THINGS ARE GETTING BETTER (RIVERSIDE)

 CANNONBALL ADDERLEY (1958/10/28)

THINGS ARE GETTING BETTER


【パーソネル】

CANNONBALL ADDERLEY (as) MILT JACKSON (vib) WYNTON KELLY (p)
PERCY HEATH (b) ART BLAKEY (ds)

【収録曲】

BLUES ORIENTAL / THINGS ARE GETTING BETTER / SERVES ME RIGHT / GROOVIN' HIGH
THE SIDEWALKS OF NEW YORK / SOUNDS FOR SID / JUST ONE OF THOSE THINGS

【解説】

 先日、運転免許証の更新に行ってまいりました。更新手続きの期限ギリギリまで引っ張って、のっぴきならないところまで追い詰められた挙句、有給休暇を取って津の運転免許センターまで行ってきた次第でありますが、いや、よかったですな。出掛けるまではかなり気が重かったんですが、「案ずるよりも生むが易し」とはよく言ったもので、実際に手続きを進めてみればさしたる困難もなく、無事に新しい免許証をGETすることが出来ました。ま、免許がなくてもただクルマを運転出来ないだけの話なので、さしたる不便も感じないんですが、年齢確認装置の付いた自動販売機で“すけべビデオ”とかを買えなくなっちゃうのが辛いですよね。そんなことになったら社会生活に大きな支障を来たすことになってしまいます。いけません。で、僕は今まで優良運転者とまではいかないまでも、一般運転者として地元の警察署で免許の更新手続きをしていたんですが、今回はどういうわけだか違反運転者ということになってしまい、わざわざ津の僻地まで赴くことを余儀なくされました(一部既報)。何だかとっても気分を害したので、「湾岸道に乗ってやるぅ!」と叫んで、湾岸桑名ICから伊勢湾岸道に乗ってしまったんですが、いや最近、伊勢湾岸道東名阪自動車道が接続したので、一度走ってみたかったんですよね。片道3車線の快適な道路でありましたが、東名阪桑名ICから乗るより150えんも余分にかかってしまいました。感情に走った挙句、思わぬ出費を強いられてしまったなぁ。…と大いに反省した次第でありますが、性懲りもなく、帰りも湾岸桑名ICまで走ってしまいましたけどね。下り線(大阪方面)では員弁川の河口で潮干狩りに講じている長閑な風景を見ることが出来ましたが、上り線(名古屋方面)の湾岸桑名IC付近は揖斐川にかかる長さ1400メートルの橋と長島スパーランドがよく見えて、アーバンなウォーターフロント的景観を醸し出しておりまして、なかなか悪くありません。ま、周囲は田圃ばっかりなんですけどね。…とまあ、往復300えんの余分な出費はちょっと痛かったんですが、運転免許センターはとっても綺麗でよかったです。僕が始めて免許を取った頃は、僻地の焼け残った小学校の校舎か?…と思うような木造のレトロな建造物だったんですが、10年ほど前に移転して、すっかり近代的になっておりました。で、更新手続きに訪れている人々の内訳は、多少ケバめではありましたが意外と若いギャルの含有率が多く、いやあ、よかったですな。…と僕が思ったのはそれが主たる理由でありまして、ちなみにこの午後からの受け付けは違反運転者初回更新者(←免許を取って始めて更新する人)が対象となっておりまして、ヤングが多く、そして多少ケバいのは、そういうところに原因があるのでしょう。いかにも、違反してそう?…といった雰囲気の漂っているギャルが多かったように思われました。

 で、僕の更新手続きは手数料を払うところまでは順調だったんですが、その次の適性検査(視力測定)のところがちょっとヤバかったですな。僕は頭も顔も性格もいいんですが、ただちょっと目が悪いのと痛風のケがあるのが弱点でありまして、クルマを運転する時は眼鏡をかけるようにしております。いや、日常生活でも、通りすがりの女子高生がみんな可愛く見えてしまうほど視界がぼーっとしておりまして、常に眼鏡をかけていたほうがいいのではないか?…と思われるくらい視力が低下しているんですが、通りすがりの女子高生がみんな可愛く見えるというのは、それはそれで幸せなことなので、いや、駐車中の車内で、パンツが見えそう?…といった場面に遭遇した場合には、すかさず眼鏡をかけるようにしているんですけどね。その結果、パンツがくっきりと見えるのはいいんだけど、あまりよろしくない顔のほうまではっきりと見えてしまって、このジレンマにどう立ち向かっていけばいいのか?…と思い悩むことも少なくないんですが、いや、顔を見ないでパンツだけに一点集中すればとりあえずは大丈夫なんですけどね。ということで、視力検査です。裸眼ではもう、まったくもって話にならないことはわかっているので最初から眼鏡をかけて測定に臨んだんですが、いや、思ったよりも視力が低下しておりましたな。なんせ、自動車学校に入る時に作った眼鏡なので、度が今ひとつ合わなくなってきているようでありまして、視力0.7の“輪っかの切れ目”が判別出来ず、大いに焦ってしまいました。悪いことに検査官が性格の悪そうなオバサンでありまして、僕が自信なさげに「上…?」とか「左…かな?」と答える度に、「上じゃないっ!」とか「左じゃないでしょ!」と、不機嫌な口調で否定するんですよね。挙句、「(0.7が)4つ中、ひとつ見えるだけでは、通すわけにはいかない。」などと、いけずなことを言い出す始末でありまして、ま、確かに上・下・右・左の4択で正解率が25%では、「テキトーに答えてるだけなんぢゃないか?」と疑われても仕方のないところなんですけどね。で、何とか“あてずっぽ”で2問連続で正解したところでやっと許して貰えて、「帰ったらすぐ、新しい眼鏡を作ってくださいね!」と厳命されて適性検査を無事、パスした次第でありました。おばさん、ゴメンよぉ。俺、きっと新しい眼鏡を作るからさぁ。次回の免許更新の直前までには、きっと作るからさぁ。

 で、続いては写真撮影ですね。僕は視力検査同様、この写真撮影というのも大の苦手でありまして、それは何故かと言うと、写真写りが悪いからなんですけどね。いや、もしかするとそれは“写真写り”の問題ではなく、元の顔が悪いだけなのでは?…という意見もあるかも知れませんが、そんなことはありません。あくまでもカメラマンの腕、もしくは機材に問題があるものと思われますが、その証拠に今回の免許写真は“やや小マシ”というレベルには仕上がっておりましたからね。写真係のおばさんは性格もわりとよさそうな感じだったんですが、腕も確かなようです。こういうおばさんには、適性検査担当のおばさんの給与を30%カットしてでも、特別手当を支給するべきではないか?…と進言する次第でありますが、あ、新しい免許証を手にする前に120分の講習というのを受けさせられましたね。優良、もしくは一般運転者なら30ぷんの講習で済むのに、どうして僕たちだけ120ぷんなんですかね?もしかして、違反したからですかね?信号を無視したから、その見せしめに嫌がらせで長い講習を受けさせられるんですかね?ま、何にも悪いことをしてないのに、“初回講習”というだけで120分も拘束される人もいるわけだから、違反者の立場としては黙って受けるしかないかな?…という気がしないでもないんですが、ちょっぴりケバいギャルも、ケバくないけど花粉症のギャルも(←マスク姿がけっこう可愛い)、違反運転するタイプには見えないけど、かといって“初回講習”という年とも思えない…というおばさんも、大人しく受講してましたからね。ま、恐らく、コドモの手が離れて、これからの楽しみにちょっとクルマの運転でも?…と思って、43歳で始めて免許を取ったクチではないかと思われますが、このおばさんは隣に座っていた若いお兄さんに「眠気覚ましにどう?」とチョコレートを勧めて、ムゲに断られておりました。いくら相手が推定年齢48歳だからって、その態度はないやろ?…と、傍から見て思ってしまいましたが、「じゃ、変わりに僕が。」と、わざわざ2メートルほど離れた机からチョコを貰いにいくのも何なので、黙ってましたけどね。これから免許の更新講習の時は、気のよさそうなおばさんの横に座ろう。…と心に誓った次第でありますが、で、講習のほうはというと、ビデオ鑑賞の時間が総計で40分ほどありましたか。ま、ビデオ鑑賞といっても、パンツの見える類の作品ではないのでさほどソソられるものはないんですが、この手のビデオって僕はわりと嫌いじゃないんですよね。少なくとも口が臭そうなオッサンの話を聞いてるよりはマシ?…という感じなんですが、この手の講習で講師を務めるおじさんって、ほぼ例外なく口が臭そうですもんね。いちばん前の席に座っていた花粉症のギャルは、マスクをしていて正解?…という感じでありましたが、ザ・グレート・サスケが議会でマスクをしたままというのは、どうか?…という気もするんですけどね。ま、マスクをしてないとサスケだか何だか分からないだろうし、何より“マスク姿”は公約らしいので、やむを得ないような気もしますが、2本目のビデオは“シートベルトを締めよう”といった内容でありました。車にダミーの人形を乗せて 衝突実験をして、シートベルトを締めている場合と締めてない場合とでは、その挙動にどのような違いが生まれるか?…という問題を検証するものでありましたが、後部座席に乗せられたのはビデオの司会進行役を勤める若いギャルをモデルにした人形、通称“よしえちゃん”(←勝手命名)でありました。で、最初、シートベルトを装着しない状態で時速50キロのクルマ2台を前面オフセット衝突させる実験が行われたんですが、いやあ、凄かったですなぁ。ぶつかった瞬間、後部座席に座っていた“よしえちゃん”は慣性の法則によって頭から運転席までブッ飛ばされてしまいました。足は天井付近まで上がって、ちょうどヘッドスライディングをするような格好でありますな。運転席に座っていたダミー人形“やすおクン”(推定年齢37歳)はちゃんとシートベルトを装着していたんですが、後ろから“よしえちゃん”にタックルされる形になって、フロントガラスで顔面強打。うーん、痛そう。。。で、車内後部に設置されたカメラは飛んでいく“よしえちゃん”の姿を後方から捉えていたんですが、あまりの衝撃にスカートがめくれ上がって、ぱんつがチラっと見えました。その瞬間、僕は思いましたね。「しまった!眼鏡はずしてた!

 ま、幸いにもスローでリプレイしてくれたので、僕は大慌てで鞄の中から眼鏡を出して事なきを得た次第でありますが、“よしえちゃん”は顔もまずまずでありましたな。ま、顔面から前席に突っ込んで、それどころじゃなかったような気もするんですけどね。いずれにせよ、シートベルトをしていないと大怪我(←ヘタすれば即死)はするし、パンツは見られるしで、ちっともいいことはないね。…ということがわかって、とっても教育効果の高いビデオ教材であると思います。で、最後に簡単な“自己診断テスト”がありました。君はどういうタイプのドライバーかな?…という事を判別するものでありまして、確か自動車学校でもやらされましたよね?例えば「人から運転が強引だと言われたことがある。」という質問があって、それに「はい。」と答えると、「あなたは強引なドライバーです。」と判定されるという、とっても分かりやすいテストなんですが、ちなみに僕はテストの結果、「イライラ運転をしてませんか?」という結果が出ました。要するに「気が短い。」ということなんでしょうが、3日ほど前に床屋に行って毛を短く切ったのが災いして、こういう結果が出ちゃったんですかね?不本意です。ちなみに僕が「はい。」と答えたのはこういう質問だったんですけどね。

 ・乗り降りで手間取っている車にはイライラする
 ・後ろからクラクションを鳴らされると腹がたつ
 ・自分のペースを乱されると、とてもイヤな気分になる
 ・歩行者が道路をゆっくり横断しているとイライラする
 ・渋滞している時に、横から割り込まれると損した気分になる
 ・運転が下手な人は遠慮して走るべきだ
 ・何度も信号で止められると、とてもいやな感じがする

 どれもごく当たり前の話でありまして、こんな質問に「いいえ。」と答える人って、いるのぉ?…という感じなんですが、これのいったいどこがイライラ運転なんでしょうね?ちなみに3個以上「はい。」と答えると“あらっぽい運転”と診断される項目については該当ゼロだったので、僕がいかにジェントリーで紳士的な運転をしているかということが、よくわかりますよね。で、“判断に迷ったままの運転をしていませんか?”という項目に関しては1つだけ「はい。」がありまして、逆にこれが0個という場合は“自信過剰運転”ということになってしまいますので、この点でも僕の運転はバランスが取れていると言えるでしょう。しかしまあ、2年前の今頃には僕の乗っていた路線バスが婆さんを撥ねちゃってますし、塩サバ2号は1ヶ月ほど前に国道23号線で多重衝突絡みのトラックにぶつけられたそうだし、長野の温泉ではエクストレイルをバックで出そうとしてフォレスターにぶつけちゃったし、あ、さすがに自己診断テストの「バックでの駐車はあまり得意でない」という項目は、思わず「はいっ♪」と元気よく答えてしまいましたけどね。これからは動物を見習って、バックが得意な人になろう。…と、心に固く誓った次第であります。そんだけ。

 ということでキャノンボール・アダレイです。有名ですよね。高名でもあります。もしかすると大名だったりもするのかも知れません。そういえば筒井康隆『ジャズ大名』という小説がありましたが、キャノンボールの場合、さしずめ“ファンク大名”といったところでしょうか。で、“つけめん大王”とは遠い血縁関係にあったりするんですよね。そういえば最近、あまり“つけめん”って見かけなくなりましたね。子供の頃にはインスタントの“つけめん”とかもあって、個人的にはけっこう好きだったんですが、時代は今、“つけめん”よりも“イケメン”なんすかね?で、今回、『シングス・アー・ゲッティング・ベター』というアルバムを選んでみました。“事態は好転している”といった意味なんでしょうか。いかにもキャノンボールらしい前向きな姿勢がとってもいいと思います。バックでやられる時の姿勢というのは前向きですからねー。いいことだと思います。が、実をいうと僕はこのアルバムにあまり行為…いや、好意を持っておりませんで、それは何故かというと別テイクが入っていて、同じ曲を2回続けて聴かされるのがウザいしぃ、フセイン大統領の長男はウダイ氏ぃ、フセイン大統領の次男はクサイ氏ぃ、そんなことでまあ、あまり積極的に聴いてみる気にはならんかったんですが、ミルト・ジャクソンとの共演というのはちょっとイケてるかも知れませんね。そこでまあ、試しに聴いてみたところ、それほど悪い出来でもなかったので今回取り上げてみることにしたんですが、ということで1曲目です。「ブルース・オリエンタル」はミルト・ジャクソンのオリジナルでありますな。タイトル通り、ブルーでオリエンタルなムードのある曲でありまして、アルトとヴァイブのユニゾンによるテーマが何とも言えずブルーでオリエンタルです。オリエンタルというと、どうしてもカレー…というイメージが浮かぶんですが、そこを敢えてブルーでまとめたところがバグスの手腕ですよね。もう、ラシュワンもびっくり…という感じなんですが、いや、ロサンゼルス・オリンピックの決勝で山下泰裕と戦った相手ですよね、ラシュワン。似たようなのにオラジュワンというのがいますが、これはバスケの選手で、イナリワンというのはウマです。で、バロムワンというは超人です。で、テーマに続いてミルトのソロになりますが、これが実によいムードです。キャノンボールとミルト・ジャクソンというのは相性抜群…なのか、ちょっとズレているのか、微妙なセンだと思っていたんですが、結果的にこのコラボレーションは正解だったと言えるでしょう。続くキャノンボールのソロもいいです。ヴァイブを入れたおかげで…って、この表現は誤解をまねく恐れがあるので、ヴァイブという楽器を入れたおかげで…と言い直しておきますが、このクールな響きを持つ楽器のおかげで、キャノンボールのプレイはいつになく抑制の効いたものとなっておりますな。丁度、ピアノにビル・エバンスを加えた『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』と同じく…と書いていたら、C.アダレイの吹きっぷりはいつの間にやら、いつも通りのイケイケ調に転じておりました。で、続くウイントン・ケリーのソロがソレっぽくて最高ですね。やっぱりこの人は、こうでなくちゃいかん。…と、深く納得のプレイを堪能することが出来ます。で、テーマに戻って、おしまい。以上、“下品でないファンキー”といった感じの、なかなかの名演でございました。

 2曲目のタイトル曲、「シングス・アー・ゲッティング・ベター」はC.アダレイのオリジナルです。能天気なキャノンボールのテーマ曲と呼びたくなるような能天気なナンバーでありまして、ゴスペル・ライクなオスペ好き。…といった作品に仕上がっております。まずミルト・ジャクソンがテーマを軽快に演奏し、続いてキャノンボールがそれを復唱する。…という構成(AABA形式×2回)となっておりまして、“Bの部”でストップ・タイムになるところがカッコいいですなぁ。で、後発でテーマを吹いたキャノンボールがそのままソロを取ることになるんですが、天衣無縫にして才気煥発、無法松の一生にして、好きなお魚はカンパチ。…という彼の持ち味が十二分に発揮されていて、とてもいいと思います。続くミルトとケリーのソロもいいです。あ、パーシー・ヒースの地味なソロも聴けますね。地味だけど、長い。…という、ジミー永井的なソロでありますが、いや、誰なんだかよくわかりませんけどね、ジミー永井。で、キャノンボールが後テーマを吹いて、おしまい。以上、“下品極まるファンキー”といった感じの、まずまずの名演でございました。ということで3曲目ですが、2曲目の解説はえらく短かったですね。で、今日から市会議員選挙が始まったようでありまして、選挙カーがうるさいですな。ウグイス嬢…というより、モズおばさんといった感じの人が何やらがなりたてておりますが、気が散っていけません。で、3曲目ですが、「サーヴス・ミー・ライト」という曲ですね。スイング期間からバップ期にかけて大活躍したテナー・サックス奏者バド・ジョンソンのオリジナル(by岩浪洋三クン@日本語ライナー)とのことでありますが、なかなか美しい旋律を持ったバラードでありますな。イントロのミルトが泣かせます。…と、中瀬マスさん(71歳)が言っておりましたが、イントロのミルトが泣かせるなぁ。…と、孫娘の中瀬ルナさん(25歳)も同意しておりました。祖父の中瀬無道さん(75歳)は中山道にウオーキングに行っているので不在でしたけどね。で、イントロに続いてキャノンボールがしみじみとテーマを歌い上げるわけですが、決してオーバー・ファンクでムードをブチ壊すようなことはなく、節度のあるプレイを展開しております。賢明な措置だったと思います。ああ見えて、意外とアタマ悪くなかったりしますからね、C.アダレイ。で、テーマが終わると再びミルトが登場して短いソロを取り、今度はキャノンボールが出て来て短いソロをとって、で、ミルトが出て、キャノンが出て…というのを数回リピートして、テーマに戻って、おしまい。うん、悪くない演奏でしたね。悪くない出来ではありますが、僕の持っているCDはこの後、同曲の別テイクが入っておりまして、いくら悪くない演奏でも2回続けて聴くのは、特にバラードの場合は余計に辛いものがありますなぁ。余計なことをしてくれたなぁ、ビクター音楽産業株式会社。…と思わずにはいられませんが、あ、そういえば最近、“Vector de ぴょん♪”のコーナーも更新が滞ってますね。このコーナーと“ジャケコレ”とコラムのところがまだ2002年になっておりますので、送球にタマを投げてる場合じゃなくて、早急になんとかしなければなりません。とりあえずTOPページからリンクを外して、なかったことにしておこうと思いますが、「サーヴス・ミー・ライト」の別テイクも、なかったことにして、さ、4曲目ですね。

 「グルービン・ハイ」。舞い上がってハイな状態になっているルービン財務長官に捧げられたディジー・ガレスピーのオリジナルでありますが、いや、「“グルービン”の“”の字は、どこに行った?」と追及されると、グーの音も出ないんですけどね。しかしなんですな。“グーの音も出ない”というのはヘンな言い回しですよね。のび太がドラえもんにやりこめられて、「悔しかったら、“グー”とでも言ってな。」と言われて、「グー。」と答えているシーンが脳裏に蘇ってきましたが、いや、そんなどうでもいい場面を覚えている人は、僕の他には誰もいないと思いますけど。で、「グルービン・ハイ」です。調子のいい曲なので、キャノンボールがいつものペースでガンガン飛ばせば、さぞや快感でありましょう。…と思っていたら、意に反して何だかゆったりしたテンポで演ってますなぁ。なんだか長閑です。しずかちゃんの姪っ子の、のどかちゃんみたいです。いや、そんなキャラがいたかどうか知りませんけど。喉から手が出る、のどかちゃん…とか。いや、何だかよくわからないキャッチフレーズですけど。で、アルトとヴァイブのユニゾンで長閑にテーマを演奏した後、キャノンボールのソロになりますが、吹いているうちに次第にテンポが速くなって、だんだんとヒートアップして、ふと気がつけばキャノンボールの独断場。…という状態になっております。やっぱ、この曲はこうでなければなりませんなー。続くミルトのソロは抑制気味でありますが、これはこれで悪くありません。続くケリーのソロも十二分にスイングしておりまして、明るい雰囲気のテーマに戻って、最後はゆっくりしたテンポでグルーヴィに締めくくるのは、この曲の定番でありますな。ということで、次男です。いや、次です。“つぎ”と入力したはずが、勢いあまって隣の“”まで押してしまいました。だから“じなん”ではなく、“つぎお”と読んで頂きたいわけでありますが、いや、そんなことは別にどうでもいいんですけどね。で、次の「ザ・サイドウォークス・オブ・ニューヨーク」という曲はチャールズ・B・ローラー、ジェイムス・W・ブレイクによって作詞、作曲されたスタンダード・ナンバーだそうです。テーマを演奏するジャクソンにキャノンボールがオブリガードでからみ、ジャクソンのグルーヴィなアドリブへと入っていく。(by岩浪洋三クン@日本語ライナー)とのことでありますが、いかにもニューヨークを横歩き。…といった感じのオシャレなナンバーでありますな。大阪の難波で軟派。…というのとはワケがちがいます。「ネエチャン、茶、しばきにかへん?」とか言って、ちっともオシャレじゃないですもんね、難波の軟派。横歩きだけにマーチ風のリズムが印象的でありまして、あ、そういえばこのセッションのドラマーってブレイキーなんですよね。あまり存在感がなかったんですが、ツボを押さえたサポートぶりはさすがです。で、ソロ先発はミルト・ジャクソンですね。テーマのムードをうまく引き継いで、リラックスしたプレイを展開しております。確かに“グルーヴィなアドリブ”ですな。で、続くキャノンのソロは豪快です。新御三家はヒデキ五郎かい?…というくらい豪快です。けっこう好きだったんですよね、「お嫁サンバ」とか。いちにっサンバ、にぃにぃサンバ♪…って、調子のいい歌でしたもんね。眉毛の濃いヤツでしたけどね、郷ひろみ。

 とか言ってるうちに「ザ・サイドウォークス・オブ・ニューヨーク」の別テイクが始まりましたが、これは例によってなかったことにして、「サウンズ・フォー・シッド」です。キャノンのオリジナルです。オリジナルではありますが、アルトの無伴奏ソロで幕を開け、そのまますぐにミルト・ジャクソンのソロへと突入していく感じなので、テーマらしいメロディのない即興ナンバーといった感じですね。で、ブルースです。テンポはスローです。息苦しいほどダウン・トゥ・アースです。ミルト・ジャクソンはブルース好きだけにすっかり気分をよくしており、キャノンボールもスケールの大きい歌い上げをみせる。彼もまたブルースが得意なのである。それもかなりダウン・トゥ・アースな・・・。3番手はウイントン・ケリーで、彼も自己のペースを守ってさりげないがうまいブルース・プレイをみせる。…って、面倒になってきたので日本語ライナーをそのまま引用させて頂きましたが、ということでラストです。「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」です。コール・ポーターの曲です。個人的にポーターと曲というのはあまり好きではないんですが、好き嫌いをしていては大きくなれません。「蓼食う虫も好き好き」という諺もありますし(←あまり関係ない)、「嫌よ嫌よも好きのうち」という言葉もありますし(←さらに関係ない)、ここはひとつ虚心坦懐な心持で接してみようではありませんか。ところで先程、この“虚心坦懐”という言葉が思い出せず、何だったっけ?“きょしたんかい”だっけ?…と思って“きょしたんかい”でサイト検索してみたら、1件しかヒットしませんでした。「おまえはべんきょしたんかい」というのが引っ掛かりました。こんなものしか引っ掛からないところを見ると、これはきっと間違っているな。…と思って“坦懐”で再検索したところ“きょしんたんかい”が正解であることが判明したんですが、こんな基本的な四字熟語を思い出せないようでは、学生時代、国語をちゃんとおまえは勉強したんかい?…と言われちゃいそうですね。ということで、まっさらな気持ちでこの曲に取り組んでみたところ、なるほど、アドリブの素材にするにはよさそうな曲ですよね。で、このキャノンボールのバージョンはテーマ部に“ラテンの乗り”を取り入れたりして、なかなか工夫がなされているな。…と思いました。で、ソロ先発はミルトです。2番手はキャノンです。3番手はケリーです。いや、まだミルト・ジャクソンのソロが始まったばかりなんですが、きっとそうに違いありません。僕くらいのレベルになるとソロ・オーダーなんてものはすべてお見通しなんですよね。…と思っていたら、やっぱりそのような順番でありました。いや、まだ2番手のキャノンのソロが続いている段階なんですが、その次にはきっとケリーが出てくるに違いありません。しかしなんですな。ここでのキャノンのソロは素晴らしいですな。邪心がないというか、ヨコシマな心がないというか、ま、言ってることは同じなんですが、聴いてきても気分が爽快ですね。…と言ってるうちに案の定ケリーが登場しましたが、この次にペースのピチカート・ソロがくる、もしくはドラムス絡みの4バースがある。…というパターンも考えられますな。…と思ったら、何にもなくて素直に後テーマになっちゃいました。今ひとつ工夫の足りない構成である…と言わざるを得ませんが、やっぱりジャズというのは“”ではなくて、“演奏”なんだよね。…ということを再認識した次第であります。…と、最後に正論を書いておいて、今日はおしまい。

【総合評価】

 別テイクが入ってるから、ヤだ。…などと言って聴かず嫌いでいると損をする、なかなか出来のよい1枚でありました。何より、ケレン味のない演奏というのは爽快なものでございます。エリンギのないきのこ炒め…というのは物足りないものですけどね。カラスミのない日本三大珍味というのも今ひとつですなぁ。…って、どんどん“ケレン味”から離れてますけど。カラスミのない自由な空へ翼はためかせ、行きたい〜♪…って、そんなに嫌いか?カラスミ


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