SPEAK,BROTHER,SPEAK! (DEBUT)

MAX ROACH (1962/10/27)

SPEAK,BROTHER,SPEAK!


【パーソネル】

CLIFFORD JORDAN (ts) MAL WALDRON (p) EDDIE KHAN (b) MAX ROACH (ds)
【収録曲】

SPEAK,BROTHER,SPEAK / A VARIATION
【解説】

 今年もいよいよ押し詰まってまいりました。スキー場の雪便りが気になる季節となりました。ジングルベルの曲が聞かれる季節になりました。そろそろ大雪の季節です。…って、いやこれは“季節のあいさつ文例”というサイトにあった時候の挨拶なんですが、ジングルベルの曲がめっきり聞かれない季節になってしまいましたね。今、スーパーなんかでよく流れているのは「お正月」あたりでありまして、押し詰まりも、どん詰まりも、糞詰まり。…といった感じでありますが、今年の暮れはどういうわけだか、あまりその実感がありません。どうしてだろう?…と自分なりに考えてみるに、どうやらあまり暮れらしいことをしていないからじゃないか?…という事実に思い当たった次第でありますが、“暮らしいこと”…というと、例えば、クレラップの買出しだとか、クレンザーで鍋を磨くとか、一人で“クレクレタコラごっこ”をしてみるとか。いや、“クレクレタコラごっこ”は一人でやるよりも、みんなでやったほうが俄然盛り上るんですが、僕は友達がいないので一人でやるより他ないわけでありまして。が、一人でタコラチョンボモンロの役をやっていると次第に空しくなってくるので、今年の暮は「もう、やらないっ!」…と心に決めた次第でありますが、そういうしょうもないことを除外しても、今年の暮は“暮らしいこと”とは無縁でありましたなぁ。大掃除もおざなりだったし、ミスタートンカチでヘルメット姿で注連縄を買っているウチの親父を見かけることもありませんでした。いや、ウチの親父はどういうわけだか相当の“ヘルメットフェチ”でありまして、よくバイク用のヘルメットを被ったまま、庭で土いじりをしてたりするんですよね。どういう心理状況なんだかよくワカランのですが、僕はその根底に“自動車コンプレックス”が潜んでいるものと睨んでいるんですよね。というのも、ウチの親父は免許は持っているものの、クルマの運転はまったく駄目で、よってサバ家には長らく“自家用車”というものが存在していなかったわけなんですが、クルマが運転出来ないというのは、何と言うかその、男の沽券に関わるというか、クルマも運転出来ないようではギャルにモテないような気がするというか、劣等感を感じてしまうというか、ついでに残尿感もあるというか、いや、それはまた別の種類のビョーキだと思うんですが、とにかくまあ、あまり褒められた事態ではないな。…といった意識が心の片隅に潜んでいて、それを克服するためにウチの親父は“原チャリ”を愛用しております。クルマには乗れないんだけど、バイクには乗れるんだかんな!…ということで、自己のプライドを納得させているのでありましょう。近くのゴミ収集場へ資源ゴミを出しにいく時でも、わざわざ原チャリの荷台に乗せて、それを押して歩いていってますもんね。

 が、原チャリに乗っている時には“とってもカッコいいライダーの僕”であっても、ひとたび原チャリから降りてしまえば“クルマの運転が出来ない冴えない年寄り”である現実を突きつけられてしまうわけでありまして、その心の隙間を埋める手段として、“ヘルメフェチ”という病状が出てしまったのではないか?…というのが僕の推測なんですけどね。ヘルメットさえ被っていれば、「まあ、あの人、バイクに乗れるんだぁ。素敵っ♪」…と思ってくれるに違いない。…と勝手に思い込んでいて、その結果、ヘルメット姿で土いじり…という、傍から見たら思わず引いてしまう行為に走ってしまった次第でありますが、去年の暮はヘルメットを被ったまま、ミスタートンカチで注連縄を買ってましたもんね。それはもう、傍から見ていてもやるせない光景でありましたが、そうまでして原チャリに乗れることをアピールしたいんかい?…と、せつない気持ちでいっぱいになってしまいました。…というような出来事も今年の暮にはなかったので、僕自身の“年の瀬感”が今ひとつ希薄なのかな?…という気がするわけなんですが、僕がどう思おうと世間では年の瀬なので、今日は年の瀬らしくこの1年を振り返ってみたいと思うんですけどね。過去を振り返らない。…というのが僕のポリシーなんですが、じゃ、君は“振り替え休日”が無くてもいいんだね?…とか言われると困るので、ここはひとつ素直に振り返っておこうと思う次第でありまして。で、ここまで書いて、ふと、“振り替え休日”というのがあるんだから、“フリチン休日”というのがあってもいいよね?…というアイデアを思いついたんですが、よく考えてみるとそんなものは無くてもいいに違いないので、話を先に進めましょう。えーと、この1年の出来事ですな。まず最初に思い出すのは、「昨日、“カーピカランド”に行ったね。」…ということなので、その話から始めてみましょうか。“カーピカランド”というのはどういうところなのかというと、名前からだけではまったく見当が付かないと思いますが、実はクルマをピカピカにするところだったりするわけでして、そもそも、どうしてそんなところに行こうとしたのかと言うと、「クルマをピカピカにしようかな?」…と、ふと思い立ったからなんですけどね。思い立ったが吉日、奮い立ったが屹立、とにかくまあ、近くのカーピカへ行ってみると年の瀬ということもあって、結構な賑わいぶりでございました。ただ、前回来た時にはギャルの2人連れがいて、心も晴れやかにカーをピカすることが出来たんですが、昨日はオッサンばかりだったので、心が幾分暗く沈みました。元々このカーピカは貯木場の裏にあって、マンションの影になってあまり日もあたらず、何だかどよーんとした空気が漂っているんですよね。しばらくすると本社にいる経理の高橋サンによく似たおばさんが“RAV4”に乗ってやって来たりしましたが、全体的にはさほど盛り上がることのない1日でありました。おしまい。

 いやあ、わざわざサイト上に公開するまでもないような話でしたな。単なる行数稼ぎやん。…と思われても仕方のないところでありますが、他にはえーと…、あ、そうそう。12月23日には都内某所で極秘の飲み会が開催されました。あくまでも極秘に行なわれたものなのであまり黒い字では書けませんが、ジャズ好きのロリ声人妻と、怪しいジャス酒場を覗いて見る集い…みたいな。夏にも一度そういう企画があったんですが、お目当ての店がお休みだったので、忘年会を兼ねてその雪辱を果たそう!…みたいな話になったわけです。で、当日、僕は昼まで会社で仕事をして、“一番楼”で台湾ラーメンと天津飯のセットを食べ、しかるのちにクルマで岐阜羽島まで走って、お土産に“長良川ゆらり”というのを買ったんですが、いや、“鵜飼だより”というのとどっちにしようか、ちょっと迷ったんですけどね。が、結局は渡すタイミングを逸して自分でぜんぶ食べちゃったので、別にどっちでもよかったかな?…という結果に終わった次第ですが、ちなみに“ゆらり”のほうは“清流長良川をテーマに、「屋形船」と「金華山」を入れて和のデザインで構成しました。アーモンドの香ばしさを生クリームと蜂蜜・バター・グラニュー糖でヌガー状に閉じこめた上品なお菓子です。”…ということでありまして、なるほど、確かにヌガーっとした感じの菓子でありました。が、そんなことはどうでもよくて、僕は2時間弱の新幹線乗車時間を有効的に利用して、ザウルスで原稿を書いてみるぅ?…とか思っていたんですよね。このところ“スキー場オープン状況ガイド”にかまけて釜飯を食べたり、釜揚げうどんを食べたりの日々で、他のコーナーがまったく進捗してないですからね。で、思っただけでなく、実際に駅のホームでは新幹線が来るまでの時間を有効活用して都合3行ほどの原稿を書いてみたんですが、いざ列車が到着して指定された座席に言ってみると、隣席はギャルでありました。それも、かなりケバ系のギャルなんですよね。バッグの類はすべてヴィトンで固め、髪は長めで何と言うのかその…、かなり複雑系なヘアスタイルのギャルでありました。あまりタイプではないな。…という気持ちと、でもとりあえずギャルだからよかったよね。…という思いが複雑に入り乱れる中、僕は座席についたわけでありますが、どうにも何だか、鞄からザウルスを取り出して原稿を書いてみるぅ?…という気分にはなれないわけでありまして。このところ更新が滞っている原因の85%くらいは、このギャルが若干ケバかったことに起因しているわけでありますが、仕方がないから僕はずっと寝たふりをしておりました。

 で、いつの間にかウトウトしていた僕は、バシャ…というシャッター音で目を覚ましました。どうやら隣席の“ややケバぎゃる”が携帯電話を取り出して何やら撮影に励んでおられるようなんですが、もしかしたら僕のキュートな寝顔に心を動かされて、思わずシャッターを押してしまったのかも知れません。あり得る話ですよね。だとすれば、ここで目を開ければこっそり撮影に励んでいる彼女に気まずい思いをさせることになるので、しばらく様子を窺っていたんですが、やがて、「わかるかなぁ?」…という彼女の独り言が耳に入って来ました。それを期に目を開けてみると、彼女は僕とはまったく反対側の窓のほうにカメラを向けておりまして、つられて僕もふと窓の外に目をやると、おおっ!富士山がモロ見えやん! いやあ、今まで何度も新幹線に乗ったことがあるんですが、これほどまで綺麗に富士山が見えたのは初めてでしたな。綺麗も何も、チラっとすら見えた例(ためし)が無かったですからね。タムシに罹患して股間が痒かった例(ためし)はあるんですが、それはまたぜんぜん関係のない話でありまして、とにかくまあ僕は富士山が見えたヨロコビと同時に、こんなケバいギャルだって、富士山には感動するんだぁ。…という事実が何だか嬉しくて、以来、彼女のことがちょっぴり好きになりました。ちなみにこのギャル、ややケバい外見とは裏腹に、意外と礼儀正しい人だったりもしたんですけどね。…とまあ、新幹線の中での話はそれくらいで、さしたる盛り上がりもなかったわけですが、続きまして乗り換えた横浜線の車内に話題を転じましょう。僕の近くに高校1年生くらいの私服ギャルが2人いたんですが、1人はジーパン姿で、もう1人はパンツが見えそうなくらい短いスカートを穿いておりました。僕のほうからは顔がよく見えなかったんですが、大きな髪飾りがとってもチャーミングな、でもちょっと微妙なセンかな?…といった気配が漂っておりました。いや、僕は“不細工フェチ”…とまではいわないまでも、ちょっと愛嬌のあるくらいの微妙なセンのギャルがタイプだったりするので、チラチラと様子を窺っていたんですが、いや、パンツが見えないかな?…といった下心とはまったく無縁な純粋な気持ちだったんですけどね。で、その2人組は僕と同じ東神奈川で降りて行ったんですが、階段に差し掛かった時に僕は少し動揺を覚えてしまいました。というのも、階段で前を歩いていく“微妙ぎゃる♪”のパンツが微妙に見えそうな位置関係になっちゃったんですよね。いや、故意とか必然ではなくて、偶然に。ぎゃるのほうも当然そのことを気にしておりまして、鞄で後ろを押さえながら階段を上っておりましたが、もう1人の“ジーパンぎゃる”に大きく遅れを取って、やがて大きな声で、「パンツ見えるぅ。。。」…って、いやあ、なんだか無邪気で可愛いっ♪…と僕は思ってしまいました。で、パンツ隠し用の鞄を取り落として一人で騒いでおりましたが、実に心温まるほのぼのとしたひと時でありました。そんだけ。

 ということで、極秘飲み会です。メンバーは“ロリ声人妻”とアシスタントのギャル、それにギャルがもう1人と、おにいさんが2人、それに僕…の総計6名。途中でギャルがもうひとり増えるかもしんない。…という話だったんですが、仕事が抜けられずに結局は駄目でした。で、問題の“ジャズ系酒場”を偵察にいったメンバーより、「7時半の開店らしい。」というのと、「今日は“ハワイアンライブ”(フリードリンク3000円)らしい。」…という情報が提供された次第でありますが、何故、このクリスマスイヴイヴの時期にハワイアンなんかやってるんですかね?純ジャズ系好きの僕たちの気勢はこの時点でかなり削がれた次第でありますが、とにかくまあ、とりあえず小洒落系居酒屋みたいなところに入って、食うもん食って、飲むもん飲んで、テンションを上げることにして、それにしても一行の中のギャルが1人、やたらヘンなものを頼むんですよね。白子だとか、ホタルイカとか。僕は世の中で何が苦手って、白子とかホタルイカの類がいちばん駄目だったりするんですが、ま、それらは一切無視して手羽先だとか焼きハマグリなんかの無難系を勝手に頼んで食べたから、別にいいんですけどね。ちなみに僕は貝類もさほど好きではないんですが、やはりここは一応、桑名人の代表として注文させて頂きました。食べてみたら結構美味しかったです。で、“飲むほうの部”…では、どうやらこの店は焼酎に力を入れているらしい。…ということだったので、各自“キャプテンキッド”やら、“山猫”やら、“なんたら”やらを注文して、いざ僕の順番になってちょっぴり焦りました。決断力自主性が皆無に等しいことで名高い僕ではありますが、ここはひとつ、ロリ声人妻とギャル2名に、ビシッ!…としたところを見せたいところであります。横浜線の“微妙ぎゃる”がパンツを見せてくれなかったので、代わりに僕がいいところを見せよう!…って、既に1杯目のレモンサワーの酔いが回って思考回路に変調を来たしていた僕はワケのわからん論理でそう考えた次第でありますが、ロリ声人妻が“山猫のロック”を注文したのに便乗して、「じゃ、僕もそれを。」…といういつものパターンでは、あまりにも能がないですもんね。そこで近眼をこらして壁に貼られたメニューを凝視して、40秒くらいかけて僕が下した結論はコレでありました。「“烏飼うかい)”を、ロックで!」 いやあ、ビシっと決まりましたね。我ながら男らしい態度だったと思います。この銘柄を選んだ理由(わけ)は他でもない。桑名人の代表として焼きハマグリを選んだからには、岐阜市に勤務するものとして、やっぱり“うかい”はハズせない?…みたいな。が、僕の男らしいビシっとした注文態度にも関わらず、店のお兄さんはしばし無言のままでありまして、何やら気まずい空気が周囲を包みました。しまった、ハズしたか!?

 “うかい”という銘柄はロックで飲んだりするものではない。…というのが、まず最初に僕の脳裏に浮かんだ“沈黙の理由”でありました。先ほども“キャプテンキッドのロック”を頼んだ白子・ホタルイカ系好きギャルが、「それはアルコールが45度ありますから。」…とか言われて、水割りに変更させられた経緯がありましたからね。が、お兄さんの沈黙の理由は他のところにありました。彼はしばしの沈黙の後、意を決したようにこう言ったのでありました。「“鳥飼とりかい)”のロックですね。」…って、ガーン!読み方が違っていたのかぁ。。。いや、よくよく考えたら“うかい”というのはもうちょっとややこしい字だし(←“鵜飼”が正解)、でも吉本新喜劇に“烏川(うかわ)”という人がいるから、“烏飼”は“うかい”だと信じ切って、微塵の疑問も持ってなかったんですよね。だから、いつもなら「“うかい”…とか言うのをロック…で飲んでみるにヤブサカでないかなぁ?」…などと曖昧に言うところを、この日ばかりは自信たっぷりに言い切っちゃいましたもんね。いやあ、とんだ恥さらしでありましたなぁ。こんなことなら“山猫”にしておけばよかったと悔やんでみても時既に遅し。でも、店の兄ちゃんが間違っているということも考えられますよね。“”という字を“”と読むだけの知識がなくて、小学生みたいに何の考えもなしに“とりかい”なんて読んじゃって、ちょっとバカだけど、カワイー♪…みたいな。“”は“とり”だけど、横棒の1本少ない“”のほうは“”で正解なんだもんね。…って、いや、壁のメニューに書いてあった字は横棒があるのか無いのかよく見えなかったんですが、どうしても諦め切れなかった僕は家に戻ってからネットでこっそりと“鳥飼”という銘柄を調べてみたんですが、そこにはきっぱり“とりかい”と振り仮名が付けられていたのでありました。ああん。。。ということで、このお話はおしまい。皆さま、よいお年を。

 ということで、今日はマックス・ローチです。いや、怪しいジャズの店の話はどうなったんだ?…と思われる人がいるかも知れませんが、大丈夫です。この後すぐに出てきます。今日の後半部分は思いきり間を持て余すであろうことが明白なので、後ろにまわすことにしました。そもそもこのジャズ系酒場がどのように怪しいのかと言うとですね、店のある場所が限りなく怪しいですよね。マンションの1階と2階が店舗になっている…というのはよくある話なんですが、店舗エリアではなくて住居エリアのほうに店がある…というところがとてつもなく怪しいです。2階が中華料理の「バーミヤン」になっていて、そこに上がっていく外階段があるんですが、その途中にある非常扉みたいなところを開けるとその先は普通のマンションになっています。ごく普通のマンションになっているんですが、その片隅にいきなり“ジャズの店”があります。正確に言うと“ジャズ&囲碁サロン”らしいんですが、その組み合わせ自体にかなり問題があるような気がします。で、建物の1階にはちゃんと看板があるんですが、肝心の扉のところには何にも書いてなくて、まさかその奥にこんなお店があるなんて、このマンションの3階の住民でなければ、まず気が付かないでしょう。もし気がついたとしても、あの店には近付いてはいけません。…とお母さんに注意されそうな雰囲気が漂っておりまして、それでもメゲずに勇気を振り絞って店のドアを開けてみると…おおっ!中から陽気なハワイアンのサウンドが。店内にはアンティーク系の人形やら小物やらが所狭しと並べられていて、ある意味、意外とラブリーだったりもするんですが、そのラブリーなところがかえって不気味だったりします。店の奥には常連と思しき中年男女がたむろして、怪しげなハワイアンを奏でたりしているわけですが、マスターのよし男(仮名)曰く、「スチルギターの人は、けっこう有名な人なんですよ。」…ということらしいんですけどね。何と言うかこれは、ライブというよりも“近所の寄り合い”みたいなものでありますな。マンションの3階の住民が天皇誕生日を祝って、騒いでる…みたいな。ま、それでも最初のうちは一応ハワイアンのようなものをやっていたのでまだ許せたんですが、そのうち、1人のオッサンがいきなり、「意気地なし」を歌い始めたのにはちょっとビビりました。いやあ、子供の頃、“クラウンレコード1万円クイズ”で慣れ親しんだ森雄二とサザンクロスの歌を、こんなところでスチルギターの生伴奏付きで聴くことになろうとは、思ってもみませんでしたなぁ。囲碁…いや、以後、休憩タイムにマスターがピアノで「ベサメ・ムーチョ」「酒バラ」を弾いた以外はジャズともハワイアンとも無縁な“生オケ・スナック状態”と化しておりまして、白子&ホタルイカ好きのギャルは、「ワケのわからん演歌を聴かされて3000円は高い。。。」と、しきりにボヤいておりました。いやあ、東京の片隅には得体の知れない店があるものなんですなぁ。。。

 ということで本題に入ります。マックス・ローチ『スピーク・ブラザー・スピーク』 。もう、このクドい油絵調のジャケットが全てを物語っておりますが、この時期のローチにしては“僕たち、反抗しちゃうんだもんね”的な政治的要素は希薄で、純粋にジャズとして楽しめるところがいいんぢゃないか?…と、個人的には評価しているんですけどね。“ジャズ・ワークショップ”における実況録音なんですが、クリフ・ジョーダンをフィーチャーしたシンプルなカルテット編成で、演奏されるのはアルバム・タイトル曲ともう1曲の合計2曲だけ。いずれも20分を超える長尺モノではありますが、僕があらかじめ“間を持て余す”…と言ったのは、そのためです。たった2曲でどうやって後半を食いつなごうかと思案に暮れている次第でありますが、仕方が無いのでもうちょっと関係のない話を書きましょう。えーと、 『ムー』 1月号。毎年、新年号には別冊付録の“ミステリーハンドブック”が付いてくるので楽しみにしてるんですが、付録が挟んである関係上、本誌が幅広の輪ゴムで留めてあるんですよね。この輪ゴムが会社で書類を束ねたりするのにとっても便利♪…って、いや、この時期に僕が 『ムー』 を買う動機の80%くらいはそこにあるわけなんですが、“ミステリーハンドブック”は別にどうでもよくて。どうせならしょうもない別冊付録なんかより、幅広の輪ゴムを10本くらいオマケで付けてくれたほうが嬉しいんですが、それはそうと今月号の総力特集は 「物部神道−封印された“モーセの十戒」 でありますか。相変わらず、総力を上げてしょうもない特集を組んでくれたな。…という感じでありますが、個人的には“緊急報告!2004年大予言”のほうにソソられるものを感じますね。列島を襲う巨大地震…って、毎年必ずと言っていいほど、この予言は出ているような気がするんですが、んなもの10年も続けていれば、そのうちいつかは当たるよな。…という気がしますよね。それ以外に目につくところでは、「夏ごろにサダム・フセインが返り咲く可能性が。」…などと予言している人もおりますが、雑誌が発売になった時点で既に大ハズレ。…といった感じで、いやあ、立場がありませんなぁ、真弓香ちゃん。とまあそんなことで、そろそろ本題に入ろうと思うんですが、まず最初はタイトル曲の 「スピーク・ブラザー・スピーク」 という曲です。「しゃべれ、兄弟、しゃべれ。」…とでも訳すんでしょうか、無口な僕にしてみれば余計なお世話だという気もするんですが、ま、ある程度は自分の主張を相手に伝えることも大切だとは思うんですけどね。例えば例の“微妙ぎゃる♪”だって、こちらがちゃんと「ぱんつ見せて♪」…という意志を伝えておけば、場合によっては僕の希望を叶えてくれたかも知れないし、いや、タダでは駄目というのなら僕のほうとしても2000円くらいまでなら出す覚悟はあったんですが、いずれにせよこちらの意志を伝えない限りは、交渉すら成立しないわけでありまして。

 とまあそんなことで演奏のほうでありますが、まずはローチの叩き出すタイコにエディ・カーンのベースが絡む形で幕を開けます。で、すぐにマル・ウォルドロンのピアノが入ってきて、と思ったら立て続けにクリ・ジョーが出てきてテーマらしきものを吹き始めて、いや、ここのところは何だかとっても慌ただしい感じがありますな。で、そのままテナーのソロへとなだれ込んでいくわけでありますが、ライブ特有のドライブ感に満ち溢れた、実にホットで熱いプレイが展開されております。いやあ、辛かったですなぁ、トーハトの“暴君ハバネロ”。いや、怪しいジャズ酒場探訪が終わって、鶴見のホテルに帰る際に駅前のコンビニで買って食べたんですが、想像以上に凶暴的に辛くって、思わず“長良川ゆらり”を食べて口の中の中性化を図った次第でありますが、こんな辛いもん、食わすな!…と思わずにはいられませんでした。いや、僕が勝手に食べただけの話なんですけど。で、ここでのクリ・ジョーの演奏も暴君ハバネロに負けないくらいホットなものでありまして、聴いたあとで思わず甘栗を食べたくなっちゃうくらいなんですが、いや、クッキングパパ顔の今ひとつ地味なテナーマン@無機質なソニー・ロリンズやな。…という認識を持っていた人も、ここでの演奏を耳にすればクリフ・ジョーダンに対する認識が変わるものと確信します。で、開始から6分ほどでジョーダンが力尽きて表舞台から退き、客席からは拍手も起こって、あれ?これって25分3秒の演奏じゃなかったけ?…と思っているとすぐにローチが出てきてタイコを叩き始めます。そしてすぐにジョーダンが復活してしばらくソロを披露するんですが、またすぐに引っ込んで、今度はマルのピアノをフィーチャーしたパートでありますな。要するにこれ、組曲風のものであると判断してもいいのだと思いますが、淡々とした中に“黒い情念”を感じさせ、ドルフィー&リトルのファイブスポット・セッションを思わせるような展開もあったりして、これはこれでなかなか興味深い演奏が展開されております。いや、さほど盛り上がるということもないんですが、かと言って盛り下がるわけでもなく、とにかくまあ、淡々としたタンメンのようなプレイが展開されております。同じタンタンでも“タンタン麺”というのはけっこう激烈だったりするんですけどね。

 でもって第3部はエディ・カーンのベース・ソロをフィーチャーしたパートです。もう、考えてみただけでも、さほど盛り上がらなさそう?…といった感じがするわけなんですが、いや、期待を裏切らない地味地味ぶりでありますな。僕は基本的にジャズ演奏のマスターテープにハサミを入れて編集したりするのは許せないタチなんですが、このベース・ソロの部分だけはバッサリと切り取って貰ってもよかったんじゃないか?…と思います。もう、ハサミどころか、カミソリでメッタ切りにして貰っても構わないと思うほどでありますが…などと失礼なことを言ってはいけません。カーン君が全身全霊を注いで繰り広げる壮絶なピチカート・ソロに、心して耳を傾けてみようではありませんか。いや、僕は適当に聞き流しておきましたけどね。でもって第4部はローチのドラム・ソロに焦点を当てたパートとなっております。順番からしてそうなるハズです。各パートの出だしにはクリフ・ジョーダンが登場して熱いソロを繰り広げるんですが、それもつかの間、やがて“ザ・忍耐”といった世界が到来することになるので、覚悟を決めておきましょう。と言っても、ドラム・ソロというのはベース・ソロに比べると、かなりマシではあるんですけどね。特にローチの場合、よく歌うドラマーとしては石原裕二郎にも比肩するものがあるわけでして、いや、“よく歌う”の意味が違うような気もするんですが、とにかくまあ、おいらはドラマー、やくざなドラマー♪…とばかりに、ドラムにしてはメロディアスなソロを展開しております。イメージとしては 『限りなきドラム』 。まさしくあの世界でありますな。で、最後にジョーダンが出てきて一暴れして、おしまい。ある意味、起承転結の感じられる演奏ではありましたな。

 で、レコードで言うB面に当たるのが 「ア・ヴァリエーション」 という曲です。演奏時間は20分30秒。タイトルからして、1曲目の変形版?…というちょっぴり嫌な予感がしてたんですが、タイプとしては違った感じの曲だったので安心しました。コルトレーン的な高い精神性を感じさせる曲でありまして、作曲者としてマルの名前がクレジットされておりますが、どこかで聴いたことのあるような曲ですな。アタマの中ではトランペットのサウンドが鳴り響いているんですが、誰の演奏でしたっけね?…と思って心当たりを調べて見ると、ケニー・ドーハムの 『マタドール』 。あれの最後の 「プレリュード」 というのにちょっぴり似ているような気もします。もっともそちらはヴィラとロボスという人の作品ということになっていて、演奏としてもローチ版より遥かに地味だったりするんですけどね。で、他にもテナー系の人で誰かがやってたような気もするんですが、思い出せないので先に進みます。曲としてはアレですね。どんどんと奈落の底に落ちていきながら、這い上がる。…といった感じで、ちょっぴり 「レイジー・アフタヌーン」 的だったりするような気がしないでもありません。で、アドリブ・パートに入るとテンポも早くなって、スピリチュアル・モードからドライビング・モードへと転じるわけでありますが、ソロ先発のマルのプレイはアレです。まんま1曲目。…と言ってもいいほど似たような演奏に終始しておりまして、ま、これがマルの持ち味なんや。…と言ってしまえばそれまでなんですけどね。餅は餅屋。…という諺もありますしぃ。(←関係ない。)で、よく聴きと1曲目よりは多少ながらもノリがいいですよね。もう、やまと糊にも匹敵するほどなんですが、続くジョーダンのソロはバリバリ全開です。もう、糊のよく利いたシーツみたいにバリバリしております。ソフラン仕上げしろよ!…と言いたくなっちゃう一面もあるんですが、バリバリのシーツというのもそれなりに気持ちのいいものですからね。少なくとも僕はビリビリのシーツよりも好きです。ま、ビリビリとシーツというのもシチュエーションによってはワイルドでいいかな?…という気もするんですが、いや、ガバっと無理矢理…みたいな場面を脳裏に描いたりして。で、大変よく歌うテナー・ソロに続いては、皆さんお待ちかねのベース・ソロでありますな。僕はジャズ・ライブの醍醐味は延々と続くベース・ソロだと信じて止まない次第でありますが、スタジオ録音だと「ヤメぇ!」…と言われてテープを止められちゃうところを、ライブだとなんとなく許されるような雰囲気がありますからね。エディ・カーン一世一代の晴れ舞台に、とくと耳を傾けてみようではありませんか。いや、僕は適当に聞き流しましたけど。

 でもってその後、ジョーダンとローチの間で8小節交換…にしてはちょっと長すぎるような気がするので、おそらく16小節交換…くらいのやりとりが行われて、気分はいやがおうにも盛り上ってまいります。僕はジャズ・ライブの醍醐味はメンバー相互の丁々発止のやりとりであると信じて止まない次第でありますが、一人で地味に延々とベースを弾かれたりすると、他のメンバーや観客の迷惑を考えろ!…と言いたくなっちゃいますもんね。その点、ここでのクリ・ジョーとローチのやりとりはイイですなぁ。すくなくとも“あやとり”よりは盛り上ってますもんね。いや、僕は“あやとり”や“おてだま”のような伝統的な遊戯は大切に守っていくべきだと思っているんですが、ステージの上で演奏そっちのけでジョーダンとローチが“あやとり”を始めたりしたら、やはり観客としては「もっとやれぇ!」…と応援したくなると思いますね。個人的にはやっぱり“2段はしご”が好きっ♪…って、むちゃむちゃ地味な技なんですけどね。で、2人のやりとりの後はローチの独断場になっちゃうわけですが、ま、これはリーダーとしての特権でありますので、仕方がないと思って諦めてくださいね。人生、苦しみに耐えればいつかきっといい事があるはずです。ま、無いかもしれませんが、その時はその時です。で、その後クリフ・ジョーダンが再登場して一暴れして、おしまい。本年は以上です。

【総合評価】

 政治に走ってない…という点は大いに評価できようかと。ま、多少ベース・ソロのところでダレる嫌いはありますが、それも我慢出来ないこともない範囲だしぃ。


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