DRIVES (BLUE NOTE)

LONNIE SMITH (1970/1/2)

DRIVES


【パーソネル】

DAVE HUBBARD (ts) RONNIE CUBER (bs) LONNIE SMITH (org)
LARRY McGEE (g) JOE DUKES (ds)

【収録曲】

TWENTY FIVE MILES / SPINNING WHEEL / SEVEN STEPS TO HEAVEN
PSYCHEDELIC PI / WHO'S AFRAID OF VIRGINIA WOLFF?

【解説】

北信エリアまっぷ♪

 みんな、お盆はどのように過ごしたかな?盆踊りを踊ったとか、盆栽いじりをしていたとか、ボンクラな友達とキャバクラに行ってたとか、“ぼんち揚げ”を食べていたとか、そういう人が多いかと思うんですが、いや、昔あったんですよね、“ぼんち揚げ”という名前のお菓子が。いや、今でもあるんですけど。どうして“ぼんち揚げ”なのかというと、ぼんち株式会社というところが作っているからなんですが、いや、昔はもっとちゃんとした、まともな社会生活を営めそうな名前の会社だったと記憶しているんですが、いつのまにかこんな名前になっちゃったんですね。「どこにお勤めですかぁ?」と合コンでギャルから質問されて、「ぼ、ぼ、ぼんち株式会社や!」…と、半ばヤケ気味に答えなければならない社員の心痛は察するに余りあるものがありますが、いや、会社の名前だけで笑いが取れるという点では、けっこうオイシイ気がしないでもないんですけどね。“ぼんち揚げ”というのも、けっこうオイシイものでありますし。で、かく言う僕は盆休み中に何をしていたのかというと、人妻と水遊びをしておりました。人妻と火遊び…というと、何だか聞き捨てならないものがあるんですが、あくまでも“水遊び”でありまして。しかも僕が水遊びをしている間、問題の人妻は“ナウマンゾウ博物館”を見に行っていたようなので、正確に言うと人妻と一緒に水遊びをすることは出来なかったんですが、人妻の前でシャツとズボンを脱ぐくらいのことはしてしまいました。いや、面倒だったので外でウェットスーツに着替えちゃったんですが、ズボンの下にはあらかじめ海水パンツを穿いておりましたので、そこのところはお間違いなく。僕としては是非とも彼女にも水着に着替えて欲しかったところなんですが、「ああん、何年か前の水着しかないから恥ずかしいのぉ。。。」ということでありまして、結局のところナウマンゾウ博物館のほうに行っちゃったんですよね。所詮、さば君の魅力なんてものはナウマンゾウの前ではあまりにも微力だったわけでありまして。。。

 そもそも今回の企画はですね、7月31日〜8月1日に開催されるであろうと踏んでいた “ニューポート・ジャズ・フェスティバル・斑尾” が資金難から中止になってしまって、でもまあ、とりあえずホテルだけは押さえてあったから行くだけ行ってみることにして、ジャズフェス、やってないぢゃん!…と文句を言って帰ってこようと思ったんですが、ま、せっかくだからギャルと一緒のほうがいいかな?…と思って、まりえこ嬢かよりんに声をかけておいたんですよね。が、まりえこ嬢は31日まで大学の試験があるというので日程を変更して8月13〜14日にしたところ、今度はサークルの合宿と重なってしまって、アウト。伊那在住の人妻かよりんのほうも、「仕事が忙しくてお盆休みが取れないかもぉ。。。」ということで、ああん、ぜんぜん駄目ぢゃん!…と、さば企画のプランニングのまずさを激しく呪っていたところ、かよりんのほうは何とか夏休みを取れるようになって、無理を言ってご同行を願うことになった。…と、ま、そういうことなんですけどね。かよりんは飯山市の出身なので、お盆の帰省を兼ねてということなんですが、果たして旦那やお子様を残して、勝手に人妻を連れ出したりしてもいいものなんすかね?いや、かわいい系の人妻が好きな僕としては大歓迎なんですけど。

 で、今回はですね、宿泊先として初めて“ユースホステル”というのを利用してみることにしました。“ユース”というのは“若い”という意味であるものと思われ、じゃ、“ホステル”というのが一体どういうものなのか今ひとつ判然としないものがあるんですが、ま、恐らく、“ホステス”の親戚のようなものではなかろうかと。若いホステスさん。いいじゃないっすかぁ。 個人的にはホステスさんというのはあまり好きではなくて、不等号でいうと、“かわいい系人妻>ホステス>女子高生”…といったランク付けになるわけなんですが、でもまあ、“ユースオッサン”といった宿泊施設に比べれば遥かにマシなのではなかろうかと。若いおっさん。嫌ですもんね、そんなの。若いのかオッサンなのか、はっきりしろ!…と思わずにはいられませんしー。で、そもそもどうしてユースホステルなんかを利用しようと思ったのかと言うとですね、いろいろと調べているうちに、どうやら野尻湖ではウインドサーフィンがお盛んらしい。…ということが明らかになったんですよね。そこでまあ、主目的を斑尾のジャズフェスから野尻湖でのウインドにシフトしたわけなんですが、野尻湖の近くでいいホテルはないか?…と思って調べてみたところ、 宮川旅館 というのを発見しました。野尻湖は水上での遊びも盛りだくさん!宮川旅館にはほとんどのウオーターギアが揃っています。…とのことでありまして、ウインドサーフィンのレンタルも3艘ほどあるようです。いいぢゃん!しかも宿泊料金がですね、一般宿泊だと1泊6000円〜8000円(2食付き、税別)と、ま、ごく普通なんですが、ユースホステルだと1泊に付き4620円(2食付き、税込み)…って、超格安ぢゃん!それでまあ、ホステスがさほど好きではない僕もユースホステルというものに興味を持つようになったんですが、そもそもユースホステルというのはどういうものなのでありましょうか?

 …という疑問に対する答えは、 ここ を見ればすべて判明します。ま、早い話が、部屋は、男女別の相部屋で、1部屋が4人から8人ぐらい、2段ベッドの洋室(日本では畳部屋もあり)が基本となっております。食事の配膳・片付け、寝具のシーツセットなどはセルフサービスでお願いしています。…ということで、お値段のほうもお安くなっているわけなんですな。それを知って僕の“ユース熱”は、ガクーンと冷めてしまいました。シャイで無口で人見知りをする性質(たち)の僕としては、“相部屋”というのが一番ひっかかるところなんですよね。そういえば子供の頃に愛読していた、『毎日こども生活事典』という本にユースホステルに関する記載があったのを思い出したんですが、ユースホステルではミーティングへの参加が義務付けられていて、そこではみんなでゲームをしたり、歌を歌ったりするのだと言うではありませんか。あ、僕、そういうのって駄目なんっす。超苦手なんっす。が、話によると最近ではミーティングを強要するようなYHは無くなって、部屋に引きこもっていても大丈夫な傾向にあるようでして、ま、相部屋ということさえ我慢をすればそれですむ話なのかも知れません。僕の場合、シャイで無口で人見知りをする性質(たち)なんですが、一人でレストランとかで食事をするのも苦手なほうなので、一緒に食事を共にする人がいるというのはかえって好都合かもしれません。ま、会話といったところで、「どこから来たんですか?」と聞かれて、「三重県です。三重の桑名です。」と答えて、「焼きハマグリのところだねっ。」…というリアクションがあって、それで会話が途切れることになろうかとは思いますが、ま、その程度の会話能力があれば大丈夫みたいだしー。ちなみにYHというところは基本的に会員でなければ泊まれないんですが、ビジターでも1000円の追加料金を払えば何とかしてくれるみたいです。やっぱり世の中、お金次第なんですね。年会費はいくらなのかと言うと満19歳以上の成人パスが2000円(初回は2500円)なので、3回以上利用する気があれば会員になったほうがお得ということになります。利用料金のほうはYHによって若干の違いはありますが、だいたい素泊まりで3000円、夕食が1000円、朝食が500円(いずれも税抜き)といったところ。2食付で約4500円、ビジター料金で約5500円。安いビジネスホテルでも素泊まりでそれくらいは取られるので、食事が付く分だけお得ということになりましょう。それにビジネスホテルだと大抵“すけべビデオ”に1000円くらい費やすことになっちゃうので、その点でも割安感があると言えるでしょう。夕食だけ欲しいけど、朝食はいらない。…というワガママな客のニーズにもお応え出来ますので、朝飯はいらないから、朝早く出発したい。…という時にも重宝です。

希望湖と書いて“のぞみ湖”♪

 とまあそんなことで、朝の4時に桑名を出て、7時過ぎに伊那ICでかよりんと合流、その後、 小布施のハイウェイオアシス を人妻と一緒に散策しました。上のほうに高速のパーキングエリアのようなものがあるのは知っていたんですが、降りていったところにけっこう大規模な施設が作られているんですね。ちっとも知りませんでした。で、ここで何をしたのかと言うとですね、池の鯉にエサ(←プリッツの黒ゴマ味など)をやりました。んなもの、一人でやってると空しいだけなんですが、人妻と一緒だと楽しいっ♪ その後、ごく小規模なローラー滑り台で遊んだりもしました。んなもの、一人で滑っていると空しいだけなんですが、人妻と一緒だと楽しいっ♪ で、その後、売店でソフトクリーム(←りんご味と巨峰味のダブル)を買って食べました。こういうのは一人で食べても、ま、そこそこは美味しいんですが、人妻と一緒に食べると余計に美味しいっ♪ で、クルマに戻って豊田飯山ICに向けて走っていると、信州中野ICから先が渋滞しておりましたので、そこで降りて志賀中野有料道路国道292号線経由で斑尾高原に向かいました。いや、こんなルートが使えるとは知りませんでしたな。さすがは半地元民のかよりんでありますな。志賀中野有料道路は昔は300円もしたんですが、最近は100円に値下がりしましたので、かなり利用価値のあるルートだと思います。で、夏の斑尾高原はアレでした。何だか今ひとつ寂れておりました。何だかもっとこう、若いギャルがキャピキャピしているところ。…という期待があったんですが、スキーシーズンのほうが遥かに華やかで賑やかでありますな。やっぱりこう、お盆に斑尾…というのは、何となくイメージにそぐわないんですかね?ま、人妻とゆっくり過ごすにはよい環境であったかも知れませんけど。で、とりあえずお土産屋さんを覗いて、ランチを食べて、希望(のぞみ)湖を散策してみました。こじんまりとした小さな湖なんですが、人妻と一緒なら何だって楽しいっ♪ で、続いて沼ノ原湿原編というところへ行ってみたんですが、おおっ、つまらんっ!水芭蕉の咲いている季節であればそれなりに楽しいんでしょうが、今の時期は“単なる草むら”といった感じでありました。いやあ、こんなところに無理矢理に誘い出したりして、申し訳ない限りであります。。。

野尻湖まっぷ♪

 で、“タングラム”はラベンダーの花も盛りを過ぎちゃっただろうから前を通過するだけにして、いよいよ野尻湖へと向かいます。飯山から野尻湖への“斑尾越え”のドライブはですね、途中までは極めて快調な片側2車線道路なんですが、タングラムから先は道幅が狭そうでちょっと心配なんですよね。特に野尻湖の北岸を走るルート、左の図で言うと“ルートA”のほうは、スキー場ガイド付属の地図に、道幅狭く、カーブが急。ガードレールのないところもある。4WD車以外は通らないほうがいい。…とありましたので、出来れば走りたくなかったんですが、間違えてこちらのルートに出てしまいました。途中の三叉路で“←飯山インター”という看板につられて思わず左折しちゃったんですが、あそこは右折して“ルートB”に出るべきでしたなぁ。ま、こちらのほうも地図でみる限り細い箇所がいくつかあって、決して褒められた路面状況ではなさそうなんですけど。ちなみに“4WD車以外は通らないほうがいい。”…という注意書きは凍結時にスリップして崖下に転落することを危惧してのことだと思われますが、確かに前から車が走ってくると崖から落ちちゃいそうで、かなり神経をすり減らすドライブでありました。隣に人妻が座っていたから何とか我慢したんですが、でなきゃ、半泣き状態になっちゃうところでしたな。ま、何とか目的地の宮川旅館まで無事に走りとおすことが出来たんですが、当初、お姉さんの車で斑尾か野尻湖まで迎えに来て貰う予定だった人妻かよりんがですね、山道ドライブに恐れをなして、「今夜、ここで一緒に泊まっちゃおうカナ?」…などと言い出すではありませんかぁ。あ、これを読んだ皆さま、怪しからんっ!…などとお怒りになってはいけません。カップルでもぺヤングでもラブラブでも、未婚の男女は同じ部屋には泊めてくれないほど貞操観念が徹底しているのがユースホステルの特徴でありまして、人妻と好青年さば君という、見るからに怪しい2人連れは直ちに隔離されて、別々の部屋に強制収容されることになるのでありました。

 いや、それにしても古臭い旅館でありましたな。もはや“レトロ調”などという言葉ではごまかしきれない状況にまで達しておりまして、いや、個人的にはぜんぜん苦にならない性質なんですが、若いギャルにはちょっとお薦め出来ないかと。かよりんは人間が出来ているから、あまり気にしていなかったみたいですけどね。で、部屋のランクは“松竹梅”で言うと“梅”より5段階くらい下の“コケ”レベルだったんですが、ロケーション的には“スペシャル松”って感じぃ?かよりんのお部屋は“みずうみ”という名前で、いかにも湖が見えそうやん!…という感じなんですが、僕の部屋は“11号室”という、味もそっけもない名前でありました。が、窓から外を見ると、おおっ!!…ということで、“野尻湖ウインドサーフィン事情”に関しましては、次回に続きまーす。

“コケ”レベルの11号室の様子♪ 11号室の窓から♪

 ということで、今日はロニー・スミス 『ドライブス』 です。“ドライブス”というのはアレですね。乾燥した不細工な女の子のことではなくて、ドライブに“s”が付いたものですよね。前半が“ドライブねた”だったから敢えてこの1枚を選んでみたんですが、ジャケットにはドライブを楽しんでいるロニー・スミスとギャルの写真が用いられております。いつもの僕なら、ギャルと一緒にドライブに行くなんて、怪しからんっ!…と、不愉快に思ってしまうところなんですが、今日の僕は違います。僕も先日、ギャルと2人でドライブを楽しんできたばかりなので、大らかな気持ちでジャケットを見ることが出来ます。ふーん、なかなかよさそうな彼女ぢゃん。…と、心にもないお世辞を言ったりして、もう余裕の心境でありますな。で、演奏のほうはというとですね、1970年という、ジャズがほとんど死に掛けている微妙な時期の作品であるだけに、評価が大きく別れるであろうことは想像に難くありません。純ジャズと呼ぶにはあまりにも純粋さが希薄なんですが、でもまあ、清い交際なんかよりも不純異性交遊のほうが楽しい。…ということだってあるわけですしー。ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、まず最初は 「トゥエンティ・ファイブ・マイルス」 でありますか。日本語にすると「25マイル」。メートルに換算すると、えーと、いくつですかね?1マイルは約1600メートルだから、約40kmでありますか。ドライブするにはちょっと物足りない距離ですよね。というか、僕の片道の通勤距離にも満たないわけなんですが、だから何なんだ?…と言われると、別に何でもないんですけどね。で、曲のほうはと言うと、これはアレですね。いきなり登場するスカスカのドラムスがいかにも70年代風でありまして、続いて出てくるテナーとバリトンのユニゾンが何とも下世話なムードを醸し出しております。テーマ部はオルガンでシンプルに演奏されているんですが、しかし何ですな。返す返す、バックのリズムがあまりにもチープな感じですよね。100グラム79円(税込)くらい?…って、いや、音楽と言うのはグラム単位で値段を付けられるようなものではないんですが、少なくともアジの干物よりは安いだろうな。…という気はします。ま、それはそれで悪くないとは思うんですけどね。ジャズで言うグルーヴィとは違った意味でのグルーヴを感じさせるロニー・スミスのオルガンに2本の低音サックスが絡む様は、なるほど、クラブシーンでウケそうな感じではありますな。で、オルガンのパートが終わるとサックスのアンサンブルによるセカンド・テーマみたいな出てきて、引き続いてデイブ・ハバードのワイルドなテナー・ソロが炸裂します。原文ライナーにはコルトレーン調のテノールなどと書かれておりますが、日本で不用意にそんな発言をすれば熱心なコルトレーン信者に剃刀で頚動脈を切られちゃうことは必至。ま、そこまで事態がエスカレートしないとしても、少なくともネズミの死体くらいはクール宅急便で送られてきちゃいますね。腐らないようにちゃんとクール便を利用するあたりにトレーン信者の 生真面目な性格がよく現れていると思いますが、テナーソロに続いてセカンドテーマ的なリフのパートがあって、続いてロニー・スミスのお世辞にも上手いとは言い難いボーカルだって披露されちゃいます。見た目よりも意外と可愛い声をしてるんだね。…といった点に若干の興味をソソられますが、あくまでも余技のレベルでありますな。で、演奏のほうは、これにておしまい。…と思っていると、ブレイクを挟んで再びセカンドテーマ的なリフのパートが飛び出してきて、この辺りの演出は最高にクールであると思います。だてにクール便を利用しているわけではありませんな。…って、別にロニー・スミスがネズミの死体を送りつけているわけではないんですけど。

 続く2曲目の 「スピニング・ホイール」 はブラッド・スウェット・アンド・ティアーズにより世に知られた曲だそうです。と言われても、僕はぜんぜん知らないんですけどね。と言うことは、僕が世間知らずということなんでしょうか?血と汗と涙。いかにも!…といった感じのネーミングではあるんですけどね。ジャンルで言うとロック系ということになるようなんですが、いかにもソレっぽい8ビートに乗ったロニー・スミスのプレイはなかなか興味深い仕上がりとなっているような気がします。オルガンと2本のサックスの絡み、それにブレイクが最高にイカしてるぅ!…って感じぃ?デイブ・ハバードのワイルドなテナー・ソロもフィーチャーされていて、本アルバムにおけるこの人の役割は非常に重大なものであると言えるでありましょう。続いて登場するロニー・スミスのオルガン・ソロは意外と抑制の効いた趣味のよいものとなっておりまして、それなりに傾聴に値する栗林観鳥。…といったところでしょうか。ま、そんなこんなで3曲目ですね。今日は長距離ドライブ明けでちょっぴり疲れておりますので、まともな解説は到底期待できない状況なんですが、何だか1曲目で力尽きちゃったような感じが自分の中にはあります。とにかくまあ、3曲目はマイルス・デイビスとヴィクター・フェルドマンの競作とされる 「セブン・ステップス・トゥ・ヘブン」 でありますか。「天国への七つの階段」というヤツですね。ひょうきんなようでいてモーダルな感じもある、今ひとつ捉えどころのない曲なんですが、ロニー・スミスが取り上げるとはちょっと意外な感じがしました。オルガンとドラムスによる単調なリフをバックに、2本のサックスが街の喧騒的な効果音を単発的に吹く導入部に続いて、テーマ・メロディはホーンのユニゾン&ハモリで演奏されております。続いてワイルドなロニー・キューバーのバリトン・サックスによるソロがあって、続いて本作では結構おなじみになったデイブ・ハバードのテナー・ソロでありますか。以後、テーマの断片を挟みつつロニー・スミスのソロに移行して、テーマに戻って、おしまい。ジャズ・グルーヴという点では異色でも、本作の中では最もストレート・アヘッドなジャズを感じさせる1曲であると言っていいかも知れません。ただ、後テーマが終わった後のエンディングの部分があまりにも長すぎて、えーい、もうヤメい!…という気分になってしまうのが玉に瑕でありますな。もはやエンディングとは思えないほど延々としつこく続いてますからね。この部分に関してはロニー・スミス君の猛省を求めたい次第であります。

 続いてはそのスミス君のオリジナルで、 「サイケデリック・PI」 という曲です。 ジャンル的にはスロー・ファンクとでも言うんでしょうかね?この曲はなかなかに諷刺的で、リフでは、2本のサックスがラリー・マギーの優れたギター・プレイを、陰ながら支えており、その効力を発揮している。…と原文ライナーにはありますが、そういえばギタリストも参加していたんですな。今までちっとも存在感がなかったんですが、ここでは大々的にフィーチャーされておりまして、なかなかラフな感じのよいソロを展開しております。1曲目でまだ懲りてなかったらしいリーダーのボーカルらしきものも、若干ではありますが耳にすることが出来ます。ボーカルというよりほとんどシャウトといった感じで、果たしてこの奇声がロニー・スミスのものであるかどうかはサダカではないんですが、サイケデリックな雰囲気だけは十分に感じ取ることが出来るシステムになっております。で、この曲はほとんどギターのソロだけで、おしまい。さ、いよいよラストですね。 「フー・アフレイド・オブ・ヴァージニア・ウルフ」 。直訳すると、「誰がヴァージニア・ウルフを恐れるのか?」となるわけですが、意訳して 「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」 とするのが正解のようですね。ジミーのほうのスミス君も取り上げているそうなんですが、僕は寡聞にしてそちらのほうのヴァージョンは聴いたことがありません。ぱっ、ぱぁ♪…という、今ひとつ間の抜けたホーン・アンサンブルの合間をオルガンが駆け抜ける感じでテーマが演奏され、バックのリズムは典型的なロック・ビートでありますな。ロニー・スミスのオルガン・ソロ自体はとってもドライヴィングな感じで極めて良好でありまして、いや、全体で10分48秒もあるくらいだからソロ・スペースも嫌というほどたっぷり取られていて、スミスのオルガンそのものを堪能するには本作がベストでありましょう。が、後半、ぱっ、ぱぁ♪…をバックに地味なプレイを延々と繰り広げるパートがあまりにもクソ長過ぎて、途中で嫌になっちゃうのがちょっぴりネックではなかろうかと。しつこいって!…と、誰かリーダーに忠告する人がいなかったのか?…と、残念でならないんですが、ま、やっている当人たちは、この部分が凄ぇんだよぉ。…と自己満足しているであろう気配がありありと感じられます。ま、所詮は独りよがりな音楽ですからね、ジャズなんて。とまあ、そんなこんなで今日のところは、おしまい。

【総合評価】

 よくも悪くも70年代的です。純粋なジャズ・ファンよりも、若いクラブ系好きにはウケるかも?


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