COOKBOOK VOL.1 (PRESTIGE)

EDDIE “LOCKJAW” DAVIS (1958/6/20)

COOKBOOK VOL.1


【パーソネル】

EDDIE "LOCKJAW" DAVIS (ts) JEROME RICHARDSON (fl,ts) SHIRLEY SCOTT (org)
GEORGE DUVIVIER (b) ARTHUR EDGEHILL (ds)

【収録曲】

HAVE HORN , WILL BLOW / THE CHEF / BUT BEAUTIFUL
IN THE KITCHEN / THREE DEUCES
AVALON
【解説】

 僕は今、「砂防会館」に来ております。しかし何ですな。「砂防会館」というのは、何だかまったくソソられるものがありませんな。わざわざ東京くんだりまでやってきたのだから、どうせなら“イボ快感”(←イボ痔の苦しみがある一線を越えて快感に変わる現象)だとか、“未亡人やんか”(←未亡人に心をときめかす関西人の胸のうち)といったものを経験したかったような気もするんですが、ま、そんなもん、わざわざ東京に来なくても体験できるような気もするし、“砂防会館”と“未亡人やんか”では、前半の“ぼう”と後半の“”しか合ってませんよね。我ながらあまりにも無理のあるネタ振りでありましたが、いやあ、焦りましたな。ここ「砂防会館」の最寄り駅は永田町なんですが、昨夜、新橋に泊まった関係で、赤坂見附で降りたんですよね。永田町からは徒歩1分、赤坂見附だと徒歩7分。この差は大きかったですね。僕はカレイの煮付けというのは食べたことがあるんですが赤坂見附でおりるのは初めてでありまして、外に出た瞬間に方向感覚がわからなくなって、パニックに陥りました。いやあ、僕はコドモの頃から不測の事態に陥った時にも慌てなくて済むよう、“ワニワニパニック”で鍛えていたんですが、いざとなるとあんなものは何の役にも立ちませんな。このような危機に陥ってしまった今となっては、“黒ヒゲ危機一髪”にしておかなかった自らの迂闊さを悔やむより他ありませんが、頼みの綱は受講票に添えられた簡易的な地図だけでありまして。

 しかし何ですな。いいトシこいて、スパゲティなんか食うなって!…と、隣のオヤジには言いたいですな、いや、講習がお昼休みに入って、各自、コンビニで弁当やサンドイッチ、おにぎりなどを買って来て食べているわけでありますが、隣のオヤジは何をトチくるったのか、スパゲティを食べております。しかもナポリタンです。人が何を買って食おうが、そんなん勝手やろ。…とは思うんですが、それにしてもナポリタンはないっすよね。ワイシャツにネクタイ姿のおじさんがナポリタンを食っている場面ほど、横で見ていて「似合わねーって!」と言いたくなるものはなく、しかも唇にはケチャップが付いております。これはもう、家に帰って「スパゲティ食べたでしょ?」と追及されるであろうことはまず間違いなく、果たして、こんなおじさんに監理技術者の資格を与えてもいいのか?…と疑問に思わずにはいられませんが、あ、僕の席の4つほど前にはギャルが座っておりますな。わりと可愛い顔をしておりますが、会社ではマンポンの点検とかやってるんですかね?いや、これは別に「正しいウンコの洗い流し方」という講習ではないので、別の業種に従事しているのかも知れませんが、話は戻って赤坂見附です。幸いにも駅の近くに交番がありましたので、中に入ると、一人しかいない警官は受話器を手にして、今、まさに通話を始めんとするところでありました。そういう状況でにいきなり話しかけられて彼としても迷惑だったでしょうが、こちらとしても焦っているわけです。「ああ、オレ。そうそう、うん。でさあ、オレ思うんだけどさぁ、ペッパー警部って、絶対“ドクターペッパー”が好きだと思うんだけどさー。」といった、実にどうでもいい会話を電話で延々と30分もされた日にゃ、僕は講習に遅刻しちゃいますもんね。で、ちょっと強引かとは思いましたが、「“砂防会館”って、どっち?」と尋ねると、その警官は面倒臭そうにアッチのほうを指し示して、「あっちへ渡って、ずーっと行って、で、途中を左ね。」と教えてくれました。いやあ、今ひとつ愛想はなかったんですが、とりあえずは道順を教えてくれたので、特にこれといった問題のない警察官である。…と評価していいのではないでしょうか。

 …と思ったのは大きな間違いでありました。教えられたとおり、あっちへ渡って、ずーっと行って、で、途中を左に曲がってみたんですが、5分ほど歩いて、こりゃ、どう考えても反対方向やな。…という気配が濃厚になってまいりました。心配になって信号待ちしていたおじさんに「“砂防会館”って、どっち?」と尋ねてみると、案の定、このおじさんはきっぱりと反対方向を指し示したのでありました。電話でのペッパー警部に関する話題が“これからいいところ”になるところだったのに、それを邪魔されて、気分を害してウソをついたに違いありません。とんでもない警官ですなぁ。ま、善意に解釈すれば「ずーっと行って…」の部分は「ずーっと(右手方向に)行って…」の意味であり、ちょっと言葉足らずではありましたが、決して間違ってはなかったんですけどね。…ということになるのかも知れませんが、僕は善意に解釈しません。邪魔されて、気分を害してウソをついたに違いありません。とんでもない警官ですなぁ。…と、ここまで書いたところで講習は終わって、あっという間に土曜の夜になってしまいましたが、いやあ、はかどりませんでしたな。わりと講習、真面目に聞いてましたからね。で、真面目に聞いてみたところ、これがまた実に面白くも何とも無かったわけでありまして、真面目に聞くんじゃなかったぁ。…と激しく後悔した次第でありますが、わざわざ東京の“砂防会館”でやるほどの内容ではないですな。これなら岐阜の“産業会館”で充分。…といった感じでありましたが、ま、東京で受講するハメになったのはすべて僕の責任ですので、あまり文句を言えた義理ではないんですけどね。“一級電気工事施工管理技士”の試験に合格したので“監理技術者”になる資格が得られたわけでありますが、その為には1日だけ講習を受けなければならんと。が、何だか受講申込書を書くのが面倒そうだったので数ヶ月間そのまま放置しておいたところ、本社の常務から叱られました。たいへん叱られました。で、慌てて受講申請をしたところ、申し込み書類は5分もあれば書けるようなものであったことが判明した次第でありますが、時は既に遅く、岐阜会場も名古屋会場も津会場も定員で一杯になっておりました。で、どこでもええから、いちばん早い会場で受けて来いっ!…と言われて、何とか空いていたのが“砂防会館”でありまして、この講習は申込者が定員に達し次第、日程を決めて開講するというシステムであるらしく、希望者の多い東京とか横浜のほうが潜り込める確率が高いらしいんですよね。

 というわけで僕の上京は水曜から木曜日という半端な日程になってしまって、かれい技士はウィーンに行っちゃうし、米師匠は何だか木曜日の昼に赤坂見附付近を徘徊していたようですが、“さみを嬢を励ますオフ”の開催は見送らざるを得なくなっちましました。そのかわり、水曜日の夜に都内某所で開かれた極秘プチオフ会に参加させて頂きました。極秘ゆえ、その詳細は“ウマのマル秘ショー”同様、あまり公然と人前で明らかにすることは出来ませんが、主賓はロリ声人妻、参加者は初対面ギャル面識ありオニーサンさばの計4名、3件目で面識ありギャルが合流…という、わりとギャル指数の高い集いでございました。が、内容のほうは極めて健全でありまして、都内某所にある怪しげなジャズ喫茶を探訪しようという、そういう企画だったんですけどね。で、18時に都内某駅に集合、問題のジャズ喫茶は20時開店らしいので、とりあえず近辺で飲み食いに励み、しかるのち、都内某所にはもう1件だけジャズの店(19時開店)があるらしいので、場合によってはそこも覗いてみよう。…という、たいへん慌しいのもでありましたが、泡やらしい@ソープランドめぐりなどという、いやらしい企画でないところが健全派らしいところですね。で、とりあえず1件目で飲み食いに励んだのち、本命じゃないほうのジャズの店(19時開店予定)を覗いてみることにしたんですが、時間は既に20時に近かったというのに、その店の看板には灯りがついておりませんでした。休業、もしくは廃業。…という言葉が脳裏を掠めた瞬間、その看板にぱっと灯りがともり、「おおっ!」「ついた!」と口にしながら2階にある店へと階段を昇っていくと、その横をドタドタと1人のオネーサンが追い抜いていって、目的の店のドアの鍵をガチャリと開けたのでありました。おおっ、まさに開店間際の状況でありますな。こうして僕たちは無事、その店の中に入ることが出来た次第でありまして。

 が、店に入ってすぐ、このオネーサンが非常に頼りないオネーサンであることが判明しました。どのように頼りないのかというと、まず第一にメニューおよび飲み物の有り場所をまったく把握しておりませんでした。で、お酒に関する知識が極めてあやふやでありました。手初めに某ギャルが“ハイボール”を注文したんですが、3秒ほどの間があって、「…たぶん、作れると思いますぅ。」という頼りない回答が返ってまいりました。で、5分ほどして注文の品とピーナッツが到着したんですが、試飲した某ギャルは3秒ほどの考えて、OKのサイン。おおっ、やれば出来るぢゃん、バーバラ(仮名)。…って、勝手にヘンな名前を付けてはいけませんが、聞く所によればママが遅刻するらしいので、慌てて店を開けに来たということらしいんですけどね。で、普段はサンフランシスコでジャズ歌手をやってるとかで、だから私、日本の事情、わっかりませーん。…とか言っておりました。「ハイボールってウイスキーですよね?焼酎じゃないですよね?」という発言も聞かれましたので、こりゃ、本格的に日本の酒場事情というのを理解しておりませんな。…というか、それ以前の問題のような気がしないでもありません。で、「メニューのある場所、わっかりませーん。」ということだし、なかんずくメニューがあったとしてもマトモなものを出してもらえるとは到底思えないので、ロリ声人妻さばハイボール、もうひとりのお兄さんはコーラを注文しました。で、出されたハイボールは確かにハイボールでした。ヒジョーにウイスキーの成分が希薄で、アルコールに極めて脆弱な僕が都合3杯飲んだところで、ちっともハイにならないようなハイボールではありましたが、根本的なところで間違っているということはなかったと思います。が、コーラのほうは「コーラのある場所、わっかりませーん。」ということで、何やら得体の知れない飲み物が出てまいりました。みんなで回し飲みした結果、「アセロラ・ドリンクぅ…?」という意見が出されたんですが、違いました。何だかよくわかんないけど、とにかくソフトドリンク。…というのがその名前でした。いやあ、なかなか凝った飲み物、出せるんぢゃん、バーバラ(仮名)ぁ。

 で、やがてバーバラ(仮名)の妹だというママと、ピアノ弾きのオネーサンがやって来たんですが、いやあ、実にギャル密度の極めて高い集いでありましたな。都合、えーと、ひぃ、ふぅ、みぃ…で、計5人のギャルですかぁ。バスツアーの宴会風に言うと、“お客様1名あたり、2.5人の芸者が付きます”といった状態でありまして、普通、“松プラン”でも2名あたり芸者1人…といったところなので、この上ない贅沢であると言ってよいでしょう。多少、ハイボールが薄いくらいのことは我慢しなければなりませんな。で、ピアノのオネーサンが僕のリクエストで、布袋、安藤藻類研究所を訪問する@「ボディ・アンド・ソウル」を弾いてくれて、あとは「酒バラ」に「星に願いを」という、実に無難な選曲でまとめてくれました。で、最後に「この店はトイレが自慢なのぉ。」ということらしいので、一人ずつ便所詣でをして、ここはおひらき。で、続いて本命の怪しいジャズ喫茶を覗いてみることにしました。いやあ、怪しかったですなぁ。1階が郵便局と服屋さん(だっけ?)で、2階が中華料理のバーミヤン(だっけ?)。で、その上が問題の店になっているんですが、3階以上はまったく普通のマンションでありました。非常扉を開けて非常階段を昇ったところにその店はありました。んなもん、このマンションの住民以外に誰が来るねん?…と思わずにはいられないような立地条件でありましたが、しかも休業しておりました。ドアのところに“囲碁・将棋・ピアノサロン”と書いてあって、その下には“定休日:水曜”とあったので、よもや廃業。…ということではないと思うんですが、廃業に追い込まれたとしても、まったく不思議ではないと思わざるを得ない。…といった店でありました。廊下にはどういうわけだかウマの置物が置いてあって、何やら物悲しい気配が漂っておりました。で、1週間ほど前にこの店に入ってみたロリ声人妻によれば、中はごちゃごちゃでギャルが寄り付くようなところではなく、有線でジャズが流れていて、店主のよしお(仮名)がピアノで「枯葉」「いつか王子様が」を弾いてくれた。…ということなんですが、そのような雰囲気の中で囲碁・将棋に興じるんすかね?ごちゃごちゃで、とてもそのような空間はなかった。…とのことでありますが、いずれにせよ僕たちはその日の時点で、この店の謎を解き明かすことは出来ませんでした。だって、休みだしぃ。。。

 で、近くのファミレスでごぼうスティック韓国海苔サラダピザを食べ、ギャル1名と合流して讃岐うどんサラダを食べ、“囲碁・将棋・ピアノサロン”の再訪を誓ってその日はおひらきになった次第でありますが、あと3ヶ月もすれば潰れてるでしょうなぁ、あの店。廊下にあったウマの置物も借金のカタに差し押さえられちゃうに違いありません。が、囲碁・将棋サロンには根強い個的客がいるに違いないので、意外とあと3年くらいは踏ん張るかも知れませんけどね。いずれにせよ、東京の片隅にアジアを見た。…といった感じの夜でありました。ということで、おしまい。

 ということで、今日はエディ・“ロックジョウ”・デイビスでありますが、いやあ、よかったですなぁ、ロリ声人妻。声だけじゃなくて見た目もロリ系でありまして、25歳の息子がいると知って、バーバラ(仮名)が激しく驚愕してましたからね。息子と2人で渋谷を歩いていたらラブホテルの割引券をくれて、息子が怒っていたそうですが、おじさんに激しく好まれるタイプですな、ありゃ。ちなみに僕もおばさんにわりと好まれるタイプのようなんですが、養南(ようなん)の土地改良区にいたおばさんには通用しませんでした。担当は恐いおばさんやで。タカハシさん(編集部注:本社にいる経理のおばさん)みたいな。…と聞いて、ちょっとビビったんですが、でも僕、おばさんにはウケがいいしぃ。…と思って楽観してたんですよね。タカハシさんにはバレンタインのチョコだって貰ったしぃ。が、実際に対面してみると、思った以上に恐いおばさんでありました。いや、特に叱られたというわけではないんですが、愛想というのが皆無でありまして、書類を渡すだけのわずか3分足らずのシゴトでありましたが、どっと疲れてしまいました。朝イチの用件だったんですが、もうその日は早退しちゃおうか?…と思ってしまいましたもんね。で、『ザ・エディ・“ロックジョウ”・デイビス・クックブック・VOL.1』です。このアルバムにも人妻が参加しております。スタンリー・タレンタイン婦人として知られるシャーリー・スコットがオルガンを弾いております。が、彼女がスタ・タレと結婚したのは63年らしいから、本作録音当時はまだフリーだったかも知れませんね。で、この頃はエディ・ロックジョウ・デイビスと付き合っていたと。いや、付き合っていたかどうかはサダカではありませんが、一緒にプレイしたことはあるのぉ♪…という関係だったことはこの作品を聴けば明らかであります。テナーマン・キラーとして名を馳せた女なのかも知れませんね。で、この作品には管楽器奏者としてもうひとりジェローム・リチャードソンが入っておりますが、今ひとつ了見のよくわからんメンバーではありますな。で、シャリ・スコというオルガン奏者はフット・ペダルの使いこなしが苦手だったようで、通常ならオルガンのフット・ペダルで代用するベース・ラインを本職のベーシストに委ねるのを常としております。そんなわけでジョージ・デュビビエが入っていて、で、タイコはアーサー・エッジヒルでありますな。んなことでまあ、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、まずは「ハブ・ホーン・ウィル・ブロウ」です。ホーンを手にすりゃ、吹くっきゃない。…みたいな意味なんすかね?いかにも“BLOW JOBの達人”であるエディ・ロックジョウらしいタイトルのオリジナルでありますが、ああん、その頑強な“アゴぢから”で思いっきり銜えて♪…って、いや僕にはそんな趣味はありませんけどね。ちなみにエディ・デイビスのニックネームである“LOCKJAW”というのは恐らく“頑強なアゴ”という意味だと思うんですが、そのまま辞書で“LOCKJAW”という単語を調べると“破傷風”と出てきたりします。破傷風の初期症状として、痙攣で口が開かなくことからこの名前があるようです。成るほど、よく考えたら“”のほうの“rock”じゃなくて、“”のほうの“lock”ですもんね。僕は間違ってました。これからは彼のことをエディ・“破傷風”・デイビスと呼びたいと思います。とある中国語サイトにも“最初在咬肌及頸部肌肉”と書いてありました。まさしく“LOCKJAW状態”であるな。…ということを感じさせる漢字が並んでおります。で、演奏のほうなんですが、一言でいえば下品ですね。二言でいえば品がない。三言でいえば品がなくて下品。結局のところはそこに尽きるわけでありますが、曲自体はシンプルなリフ・ブルースといった感じでありまして、くどいテナーと爽やかフルートのコンビネーションがほど良いコントラストを醸し出している…と言い切るにはちょっと微妙なところでありますな。正直、ぜんぜんマッチしてない感じもするんですが、ソロ・パートに入るとそんなことは一切お構いなしに、破傷風デイビスがくどいフレーズを連発しております。まさに、吹くっきゃない。…といった感じでありまして、この人のアタマの中にはおそらく“ブロウ”という言葉以外はないんでしょうな。続くシャリ・スコはさすがにギャル系だけに、わりとソフィスティケィティッドなプレイを展開しておりますが、ドライブ感をそこねるようなことはありません。で、続いてはジェロ・リチャのフルート・ソロですか。微妙ですな。微妙に残尿。そういった違和感がないでもないんですが、ま、これはこれで、こういうものだと思っておけば、それはそれで、アレなんじゃないかと。で、ウォーキング・ベース風のソロがあって、テーマに戻って、おしまい。いやあ、下品でしたなぁ。

 ということで、2曲目です。「ザ・シェフ」です。日本語にすると「ザ・料理長」ですね。タイトルはアルバム名の『クックブック』に懸けたものかも知れませんね。で、料理長だけにチョリソーの調理とかするんでしょうな。料理長チョリソー。微妙に似ているから料理長チョリソーを煮たりするんだよね。…とか言って。もう、この時点でこの料理長の実力はぜんぜん大したことねーな。…と判断してもよいかと思いますが、ぜんぜん似てませんもんね、料理長チョリソー。で、曲のほうは前曲に続いてロックジョウのオリジナルなんですが、こちらのほうが落ち着いた感じがあって、いいですね。特にスコットの弾くイントロがファンキーな味があって、よろしいかと。で、テーマ自体はファンキーというよりむしろ“ソウル”なんですが、チョリソーなソウル、略してチョリソウルといったところですかね?で、テーマ部がフルート抜きのテナー&オルガンで演奏されるのもシンプルでいいし、ま、続くロックジョウのソロは非常にくどいので好みが分かれるところでありましょうが、続くスコットのソロは実によく練られていて、そこそこ盛り上がるだけの展開も用意されているし、ま、相対的によろしいんじゃないかと。で、その次はジェローム・リチャードソンのフルートっすか。前曲同様、残尿感が完全に払拭されたわけではないんですが、尿漏れも、ティッシュでちょちょいと拭いて、うーん、すっきり。…といった程度には拭われておりますな。全体的にフルートの持つ“お間抜け”な一面が全面に出たような演奏でありまして、ま、いいんじゃないですかね。で、テーマに戻って、おしまい。

 さ、ではここでスタ・バラにまいりましょう。スタンダードのバラードです。「バット・ビューティフル」です。愛、それはファニーなもの。そして哀しいもの。穏やかだったり、狂おしかったり、いいものだったり、悪いものだったりするけれど、愛、それはバット・ビューテフル。…って、訳語を読んでるだけで思わず、蹴ったろかい!…と思ってしまうような大甘のバラードなんですが、この手の甘美な歌を作らせれば藤山寛美の右に出る者はおりません。唯一、この歌の作曲者であるジミー・ヴァン・ヒューゼンが地味なバンを平然と運転しているかな?…といったところなんですが、昔、この曲があまり好きでなかった僕も、最近になって細菌に感染されやすくなってしまいました。やはりトシですかねぇ。で、最近になってこの曲がそれほど嫌いではなくなってきたんですが、要はジャズの場合、あくまでも“”ではなくて“演奏”が大切なわけですからね。で、このロックジョウ版も、まずまずの名演である。…と判断しても、あながち間違いではないのではなかろうかという気がしないでもありません。シャリ・スコのオルガンのイントロに始まり、エディ・ロックがあまりにもディープなトーンでテーマを歌い上げます。いやあ、黒いですなぁ。そして深いです。貫禄のある助六寿司。…といった感じでありまして、うちの近所の桑名寿司のオヤジがもっとも不得手としているジャンルでありますな。桑名を代表する寿司屋…みたいな名前を付けておいて、そんなことでいいのか?…という気がしないでもないんですが、巻寿司のほうはともかくとして、いなり寿司のほうが苦手みたいです。ま、無理を言えば作ってくれないこともないんですが、無理を言ってまで作ってもらうほどのものでもないな。…といった気がしないでもないので、うちではあまり無理を言わないようにしております。ちなみに桑名寿司の名誉のために言っておきますが、並寿司のほうは美味しいです。普通の寿司屋並みやな。…といった程度の品質は保持しております。とか言ってるうちに演奏のほうは終わってしまいましたが、ソロ・オーダーはロックジョウ→リチャードソン→スコット→再度ロックジョウ、以上。…という順でありました。ということで、この曲はおしまい。

 ということで、4曲目です。「イン・ザ・キッチン」です。いいですねぇ、キッチン。僕は好きですね。いや、僕はシーチキンのソースかけくらいしか料理を作ったことがないんですが、イン・ザ・キッチンで、裸にエプロン姿で、ああん、そんなことぉ♪…といったシチュエーションに憧れております。相手は別に誰だっていいんですが、ロリ系のメイドなんかがいいかも知れませんね。が、いくらコーフンしていても、天麩羅を作ってる最中にガバっと後ろから襲いかかったりするのはヤメたほうがいいですよね。ああん、燃えちゃうのぉ♪…とかいってるうちに天麩羅油に火が回って、本当に家が燃えちゃうことに成りかねません。そういえば、昨日(7月5日)は“サバ家火災記念日”でありましたが、当時を偲んでもう一度家に火をつけてみる…といった催し物は行われませんでした。晩御飯もサバの煮たので、何だか地味でしたしね。で、「イン・ザ・キッチン」でありますが、これはジョニー・ホッジスのオリジナルのようです。で、アレです。曲自体は極めてアーシーなスロー・ブルースです。ここまでの状況を略してみると、“ジョニ・ホジ作曲のアーシーなスロ・ブル”ということになろうかと思いますが、いや、略してみたところでどうなるものでもないんですけどね。で、演奏のほうはしばらくの間、シャーリー・スコットのトリオ演奏となっております。個人的にはシャリ・スコ特有のオルガン、ベース、ドラムスという編成はギター入りの標準的なオルガン・トリオよりも好きだったりするんですが、それにしてもなかなかテナーが出てきませんな。ま、演奏時間が12分53秒もあるから、さほど慌てる必要もないんですが、えーと、何というか、演奏を聴きながら同時に原稿を書いている身にしてみれば、途中で書くことがなくなってしまって、何だか間が持ちませんな。仕方がないので桑名寿司について少し書いてみたいと思うんですが、桑名寿司に関してはこれ以上、特に書くようなネタはありません。寿司屋がネタ切れでは閉店するより他ないわけでありますが、幸いにもようやくロックジョウが登場してテナーを吹きはじめましたので、そちらに話題を転じましょう。エディ・ロックのソロはくどいです。えーと、彼に関しては以上です。で、続いては ジェローム・リチャードソンですね。えーと、このジェローム・リチャードソンという人はフルート以外にもテナーを吹いたりする、そういうマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーであるジェローム・リチャードソンが…と、3回フルネームで書いて文字数を稼いでいるうちにフルートのソロは終わっちゃいました。で、デュビビエのピチカート・ソロがあって、再びスコットのトリオ演奏がしばらく続いて、で、そのままフェードアウトして、おしまい。さ、残すところあと2曲ですな。

 バーバラ妹子…って、いや、バーバラ(仮名)の妹はそういう名前にしておけばよかったかな?…と、ふと前半の原稿を読み返していて思ったんですが、聖徳太子の場合は“しょうとくたいし”と発音するのに、どうして明太子は“めんたいし”ぢゃなくて“めんたいこ”なんですかね?…という疑問もふと脳裏をよぎりました。で、「スリー・デューシーズ」です。飲料水のほうのジュースではなく、テニスの試合などに出てくるデュースでありますな。昔、任天堂のファミコンに「テニス」というゲームがあって、スーパーマリオ顔の審判が「イン」とか「アウト」とか「デュース」という声を出したので、大いに感動したものでありますが、いや、3回くらい続けて聞いてみて、もしかしてこれは「デュース」と言っているのではないか?…ということに気付く程度の発声能力だったんですけどね。で、この「スリー・デューシーズ」というのは恐らく、そのような状況を曲にしたものだと思われますが、作ったのはエディ・ロック本人です。調子のよいハード・バップ風のナンバーでありまして、この曲だけリチャードソンがテナーを吹いているので、これまでとちょっと違った雰囲気に仕上がっておりますね。どうせなら全曲、テナー・バトルものにしたほうがよかったんぢゃ?…と思ってしまったほど、なかなかよい仕上がり具合でございます。4分58秒と、決して長い演奏ではないんですが、ロックジョウ→スコット→リチャードソンと快調なソロが続きます。最後はお決まりのテナー・チェイスでありますな。リチャードソンの、ロックジョウとはまた一味違ったよりモダンなテナーを堪能することが出来て、とってもよかったです。で、ラスト。歌モノの「アヴァロン」はCDおまけ曲ですね。リチャ抜きのワン・ホーンでエディ・ロックの歌心を満喫出来る小品に仕上がっております。ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 “くどいテナーOK”なら大丈夫、“くどいテナー駄目”なら駄目でしょう。フルート入りというのが微妙なところですが、シャリ・スコの参加は正解でしたな。“オルガンOK”なら大丈夫、“オルガン駄目”なら駄目でしょう。


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