いや、別に腐ってなどいませんでした。勝手なことを言って 申し訳なかった。…と、関係者の皆様にお詫びしたい思いでいっぱいでありますが、いや、腐った卵のような臭いは町中に漂っていましたけどね。で、そもそもどうして草津なんかに行ったのかと言うとですね、去年の春、 “パルコール嬬恋” というところに春スキーに行ったら、なかなかコンディションがよかったと。で、今年も行ってみようかな?…という企画をたてたわけなんですが、お泊りするなら北軽井沢の “ブルーベリー” というユースホステルがいいな。…と思ったんですよね。ここは去年の秋、 “軽井沢プリンス” と “鹿沢(かざわ)スノーエリア” というところへ初滑りに行った時に利用したんですが、なかなか青春が感じられてよかったんですよね。何かこう、秋なのに “青い春♪” というムードが漂っておりまして、これがもし春だったらもっと 青春” んぢゃないか?…ということが期待されたんですが、生憎と4月8日(金)は臨時休業とのことでありまして。仕方がないので “草津高原ユースホステル” というところで妥協した次第なんですけどね。このユースの詳細に関しては、また 『宿-bird 組曲』 で紹介することにして、いや、またしても実りのない新コーナーを立ち上げようかと思っているんですけどね。第2の 『おやつの時間』 の時間になることは目に見えておりますが、とにかくまあ、有給休暇を1日取って、2泊3日@春スキーの旅に出かけたわけでありまして。

 4月ともなるとオープンしているスキー場もぐっと数が少なくなって、しかも平日となると、そのヤル気のほどは極限まで低下しちゃっております。頼みの綱の “パル嬬” も今年は4月7〜8日はお休みということで、ま、確かにね。去年の4月の平日、滑っているのは総勢30人くらいでしたからね。ゴンドラを動かすだけ無駄、地球にも優しくない。…という判断に傾いたとしても、僕はその方針を非難する気にはなれません。ゴンドラに乗ろうと思ったら、混んどら。…というくらいでないとスキー場経営なんてやってられませんもんね。 で、色々と調べてみた結果、 “白馬47” がいちばん滑れるかな?…という感じだったので行ってみることにしたんですが、行ってみたら朝から風が強くてゴンドラもリフトも停止していて、運転の目処は立たず。 去年の “パル嬬” ほどではないにせよ客の入りも大したことないので、このままヤル気をなくして、今日はもう、臨時休業っ!…という事態にもなりかねません。中華料理屋で料理を頼む際には逡巡しまくる僕も、その他のジャンルに関しては、「早いのね。」…という評価を得られておりまして、ゲレンデ選びに関してもその決断力は早いです。白馬にはきっぱりと見切りをつけて、ま、 “鹿沢(かざわ)” でいっかぁ。…と思って移動を決意した次第でありますが、もしかしたら矢沢永吉のそっくりさん、鹿沢(かざわ)永吉 とかが滑りに来てるかも知れませんしね。いや、行ってみたらそんな人はいませんでしたけど。いや、もしかしたら顔は矢沢永吉とはぜんぜん似てないんだけど、名前だけは鹿沢永吉であるという人が滑っていたのかも知れませんが、もしいたとしても顔を見ただけでは分からないし、分かったとしても、ちっとも嬉しくはないしぃ。ちなみに白馬からの移動に要した時間は約2時間といったところでしょうか。ま、頑張ればなんとかならないような距離でもないよね。…と言った感じでありまして、いや、その日は草津で泊まるんだから、最初からその辺りで滑っていればそれで済んだ話なんですけどね。

 で、そこから更に1時間ほど車で走って、午後1時過ぎには草津に到着しました。上田菅平IC経由のルートだと、高速を降りて1時間半といったところでしょうか。で、この草津にでもですね、スキー場があるんですよね。名古屋近辺のスキーヤー及びボーダーにとっては眼中にないエリアなので知らない人もいるかも知れませんが、標高差約900m、最長滑走距離8000mと、スペック的にはかなり大きなゲレンデであります。ま、4月のこの時期、上から下まで通して滑ることは出来ないんですが、それでもロープウェイより上のエリアは滑走可能なようで、朝から一日、草津で滑ってもいいかぁ。…という気もしてたんですよね。ところが着いてみたらこちらも強風のためにロープウェイがヤル気なしモードでありまして、滑走可能なのは一番下の “天狗山ゲレンデ” だけという状況でありました。300mくらいのシケたペアリフトが1本だけ。いや、これはハマりましたなぁ。朝から来てなくて正解でしたけどね。で、リフト券を買おうとしたら、売り場のガラスのドアには鍵がかかっていて開きませんで。中にオネーサンの姿が見えているので営業していることは確かなんですが、どうしても中に入ることが出来ません。ちょっぴり焦って半泣き状態になりながら目で中のオネーサンに救いを求めると、「あっちよ。」…と、身振りで隣のドアのほうを示してくれましたので、そっかぁ。隣のドアかぁ。…と思って移動してドアを開けようとしたら、やっぱりそこにもカギがかかっておりました。僕は大いに焦って全泣き状態になりながら、横へ横へと移動しながらドアを開けようとしてはカギに拒まれて、ようやく5回目くらいのチャレンジでカギのかかっていないドアを発見することが出来たんですが、いや、見ていたオネーサンのほうも散々じらされて、「ああん、そこぢゃなくてぇ、そこでもなくてぇ。」…と、もどかしい思いをしたことでありましょう。ゴメンよ、未熟者で。。。

 で、ゲレンデの状況に関してはいずれまた 『スキー場ガイド』 のほうに書くとして、実質、滑れるのが1コースしかないものだからスキーのほうは早めに切り上げて温泉のほうに浸かってみることにしました。目指すは “西の河原大露天風呂” でありますな。とにかくまあ、広いっ!…という話なので、一度行ってみたいと思っていたんですよね。ところでこの “西の河原” というのは、いったい何と読むんですかね? 僕の心の中では “さいのカワラ” かな?…という気がしているんですが、実は “にしのカワハラ” だったりして、人様に、「この前、草津の “さいのかわら” に行ってきましてねぇ。」…と言って、大恥をかくといった事態も考えられます。もし人に聞かれたら、「ほらあの、草津のナントカのカワ…っていう大きな露天風呂。」という曖昧な返答に終始しようと思っておりますが、とにかくその露天風呂。場所としてはですね、 “天狗山ゲレンデ” の下の駐車場から陰気な道を降りていって、約5分といったところでしょうか。後から、どうやら逆方向から来るのが正規のルートらしい。…ということが判明したんですが、別にどちらからでも行けます。 “西の河原駐車場” のほうは有料っぽい雰囲気だったので、天狗山ゲレンデの駐車場を利用したほうがいいかも知れませんね。こちらのほうは遊歩道が地味で今ひとつ気分が盛り上がらないのがネックなんですけど。で、その陰気な遊歩道を降りていくとですね、やがて露天風呂が見えてまいります。おおっ、道から丸見えぢゃん!…といった感じでありまして、思わず心が浮き立ってしまいますが、なんや、おっさんやん!…という事に気付いて、浮き立った心が急速に冷めてしまいます。何かこう、嫌ァなものを見てしまったな。…という感じですよね。 西の河原駐車場 のほうから来ればこの不快な光景を目にしなくても済むので、多感なギャルは多少の出費を覚悟してでもこのルートは避けたほうがいいかも知れません。しかしなんですな。僕の心の中では、何にもない川原に勝手に湯が沸いているところ。…といったイメージがあったんですが、たとえ上からは丸見えでも、ちゃんとした囲いで囲まれておりまして、思ってたよりも人工的な感じでありました。ま、確かに広いのは広いんですけどね。

 入浴料は大人500円です。脱衣所のドアを出ると、そこがいきなり風呂になっておりまして、なるほど、これはなかなかの開放感でありますな。洗い場の類はまったくなくて、そこのところはなかなかワイルドな作りであります。湯の温度のほうはちょっと熱めですかね? でも、ちょっと熱めの湯が好きな人にとっては適温だよね。…といった感じでありまして、で、これだけ広いと浸かる場所によってもかなり温度の違いがあって、ちょっとぬるいかな?…と思っていると、首筋あたりに集めの湯が流入してきたりして、いや、これはなかなかよい気持ちでありますな。で、味のほうはですね、かなりエグいです。僕って結構、温泉の湯を舐めて味を確かめるのが好きなんですよね。湧いて出てくるのをではなくて、浴槽に溜まっているやつをです。んなもの、垢とかが浮いているに違いないし、子供が大小便を漏らしているかも知れないし、中には1時間くらい湯に浸かっている爺ィもいたりして、そのエキス分がダシとして出てるんぢゃないか?…という気もしたりして、決して衛生的とは言えないんですが、舐めてみて微妙に炭酸系だったり、鉄の味がしたりすると、ああ、温泉なんやな。…と、しみじみ実感出来ますよね。で、草津の湯はですね、なんとも表現のしようがないエグい味がしておりました。何かこう、いかにも効きそうな感じがします。ちなみに草津温泉の源泉は pH=2.0前後 なんだそうでありまして、いいのか、そんな強酸性で?…と思わずにはいられません。1週間で1円玉が溶けてなくなるという噂もありますが、それだけ強力であれば爺ィのダシ汁くらいは解毒されちゃうに違いありません。皮膚病とかにも効果がありそうなので、インキン持ちの爺さんは年金をはたいてでも行く価値はありますよね。あとはえーと、アトピーにもいいそうすが、あまりにも酸性度が強すぎて、飲用すると下痢ピーになるので、注意が必要かと。アトピーを取るか、下痢ピーを取るかは悩むところでありますな。 ま、ただ飲まなければいいだけの話なんですけど。

 ということで、草津のお話は次回に続きます。

 ということで、今日はデューク・ピアソンです。いいですよね、ピアソン。名古屋でも大変に高い人気を誇っております。ちなみにこの地方では “ピアソン” ではなくて、 “ぴゃーそん” と発音されているわけでありますが、とりあえず 『ザ・ライト・タッチ』 、いってみましょうか。いいですよねぇ、軽いおさわり。 いくら “おさわりバー” だからと言って、あまり激しくモミモミしたりするというのはどうか?…と思うわけでありまして、軽いタッチくらいが無難だと思うんだよね。…と、いかにも知的で紳士なピアソンらしい心遣いが感じられるアルバム・タイトルであると思います。 で、このアルバムはサイドマンがけっこう凄いんですよね。サイドマンが凄いというと、もしかしてサイドマンが “てんどんまん” だったりするのか?…って、いや、さすがにそこまで凄くはないんですが、えーと、フレディ・ハバードに、ガーネット・ブラウンに、ジェームス・スポールディングに、ジェリー・ドッドジオン(?)に、スタンリー・タレンタインでありますか。よくもまあ、派手そうなのから地味そうなのまで、スタイル的にもバラバラなフロント陣を5人も集めたものやな。…と思わずにはいられませんが、ブルーノート・レコードの中では実力者ですからね、ピアソン。実(みのる)くんや、力(ちから)くんよりも実力があると言われているので、これくらいの面子を集めるのはワケないことなのかも知れません。で、5管編成ともなるとアレンジがくどくなり過ぎて、ジャズ的なアドリブの面白さに欠ける作品になってしまうのではないか?…ということが懸念されたんですが、聴いてみたら意外とあっさり風味だったので、そこのところが “ライト・タッチ” なのかな?…という気がするわけですが、んなことでまあ1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 まず最初は 「チリ・ペッパーズ」 という曲です。辛そうですね。少なくとも甘納豆よりは辛いんぢゃないか?…と思われるわけでありますが、いかにもチリ・ペッパーらしい、チリでペッパーな感じの作品に仕上がっております。チリというのだからおそらく、南米のイメージなんでしょうね。何かこう、チリ人妻アニータって感じぃ? で、ペッパーのほうはというとこれはもう、ペッパー警部でありましょう。ちなみにペッパー警部という名前は清涼飲料の “ドクターペッパー” から来ているという説があるんですが、これは本当なんすかね?ペッパー博士→ペッパー警部。ま、確かに納得出来ないことはない話ですけど。それはそうとドクターペッパーと言うのは、ちっとも清涼ではないぢゃないか!…と言いたくなるようなエグい味のする清涼飲料でありますよね。で、ラテン・フレーバー満開のこの曲、ベタと言えばこれほどベタなメロディにはなかなかお目にかかることが出来ないほどベタなんですが、ま、歌謡曲ライクなメロディラインこそがピアソンの持ち味ですからね。で、管楽器が5本も入っているとは思えないようなライトなタッチのアレンジはいかにも60年代後半的でありまして、コルトレーンが神に召された2ヶ月ほど後に、このような能天気な演奏を繰り広げていたんですね、この人達ってば。

 で、この曲でソロを取っているにはスタンリー・タレンタインでありますな。この人は60年台後半の時点において、もっともコルトレーンの影響を感じさせないテナー奏者であるわけですが、ソウルフルで大らかな吹きっぷりは下品で品がなくて、とってもいいと思います。ソロの後半、軽くアンサンブルが絡んでくるアレンジはとっても上品で品がよくて、そのコントラストが肌色パンスト的な効果を上げていると思います。いや、個人的にはそれほど好きではないんですけどね、肌色パンスト。かと言って黒パンストが好きというわけでもなくて、要するにパンストという存在自体があまり好きではないんですが、パンツとストッキングを一緒にしちゃうというのは、風呂と便所が一緒になっているユニットバスと同じく、合理的だとは思うんですが、やはり日本人の美意識には合わないような気がしますよね。靴下は靴下っ!パンツはパンツっ!…と、はっきり区別して穿いて欲しいものだと思います。で、ソロ2番手はピアソンですか。これはまさしく “ザ・ライト・タッチ” と言った感じでありまして、思わず、それでなくっちゃ、それでなくっちゃ♪…と即興の歌詞を付けて歌いたくなるようなフレーズも登場しております。んなことで、テーマに戻って、おしまい。ま、いいんじゃないですかね、軽いノリで。

 で、2曲目は 「メイク・イット・グッド」 という曲ですな。これはアレですね。トリオ演奏なんですね。相変わらずの軽いタッチが耳に心地よく…と思っていると、そのうち管楽器が登場してピアノのバックでライトなアンサンブルを付けたりして、なるほどこれはそういうアレンジが施されているわけでありますな。でもって、ソロ先発はフレディ・ハバードでありますか。この人は性格的に悪目立ちし過ぎる傾向にあるのが玉に瑕なんですが、ここでは分をわきまえた控えめなソロに終始しておりまして、続くピアソンのピアノ・ソロへといい流れを作り出しております。そこはかとなくファンキーで、赤旗となく共産党。そんな世界が楽しめる1曲となっております。…と、ここまでの出来も決して悪くはないんですが、このアルバムで最大の聞き物は、3曲目の 「マイ・ラヴ・ウェイツ」 でありましょう。ラヴ・ウェイツというのはビル・ゲイツの親戚ではなく、愛は待っている…とか、そういった意味ではないかと思うんですが、いや、この曲はいいですよね。ボサノヴァのリズムに乗せてフレディ・ハバードが哀愁に満ちたメロディを歌い上げ、そこにやさしく絡んでくる管楽器のハーモニー。ん〜、たまらんっ♪日本人ウケのする演奏というのは、こういうのを言うんでしょうな。アドリブ・パートはハバードとピアソンの2人が担当しておりますが、いずれも出色の出来と言えるでありましょう。特にピアソンのラブリーでキュートなタッチは、とてもあのサル顔の人が弾いているとは思えないほど知的で上品で品がよくて、う〜ん、素敵っ♪ アフタヌーン・ティーのBGMにはこの1曲と君の笑顔だよね。…などとタワケたことを言いたくなってしまうほど、さば君が猛烈に気に入ってしまった演奏なのでありました。

 でもって、4曲目もいいんですよね。 「ロス・マロス・ハンブレス」 。ラテンっぽいタイトルから受けるイメージそのまんまのラテン調ナンバーでありまして、前曲からムード一転、アップ・テンポの賑やかな演奏に思わず心もウキウキと踊りだします。白魚だって思わず踊り食いしちゃいます。いや、個人的にはあまりやってみたいとは思わないんですけどね、白魚の踊り食い。ナマのオサカナを生きたまま丸飲みするなんで、趣味が悪いと思うんですよね。そんなことするくらいなら、よっぽど “女体盛り” のほうがお上品だと思います。 『和風旅館のロシア女将 女体盛り』 などという、意図があまりよく分からない映画も作られているようですが、岐阜県青少年健全育成条例の規定により有害興行として指定って、そりゃそうでしょう、アンタ。…という気がしますよね。指定理由は、著しく性的感情を刺激するため、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるものと認められる。…とのことでありますが、そう言われると余計に見たくなっちゃうのが人情でありまして、出来れば 『ねっちり母娘 赤貝の味』 あたりと一緒に鑑賞してみたいものでありますが、それはともかくとして。この演奏はですね、アドリブ・ソロとアンサンブルとのバランスが絶妙でありまして、ジャズ的なスリルを体感出来るという点ではこのアルバムの中でも随一でありましょう。ちなみにソロ・オーダーはスタ・タレ→ハバード→スポールディング→ピアソン→グラディ・テイトとなっております。各自とも持ち味を十分に発揮しており、甲乙付けがたい出来でありますが、強いて言えばピアソンのソロがやや地味ですかね?作編曲の点ではともかく、ピアニストとしてはあまり目立っておりませんからね、このアルバムでは。んなことで、テーマに戻って、おしまい。うーん、ねっちり♪

 5曲目は 「スクラップ・アイロン」 という曲です。 “くず鉄” ですか。これまた変なタイトルを付けたものでありますな。そういえば、うちの会社の社長の名前は “(てつ)” だったよね。…ということをふと思い出してしまいましたが、いや、別にうちの社長がクズであるということではなくて。そんなことはこれっぽっちも思っておりません。ただ、ハゲだと思っているだけの話でー。 で、曲のほうはと言うとですね、タイトルから受けるイメージとは裏腹に、なかなかムーディなスロー・ブルースとなっておりまして、クズでなければ、鉄でもない。そんな感じの仕上がりであるわけですが、ただスタ・タレのソロはあまりにもアーシー過ぎて、やや息苦しい感が無きにしもあらず。ただでさえ花粉症で鼻が詰まって息苦しいというのに、こういうのはヤメて欲しいところでありますなぁ。ま、これがスタンリー・タレンタインの持ち味でありますので、なかなかやめるわけにもいかないんでしょうけどね。そんな中、ピアソンの奏でるピアノは鼻詰まりの時の “鼻スースースティック” (←小林製薬謹製)のような爽やかさをもたらしてくれるわけでありまして、いや、確かに鼻がスースーするんですよね、鼻スースースティック。ま、メンソレータムの固まりのようなものを鼻の穴に突っ込むわけだから当然と言えば当然なんですが、先ほど小林製薬のサイトを見たら、1. キャップをはずします。 2. 鼻腔に近づけます。 3. 片側ずつ1〜2回吸います。…みたいなことが書いてありました。鼻の穴に近づけて吸うだけでよかったのか!鼻の穴に直接突っ込むんぢゃなかったのか!…ということに気付いて、愕然としている次第でありますが、確かにねぇ。いくら鼻が詰まってるからって、こんなのを鼻の穴に突っ込むというのはどうか?…という気がしてたんですよね。人前でやらなくてよかったと思わずにはいられませんが、んなことで、さ、いよいよ最後の曲ですね。

  「ロータリー」 というタイトルから、何かきっとグルグルしている曲なんだよね。…という気がしておりましたが、聴いてみたら果たして、グルグルした曲でありました。いや、どこがというわけではないんですが、全体的に何となく。やや複雑なテクスチュアであるな。…という気がするわけでありますが、えーと、原文ライナーによると3バーのチューンで6/4であると。で、最初の3バーのフレーズがどうのこうので、セカンド3バーのフレーズの繰り返しがどうのこうので…というようなことが書かれていて、そこのところがロータリーなんぢゃないか?…という気がするんですが、個人的にはロータリーよりもロリータのほうが好きですね。…というネタはあまりにもありきたりで、よくありません。個人的にはロータリーよりもパータリプトラのほうが好きですね。…のほうがまだ教養が感じられていいと思います。ま、どちらもさほど面白くはないので、別にどうだっていいような気もするんですけど。で、この曲、テーマ自体もやや捉えどころがないんですが、各自のソロもどうも今一歩ですな。先発のフレディ・ハバードはフレーズがややブッカー・リトルと化している以外、さほど大きな問題はないんですが、続くジェームス・スポールディングがよくありません。もう、ワケわかんなさ過ぎぃ。こんなんやから日本では今ひとつ人気がないんや!…と思わずにはいられませんが、続くガーネット・ブラウンもそれにつられてヘンなフレーズを連発しております。恐るべしスポールディングの悪影響は本来マイペースである筈のスタンリー・タレンタインにまで波及しておりまして、いや、これは御茶の水博士顔のアルト奏者うんぬんというより、複雑過ぎる曲の構成自体に問題があるのかも知れませんけどね。その証拠に作曲者のピアソン自身のソロだって、ややヘンになってしまっておりますが、ま、これは自業自得というものでありまして。しかしこの “自業自得” というコトバも、ちょっとヘンですよね。自分の業によって自分が得をするのなら、別にいいぢゃん。…という気がするんですが、もうひとつ同じ意味を持つ言葉に “自業自縛” というのもあって、こちらのほうはまだ分かるんですけど。いや、何だかセルフSMみたいではあるんですけどね。とまあそんなことで、今日はおしまい。

【総合評価】

 最後の曲がねぇ。どうもねぇ。…という点を除けば、なかなかよくデケた1枚なのではなかろうかと。 「チリ・ペッパーズ」 の下世話な賑々しさ、 「メイク・イット・グッド」 における軽快なピアノ・タッチ、 「マイ・ラヴ・ウェイツ」 の哀愁…と、聴きどころは多いです。ただ、ジャケットのピアソンが今ひとつサル顔である。…というのが今ひとつギャル受けしない要因ではあるんですけど。あ、ところでタイトルの 『ザ・ライト・タッチ』 って、 “軽いおさわり” ではなくて、 “正しいおさわり” という意味なんですね。今頃になってようやく “LIGHT” ぢゃなくて、 “RIGHT” だよね。…ということに気付いたんですが、今さら手遅れですなぁ。。。


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