GOODNIGHT , IT’S TIME TO GO (PRESTIGE)

JACK McDUFF (1961/7/14)

GOODNIGHT , IT'S TIME TO GO


【パーソネル】

HAROLD VICK (ts) JACK McDUFF (org) GRANT GREEN (g) JOSEPH THOMAS (ds)
【収録曲】

GOODNIGHT IT'S TIME TO GO / SANCTIFIED WALTZ / McDUFF SPEAKING
A SMOOTH ONE / I'LL BE SEEING YOU

【解説】

 子供の頃、とても欲しいオモチャがありました。大人のオモチャ…って、いや、そんなものはちっとも欲しくはなかったんですけどね。あんなもの、ブルブルと振動したり、グルグルと回転したり、ウネウネとうねったりするだけの話で、動きとしては今ひとつ地味で、ちっとも面白くないぢゃん。…というのが平均的なコドモの平均的な反応でありまして、大きくなってもあんなオモチャで大喜びするような、そんな大人気(おとなげ)のないオトナにはなりたくないなぁ。…と心の底から思っておりました。 が、大きくなったらそんなオモチャで大喜びするような、そんなオトナになってしまったんですけどね。ブルブルしたり、グルグルしたり、ウネウネしたりして、あんなことやらこんなこと、ああん、そんなことまでぇ♪…って、もう、いいトシこいた大人が電動オモチャで大喜び。…といった感じなんですが、いや、そんなことはどうでもよくて、子供の頃、とても欲しいオモチャがあったんですよね。それもひとつではなく、いくつものオモチャに憧れたものでありますが、まずその筆頭は“地球ゴマ”ですかね?どういう仕組みなのかはよくワカランのですが、とにかくまあ何だかとてつもなく凄いコマで、鉛筆の芯の先っちょで回したり、糸の上を綱渡りさせたりすることが出来るんだよね。…というのが僕の“地球ゴマ”に関する知識のすべてでありまして、何が何だかよくわかんないんだけど、物すごく欲しいっ!とにもかくにも欲しいっ!何がなんでも欲しいっ!…と、子供の頃からずっと憧れ続けておりました。が、子供の頃の僕はとっても貧乏で、とても“地球ゴマ”を買うだけの金銭的な余裕がなかったのか、あるいは近所の“いもや”には売っていなかったのか、僕は子供の頃から欲しいものがあれば万引きしてでも手に入れるだけのバイタリティを持ち合わせていたので、おそらくは後者の理由によるものと思われるんですが、とにかくまあ、このトシになるまで“地球ゴマ”を手にすることが出来ませんで。 が、先日、…といっても今からもう3ヶ月ほど前のことになるんですが、美濃加茂の“日本昭和村”の中にある駄菓子屋で“地球ゴマ”を見つけて、思わず買ってしまったさば君(36歳)。いやあ、嬉しかったですね。25年ほど前からずっと憧れ続けていて、途中の24年間くらいは“地球ゴマ”のことなどまったく頭の片隅にもなかったんですが、とにかくまあ、こうしてようやく手に入ったわけですからね。あまりにも嬉しかったので、家に帰ってから2時間ほどぶっ続けで回し続けてしまったほどなんですが、その結果、すっかり飽きました。ま、所詮はグルグルと回るだけですからね。やっぱり大人にとってはブルブルしたり、グルグルしたり、ウネウネしたりするほうが楽しい?…という気がしないでもないんですが、とにかくまあ今日は他にネタもないことだし、とりあえず“地球ゴマ”について話を進めていきたいと、ま、かように思っている次第でありまして。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花。…という川柳(?)がありますが、“地球ゴマ”というのも正体が分かってしまえば、「なーんや。」…というようなものでありました。要はこれ、クルクル回るコマに外枠を付けただけのものなんですよね。普通のコマというのはコマ全体がクルクルと回るようになっているんですが、“地球ゴマ”の場合、外枠の部分はじっと停止したままで、中のコマだけがクルクルと激しく回転するようになっております。で、回転しない軸の先端部分の一方には窪みがつけられていて、もう一方にはマイナスねじのような溝が付けられているという。なーんや。だから鉛筆の芯の先や糸の上でも回せるわけなんですな。インチキ…とまでは言いませんが、乱痴気。…といった感じで、ちゃんと種も仕掛けもあるものだったんですね。ちょっぴりがっかりしました。ただ、窪みや溝をつけただけでは鉛筆の芯や糸の上でじっと静止している筈もなく、その為には中心部で激しく高速回転しているコマの部分が重大な役割を担うことになります。いわゆる“ジャイ子”というヤツですか。いや、違いますね。それはドラえもんに登場するジャイアンの妹でありまして、激しく高速回転しているコマの部分の名前は“ジャイロ”でありますな。で、このジャイロというのはですね、遠心力か何かによって、傾けると元に戻ろうとする力が働くのが特徴のようでありまして、なるほど。だから地球ゴマというのは鉛筆の芯の先や糸の上でも倒れずになんとか踏ん張ることが出来るわけなんですね。ちなみにジャイロというのは“ういろう”とは別物なので、食べることは出来ません。とまあ、以上が地球ゴマの簡単な原理であるわけなんですが、いや、理工系の人間が書いたとはとても思えない、実にアバウトな解説ではあるんですけど。

 ちなみに僕が今回手に入れた“地球ゴマ”はですね、まがうことなき本物のようでありまして。“地球ゴマ”ごときに本物とか偽物とかがあるのか?…と思う人がいるかもしれませんが、よくあるんですよね。スーパーの特売で買ってきたんだけど、よく見たら“地球ゴマ”ではなくて、“黒ゴマ”やんか!…みたいな話が。そういう基本的な間違いを犯してしまった人は、とりあえず黒ゴマに塩をまぜて赤飯に振りかけて食べるしか手立てがないわけなんですが、「地球ゴマ」はタイガー商会の登録商標です。同様の仕組みのジャイロゴマは国内外のいくつかのメーカーから販売されていますが、タイガー商会のものが最も精度が良いと評判です。…とのことでありまして、僕が手に入れたのはそのタイガー商会のものなんですよね。名古屋にあるメーカーのようでありまして、ジャイロと“ういろう”は違うものなんですが、どちらも名古屋名物であるという点では共通である言っていいのかも知れません。地球ゴマ一筋80年!(←1921年から製造しているらしい)という歴史を誇り、今でもほとんど職人さんの手作りのようでありまして。なるほど、確かにこれは一種の工芸品ですよね。見ているだけで何だか心が洗われてくるようで、だいたい僕って血液型がA型で根が几帳面な性格だから、こういうきっちりとした完成品を見ると心の底から気持ちが安らぐのでありまして。よく陶芸なんかで表面をでこぼこにしたり、形をわざといびつにしたりして、「このアンバランスなところに味があるんだよねー。」なんてことをのたまう人がおりますが、もってのほかですよね。左右をきっちり対称に仕上げてこその職人やろ!…と思わずにはいられなくて、その点、“地球ゴマ”というのはちょっとでも左右のバランスが狂うと商品としての価値が損なわれるわけなので、その意味では究極の“A型性格向け玩具”と呼べるかもしれません。いやあ、タイガー商会の職人は実にいい仕事をしておりますな。

 で、このコマの回し方なんですが、心棒のところに穴があいているのでそこに付属のタコ糸を通してグルグルと巻きつけて、後は外枠の部分を持って糸を引っ張ってやればOKです。僕は普通の独楽でもろくすっぽ回すことが出来ず、ましてや曲芸的な回し方をする地球ゴマなんて、とても手にはおえないんぢゃないか?…と危惧していたんですが、いや、意外と簡単なものでしたな。滑らかに回すにはそれなりに力の入れ加減などにコツが必要なんですが、それなりに回すだけなら、それなりのテクニックでも大丈夫。工作精度のいい“地球ゴマ”は使う人の技量を問わず、気持ちよいほどの勢いで回ってくれるのでありました。で、遊び方(その1)はですね、基本形として付属のプラスチック製の台の上で回してみることにしましょう。台には表面が平たいのと、尖っているのと2つの種類があるんですが、平たいのはあたりまえすぎて面白くないので、いきなり尖ったほうにチャレンジしてみることにします。えいっ!…と回して、先が窪んでいるほうを下にしてそっと台の上に乗せてみると・・・、おおっ、ぜんぜん大丈夫でありますな。地球ゴマは絶妙のバランスで回り続けていて、いや、これは思っていたよりも遥かに何のテクニックも必要としないものだったんですね。これを考えた人は偉いけど、回せる人は別に偉くもなんともない。そういう玩具であると言えるでありましょう。で、最初はぴんと直立していたコマも、回転が鈍くなるにつれて次第に左右に振れるようになってきました。が、ここからがジャイロの真骨頂でありまして、傾きながらもコマは結構しぶとく回り続けるんですよね。ヨタヨタしながらも頑張って回り続けようとするその姿勢は、見ているだけで何だか胸がジンと熱くなってくるものがありました。最後まで諦めないことの大切さ。それを“地球ゴマ”は無言のうちに僕達に教えてくれているわけでありまして、いや、さすがは“教育的玩具”と言われるだけのことはありますな。道徳的に実に子供の教育にいいような気がします。で、ほとんど真横に近くなって、こりゃ、いくらなんでも、もう駄目だろう。…と思っていてもまだしぶとく回り続けていて、もはやこうなってくると辛抱強いというよりも、往生際が悪いといった感じですよね。どうせ最後は倒れちゃうわけなんだから、いつまでも未練たらしく回ってないで、さっさとくたばっちまえ!…と思わずにはいられません。で、とうとう堪えきれなくなって台の上から落ちても中のコマだけはしつこく回り続けていて、こうなってしまうと見ているほうとしては面白くもなんともないので、すぐにでも停止して欲しいところなんですが、これがまたいつまでたっても全然止まらないんですよね。落ちてから3分くらいは回っているんじゃないでしょうかね?恐るべき慣性力!…と評価することも出来るんですが、“生きて虜囚の辱めを受けず”という言葉を忘れたのか!…と言いたくなるような、日本軍の風上にも置けないようなヤツでありまして。

付属のプラ台(とんがりタイプ)の上で♪

 あまりにも往生際が悪いので心棒を強制的に指で押さえて息の根を止めておいて(←安楽死処分)、さ、続いて遊び方(その2)であります。洗濯バサミを使用して床の上にペンを立て、その上で回してみることにしましょう。

ペンの上で♪

 おおっ、楽勝ですね。こうなってくると子供の頃からの夢だった“糸の上を綱渡り”という難易度Aランクの技に挑戦するしかないわけなんですが、結論から言ってしまうと、これはちょっぴり期待はずれでありました。ま、確かに糸の上で回ることは回るんですが、外枠自体は回転しないものだから糸の上を移動することはなくて、ちっとも“綱渡り”ではないっ!…というのが実情でありました。敢えて名前を付けるなら“綱渡らん。”といった感じで、何だかこう、今ひとつ地味な技でありましたな。

綱渡らん♪

 で、外枠自体が回転しないということはですね、地球ゴマ全体を箱に入れてしまっても大丈夫ということでありまして、続いて披露しますのは説明書にも書いてあった“箱なり回し♪”というテクニックでございます。

箱なり回し♪

 地球ゴマを普通に回してからコマの入っていたプラスチックの箱の中に幽閉して、付属のプラスチック台(平坦タイプ)の上に乗せると・・・、おおっ!何だかよくわからんのですが、四角い角の部分で直立しながらクルクルと回っておりますな。何だか見た目的には凄くわけがわからんのですが、ま、“綱渡らん。”よりはインパクトがあるのではなかろうかと。ということで、最後にですね、説明書にも書いてなかった“足の上回し♪”という技を披露しておきましょう。いや、最初は手の指の上で“手乗り地球ゴマ状態”にしようかと思ったんですが、自分の手の上でコマを回して、それを自分でデジカメ撮影するのはかなり難しいものがあるので、足の指の上で回してみることにしたんですけどね。これなら回した後は両手がフリーになるので写真撮影自体は楽になるんですが、足の上ではバランスが取りにくいのでコマがちゃんと回ってくれるかどうか、とっても心配。。。

足の上回し♪

 おおっ、大成功ぢゃん!いや、意外と簡単なものでありました。あるいは手の指の上よりも簡単なんじゃないか?…と思うくらい。予想以上に出来がよかったので、今度は足の指でハンガーを持って、その先っちょの部分で回してみることにしました。

足掴みハンガー上回し♪

 ぱちぱちぱちぱちぃ。いや、我ながら拍手物ですよね。足の上で回り続ける地球ゴマを見ながら、思わず、レーザー脱毛しようか?…と思ってしまいましたが、いや、僕ってけっこうスネ毛が濃かったんですな。今まで気付きませんでした。毛深いのは若いギャルから、「キモ〜い。」と言われてしまう公算が大ですので、とりあえずこの原稿を書き終えたら“サロンパス剥がし”をしよう。そう心に決めた夏のひと時でありました。おしまい。

 ということで今日はジャック・マクダフなんですが、それにしても“地球ゴマ”というのは繊細なオモチャでありますな。“地球ゴマは精巧な玩具ですから落としたり、投げたり、握り曲げたりしないように大切にお取り扱いください。…と説明書に書いてあるんですが、それはちょっと無理な相談ですよね。いやあ、遊んでいるとプラスチック台の上から落ちる、ペンの先から落ちる、糸の上から落ちる、足の上から落ちる、ハンガーの上からも落ちる、落ちる、落ちる!今回、写真の撮影がなかなかうまくいかないこともあって、かなりの回数チャレンジしてみたんですが、今日一日で恐らく17回くらいは床の上に転落したんじゃないですかね?ま、プラスチック台くらいの高さなら落ちてもさほど衝撃はないんですが、足で掴んだハンガーの上から落ちて床に叩き付けられたりすると、かなりのダメージですからね。中のコマの部分が外枠から外れてバラバラになったことも、しばしば。その度に外枠を握り曲げて、無理矢理コマをはめ込むハメになるんですが、目で見てもわかるくらい心棒も曲がっちゃいましたしね。回転の滑らかさも明らかに購入当時の30%程度にまで落ち込んでいるし、回っていてもきしむような嫌な音がするし、いやあ、短い命でありましたな。ま、1回分のネタになったから、いっかぁ。…とでも思って諦めるより他ありませんが、あ、“足の上回し♪”という技はスカートを穿いたギャルにやってもらうとパンツ丸見えになる可能性が大なので、是非ともカップルでお楽しみいただくことをオススメしますね。パンチラが3回ほど拝めるようなら1900円程度の出費は安いものだと思いますが、そんなことでまあ、今日は 『グッドナイト・イッツ・タイム・トゥ・ゴー』 というアルバムを紹介したいと思います。今日は前半だけで 15KB くらい浪費してしまって残り 5KB くらいしかないので、ちゃちゃっと片付けてしまいましょうね。えーと、サイドマンはアレです。ハロルド・ヴィックのテナーが入って、で、ギターがグラント・グリーンというのが何とも嬉しいところですよね。プレスティッジ盤なんですが、面子的にはブルーノート的な傾向が強く、が、コテコテのソウル・ジャズ・フォーマットなのであまり多くのことは期待出来ず、ま、暑苦しいだろうけど、あと2ヶ月もすれば涼しくなるだろうから、今日のところは我慢してね。…としか言いようがなくて、ま、そんなこんなでとりあえず1曲目からいってみましょう。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「グッドナイト・イッツ・タイム・トゥ・ゴー」 でありますか。何だかよくわかりませんが、スパニエルズのドゥワップ・ナンバーのようですね。ドゥワップというのは何だかよくわかりませんが、恐らく、ドゥワッ、ドゥワ〜♪…といった感じの音楽ではないかと思われ、シャネルズ「ランナウェイ」 を脳裏に描いてもらえれば、あながち大きな間違いではないのではなかろうかと。で、ここでのマクダフの演奏はですね、オルガンとテナーのコール&レスポンスみたいな形でテーマが演奏されていて、何ともアーシーなムードがふんぷんと漂っております。ほら、言わんこっちゃない。コテコテのソウル・ジャズぢゃん!このクソ暑いのに勘弁して欲しいところでありますなぁ。。。で、ソロ先発はマクダフでありますか。この人は根っからのコテコテのこてっちゃん好き。…といった感じで、ここでも何だか全身からホルモン焼きの匂いが漂ってきようなソロを披露しておりますな。バックではテーマ部から引き続いてハロルド・ヴィックが同一フレーズを反復して吹いていて、暑苦しさを倍増させてくれちゃってます。後半はヴィックがいなくなって幾分は過ごしやすく なっておりますが、すぐに戻ってきてマクダフ、グリーンと3人でねっとりと濃厚なインタープレイを披露して、そうこうしているうちに何となくテーマ部に戻って、やっとのことで、おしまい。いや、6分12秒とさほど長い演奏でもないんですが、何だかどっと疲れがでるようなマゾヒスティックなオープニングでありましたな。うーん、ぐったり。。。

 個人的には1曲目の印象があまり芳しくなかったので、2曲目以降はほとんどマトモに聴いた試しがなかったんですが、続いてはマクダフ君のオリジナル、 「サンクティフィード・ワルツ」 でありますか。タイトルどおりワルツ・タイムの曲なんですが、いや、これはなかなか調子のいいナンバーでありますな。テナーとギターとユニゾンVSオルガンのコール・アンド・レスポンス形式でテーマが演奏されるんですが、 「グッドナイト・イッツ・タイム〜」 の責め苦を経験してしまった今となってはもう、軽い軽い。ジョセフ・トーマスの下世話なドラミングだって、何だかお洒落に感じられちゃいますよね。で、ソロ先発はマクちゃんでありますか。僕は正直言って、オルガンの良し悪しは今ひとつよくわからんのですが、ノリがよくて不快感は皆無なので、おそらくきっと出来のよい演奏なのであろう。…と推測することが出来ます。で、ソロ先発はグラント・グリーンでっか。いや、何故か語尾が関西弁になっちまいましたが、独特のシングル・トーンのよく歌うソロは上々の出来だじょー。…といった感じで、続くハロルド・ヴィックへの順調な橋渡しの役割を担っております。で、そのヴィックのソロは短いものなんですが、気力、体力共に充実していて、ま、知力的にはやや希薄な気がしないでもないんですが、でもまあ世の中、元気がなによりだしー。ということで、テーマに戻って、おしまいです。3曲目もマクダフのオリジナルで、 「マクダフ・スピーキング」 という曲ですね。ごく短いシンプルなテーマに続いてマクダフのソロに入るんですが、途中、テナーとギターがしつこく絡んできたりして、なかなかエキサイティングな展開でありますな。それでいてこの上なくドライビングでありまして、1曲目で嫌というほど味わされた“アーシー地獄”はここに来て完全に払拭されたと言ってもいいでしょう。で、短いアンサンブル・パートを挟んで、G.グリーンのお出番ですか。ここでの彼のソロは間違いなく本作のベストと言っていい出来でありまして、特にお得意の“単一フレーズこれでもかリピート”が聴かれるあたりが最大の山場であると言えましょう。いや、何度聴いてもグリーンのこれは、CDが音飛びしてるのか?…と思ってしまうほどコーフン的でありますな。ブルブルして、グルグルして、ああん、今度はウネウネなのぉ♪…と、手を変え品を変えて攻めるよりも、たまには 執拗なまでに同じ手でしつこくネチネチとやってみるのもいいのではないか?…と、ふと思ってしまった次第でありますが、あ、その前にレーザー脱毛をクリアしておかなければなりませんね。ズボンを脱いだ瞬間に「キモ〜い。」と思われてしまっては、最初から終わったも同然ですからね。でも、個人的にはスネ毛がまったくないツルツルの足のほうがかえってキモいような気もするんですが、それはそうと、続いてはヴィックのソロですね。いや、これは熱いです。ハロルド・ヴィックという人はソウル系のテナーマンの中ではわりとハンク・モブレイ的なB級っぽさを感じさせるところがあるんですが、ここでの吹きっぷりは熱いです。ちょっぴりコルトレーンが入ってたりします。いや、ほんのちょっぴりなんですけどね。ジュースで言うと無果汁なんだけど、どういうわけだか種みたいなツブツブだけは入っているイチゴ牛乳。…といった程度にはコルトレーンが入っております。ちょっと無理してモーダルなフレーズを吹いてみたハンク・モブレイみたいな感じもあるんですけどね。いずれにせよ、ソウル色が極めて薄い本曲がこのアルバムのベストではないか。…と、個人的には思っております。

 はい、あと2曲です。えーと、4曲目はですね、ベニー・グッドマンの 「ア・スムース・ワン」 ですね。ゆったりとしたテンポでオルガン・ジャズらしいアーシーさが戻ってきておりますが、ま、マクダフの本質はこの辺りにあるわけだから、これはこれで仕方のないことなんですけどね。ジャック・マックはラリー・ヤングではないわけだしー。で、演奏のほうはですね、テーマの後、マクダフ→グリーン→ヴィック→マクダフ(2回目)とソロが続いて、テーマに戻って、おしまい。ま、可もなく不可もなく、恋人試験で言えば65点。そんな1曲でありました。はい、ラスト。歌物の 「アイル・ビー・シーイング・ユー」 ですね。スタンダードはどう頑張ってみたところでそんなに酷いことにはならないから安心して聴くことが出来るんですが、ここでのマクダフも無難でありますな。個人的な希望を言わせて貰うと、ここは原曲どおりバラードで演って欲しかったかな?…という気がしないでもないんですが、ミディアム・ファストの演奏もこれはこれで悪くないものでありまして。テーマ部は余計な雑音…と言ってはヴィックにあまりにも失礼なんですが、テナー抜きのオルガン・トリオでシンプルに演奏しております。マクダフの伸びやかなオルガンを堪能するには丁度いいんじゃないですかね?で、テーマに続いてマクダフがそのままアドリブに入って、で、続いてのソロはグラント・グリーンでありますな。よく歌っていていいことだと思います。で、最後におまたせ、ハロルド・ヴィックのソロ・スペースもきっちり用意されておりまして、ちょっぴりモブレイなスタイルのテナーを存分に楽しむことが出来るようなシステムになっております。続くマクダフの2回目のソロも最初のものと比べると明らかに上機嫌でありまして、で、そのままテーマに戻らずに、おしまい。いや、こういうエンディングもあるんですなぁ。…と、ちょっぴり感心した次第でありますが、さ、“サロンパス剥がし”をやろーっと。

【総合評価】

 1曲目はなかったものと思ってください。そうすれば、かなり楽しめる1枚なのでありました。…と、僕は思います。


INDEX
BACK NEXT