BEHIND THE 8 BALL (ARGO)

BABY FACE WILLETTE (1964/11/30)

BEHIND THE 8 BALL


【パーソネル】

BABY FACE WILLETTE (org) BEN WHITE (g) JEROLD DONAVON (ds) GENE BARGE (as) <#3>
【収録曲】

BEHIND THE 8 BALL / SONG OF THE UNIVERSE / AMEN / TACOS JOE
ROLL 'EM PETE / JUST A CLOSER WALK / ST. JAMES INFIRMARY / SINNIN' SAM

【解説】

 今日は沖縄のお菓子について考えてみたいと思いません。いや、当初の予定では“沖縄のお菓子”をスタートラインに、“沖縄の昔”“沖縄の案山子”と話を進めていって、最後は“沖縄の立花隆”で締める。…という展開を考えていたんですが、アホらしいのでやめました。読んでいるほうもそろそろ沖縄ネタには飽きてきていると思うし、それに何より、沖縄のお菓子って何だかあまり大したものがないというのが現状なんですよね。沖縄銘菓と言えば “ちんすこう” というのが有名なんですが、あれは内地の人たちの間ではあまり評判がよろしくないようです。名前が “ちんこすう” と紛らわしい。…というのが不評の最大の要因であろうかと思われますが、例えばリフレッシュ休暇を利用して沖縄に行ってきた苦林遁部長(57歳)のお土産を3時のお茶の時間に配ることになって、「誰のお土産?」と聞かれたOLの喪荷過瑠淫数奇さん(21歳)が、「苦林頓部長の“ちんこすう”でぇ〜す。」と大きな声で答えてしまった場合、オフィス内に微妙な空気が漂うであろうことは想像に難くありません。こういう場合、傍で聞いている第3者としてもどのように反応していいのか、対応に困るところがありますよね。「ほほぉ、モニカちゃんはクリントン部長のを吸っちゃったのかぁ。それは不適切な関係だねぇ。」…などと発言するのは論外でありまして、以後、“セクハラおやぢ”として女子社員たちから白い目で見られることになってしまいます。かと言って、何も聞かなかったことにして一切その発言に対して関与しないというのも、後でモニカちゃんが自分の間違いに気付いた時に余計に恥ずかしい思いをすることになるので、あまり得策ではありません。ここはやはり、「それを言うなら“ちんすこう”やがな!」とツッコミを入れて、オフィス一同大爆笑。…というのが後腐れがなくてよいのではなかろうかと。もっともモニカちゃんがあまりにもセンシティブな性格の持ち主で、みんなに笑われたことを苦に、「ちんすこうのばか!」という遺書を残して屋上から飛び降りたりすると、一同、大いに困ってしまう訳でありますが、それくらい難しい問題を抱えた食べ物であるわけなんですよね、“ちんすこう”って。

 ネーミングの珍奇さと並んで、食ってみると大して美味くもない。…というのが“ちんすこう”の不人気の一因であるわけなんですが、沖縄に行くと言ったら、“ちんすこう”だけは買ってくるなと言われた。…というのは日常、よく耳にする話であります。日常、いったいどれくらいの頻度で耳にするかというとですね、だいたい5日間で2回。…というのがその回答になろうかと。僕の場合、沖縄に向かう3日ほど前にオカダ君がそのような話をしているのを耳にしました。で、旅行期間中の2日目くらいに東紀州出張所のマエノさんがやはり同じようなことを言っておりましたので、やっぱり“ちんすこう”って人気が今ひとつなのか。…という現実を再認識した次第でありまして。にもかかわらず、津営業所のコメヤマくんは“ちんすこう”ばかり10箱くらい買い占めておりまして、いや、あれはいったい何だったんでしょうね?善意の仮面をかぶった一種の嫌がらせか?…と深読みすることも出来るんですが、コメヤマくんというのはあまり裏表のない善良なキャラでありますので、ただ単純に“ちんすこう”が好きなだけなのかも知れません。かく言う僕も、出発前に沖縄土産の通販サイトで“沖縄伝統のちんすこう・大 (27袋入) 販売価格:\1,050 (税込) ”というのを頼んでしまったんですが、ほら、人間、買ってくるなと言われると、何だか余計に買ってきたくなるものでありまして。…などといったひねくれた根性によるものではなくて、ただ純粋に“ちんすこう”を食べてみたからなんですけどね。個人的にはそれほど不味いものだとは思っていなくて、もの凄くまずいクッキーと勝負すれば、3対2で9回裏にサヨナラ負け?…という程度には評価しております。確かにもの凄くまずいクッキーほどは美味しくないんだけど、でも、惜敗だよね?…みたいな。 で、僕は最初、27袋 (←1袋にちんすこう2本入り) 全部を自分で食べる覚悟でいたんですが、さすがにちょっと持て余し気味でありましたので、13袋ほど現場事務所に持っていくことにしました。土日を除いて3日間ほど現場を留守にしたので、そのお詫びの意味を込めて職人さんにお土産として持っていったんですが、いや、不評でしたな。オカダくん…というのは、“ちんすこう”を買ってくるなと言われたほうのオカダくんではなくて、通称“シンちゃん”と呼ばれているほうのオカダくんなんですが、 彼の口から、「あ、これ、なんか食べたことある〜。」…という、やや前向きの評価が得られたものの、全体を総括すると、おしなべて不評であったと言わざるを得ません。ああん、せっかくお土産を買ってきてあげたのにぃ。…と、やや不快に思う気持ちがまったくなかったと言えば嘘になりますが、でも、所詮は“ちんすこう”ですからね。「“ちんすこう”も不評やったな。」…とストレートに言われてしまっても、「あんまり美味しくないやろ?」…と、言い訳めいた口調で弁解しなければならない自分がちょっぴり悔しい、そんなとある火曜日の昼下がりでありました。

オリジナルちんすこう♪

 “ちんすこう”自身も、自分にあまり人気がないことは薄々と察しているようで、例えば僕が通販で買った 守礼堂 という店は “ちんすこうのバラエティ化” によって人気回復を図ろうとしているようです。ちなみにこの守礼堂というお店はドイツのシュレイダー首相も贔屓にしているらしいんですが、ここのオリジナルちんすこうは、紅いもパイン黒糖チョコバニラココナッツの6つのおいしい味が楽しめます。…ということなんですよね。ま、守礼堂から苦情のメールが届くのを覚悟で個人的な見解を述べさせてもらうと、6つのおいしい味…と言うにはやや無理があって、2つのまあまあな味と、4つの今ひとつな味なんぢゃないか?…という気がしないでもないんですが、いや、お子様にも喜ばれる“ちんすこう”にしようという企業努力は大いに評価していいと思うんですけどね。ただ、その努力が空回りをしているというか、特にバニラココナッツは、ただ甘ったるいだけやん!…みたいな感じで、僕の口には合いませんでした。現場事務所における職人さんたち(←30代前半ばかり)の評価もですね、「今ひとつ…というか、こうもクソ暑いと甘いもんを食べたくないと言うか。」…といったものでありまして、その気持ち、よく分かりますよね。こうもクソ暑いと“ちんすこう”みたいな甘ったるくて、むせっつい(←方言?)食い物は迷惑以外の何物でもなくて、誰や?こんなん土産に買ってきたんは!?…と、文句のひとつも言いたくなっちゃいます。で、チョコ味とパイン味はですね、言われてみれば何となくチョコの色とパインの色をしているな。…といった感じなんですが、味のほうがなんとも中途半端なんですよね。イメージ的にこの2種類はお子様の期待が高いことが予想されるんですが、口に入れた瞬間、「なーんや。」…と全身から力が抜けていく様子が目に浮かぶようです。反対に期待度0パーセントだった紅イモ黒糖の2種類が意外と健闘していたんですが、変にバラエティ化を狙うより、結局は昔ながらのオーソドックス路線のほうがいいのかも知れませんね。

沖縄限定ハイチュウ♪

 で、先ほどの発言に、「“ちんすこう”も不評やったな。」…というのがあったんですが、○○も…ということは、“ちんすこう”以外にも何か不評なものがあったことを窺わせますよね。事実、それ以外にも不評なものはありました。まず最初に“黒豚ジャーキー”が不評でした。いや、コイツに関してはこれと言った悪口が聞かれたわけではないんですが、かといって賞賛の声が挙がったわけでもなくて、要するに、どうでもいいやぁ。…という評価だったように思われます。ちなみに僕は“辛口ホット”のほうを買ったんですが、結構やわらかくて、噛めば噛むほどブタの旨味が出て、スパイシーな味付けも絶妙で、下手にハワイで買ってくるビーフジャーキーなんかより、よっぽど美味しいと思うんですけどね。個人的にはかなりオススメの一品なんですが、もうひとつ、似たような系列に属する“ミミガーチップス@ミミスター”のほうはと言うと、これはもうはっきりと不評でありました。原料が豚の耳の皮であるだけに、イメージだけでも何だか気持ちの悪い感じがするんですが、それをスルメ状に加工した“ミミスター”というのは硬くて噛み切れないような部分もあって、スパイシーな味付けも黒豚ジャーキーとは違ってちょっぴり癖があって、あまり内地の人間の口には合わないような気がします。個人的にはあまりオススメ出来ない1品でありますな。で、“沖縄限定ハイチュウ@シークヮーサー味”というのもですね、不評でした。シークヮーサーというのは“沖縄の果物”のところには登場しなかったんですが、沖縄を代表する果物でありまして、柑橘系でさっぱり系ではあるんですが、ちょっぴり癖が強いんですよね。結果、“ハイチュウ@シークヮーサー味”は、「まじぃ〜。」「薬臭ぇ〜。」「子供でも喜ばん味やな。」…と、まあ、さんざんな不評ぶりでありまして、もっとも酸っぱい系が好きらしい人妻のかよりんは、「美味しいのぉ♪」…と言っておりましたので、ま、人それぞれだと思うんですけどね。僕としても、それほどボロクソに文句を言われるほどか?…と思わずにはいられませんでしたが、ま、もうひとつの“沖縄限定ハイチュウ@パイナップル味”のほうが万人受けするので、お土産に買うには無難かも知れません。

ちんすこうショコラ♪

 で、勿体ないので現場には持っていかなかったんですが、個人的にオススメしたいのが “ちんすこうショコラ” というお菓子であります。僕が買ったのは “琉球リカちゃんバージョン” なんですが、リカちゃん化されていない大人向けパッケージの商品もあります。で、これは一体どういうものであるかと言うとですね、ま、簡単に言ってしまえば“ちんすこう”をチョコレートでコーティングしたものなんですけどね。“ちんすこう”単体でもクソ甘ったるいのに、それをチョコでコーティングしたら食えたもんじゃねーだろうな。…という気がしたんですが、リカちゃんに釣られて思わず買ってしまいました。で、クソ甘ったるくて気持ち悪いことを期待(?)して食べてみたところ、いや、これがまた意外と美味しいんですよね。チョコレートの甘さを想定して“ちんすこう”自体は甘さを控えめにしてあるようで、ちょうど小麦胚芽入りのチョコビスケットみたいな感じになっております。いや、“ちんすこう”とチョコレートの相性って意外といいものだったんですな。これを考え出した人は偉いと思いますね。で、現場に持っていったお土産の評価があまりにも不評だったので、翌日は“ちんショコ”を追加しようか?…と思ったんですが、人に食わせるのは勿体ないのでヤメにしておきました。で、前日の余り物をそのまま袋に詰めて現場事務所の机の上に置いておいたんですけどね。すると、おおっ、オカダのシンちゃんが期待に目を輝かせて袋を覗き込んでいるではありませんか。君だけだよ、僕のお土産を評価してくれるのは。…と、温かい眼差しでその様子を眺めていたんですが、袋の中に“黒豚ジャーキー”と“ミミスター”と“ちんすこう”しかないという事実を目の当たりにして、彼は小さくひとつため息を漏らすと、何も取らずに現場事務所を後にしたのでありました。

 …って、結局のところ “沖縄のお菓子” の話に終始してしまいましたが、今日はこれでおしまい。

 ということで、今日はベビーフェイス・ウィレットです。通称、童顔ウィレちゃん。いいですよねぇ、童顔って。僕は冬瓜というのがあまり好きではなくて、夕食のおかずが冬瓜汁だったりすると心底ガッカリするんですが、童顔というのはわりと好きなんですよね。睾丸というのも嫌いではないしぃ。あ、そうそう。巷ではよく、“こうがん剤”を投与した。…という話を耳にするんですが、僕はてっきりアッチのほうに元気がなくなって、ソッチの成分が含まれたクスリを投与したんだね。…ということだとばかり思っておりました。が、あれ、“睾丸剤”ではなくて、“抗癌剤”というのが正解だったんですね。いや、つい最近まで勘違いしておりました。関係者の皆さまには深くお詫びしたいと思いますが、あ、そうそう。同じ現場で働いてくれているタカギくんがですね、「ハブ酒が欲しい。」というのでお土産に買ってきてあげたんですけどね。いや、実を言うとあらかじめ守礼堂の通販で注文したものだったんですが、本人には内緒なんですけどね。しかもいちばん安い638円(税込)のヤツなんですが、大変よろこんでいただいて、何だか申し訳ないような気もします。で、本人、ハブ酒を飲んだ翌日はもの凄くパワフルでありまして、「何かいいことあったのか?」…と、周囲からも訝しがられる程だったんですが、いやあ、恐るべきハブ酒パワーでありますな。638円(税込)でもこの効果ですんで、 ここらあたり をグビっといっちゃった日にゃ、一体どんなことになるんでしょうね? とまあそんなことで、今日は 『ビハインド・ジ・エイト・ボール』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、あるいはタマが8個くらいあるような感じになっちゃうのかも知れませんなぁ、南都ハブ入ハブ酒。ちなみにここで言う“8ボール”というのはビリヤードのタマのことなんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、まずはアルバム・タイトル曲の 「ビハインド・ジ・エイト・ボール」 でありますか。童顔ウィレちゃんのオリジナルなんですな。何やら意味深なタイトルで、俺は今、8ボールに狙いを定めているんだぜ。…という瞬間を捉えたジャケットのデザインも秀逸なんですが、曲自体はアレですね。何かこう、インパクト薄井(日系3世・サンフランシスコ在住・47歳)みたいな。最近、僕のうちの超廉価CDプレイヤー(アイワ製)はレンズが汚れてきたのか、少しの汚れで激しく音飛びするようになってきたんですが、何だか終始、音飛びを繰り返しているようなビートに乗ったR&B風のナンバーでありまして、ブルーノート時代のウィレットと比べると、何だか軽いノリになっちゃったなぁ。…という落胆の感は否めません。この曲の一体どのへんが “ビハインド・ジ・エイト・ボール” なのか?…というのも今ひとつよくわからんのですが、いや、ソロ・パート終盤のウィレちゃんの早弾きはなかなかのテクだとは思うんですけどね。ただ、演奏時間が2分21秒というのはあまりにも短すぎて、かなり物足りないというのが正直なところかと。ウィレットはまずA面最初の短いタイトル曲で勢いをつけ…と原文ライナーにありますが、何だか勢いのつく直前で失速してしまって、不完全燃焼のまま終わってしまった、そんな一酸化炭素が発生しそうな1曲目なのでありました。

 冒頭曲の印象が今ひとつで、このアルバムはもう駄目ポー。…といった機運が高まってまいりましたが、まあ、待ちんしゃい。2曲目の 「ソング・オブ・ザ・ユニヴァース」 。これがなかなか凄いんですよね。演奏時間も7分06秒とたっぷりで、それに何より1曲目のお気楽ムードから一変する思慮的なムードには、思わず居住まいを正したくなる中村タダシ君(13歳)といった感じでありまして、いや、さすがは「秩序ある体系としての宇宙の歌」と題されてるだけのことはありますな。「8タマの後ろ側」とはわけが違います。で、演奏を順を追って解説するとですね、まず最初はイントロです。ノン・ビートなタイコの乱打に合わせてオルガンが思索的なトーンを奏で、やがてオン・ビートになってベビー・フェイスがモーダルなテーマを演奏します。いや、言葉ではなかなか説明しにくいんですが、これはいいです。言葉ではなかなか説明しにくいところを敢えて説明するとなると、「こいつはいいやぁ。」…といったところですかね?後期のラリー・ヤングにも通じるスピリチュアルな精神性を感じさせ、こいつ、ただの童顔野郎じゃなかったんだぁ。…という事実を再認識させられた思いであります。で、ソロ先発はギターのベン・ホワイトです。何だかこう、バリウム飲んだ翌日の大便。…といった感じの名前ではありますが、野卑なブルース魂の中に都会的なセンスを秘めたスタイルの持ち主でありまして、ちょっぴり、えーと、何という名前でしたっけ? 『イースト』 という仏像ジャケットのアルバムを作ったパット・マルティーノ。そう、そのマルティーノに通じるものがあるような気がしないでもありません。で、それに続くウィレットのオルガン・ソロもノリのよさが際立っております。もう1枚のアーゴ盤、 『モー・ロック』 のジャケットを飾った、あの今にも噛み付きそうな表情が浮かんでくるようでありまして、が、決して野暮で野卑で野人的な演奏に終始するわけではなく、ソロの中盤あたりではかなりスピリチュアルなオルガンのコルトレーン的な演奏だって披露しちゃっております。で、終盤、再び“盛り上げモード”に入って大いに盛り上がり、モーダルなテーマに戻って、おしまい。いや、何度聴いても飽きることのない素晴らしい演奏なのでありました。…と、僕は高く評価しているのでありました。

 いや、これでアルバムの山は越えましたな。後はまあ、オマケみたいなものでありますので軽く流しておきましょう。A面の3曲目はアレです。 「エイメン」 という曲です。“エイメン”というのはすなわち“アーメン”のことでありまして、タイトルどおり、ベタなゴスペル風の作品に仕上がっております。作曲者のクレジットはなく、アレンジメントとしてウィレットの名前が挙がっておりますので、おそらく古くから伝わるスピリチュアルなのでありましょう。で、この曲だけゲストとしてアルトのジェラルド・ドナヴォンという人が参加しているんですが、“ドノヴァン”ならともかくとして、“ドナヴォン”というのは何だか舌を噛みそうで、ちょっぴり嫌な名前ではありますな。で、スタイルとしてはアレですね。R&B出身であることを窺わせる野卑な吹きっぷりがとっても下品で、でもまあ、軽くテーマ・メロディを吹いているだけでさほど出番は多くありませんので、それほど耳障りというほどでもありません。ま、何もわざわざゲスト出演してもらうほどのことでもなかったかな?…という気がしないでもないんですけどね。で、ウィレット→白便の順に、短いながらもなかなか充実したソロが披露され、テーマの再現部ではもうドナヴォン君の出番はなく、オルガンによってメロディが演奏されて、フェードアウトして、おしまい。2分33秒のちょっとした小品なんですが、それにしてもやっぱり、ドナヴォン君にわざわざゲスト出演して貰う必然性はまったくなかったようなような気がしないでもありません。

 で、4曲目です。日本語ライナーを書いている上條直之クンが 「ソング・オブ・ザ・ユニヴァース」 と並んで褒めているのがこの 「タコス・ジョー」 でありますので、期待してもいいのではないかと思われますが、これは恐らくギターのベン・ホワイトのオリジナルではないかと思われます。作曲者はベニー・ホワイトとクレジットされているんですが、ベニーが縮まってベンになるんだよね、多分。で、「タコス・ジョー」というタイトルからは、中南米風なんだじょー。…ということが窺われるわけでありますが、果たしてラテンのノリの作風なのでありました。わりとゆったりしたテンポ設定で、ノリノリというよりもグルーヴィなムードが漂っておりますが、ソロ先発のベン・ホワイトの出来が傑出しておりますな。上條クンも、不勉強にしてよく知らない…と書いているくらいだから、さほどメジャーな人ではないようなんですが、もっと勉強しろよ、上條!…と思わずにはいられませんね。で、ベン君のスタイルはというと、ソロの前半はシングル・トーンでクールに纏めて、後半はオクターブ奏法絡みで大いに盛り上げる…というのが得意技のようでありまして、いや、なかなかのテクニシャンだと思います。で、次はいよいよウィレちゃんのソロか。…と思っていたら、そのままテーマに戻って、フェードアウトして、終わってしまいました。いや、ホワイト君を全面的にフィーチャーしたナンバーだったんですね。それはそれで悪くないとは思うんですが、ちょっぴり肩透かしを食らったような気がしないでもありません。

 ということで、続いてB面に参りたいと思うんですが、今の時点で最近の分量の目安にしている 20KB に到達しちゃいました。4曲1カラムのペースでざっと流しちゃいましょうね。えーと、B面の1曲目、トータルで5曲目は 「ロール・エム・ピート」 という曲です。ピート・ジョンソンとジョー・ターナーという人の共作のようです。何やらアーシーなブルースやな。…といった感じの曲でありまして、オルガン・ジャズらしさがよく出ていると思います。で、6曲目は 「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク」 という曲で、これは 「エイメン」 同様、トラディショナルの類なんでしょうかね?何やらアーシーなブルースやな。…といった感じの曲でありまして、オルガン・ジャズらしさがよく出ていると思います。ここでのウィレットはジミー・スミスを彷彿させる弾きっぷりであるな。…と僕は思います。いや、そう思わない人はそれはそれで別にいいんですけどね。いわゆる見解の相違というヤツで、世の中にはよくあることですからね。で、7曲目はおなじみ、 「セント・ジェームス病院」 でありますか。これまた、ジミー・スミス的にオーソドックスなオルガン・ジャズといった感じでありまして、ま、可もなし不可もなしといったところでしょうか。えー、鴨(かも)と鱶(ふか)で何かボケようか?…と思ったんですがもはやそんな元気もなく、えーと、ラストですね。ネスビット・フーパーという人が作ったらしい 「シニン・サム」 という曲です。ま、恐らく死人のサムに捧げられた曲ではなかろうか?…と思われるんですが、曲調自体はさほど死人っぽくはなくて、意外とキュートだったりします。ワルツ・タイムの歌モノっぽい作品でありまして、ストップ・タイムがなかなか効果的に使われております。とまあそんなことで、おしまい。

【総合評価】

 後半は手抜きの極みでありましたが、実際のところB面はちょっぴりインパクト薄井?…といった感じで、やや退屈な感が無きにしもあらず。結局のところ、 「ソング・オブ・ザ・ユニヴァース」 だけやん。…ということになるかも知れません。ま、それはそれで別にいいんですけど。


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