HIP SOUL (PRESTIGE)

SHIRLEY SCOTT (1961/6/2)

HIP SOUL


【パーソネル】

STANLEY TURRENTINE (ts) SHIRLEY SCOTT (org) HERB LEWIS (b) ROY BROOKS (ds)
【収録曲】

HIP SOUL / 411 WEST / BY MYSELF
TRANE'S BLUES / STANLEY'S TIME / OUT OF THIS WORLD

【解説】

 今日は沖縄の食べ物について考えてみたいと思います。また沖縄ネタかい。…と思われるかもしれませんが、また沖縄ネタです。今年はもうずっと、沖縄ネタで勝負したろかい?…と思っているわけなんですが、前回が“沖縄のくだもの”で、今回が“沖縄の食べ物”。続いて“沖縄の飲み物”というのを予定しておりまして、以下、沖縄の生き物沖縄のなま物沖縄の着物沖縄の履物沖縄の漬物沖縄の春物沖縄の夏物沖縄の秋物沖縄の冬物沖縄の男物沖縄の女物沖縄の煮物沖縄の焼き物沖縄の揚げ物沖縄の炒め物沖縄の余り物沖縄の暴れ者沖縄の厄介者沖縄のお尋ね者沖縄の臆病者沖縄のしっかり者沖縄の浮気者沖縄の好き者沖縄の化け物沖縄のゲテモノ沖縄のアーノルド坊やは人気者…って、“ものシリーズ”だけであと27回くらいはいけますもんね。とまあそんなことで、とりあえず今日は“食べ物”に重点を置いて論じていこうと思うんですが、ひとくちに食べ物と言っても、調理法によっていくつかのカテゴリーに分類することが出来ますよね。すなわち、煮物、焼き物、揚げ物、炒め物、なま物…ということになるんですが、沖縄料理の場合、煮物と炒め物が中心になってくるように思われます。“ラフティ”(黒豚の角煮)なんてのは前者の代表格だし、炒め物といえば何といっても“ゴーヤーチャンプルー”(苦瓜の炒め物)が有名ですよね。そもそも“チャンプルー”というのは炒め物の意味であるらしく、そのようなジャンルが確立されているほど、彼の地では炒め物がお盛んであるわけでありまして。

 えー、ここで僕の立場を説明しておくとですね、僕は沖縄料理というのはわりと好きであります。好きである上に、かなり詳しくもあったりします。どうして僕が沖縄料理に詳しいのかというとですね、3年ほど前、東京の穴守稲荷駅近くの沖縄料理屋で沖縄料理を食べたことがあるからなんですが、その時、僕はいったい何を食べたのかというとですね、“沖縄定食”というものを食べました。沖縄定食を食べてオリオンビールを飲みました。沖縄定食には泡盛やろ?…という意見もあろうかと思いますが、残念ながら僕はアルコールに極めて弱い性質(たち)でありまして、ベロベロに酔っ払って暴れて他人に迷惑をかけても何なので、おとなしくオリオンビールにしておきました。我ながら分別のある行動だったな。…と思います。ま、オリオンビールの大瓶1本でも充分ベロベロに酔っ払ったので、分別のある行動ではあったが、あまり意味はなかったな。…という気がしないでもないんですが、それでもまあ、何を食ったのかおぼろげに覚えている程度には意識もしっかりしておりましたので、オリオンの選択は間違ってなかったとは思うんですけどね。で、何を食べたのかというと、えーと・・・、何でしたっけ?おぼろげに、確か“沖縄定食”だったよな?…という気はするんですが、中身のほうまではまるで記憶になくて、がなくて、仕方がないので3年ほど前に書かれた 続・穴守稲荷の夜 という文章を読み返してみることにしましょう。あ、わざわざクリックしていただかなくても結構です。ちゃんと引用しますんで。行数稼ぎにはこれが一番ですからね。で、当時の僕が何を食べたのかというと、

 結論から申しましょう。沖縄定食は、極めてオーソドックスな沖縄料理ばかりをセットしたものでありました。メインはゴーヤの炒めもので、それに豚の角煮のようなもの、豆腐料理のようなもの、ダイコンのようなものを煮付けたようなもの、モズクの酢の物のようなもの、味噌のようなもの、ラッキョのようなもの、そして小さな“沖縄そば”も付いていて、シロートが一般的に思いつくような沖縄料理を余すことなく並べてくれたなぁ。。。と言った感じで、文句のつけようがないほど「沖縄定食」でありました。

 いや、短い文章の中に沖縄料理の神髄が凝縮されているような感じですな。ま、だいたいこの程度のものなんですよね、沖縄料理なんて。で、いつも食べてて思うんですが、沖縄の代表料理のように言われている“ゴーヤーチャンプルー”って、たいして美味しいものでもありませんな。ただ苦いだけやん!…といった感じでありまして、いくら苦瓜の炒め物だからって、ここまで苦くなくてもいいような気もするんですけどね。正露丸にだってちゃんとシュガーコーティングした正露丸糖衣というのがあるんだから、“ゴーヤートーイ”というのを開発して欲しいものでありますなぁ。…と願わずにはいられないほど苦いですからね、苦瓜は。でもまあ、ポテトチップス風にしたら結構イケるんじゃないか?…と思って、お土産に“ゴーヤーチップス”というのを買ってきたんですが、いや、これもゴーヤーでしたな。ただゴーヤーを輪切りにして揚げて塩を振りかけただけぢゃん!…と思わずにはいられないほど、もろにゴーヤーの苦い味がして、いや、輪切りにしようが、チップスにしようが、塩を振りかけようが、一途にゴーヤーの味のする苦瓜って、それはそれでとってもゴーヤーな奴や。…という気はするんですけどね。とまあ、そんなこんなで、僕は沖縄料理の中では断然“ラフティ”派であるわけなんですが、これがいちばん普通でマトモですよね。豚バラ肉を角切りにし、泡盛、醤油、黒砂糖でじっくりと長い時間かけて煮込み、とろけるように柔らかく仕上げました。…というものであるわけなんですが、確かにとろけるように柔らかく仕上がっているんですよね。これ全身、プリン体の塊!…と言いたくなるほどぷりんぷりんした食感がたまらなく、痛風持ちの人にも是非オススメしたい逸品でございます。で、“ラフティ”と似たようなものに“ソーキ”というのもあるんですが、これは豚の軟骨付バラ肉を角煮にしたものなんですかね?よくはわかりませんが、沖縄そばのトッピングとしてよく使われていますよね。ま、沖縄そばに関してはまたいずれ、 『ナナちゃんと行く沖縄・石垣島旅行♪』(その3) あたりに出てくると思いますが、この原稿を書いている今の時点で (その3) はまだ手付かずの状態でありまして。ソーキねたの早期更新を願わずにはいられませんが、ま、肝心の本人にあまりヤル気がないので、いつになるのかまったく目処がたっておりません。

 で、豚系としてはですね、“ミミガー”というのも忘れてはいけません。穴守稲荷の店では出なかったんですが、いや、あるいは“味噌のようなものは、何やらナッツのようなものを味噌であえたようなものでありました。”…と書いてあるそれがそうだったのかもしれませんが、何せオリオンビールで酔っ払っていたので、そこまで理性的な判断を下すことが出来ませんで。あ、この穴守ネタにはですね、オリオン・ビールはとりたてて特徴のない、ごく普通のビールでありました。…という記述がありますが、これはちょっぴり間違ってますよね。オリオンビールというのは本土のビールに比べてなんともにすい(←方言?)感じがするのが特徴でありまして、バドワイザーを更に淡白にした感じとでも言いましょうか。ちょっぴり物足りないフレーバーに特徴があります。こんなビールで酔えるか!…と思わずにはいられませんが、いや、僕は必要十分に酔っ払っていましたけど。しかもこの原稿をよく見ると、僕が頼んだのは大瓶ではなくてコップ1杯だったみたいですな。いや、かなりベロベロだった記憶があるんですけどねぇ。とまあそんなことで、穴守稲荷では食べたかどうか覚えのないミミガーでありますが、石垣島の全日空ホテルでは間違いなく食べました。そもそもミミガーというのはどういうものなのかと言うと、豚の耳の皮なんですけどね。豚の耳がミミガー。ま、わかりやすいネーミングではあるんですが、食べて美味しいとか不味いとかいった次元は超越して、ただコリコリとした歯ごたえを楽しむものであるように思われます。いや、豚の耳の皮の歯ごたえを楽しいと思うか、気持ち悪いと思うかは人それぞれだという気もするんですけど。で、料理法としてはピーナッツ味の味噌で和え物にするのが一般的でありまして、ま、豚の耳の皮であることを知らずに食えば、それなりにピーナッツ味で美味しいものではあるような気がします。で、あとはまあ“テビチ”(豚足)ですかぁ。残念ながら穴守稲荷でも石垣島でも食べる機会はなかったんですが、コラーゲンたっぶりで美容にもいいらしいですね。足テビチ、たべてピチピチ、綺麗なお肌♪…といったところでしょうか。いいですなぁ、豚足。

 で、穴守ネタに登場する、ダイコンのようなものを煮付けたようなもの。これは未だに正体がわかりません。ただのダイコンだったのか、あるいは沖縄特産の何か珍しい野菜だったのか。ただ、あれが沖縄特産の何か珍しい野菜だったとしても、食べている本人はダイコンだと思って食べていたわけなので、珍しい野菜としては立場というものがありませんよね。せっかく苦労して珍しい野菜になったのに、ダイコン扱いかよぉ!…という捨て台詞を残してグレちゃったであろうことは想像に難くありませんが、いやあ、沖縄特産の珍しい野菜の青春を台無しにして、何だか悪いことをしちゃいましたなぁ。ま、あるいはごく普通のただのダイコンだったのかも知れませんけど。で、本土の豆腐よりもちょっと固めでありまして、で、その上に何やら得体の知れぬコザカナをペッタンコにしたものが2匹ほどのっかっているんですよね。…と書かれているこの豆腐料理のですね、その正体がようやく判明しました。今回、石垣島方面を旅するにあたって何冊かのガイドブックを購入したんですが、そこにこの豆腐料理に関する記述がありました。“島豆腐”という名前の豆腐だったんですな、ありゃ。で、その上に乗っているコザカナをペッタンコにしたものはですね、“スクガラス”といって、アイゴの稚魚を塩漬けにして、瓶詰めで売られているものなんだそうです。それを島豆腐に乗せると“スクガラス豆腐”の出来上がり♪…って、余計なことをすな!…と思わずにはいられません。僕はこの手の小魚系の食い物が苦手でありまして、あられとナッツと小魚がセットになっている“おつまみ種”でも、いつも、小魚が邪魔なんじゃ〜!…と叫びながらつまんでおります。いや、食べ物を粗末にすると罰が当たるので捨てるようなことはしませんけどね。いつも最初に小魚だけをつまんで片付けておいて、その後ゆっくり、あられやナッツを堪能するようにしております。小魚以外は美味しいものばかりだから、これでもうすっかり安心してつまむことが出来るんですが、小袋があらかた空になった頃、おおっ、底のほうに排除しそこねた小魚の残骸が半匹分っ!…という時の絶望感は到底言葉では言い表すことが出来ません。到底言葉で言い表すことは出来ませんが、敢えて言葉にするなら、「小魚ぁぁ。。。」といったところでしょうか。沖縄定食の一品に“小魚豆腐”があることを知った時の気分も似たようなものでありました。「小魚ぁぁ。。。」という絶望感に襲われてしまいました。こんなもの食えるか!…とも思いました。いや、食べましたけどね。酔っ払ってたしー。食べてみたら意外と美味しかった。…ということもないんですが、ま、それなりに食えないものでもなかったんですけどね。とまあそんなことで、とりあえず“沖縄料理俳句”でも詠んで、今日は終わりにしたいと思います。

 (お題 : ゴーヤーチャンプルー)

 ・海パンを 穿こうやちゃんと プールでは

 > フリチン禁止


 (お題 : テビチ、ラフティ)

 ・夏過ぎて ビーチの片隅 あら、布袋

 > 夏の終わりの七福神


 (お題 : スクガラス)

 ・割れやすく ガラスの尿瓶は 今ひとつ

 > コ・ボレーヌがいちばん


 ちなみに “コ・ボレーヌ” の通販サイトは ここ にありますので、必要な方はどうぞ。

 ということで、今日はシャーリー・スコットです。通称、シャリ・スコ。それにしても見事なネーミングでありますなぁ、“コ・ボレーヌ”。何かこう、絶対にこぼれないという強い意志が伝わってきますよね。これがもし、“コ・ボレナイカモ”という名前だったら、使っている側としてもちょっぴり心配になってくるんですが、“コ・ボレーヌ”とフランス語風に力強く言い切っている以上、これはもう安心です。で、今日はですね、シャーリー・スコットの 『ヒップ・ソウル』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、これも大丈夫です。きっとヒップでソウルな演奏なんだろう。…ということを予感させるアルバム・タイトルでありまして、これでもしスクエアで釜山な演奏だったりしたら、釜揚げうどんの立場はどうなるんや?…みたいな。いや、何となく釜揚げうどんが名物なような気がするんですよね、釜山って。で、このアルバムにはスタン・ターナーなるテナー奏者が参加しているんですが、この名前を見てピンと来た人は、ぴんから兄弟よりもジャズ通であると言えるかも知れません。ま、それって大して嬉しくもない気がしないでもないんですが、そうです。スタン・ターナーというのはスタンリー・タレンタインの変名なんですよね。シャリ・スコとスタ・タレと言えば、いわずと知れたジャズ界のおしどり夫婦でありまして、いや、このアルバムを録音した当時、既に結婚していたどうかはサダカではないんですが、ま、ハダカでパリダカに出るくらいの関係にはなっていたのではなかえおうかと。いや、服を着ろって!…と叱られるような気はしますけど。とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、まずはアルバム・タイトル曲の 「ヒップ・ソウル」 でありますか。スタ・タレのオリジナルなんですが、ま、おそらく、ヒップでソウルな曲なんだろうな。…ということが予想されますよね。で、聴いてみたら確かにヒップでソウルな曲だったのでちょっとがっかりしてしまいましたが、世の中、あまりに予想どおりというのも何だか今ひとつ面白みがないものなんですよね。でもまあ、例えば 『巨乳女子高生』 というタイトルのすけべ動画をダウンロードしたところ、ただのデブのセーラー服を着たオバハンやん!…みたいな作品であれば激しい憤りを覚えることになると思うので、素直なタイトルを付けるというのは大切なことのような気もしますけどね。 『デブ専フケ専門セーラー服』 という題名なら、それなりに喜ぶマニアもいるかも知れないしぃ。で、この曲はアレです。ダウン・トゥ・アースなスロー・ブルースとでも申しましょうか、オルガンによるイントロに続いて登場するテーマはスタ・タレ的な“くさみ”がたっぷりで、マグロの血合いとかが好きな人にはたまらんものがあるでしょうな。いや、個人的には血合いの部分というのはあまり好きではないんですけどね。血合いよりも、乳繰り合いやろが?…みたいな。で、テーマに引き続いてタレンタインのテナー・ソロになるんですが、最初はねちこくグルーヴィに、そして次第にテンポを速めてドライビングに…といった展開で、これはこれでなかなか楽しめる演奏になっているような気がしないでもありません。少なくともブリの背中の脂ギトギトな部位が好きな人なら大丈夫かと。で、続いてシャリ・スコのソロになるんですが、これはアレですよね。ブリ大根における大根の役割とでも申しましょうか、それ単品だと淡泊すぎてちょっと物足りないんだけど、スタ・タレから染み出てくるエキス分を吸って、独特の風味になるといった感じですかね?いや、個人的にはあまりブリ大根というのは好きではないんですが、ま、このメンバーにして、この演奏。…という予想を裏切らない展開は、ある程度は評価していいのではないかと言う気がする、そんな1曲目なのでありました。

 ということで、2曲目です。 「411ウエスト」 です。これはアレですね。ゴルソンの曲なんですね。いいですよね、ゴルソン。少なくとも無医村よりはいいと思います。医者がいなくていざという時に困りますもんね、無医村。それに比べ、ゴルソンというのは日本人好みの曲を書くから僕は好きなんですが、この 「411ウエスト」 というのも日本人好みのマイナー・チューンに仕上がっております。で、この手の曲調にはタレンタインのテナーが意外とマッチするんですよね。ただ、オルガンがバックだとちょっっとクドくなるんぢゃないか?…と工藤クンが心配しておりましたが、心配はご無用です。シャーリー・スコットのオルガン・トリオはギターの変わりにベースが入る編成であるため、ソウル臭が希薄で、さほどキムチ臭かったりはしないんですよね。いや、キムチ臭かったりですからね、ソウルの街は。韓国人が食べている弁当を覗いたら、半分がご飯で、残り半分はすべてキムチだったりしましたもんね。漬物変わりにキムチを食べるのならまだしも、おかずがすべてキムチという食生活はどうか?…という気もするんですが、いや、他民族の弁当にケチをつける筋合いはないので黙っていましたけどね。どうせ韓国語、しゃべれないしぃ。で、哀愁味を帯びたテーマに続いてタレンタインのソロになるんですが、しみじみとした滋味が感じられて、地味ながらもなかなかの名演だと思います。ことテナーを歌わせるというテクにおいてはゴルソンよりもスタ・タレのほうが数段上ですもんね。で、ソロ2番手のスコット嬢もなかなかの健闘ぶりであります。彼女にしてはわりと強いアタックで、黄ばんだパンツも真っ白ね♪…みたいな。とまあそんなことで、2曲目はおしまい。ソウル色の強い1曲目を聴いて、ちょっとなぁ。…と思ってしまった人も納得の演奏でありましょう。

 3曲目は歌モノの 「バイ・マイセルフ」 ですかい。これはアレですね。スインギーな仕上がりですね。ロイ・ブルックスのスネアが決まってるよね。…とスネ夫くんが言っておりましたが、ああ見えて意外とジャズ通なんですよね、スネ夫くん。好きな食べ物は牛スネ夫肉らしいですけど。で、演奏のほうはというとですね、イントロなしでいきなりテナーによるテーマが始まります。で、ソロ先発はシャーリー・スコットです。いつもテナー→オルガンの順じゃ、飽きるよね。…と思ってパターンを変えたのか、これはなかなか賢明な措置だったと思います。小意気なスコット、ドライビングなタレンタインのソロと続いて、そしてその後はテナーとオルガンの8バースでありますか。常套的な手段ではありますが、ミジンコとかゾウリムシよりは上等な感じがしますよね。下等な生き物ですからね、ミジンコとかゾウリムシって。ということで、テーマに戻って、おしまい。

 4曲目はコルトレーンが作ったブルース、 「トレーンズ・ブルース」 です。ブルースではありますが、そこはトレーンの書いたブルースでありますので、そんじょそこらの常套的でトラディショナルなブルースではなくて、ごく普通のブルースに仕上がっております。誰が書いてもブルースはブルース。そういうものなんですよね、ブルースって。いや、ペアで揃えたスニーカー、春夏秋と駆け抜け〜♪…という 「スニーカーぶるーす」 はちっともブルースではありませんでしたけど。それに比べて 「トレーンズ・ブルース」 はアレですな。Dドリアン、Dドリアン、半音上がってEミクソディリアン(だっけ?)…というモード的な要素もあるような気がして、さすがはコルトレーン、ごく普通のブルースでは終わっておりません。が、タレちゃんが吹くことにより、まるっきりタレンタインの世界へと変貌を遂げておりまして、そこのところがブルースの奥深さと言えるかも知れませんね。…と適当なことを書いてもおいて、次です。 「スタンリーズ・タイム」 はスタンリーのオリジナルでありまして、根はシンプルなブルースなんですが、マイナーでブルーなムードがあって、ジャパニーズのハートをキャッチすることは請け合い。いや、こういうのがあるからタレ好きはやめられんのですよね。焼き鳥でも塩よりもタレのほうが好きですからね。ただ、塩ラーメンと牛タンだけは塩味のほうがいいと思うんですけど。塩サバも塩味のほうがいいわけでありますが、ちょっと醤油をたらしたりするのもいいものですよね。ちょっとウンコを垂らしたりするのは気持ちの悪いものですけど。

 ということで、ラストです。後半の曲解説があまりにもアバウトではないか?…という意見もあろうかと思いますが、僕もそう思います。でもまあ、書き手にヤル気がないんだから仕方ないよね。…とでも思って諦める よりほかありませんが、えーと、6曲目は 「アウト・オブ・ディス・ワールド」 ですか。世界の果てにはいったい何があるんだろう?…というのは誰もが一度は考えたことのある疑問だと思いますが、世界の果てには発展場があるんだと思います。いや、もしかしたらそんなものは無いのかも知れませんが、そんなことはどうだっていいです。…って、自分でネタを振っておいて、あまりにも無責任ではないか?…という気もするんですが、この曲はアレです。ラテンのリズムで料理されております。定番ですよね。定番ですが、サングラスはレイバン。そういうこだわりはけっこう大切だと思います。で、このスタ・タレ版はアレですね。ラテンで始まり、かと思ったら途中でワルツが交錯して、でもってテンポも速くなったり遅くなったりで、とても「定番やん。」…の一言では片付けられないような凝った構成になっていたりするんですよね、実は。でもって、かなりクソ長い演奏となっております。11分19秒もあります。あまりにもクソ長いので、思わず「クソッタレ!」と言いたくなってしまいますが、いや、「ク長いぞ、スタンリー・タレンタイン!」というのを略すとそうなるんですけどね。ちなみにアドリブ・パートはオーソドックスな4ビートをバックに、タレ→スコの順で執り行なわれております。クソ長いのさえ我慢すれば、それなりに充実したソロではあるんですけどね。とまあそういうことで、テーマに戻って、おしまい。今日は以上です。

【総合評価】

 えー、なかなか無難な1枚だと思いますね。オルガン+テナーという組み合わせは概してコテコテになりがちで、こうもクソ暑いと、聴きたかねーや。…という気分になっちゃいますが、でもだいじゃぶ。スコとタレの組み合わせはそこそこ爽やかで、夏場の鑑賞にも何とか耐えうるのではなかろうかと。ま、あくまでも“そこそこ”で、何とか耐えられるというレベルではあるんですけど。


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