WORK SONG (RIVERSIDE)

NAT ADDERLEY (1960/1/25,27)

WORK SONG


【パーソネル】

NAT ADDERLEY (cor) WES MONTGOMERY (g) BOBBY TIMMONS (p) SAM JONES (cello,b)
KETER BETTS (b) <#2,4,5,6> PERCY HEATH (b) <#1,6,9> LOUIS HAYES (ds)

【収録曲】

WORK SONG / PRETTY MEMORY / I'VE GOT A CRUSH ON YOU / MEAN TO ME / FALLOUT
SACK OF WOE / MY HEART STOOD STILL / VIOLETS FOR YOUR FURS / SCRAMBLED EGGS

【解説】

 みんな、きちんと歯を磨いているかな?僕は磨いていません。じゃ、何か?“よい子のよい歯・作文コンクール”で桑員地区3位に入賞した『ぼくと虫歯』という作文に書いた、「これからは食事の後にきちんと歯を磨こうと思います。」という誓いは、まったく守られてないとでも言うのか?…と言われれば、まったくその通りでありまして、確かに守っていないが、それがどうした?…と開き直るより他ないわけでありまして。だいたいこの作文というのは、何度も書いておりますが、うちのおかんが口述したものを僕が忠実に筆記して、それを担任の先生が、いったい元の作文はどこに行ってしまったのだろう?…と、書いた本人が驚いてしまうほど加筆・訂正してコンクールに出品したという、いわばコラボレーションの賜物とでも言うべき作品でありまして、僕の意図は20%ほども反映されていないのが実情でありまして。よって、食事の後にきちんと歯を磨こうなどという気は、最初からさらさらなかった。…ということを告白しておきますが、あ、思い出しました。このコンクールが行われたのは小学5年生の秋のことでありまして、ちょうど僕の家が燃えて、数ヵ月後。…という時期だったんですよね。で、先生は僕が作文が桑員地区3位に入賞したという知らせを受け、ホームルームの時間に「いなばくんの家は火事で燃えましたが、作文では頑張りました。」といった発言をしました。今から思えば、関係ないやん!…という気がしないでもないんですが、そういえば卒業文集の僕のページの端っこには、担任の先生の字で「5年生の時の活躍・作文コンテストで3位入賞♪」という字が勝手に付け加えられたりもしておりました。よっぽど、ほとんど自分が書いたに等しい 作文が小学生相手のコンクールで3位に入賞したのが嬉しかったと見えますな。

 で、ついでに思い出してしまいましたが、僕は子供の頃から整理整頓がまるでダメな少年でありまして、学校の机の引き出しには返して貰ったテストやら、家に持って帰らなければならないプリントやら、給食の残りのパンやら、更衣室から盗んだパンツやらが、ごちゃごちゃに突っ込まれておりました。で、担任の先生からは「点数の悪いテストならともかく、どうして100点のテストを引き出しの中に入れておくのぉ?」と不思議がられておりました。で、“いなばくんの机がきたない問題”はホームルームでもしばしば主要な議題となりまして、それだけならまだしも、ぜんぜん関係のない社会科の授業の時に、いきなり非難の対象にされちゃったのには、まいりましたな。その日のテーマは“日光東照宮と徳川家康”だったんですが、有名な“見ざる・言わざる・聞かざる”の写真を見ながら、「これからの世の中、“見ざる・言わざる・聞かざる”ではダメですよぉ。悪いことはよく見て、きちんと注意をする。例えば、机の引き出しが汚い人がいれば、それをよく見て、あ、嫌だなぁ。自分はこうはなりたくないなぁ。…と思って、そうして人はオトナになっていくんですよぉ。」…って、大きなお世話や!…と、コドモ心にも思ってしまいましたけどね。好きで汚くしてるワケじゃねーやい。…というのとはちょっとニュアンスが違いますが、好きで汚くしているんだい。…というか、汚くても別に気にならないから、別にイイんだい。…と、思わず反論したくなっちゃいましたが、それもちょっと大人気ないかな?…という気もしたので、ヤメておきました。ほら、僕って担任の先生が思っているより、ずっとオトナだったしぃ。

 で、歯磨きです。アメリカにマサチューセッツ工科大学という、おじさん泣かせの学校がありますよね。どう、おじさん泣かせなのかと言うと、おじさんには正しく発音できないからなんですが、“まさつーせっちゅ工科大学”とか何とか、思わず、「それ、ちゃうやろ?」…と言いたくなることもしばしば。具志堅用高に至っては「まさつーせっつっちゅねー。」とか、ワケのわかんないことを言い出す始末ですからね。で、そのマサチューセッツ工科大学がどうしたのかというと、「日常生活になくてはならない発明品は何か?」というアンケート調査を実施したんだそうです。どうせならもっと世の中の役に立ちそうなアンケート調査を実施しろよ。…という気がしないでもないんですが、ま、調査しちゃったものはしょうがないしぃ。で、その結果、見事、第1位に輝いたのは“歯ブラシ”だったそうでありまして。いや、ちょっと意外な結果ですな。“マサ工”くらいのエリートともなればもっとこう“ハイテク兵器”みたいなもの、例えば“自動りんご皮剥き機”みたいなものが選ばれるのかと思ったら、“歯ブラシ”ですもんね。マサ工生は馬鹿になったか?…と、立花隆ならずとも思ってしまいますが、ちなみにこのアンケートは“歯ブラシ”“パソコン”“携帯電話”“電子レンジ”などの選択肢から選ぶ方式で行われたそうで、ま、この中から日常生活になくてはならない発明品を選ぶとすれば、やっぱり“歯ブラシ”かなぁ。…といった気がしないでもないんですけどね。というか、選択肢に“歯ブラシ”を入れたこと自体が大きなアヤマチだったのではないか?…という気がしまうわけでありますが、ではそもそも、“歯ブラシ”というのはいつ頃に発明されたものなんでしょうね?

 結論から申しましょう。古代エジプト(BC3000年頃)での“チュースティック”と、古代インドでお釈迦様(BC5世紀)が広めた“歯木”が歯ブラシの始まりです。…というのがその答えだそうです。“歯木”というのはアレです。ただの木の枝です。木の枝の先っちょを歯でカミカミして、ヘゲヘゲになったところで、歯の表面をこそぐ。そういう、アレなんだそうです。僕はよく、爪楊枝を使いすぎて先っちょがヘゲヘゲになっちゃったヤツで歯の表面をこそいで歯磨きの代用にすることがあるんですが、お釈迦さま直伝の由緒正しい歯磨き法だったんですな。安心しました。いっぽう、エジプトの“チュースティック”というのも“噛み噛み棒”という名前からして“へげへげ爪楊枝”と似たようなものでありましょう。しかしこれ、確かに“歯磨き器具”ではあるが、“歯ブラシ”とは呼べないのではないか?…という気もしますよね。ブラシっ気がまったくありませんもんね。「んにゃ、へげへげの部分がブラシの役割をしているアルね。」とお釈迦さんに反論されれば、凡夫人である僕には返す言葉もございませんが、今日で言う“歯ブラシ”の原型と言えるものは959年頃に中国で作られたのが最初のようですね。発明したのは歯武羅氏クン(当事34歳)ではないかと言われております。電話の発明者がベルだから、歯ブラシの発明者は歯武羅氏クン。その発想は簡潔にして明瞭でありますが、ほとんど小学5年生並みのレベルであると言うことも出来ますね。松本城の築城者は松本三郎クン。…とか、子供にロクなことを教えませんからね、僕って。で、当事の歯ブラシは象牙や動物の骨なんかに豚の毛なんかを植えつけたものだったというから、今日で言う“歯ブラシ”にかなり類似したものであると言えましょう。

 さて一方、“歯磨き粉”でありますが、これはさすがに時代がぐーんと新しくなって、登場するのは20世紀に入ってから。…と思っていたら、さにあらず。古代エジプトでは紀元前1500年頃の新王国18王朝時代には既に“歯磨き粉”のようなものがあったというから、エジプト人、恐るべし。で、我が国でもエジプト人ほどではないにせよ、AC3世紀の応神天皇の頃には存在していたというから、まんざら捨てたものでもありませんね。ま、“歯磨き粉”と言っても、単なる“”だったみたいですけどね。“元祖ザルツライオン応神天皇バージョン”といったところでしょうか。ま、所詮は応神天皇。塩で歯ァ磨くことを思いつくのが精一杯だったんでしょうな。(←天皇蔑視の超問題発言。右翼からの嫌がらせ必至。)そこへいくとエジプト人は違います。紀元前1500年にして、その“歯磨き粉”の組成は研磨剤・粘結剤として“緑粘土”、粘結剤、甘味料として“蜂蜜”、研磨剤として“石英”、細菌抑制効果 殺菌作用として“緑錆”…というから、かなり本格的なものであります。蜂蜜には虫歯予防の効果があることが知られておりますし、ただ“緑錆”なんか口に入れたら毒なんぢゃないのか?…という気がしないでもないんですが、ま、毒をもって毒を制す…というか、目には目を、歯に歯を…というか、クスリは少しくらい毒なほうがいい…とも言いますしね。(編集部注:言いません。)いずれにせよ、エジプト人の叡智、恐るべし!…といったところでありますが、ズボラで、机の引き出しは相変わらず汚い僕でありますが、最近になってわりとこまめに歯磨きをするようになりました。ウチには塩サバ2号の息子、塩サバ2号2世1号と塩サバ2号2世2号が来たときに備えて“こどもはみがき(ぶどう味)”が置いてあるんですが、甘くって、歯磨きも意外と悪くないじゃん。…ということに目覚めた次第でありまして。夜、歯を磨きながら、「僕もオトナになったなぁ。」と、しみじみ実感している次第でございます。そんだけ。

 ということで、ナット・アダレイです。キャノンボールの弟です。僕は納豆は嫌いなんですが、ナット・アダレイはさほど嫌いではなく、それどころかむしろ好きな部類に入りまして、その為、このコーナーでも既に4枚のCDを紹介しております。その結果、小マシなアルバムのネタが尽きました。石川や浜の真砂は尽きぬとも、世に盗人の種は尽きまじ…と詠んだのは石川五右衛門でありますが、ナットの種は4枚で尽きました。仕方ありません。定番中の定番で、何を今さら。…という気がしないでもないんですが、『ワーク・ソング』、行ってみましょう。えー、このアルバムはですね、いかにもリバーサイドらしい変則的な楽器編成が特徴ですね。リンゴでは王林、鉱物では黄燐が好物であることで知られているプロデューサーのオリン・キープニュースの趣味なんだろうと思われますが、このアルバムは基本的にはナットのワン・ホーンなんですが、ウエスのギターが入ったり、サム・ジョーンズがチェロを弾くセッションがあったりと、弦楽器が充実しているのが特徴ですな。こんな編成のアルバム、リバーサイドしか作りません。で、ピアノがボビー・ティモンズ、ドラムスがルイス・ヘイズとくりゃ、こりゃ言わずと知れたキャノンボール・アダレイ五重奏団@御大抜き&ウエス・チェロ入り…といったところでありますな。リバーサイドのファンキー、ここに極まり。…といったサウンドが展開されるであろうことが大いに期待されます。るんるん♪

 ということで、1曲目です。あ、今日は本来、志賀高原に行く予定だったんですが、天候不良の為にヤメました。しかたなくスーパーでグリコを買ってきてグリコーゲンで我慢している次第でありますが、ま、明日に延期しただけの話なので、別にいいんですけどね。ただ、夜中の2時に起きて出発しなければならないので、今夜は8時半には寝なければなりません。僕に与えられた時間は決して多くはないわけです。おまけに先日、マンポン技士のタケムラ君から“すけべ動画CD−ROM”を10枚ほど借りて来たので、それも可及的速やかに鑑賞しなければなりません。今、僕は“我慢汁”を我慢しながらこの原稿を書いている次第でありまして、さ、余計なことを書いてないで、先に進みましょうね。1曲目。タイトル曲の「ワーク・ソング」です。作曲家としても非凡な才能を有するナットの代表作でありますが、いや、才能があるというのは立派なものですね。僕なんか何の才能もないですもんね。陰嚢ならあるんですけどね。で、この曲はもっぱらキャノンボール・アダレイ五重奏団での演奏が有名なんですが、ま、せっかく作曲者のリーダー作なわけなんだし、ちょっと挨拶替わりに演奏してみるぅ?…というのでこの曲が選ばれたのでありましょう。恐らくはプロデューサーの趣味でありまして、ナット自信はさほど力を入れている風でもありません。演奏時間だって、たったの4分14秒ですしね。で、この演奏の聴き所をあげるとすれば、変則的な楽器編成を活かしたテーマ部のアレンジということになるでしょうか。コルネットのミュートによる呼びかけに対し、チェロとベースのピチカートが応答する様は、とってもコール&レスポンスしていてイイと思います。で、ナット、ウエス、ティモンズと続くソロは、僕たちきっとこういうソロを期待されているんだよね?…といったところを無難に押さえておりまして、押しなべて良好です。特にティモンズが極め付けにベタで、よいですな。ただソロが全体的に短めで、かなり物足りない感はありますけどね。そんだけ。…って、さすがにこれではちょっと寂しいので小川隆夫クンの書いた日本語ライナーを引用しておくと、1曲目はタイトル曲でもある「ワーク・ソング」。ティモンズの「モーニン」同様、最もポピュラーな“ファンキー・ジャズ”のテーマだろう。ミュートをつけたナットのコルネットとモンゴメリー、サム・ジョーンズ(チェロ)の弦楽器とによってコール・アンド・レスポンスの形式で演奏されるテーマは、ルイ・ヘイズのドラムのアクセントと共に“ファンキー”なムードを高めており、ティモンズのソウルフルなピアノも雰囲気を盛り上げている。…って、ほとんど同じようなものでしたな。

 で、個人的には2曲目の「プリティ・メモリー」のほうが好きです。ティモンズのオリジナルで、「モーニン」同様、いかにも彼らしい黒っぽい曲調が“ファンキー”なムードを高めている。…って、何だかありきたりな隆夫クン調になってしまいましたが、 ここでのポイントは何といっても“真っ黒な弦楽器のピチカート”でありましょう。1曲目同様、サム・ジョーンズのチェロとケーター・ベッツのベースのユニゾンだと思われますが、隆夫クンも指摘しているように4ビートと倍テンポが交互に現れるところが実にカッコよろしいですな。で、ソロ先発はナットです。くすんだようなコルネットのトーンがファンキーなムードを醸し出しておりまして、ちょっぴりケニー・ドーハムからの影響を感じさせるプレイを展開しております。で、ソロ2番手はウエスですな。シングル・トーンで趣味のよいフレーズを展開しております。で、ソロ3番手はティモンズですな。いかにも…といった黒っぽい演奏で、黒いもの好きの僕たちを魅了してくれます。で、テーマに戻って、おしまい。…って、いや、ほとんど内容が無いに等しい曲解説でしたね。演奏は素晴らしいだけに、僕の表現力の無さが恨めしく思えるところでありますが、ま、気にするなって。(←態度でかい。)で、3曲目です。スタンダードの「アイブ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」です。僕のハートは君にクラッシュ。…てな意味ですかね?ちなみにカー・スタントの世界ではクラッシュというのはロール・オーバーと並ぶ定番ネタらしいですね。で、生身で勝負するスタントのほうはボディ・スタントと呼ぶそうですが、全身を炎に包まれる“火だるま”や、クルマに撥ねられる“撥ねられ”といった技があるんだそうです。何だかネーミングがそのまんまぢゃないか。…という気もするんですgs、「アイブ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」はコルネット、ギター、ベースという変則トリオで演奏されるバラードでございます。実にしみじみ歌心に富んだ演奏でありますな。ナットという人はああ見えて、根は繊細で好きな食べ物はぜんざい。…といったキャラなので、リリカルなプレイにも定評がありますよね。ほとんどストレートにテーマ・メロディを吹いているだけなんですが、それでもナットだなぁ。…と納得させるだけのものがあります。ナットのバラード・プレイが昔「アフタヌーンショー」でやっていた“納得いかないコーナー”で取り上げられたという話は聞きませんもんね。で、短いソロを弾くウエスにも同じことが言えまして、特にこの人の場合、ピックを使わずに親指でギターを弾くため、トーンがこの上なく温かい…とまあ、そういう特徴を持っております。もう、親指Pの修行時代も真っ青って感じ?

 ということで、4曲目です。スタンダードの「ミーン・トゥ・ミー」です。ミーン・トゥ・ミーで通じ合う、そういう仲になりたいのぉ〜♪…って、たぶん出ると思っていましたが、やっぱり出てきましたね、「MUGOん…色っぽい」。しっかし、いつみても何とかならんもんですかね?この曲名。ま、何ともならんのでしょうな、今さら。…ということは重々承知しているんですが、それでもやっぱり何とかして欲しいものですよね、この曲名。で、演奏のほうはというと、コルネット、ギター、ベース、ドラムスというピアノレス・カルテットでありまして、ナットはミュートを付けているということもあってか、その演奏はまるっきりマイルスであります。もしブラインドフォールド・テストで出題されたとしたら、知らない人なら10人中8人くらいは「マイルスっす。」…と答えちゃうんじゃないですかね?ま、わりと有名なアルバムなので、みんな知ってるような気もするんですけどね。コルネットだろうが何だろうが、ミュートを付ければ、皆マイルス。…というのは新しい発見でありました。で、ウエスの短いながらもハート・ウォーミングなソロも聴くことが出来ます。はい、次。5曲目はナットのオリジナルで「フォールアウト」という曲ですね。ティモンズも戻って、“典型的にファンキー”といった演奏が展開されております。ソロ先発のティモンズは時折パウエルばりのうなり声なんぞも交えて、シングル・トーンで趣味のよいソロを披露しております。が、ここでの聴き物は何と言ってもナットのソロでありましょう。何と言うか、とってもイイです。…としか説明のしようがないんですが、とっても気持ちよさげにラッパを響かせておりますな。で、サム・ジョーンズのチェロによるピチカート・ソロがあって、ルイス・ヘイズのドラム・ソロがあって、もう一度サム・ジョーンズ、あるいはケーター・ベッツのベースかも知れませんが、とにかく弦楽器のピチカート・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。エンディングの趣向も実に渋く決まっております。でもって、6曲目はキャノンボール・アダレイのオリジナル、「サック・オブ・ウォー」でありますな。サム・ジョーンズの弾くチェロが効果的な能天気ファンキー・チューンでありまして、ここでもナットはミュートを付けて吹いておりますが、マイルスというよりも、リー・モーガン的な味付けになっているところが面白いですね。わははははははは。で、またしてもサム・ジョーンズのチェロによるピチカート・ソロがあって、いい加減、ちょっと飽きてきちゃったなぁ。…なんてことを言わずに、黙って耳を傾けてやってください。彼だってメシを食うのに一生懸命なわけだしぃ。で、ひさしぶりにウエスのソロが聴けた気がして、とてもよかったと思います。で、テーマに戻って、おしまい。…って、最後はどの曲でも大体がこのパターンですな。おかげで次第に書くこともなくなってきました。

 はい、7曲目。「マイ・ハート・ストゥッド・スティル」。ゆったりしたテンポの演奏でありまして、ミュートを付けたナットのマイルス的なプレイを堪能できるナンバーとなっております。で、8曲目は「コートにすみれを」ですな。略して「コーすみ」。いや、こんな略称は聞いたことがないので、恐らく世間ではまったく通用しないと思われますが、ちなみに原題にある“Furs”というのは毛皮の衣服のことなんだそうです。だったら邦題も「毛皮の衣服にすみれを」にしたほうがより正確なのではないか?…という気もするんですが、ま、別にどうだっていいんですけどね。あ、先ほどの「マイ・ハート・ストゥッド・スティル」でありますが、またしてもサム・ジョーンズがピチカート・ソロをやっておりますな。さしものサム・ジョー好きの僕でも、これはちょっとやり過ぎなんぢゃないか?…という気がしてまいりましたが、ま、彼だってメシを食うのに一生懸命なわけだしぃ。で、「コーすみ」のほうはウエスのギターをバックにしたデュオなんですな。もしかしたらベースとかも入っているのかも知れませんが、地味なので無視してもらっても一向に一向一揆。ナットがテーマをしみじみと歌い上げて、アドリブ・パートではウエスのハート・ウォーミングなソロを聴くことが出来ます。軽くテーマ・メロディをフェイクする感じなんですが、コード・ワークが絶妙でありますな。ということで、はいラスト。「スクランブルド・エッグズ」はサム・ジョーのオリジナルだじょー。相変わらずチェロのピチカートが聴けるじょー。わりとシンプルなハード・バップ調のナンバーでありまして、アルバムの最後を飾るに相応しいリラックスした演奏が繰り広げられております。ン、ぱ〜、ン、ぱ〜、ン、ぱ〜、ン、ぱ〜♪…というコルネットと弦楽器との絡みが面白いですね。わはははははは。ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 サム・ジョーンズ、前に出過ぎぃ。…といった嫌いが無きにしもあらずなんですが、バラエティに富んだ選曲でナットの多面的な一面(←日本語合ってるのか?)を窺い知ることが出来、ま、無難なセンではないでしょうか。やはり定番というのはそれなりに理由があるものなんですな。…ということを再認識した土曜日の昼下がりでございます。さ、すけべ動画でも見ようっと。


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