BACK ON THE SCENE (BLUE NOTE)

 BENNIE GREEN (1958/3/23)

BACK ON THE SCENE


【パーソネル】

BENNIE GREEN (tb) CHARLIE ROUSE (ts) JOE KNIGHT (p)
GEORGE TUCKER (b) LOUIS HAYES (ds)

【収録曲】

I LOVE YOU / MELBA'S MOOD / JUST FRIENDS
YOU'RE MINE YOU / BENNIE PLAYS THE BLUES / GREEN STREET

【解説】

 君は血を見るのが好きかな? 僕は駄目です。あれは確か、わしが小学生の頃ぢゃった。…って、人は誰しも昔のことを回顧すると、思わず“長老”になってしまうものなんですが、いや、もしかしたら僕だけなのかも知れませんが、とにかくまあ僕が小学生だった頃、同じクラスに“ニワ君”という少年がおりました。ニワという名前の少年は大抵、“にわぴょん”だとか、“にわりん”だとか、“にわっち”だとか、“にわとり”といったよび名、もしくは“わに”といったあだ名で呼ばれるものなんですが、この少年の場合は違っておりました。通称、“天才”…って、それほど頭脳が明晰だったわけなんですが、クラスでもナンバーワンでしたからね。将来はきっと、東大に行くだろう。…などと言われておりました。ちなみに僕はクラスでナンバーツーの成績でありましたので、アイツが東大なら、僕は京大や。…と思っていたわけでありますが、実際問題として、高校3年生になってみれば京大など受験の対象としてはまったくの問題外でありまして、高知大鳥取大日大タマガワ大…と、かろうじて手が届きそうなところにアタックを試みるも、すべて玉砕。いやあ、小学生の頃の成績なんて、まったくもってアテにならないものでありますなぁ。ちなみに僕は中学生の頃もクラスではナンバーツーだったんですけどね。ニワ君は別の名門私学に行っちゃったので、もはや僕のライバルではなかったんですが、よその小学校から来た女子生徒が僕の前に立ちはだかりました。こんなことを言っちゃなんですが、性格的にもルックス的にもあまり芳しくない女子生徒だったんですが、アタマだけはとってもよくって、僕はどうしても彼女を越えることが出来ませんでした。ところが中三の2学期の始業式の日、クラスのみんなは彼女の姿を見て、思わず絶句してしまいました。いきなりケバくなっていたんですよね。夏休みが終わったら、いきなりケバくなっていた女子生徒…というのは噂ではよく耳にしていたんですが、実物を目の当たりにするのは初めてでした。いやあ、貴重な体験でしたなぁ。“クレヨンしんちゃん”に出てくるブサイクなスケバンみたいになってましたもんね。ま、おかげで僕は中学生活も最後の頃になって、ようやくクラスでナンバーワンの地位を手に入れることが出来たんですが、それでも志望の公立高校にはスベっちゃったので、うちのクラスもぜんぜん大したことなかったわけですね。

 とまあ、それはさておき小学生時代のニワ君の話。図工の時間にみんなで彫刻刀で版画を彫っていると、突然ニワ君が「痛っ!」…と声を上げました。見ると、手の甲から、ほとばしる鮮血がっ! どうやら、ぼーっとしていて自分の手を“セルフ彫三郎”しちゃったようなんですが、ああん、僕、そういうの苦手なんだってぇ。血を見てるだけで、何だかこっちまで貧血を起こしそうになっちゃうんですよね。子供の頃、鼻クソをホジっていたら鼻血が出て、このまま鼻血が止まらずに、出血多量で死んじゃうんぢゃないか?…と、怯えたことも数知れず。とにかく僕は“”という存在に限りない恐怖心を抱いているのでありまして、ああん、いつまでも教室で血を流してないで、さっさと保健室に行けってばぁ! いやあ、昔、テレビのプロレス中継でブラッシーの噛み付き攻撃による流血シーンを見て、思わずショック死しちゃった年寄りの気持ちがよくわかりますね。が、女の人というのは血を見ることに割と慣れっこになっているみたいですね。年頃になると、月に1度の割合で“セルフ流血”を見ることになるのがその要因かと思われますが、クラス担任のナカヒロ先生の態度も立派なものでありました。もはや、女としての超ベテランという域に達していた彼女はニワ君の流血を見ても、慌てず騒がず。「彼は、よそ事を考えていたのね。ぼーっとしていると、こういうことになっちゃうのよ。」…と、生徒達に集中力の大切さを懇々と説いたりして、だからそんなことは後でいいから、さっさとニワ君を保健室に連れて行けってばぁ!

 もう1点。僕が小学生の頃、同じクラスにケンイチ君という少年がいました。粗暴な少年でありました。僕はよく彼に苛められておりましたので、彼のことがあまり好きではありませんでした。ニワ君のことも僕はあまり好きでありませんでした。僕よりも頭がよくて、何だか気にくわない。…といった、そのようなコドモじみた理由によるものではなくて、ニワ君はちょっと、性格的に問題があるよなぁ。…という気がしていたのがその理由なんですが、よく、不細工な女の子を苛めて泣かせたりしておりましたからね。担任のナカヒロ先生からも、「成績はよくても、女の子を苛めたりする人がいます。」…と、暗に厭味を言われたりしておりましたが、ナカヒロ先生ニワ君に対する出血時の冷静な対応、見方によっては冷血な対応も、そんなところに起因していたのかも知れませんね。ちなみに僕も、血を見るのは嫌だったんですが、心の中ではちょっぴり、「いい気味やん。」…とか思ってしまいましたもんね。で、ニワ君から苛められていた不細工な女の子は心に深い傷を負ったようで、卒業文集にみんなが、「楽しかった修学旅行」みたいなポジティブな作文を書いている中、「私といじめ」みたいな作品を寄せていて、ひとり異彩を放っておりました。「私をいじめる人はたいてい、あまり頭のよくない人たちです。でも、中には頭のいい人もいます。」…とか書いてあって、同じく苛められる立場だった僕は思わず貰い泣きしてしまいました。やや不細工ではありましたが性格のいい娘だったので、今頃、幸せになっていることを望まずにはいられません。

 で、こう言ってはナンですが、“あまり頭のよくない人たち”の代表だったのがケンイチ君でありまして、彼はいつものように弱い者いじめをしていたわけなんですが、ある日、思わぬ反撃にあって、“油拭きの時に使う黄色いワックスを入れるための大きなミカンの缶詰のカンカン”を投げ付けられたことがありました。クラスに必ず1つはありましたよね、“油拭きの時に使う黄色いワックスを入れるための大きなミカンの缶詰のカンカン”。おそらく元々は給食用に使われるミカンの缶詰が入っていたんだと思うんですが、ちいさなバケツくらいの大きさがあって、油拭きに使う黄色いワックスはこのカンカンに小分けされて各クラスに配分されることになっておりました。ミカンの缶詰のカンカンに入った油拭き用のワックスはとっても黄色い色をしていて、ミカンのカンカンに入っているから、黄色いのかぁ。…と、子供心にも十分に納得のいくものでありましたが、もしかしたらミカンのカンカンに油拭き用のワックスを小分けして配分していたのはうちの学校だけの話で、あまり全国区で通用するネタではないのかも知れませんが、油拭きをした直後の教室の床はとってもよく滑って、あまり頭のよくない男子生徒達は“スケートごっこ”をして遊んだよね。…という話は、おそらく賛同を得られるのではないかと。で、結局のところ何を言いたかったのかと言うと、その投げ付けられたカンカンがケンイチ君の頭にあたって、頭が切れて、鮮血がほとばしったと。で、僕としては血を見るのは嫌だったんですが、心の中ではちょっぴり、「いい気味やん。」…とか思ってしまったと。いわゆる“因果応報”というヤツですな。人を苛めたりすると自分が血を見るハメになるわけで、いい気味やん。…と、僕は思うわけであります。

 さてそこで、『大人の科学マガジンVol.2』の付録、“探偵スパイセット”の中から第2弾として、“血液判定薬”というのを紹介したいと思います。血を見るのが大の苦手である僕には、恐らく警察の鑑識の仕事は務まらないと思うんですが、“血液判定薬”というのは、ちょっぴりソソられるものがありますよね。ちなみにこのクスリは僕が小学生の頃の 『科学』 の付録の“科学そうさセット”の中にも入っていて、見事、実際の犯罪捜査の役にたったという実績があるんですよね。そもそもそれはどのような事件であったのかと言うと、ある日、塩サバ2号が血のような染みのついた布切れを持ってきたのが事の牛タンでありました。いや、事の発端でありました。牛タン発端は、間違えへんやろ?…という気もするんですが、ま、それはともかくとして、「これ、本物の血やでぇ。」…と、塩サバ2号は何やら誇らしげでありまして。いや、何となくその気持ちは分かるんですけどね。“流血=男らしい”…みたいなイメージが少年の心の中にはあって、血を流すというのは、何だかカッコええやん!…みたいな。ま、確かに人の流した血を見て、貧血を起こして半ケツ状態でぶっ倒れちゃうようなヤツより、ピストルで頭を撃たれて血を流しつつも、「大したことねーよ。」…と平然としていられる男のほうが、遥かにハードボイルドでカッコいいわけでありまして。塩サバ2号としても“本物の血のついた布切れ”を見せることで、“男らしい自分”をアピールしたかったのでありましょう。ま、その気持ちはワカランでもないんですけどね。アホらしいことだとは思うんですけど。

 で、塩サバ2号から“本物の血のついた布切れ”を見せられた時、僕はちょうど、学研のおばさんが配達してくれた 『科学』 の付録の“科学そうさセット”を箱の中から取り出したばかりのところでありました。グッド・タイミングと言えば、これほどタイミングのいい話はそうざらには無いわけでありまして、「ちょうどええわ。これ、“血液判定薬”やて。」…と、僕は塩サバ2号に問題のクスリを見せたわけでありますが、すると彼は無言のまま、“本物の血のついた布切れ”を持って、どこかへ消えてしまったのでありました。ま、恐らくカゴメソースか何かの染みだったんでしょうな。かくして僕は塩サバ2号の“偽証罪”を見事に暴くことに成功した次第でありますが、その思い出の試薬が今、ここに甦る!…って、いやあ、なんだかワクワクしちゃいますなぁ。で、このクスリはかなり本格的なものであります。A薬B薬C薬という3種類の粉薬があって、それを自分で調合しなければならないというのが、凄いです。セットには小さな匙とシケた試験管とプラスチック容器が入っているので、これらを駆使して薬剤を調合しなければなりません。そこのところが実に本格的だ。…という気がするんですが、そこのところが実に面倒臭い。…という気もします。しかも、そこまでの手間と苦労をかけさせておきながら、“注意:血液型はわかりません”というのだから、正直なところ、ちょっぴりがっかりしてしまいました。ああん、血液型が判定できる薬だとばかり思っていたのにぃ。。。でも、言われてみれば“血液判定薬”というのはそのようなものであったわけで、要は血痕ソースの染みかが判定出来れば、それでいいわけなんですけどね。で、メゲそうになる気持ちにムチ打って調合方法の説明を読んでいくと、いきなり“試験管の下から6mmくらいのところまでぬるま湯を入れ…”とあったので、さらに意気消沈しちゃいました。いきなり“ぬるま湯”と言われても、僕の部屋には火を沸かすような装置は無いっ!…と、文句のひとつも言いたくなるところでありますが、とりあえあず便所に行って、便器の中の水を汲んでまいりました。いや、水道の蛇口から取るよりは、多少生ぬるいかな?…という気がしたからなんですが、僕はその時、とても素晴らしいアイデアを思いつきました。ウォッシュレットなら、温かいお湯が出るぢゃん!

 ということで、無事に“ぬるま湯”の採取に成功したわけでありますが、いやあ、生まれて初めてウォッシュレットの洗浄動作を目で確認することが出来ましたな。奥のほうからノズルがびよ〜んと伸びてきて、先っちょから液体がぴゅ〜っと発射されるんですよね。おかげで顔面直撃を食らってしまいましたが、そこまで苦労して採取した水は、水道の蛇口から取ったのとどこがどう違うんだ?…と言いたくなるような冷たいものでありまして、もういいっ!冷たくったって、いいっ! で、次の手段としましては、まずA薬を小匙に1杯、続いてB薬を小匙に5杯入れると。そんだけ。あれ、C薬は?…と誰もが疑問に思われたことでしょう。僕もそう思いました。ま、そのワケは後から書くとして、そうして2つの粉薬を溶かした水をプラスチック容器の中に入れれば“血液判定薬”の出来上がり。水が冷たい関係からか、粉が溶けきれずに底のほうに沈殿してたりしてますが、溶けなくっても、いいっ!沈殿してても、いいっ! で、問題はここからでございます。説明書には、“あらかじめ紙に牛肉魚の血をうつしとって、乾燥させておく”…などと書かれておりますが、僕の部屋には牛肉魚の血もねーって! “傷口などがあれば自分の血でもよい”とありますが、僕のカラダに傷口なんかねーって! こういう時に限って鼻クソをホジってみても鼻血が出てはくれないし、鼻血が出るほど強くホジるというのも何だか嫌だし、無論、剃刀で手首を切るような勇気は僕にはないし、リンゴをカジってみても歯茎から血は出ないし、健康診断の直腸触診で“”の気は無いと言われちゃったしぃ。血痕に“血液判定液”を垂らして暗いところで見ると、ぼーっと青白く光って見えるとのこのなんですが、ここまで来てこの実験は遂に頓挫してしまうのでありましょうか?

 …と思っていたら、さすがは学研、ちゃんと手は打ってくれてありました。先ほど出番がなかった“C薬”なんですが、これは“粉末ヘミン”と言って、これを水に溶かした溶液に“血液判定液”を垂らすと、血痕の場合と同じように暗闇で青白く光って見えると。いや、僕には“ヘミンの粉”が神サマのように思えましたな。これからはヘミンの神の慈悲にすがって生きていこう。…と心に決めた次第でありますが、さっそく神サマを水に溶かして“血液判定液”を垂らして部屋の灯りを消してみると・・・、おおっ

 ということで、今日はベニー・グリーンです。あ、“血液判定薬”の実験結果でありますが、見事に成功致しました。部屋の灯りを消すと、試験管の中の液体がぼーっと青白く光って見えました。で、感動のあまり、早速デジカメで撮影してみたんですが、こちらのほうは見事に失敗しました。どうやらCCDで捉えられるほどの強い光ではないらしく、皆様にこの神秘的な光景をお届け出来ないのが残念ですが、しかし何ですな。ヘミン溶液が光って見えたところで、何だかちっとも嬉しくありませんな。やはり、本物の血ぢゃないと意味ないぢゃん…みたいな。今度、運よく鼻血を出すことに成功した暁には、鼻の穴に詰めて鮮血に染まった鼻紙で実験してみたいと思いますが、ちなみにこれ、専門用語ではルミノール反応と言うそうですね。ああん、刑事ドラマとかで耳にしたことがあるぅ♪…という人も多いと思いますが、先述のとおり血液型の判定には使えないのと、牛でも魚でもスッポンの血でも、血ィだったら何でも反応して青白く光っちゃうのが難点。で、古い血ィほど発光は鮮やかになるそうだから、鼻の穴に詰めて鮮血に染まった鼻紙は3日ほど天日で乾燥させて、カピカピになってから“血液判定液”を垂らしたほうがいいかも知れません。ということで、ベニー・グリーンです。ルミノール反応の色は紅色やグリーン色ではなくて、青白い光なんですが、ベニー・グリーン。これまでジャケ絵を書くのが面倒そうだったので敬遠していたんですが、遂に手持ちが無くなったので出さざるを得なくなりましたね、『バック・オン・ザ・シーン』。あ、ジャケ絵と言えば先日、ロンドン在住のジャック君からメールを頂きました。英語のメールだったので、どうせまた“すけべサイト”の宣伝だろうと思って削除しかけたんですが、タイトルが“Jazz Giant”となっておりましたので内容を読んでみると…、えーと、僕は英語が苦手なので、細部においては間違っているかも知れませんが、恐らくこういうことを言いたかったのではなかろうかと。

 ちょうど今、君のサイトに辿り着いたんだけど、今までこんなの見たことなかったよ!
 君はどうしてこのようなジャズ・アルバムの絵を書いているんだい?それが君の仕事なのかな?
 出来れば日本語のテキストを読んで、君の言ってることを見てみたいなぁ。
 ありがとう。

 なるほど、たとえ言葉は通じなくても、ジャケ絵は世界中の人に通用するということなんですね。残念ながら僕は英語に堪能ではないのでメールの返事すら書くことが出来ませんでしたが、Thank you , Jack (London, UK)! ま、そのうちイギリスでも 『Jazz Giant 英語版』 というのが出版されることになると思うので、その時はたっぷりと僕の言ってることを堪能してくださいね。いや、もしかしたら、「ジャケ絵・イズ・ベリー・クール!バット・ユア・テキスト・イズ・ベリー・フール!」…てなことになっちゃうかも知れませんが。僕の文章って、英語に翻訳するとほとんど意味がなくなっちゃいますもんね。いや、日本語でも充分にミーンレスなような気もしますけど。ということで、『バック・オン・ザ・シーン』 なんですが、このアルバムはジャケットが素晴らしいです。書くのは面倒そうですが、実に秀逸なデザインだと思います。アルバム・タイトルから察するに、ベニー・グリーンは何らかの事情、ま、おそらくはクスリでラリラリ♪…みたいな事情でしばらくジャズ・シーンから遠ざかった絵いたんでしょうが、この度、無事に復活を果たすことが出来たと。その喜びがグリーンの右手のあたりから、実にひしひしと伝わってまいります。チャーリー・ラウズを従えたメンバーもいいですよね。メンマはシナチクですけどね。ピアノがジョー・ナイトというのは、あまりよく知らない人だからどうか?…という気もするんですが、ベースにはジョージ・タッカー、ドラムスにはルイス・ヘイズと、なかなか堅調なところを備えております。もう、岐阜県の県庁は岐阜市にあって、県鳥は雷鳥って感じぃ?…って、しかし何ですな。県鳥って、そんなものを正確に把握している人って、世の中にどれ程いるものなんですかね?日本の国鳥キジ。…というのは何となく知っているかも知れませんが、県鳥まではなかなか難しいですよね。ちなみに三重県の県鳥はシロチドリ…って、んなもの、いったいどんな鳥なんだか。。。ということで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはコール・ポーターの 「あ、伊良部よ!」 ですか。僕はタイガースのいちファンとして、今年の伊良部クンの活躍ぶりはそれなりに評価しているんですが、正直なところ、後半戦はどうも今ひとつでありましたな。特に日本シリーズ第6戦における伊良部クンの先発は、星野監督の温情がまったく裏目に出た形でありまして、オフにFA宣言した時には正直、ほっと胸を撫で下ろしたんですが、結局は居残ってしまったではないですかー。おまけにムーアはクビ…って、この時点で来シーズンの優勝は厳しくなってしまいましたが、ま、また18年後にでも頑張ってくれれば、それでいいんですけどね。で、「アイ・ラヴ・ユー」。定番ですよね。カラオケで尾崎を歌うなら、やっぱりこれ?…と、ギャルからのリクエストも多い曲なんですが、僕は歌えません。仕方がないからとりあえずジュリーの歌をもっかのところ練習中なんですが、そういえば昔、ドラゴンズにモッカという選手がおりましたなぁ。で、近鉄のローズはジャイアンツに移籍ですか。近鉄ファンの僕としては、魂を売り渡したと言ってもいい程の背信行為ではありますが、ま、ゼニをつぎ込まなかった近鉄側にも非はあるような気がします。コンニャク好きの僕としては、現役時代にコンニャク打法で鳴らした梨田監督のことは応援しているんですけどね。ということで、「アイ・ラヴ・ユー」。定番どおり、ラテンのリズムで料理しておりますな。で、ベニー・グリーンというと何かこう、垢抜けないオッサン。…というイメージがあったんですが、なかなかどうして。テーマ部のアレンジなど、実にアーバンなノーパン喫茶。…といった仕上がりになっております。洒脱にして解脱で、うだつのあがらないオッサン…といった印象は希薄です。で、ソロ先発はベニ・グリでありまして、さすがにアドリブ・パートに入ると噂どおりの“ほのぼの系”というか、アーシーなムードの芦屋系というか、いや、ぜんぜん芦屋系ではなくて、どちらかというとメシ屋系というか、とにかくまあ、かなり泥臭い個性を存分に発揮しております。で、ソロ2番手はラウズ。この人はアレですよね。ウズラの卵が好き。…って、何となくそんな気配が漂っているわけですが、モンクと一緒にやっていた頃の演奏など、あまり日本では評判がよくありません。が、ここでは“乗りに乗ったプレイを聴かせてくれるのもうれしい。”…と、日本語ライナーで原田和典クンが指摘しているとおり、かなり健闘したプレイを披露しております。いいことだと思います。僕はけっこう好きですからね、ウズラの卵。特に3つ串に刺してフライにしたヤツが美味しいですよね。あとはえーと…、ウズラの卵料理ってあまりバリエーションがないんですが、あ、中華丼の中にも入ったりしてますよね。いや、入っていたところでさほど嬉しいものでもないんですけど。で、ちょっと意外だったのはピアノのジョー・ナイトでありまして、個人的には全然よく知らない人だし、日本語ライナーによるとR&B畑での活躍が長かったようなので、正直なところ期待度は3%程度。が、実際に聴いてみると、すんごいよかったです。ソニー・クラーク的な“溜め”の感じられるタッチで、もう、ジャズ・ピアノ界の溜め桝…と呼びたいほど。いや、何だかよくわかりませんけど。んなことでまあ、テーマに戻って、おしまい。

 で、2曲目は 「メルバズ・ムード」 という曲です。CDのクレジットではメルバ・リストンのオリジナルみたいな記載になっておりますが、レナード・フェザーの原文ライナーだとベニ・グリがメルバ・リストンに捧げたオリジナルということになっていて、どちらが正解なのかよくわかりません。よくわかりませんが、ま、おそらく、原文ライナーのほうが間違っているんでしょう。いい加減ですからねぇ、ガイジンって。ちなみにメルバ・リストンというのはギャル系のトロンボーン奏者でありまして、作編曲家としてもその筋ではわりと名前が知られております。ランディ・ウエストンの 「メルバズ・スケッチ」 という曲は彼女に捧げられたものだったと思いますが、もしかしたら違ったかも知れません。いい加減ですからねぇ、うちのサイトって。で、原文ライナーには“メルバベニーと同じくトロンボーン奏者であり編曲者だが、もっと美人であることはベニーも認めるだろう”…などと書いてあります。ギャル系の演奏者だと、とりあえず“美人”と持ち上げることで有名ですからねぇ、レナード・フェザーは。もう、下心丸出しという感じで、いけません。ちなみにメルバ・リストンはトロンボーン奏者であり編曲者であるわけですが、ベニー・グリーンのほうはトロンボーン奏者であり偏屈者だったそうですね。演奏を聴いてる限り、あまりそんな感じはしないんですが、あるいはぜんぜん別の人のことだったかも知れません。で、 「メルバズ・ムード」 でありますが、これはアレです。実にムードのある曲です。ま、暗いと言えば確かに暗いんですけどね。僕の知り合いのウクライナ人もこの演奏を聴いて、思わず、「う、暗いな。」…と言っておりましたが、僕の知り合いのグルジア人は、「麻原彰晃は尊師(グルじゃ。」…と言っておりました。いや、ぜんぜん関係のない話ですけど。で、僕の知り合いのアゼルバイジャン人は・・・、えーと、特に何も思いつかなかったので何も言っておりませんでしたが、とまあそういうことで、「メルバズ・ムード」。哀愁を帯びたマイナー調のメロディが印象的ですね。ゆったりとしたラテンのリズムに乗って、トロンボーンとテナーのハモリ具合も絶妙です。で、ソロ先発はラウズ。倍テンポでなかなかドライビングなソロを展開しておりまして、とっても快調です。続くベニー・グリーンのソロはミュートによるものでありまして、とっても味わい深いです。で、ソロ3番手のジョー・ナイトも相変わらずいい感じですな。特にソロの後半、ピアノのアドリブにホーンが絡んでくるあたりの演出は憎いばかりの三国屋のレモンレスカ。…といった感じでありまして、いや、叔父さんの家の近くにあったんですよね、三国屋という酒屋さん。そこでよくレモンレスカというのを買って飲みました。調べてみたら岐阜市にある合名会社木本商会というところの製品らしく、もしかしたら物すごくローカルな飲み物なのかも知れませんけどね。で、ピアノ・ソロの後、再び哀愁味を帯びたテーマに戻って、おしまい。

 で、3曲目は歌モノの 「ジャスト・フレンズ」 でありますが、これまたラテンのノリでありますな。テンポの違いこそあれ、A面は“ラテン3連発”でありまして、「ただの友達」はアップ・テンポの演奏となっております。イントロ無しでいきなりテーマに入るのはこの曲の定番パターンなんですが、テーマ部のアレンジはユニゾンを基本にしたシンプルな仕上がり具合。で、ソロ先発はグリーンなんですが、アドリブ・パートに入ると普通の4ビートに転じます。で、グリーンの吹きっぷりは“ほのぼの”そのもの。こんな演奏をしておいて、キャラは偏屈…とは、なかなか油断がなりませんな。いや、あるいはぜんぜん別の人のことだったかも知れませんけど。で、ソロ2番手はラウズです。原文ライナーには“ちらりとソニー・ロリンズを思わせるところがある”…と書いてありますが、ま、確かにそのように思わせる部分がちらりとあるような気がしないでもありません。で、続いてはジョー・ナイトだじょー。ちなみにコルトレーンのオリジナルに「ミスター・ナイト」という曲があるんですが、アレはジョー・ナイトに捧げられたものなんだそうですな。原田クンの日本語ライナーにそう書いてありました。で、ピアノ・ソロのあと、セカンド・テーマ的なアンサンブル・パートがあって、アレンジ的にもなかなか凝った演出が施されているのでありました。で、ラテンな乗りのテーマに戻って、おしまい。さ、次に参りましょう。「ユーア・マイン・ユー」。かの有名な 「ボディ・アンド・ソウル」 を書いたエドウィン・ヘイマンとジョニー・グリーンという人の作品らしいんですが、「身も心も」 同様、実にしみじみとした名バラードに仕上がっております。ジョー・ナイトのピアノによるイントロから、ベニー・グリーンがワン・ホーンで吹くテーマ部へと入っていくわけなんですが、実に何と言うか、人間的な温かみを感じさせるプレイですよね。いや、根は偏屈らしいんですけど。ちなみにこの曲、J.J.ジョンソンがブルーノート1506で取り上げた曲らしいんですが、ブルーノート1506と言えば、このコーナーで前々回に取り上げたヤツの“Vol.2”のほうですな。で、どこまでがテーマで、どこからがアドリブなのか今ひとつ判然としないんですが、グリーンの後、ラウズ、再びグリーン…と続いて、おしまい。最後の部分が何気にラテン調なのは、ま、ご愛嬌ということで。

 で、5曲目は 「ベニー・プレイズ・ザ・ブルース」 という曲です。タイトルどおり、ベニーがブルースをプレイするナンバーなんですが、ピアノのイントロを聴いていると、何だかパーカーの作ったブルース・ナンバーを聴いてるような感じぃ?…といった気配が感じられないこともありません。で、テーマ自体はアレです。シンプルなリフ・ブルースです。個人的にはリフ・ブルースよりも裸婦・ズロースのほうがソソられるものがあるかな?…といった気もするんですが、いや、ハダカなのか、下着なのか、はっきりしろ!…という気もするんですけど。で、テーマの後は13コーラスに及ぶベニー・グリーンのソロであります。このソロに関しては原文ライナーになかり詳しい分析があるのでちょっと引用させて頂くと、“あるときは縦横無尽に吹きまくり、テクニックインスピレーションの驚くべき連携を聴かせる。またあるときはムードを変え、12小節の1コーラスをほとんど1音で吹ききったりする。最初と第7コーラスはトニック、最後のコーラスはフラット3度で、そのあとラウズに渡す。”…って、おおっ、何という専門的な分析。僕には到底、真似出来ませんね。“フラット3度”などという専門用語は今までに使ったことがなくて、ま、せいぜい、マツナガの“しるこサンド”は大して旨くもないね…みたいな。で、詳しいことはよくわからんのですが、アルバム全体を通じて、ここでのソロがベニー・グリーンのベスト・パフォーマンスであるな。…という感じは何となく伝わってきて、特に途中でラウズのテナーが絡んでくるあたりのくだりは、実にまあ、エキサイティング。でもって、その流れを引き継ぐラウズのソロもとっても熱いものとなっております。で、ソロ3番手のジョー・ナイトは、R&B畑の出身ならもうちょっと下品にやってくれてもよかったかな?…という気がしないでもないんですが、ま、適度に黒っぽいプレイを展開しておりまして、で、その後は“ユニゾンヴォイシングしたリフになる”…と。ここのところの盛り上がり具合は凄いです。で、“ベニーがさらに何コーラスか吹いたあと、リフにもどって終わる”…と。いや、完璧な演奏でしたな。

 で、ラストです。 「グリーン・ストリート」 はメルバ・リストンのオリジナル…ということで、もうちょっとこう、ファンキーな世界を期待してたんですが、何というかこう、どちらかと言うとハード・バピッシュなナンバーでありました。で、ソロ先発はラウズ。続いてはベニー・グリーンですな。いや、そろそろ書くことがなくなってきたんですけど。ちなみにレナード・フェザーは“チャーリーベニーはセッション中最良の仕事をしている”…と書いておりますが、なるほど、ベニーのほうはともかく、チャーリーのほうはこちらのソロのほうが前曲よりも出来はいいかも知れませんね。で、続くナイトのソロに関し、フェザーくんは“ウイントン・ケリーを思わせる響きうんぬん”…と指摘しておりますが、なるほど、言われてみるとそんな響きが感じられなくもないですよね。往生しまっせ〜。…って、それは大木こだま・ひびき。…って、何ともまあ、中途半端にメジャーな漫才コンビという感じでありますが、ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 期待度はかなり低めだったんですが、いざ聴いてみると、意外なほどよかったです。いや、もしかしたらベニー・グリーンのアルバムも中でもベストの出来のベスト電器。…と言い切っても、あながち便器ではなかろうかと。…って、意味わかりませんけど。


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