PHILLY JOE’S BEAT (ATLANTIC)

PHILLY JOE JONES (1960)

PHILLY JOE'S BEAT


【パーソネル】

MICHEAL DOWNS (cor) BILL BARRON (ts) WALTER DAVIS (p) PAUL CHAMBERS (b) PHILLY JOE JONES (ds)
【収録曲】

SALT PEANUTS / MUSE RAPTURE / DEAR OLD STOCKHOLM / TWO BASS HIT
LORI / GOT TO TAKE ANOTHER CHANCE / THAT'S EARL BROTHER

【解説】

 今日はアスファルトコンクリートについて勉強したいと思います。…と言っておきながら前回はアスファルトの話だけで終わってしまったので、今日はコンクリートについて勉強してみたいと思います。コンクリート。あまりいい印象はありませんな。コンクリートジャングルとか、女子高生コンクリート詰め殺人といった、ネガティブな言葉しか頭に浮かんできません。“甘栗”と“勝ち栗”は好きでも、“コンクリ”は嫌い。…というのが僕の立場であるわけですが、いや、冷静になって考えてみると、“勝ち栗”というのもさほど好きではありませんな。だいたい、“勝ち栗”という名前の由来がよくわかりません。“勝ち”というのは縁起がいいから、めでたい。…という理由で、“よろこぶ”の昆布なんかと一緒におせち料理に名を連ねているわけでありますが、“よろ昆布(こぶ)”というのはまだわかります。くだらない語呂合わせではありますが、一応は論理的にも筋が通っております。が、“勝ち栗”のほうは“”に勝手に“勝ち”という言葉をつけて勝手に喜んでいるだけの話でありまして、“勝ち栗”と名乗るだけの必然性がどこにもありません。いや、もしかしたら“勝ち栗”を名乗るに値するだけの古来からの伝承があったりするのかも知れませんが、“田作り”というのも僕は好きではありませんな。ウチで飼っている猫のクロコは煮干が大好きで、僕はよく煮干をやっては手懐けている次第でありますが、たまに間違えて“田作り”をやったりすると、まるで見向きもしませんもんね。ネコも食わないようなものを、めでたいハレの日の料理に出すな!…と思わずにはいられませんが、ちなみに“田作り”というのはカタクチイワシの稚魚を干したものらしいんですが、これを肥料として田んぼに撒いたところ、何だかとっても豊作だったので、この名前があるんだそうでありまして。いや、めでたい話ですよね。“田作り”を名乗るに値するだけの十分な必然性があると言えるわけでありますが、いや、田んぼに肥料として撒くようなものを、めでたいハレの日の料理に出すな!…という気がしないでもないんですけどね。

 で、翻って“勝ち栗”。いやしくも、日本の“めでたい系”の食べ物の代表としておせち料理に名を連ねているからには、それに相応しいだけのエピソードがあるに違いないんですが、そういえば昔、源頼朝が戦の際の非常食として栗を“勝ち栗状”にしたものを持っていって、連戦連勝だった。…というような話を何かの本で読んだことがあったような気もするんですが、ここはひとつ正確を期すためにちょっと調べることにしてみましょう。えーと、“勝ち栗”の由来。えーと・・・、よくわかりません。栗は“勝ち栗”に通じるから、めでたい。…といったようなことしか書かれておりませんでした。あるいは“よろこぶ”と同様、“かちぐり”という、直接的に“”とは関係のない言葉が最初にあったということなのかも知れませんが、ま、そんなことは別にどうだっていいやぁ。…ということで、えーと、何の話でしたっけ?“甘栗”は好きでも、“コンクリ”は嫌い。…という話でしたね。で、僕は“コンクリ”も嫌いなんですが、“とっくり”というのもさほど好きではありません。ここで言う“とっくり”というのはお酒を入れる容器のことではなくて、“とっくりセーター”を略して言う場合の“とっくり”のことなんですが、僕はアレを見ると、すけべ系の雑誌なんかによく載っている“包○手術を促す整形外科の広告”を思い出してしまって、何だかとっても不快な気分になってしまいます。いけません。とまあそんなことで、他にもまだ“パクリ”とか、“チクリ”とか、“乳繰り”とか、“くりくり♪”とか、論じてみたい語尾に“くり”の付く言葉はたくさんあるんですが、本題に戻って“コンクリ”の話。コンクリートというのはアレですね、奥が深いですよね。第一、僕は“セメント”と、“コンクリート”と、“生コン”と、“モルタル”と、“土間コン”と、“捨てコン”と、“大根”と、“蓮根”と、“男根”の区別さえよく付かないというのが実情でありまして、いや、さすがに僕も、“蓮根”と“男根”は違うよね?…ということくらいは、何となくではありますが理解はしているんですけどね。“蓮根”には穴がありますが、“男根”にはありませんもんね。いや、微妙にあったりするんですか?いや、そんなことはどうでもいいですね。で、そんな僕も最近になって、少し土木建築的なお仕事にも従事する機会があって“土間コン”と“捨てコン”の区別くらいは付くようになってきたんですが、“土間コン”というのはアレです。土間に打つコンクリート。ま、簡単に言ってしまえばそういうことなんですが、で、一方の“捨てコン”のほうはアレです。捨てちゃうコンクリート。ま、簡単に言ってしまえばそういうことですよね。厳密に言うとまったく違うような気もするんですが、ま、細かい話は置いといて、“セメント”と“コンクリート”と“生コン”と“モルタル”の違いだけはきちんと押さえておいたほうがいいと思うので、ここで簡単にお勉強しておきましょう。

 えーと、まずは“セメント”ですか。これはアレです。“生コン”や“モルタル”を作るための材料になるものです。で、セメントを混ぜて水で練ると“モルタル”になります。でもって、セメント砂利を混ぜて水で練ると“生コン”になります。そんだけ。いやあ、あっという間に答えが出ちゃいましたね。このネタだけで1回分の原稿を持たそうと思っていたのに、そう簡単に砂や砂利を混ぜて水で練っただけでモルタル生コンになってもらっては、ネタに困ってしまいますね。“ネタ”と“練った”を掛けてみたところで、1行くらいしか間が持ちません。仕方がないのでもう少し深く掘り下げてみて“生コンの配合”について考えてみたいと思うんですが、というのも、先日、取水ポンプの基礎の打設を巨泉組(仮名)のクリちゃん(愛称)に頼んだところ、「生コンの配合は?」と質問されたからなんですが、いや、そう聞かれて僕は、「はぁ?」とか思ってしまいました。そんなこと僕に聞かれてもぉ。…といった感じですよね。いや、世の中に“生コンの配合”という概念があるということは何となく知識として持ち合わせておりましたが、それがいったい何を意味しているのやら、取水ポンプの基礎にはどのような配合が適しているのやらといった専門的な問題に関してはまったく無知な僕でありまして、だからこうしてクリちゃん(愛称)に頼んでいるんぢゃんか。…と言いたくなってしまいましたが、いや、僕としては「よきに計らえ。」という殿様気分だったんですけどねぇ。が、世の中、どうやらそういうワケにもいかないようでありまして、仕方なく、クリちゃんが他社から浄水機の基礎の打設も依頼されていることを知っておりましたので、「浄水機の基礎と同じでいいですよぉ。」と答えておきました。いや、その選択が果たして正しかったのか、今の時点でもサダカではないんですが、ま、とりあえずその場を取り繕うことは出来た次第でありまして。現場監督に求められる資質は、このような柔軟な対応だと思うんですよねぇ、僕は。で、既にもう生コンは打設されちゃった後で、「この前の配合、間違ってたぁ。てへ♪」…と可愛く言ってみたところで、今さら取り返しは付かないんですが、今後のために少しお勉強しておきましょう。今回、クリちゃんが選んだのは“24-8-25”という配合だったんですが、この3つの数字はいったい何を意味しているのでありましょうか?

 僕は最初、セメント砂利を混ぜる割合を示しているのか?…とか思っておりました。セメント24に対して、砂利を8、砂を25の割合で混ぜるんだよね。…みたいな。が、調べてみたら、ぜんぜん違っておりました。いやあ、危なかったです。知ったかぶりをして、「セメント24に対して、砂利を8、砂を25の割合で混ぜておいてね。」…などと発言したら、とんだ大恥をかくところでありました。とんだ大恥をかいて、“セメント24に対して、砂利を8、砂を25の割合で混ぜておいてねの稲葉”などという、とんだ恥さらしなあだ名で呼ばれることになっちゃうところでした。いや、そんな覚えにくくて言いにくいあだ名で呼ばれることはないかも知れませんが、少なくとも、「稲葉クンって、生コンの配合のプロだよね。」…などと、嫌味のひとつも言われる破目にはなっていたと思います。危ないところでした。で、正しくはこの3つの数字が何を示しているのかと言うと、左から順番に“呼び強度スランプ粗骨材の最大寸法による記号”なんだそうで、いや、何のことなんだかさっぱりわかりませんね。で、生コンの種類としてはこれ以外にも“コンクリートの種類による記号”と“セメントの種類による記号”というのもあって、それぞれ“普通”“”というのが今回のものに該当するようです。いやあ、なかなか奥の深い世界ですなぁ。僕は今まで“哀愁土建屋”とか言って、土木建築的な仕事を軽視してきたケーシー高峰。…といった嫌いがあったんですが、これを期に認識を改めなければなりませんね。ゴメンよぉ、今まで馬鹿にして。ということで、順を追って検証してみることにしましょう。まずはえーと…、“コンクリートの種類による記号”でありますか。これには“普通”というタイプのほかに、“普通でない”というタイプがある模様です。具体的には“舗装”“軽量1種”“軽量2種”というのがあるんですな。コンクリート舗装というのは 舗装の渡辺組”のサイト では極めて評判が悪かったんですが、どうしてもアスファルトでは駄目。…という場合もあるんでしょう。で、続いては“セメントの種類による記号”なんですが、これには実にたくさんの種類があります。“”と“”と“BB”と“UH”と“”と“”と“SR”と“SA”と“SB”と“FA”と“FB”というのがあります。こんなフリーエージェントみたいのやら、SBゴールデンカレーみたいなのやらを全部覚えなければならないかと思うと、うんざりしてしまいますが、基本的には“ノーマルのN”を押さえておけば、ま、なんとかなるのではなかろうかと。で、続いては“呼び強度”でありますが、これは、生コン強度の品質区分を表す記号で、荷卸し地点における生コンを所定の材齢まで20±3℃で水中養生した圧縮強度として何N/平方mm必要とするかによって、その値に該当する呼び強度を購入者が指定するものです。種類は基本的に18,21,24,27,30,33・・・・とあります。…とのことでありました。いや、説明を読んでも今ひとつよくワカランのですが、ま、その道のプロであるクリちゃんが“24”というのを選んだわけだから、それはきっと正しい選択だったのでありましょう。いや、多分。。。

 で、“粗骨材の最大寸法”というのはアレです。“生コン”というのは先述のとおり、セメント砂利を混ぜて作るんですが、その砂利のことを骨材と呼びます。アスファルトの時にもこの骨材という言葉が出てきたと思いますが、例えば“24-8-25”という配合の生コンの場合、混ぜてある砂利の大きさは、だいたい25ミリくらいだねっ♪…って、そんだけ。で、続いては“スランプ”ですが、これはまあ、簡単に言ってしまえば“生コンのへこたれ具合”ということになろうかと思いますが、この“へこたれ具合”は超ハイテクな測定機器を用いて数値化することが出来るようになっております。生コンの打設当日、クリちゃんは僕が何も頼んでいないにも関わらず“生コンの強度試験屋”という人を連れてきて、僕は諮らずもその検査に立ち会わされる破目になってしまいました。ところで、“はからずも”というのは、この漢字で正しかったんですかね?“諮らずも”でサイト検索したら、妻の痴態を想像し、諮らずも股間を堅くしてしまった勇次は…などという文例が出てきたんですが、全部で30件足らずしかヒットしなかったのが少し心許ないところではありますなぁ。…とまあ、それはさておき、生コンの強度試験の話を続けると、コンクリートに求められる資質というのは勇次の股間と同様、硬さにあると思うわけです。で、生コンの強度試験屋はクリちゃんが手配した生コンを何やら円筒形の筒のようなものに6本ほど詰め込んでおりましたが、おそらくアレを試験場に持ち帰って20±3℃で水中養生した圧縮強度としてデータを出したりするのでありましょう。まだその結果は出ておりませんが、おそらく“24”という数字をクリアしているものと思われます。いや、多分。で、その他にも“空気量”とか“塩化物含有量”、“Ct”といった測定項目もあって、これらの試験は現地で行われたわけなんですが、いや、“Ct”というのは何かと思ったら生コンに棒状温度計を突っ込んで温度を測るだけのものだったんですけどね。で、最後に“スランプ検査”というのが行われたんですが、いやあ、ハイテクでしたなぁ。ちょうど こんな感じ で測定するんですが、試験屋の兄ちゃんは「生コン車で柔らかめに持ってきとるから。」…とか言って、生コンに勝手に砂を混ぜて、硬めにしておいてから測定しておりました。試験結果を見るとスランプ値は“8.5”ということになっていて、見事に“24-8-25”という配合の真ん中の数字(“8”)をクリアしております。いやあ、さすはがプロの技ですなぁ。…と感心した次第なんですけどね。ところで、この試験の様子を見ていてふと思ったんですが、これって大便の下痢度の測定にも応用出来るんじゃないですかね?大便を所定のサイズのコーンに詰め込んでそっと引き上げると、健康な便の場合はすっくと立ち上がり、軟便の場合はぐぢゃっとへこたれ、極度の下痢便の場合はそのまま流出しちゃう…みたいな。で、その“へこたれ具合”をセンチで表すわけでありますな。いや、そんなものを数値化してみたところで、いったい何の意味があるのか?…という気がしないでもありませんけど。ちなみに最近の僕はちょっぴり下痢気味で、原稿のほうも極度のスランプ気味ぃ。…ということを告白しておいて、今日の話はおしまい。

 ということで、今日はフィリー・ジョーだじょー。しかしなんですな。今回のプレゼント企画はまったくもって不調でしたなぁ。もはや当選発表のページを作るだけの気力もないのでこの場を借りて業務連絡させていただきますが、“kash-a”さま、“園田裕三”さま、“そうじ機Rock”さま、もしこれを読んでいたら、郵便番号住所氏名を明記の上、 さばぴょん までメール下さいませ。適当に見繕ってキティちゃんグッズを送っておこうと思います。が、思うだけで実行には至らないかも知れませんので、ま、その際は運が悪かったと思って諦めてくださいね。で、掲示板のほうは相も変わらずド低調でありますが、アクセス解析のほうはまずまず堅調なので、それだけが心の支えでありますなぁ。最近は検索ワードとして“ショートスキー”というのがずっとトップを走っております。2位の“素股”に大差をつけております。が、いずれも記事としてはまったく大したことが書いてないので、何だか心苦しい限りでありますが、ホントに大したこと書いてありませんからね、 めいほうでショートスキー初体験 。ネカマ口調が自分で読んでてもこっ恥ずかしいし、1000メートル程度のコースでも完走するのは困難…って、何たる軟弱な軟便野郎や!…と、自分を責めたい気持ちでいっぱいであります。こんな僕も最近はすっかり短い板に慣れて、3000mくらいのコースなら余裕で完走出来るようになりました。ポイントは直滑降で押し通すことにあるんですが、よく考えたら直滑降って、まったくもって何の運動にもなってませんもんね。ただ重力に従って自然落下しているだけの話ですもんね。おかげさまで最近はまったくの筋肉痛知らずでありますが、ただクラウチング・スタイルというのは“うんこスタイル”と間違えられやすいのが、やや欠点なんですけどね。…という話はいつも書いているので本題に入るとして、フィリー・ジョー・ジョーンズ『フィリー・ジョーズ・ビート』。いやあ、これはいけませんねぇ。何がよくないって、サイドマンにまったくソソられるものが無いところがよくありません。テナーがビル・バロンで、コルネットがミシェル・ドーンズ。いや、これはいけません。ビル・バロンというのは個人的に最もソソられるものがないテナーマンの筆頭に名前が挙げられる人だし、ミシェル・ドーンズという人に至っては、もはやどういう人なのかまったく見当がつかない次第でありますが、「ぱんつ見せる?」「どうぞぉ♪」…みたいな、極めてありきたりな俳句しか浮かんできそうも無いところもマイナス材料ですよね。いけません。でもまあ、フィリーのリーダー作でまだ紹介していないのは、僕の手持ちではこれしかなかったので仕方がないわけでありまして、とまあそういうことで、とりあえず1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 1曲目はガレスピーの 「ソルト・ピーナッツ」 ですか。これはいいですな。世間では俗に “ガレスピーのソルピー” として親しまれている曲でありまして、いかにもガレスピーらしいおちゃらけた遊び心が、日本のコアなファンの間では大顰蹙。…といった作品でございます。個人的にはけっこう好きなんですけどね、塩気のよく効いたピーナッツって。ミックスナッツの中に入っているナッツ類の中ではマカダミアナッツとアーモンドとカシューナッツの次ぐらいに好きでありまして、いや、それより下というと、もはやジャイアントコーンくらいしかないんですけどね。で、食い物としてはまあまあの範疇でも、曲の出来としては今ひとつでありまして、ただひたすら騒がしいだけ。…といった印象しか僕にはありません。が、フィリー・ジョー版は、あの「そるぴーなっ、そるぴーなっ!」…という、素っ頓狂(←死語?)なガレスピーの歌が入ってないだけ、まだマシ?…と思って聴いてみると、なるほどこれはドラマーをフィーチャーするには悪くない曲ではありますな。フロント陣とフィリーの掛け合い…みたいな感じでテーマが演奏されて、冒頭からフィリーのスインギーなドラミングを堪能することが出来ます。いや、ただ騒がしいだけ。…という気がしないでもないんですけどね。が、その軽薄なムードをソロ先発のウォルター・デイビスがピリッと引き締めておりまして、いや、パウエルを思わせるような重厚なタッチがいいですなぁ。あだち充の漫画、『タッチ』でカッちゃんが死んじゃうという設定はどうかと思いましたが、あの時点で僕の心の中の『タッチ』は死んじゃいましたからね。タッチが死んで、僕はマッチに走った次第でありますが、いやあ、いい歌でしたなぁ、 「愚か者」 は。アレを大賞に選んじゃったのは、レコード大賞史上で最も愚かな行為だった。…などという人もいるようですが、でもまあ、ピンクレディの 「UFO」 だって受賞しているわけだしぃ。で、ウィルター・デイビスのピアノ・ソロの後半にホーン陣が絡んできて、そしてそのままミシェル・ドーンズのコルネット・ソロになるんですが、期待度がゼロだっただけに、これはなかなかの儲け物でありました。ミュートを付けてのプレイは、超アップテンポをモロともしないようなテクニシャンぶりでありまして、どうしてこれだけ吹ける人が、無名なままの地位に終わってしまったのか?…と不思議に思ってしまうほどでありまして。いや、僕が知らないだけの話で、その筋ではけっこう有名な人なのかも知れませんけどね。で、ソロ3番手はビル・バロンであります。この人に関してはもう、期待度はマイナス20%くらいであったわけなんですが、なかなかどうして。なかなかワイルドな吹きっぷりでありますな。でもってその後、フィリーのドラム・ソロになるわけですが、何とも単純明快な叩きっぷりには好感が持てますな。マックス・ローチみたいに変に思索に走ったりしないところがいいです。でもって、テーマに戻って、おしまい。ま、派手な演奏ではありましたな。

 で、2曲目はぐっと落ち着いたムードで、 「ミューズ・ラプチャー」 という曲が演奏されます。ジョン・ハインズという人の曲らしいんですが、ハード・バピッシュな佳曲…といった感じでありますな。はんぎょどんラッシュな破局ではありません。…って、何もわざわざそんな無理のあるボケをかます必然性もないんですが、「“はんぎょどん”も結構好きなのね。」…と言っていた女子高生ひろぽんは、どこに行ってしまったんですかねぇ。年賀状をくれたんですが、あまりにも絵柄が適当だったので、「こんなものを配達してくれる日本の郵便局もまだまだ捨てたものではありませんなぁ。」…などと茶化したのがよくなかったのか、以来、“ぷちぷれぜんと”にも応募してくれなくなっちゃいました。ゴメンよぉ。悪気はなかったんだよぉ。…と、この場を借りて謝っておきますが、ソロ先発はビル・バロンでありますな。岐阜にはバロン警備保障という名前のガードマン派遣会社があって、どうして警備会社なのに、バロン?…と、いつも疑問に思っているんですが、いや、警備会社の名前がバロンであってはいけないということではないんですけどね。で、ここでもバロンの吹きっぷりはやや意味不明なフレーズも聴かれたりして、彼のことをあまり買っていない僕は何だかほっとしてしまいましたが、いや、それほど激しく忌み嫌うほど酷い…というワケでもないんですけどね。で、ソロ2番手はミシェル・ドーンズですか。今度はオープンで吹いておりますが、前曲でのバピッシュなプレイとは打って変わって、ここではコルネットという楽器の持つファンキーな味わいがよく出ていて、極めて良好であると評価せざるを得ません。続くウォルター・デイビスも好調です。続いてチェンバースのソロもフィーチャーされますが、アルコに走ることなく、ピチカートで我慢しているところに救いがあります。でもって、テナー→ドラムス→コルネット→ドラムスの4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。ま、なかなか堅調な栗林観鳥。…といった感じの演奏ではありましたな。

 で、次。「ディア・オールド・ストックホルム」。このアルバムでは最もポピュラーな選曲であると言えるでしょう。モロに日本人好みの哀愁を帯びたメロディを持つ曲故に、演奏のほうも悪かろうハズがなく、テンポ設定は結構速めで、コルネットのリードするテーマ・メロディにテナーが絡む形でテーマが演奏されております。フィリーのサポートも今場所の朝青龍みたいに磐石でありますな。ま、それにしてもまったく盛り上がりのない初場所でありまして、昔、親戚のおじさんが経営している大森屋という八百屋に“タマノイのパーポー”というのが売っていた。…という、ただそれだけの理由で応援しているタマノイ部屋の栃東はさっぱりだったし、ま、唯一の救いはグルジア出身の黒海が国会議員になったことくらいですかね?…って、いや、そんなものにはなってないような気もするんですけど。で、テーマに続いてすぐ、ベースのピチカート・ソロになるという構成も洒落ていて、でもって、テーマの一節をはさんでドーンズのコルネット・ソロでありますか。相も変わらず元気な吹きっぷりでありますな。他に似たようなスタイルの人を思いつかないんですが、敢えて言えば、物凄く調子に乗った時のデイブ・バーンズがコルネットを吹いているみたい…とでも言うか。それにしても玉乃島は何だかぱっとしませんなぁ。名前が“”だから。…という、ただそれだけの理由で応援しているんですが、一方、スキー・ジャンプのマッティ・ハウタマキくん(フィンランド)は頑張ってますよね。ヤンネ・アホネンくん(フィンランド)と共にジャンプ界を引っ張って欲しいと思います。で、演奏のほうに話を戻すと、コルネット・ソロの後はバロン君のテナーですね。オーソドックスというわけでもないのに、前衛と呼ぶには中途半端。…といったところが僕のお眼鏡には適わないんですが、ま、別にいいんですけどね。で、ウォル・デビの悪くないソロがあって、テーマに戻って、おしまい。さ、今週も残すところあと4曲ですね。1曲当たり5行…といったペースで消化していこうと思いますが、まずは1曲目に引き続いてのガレスピー・ナンバーで、「トゥー・ベース・ヒット」。 タイトルとは裏腹に、ベースではなくてドラムスのためのショー・ケース…といった感じの曲でありまして、フィリーのプレイで言うと、BN盤 『ソニー・クラーク・トリオ』 での演奏がまず頭に浮かんでまいります。で、 本作のテーマ部ではミシェル・ドーンズのコルネットの派手さが目だっております。ソロ先発はバロンなんですが、ま、この人の意味不明プレイは置いといて、ドーンズのプレイにどーんと耳を傾けてみることにしましょう。・・・・・。…と思っていたら、結局最後までドーンズのソロらしいソロは出てまいりませんでした。ウォルター・デイビスの出番もなくて、どうやらこの曲では徹底的にビル・バロンをフィーチャーする方針だったようで。ま、別にいいんですけどね。

 で、5曲目は 「ロリ」 という曲です。いいですなぁ、ロリ。個人的に“ロリ系”だとか、“ロリ顔”だとか、“ロリ声”といった類のものには激しく惹かれるタチでありまして、あ、“ロリ体型”なんていうのもいいですよね。めりはりのないところが、もうたまらんっ♪…みたいな。で、これはアレですね。ジミー・ギャリソンの曲なんですね。前曲ではテーマ部だけで目立っていたミシェル・ドーンズが今度はミュートでしっとりとテーマを歌い上げておりまして、フィリーのブラシによる絶妙なサポートぶりにも注目!…でありますな。抑制の美学…といった感じなんですが、その崇高なムードをソロ先発のバロン君が見事にブチ壊してくれちゃっております。1曲目でのプレイを耳にして、もしかして心を入れ替えたのか?…と一瞬だけ期待しちゃったんですが、やはり相変わらずでありました。いや、ある意味では期待通りと言えるかも知れませんけどね。プレスティッジのコルトレーンをもっとこうヤリイカ風にしたと言うか、いや、書いている本人も意味はよくワカランのですが、とにかくまあ、何だかとても節操がないんですよね。そんなことで弟のケニー・バロンは納得しているのか?…と不思議に思わずにはいられないんですが、ま、よそ様の兄弟のことなど、僕がとやかく言う筋合いではないんですけどね。で、ソロ2番手はミシェル・ドーンズです。4曲目では僕がじっくり耳を傾けてみようと心を決めていたにも関わらず、結局はソロとしての出番がなかったんですが、今度は大丈夫です。ミュートを用いて抑制の効いたプレイを展開しておりまして、派手系でも渋系でも、硬軟どちらでもこなせるオトナでありますなぁ。僕なんかバリバリ硬派一点張りで、ナンパ系にはまったくもって弱い嫌いがあるので、大いに見習わなければなりませんね。とまあそれはそうと、朝青龍は結局、全勝優勝でありますかぁ。栃東の今日の相撲はあまりにも不甲斐無いですよね。タマノイのパーポーもきっと草葉の陰で泣いていることでありましょう。来場所の奮起に期待したいところでございます。でもって、チェンバースのピチカート・ソロがあって、ウォルター・デイビスの良好なピアノ・ソロがあって、フィリーのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。

 えーと、次は6曲目ですか。「ゴット・トゥ・テイク・アナザー・チャンス」というのは曲名も何だか歌モノっぽいし、曲自体にも何だかお洒落で洒脱で解脱な雰囲気が漂っているんですが、作曲したのがフィリー自身というのはちょっと意外な感じがしますな。フィリーにこんな作曲の才能があったという話はあまり聴いたことがないので、あるいはパクリかも知れませんね。いや、きっとそうに違いありません。(←根拠もなく勝手に決め付ける僕。) 何故かというと、僕もよく人様のサイトのパクリをするからなんですが、極めて高潔な人格である僕にしてこの有様ですので、フィリー・ジョーあたりともなるとこれはもう、パクリたい放題…みたいな。いけません。(←自分のことを棚に上げる僕)。で、それはそうと、ミシェル・ドーンズはまたしてもミュートですか。これまで、わりとバラエティ的な見地からも頑張ってくれていた彼でありますが、ここにきてややマンネリ化の傾向が見られますね。…って、毎回毎回“うんこネタ”連発の僕にそんなこと言われたくないですかい? で、それはそうと、ラブリーでキュートなテーマに続いてまず最初にソロを取るのはウォルター・デイビスでありますか。このアルバムは曲ごとにソロ・オーダーを変えて目先の変化が付けられていて、その点では大いに評価することが出来ますね。あとはまあ、ドーンズ君が2曲続けてミュートを吹くのをやめるとか、バロン君が意表をついてあっさりと吹いてみるとかと言った、あと一工夫が求められるところでありますが、でもまあ、ドーンズ君のミュート・プレイも悪くないし、バロン君のくどいテナーが、もうたまらんっ♪…みたいなマニアが世の中にいないとも限らないしぃ。で、この曲ではピアノ→コルネット→ベース→テナー→ドラムスという、かなり変則的な順序でのソロ回しがあって、テーマに戻って、おしまい。さ、いよいよラストです。「ザッツ・アール・ブラザー」 はこのアルバム3曲目のガレスピー・ナンバーなんですが、賑々しいところがフィリーのお気に入りなんすかね? ややキャッチーさに欠ける嫌いのある曲ではありますが、フィリー自身は気持ちよさそうにタイコを叩いているので、ま、いいんじゃないっすかね? で、ソロ先発はドーンズ君、続いてバロン君、更にはデイビス君…と、順当な順序でソロ回しが執り行われ、あ、バロンとデイビスのソロのバックにドーンズ君が絡んでくるくだりもあって、そこのところがなかなかいい感じなんですが、最後にはきちんとコルネット→ドラムス→テナー→ドラムスの4バースもあって、何だか絵に書いたような真っ当なハードバップではありますな。ということで、おしまい。

【総合評価】

 最初に聴いた時点では、地味やなぁ。…という感じだったんですが、じっくり聴くと悪くはないですよね。バロン君がくどいのがややネックですが、ドーンズ君とデイビス君は頑張ってるし、無論、フィリー君も元気です。ポール君も弓弾きを封印しているところが、マル。


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