OFF TO THE RACES (BLUE NOTE)

DONALD BYRD (1958/12/2)

OFF TO THE RACES


【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) JACKIE McLEAN (as) PEPPER ADAMS (bs)
WYNTON KELLY (p) SAM JONES (b) ART TAYLOR (ds)

【収録曲】

LOVER COME BACK TO ME / WHEN YOUR LOVER HAS GONE / SUDWEST FUNK
PAUL'S PAL / OFF TO THE RACES / DOWN TEMPO

【解説】

 お正月でしたなぁ。今年の正月休み…というか、去年の年末休みと今年の正月休みは連続9日間もあって、どうもダラけていけませんね。ヤル気が70%くらい減退しちゃいます。それでなくても最近、『塩通』に賭ける熱意は往時の12%くらいまで落ち込んでいるというのに更にそこから7割引とあっては、残っているのは、えーと…、真面目に計算するのも面倒なほど、ヤル気が出ません。で、この正月、どのように過ごしていたかというと、まず元旦は“ちんこくさん”に初詣に行きました。ここは昔、桑名城があったところで、松平定信と松平ナントカという人を祭った“鎮国守国神社”というのがあります。チンケな神社です。城跡は現在“九華(きゅうか)公園”となっておりますが、「どうして“九華公園”って言うんだろう?」…と、別に疑問に思うこともなく、僕は大人になってしまいました。が、今回、その謎が判明しました。“九華”と書いて“くはな”。昔はこういう書き方もあったんだね。そんだけ。…って、分かってしまえば実に簡単なことでありました。で、昼からは近くにある叔父さんの家に行きました。そしてみんなで“いもや”に行きました。“いもや”の実態に関してはまあ、 ここ でも見て貰うとして、最近、ここに来てもあまり物欲をソソられるものがないのが残念でありますなぁ。それだけ僕もオトナになったということなんですかね?仕方が無いので毎年、「うまい棒と“どんどん焼き”のセット」を買うのが恒例になってしまいましたが、今年はセットの内容が少し変わっておりました。“どんどん焼き(20えん)”×2袋は例年通りだったんですが、あ、ちなみにこれは小粒の揚げアラレのようなもので、ソース味がとってもオトナの味だねっ♪…という気がして、けっこう気に入っております。運がいいと、ピーナッツが半粒ほど入ってることもあります。僕は“どんどん焼き”のピーナッツ含有の有無を今年の運勢の目安にしているんですが、今年は2袋で1粒でありました。“鵜祭り”も元気よく飛んだみたいだし、今年は少し、景気が持ち直すかも知れませんね。いや、ウチの会社は潰れそうなんですけどね。

 がしかし、“うまい棒の部”が変わっておりました。僕はどちらかというと“うまい棒(10えん)”目当てで、“どんどん焼き”は別にどうでもいいんだけど。…と思いつつこのセット商品を買っていたんですが、今年はその“うまい棒”がわずか1本に減らされておりました。しかもチョコ味。“うまい棒”にチョコレートをコーティングして、それでうまいと思うのか?…と、幾分憤りを覚えながら食べてみたところ、結構うまかったんですが、減数された“うまい棒”の変わりに“エースバット(20えん)”というが5本も入っておりました。これは何かというと早い話が”チョコバット”なんですが、いつから名前が変わったんですかね?最初は「パチモンか?」と思ったんですが、作っているのはどちらも三立製菓だしぃ。で、商品名のリニューアルに伴って“当たり”のシステムも若干変更になったようです。“ホームラン”1枚または“ヒット”4枚で、もう1本プレゼント♪…だったのが、“エース”1枚、または“ストライク”3枚でオリジナル・ノートをプレゼント♪…というのに変わっておりました。“ストライク”3枚というのは分かるんですが、“エース”1枚というのはちょっと無理がありませんかね?おそらく“エースバット(20えん)”を企画した人も「無理があるなぁ。。。」ということを自覚しているものだと思われますが、無理を承知の上で、パチモンに間違えられるリスクを冒してまで三立製菓が商品名変更に至った経緯は何か?…という問題について考えてみると、そこには僕がかねてから懸念していた“ゴネるコドモ問題”がいよいよ現実のものになってきたか?…ということに…、えーと、後の言葉が続きませんが、つまりまあ、そういうことではないかと。

 ヒット2本で1、2塁。そこからワンヒットで2塁ランナーが一気にホームに帰ってくることもあるやん!…そう言い張って、「“ヒット”3枚でもう1本」を主張するコドモ。それが“ゴネるコドモ問題”の全貌でありますが、で、かつて駄菓子屋のおばさんは「でも、これはこういう決まりだから。。。」と困惑気味に説得に当たり、「でも、理論的におかしいやん。JAROに訴えてやるぅ!」とゴネられて、次第にうっとうしくなって、「ま、いっか。どうせ仕入れ価格6円50銭くらいのものやしぃ。」と思って、ゴネるコドモには“ヒット”3枚でもう1本渡していたわけでありますが、折からの不況でそんな悠長なことを言っておれなくなったんでしょう。「理論的にもおかしいぢゃん。」と三立製菓にイチャモンをつけて、で、そんなオバサンがあまりにも多くなってきたものだから三立製菓としても次第にうっとうしくなって、どこからも文句のつけようのない“ストライク3つで三振”というシステムの採用にいたったと。僕はそのように推測する次第でありますが、それにしても“エース”1枚でノートって、どう考えても無理がありませんかね?それはそうと、“源氏パイ”はどうして“源氏”なんですかね?三立製菓というのは実に謎の多い、言葉を変えれば奥の深い会社であると言わざるを得ませんが、ひとくちに“チョコバット”と言っても、いろいろな商品があったんですな。今回調べてみてそれが分かったんですが、ではここで簡単に“チョコバット”の歴史について述べてみましょう。

 始めて“チョコバット”が登場したのは昭和39年12月…って、僕より年上だったんですね。気安く“チョコバット”などと呼び捨てにしたりして、申し訳ありませんでした。これからは“チョコバットさん”と呼ばせていただきますが、西暦に直すと1964年。今年で39歳になるわけですな。これはもう、押しも押されぬ中年です。これからは“チョコバットさん”のことを“おっさん”と呼ばせていただこうと思いますが、当時、“チョコバット”のおっさんは3本で10えんだったそうです。が、“チョコバット”のおっさん…って、いちいち面倒なので“チョコバット”に戻しますが、昭和42年には1本10えんになっております。あるいは従来のものより太く大きくなった。…ということなのかも知れませんが、それにしても値段の変遷だけを見ている限り、不当な値上げであると言わざるを得ませんね。ちなみにこの時から“ホームラン”1枚または“ヒット”4枚で、もう1本♪…というシステムが確立したようでありますが、景品に回す金の工面に困って、やむを得ず値上げに踏み切ったと言うことなのかもしれませんね。意味ないぢゃん!…という気がしないでもないんですが、時代が“ハイ・リスク・ハイ・リターン”を求めていた。…ということなのかも知れません。

 で、昭和50年には再び1本20えんにまで値上げされております。この間、約8年が経過していることを考えればやむを得ないことなのかも知れませんが、それにしても“チョコバットは物価の劣等性”と言わざるを得ませんね。タマゴを見習え!…と、文句のひとつも言いたくなってしまいますが、ただ“チョコバットがグレた。」という話はあまり聞いたことがないので、勉強が出来ないなら出来ないなりに、地道な人生を歩んでいたらしい。…ということは言えようかと思います。…と思っていたら、それは大きな間違いでありました。グレて暴力を振るう…といったことはなかったようなんですが、不純異性交遊に走っておりました。昭和52年に“ピンクバット(いちご味)”と“Pバット(ピーナッツ味)”発売って、これを不純と呼ばずして、何を不純と申しましょう?恐らく“ピンクバット”や“Pバット”と3P三昧に耽る毎日だったのでありましょう。実に怪しからんことです。そして“チョコバット”は自らの“そのもの”を大きくしたりもしております。 三立製菓のほ→むぺ→じ に 「昭和52年9月、“チョコバット”少し大きくなって1本30円に」 とあるのが何よりの証拠でありますが、いくら少し大きくなったといえ、またしても1.5倍の値上げというのは世間の顰蹙を買ったようでありまして、翌、昭和53年9月には「1本20円に値下げ」を余儀なくされております。その結果、“そのもの”が萎縮しちゃったかどうかについては触れられておりませんが、これで“チョコバット”の不純異性交遊が収まったのかというと、さにあらず。時はかなり進んで平成9年4月の事になりますが、32歳にして彼はとんでもない遊戯に励んでいたのでありました。その名も 『ぬりぬり棒W』 っ!…って、いや、何だかとっても気持ちよさそう?…って感じがしますなぁ。ということで、今日の話はおしまい。

 ということでドナルド・バードです。あ、ちなみに 『ぬりぬり棒W』 というのは「ビスケットにピーナッツチョコクリームをぬって食べる」ものだそうで、“チョコバット”とは少し毛色の変わった駄菓子のようですね。2本50えん…って、あ、2本入りだから“”なんですね。で、“out!”のマークがついているところを見ると、あまりぱっとしなくて製造中止になっちゃった模様です。ついでに“エースバット”への名称変更は平成11年の9月からだそうで、わりと昔のことだったんですね。僕が知らなかっただけで。ということでドナルド・バードです。わりと無難に『オフ・トゥ・ザ・レイシス』です。欲しいのはお布団だ。冷死する、ホームレス。…って、ちょっぴり社会派の俳句を詠んでしまいましたが、10年ほど前にクルマに乗せてあげたホームレスのおじさんは元気ですかね?いや、三重県の上野というところで仕事をしてたら、「国道25号線って、どっちですかね?」と道を聞かれたんですよね。で、自動車専用道路の国道25号線(名阪国道)を教えてあげたら、「いや、旧道のほうを。」というので、どういうことかと思ったら「名古屋まで歩いていく」と。歩いていくって、あーた。名古屋までクルマでも2時間かかりまっせ。仕方がないので僕は仕事が終わるまで待って貰って、クルマで桑名駅まで送って、電車賃として1000円を渡した次第でありますが、実はそのホームレスのおじさんというのが大会社の社長でありまして、10年ほどたったある日、「あの時、親切にして頂いた御礼に。」と言って1000万円の入った鞄を…いうようなストーリーを頭に描いている次第でありますが、おじさん、もしこのページを読んでいたら、連絡下さいね。あの時、とっても親切にしてあげた好青年は、僕です。

 ということで、『オフ・トゥ・ザ・レイシス』です。バードのBNデビュー作です。マクリーンとペッパー・アダムス入ってます。ケリーもいます。ベースはサム・ジョーンズです。かなり“さば好み”の1枚であると言えますが、1曲目には「恋人よ我に帰れ」も入っております。僕、好きなんですよね、この曲。…という僕の“ラバ・カン好き”はわりと世間に知られているようでありまして、去年の「あきらジャズ祭り」で誰かがこの曲を演奏している際、おこめ師匠に「さばさん、この曲好きですよね?」と言われてしまいました。ちょっぴり恥ずかしくって思わず赤面してしまった海綿体好きの僕でありますが、「ラバ・カン」の代表的な名演として、師匠はこの『オフ・トゥ・ザ・レイシス』の名前を上げておられました。「あんまりよくないですけどね。」とも言ってましたけどね。で、事実、あんまりよくありません。超アップ・テンポでやっているのがよくありません。哀感がないのが、いかん。…と、哀愁好きのヤックンもけなしていたような気がしますが、テーマ部はバードがワン・ホーンで吹いております。僕のいちばん好きなサビのメロディのところをアドリブにしちゃっているのが、けしからん。…と思います。サビの部分を除けば、あまり大した曲でもないですからね、これ。が、改めて聴きなおしてみると、演奏自体は確かに悪くないです。ソロ先発のペッパー・アダムスが、まず凄いです。バリサク奏者の原液女子中学生も一度このソロを聴いてみるといいと思います。緞帳な楽器で緊張感溢れるプレイをする浣腸。…といった演奏には思わず痺れてしまいます。続くバードは、まあままですかね?ちょっと上滑りしてますからね。ま、いつものことですけどね。で、続くマクリーンが何てったって、凄いです。もう、マクリーンが吹いていさえすれば、何だっていいです。…といった、人智を超えた境地にありますからね、この人は。で、バードとテイラーの4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。バードもさすがに反省したのか、テーマの再現部ではきちっと“サビ”も吹いておりまして、まずはよかったのではないでしょうか。

 ということで、2曲目です。「ホエン・ユア・ラバー・ハズ・ゴーン」。あなたの恋人が行ってしまった時。行ってしまったり、帰ってこなかったり、恋人と言うのは気まぐれなものでありますなぁ。順番としては、どこかへ行ってしまってから「恋人よ我に帰れ」と願うというのが正しいような気がしますが、細かいことを気にしてはいけません。曲順で抒情詩やってるわけじゃないですからね。で、“行ってしまったほう”は1曲目とはうって変わってしみじみとしたバラードでありまして、個人的にバードの吹くバラードって、けっこう好きなんですよね。ワン・ホーンで切々とテーマを歌い上げ、そのままソロへと流れていきます。哀感がありますなぁ。廣貫堂の目薬?…って、それは「愛眼」。そんなマイナーなの、誰も知りません。…とか言ってるうちに演奏は終わりました。結局のところ、最後までバードのワン・ホーンなんですな。で、3曲目は「サッドウエスト・ファンク」です。バードのオリジナルです。タイトルどおりファンキーなムードのあるメロディがとっても日本人ウケしますなぁ。これまであまり活躍の場がなかったケリーがイントロからいい味を出しております。テンポはスローに近いミディアムで、それがより一層アーシーなムードを高めている高畑義則。…といった感じがしますね。いや、誰だか知りませんけどね、高畑義則。しばらくトリオによる演奏が続いて、そして満を持しての卍固め。…といった感じでホーン陣が登場して、テーマを吹奏します。とってもファンキー末吉。…といった感じですね。マイナーに有名ですよね、ファンキー末吉。いや、けっこうメジャーですかい?それはともかく、ソロ・オーダーはバード、マクリーン、アダムス、ケリーとなっております。中でも注目はやはりマクリーンでありますが、ソロ前半はともかく、後半になると何だか怪しげな“BN時代のマクリーン・フレーズ”が出そうになって、ひやひやさせられる冷麦好きの少年、冷水三郎(67歳)。…といった感じがします。しかし冷水クンも還暦を過ぎてるんだから、いい加減に“少年”という肩書きはやめたほうがいいんじゃないですかね?…って、僕が勝手に作ったキャラだから、大きなお世話と言う気もしますけどね。

 はい、次第にワケがわかんなくなってきたところで4曲目です。ヤル気がないのに無理にボケようとすすと、惨憺たる結果を招く。…というのが先ほどの“冷水三郎”でよくわかったのでこれからはボケなしでいきますが、4曲目はロリンズの「ポールズ・パル」ですな。いかにもロリンズらしい大らかな…というか、大まら…いや、大まかな曲なんですが、そこがまたロリンズらしくていいと思います。が、ロリンズが吹いて始めてそのよさが引き立つわけでありまして、ドナルド・バードがワン・ホーンで吹くと、何だか間が抜けておりますなぁ。ちょっぴりケニー・ドーハムの『静かなるケニー』のジャケット写真を彷彿させる雰囲気でありまして、テンポはかなりスローです。で、途中からマクリーンが出て来て、かなりいい感じのソロを展開しております。続くアダムスは相変わらずワイルドですね。で、ここで再びバードが登場しますが、テンポが少し速めになってきているのが幸いして、いつものペースを取り戻しておりますな。で、続くケリーのソロが可憐です。この手の小歌っぽい曲をやらせれば、この人の右に出るのは右翼の兄ちゃんぐらいじゃないですかね?で、再び間の抜けたテーマに戻って、おしまい。全体的にとっても“小歌”でありました。一転して5曲目のタイトル曲は「オフ・トゥ・ザ・レイシス」はマーチ調の調子のいい銚子ナンバーの日産マーチ。…といった感じのナンバーです。ソロ先発のマクリーンが最高。以下、略。

 はい、残すところあと1曲です。「ダウン・テンポ」は5曲目と同じくバードのオリジナルでありまして、タイトルからしてスロー・テンポのアーシーそうなナンバーでありますな。…という期待に違わずスロー・テンポのアーシーなナンバーでありました。…と先走って書いていたら、けっこう速いテンポでやっておりますな。ま、アーシーなのはアーシーですけどね。ストップ・タイムが効果的なゴスペル調のおすぺ。…といった感じでありまして、あ、そういえばタケムラ君から貸してもらった“すけべ動画”のCD−ROMに、現役のソー○嬢が出演している外国向けの一作があったんですが、英語の字幕で“Specialty : Blow Jobs / Sumata”と出てくるのが何ともいい感じでありました。やっぱり“素股”に相等する英語というのはないんですかね?それとも“寿司”同様、“Sumata”もワールド・ワイドに認知されたということなんでしょうか?いずれにせよ、いきなりサム・ジョーンズのピチカート・ソロ。…というのが意表をついてて悪くないし、ペッパー・アダムス、バード、マクリーン、ケリーと続くソロはいずれも短いながら充実しておりまして、ただマクリーンは若干“危なく”なりかかっておりますが、いずれにせよアルバムの最後を飾るに相応しい寛いだ仕上り具合となっておりまして、まずはよかったのではないかと。…と、無難にまとめておいて、今日はおしまい。

【総合評価】

 全体的に無難な仕上がりですね。特別、コレといった突出したナンバーもないんですが、ハズレもない。…といった80点主義のアルバムと言えるでしょう。ま、バードとしてもブルーノート初吹き込みなワケだし、いきなりヘンな趣味を露呈して、ライオンちゃんに嫌われたりすると困るかも?…といった、プロフェッサーらしい計算が働いたのかも知れません。…って、もともとそんなヘンな趣味はない人なんですけどね。で、ジャケットのセンスもいいです。ただ、うまく描ける自信はまったくありません。いずれにせよ、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


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