LAST CHORUS (RIVERSIDE)

 ERNIE HENRY (1956〜57)

LAST CHORUS


【パーソネル】

ERNIE HENRY (as)

MELBA LISTON (tb) BENNY GOLSON (ts) CECIL PAYNE (bs) <#1-3>
LEE MORGAN (tp) WYNTON KELLY (p) PAUL CHAMBERS (b) PHILLY JOE JONES (ds) <#1-4>

KENNY DORHAM (tp) EDDIE MATHIAS (b) G.T.HOGAN (ds) <#5>

SONNY ROLLINS (ts) THELONIOUS MONK (p) OSCAR PETTIFORD (b) MAX ROACH (ds) <#6>

WYNTON KELLY (p) WILBUR WARE (b) PHILLY JOE JONES (ds) <#7>

KENNY DORHAM (tp) KENNY DREW (p) WILBUR WARE (b) ART TAYLOR (ds) <#8>

【収録曲】

AUTUMN LEAVES / BEAUTY AND THE BLUES / ALL THE THINGS YOU ARE / MELBA'S TUNE
S'POSIN' / BA-LUE BOLIVAR BA-LUES-ARE / LIKE SOMEONE IN LOVE / CLEO'S CHANT

【解説】

 ようやく花粉症の季節が終わったと思ったら、今度は風邪を引きました。ツライです。これがもし、のぶお君だったりすると、家で寝ていたらテニス部の後輩のはる子ちゃんがお見舞いにやって来て、「ああ、駄目ぇ!そんなことぉ♪」「えへへ、ぐへへ♪」という事態に陥いることになるんですが、いや、そんな元気があるのなら、学校に行けよ!…という気もするんですけどね。無論、僕にはそんな元気はありません。で、お見舞いに来てくれるギャルもおりません。そんなことで、ゴールデンウィーク初日である4月26日(土)は朝から原稿を書く気にもなれず、1日中、ダウンロードした“すけべ動画”の編集に従事しておりました。いや、最初のインタビューなんかのどうでもいいシーンはカットして、「おおっ♪」と思える場面だけを再編集するという、とっても大切な作業なんですが、それにしても今回の風邪は突然でしたな。木曜日の朝、目が覚めたら猛烈に喉が痛くて、これはやばいなぁ。…と思っていたら、夕方には鼻水が止まらなくなりました。花粉症とはまた一味違う“鼻水の止まらなさ具合”でありまして、これはこれでツライなぁ。…と思っていると、翌日はに苦しめられました。ま、だけで、胆石に苦しめられることがなかったのは不幸中の幸いでしたが、それにしてもというのは結構ツライものですなぁ。前日は透明でサラサラの鼻水だったのが金曜日には黄色いドロドロの鼻水になって、それが咽喉部に落ちていってと化したものであると思われますが、何か、ほとんど呼吸困難状態でしたからね。夜もほとんど眠れませんでした。5時間くらいしか寝れませんでした。ま、それだけ寝れば充分ぢゃん。…という気もするんですが、あまりにも息苦しくて、このまま呼吸困難が更に悪化すれば、救急車を呼んで病院で人工呼吸器をつけて貰ったほうがいいのではないか?場合によっては看護婦さんにマウス・トゥ・マウス人工呼吸をしてもらわないと、ヤバいんぢゃないか?…と、真剣に思ってしまいましたもんね。もともと僕はコドモの頃から病弱な少年でありまして、喘息の気があって、呼吸器系統は非常に脆弱ですからね。で、呼吸困難、更にはちょっぴり熱っぽいということになると、今ハヤリの“SARS”の懸念が持たれるわけでありますが、いや、この1年ほど東洋に旅行したことはないんですが、ウチの事務所には“東洋健康ランド”好きのおじさんが3人ほどいますからねぇ。ちょっとヤバいかも知れませんなぁ。

 で、今日は“ハム”について考えてみたいと思うんですが、あまりにも内容がつまらなくて、約1週間そのまま放置されてしまった掲示板のカキコにもあったように、先週は“白川ハムカツ丼”というのを食べました。その前日には“カツ丼うどんのセット”を食べましたし、“白川ハムカツ丼”の翌日の昼には“おろしロースカツ御膳”を食べました。で、その日の夜にはカツオ、食べました。カツカツオプリン体が非常に豊富な食べ物だったような気がするので注意しなければなりませんが、それにしても“白川ハムカツ丼”というのは、何だか方向性のよくわからん食べ物でありましたな。確かにハムカツらしく、「ハムカツだなぁ。」という味はしてたんですが、ハムカツと卵とじ風のダシとの相性は、何か、もうちょっとかな?…という気がしないでもありません。ハムカツなんてものは、ソースをドボドボかけて、ナンボの食い物ですからね。その意味ではソースカツ丼風にしたほうがよかったのではないか?…という気もするんですが、だいたいからして“白川ハム”って、何なんですかね?岐阜の“地ハム”(←地酒・地ビールのハム版みたいなもの)としては何と言っても“明宝ハム”というのが有名でありまして、これは岐阜のどこで作っているのかというと、明宝(めいほう)村というところの特産品でございます。この村は昔、明方(みょうがた)村という名前でありまして、特産品として“明方ハム”というのを作っていたんですが、いつの間にやら“明宝(めいほう)ハム”のほうが有名になってしまって、村の名前も“明宝村”になってしまいました。ここには“めいほう”というスキー場もあって、こちらのほうがヤングのウケもいい。…というのが村名を変えるきっかけになったようですが、「ハムに魂を売り渡した。」というので、地元の長老の評判はあまり芳しくないようです。ま、例えるなら桑名市が焼きハマグリの産地だからって、焼きハマグリ市と名前を変えるようなものですからね。ま、ちょっぴり南アルプス市みたいで悪くない?…という気もするんですが、いや、漢字とカタカナの組み合わせというところが似ているだけなんですけど。しかしまあ、焼きハマグリ市というのも、誰でも考え付くような安易な発想ですよね。ちなみに http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hanamizuki/4873/diary/0211.html にも同じようなネタが書いてありました。ジオシティーズの“ハートランド・花水木”ですか。長島温泉にもありますよね、“ホテル花水木”。そのまま漢字変換すると“ホテル花見好き”とかになったりするんですが、このツテで言うと、立川市はやっぱり“ウド市”ですかね?

 で、“明宝ハム”は最近、近隣のコンビニとかでも売られるようになって有難味が希薄になって来ておりますが、昔はハムを買いたいがために、わざわざ“めいほう”までスキーに行ったりもしてたんですけどねぇ。が、それでもまだ“明宝ハム”の人気には根強いものがありまして、岐阜県の市町村の中には“ハム人気”にアヤかって、ウチでも作ってみっかぁ?…などと安易に考える向きも少なくないようです。例えば中津川市では“中津川ハム”というのを作っております。中央道の“恵那峡サービスエリア”のレストランには「TONOコレクション」(だっけ?)とかいう東濃地方の特産物を集めたオリジナルメニューがあるんですが、そこにもこの“中津川ハム”は正式に採用されております。が、知名度は今ひとつ…というか、今みっつくらいのようで、スキー帰りのヤングな兄ちゃんが、「何やこれ?明宝ハムかぁ?」…と言って食べているのが実情です。ちなみに僕も食べました。「殿これくしょん殿様向けの定食かぁ?」…と思って頼んでしまいました。“マイタケの天麩羅”に、“中津川ハム”(←サンプルにはちゃんと書いてある)に、“玉蒟蒻”(←あまりソソられるものなし)に、“鶏つくね”のセットかぁ。悪くないぢゃん。…と思っていたんですが、よく見ると僕が勝手に“鶏つくね”と判断していたものは、実は“団子状の五平餅”であった。…という衝撃の新事実が判明しました。その結果、僕の“ソソられ具合”は約60%ほど減少してしまったんですが、フツー、五平餅をオカズに飯を食うかぁ?…と、誰しも思ってしまいますよね。ま、それでもメゲずに初志貫徹して「TONOコレクション」(だっけ?)を注文したところ、案の定、“五平餅”と“玉蒟蒻”は今ひとつでありましたが、“中津川ハム”は絶品でした。“明宝ハム”はつなぎの部分が極端に少なく、しっかりとした噛み応えが特徴なんですが、“中津川ハム”はそれとは系統が違って、かなりソフトな仕上がりとなっておりました。これがもし、ハムではなくてソーセージだったりしたら、「ああん、こんなフニャフニャのじゃなくて、もっと硬いのがイイのぉ。。。」といった声が上がるところでありますが、“フニャハム路線”というのはこれはこれで悪くないような気がしますね。かなり脂っこい感じで、ギトギト好きのヤングには喜ばれるテイストであると言えましょう。で、一方の“白川ハム”でありますが、これはハムカツという形で判断した限りでは“明宝派”というより、むしろ“中津川派”に属している感じでありましたな。“中津川”と“白川”で、“川系のハム”という括りも出来るかと思いますが、なつかしい味をキャッチフレーズとする“明宝系”に対し、フニャギト味の“川系”。いやあ、ひとくちにハムと言っても、なかなか奥の深そうな世界でありますなぁ。

 ということで、最終コーナーは“ハムの作りかた”です。ウチのおかんは昔、日本ハムの工場でパートをしていた経験がありまして、言わば“ハム作りのプロフェッショナル”と呼べるマイスターである筈なんですが、「ハンバーグばっかり作っとったで、よくわからん。」とのことでありました。いや、どうでもいいことなので直接聞いてみたわけではないんですが、恐らくそういうことだったと記憶しております。しかし何ですな。親が日本ハムで働いているというのは何かと特典があってよかったですな。日ハム製品は安く手に入るし、ファイターズ・ファンクラブの会員にはなれるしー。いや、僕は別段、日ハム球団など好きでも何でもなくて、かと言って嫌いだったわけでもなくて、要するに、どうでもいいやぁ。…と思っていたクチなんですが、それでもファイターズのマークの入った帽子とかスポーツバッグを貰えるのが嬉しかったです。オールスターファン投票のハガキというのも回って来ましたな。当時、日ハムはルーキーの木田という投手が大活躍をしておりまして、パリーグの投手部門のところだけあらかじめ“”木田という名前が印刷されていたのがご愛嬌でありましたが、当時の日ハムとすれば木田さえオールスターに出場出来れば、あとはどうでもいいという経営方針だったんでしょう。おかげで僕は“木田”以外のところには当時好きだったジャイアンツの選手の名前を書いて投票した次第でありますが、そういえば一度、日ハムのパート従業員とそのお子様達で大阪の藤井寺球場まで、近鉄VS日本ハムという、いかにもチケット余りまくっていそうなカードを見に行ったことがありましたな。僕はパリーグでは近鉄ファンだったので何だか複雑な心境でありましたが、球場に着いたら大雨でゲームは中止になってしまいました。仕方がないから奈良で大仏を見て帰りました。お土産に木刀を買いました。母さん、僕のあの木刀、どうしたでしょうね?火事で燃えちゃいましたかね?ちょっと調べてみたところ、日ハム木田が新人ながら22勝を上げて、MVP新人王最多勝利最優秀防御率最高勝率最多奪三振ベストナインダイヤモンドグラブ賞を取ったのは1980年だそうでありまして、とすると僕は12歳ですか。小学6年生ということは火事で燃えた後なので、木刀は焼失を免れたことになりますね。ただ当時、ウチの風呂というのは薪をくべる方式のものだったので、燃やすものに困って焚き付けに利用されたというセンは考えられます。いずれにせよ、えーと、“ハムの作りかた”でしたっけ?

 えーと、ハムには大きく分けてボンレスハムプレスハムの2種類がございます。ロースハムというのもありますね。豚ロースを骨抜きにして塩漬けにし、形を整えてスモーク、ボイルしたものがロースハム、豚の腿肉を整形して長時間塩漬けにしてスモーク、ボイルしたものがボンレスハム、牛豚肉を適当に配合して塩漬けにし、いろいろな形のケーシングに詰めて整形、スモーク、ボイルしたものがプレスハムなんだそうです。要は豚肉を塩漬けして、スモークして茹でればハムになっちゃうわけですな。意外と簡単なものですね。で、プレスハムというのは要するに適当に肉をかき集めて押しつぶしてハム状の物体にでっちあげたものでありまして、無論、牛豚肉以外にも馬クンだとか羊クンなんかも馳せ参じていることでありましょう。というか、むしろそちらのほうが主流であったりもするわけですが、牛クンなんてのは恐らく、1ハムあたり1.5センチ角程度の割合じゃないですかね?で、大まかに言って肉塊を使うのがハムで、ひき肉を使うのがソーセージという区分になるんですかね?ちなみにソーセージというのは太さや詰めるものの種類よって3種類に分類されるんだそうです。

ウィンナソーセージ・・・羊か山羊の腸に詰めたもの。または直径20mm未満のもの。
フランクフルトソーセージ・・・豚の小腸に詰めたもの。または直径20mm以上36mm未満のもの。
ボローニアソーセージ・・・牛の腸に詰めたもの。または直径36mm以上のもの。

 さあ、今宵、物差しでもって“彼のそのもの”を計ってみようではありませんか。元気な状態フランクフルト…ということになると、ちょっぴり問題かも知れません。

 ということでアーニー・ヘンリーです。兄、異変 淋病発病 さあ大変…という句で知られている人ですね。脚韻とリズム感が素晴らしいボローニア鯖の秀作だと自分では思っておりますが、すいません。つい見栄をはってボローニア鯖などというペンネームを付けてしまいました。しかし、のうち、どのに詰めるかでソーセージの名称が変わるとは知りませんでしたな。腸自体の太さとも関連してくるんですかね?ちなみに前にもどこかに書きましたが、韓国で焼肉に出てくるホルモン腸の内容物が詰まったままですので、ご注意のほどを。洗えよ!…と思わずにはいられなかった。…と経験者はしみじみ述懐しておりましたが、えーと、アーニー・ヘンリーはですね、その短い生涯に3枚ほどのリーダー作を残しております。短い生涯って、具体的にはどれくらい短い生涯だったのかと言うとですね、享年わずか31歳というから、僕だったら4年前に死んでますね。で、初リーダー作はリバーサイド盤の『プレゼンティング・アーニー・ヘンリー』だと思います。で、2作目が前回、このコーナーでも取り上げている 『セブン・スタンダーズ・アンド・ア・ブルース』 だと思います。で、今回は初リーダー作の 『プレゼンティング〜』 を。…という心積もりだったんですが、会社のクルマで聴こうと思って持ち歩いているうちに、CDがどこかに消滅してしまいました。まるで神隠しに合ったかのように忽然と消えてしまったんですが、あるいは金隠しの隅っこのほうに落としてしまったのかも知れません。いずれにせよ、鞄の中も、机の中も、探したけれど見つからないので諦めて、今回は『ラスト・コーラス』というアルバムを紹介することにしようと思います。ジャケ絵、簡単そうだしー。で、このアルバム、タイトルからして遺作くさいですよね。で、いきなり死なれちゃったのが災いして、慌てて手持ちの音源を寄せ集めてトリビュート盤を作ってみましたぁ。…という気配が濃厚に漂っておりまして、それがより一層、ヘンリーを失った哀しみを体現しているようで、涙を誘います。関係者にとっては、兄が突然淋病を発病したのと同レベルのショックだったでしょうからね。いや、それ以上ですか。で、寄せ集め的ではありますが、アルバムの前半を飾る4曲はわりと素性がしっかりしております。ヘンリー以下、リー・モーガン、メルバ・リストン、ベニー・ゴルソン、セシル・ペインを従えた、えーと、1、2、3、4…5管オクテットによる演奏で、オクテっと言うんでございましょうかね。ガールフレンドも出来ないざますのよ。おほほほほほ@のぶおの母も真っ青…って感じぃ?いや、前作の『セブン・スタンダーズ・アンド・ア・ブルース』がシンプルなワンホーン編成だったので、今度はちょっぴりアレンジに凝った大編成モノにしてみるぅ?…というオリン・キープニュースの意図があったんでしょう。で、恐らく、あと3曲ほど少し小さめの編成で演奏したものを加えて、ヘンリーの第3作目として売りに出す予定だったのに、急に死んじまってよぉ。。。

 ということで、ではその“ヘンリー最後の叫び”に心して耳を傾けてみましょう。まず最初は「オータム・リーブス」です。直訳すると「秋葉」となるんですが、うちの取引会社である三重発情期(仮名)の秋葉クンは、いつの間にやら名前が“水谷(旧姓・秋葉)”に変わっておりました。確かもう既に結婚していた筈なんですが、何があったんですかね?で、この曲は「秋葉」ではなく、一般的には「枯葉」と訳されておりますな。あの富永一朗センセイが『お笑いまんが道場』で 木の枝にカレーパンが生っている漫画を描いて、「枯葉」の節で「カレーパンよ〜、カレーパンよぉ〜♪」と歌っているのを耳にして、この曲も終わったな。…と思ってしまいましたが、これは1957年の録音です。“トミナガ前の枯葉”です。まだ大丈夫です。で、演奏のほうはまず5管による分厚いハーモニーが五感を揺さぶり、ケリーの転がるようなピアノがそれを受け、そしてテーマ部に突入します。ホーン・アンサンブルをバックにヘンリーがメロディを歌い上げます。蓮っ葉で、やや下品な吹きっぷりがこの人の持ち味ではないかと思いますが、AABA形式の“Bの部”はヘンリー抜きでトロンボーンがメロディをリードする形になっております。で、ソロ先発はヘンリーですな。セロニアス・モンクので『ブリリアント・コーナーズ』聴かせた前衛派アルト@アーニー・ヘンリーの片鱗を窺わせつつ、根はパーカー派でありますな。時折、フリーキーなトーンを交えながら情熱的にフレーズを綴っていく様は、なかなか熱っぽくていいと思います。38度5分くらいはある感じですね。急を要して座薬をブチ込むほどではないけど、アタマの中はかなりファナティック。そんな感じの演奏です。いや、書いている本人もあまり意味はよくわかりませんけど。で、ソロ2番手のモーガンは生きがいいですな。ヘンリーにとっては死にかけでも、モーガンにとって57年というのは、まさに日の出の勢いの日の出書店。…といった時期ですからね。何も恐れることのない天衣無縫な無法松の一生。…といった感じの吹っ切れた吹きっぷりには、大いに好感が持てる広貫堂の置き薬。…といったところでしょう。で、「枯葉」だけにケリーのソロも聴いてみたかったんですが、モーガンのソロの後はテーマに戻って、おしまい。そこのところはちょっぴり残念でありますが、まずはなかなかの好演と言えるんじゃないかな?…と、コーエン元国防長官も言っておりました。ラムズフェルド国防長官は「地震の前になるとナマズ増えるど。」とか何とか、ワケのわからん事を言ってましたけどね。

 ということで2曲目です。「ビューティ・アンド・ザ・ブルース」はベニー・ゴルソンのオリジナルです。「美しさ、そしてブルース」ですか。いかにもゴルソンらしいメロディ、そしてハーモニーでありまして、5管編成がうまく活かされていると思います。前曲同様、ホーン・アンサンブルをバックにヘンリーがメロディを吹く形なんですが、整然としたテーマ部から一転して下世話なヘンリーのソロへと突入していく流れがよいですな。品がなく、そして下品。…というのがこの人の持ち味ですからね。が、アドリブ・パートではパーカー的な凄みも感じさせ、このアルティストの只者ではない実力の片鱗を窺い知ることが出来るハマグリの潮汁。…といったプレイを堪能することが出来ます。で、モーガン、ケリー、ゴルソン、更にはメルバ・リストンとソロが続いて、ポール・チェンバースとフィリー・ジョーとの4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。以上、参加メンバー全員のソロをフィーチャーしたナンバーでありました。あ、参加メンバー全員と言いつつ、セシル・ペインの名前が抜けておりますな。メルバ・リストンに続いて地味ながらもソロを取っていたというのに、虐げられておりますな、セシ・ペン。もう、こうなったら日ペンのミコちゃんに言いつけてやるぅ!…と、本人も大変に憤っておりましたが、いや、ミコちゃんに言いつけたところでどうなるものでもないような気もするんですけどね。ということで3曲目です。「オール・ザ・シングス・ユー・アー」です。「君こそ我がすべて」などという邦題もあるようですが、あまり定着してませんね。「君こそ我がすべて」というタイトルはスベっている…と言わざるを得ませんが、ケリーの弾くイントロがちっとも「オール・ザ・シングス〜」らしくなくて、イイですね。ミス・マッチの美学とでも申しましょうか、テーマ部にラテンのリズムを取り入れたアレンジも、ややスベっているような気がしないでもありません。で、ホーン・アンサンブル抜きでヘンリーがメロディを歌い上げ、AABA形式の“Bの部”はモーガンが担当しておりますが、何だか笑いながら吹いているような感じでありますな。このアルバムにおけるモーガンは、「どっせ、自分のリーダー作ぢゃないんだしぃ。」というので、かなり好き放題にやってるようなところがありますな。彼にしてもまさか、ヘンリーが急に死んじゃうとは思ってもみなかったのでありましょう。そうと知っていれば、もうちょっと真面目にやったのにぃ。…と3秒ほど反省して、でもまあ、死んじゃったものはしょうがないしぃ。…と3秒後に立ち直る、そんなさばけた性格のモーガンが、僕は好きです。で、AABA形式の“最後のAの部”はヘンリーもかなり適当な感じで吹いておりまして、そしてそのままアドリブ・パートへと突入して行きます。ここでの彼のプレイはかなりアウトでありますな。テーマのメロディにかなり忠実ではあるんですが、その中でどこまでハズした感じで演奏することが出来るか。…という点に心血を注いだ半ケツの男、ヘンリー。その生き様が目に浮かんでくるようですね。で、続いてモーガンの不真面目なソロがあって、その不謹慎ムードはソロ3番手のケリーが何とか挽回しておりますが、バックのフィリーは何やら投げやりなムードで拍子木のようなものをコンコンと叩いたりしております。が、続く4バースの部分ではさすがのフィリーもきっちりと仕事をしておりまして、で、最後は何やらタイミングが合わないような感じでヘンリーが登場してテーマ部に戻って、おしまい。この演奏を「名演である。」と評価する人もいるようですが、そっかあ?僕には「何とかしよう。」という決意だけは感じられるものの、それが上滑りして結果的には失敗に終わってしまったように思えてまりません。

 で、4曲目です。「メルバズ・チューン」はこのアルバムにも参加している女流トロンボーン奏者、メルバ・リストンのオリジナルですね。この人はもっぱら、ランディ・ウエストンに「スケッチ・オブ・メルバ」という曲を捧げられたことで 知られているわけでありますが、いや、さほど知られてはいませんかね?ま、いずれにせよ、彼女自身もなかなか作曲の才能に恵まれておりまして、いくつか魅力的なオリジナルを残したりしている人ではなかろうかと。で、そのメルバの作品、「メルバズ・チューン」もなかなかの佳曲でありまして、この曲だけゴルソン、リストン、セシ・ペン抜きのクインテット編成になるというのも、すっきりしていてイイと思います。ヘンリーがしみじみとテーマを歌い上げ、途中、モーガンが絡んでくるあたりはベニー・ゴルソンのアレンジ(←多分)ということもあってか、ちょっぴり「クリフォードの思い出」を彷彿させるところがありますな。結局のところ、ヘンリーも人々の記憶の中で生き続けることになるわけでありますが、僕はこの「メルバズ・チューン」をヘンリーの“白鳥の歌”として聴いてしまいました。ということで、5曲目です。「スポー人」です。…って、どんな人やねん!?…と、思わず漢字変換にツッコミを入れてしまいましたが、5曲目は「スポージン」です。先ほどのイン・ア・センチメンタル・ムードをブチ壊してしまうような能天気ナンバーでありまして、これはアレですな。ケニー・ドーハムのアルバム『2ホーンズ・2リズム』に収容された同曲の別テイクでありますな。いきなりこういうセッションが出てくるところが寄せ集めの寄せ集めたる所以でありますが、ヘンリーが急死しなければ決して日の目をみることはなかったであろうと思われます。僕の持ってる『2ホーンズ・2リズム』のCDにもオマケとして入ってましたけどね。演奏自体は“2リズム”というタイトルからもわかるようにピアノレスとなっておりまして、ドーハムにしてはわりとハードなものとなっております。そんだけ。で、続いては「バルー・ボリバー・バ・ルーズ・アー」ですね。ヘンリーの名を世間に広めたセロニアス・モンクの『ブリリアント・コーナーズ』からの1曲でありますが、別テイクですらなく、“exceerpt”とクレジットされていることからもわかるように不完全なテイクとなっております。いきなりフェイド・インしてテーマが始まりますからね。曲自体はアーシーなブルースで、ヘンリーの斬新なソロを堪能することが出来ますが、所詮は“抜粋”ですからね。モンクのピアノ、下手だしぃ。

 ということで7曲目です。「ライク・サムワン・イン・ラブ」『セブン・スタンダーズ・アンド・ア・ブルース』からの別テイク引っ張り出しです。ケリー、ウィルバー・ウエア、フィリー・ジョーのトリオをバックにヘンリーがワン・ホーンでスタンダードを歌い上げる…というコンセプトは大いに興味をソソられますが、所詮は別テイクですからね。あれこれ、批評を加えるような類のものではないような気がしないでもありません。で、ラストです。「クレオズ・チャント」はヘンリーのオリジナルです。ケニー・ドーハムの参加したヘンリーの初リーダー作、『プレゼンティング・アーニー・ヘンリー』からのナンバーでありますが、別テイクというクレジットがないところを見ると、あるいは本テイクをそのまま持って来たのかも知れませんね。寄せ集めるネタも、遂に枯渇したか?…という感じでありますが、やっぱり今ひとつ、アルバムとしては未完成な作品に終わってしまったなぁ。…と、その将来性を高く嘱望されながら、結局のところ大輪の花を咲かせることなく逝ってしまったヘンリーの生涯と合わせ、ちょっぴりしんみりとした気分になってしまうのでありました。

【総合評価】

 正直なところ、後半はいりません。が、前半の4曲はそれなりに評価することが出来るでしょう。せめてあと3曲分くらい長生きしてくれたらなぁ。…と、残念でなりません。で、僕の病状のほうでありますが、今これを書いている4月27日(日)現在、喉に痰が絡んで咳がとまらない状態ではありますが、呼吸困難のほうはかなりよくなりました。この原稿が僕の“ラスト・コーラス”…ということにはならないと思いますが・・・、うっ・・・


INDEX
BACK NEXT