不毛な企画も2回目を迎えました。ま、不毛というのもある種のマニアにとっては非常に喜ばしい状況であるわけなので、一概に否定することは出来ないんですが、まず手始めは“熱と伝熱”でありますか。いけません。管工事は電気工事と違って物理そのものみたいなジャンルが出てこないから、まだマシ?…とか思っていたんですが、とんでもない間違いでありました。“比熱と熱容量”って、んなもん、まったくソソられるものがないんですが、やっぱり覚えておかないといかんのですかね?
・比熱とは物体の単位質量の熱容量、すなわち [ 1kg ] の物質の温度を [ 1K ] だけ高めるのに要する熱量のことである。熱量を [kJ] で表した場合、水の比熱は [ 4.186 ] [kJ/kg・K]となる。
何でそんなややこしい数字や?…と文句のひとつもいいたくなっちゃいますよね。それに確か、水の比熱は“1”とちゃうんか?…と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、水の比熱が“1”だった、そのような牧歌的な時代は20世紀で終わってしまいました。確かに水の比熱は“1kcal/kg・K”なんですが、それをジュールに換算するとこういう数字になっちゃうわけです。いわゆる“SI単位”というヤツでありまして、これからはこの単位でいこう!…と決まってしまったからには、それに合わせた数字を覚えるしかないわけでありまして。仕方がないので“よっ、いいハム”と覚えておきましょう。別に“よいハム”でもいいんですが、これだと小数点の位置がはっきりしないので、個人的には“よっ、いいハム”のほうを推奨しておきます。“いいハム”だがら間違えて“4.1186”と覚えてしまったとしても、僕はそこまで責任は取れません。ちなみに温度の単位の“K”というのは絶対温度(ケルビン)というヤツでありますな。これを“℃”にしてみたところで数字的には変わりません。で、熱容量という用語が登場しましたが、
・熱容量は物体を加熱したときの温まりにくさ、あるいは物体を放置したときの冷えにくさを表すものである。
この場合、「ああん、放置されると余計に熱くなっちゃうのぉ♪」といった事例は、ただいたずらに話をややこしくするだけなので、忘れて下さい。要するに、鉄は熱しやすくて冷めやすいから、比熱が [ 低い ] 。…という場合に用いられる指数であるわけですが、熱容量というのはその比熱に [ 質量 ] を掛けたものです。で、熱力学において取扱う比熱には [ 定容比熱 ] と [ 定圧比熱 ] の2つがあります。2つもあるな!…と思わずにはいられませんが、あるものは仕方がないので、素直な気持ちで受け入れる
よりほかありません。すなわち、物体の温度と体積(容積)と圧力というのは綿密な3P関係にありますので、どれかひとつを一定にしておかないとワケがわかんなくなっちゃうわけでありますな。で、固体や液体の場合、温度が多少変化したところで体積にさほど変動があるわけではないので、実用上この2つを区別する必要はありませんが、相手が気体となるとそうはまいりません。気体は温めると容積が大きくなっちゃいますもんね。じゃ、刺激をあたえると大きくなっちゃう海綿体の場合はどうなんだ?…というと、そのような事例は、ただいたずらに話をややこしくするだけなので、忘れて下さい。で、この2つの比熱を比べると、常に [ 定圧比熱 ] のほうが [ 定容比熱 ] よりも大きいそうでありまして、何故かというと、そういうものだからなんですけどね。とりあえず、“痛ぇ、足ひねった、大いに痛ぇよぉ。”と覚えましょう。“痛ぇ、足ひねった=てぇあつひねつ”…って、我ながら今ひとつやなぁ。…という気はするんですが、昨夜からずーっと考えてこれしか思いつかなかったので、これはもう仕方がないわけでありまして。で、定圧比熱を定容比熱で割ったものを [ 比熱比 ] と言いまして、気体の分子構造によって、だいたい決まった数値となります。
単原子気体(He,Ar等) | 比熱比 κ≒ [ 1.66 ] |
2原子気体(H2,O2,空気等) | 比熱比 κ≒ [ 1.40 ] |
3原子気体以上(He,Ar等) | 比熱比 κ≒ [ 1.33 ] |
続いてはゼーベック効果とペルチェ効果です。これは電気工事施工管理技士にも登場しましたので、その時の記憶法を引用しておきましょう。いや、手抜きとかそういうことではなくて、覚え方を統一しておかないと混乱しちゃうと思いまして。
[ゼーベック] 効果 : 異種金属の接合点間に温度差を加えると熱起電力が発生する。(応用)熱電対温度計。
えー、異種の対(ペア)が結合して、熱くなったり、じらしたりしながら痺れるような快感(電気)を生み出すという、そういった効果でございます。ぽっきり2万5000円という話だったのに、税別かぁ!?…と覚えるといいと思います。いや、税別2万5000円で果たして結合まで至るのかどうか、僕は知りませんけどね。
[ ペルチェ ] 効果 : 異種金属の接合点に電気を流すと、接合点で熱の発生または吸収が起こる。
えー、さっきとはまったく裏返しの関係ですよね。カー電源で使うポータブル冷蔵庫にこの効果を用いたタイプがあったような気がします。スイッチで温蔵庫にも切替が出来るやつは多分そうです。「シャム猫とペルシャ猫、電気流して、温冷蔵」と覚えましょう。電子レンジで乾燥させると死んじゃいますが、温冷蔵庫なら多分だいじゃぶ…かと。。。
えー、何というか、僕の記憶法って昔からこんなものかぁ?…と、ちょっぴり自分がなさけなくなってしまいましたが、発熱量、理論空気量のところはパスします。いや、講習の時にアンダーラインを引くように指示された箇所なんですが、面白くないので試験には出ません。…と決め付けて、次の空気過剰率にまいりましょう。これはおなじみですよね。どこでおなじみかというと、エンジンの排気抵抗か何かの計算の時にこの値が出てきたような気がするんですが、ということは一般人にはまったくなじみのない概念ですよね。えーと、モノが燃える時には空気が必要なんですが、モノを完全に燃やすために必要な最低限の空気量のことを [ 理論空気量 ] と呼ぶわけです。あ、パスしたはずなのに出てきちゃいましたね。が、実際問題、必要最低限の空気だけでモノが燃えてくれるほど世の中は甘くないわけでありまして、例えば家が燃える場合を例にとると、消防車がやってきて水をかけたりするおかげで、全焼に至るまでには理論空気量よりも多くの空気を必要とするわけです。この余分な空気のことを [ 過剰空気 ] と呼びまして、“火事だじょー、過剰空気だじょー。”…と覚えておくとよろしいかと。で、実際に供給された空気の量を理論空気量で割ったものを 空気過剰率 と言って、燃料の種類や燃え方によってこの数値は変わります。たとえばボイラーにおける燃料別の空気過剰率はこんな具合です。
燃料の種類
空気過剰率
固体燃料
[ 1.4 〜 1.6 ]
微粉炭燃料
[ 1.2 〜 1.3 ]
液体燃料
[ 1.2 〜 1.3 ]
気体燃料
[ 1.1 〜 1.2 ]
ま、要するに空気と接触する表面積が大きいものほど空気過剰率は [ 小さい ] というわけですな。で、数値としては3タイプありますので、とりあえず小数点以下だけに着目して、小さいほうから順に“いい(11)位置に(12)、位置(12)に遺産(13)が、岸辺シロー(46)”…となりますね。いや、遺産といっても借金ばかりのような気もしますけど。いわゆる“負の遺産”ってヤツですかね?“過剰な借金”と覚えておくと、空気過剰率との絡みでわかりやすいかも知れません。
“熱”のところは意外とすんなり終わりましたな。講師がこの分野は不得手だったのか、ほとんどスッとばしちゃったのが要因なんですが、試験には出ないという堅固たる自信があってのことなんでしょう。いいことです。で、空気です。とっても身近なジャンルなので、ここは何とかなるかも知れません。昔、パソコンの“ごたくどす”という五択クイズにハマったことがあるんですが、“アダルトビデオ”のジャンルだけは常にほぼ全問正解でしたからね。最もこの分野は問題数が極端に少なく、何度もやってると同じものばかりが出てくるので、自然と答えを覚えちゃったんですけどね。反復が大切…という貴重な経験が得られた次第でありますが、まずは湿り空気ですか。僕が昔見た“すけべビデオ”にバスガイド物があって、チョコボール向井が「濡れてるじゃ、あーりませんかぁ。湿ってます。」と言っていたのを唐突に思い出しましたが、この湿り空気というのはアレです。湿った空気。ま、簡単に言ってしまえばそういうことなんですが、乾き空気に水蒸気が混ざった混合気体。ちょっと難しく言えばそういうことになろうかと思います。ということで、まずは用語の説明から。
・ [ 全圧力 ] : 水蒸気と乾き空気との混合気体が示す圧力で、P[Pa]と表す。一般に大気圧として P= [ 101.32 ] kPA が用いられる。
混合気体では、それを構成する気体にはそれぞれ分圧というものがあるんですが、それを総計した全体の圧力のことでありますな。で、1気圧をキロパスカルで言っちゃうと話がややこしくなるんですが、数字自体はわりと昔から馴染みがあるものですよね。1気圧は [ 1013 ] ミリバールという、気象学上の基本中の基本と言える数字です。これをキロパスカルに換算すると先ほどの数字になるわけですが、“101匹ワンちゃん殺(32)人事件、斬り殺す”と覚えておきましょう。どういう事件なのかさっぱり見当がつきませんが、“斬り=キロ”ということで、ひとつご理解のほどを。で、これを水銀柱の高さに換算するというのもよくやる手でありまして、その場合、1気圧は [ 760 ] mmHgということになります。これはまあ、“水銀中毒、南無、お(760)陀仏”…とでも覚えておきますかね?
・ [ 水蒸気分圧 ] : 湿り空気中の水蒸気が示す分圧のこと。
・ [ 絶対湿度 ] : 湿り空気に含まれている乾き空気1kgに対する水分の質量のことで、x[kg/kg']で表す。
・ [ 飽和湿り空気 ] : 湿り空気中の水蒸気分圧が、その温度の飽和蒸気圧力に等しい状態の湿り空気のこと。単に [ 飽和空気 ] とも言う。
・ [ 相対湿度 ] : ある湿り空気の水蒸気分圧と、その温度と同じ温度の飽和空気の水蒸気分圧の割合をいい、百分率で表すことが多い。
えーい、ややこしい!湿り具合なんてものは、“グチョグチョ”か“それほどでもない”かの、どっちかでエエやん!…という気もするんですが、まだまだややこしい話は続きます。
・ [ 露点湿度 ] : ある湿り空気の水蒸気分圧に対する蒸気の飽和温度をいう。すなわち、それと等しい水蒸気分圧をもつ飽和空気の温度である。この湿り空気がそれより低い温度の物体にふれると、物体の表面に露が生じる。
・ [ 露店音頭 ] : 露店商組合が業界のイメージアップのために作った音頭調の歌のこと。ハァ〜、ベビーカステラは〜、前を通るといい匂い〜、でも買うと〜、でも食うと〜、たいしてうまくもねぇ、ヨイヨイ♪…みたいな。ま、果たしてこれでイメージアップになっているのかどうかはサダカではありませんが。
いや、この中で説明を読んで何とか理解が出来るのは、最後の“露店音頭”だけですな。もっともこれが出題される確率は限りなくゼロに近いので、あまり意味はないんですけどね。ちなみに2番の歌詞は、ハァ〜、よい子の型抜きは〜、不良になるから禁止だよぉ〜、でもやった〜、失敗した〜、ちくしょうグレてやるぅ、ヨイヨイ♪…みたいな。
・ [ 湿球温度 ] : 温度計の感熱部を布で包み、その一端に水をつけ、感熱部を湿らせた状態で計った空気の温度のこと。
ああ、ありますあります、そういう温度計。普通の温度計とペアになっていて、乾球温度と湿球温度との差から湿度を求める換算表みたいなのが書いてあるんですよね。僕も小学生の頃、夏休みの自由研究に使う目的で万引きしたような覚えがあります。ま、勉強目的でやったことだから。…と雑貨屋のおばちゃんは大目に見てくれて、パンツを脱がされるだけで許して貰ったんですが…って、そのような経験をした人も少なくはないでしょう。いや、僕はちゃんとお金を出して買いましたけどね。だって、雑貨屋のおばちゃんを満足させられるほど、立派なモノは持ち合わせていなかったしぃ。で、このような湿度計のことを業界用語では [ オーガスト乾湿計 ] と言うんだそうです。“8月の思い出、雑貨屋での出来事”…と記憶するとよいでしょう。抽象的にして詩的でもあるんですが、“8月=オーガスト”ということでありますな。ただ、「あれ、8月って“ハッテンバー”だっけ?」…と思い違いをしたりすると、あまり意味をなさないんですけどね。しかしまあ、“ハッテンバー”なんてものは月の名前を示す単語ですらないので、そこまでアホな人のことまでは、とてもじゃないけど面倒見きれませんよね。しかし、何なんすかね、ハッテンバー。発展場(はってんば)の発展系みたいなものなんでしょうか?で、このタイプの乾湿計というのは、コドモ心にも科学的でよく出来てるなぁ。…といった感じのものだったんですが、すぐに飽きて水壷は干上がり、ガーゼはカピカピになって、乾球も湿球も同じ温度を示すようになっちゃうのが常でありました。やっぱりメンテナンスいらずの毛髪式湿度計のほうがいいなぁ。…と思ってしまったわけですが、これは髪の毛が湿度によって伸び縮みする性格を利用したものですよね。このタイプの湿度計をあまり可愛がり過ぎると魂が入ってしまい、持ち主が死んだ後に髪の毛が伸び続けたりして正確な湿度が測れなくなるのが弱点なんですが、“8月の乾湿計
”にだって弱点はあります。あまり正確ではないという、アカンやん!…と言いたくなるような弱点があるんだそうで、つまりこれ、湿球に常に一定の風量の風が当たっているという条件でのみ正確な計測が可能なんだそうでして、その欠点を見事に克服したのが [ アスマン湿度計 ] と呼ばれるタイプのものであります。風量の問題をどのように解決したのかというと、ゼンマイ仕掛けの扇風機で湿球部分に風を送るようにしたという。もの凄く科学的なような気もするし、そんな安易な発想でホントにいいのか?…という気がしないでもないんですが、アスマン博士が考え出したんだから、たぶん間違いないのでありましょう。覚え方としては、ま、“肉まん、あんまん、アスマン湿度計”くらいのことしか思いつきませんが、あれ、カレーマン湿度計だっけ?…と間違えて覚えちゃう恐れがあるところが欠点なんですけどね。
ということで、続いては空気線図です。空気線図というのはどんな図なのかというと、こんなヤツです。
乾球温度 | 湿球温度 | 露点温度 | 絶対湿度 | 相対湿度 |
[ ↑ ] | [ ↑ ] | [ − ] | [ − ] | [ ↓ ] |
乾球温度 | 湿球温度 | 露点温度 | 絶対湿度 | 相対湿度 |
[ ↓ ] | [ ↓ ] | [ − ] | [ − ] | [ ↑ ] |
ということで、本日はジョニー・グリフィンです。いやあ、今日の前半部分は尻つぼみもいいところでしたが、“加熱・冷却”のところはハズしましたなぁ。この後、水または温水スプレーによる加湿、蒸気スプレーによる加湿というのもあったんですが、アホらしいのでヤメました。子供の頃、加湿器付き電気ストーブの水を入れるところにミルクを入れて温めようとしたら、壊れた。…ということ以外、特に書くことを思いつきませんもんね、こんなネタ。で、今日(8月14日)は盆と正月恒例の“親戚のウチへ柿安の肉を食べにいく集い”が華々しく挙行されました。正月はすき焼きだったので、夏は焼肉かな?…と思っていたんですが、すき焼きでありました。いや、たいへん美味でありましたので、どっちでもいいんですけど。で、僕は例年、ここで肉をしこたま食うと、必ず下痢になるのが通例でありまして、この正月にもその家で2回ほど便所に駆け込んだ次第でありますが、今日は大丈夫でした。今のところその兆候は感じられません。ま、明日になればどうなる分かったものではありませんが、せっかくの高級和牛が一晩でも体内にとどまっていてくれれば、僕としてはそれで満足です。いや、今日のお昼に“日清焼きそばUFO”を食べたところ、今ひとつ胃のこなれ具合が悪くて心配してたんですけどね。おとなしく“どん兵衛”にしておいたほうがよかったか?…と、ちょっぴり後悔していたんですが、この分なら何とかなりそうです。で、“UFO”を食べるのは久しぶりだったんですが、いつの間にか湯切りの方法が変わっていたんですな。僕はつい最近まで“名古屋テレビ”がいつの間にか“メ〜テレ”という名前に変わったことを知らず、改めて世俗に対する無知無知ぶりを認識してしまった次第でありますが、それから2週間ほどして、ウチの事務所のOLさんが、「“名古屋テレビ”が“メ〜テレ”に変わったって、知っとるぅ?」という会話を交わしているのが耳に入ってきたので、ちょっとホッとしたんですけどね。僕だけじゃなかったんですなぁ。
で、まだその事実を知らない人のためにとっておきの情報をお知らせしたいと思いますが、“UFO”は湯切りの方法が変わりました。今まで、カップにはペナペナのプラスチック素材系の蓋がついていて、“湯切り口”のツメを左右で計6箇所ほど引き起こしてそこから湯を捨てていたんですが、皆さんもお気付きのとおり、この方式には問題点がございました。湯を捨てる時に、ステンレス製の流し台がボコっ!と音を立てる。…というのは流し台側の問題だからやむを得ないとして、“湯切り口”から麺が2〜3本、ズリズリっと流れ出てこよとするんですよね。で、実際、麺の切れ端が2〜3本ほど流し台に落ちて、僕たちは少なからぬ損失を余儀なくされた次第でありますが、それがいつの間にやら改良されておりました。縦型タイプのカップ麺みたいに溶着された金属膜系のフィルムを指定されたところまで剥がし、“ごちソース”と“ふりかけ”を取り出して湯を注ぎ入れつつ、何か違うな?…という違和感がずっと付き纏っていたんですが、蓋の方式が変わっていたんですな。で、湯切りはどうするんだ?こんなに蓋の一端をめくってしまった後となっては、湯切りをする時に麺がほとんど流れ出してしまうぢゃないか!…と、大いにこの新方式に不満を覚えてしまったんですが、日清食品もアホではありませんでした。めくり上げた反対側が2重構造になっておりまして、表面をペロンとめくると、そこにはおおっ!新機軸の“ターボ湯切り”がっ!いや、これはいいですな。何せ、湯切り時の麺の損失は皆無でありましたからね。ま、“めくって当てよう!”の企画が“はずれ”だったのは残念でありますが、こんなところで運を使い果たして管工事の試験に落ちても冴えない話だしぃ。…とでも思って諦めるよりほかありませんね。で、グリフィンでありますが、今日は『ナイト・レディ』というアルバムを紹介したいと思います。え?そんなアルバム、あったっけ?…と思われた人もいるかもしれませんが、僕も知りませんでした。こんなアルバムを買ったことすら僕の記憶からは消え去っておりましたが、実際にこうして手元にあるところを見ると、いつかどこかで買ったことがあったんでしょうなぁ。ま、1曲目を聴けば思い出すことになろうかという気もしますが、1964年の録音だから、僕が不得手としている“新しめの作品”というわけでもありません。ま、同じく僕が不得手としているヨーロッパ系レーベルの作品なので、今まで僕の目にはとまらなかったんだと思いますが、メンバー的にも悪くないですよね。フランシー・ボラーンにケニー・クラーク、それにベースがジミー・ウッドというのは、いかにも“渡欧モノ”っぽくていいですよね。ちなみに僕はフランシー・ボラーンという人に関してはまったくの無知なんですが、とっても良心的な性格の人らしいですね。副業でバーを経営していたそうですが、その店はいつも明瞭会計だったと言われております。いや、名前が“ボラーン”だから、ボラれる心配はないかな?…という僕の勝手な判断で、本当に副業でバーを経営していたのかどうかはサダカではないんですけどね。ということで、では1曲目から聴いてまいりましょう。
まずはグリフィンのオリジナル、「スクラブル」です。ちなみにこのアルバムはオランダ・フィリップス盤と、アメリカでリリースされたエマーシー盤とでは、LPのA麺…いや、A面とB面とがそっくり入れ替わっていたそうでありまして、板橋純クンの書いている日本語ライナーはそのことに関する考察で前半部の多くが費やされております。ちなみにこのライナー、ちょっぴりウケを狙った風のところがあって、僕個人としてはちょっぴり目障りなんですが、いや、ジャズ絡みで面白いことを書かれるとジェラシーを感じてしまうんですよね、僕。で、曲目はミディアム・ファストのブルース<スクラブル>でスタートする。アメリカ盤ではB−1だ(しつこいって?)…とありますが、“1曲目は〜”の最初の数字が抜けているのは誤植だろうから仕方ないとして、(しつこいって?)の部分では、うん。しつこい。…と思ってしまいました。ま、この手の“自分ツッコミ”というのはよくある手段ですけどね。ということで「スクラブル」でありますが、演奏はケニー・クラークのドラムから、ジミー・ウッドのウォーキング・ベースを経て、ゆるゆると入り込んで来るテナーと板純クンが書いているとおりの導入部で膜を開けます。あ、今週から新機軸として、引用部分は赤色フォントにするという取り決めにしたんですが、この“ゆるゆる”のところが軟便気味の板純クンにはお気に召さなかったようで、だからアメリカ盤ではこっちをB面に持ってきたんぢゃないか?…などと勘繰っているようです。個人的にはこういう入り方って、いかにもジャジーな感じがして嫌いじゃないんですけどね。いやあ、板橋クンとは意見がありませんなぁ。で、続くテーマ部はアドリブ・ラインをそのまま曲にしたような感じで、特筆するようなものではないんですが、そのままアドリブに突入していくグリちゃんの吹きっぷりは、いつもとくらべると幾分“お上品”ですかね?…と思っていたら、吹き進むにつれて“らしさ”が増大し、そのうち、下品さ全開っ!…といった感じになってくるのでまずは一安心です。続く明朗会計派@ボラーンのソロは取り立てて特徴のあるものではないんですが、板橋クンの言葉を借りると、比較的狭い音域を巧妙に生かしたということになるんですが、こういう場合、漢字としては“活かした”が正解ではないですかね?…って、いちいち引っかかる細かい性格@今日の僕でありますが、白人にしてはわりと黒っぽいスタイルではありますな。ホレス・シルヴァーを地味上品にした感じとでもいいましょうか。で、ピアノ・ソロに続いて再登場となるグリフィンがもう、バリバリ全開でありまして、いやあ、彼の場合はやっぱりこうでないといけません。炸裂する下品魂はいっそ、清々しいばかり。で、グリフィンとケニ・クラとの掛け合いがあって、あってないようなテーマに戻って、おしまい。いや、アルバムの冒頭を飾るにふさわしいエキサイティングなナンバーであると言えましょう。
2曲目はスタンダードの「サマータイム」ですな。今年の夏は雨が多くてカッと照りつけるような太陽もなく、ちっともサマータイムらしくないんですが、こうなったらもう、サーカスでも呼んで「ミスター・サマータイム」を歌ってもらったほうがいいですかね?…って、いや、歌ってもらったところでどうなるわけでもないような気もするんですが、少なくとも田原俊彦に「抱きしめてTONIGHT」を歌ってもらうよりはマシではないかと。いや、若い頃から嫌いでしたからねぇ、トシちゃん。で、塩サバ2号もこの問題に関しては同意見だったようで、「“たのきんトリオ”って、ひとつ間違えたら“たまきん”やん。」と、ワケのわからないことを言って貶しておりました。で、グリフィン版の「サマータイム」です。テナー系では特にこの曲をスローでやる人が少なくて、僕としては残念でならないんですが、グリちゃんもアップ・テンポで料理しておりますな。ほぼいきなりテーマ…といった感じで演奏が始まるんですが、ジミー・ウッドのベースがかなり効いてますね。で、グリフィンはこの曲にさほど思い入れがある風でもなく、アドリブの素材として取り扱っているようでありますが、ソロ・パートに入るとそれなりに面白いフレーズを連発しておりますな。ブツ切り&こねくり回しの併用…という、彼にしてはちょっと異色の吹きっぷりではありますが、続くフランシー・ボラーンの酔っぱらったタップ・ダンサーのようなピアノも面白い…と。さすがは板クン、語彙が豊富でありまして、僕には到底思いつかないような例えを持ってまいりますな。とにかくまあ、「サマータイム」に哀愁を求める向きには最悪の演奏でありますが、グリちゃんらしさは充分に横溢していると評価することも出来ようかと。で、次です。ボラーンのオリジナルで、「オールド・スタッフ」という曲です。8(+4)+4=16小節、Eb ブルースの変型に、8小節Gのペダル部を加えた24小節形式…と、板橋先生は専門的な解説を加えておられますが、ペダル部って何なんですかね?ケッタで足を乗せて漕ぐ部分のことでしょうか?ちなみに私はペダル部よりもサドル部のほうが好きで、あすこの先の細くなった部分に股間をこすりつけたりすると、ああん♪…って、そういうちょっと危ない趣向を持ったギャルというのは、すけべ系漫画にはよく登場しますよね。あと、子供の頃、鉄棒で股間をこすりつけた瞬間、いけないヨロコビに目覚めてしまったのぉ♪…みたいな告白もよく目にするんですが、あるいは学校の机の角の部分とか。…って、そんな話はどうでもよくて「オールド・スタッフ」なんですが、いや、これはいい曲ですな。一風変わったボラーンのイントロも一風堂の「すみれセプテンバー・ラヴ」みたいに魅力的だし、8+8小節の部分はシンプルなんですがドライビングだし、ペダル部(?)では、いきなり2オクターブくらい上昇するグリフィンの無理やり具合が微笑ましいです。ときかくまあ、体ウキウキ、スインギー♪…といった感じのナンバーでありまして、渦巻いてスパイラル状に上昇していく風のグリフィンのアドリブ・パートの出だし部分もよろしいですな。その後はもう、一度吹き出したらとまらないグリちゃんの独断場でありまして、続くボラーンが何だか変なノリでせっかくのドライブ感を阻害しているのはちょっとナンですが、ま、後半はけっこう普通のノリになって頑張っているようだし、続くジミー・ウッドのソロはこのアルバムにおける彼の最大の見せ場でありましょう。グリフィンが吹くテーマの断片をバックに、実に暴力的なピチカートを披露しております。個人的にはあまりよく知らん人なんですが、名前がウッドだけにウッド・ベースを弾くのがうまいですなぁ。で、その後、ケニー・クラークのドラム・ソロも披露され、グリちゃんは2オクターブ上ずったペダル部(?)のメロディをたびたび吹いては存在感をアピールし、テーマに戻って、おしまい。いやあ、血湧き肉踊るエキサイティングなナンバーでありました。
はい、次。タイトル曲の「ナイト・レディ」です。ワルツ・タイムが印象的なボラーンのオリジナルなんですが、ワルツと言っても決してキュートではありません。セクシーなの、キュートなの、どっちが好きなの?…という“ティセラ”のコマーシャルは個人的にけっこう好きだったりするんですが、個人的にはキュートなほうが好きだったりしますね。セクシーなおねえさんというのはあまり得意ではなかったりするので、少しでも気を惹きたい純情はオトメは覚えておいて欲しいと思いますが、板橋先生がGのマイナー・ブルースを倍にとったようなジャズ・ワルツ…と、うまいこと書いております。実に魅力的なメロディを持ったナンバーでありまして、板クンも指摘しているとおり、実にグリフィンのキャラにマッチした曲調に仕上がっておりますな。ボラーンという人、ピアノのスタイル自体はちょっと取りとめのないところがあるんですが、作曲の腕は確かですね。で、グリフィンのアドリブは、出だし“抑え気味”かな?…という気もしたんですが、吹き進むに連れて次第に“オーバーブロウすれすれの快感”を感じさせてくれるようになります。続くボラーンのノリは、やっぱり部分的にヘンだったりもするんですが、全体を通すと地味上品なホレス・シルヴァー風…という、1曲目と同じ傾向が伺われますね。で、このアルバムで僕がすっかり虜になってしまったジミー・ウッドのピチカート・ソロも堪能出来ます。どうでもいい話なんですが、昔、甲斐バンドが「虜−TORIKO」という歌を歌っていて、僕はこの“とりこ”という曲名を耳にするたびに、頭の中に“鶏(トリ)の粉(コナ)状”のものが浮かんだものでありますが、いや、どうでもいい話でしたね。で、5曲目はバラードです。「リトル・マン・ユーヴ・ハド・ア・ビジィ・デイ」というのはさほど名の知れたスタンダードではないと思うんですが、なかなか印象的な曲でありますな。出だしの部分は「ジーズ・フーリッシュ・シングス」と「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」を溶融したような感じなんですが、装飾音過多の、決して都会的とは言い難いグリフィン独特のバラード演奏の持ち味がよく現れております。不器用な男の含羞とでもいいましょうか、根は関西人系なんでしょうな、グリちゃんって。…ということを感じさせますね。真面目くさるのって、何か気障(きざ)なんちゃう?…という彼の気持ち、僕にはよくわかります。が、ピアノとベースのソロが終わって、再登場する時のフレーズは、ちょっとふざけ過ぎちゃう?…という気がしないでもないんですが、自分でもちょっぴり反省したのか、その後は少し落ち着いた感じになって、でも最後はきっちり「キラキラ星」のメロディで締めてくれております。もぉ、シャイなんだからぁ。
最後は超アップ・テンポで御馴染み「オール・ザ・シングス・ユー・アー」を。典型的なハード・バップ・スタイルを堪能出来る作品に仕上がっておりまして、ま、哀歓を極端までそぎ落とした分だけ一般人のウケは芳しくないかも知れませんが、リバーサイド時代よりもブルーノート時代のプレイを彷彿とさせる感じでありますな。「ザ・コングリゲーション」とか、ああいう路線が好きだったら大いに楽しめるのではなかろうかと。で、後半、ジミー・ウッドのピチカート・ソロが出てきて、せっかくのお気に入りも出現頻度が多くなると、ちょっぴり飽きちゃう?…という気がしないでもないんですが、ということで今日はおしまい。
【総合評価】
いやあ、いいですな。グリちゃんの隠れ名盤と言えるんじゃないでしょうか。ちなみに1曲目を聴いた時点でも、こんなアルバム、持ってたっけ?…という疑念を払拭することが出来なかったんですが、もしかしたら買うだけ買って、一度も聴いたことがなかったのかも知れません。そういうのって、探せば10枚くらいはありそうですもんね。いずれにせよ、思わぬ発掘に大満足。…という1枚でありました。