TALKIN’ ABOUT (BLUE NOTE)

GRANT GREEN (1964/9/11)

TALKIN' ABOUT


【パーソネル】

LARRY YOUNG (org) GRANT GREEN (g) ELVIN JONES (ds)
【収録曲】

TALKIN' ABOUT J.C. / PEOPLE / LUNY TUNE
YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / I'M AN OLD COWHAND

【解説】

 子供の頃、憧れていた職業が5つありました。それは何かというと、 風呂屋の番台風呂屋の煙突掃除透明人間小さな子供 、あとはえーと…、ま、それくらいですかね。5つと言っておきながら、結局は4つしか思いつきませんでしたが、風呂屋の番台というのはアレですよね。プロ野球の選手やパイロットと並んで、 “子供がなりたい職業ベスト10” の3位くらいには必ずランクインしている人気商売でありまして、やはり合法的に女風呂を覗けるというのが魅力的ですよね。が、よく考えてみるとこの商売、子供が考えている程、楽しいものでもねーな。…という気もするわけでありまして、というのもですね、風呂屋に来るのが若いネーチャンばかりだったらいいんですが、なかなか世の中、子供の思うようにはいかないものでありまして、オバサンも来れば婆さんも来る、男湯のほうにはオッサンだって来る。…というのが実情のようであります。いくら商売とは言え、見たくねー!…と思うんですよね。特に僕は “いなり寿司” というのが大好きなんですが、食傷して嫌いになっちゃう恐れだってあります。大好きな “いなり寿司” が食べられなくなるリスクを冒してまでなるような商売でもねーな。…という気がするし、それに、合法的に覗きが出来るというのも、よく考えてみるとそれほど魅力的ではありません。法を犯すスリルがあってこその “覗き” やろ!…と、マニアとしては思ってしまうわけでありまして、結局のところ、風呂屋の番台というのは僕の “あこがれリスト” から削除されることになりました。

 そこで考えたのが “風呂屋の煙突掃除” なんですが、これは何と言っても、女風呂を覗けそうなところが魅力的ですよね。合法的か?…と言われるとスレスレのところでありまして、その点では僕の理想とする “スリルと覗きの両立” をクリアすることになります。番台とは違って、敢えて男湯に目を向けなければならない義務があるわけではないので “いなり寿司問題” も大丈夫だし、ま、オバサンと婆さんに関しては目をつむることにしておきましょう。目をつむっておけば、嫌なものは見なくてすむわけですからね。が、冷静に考えて見ると、果たして煙突掃除で本当に女風呂が覗けるのか?…という懸念もあるわけでして、例えば作業時間ひとつ取ってみても風呂場の営業時間中に煙突掃除をさせてもらえるとは思えず、せっかく女風呂を覗いてみたところで、誰もおらんやんけ!もしくは、浴室掃除のオバサンが掃除しとるだけやんけ!…ということになりかねません。かといって営業時間中に煙突掃除を強行すれば燻製状態になっちゃうことは必至でありまして、それにもうひとつ、場所的な問題もあると思うんですよね。煙突の中に侵入したところで、その先は風呂釜につながっているだけと思われ、せっかく苦労して覗いてみても、ボイラの中が見えるだけやんけ!…みたいな。

 となれば、 “透明人間” になる手やな。…と、子供としては思うわけです。ちょうど、 ピンクレディ 「透明人間」 が大ヒットしていた頃ですからね。 ピンクレディ だからフォント色もピンクっぽい色にしておきましたが、 ピンクレディ の歌というのは当時の少年少女たちの模範でしたからね。 「カルメン '77」 が流行ればみんな薔薇の花を口にして踊っていたし、 「サウスポー」 がヒットすれば少年野球のピッチャーはみんな左投げになっちゃったし、 「UFO」 が話題になればギャル達はみんな地球の男に飽きて、宇宙人との不純異星交遊に走っちゃうしー。そんな風潮の中で、僕が 「透明人間になろう!」 …と思ったとしても、誰もそれを非難することは出来ないわけでありますが、透明人間というのはいいですよね。あ、透明人間だからフォント色も透明にしてみたんですが、ただ字が読めなくて迷惑なだけでしたね。空白部分をマウスでドラッグすれば読めると思うので試して欲しいんですが、で、具体的に透明人間になって何をやりたかったのかというとですね、やはり女風呂の覗きですかね?他にはえーと、道を歩いている女子高生のスカートをめくるとか、あるいは文房具屋で消しゴムを万引きするとか。せっかく透明人間になったんだから、もうちょっとスケールの大きなものを万引きしたほうがいいんじゃないか?…という気もするんですが、例えばそうですね、ホームセンターで “万力” を万引きするとか。(←基本。)が、そんなものを万引きしようとしてもポケットに入らずに苦労するだけだと思うし、家に持ち帰っても使い道がなくて邪魔になるだけだと思うし、やはり消しゴムくらいのほうが手頃ではないかと思うんですよね。透明になっても志(こころざし)は謙虚に。そういう心がけが大切だと思うわけであります。

 が、冷静になって考えてみると、透明人間による万引きというのはそう簡単ではありませんよね。まず第一、透明人間になって万引きをしようと思い立ったら、服を脱ぎ捨てなければなりません。いくら体が透明でも服を着ていたら、それですぐに存在がばれちゃいますもんね。シャイで恥ずかしがり屋の僕にはとても全裸で文房具屋に入っていく勇気はなくて、せめてパンツだけでも。…と懇願したいところでありますが、それすら許されるものではありません。宙に浮いた純白のグンゼパンツがドアを開けて入ってきたりしたら、その時点で文房具屋のおばさんに怪しまれてしまいます。ここはひとつ、勇気を持ってパンツを脱ぎ捨てようではありませんか。で、手で前を隠しながら、そそくさと店に押し入ることになるんですが、その手のひらも透明でありますので局部は透けて見えているに違いなく、でもまあ、その問題も局部も透明になっているわけだから、おばさんに見られて、「ああん、小さいのぉ。」…などと余計なことを言われて、深く傷付くような心配はありません。その点だけは、透明人間になってよかったなぁ。…と思う次第でありますが、いざ、消しゴムを盗って逃げようとした瞬間、店のおばさんに気付かれることになってしまいます。消しゴムが宙に浮いてそのまま外に出ていこうとするんだから、これはもう、どう考えても怪しいですよね。万引きとはすぐに気付かれないまでも怪奇現象であるには違いなく、ハエ叩きでピシッ!…と消しゴムを叩き落とされて、万事休す。ああん、せっかくフリチンになってまで頑張ったのにぃ。。。

 とまあそういうことで、透明人間というの何かも気苦労が多そうな気がするのでヤメにして、となると、残されたのは “小さな子供” でありますな。小さな子供になって何をするのかというとですね、女風呂に入ってみようと思うわけなんですが、小さな子供なら女風呂に入ってもさほど騒がれることなく、容認されることになりますからね。ママに連れられた小さな男児が堂々と女風呂に入っていくのを見て、羨ましいっ!…と思った僕は、「大きくなったら、小さな子供になろう!」…と、強く思ってしまった次第でありますが、ま、結局のところその夢が叶うことはなかったんですけどね。大きくなったら大きな大人…とまではいかないまでも、ま、それなりの大人になってしまったわけでありまして、いや、子供の頃の夢って、なかなか実現しないものなんですよね。

 とまあそんなことで、大人になってしまった今の時点での僕の憧れはですね、 “忍者” であります。“もんじゃ焼き” というのは関西系の人間である僕にはどうも今ひとつな食べ物なんですが、 “忍者” だったら大丈夫。忍者になればもう、何だって出来ますもんね。例えばそうですね、風呂屋の屋根裏に忍び込んで、女風呂を覗くとか。…って、そればっかりやん!…ということで、忍者について言及するだけのスペースが無くなってしまいましたので、そのお話は、またいずれ。

 さ、今日はグラント・グリーンです。グリーンだからフォント色を緑色にしてみましたが、緑というのは大切ですよね。緑がなくなるとどうなるかというとですね、まず第一、 “みどレンジャー” が困ります。僕は “桃レンジャー” が好きだったので、別に ”みどレンジャー” が困ったところでどうということはなく、むしろ、いい気味や。…と思うわけなんですが、緑がなくなると “緑のおばさん” も困りますよね。ま、僕はもう立派な大人だから、 “緑のおばさん” がいなくても一人でちゃんと信号を渡れるんですが、そんなことでまあ、今日は 『トーキン・アバウト』 というアルバムを紹介したいと思います。これってとっくにガイシュツだとばかり思っていたんですが、 ( jazz giant artist index ) には載っていなくて、 マイ・コンピ のほうでG.グリーン特集をやったから取り上げたような気になっていたのか、あるいはチェック漏れなのか。最近トシのせいか、チェック漏れとか、尿漏れとかが多いですからね、僕。 大人用パンパースが手放せなく…というか、股放せなくなる日も近いような気がしますが、えーと、このアルバム、ラリー・ヤングが入っているんですよね。オルガン・ギター・ドラムスという編成ではコテコテのソウル・ジャズになってもおかしくないところなんですが、そこはそれ、 “オルガンのコルトレーン” と呼ばれたラリ・ヤンエルビン・ジョーンズが参加しているお陰で、とってもモーダルで新主流派路線に仕上がっておりまして、いや、個人的にはこれ、けっこう好きなんですよね。“けっこう仮面”と、どっちが好きか?…と言われると、んなもん、 “けっこう仮面” に決まっているわけですが、少なくとも “もんじゃ焼き” よりは好きですね。 “根性焼き” には負けますけど。とまあそういうことで、では1曲目から聴いてまいりましょう。

 …と、ここまで書いたところで、2日ほど三重県の海山(みやま)町というところへ行っておりました。大雨で水に浸かったので、その災害復旧に駆り出された次第でありますが、いやあ、ひどいことになっておりましたな。途中、紀伊長島あたりまではぜんぜん大したことなくて、鉄橋の橋脚が流されたJRが不通になっているくらいで、別にフツーぢゃん。…という感じだったんですが、海山町の中心部に近付くにつれて、次第に浸水の爪痕が色濃く感じられるようになってきました。既に水は引いた後だったんですが、水に浸かった家具やら家電製品やらを外に出して水洗いしている人々の姿が多数。あ、15年ほど前に昼飯を食べた中華料理屋もやられちゃったんですな。ま、幸い、餃子だけは水に浸かっても水餃子として再利用出来るから大丈夫だよね。…などと不謹慎なことを言ってる場合ではなくて、待ち合わせは “尾鷲ドライブイン” だから、便所に行って、ジュースでも買って、休憩しようかな。…と思っていたら、とてもそんな悠長なことを言っておれないほど壊滅的な被害を被っておりまして、で、とりあえず排水機場のお掃除とお片付けをして、水没したガスタービン発電機や、半分ほど水に浸かった電気盤は今さらジタバタしたところでどうなるものでもないので、紀伊長島の民宿に行って、小サバを煮付けなどをつつきながらビールを飲んで、そのまま布団をかぶって寝ちゃいました。で、翌日はお役所関係の建物のお掃除・お片付けをして、昼には引き上げて、塩サバ物産(仮名)の津営業所に立ち寄ったところ、ここも床上浸水の影響で何やらごった返しておりまして、で、夕方に家に戻って掲示板を見たところ、何の書き込みもなくて急激にヤル気を喪失してしまったので、翌日はずっと “すけべ動画” の整理などをして無為に過ごしておりました。おかげさまで更新が1日ほど遅れてしまいましたが、えーと、まずは 「トーキン・アバウト・J.C. 」 でありますか。ここでいう “J.C.” というのは無論、 “ジャンボ串カツ” の略ではなくて、ジョン・コルトレーンのことでありますな。だいたい串カツなら頭文字は “” なので、その時点で間違っていますよね。カツレツ (cutlet) ならまだワカランでもないんですが、ジャンボカツレツというのは痛風の身にはあまり芳しくはないので、同じジャンボでも串カツ程度にしておいたほうがいいんじゃないかと思います。

 で、この演奏、完全にイッちゃってますね。テーマ自体は極めてシンプルなものでありまして、いかにもジャンボ串カツらしいモーダルな作りとなっております。モーダルですからねぇ、ジャンボ串カツって。まず豚肉が来て、続いて半音上がってタマネギになって、最後をコロモに染み込んだソースの味で締める。…といった感じの構成でありまして、で、テーマはあっという間に終わって、すぐにグリーンのアドリブへと突入します。ソロ・スペースはかなり大量に確保されておりますが、これはやはり、肉とタマネギだけでは栄養のバランスが悪いので、緑色野菜もたくさん食べよう。…という健康上の配慮でありましょう。タマネギには緑の部分がありませんからね。その点、長ネギには白いところと緑のところがあって、栄養学上は優れているような気がしますよね。風邪をひいた時は長ネギを焼いたやつを首に巻くといいというし、熱が出た時には長ネギを焼いたやつを肛門に刺すと効果があると言われております。もっともこれ、熱冷ましにはいいとしても、痔のほうは悪化しちゃうんぢゃないか?…という気がしないでもないんですが、使用後の長ネギを味噌汁の身にしたりすると無駄がなくていいですよね。白味噌だけでも見た目はちょっぴり “あわせ味噌風” になったりして、それもまた風流なものでございます。…って、そんなことはどうでもよくてG.グリーンのソロでありますが、えーと、概ね良好だったと思いますね。今日はちょっぴり事情があって、演奏を聴きながらの原稿執筆がままならないんですが、僕の頭の片隅には、カラスミってボラの卵巣だったよな?…という、かすかな記憶が残っております。で、ギターのソロのほうはアレですね。グリーンの極度までに単純化された反復フレーズは、ある意味モードにも通じるものがあることが判明し、ハメネイ師もびっくり!…といったところでありましょうか。単なるコテコテ・ソウル派野郎だとばかり思っていたら、意外と新主流派の世界でも食っていけそうなんですよね。で、えーと、僕の記憶に残っている範囲で書けることは、そんだけ。続いてラリー・ヤングのソロでありますが、これがグリーンのプレイをも凌ぐブッ飛びぶりでありまして、いや、これ程までにスピリチュアルなオルガンというのはそうそう耳にすることは出来ません。畳み掛けるようなフレーズの洪水は、まさに尾鷲ドライブインを水没させるような勢いでありまして、なるほど、確かにこれは “オルガンのコルトレーン” でありますな。単なるコテコテ・ソウル派御用達の楽器だとばかり思っていたら、意外と新主流派の世界でも食っていけそうなんですよね。で、えーと、僕の記憶に残っている範囲で書けることはそれだけなんですが、無論、エルビンの煽り立てるようなポリリズムも回転寿司チェーンにおけるアオリイカ的な迫力を持ってフロントの2人を猛烈にプッシュし、ブッシュ大統領の再選は微妙なところだと言われておりますが、ウイントン・ケリーが好きな僕としては民主党のケリー候補に大いに頑張って欲しいと思うし、とにかくまあ、壮絶なカタルシスと呼ぶにふさわしい、とってもよい演奏だと思いました。おしまい。

 さ、ここまで来れば、後の演奏は単なるオマケのようなものですんで、軽く流しておきましょうね。で、2曲目は 「ピープル」 ですか。ピープルが人々ならパープルは紫で、紫な人々はパープルなピープルだなぁ。…ということを感じさせるバラードでありまして、1曲目とはまた打って変わった静謐な世界が展開されていたような気がします。グリーンの歌心を味わうにはとってもよいナンバーなんですが、ジャンボ串カツの迫力に圧倒された直後の耳には、ちょっぴり物足りなく感じてしまいます。こうなってくると、前戯の段階で “ビックインディアン” で攻めたりするのはちょっと考えものだなぁ。…という気もするわけでありますが、それはともかく、まさに “爪弾く” といった表現がぴったりなG.グリーンのシングル・トーンはこれはこれでなかなか味わい深いものがあるわけでして、何も激しいだけが能やないんや!…ということを声を大にして言っておきたいですね。もっとも、何だか今ひとつ物足りないことも確かなんですけど。で、続いては3曲目です。いや、やっぱり演奏を聴きながらでないと、ちっとも内容が充実しませんな。アルバムも後半になるにつれて、ますます記憶が薄れておりますので、今後の展開にはまったく期待が持てないわけなんですが、鈴木宗男クンの秘書のコンゴ人は元気なんすかね?確か、何だか “水垢” みたいな名前の人だったと思ったんですが、えーと、ムルアカという人でしたっけ?こうなってくると、もはや本当にコンゴ人だったのかどうかも自信がなくなってまいりましたが、今はネットに接続出来る環境にないので調べるわけにもいかないわけでありまして。違ったら違ったで、まあ、ええやん。本筋とはぜんぜん関係のない話やし。…と、開き直っておいて、で、3曲目は 「ルニー・チューン」 という曲であります。1曲目と同じくラリー・ヤングのオリジナルではなかったか?…という気がするんですが、このアルバムは全体的にラリ・ヤン色が強いですよね。先日このCDを手に取って、そう言えばこれ、グラント・グリーンのリーダー作なんだっけ?…と思ってしまった程で、ま、グリーン君もグリーン君なりに緑色ではあるんですけどね。で、この曲はアレです。ミディアム・テンポの中庸な作品でありまして、モーダルという表現はちょっと当てはまらないんですが、かと言ってハード・バピッシュでもなくて、ま、敢えて言うなら “ラリヤン的歌謡曲” といったところでありましょうか。今ひとつ捉えどころのない作風なんですが、ま、悪くはないと思うんですけどね。で、テーマ部がオルガン主導で演奏された後、オルガンかギターか何かのソロがあったと思うんですが、で、テーマに戻って、おしまい。ま、手頃な演奏だったよな?…という印象だけが記憶に残っております。とまあそんなことで、3曲目までは何とか片付きました。

 4曲目、 「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」 。日本語にすると、 「恋を知らないあなた」 。恋を忘れた哀れな男には、コーヒーを飲ませてルンバさせるのがよろしい。…というのがアラブの偉いお坊さんの意見なんですが、この歌の主人公の考えはちょっと違うみたいですね。眠れない夜を過ごしたり、唇が涙の味を知ったりしない限り、貴方には恋がわからないのよ。…と、彼女は主張しているようです。いや、確かそのような歌詞ではなかったかと記憶しているんですが、もしかしたらぜんぜん違っていたかも知れません。ちなみに僕も恋についてはあまりよく知らないんですが、鯉というのはけっこう好きですね。子供の頃、大人になったら庭に池を作って、鯉を飼うんや!…とか思っていましたもんね。鯉のいる池、地下式のリスニングルーム、卓球台のある娯楽室…というのが僕の子供の頃の “3大あこがれ” だったんですが、未だに何ひとつ手に入れていない自分がちょっぴり情けないような気がしないでもありません。地下式のリスニングルームは高校時代に一度、自分で地面に穴を掘って作ってみようとしたことがあるんですが、スコップで穴を30センチほど掘った時点でメゲて、断念してしまいました。地下室はおろか、落とし穴としてもちょっと蹴つまづく程度の中途半端なものとなってしまいましたが、穴というのはそう簡単に掘れるものではないんだな。…という厳しい現実を目の当たりにして、ま、それはそれで、いい社会勉強にはなったんですけどね。死体を遺棄するならやっぱり海に沈める手やな。…と思った次第でありますが、ま、それはそうと演奏のほうはですね、これはまあ、何だかどうも今ひとつ地味でありますな。この曲はトレーン、ロリンズ、エリック・ドルフィーといった錚々たる人たちが取り上げているんですが、それらの演奏が屈指の名演であるとすれば、このG.グリーンの演奏はクッシーな普通演奏といったところでしょうか。屈斜路湖にいるんですよね、クッシー。いや、本当にいるかどうかはまだサダカではないんですけど。ま、悪くはないと思うんですが、やはりギター主導ではちょっぴり迫力不足というか、この極限までに陰気そうな女の執念を表現するにはテナーのようなドス黒い音色のほうがヘドロのようにドロドロしていてよいのではなかろうかと。とまあそんなことで、ラストです。 「おいらは老カウボーイ」 。世の中にこれほどまで能天気な曲があってもいいのだろうか?…と、聴いてるほうが心配になっちゃうような作品でありまして、そんな僕の心配をよそにグリーン君は何ともお気軽・能天気に演奏しておりまして、いや、まったくいい気なものでありますな。親の心、子知らず…とでも言いましょうか、いや、別に僕はG.グリーンの親でもなんでもないんですが、 “親子丼” というのはけっこう好きだったりします。果たしてこの白いゴハンの上に乗っている鶏肉と卵は、本当に親子関係にあるのか?…というのはDNA鑑定でもしないと分からないような気もするんですが、そういう細かい問題は差し置いて、それはそうと “他人丼” という言い方もよく考えるとちょっと変ですよね。牛肉と鶏の卵なんだから、 “他人” ではなくて “他牛と他卵” というのが正解だと思うんですが、そういうどうでもいい話で行数を稼いでおいて、で、ヤング君のほうはこのオマヌケ曲にわりと真剣に取り組んでいたような記憶もあって、ま、総括的には傾聴に値するような出来栄えだったような気がします。んなことでまあ、今日はおしまい。

【総合評価】

 まさに、 「トーキン・アバウト・J.C. 」 1曲勝負!…という1枚でありますな。ムシャクシャした時、ストレスが溜まった時にこの演奏を最大ボリュームで聴くと、心の底から、う〜ん、すっきり♪ ま、近所から苦情が来ることは必至なんすけど。だから地下式のリスニングルームが欲しいところなんですよね。いや、穴を30センチほど掘った時点でメゲましたけど。


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